JPS6220693Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、２サイクルガスエンジンの燃料供給
装置に関し、燃焼室に直接燃料を供給するダイヤ
フラムポンプをクランク室内の圧力変動を利用し
て調時駆動させるようにするとともに、ダイヤフ
ラムポンプの構造を簡素化して安価に実施できる
ようにすることを目的とする。

従来、この種のエンジンでは混合気で燃焼室を
掃気しており、混合気の一部が直接排気口へ吹き
抜けることがある。

そこで、燃焼室を空気で掃気した後、燃料ガス
をポンプで直接燃焼室に供給して燃料ガスの吹き
抜けを防止するようにしたものがあるが、燃料を
注入するポンプが吸入弁と吐出弁を備えているこ
とからポンプの構造が複雑になるうえ、吐出時に
吐出弁が燃料ガスの流通抵抗になり吐出タイミン
グズレも生じるという問題があつた。

本考案は、上記欠点を解消するために提案され
たもので、２サイクルガスエンジンのガス燃料供
給系統に介装したダイヤフラムポンプのダイヤフ
ラム駆動室をクランク室に、ポンプ室の吐出口を
燃焼室内のシリンダのピストン摺動面に開口する
燃料ガス注入口にそれぞれ連通し、ガス燃料供給
系統中の燃料ガスを燃焼室に直接注入するダイヤ
フラムポンプをピストンの往復運動により生ずる
クランク室内の圧力変動で調時運動させるととも
に、燃焼室内の燃料ガス注入口を調時開閉するピ
ストンをポンプ室の吐出口に設ける吐出弁に兼用
して、ダイヤフラムポンプの吐出口から吐出弁を
省略することにより構造を簡素化して安価に実施
できるようにするものである。

以下、本考案の実施例を図面に基き説明する。

第１図は、水冷２サイクルガスエンジンの縦断
正面図を示し、このエンジン１は、クランクケー
ス２の上方にシリンダブロツク３及びシリンダヘ
ツド４を順に載置固定してある。

シリンダブロツク３にはピストン５を摺動自在
に収容したシリンダ６を形成してあり、ピストン
５はクランクケース２に回転自在に枢支したクラ
ンク軸７にコネクテイングロツド８で連結してあ
る。

こうして、ピストン５の上方でシリンダヘツド
４で蓋されたシリンダ６の内部に燃焼室９が形成
される。

燃焼室９には、シリンダヘツド４の上方から挿
入固着された点火栓１０の先端部が臨ませてあ
る。

シリンダ６のピストン摺動面には排気口１１、
掃気口１２及び吸気口１３が上から順に開口させ
てあり、排気口１１は排気路１４を通じてマフラ
１５に、掃気口１２は掃気路１６を通じてクラン
ク室１７内に、吸気口１３は吸気路１８を通じて
エアクリーナ１９にそれぞれ連通させてある。

これら各開口１１，１２，１３はピストン５の
上下動で開閉制御されるいわゆるピストンバルブ
形式の２サイクルエンジンに構成にある。

そして、掃気口１２よりもわずか下側のシリン
ダ６の内周面には、燃料ガス注入口２０が開口さ
せてあり、この燃料ガス注入口２０にガス供給源
２１、圧力調整器２２、流量制御弁２３、及びダ
イヤフラムポンプ２４を順に連結して構成したガ
ス燃料供給系統Ｇの燃料ガスが供給される。

ダイヤフラムポンプ２４は、圧力調整器２２の
ケーシング２２ａをポンプケーシングに利用した
もので、第３図に示すようになつている。

即ち、ケーシング本体２４ａを蓋板２５で蓋
し、ケーシング本体２４ａの内部空間をダイヤフ
ラム２６で区画してポンプ室２７とダイヤフラム
駆動室２８とを形成してある。

ポンプ室２７には吸入口２９と吐出口３０とが
明けてあり、吸入口２９は吸入管３１で流量制御
弁２３の出口に連通させてあり、吸入口２９のポ
ンプ室２７側には２個のリード弁３２を設けてあ
る。

吐出口３０は、吐出管３３を通じて燃料ガス注
入口２０に連通させてある。

そして、ダイヤフラム駆動室２８は圧力導入管
３４でクランクケース２のクランク室１７に連通
させてある。

また、ダイヤフラム２６はダイヤフラム駆動室
２８に内装したスプリング３５でポンプ室２７側
へ常時押圧付勢してある。

このように構成した２サイクルガスエンジンの
作用を次に説明する。

先ず、ピストン５が下死点から上死点へ上昇す
ると、燃料ガス注入口２０、掃気口１２及び排気
口１１が順にピストン５で閉塞しその後もさらに
ピストン５が上昇するとクランク室１７が負圧に
なる。クランク室１７が負圧になると、圧力導入
管３４でダイヤフラムポンプ２４のダイヤフラム
駆動室２８内も負圧になり、ダイヤフラム２６が
第３図の想像線図Ａの状態から実線図Ｂの状態に
まで下降する。

このとき、ポンプ室２７の吐出口３０と吐出管
３３を介して連通している燃料ガス注入口２０が
ピストン５で閉塞されていることから、ダイヤフ
ラム２６の下降でポンプ室２７が負圧になるとガ
ス供給源２１の燃料ガスを圧力調整器２２及び流
量調節弁２３を介してポンプ室２７の吸入口２９
に吸い込み、吸入口２９のリード弁３２を開いて
ポンプ室２７に吸い込む。

