JPS6212834B2 - - Google Patents

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JPS6212834B2
JPS6212834B2 JP4021279A JP4021279A JPS6212834B2 JP S6212834 B2 JPS6212834 B2 JP S6212834B2 JP 4021279 A JP4021279 A JP 4021279A JP 4021279 A JP4021279 A JP 4021279A JP S6212834 B2 JPS6212834 B2 JP S6212834B2
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JP
Japan
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phosphor
zno
pigment particles
red pigment
display tube
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JP4021279A
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JPS55133478A (en
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Akyuki Kagami
Yoshuki Mimura
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Dai Nippon Toryo KK
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Dai Nippon Toryo KK
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は低速電子線励起用発光組成物およびこ
の発光組成物を螢光膜とする低速電子線励起螢光
表示管に関する。
周知のように、低速電子線励起螢光表示管(以
後「螢光表示管」と略称する)は片面に螢光膜を
有する陽極プレートと、前記螢光膜に対向した陰
極とを、その内部が真空である容器内に封入した
本質的構造を有し、陰極から放射される低速電子
線によつて陽極プレート上の螢光膜を励起して発
光せしめるものである。第1図および第2図は螢
光表示管の典型例の概略構成図であり、第1図は
二極管、第2図は三極管を示すものである。第1
図および第2図に示すようにアルミニウム板等か
らなる陽極プレート11の片面に螢光膜12が設
けられている。陽極プレート11はセラミツク基
板13によつて支持されている。陽極プレート1
1の片面に設けられた前記螢光膜12に対向して
陰極14が設けられ、この陰極14から放射され
る低速電子線によつて螢光膜12が励起されて発
光する。特に第2図の三極管においては陰極14
と螢光膜12との間隙に、陰極14より放射され
る低速電子線を制御あるいは拡散せしめるための
格子電極15が設けられている。なお第1図およ
び第2図に示された螢光表示管においては1本の
陰極14が使用されているが、螢光膜12が広面
積である場合等には陰極を2本以上設けてもよ
く、その本数に特に制限はない。片面に螢光膜1
2を有する前記陽極プレート11、セラミツク基
板13および陰極14(第1図)、あるいは片面
に螢光膜12を有する陽極プレート11、セラミ
ツク基板13、陰極14および格子電極15(第
2図)はガラス等の透明な容器16中に封入され
ており、その内部17は10-5〜10-9Torrの高真空
に保たれている。
従来、低速電子線励起によつて高輝度に発光す
る螢光体として亜鉛付活酸化亜鉛螢光体(ZnO:
Zn)が知られている。このZnO:Zn螢光体は加
速電圧が1KV以下、特に100V以下の低速電子線
にて励起した場合、510nm付近に発光スペクト
ルのピークを有する高輝度の緑白色発光を示し、
このZnO:Zn螢光体からなる螢光膜を有する上記
構造の螢光表示管は例えば卓上電子計算機、各種
計測器等の表示素子として工業的に広く利用され
ている。
ところでZnO:Zn螢光体の体色は白色であるた
め、ZnO:Zn螢光体を螢光膜とする螢光表示管に
おいては、文字、図形等を構成する各セグメント
の螢光膜面からの周囲光反射の影響により、周囲
光の強さによつては発光しているセグメントと発
光していないセグメントとの識別がはつきりしな
い。すなわち、ZnO:Zn螢光体を螢光膜とする螢
光表示管は、ZnO:Zn螢光体の体色が白色である
ということに起因して表示のコントラストが悪い
という欠点を有している。従つて、ZnO:Zn螢光
体を螢光膜とする螢光表示管を実用するにあたつ
ては、一般に、ZnO:Zn螢光体の発光スペクトル
のうちの一部の可視光をカツトすると共に、周囲
光の一部を吸収するフイルター(緑色系フイルタ
ー)が螢光表示管の前面に設置されて表示のコン
トラストが高められている。しかしながら、フイ
ルターを設置することは螢光表示管の付属部品が
増えることになるので好ましくなく、さらに各表
示セグメントの螢光膜がそれぞれZnO:Zn螢光体
も含む発光色が互に異なる複数種の螢光体からな
る螢光表示管、すなわち多色螢光表示管の場合に
は、螢光表示管の前面に設置されるフイルターは
ZnO:Zn螢光体を螢光膜とするセグメントの発光
に対してはコントラストを高めるのに有効であつ
ても、ZnO:Zn螢光体以外の螢光体を螢光膜とす
るセグメントからの光を著しく吸収するので好ま
しくない。従つて、螢光表示管の前面にフイルタ
ーを設置しなくとも良好な表示コントラストを示
すZnO:Zn螢光体を螢光膜とする螢光表示管が望
まれている。
本発明は上述のような現状に鑑みてなされたも
のであり、螢光表示管の螢光膜として使用した場
合に従来のZnO:Zn螢光体よりも良好な表示コン
トラストを示すZnO:Zn螢光体を提供することを
目的とするものである。
また本発明は従来のZnO:Zn螢光体を螢光膜と
する螢光表示管よりも良好な表示コントラストを
示し、表示素子として実用するにあたつてその前
面にコントラストを向上させるためのフイルター
を設置する必要のないZnO:Zn螢光体を螢光膜と
する螢光表示管を提供することを目的とするもの
である。
螢光表示管の螢光膜面でのコントラストCは C=B/E0K+1 (但しBは螢光膜面の発光強度、E0は周囲光の強
度、およびKは螢光膜面の反射率である) で表わされる。従つてZnO:Zn螢光体を螢光膜と
する螢光表示管の表示コントラストを向上させる
ためには、ZnO:Zn螢光体の発光強度をできるだ
け低下させないでその反射率を低下させることが
必要である。ZnO:Zn螢光体の反射率を低下させ
る手段として、ZnO:Zn螢光体に顔料粒子を混入
することによつてZnO:Zn螢光体を着色すること
が考えられるが、この場合ZnO:Zn螢光体の発光
強度をできるだけ低下させないでその反射率を低
下させるためには、ZnO:Zn螢光体の発光色と同
じ色である緑色の体色を有する顔料粒子を使用す
るのが好ましいと考えられる。実際に緑色顔料粒
子の使用は一般に好ましい結果を与え、本出願人
は先にZnO:Zn螢光体と特定の緑色顔料粒子とを
適当量混合してなり、螢光表示管の螢光膜として
使用した場合に従来のZnO:Zn螢光体よりも良好
な表示コントラストを示す発光組成物、および該
発光組成物を螢光膜とする螢光表示管を特許出願
した(特願昭53−128754号(特開昭55−56182号
公報参照)および特願昭53−128755号(特開昭55
−56183号公報参照)。青色顔料粒子、赤色顔料粒
子等の緑色以外の体色を有する顔料粒子について
考えると、これら緑色以外の体色を有する顔料粒
子はZnO:Zn螢光体の反射率を低下させるという
点では緑色顔料粒子と同じような効果が期待でき
るが、緑色顔料粒子よりもZnO:Zn螢光体の発光
の吸収が大きく、このために緑色顔料粒子よりも
ZnO:Zn螢光体の発光強度をより低下せしめるこ
ととなる。従つて緑色以外の体色を有する顔料粒
子を使用する場合には、一般に、緑色顔料粒子を
使用する場合に期待できるような表示コントラス
トの向上(上述のように特定の緑色顔料粒子を使
用した場合に表示コントラストを向上させること
が可能であつた)は期待できないものと予想され
る。
しかしながら、本発明者等の実験によれば、
ZnO:Zn螢光体に硫セレン化カドミウム赤色顔料
粒子を混合することによつて得られる発光組成物
においては、硫セレン化カドミウムが赤色の体色
を有しているにもかかわらずZnO:Zn螢光体の発
光強度の低下は著しく小さなものであり、さらに
驚くべきことに硫セレン化カドミウム赤色顔料粒
子混合量がある範囲にある場合には得られる発光
組成物の発光強度はZnO:Zn螢光体の発光強度よ
りも高くなることが判明した。そしてZnO:Zn螢
光体と硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子とを適