続いて、ピストン５の上昇で吸気口１３が開口
すると、クランク室１７の負圧で空気をエアクリ
ーナ１９及び空気量調節弁３６を介してクランク
室１７に吸入する。

この空気量調節弁３６と燃料ガスの流量調節弁
２３とは連動するようになつている。

次に、ピストン５が上死点から下死点に向けて
下降し、吸気口１３がピストン５で閉塞された後
のクランク室１７は吸入された空気が圧縮されて
加圧状態になる。

こうして、クランク室１７の空気圧が高くなる
と、ダイヤフラムポンプ２４のダイヤフラム駆動
室２８も高圧になり、スプリング３５の張力とと
もにダイヤフラム２６をポンプ室２７側へ押圧す
る。すると、吸入口２９のリード弁３２が閉じ、
ポンプ室２７に吸入された燃料ガスはクランク室
１７内の空気とともに圧縮されるようになる。

ピストン５が下降し、排気口１１が先ず開口す
ると燃焼室９の燃焼ガスは排気口１１からマフラ
１５に流入し、ここで消音された後大気へ放出さ
れる。

排気口１１に続いて掃気口１２が開口すると、
それまでクランク室１７内で圧縮されていた空気
が掃気路１６を通じて掃気口１２から燃焼室９に
流入し、残留する燃焼ガスを完全に掃気する。

この後、燃料ガス注入口２０が開口し、ダイヤ
フラムポンプ２４のポンプ室２７で圧縮されてい
た燃料ガスが燃料ガス注入口２０から空気の充満
する燃焼室９に注入されるので燃焼室９の掃気時
に燃料が直接吹き抜けるという２サイクルガスエ
ンジン特有の欠缺をなくせる。

図中符号３８は、クランク軸７の軸受装置から
エンジン騒音が漏出するのを防止する駆音防止装
置を示し、これは、クランク軸７のフライホイル
３９側軸端部を支持するベアリング４０の挿着口
４１に、環状の保形環４２の内面に多孔質材料か
らなる吸音材４３を貼着し、吸音材４３の内部に
ラビリンス４４を形成した吸音具４５を挿嵌し、
その外方からオイルシール４６を内装させたベア
リング４０の押え蓋４７をボルト４８で固着する
ようにしたものである。

尚、上記実施例では、掃気口１２と燃料ガス注
入口２０とを上下にずらして開口することにより
掃気と燃料ガス注入とのタイミングを調節するよ
うにしてあるが、これらを同一位置に開口させ、
燃料ガス注入口２０の口径を小さく絞り、燃料ガ
スを時間をかけて燃焼室９に注入するようにして
もよい。

また、圧力調整器２２とダイヤフラムポンプ２
４との間に設けた燃料ガスの流量調節弁２３を省
略してもよい。

本考案は、以上に述べたように構成され作用す
るので次の効果を奏する。

即ち、２サイクルガスエンジンのガス燃料供給
系統に介装したダイヤフラムポンプのダイヤフラ
ム駆動室をクランク室に、ポンプ室の吐出口を燃
焼室内のシリンダのピストン摺動面に開口する燃
料ガス注入口にそれぞれ連通して、ガス燃料供給
系統中の燃料ガスを燃焼室に注入するダイヤフラ
ムポンプをピストンの往復運動により生ずるクラ
ンク室内の圧力変動で調時運動させるとともに、
燃焼室内の燃料ガス注入口を調時開閉するピスト
ンをポンプ室の吐出口に設ける吐出弁に兼用する
ことにより、ポンプ室の吐出口の吐出弁を省略す
ることができたものである。このため、ダイヤフ
ラムポンプの構造を簡素化して安価に実施するこ
とができ、しかも、ポンプ室の吐出口の吐出弁を
設けない分ダイヤフラムポンプから吐出される燃
料ガスの流通抵抗が少なくなり吐出タイミングの
ズレを防止できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は２サイ
クルガスエンジンの縦断側面図、第２図は縦断正
面図、第３図は要部の縦断側面図である。 １……エンジン、１７……クランク室、２２…
…圧力調整器、２４……ダイヤフラムポンプ、２
７……ポンプ室、２８……ダイヤフラム駆動室、
２９……吸入口、３０……吐出口、３２……リー
ド弁、Ｇ……ガス燃料供給系統。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ２サイクルガスエンジンのガス燃料供給系統Ｇ
   に圧力調整器２２及びダイヤフラムポンプ２４を
   上流側から下流側に向けて順に介装し、ダイヤフ
   ラムポンプ２４のダイヤフラム駆動室２８をエン
   ジン１のクランク室１７に連通するとともに、ダ
   イヤフラムポンプ２４のポンプ室２７の吐出口３
   ０を燃焼室９内のシリンダ６のピストン摺動面に
   開口する燃料ガス注入口２０に連通し、ポンプ室
   ２７の吸入口２９にリード弁３２を吸入弁として
   設け、ポンプ室２７の吐出口３０は吐出弁を設け
   ないでポンプ室２７に常時連通させてある事を特
   徴とする２サイクルガスエンジンの燃料供給装
   置。