当量混合してなる発光組成物は、螢光表示管の螢
光膜として使用した場合にZnO:Zn螢光体よりも
良好な表示コントラストを示すことを見出し、本
発明を完成するに至つた。
本発明の低速電子線励起用発光組成物はZnO:
Zn螢光体と硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子
とを混合してなり、硫セレン化カドミウム赤色顔
料粒子の量がZnO:Zn螢光体の0重量パーセント
より多く20重量パーセント以下であることを特徴
とする。
また本発明の螢光表示管は片面に螢光膜を有す
る陽極プレートと、前記螢光膜に対向してある陰
極とを、その内部が真空である容器内に封入した
構造を有する螢光表示管において、前記螢光膜が
ZnO:Zn螢光体と硫セレン化カドミウム赤色顔料
粒子とを混合してなり、硫セレン化カドミウム赤
色顔料粒子の量がZnO:Zn螢光体の0重量パーセ
ントより多く20重量パーセント以下である発光組
成物よりなることを特徴とする。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の低速電子線励起用発光組成物に用いら
れるZnO:Zn螢光体は酸化亜鉛(ZnO)を還元性
雰囲気中で焼成するか、あるいはZnOに硫化亜鉛
(ZnS)等の亜鉛化合物を微量添加して空気中で
焼成する等の従来知られている製造方法によつて
得られたものである。
一方、本発明の低速電子線励起用発光組成物の
もう一方の構成成分である硫セレン化カドミウム
赤色顔料粒子としては、一般に市販されているも
のが使用される。第3図、曲線fは本発明の低速
電子線励起用発光組成物に用いられる硫セレン化
カドミウム赤色顔料粒子の反射スペクトルを例示
するものである。第3図において縦軸の反射率は
酸化マグネシウム拡散板の反射率を100%とした
相対値で示してある。本発明の発光組成物に用い
られる硫セレン化カドミウム赤色顔料は平均粒子
径が3μ以下のものが好ましい。より好ましい平
均粒子径は0.1μ乃至1.0μである。
本発明の発光組成物は上述のZnO:Zn螢光体と
硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子とを混合する
ことによつて得ることができる。両者の混合は乳
鉢、ボールミル、ミキサーミル等を用いて機械的
に行なつてもよいし、あるいは特別な方法によつ
てZnO:Zn螢光体に硫セレン化カドミウム赤色顔
料が付着するようにしてもよい。ZnO:Zn螢光体
表面に硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子を付着
させ、本発明の発光組成物を製造する方法として
は、静電塗布法による製造方法(特開昭52−
133088号)、懸濁重合法による製造方法(特開昭
52−133089号)、共重合法による製造法(特開昭
53−3980号)ゼラチンとアラビアゴムの混合物を
接着剤とする方法(特開昭53−5088号)、螢光体
懸濁液と顔料粒子を分散させたアクリル系、ポリ
スチレン系等のエマルジヨンとを混合する製造方
法などが推奨される。
本発明の低速電子線励起用発光組成物におい
て、ZnO:Zn螢光体に混合する硫セレン化カドミ
ウム赤色顔料粒子の量を増加させてゆくと顔料粒
子量がZnO:Zn螢光体のおよそ3重量パーセント
までは得られる発光組成物の発光強度は顔料粒子
を含まない場合(すなわちZnO:Zn螢光体)より
も高くなる。一方、得られる発光組成物の反射率
は顔料粒子量が増加するに従つて徐々に低下す
る。従つて硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子量
がZnO:Zn螢光体の0重量パーセントより多くお
よそ3重量パーセントより少ない発光組成物は
ZnO:Zn螢光体よりも高いコントラストを示すと
同時にZnO:Zn螢光体よりも高輝度の発光を示
す。顔料粒子量がおよそ3重量パーセントよりも
多くなると発光組成物の発光強度はZnO:Zn螢光
体の発光強度よりも低くなり、顔料粒子量が増加
するに従つて徐々に低下するが、顔料粒子量がお
よそ20重量パーセントまでは発光組成物は依然と
してZnO:Zn螢光体よりも高いコントラストを示
す。しかしながら顔料粒子量がおよそ20重量パー
セントよりも多くなると得られる発光組成物のコ
ントラストはZnO:Zn螢光体のコントラストより
も低くなり本発明の目的は達成されない。
上述のように本発明の目的が達成されるのは、
すなわちZnO:Zn螢光体よりも高いコントラスト
を示す発光組成物が得られるのは、硫セレン化カ
ドミウム赤色顔料粒子量がZnO:Zn螢光体の0重
量パーセントより多くおよそ20重量パーセント以
下の場合である。特に硫セレン化カドミウム赤色
顔料粒子量がZnO:Zn螢光体の0重量パーセント
より多くおよそ3重量パーセント以下である発光
組成物はZnO:Zn螢光体よりも著しく高いコント
ラストを示すと同時にZnO:Zn螢光体よりも高輝
度の発光を示すので好ましい。
第3図は本発明の発光組成物ZnO:Zn螢光体お
よび硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子の反射ス
ペクトルを示すものであり、曲線a,b,cおよ
びdは硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子含有量
がそれぞれ0.2、0.5、3.0および20重量パーセント
である本発明の発光組成物の反射スペクトル、曲
線eはZnO:Zn螢光体の反射スペクトル、曲線f
は硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子の反射スペ
クトルである。なお、先に述べたように縦軸の反
射率は酸化マグネシウム拡散板の反射率を100%
とした相対値で示してある。第3図から明らかな
ように、本発明の発光組成物に用いられる硫セレ
ン化カドミウム赤色顔料粒子は600nm以下の波
長域の光に対する反射率がきわめて低いので、こ
れを全可視波長領域にわたつて高い反射率を有す
る(すなわち体色が白色である)ZnO:Zn螢光体
と混合すると曲線a,b,cおよびdで示される
ように赤色以外の可視領域の光を吸収してZnO:
Zn螢光体表面における周囲光の反射を減少させ
る。一方硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子を混
合したことによるZnO:Zn螢光体の発光強度の低
下は全くないかあるいはその低下はわずかであ
り、このためにコントラストが向上する。
第4図は本発明の発光組成物の硫セレン化カド
ミウム赤色顔料粒子含有量と発光強度(曲線a)
および平均反射率(曲線b)との関係を示すグラ
フである。発光強度および平均反射率はいずれも
顔料粒子が混合されていないZnO:Zn螢光体の発
光強度および平均反射率を100%とした相対値で
示してある。なお、平均反射率とは反射スペクト
ルの400nm乃至700nmにおける積分値を、酸化
マグネシウムの反射スペクトルのそれに対する百
分率で示した値である。第4図から明らかなよう
に硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子含有量が増
加するに従つて、得られる発光組成物の平均反射
率は徐々に低下し、一方、発光強度は一担上昇
し、次いで徐々に低下する(およそ3重量パーセ
ントまではZnO:Zn螢光体よりも発光強度が高
い)。硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子含有量
がおよそ20重量パーセントまでは平均反射率の低
下率の方が発光強度の低下率よりも大きいが、お
よそ20重量パーセントを越えると発光強度の低下
率の方が平均反射率の低下率よりも大きくなり、
従つて硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子量が20
重量パーセントより多くなると得られる発光組成
物のコントラストは顔料粒子が混合されていない
ZnO:Zn螢光体のコントラストより低くなり、本
発明の目的は達成されない。すなわち、先に述べ
たように螢光表示管の螢光膜面でのコントラスト
Cは一般に C=B/E0K+1 (但し、Bは螢光膜面の発光強度、E0は周囲光の
強度、Kは螢光膜面の反射率) で表わされるので、顔料粒子が混合されていない
ZnO:Zn螢光体からなる螢光膜面および本発明の
発光組成物からなる螢光面が周囲光E0のもとで
発光している時、そのコントラストをそれぞれ
C0およびC、螢光膜面での発光強度をそれぞれ
B0およびB、螢光膜面での反射率をそれぞれK0
およびKとすると前記コントラストC0とCの差
は C0−C=1/E0・B0/K0{1−(B/B0)/
(K/K0)} となる。従つて本発明の発光組成物からなる螢光
膜面および顔料粒子が混合されていないZnO:Zn
螢光体からなる螢光膜面においてそれら両者の発
光強度の比(B/B0)と反射率の比(K/K0)と
の比、すなわち(B/B0)/(K/K0)の値が1
以上の時、周囲光の強度にかかわらずC0よりC
が大きくなることがわかる。このことは本発明の
発光組成物からなる螢光膜面と顔料粒子が混合さ
れていないZnO:Zn螢光体からなる螢光膜面を比
較した時、後者の発光強度に対する前者の発光強
度の相対値(B/B0)が後者の平均反射率に対す
る前者の平均反射率の相対値(K/K0)より大き
い時、前者、すなわち本発明の発光組成物からな
る螢光膜面の方が顔料粒子が混合されてない
ZnO:Zn螢光体からなる螢光膜面よりコントラス
トが高くなることを意味する。第4図から明らか
なように、硫セレン化カドミウム赤外顔料粒子含
有量が20重量パーセント以下の場合に発光強度の
相対値の方が平均反射率の相対値よりも大きく、
従つて硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子含有量
が0重量パーセントより多く、20重量パーセント
以下の範囲にある発光組成物は顔料粒子が混合さ
れていないZnO:Zn螢光体よりもコントラストの
高い螢光膜を与える。
本発明の発光組成物において、硫セレン化カド
ミウムが赤色の体色を有しているにもかかわらず
これをZnO:Zn螢光体に混合することによる
ZnO:Zn螢光体の発光強度の低下は著しく小さな
ものであり、特に硫セレン化カドミウム赤色顔料
粒子量がおよそ3重量パーセント以下の場合には
発光組成物の発光強度は該赤色顔料粒子が混合さ
れていないZnO:Zn螢光体よりもむしろ高くなる
という理由は、硫セレン化カドミウム赤色顔料粒
子が導電性であるため、これがZnO:Zn螢光体が
低速電子線で励起された時起こるチヤージアツプ
を防止する役目をし、このために低速電子線によ
るZnO:Zn螢光体の励起効率が高くなるためであ
ると考えられる。硫セレン化カドミウム赤色顔料
粒子によるZnO:Zn螢光体の発光の吸収がかなり
大きいことから考えると、硫セレン化カドミウム
赤色顔料粒子を混合したことによる励起効率の向
上は非常に大きなものであると思われる。特に硫
セレン化カドミウム赤色顔料粒子量がおよそ3重
量パーセント以下の場合には励起効率向上による
発光強度増加の方が吸収による発光強度減少より
も大きくなり、このために発光組成物の発光強度
は硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子が混合され
ていないZnO:Zn螢光体よりも高くなる。このよ
うに顔料粒子が混合されていないZnO:Zn螢光体
よりも顔料粒子が混合されたZnO:Zn螢光体の方
が発光強度が高くなるということは、通常では到
底考えられないことであり、実に驚くべき事実で
ある。
本発明の螢光表示管は以下に述べる方法によつ
て作製される。まず上述の発光組成物を沈降塗布
法等によつて通常セラミツク基板によつて支えら
れている陽極プレート上に塗布し螢光膜とする。
沈降塗布法によつて螢光膜を作成する場合には発
光組成物を水中に分散させた懸濁液中に陽極プレ
ートをおき、発光組成物の自重によつて発光組成
物を陽極プレートの片面上に沈降させて塗布し、
その後水を除去して塗膜を乾燥させる。この場合
得られる螢光膜の陽極プレートへの接着性を向上
させるために懸濁液に微量(0.01〜0.1%)の水
ガラスを添加してもよい。また塗布密度は2mg/
cm2〜30mg/cm2が適当である。なお螢光膜作成方法
は上述の沈降塗布法が一般的であり広く行なわれ
ているが、本発明の螢光表示管において螢光膜の
作成方法はこの沈降塗布法に限られるものではな
く、シルクスクリーン法等のその他の塗布方法で
螢光膜を作成してもよい。次に線状ヒーターを
BaO、SrO、CaO等の酸化物で被覆してなる陰極
を陽極プレート上の螢光膜に対向させて約1mm〜
5mm程度の間隔をおいて配置し、この一対の電極
をガラス等の透明な容器中に設置した後容器内の
排気を行なう。容器内が少なくとも10-5Torr以
上の真空度になつた後に排気を止めて封止を行な
う。封止後ゲツターを飛ばして容器内の真空度を
更に高める。このようにして本発明の螢光表示管
を得ることができる。
なお陽極プレート上の螢光膜は平板状であり、
陰極は線状であるので陰極より放射される低速電
子線を拡散させるために陰極と螢光膜との中間に
第2図の様に拡散電極として網目状の格子電極を
設置するのが望ましい。この場合螢光膜の発光量
の損失が少なくかつ低速電子線が良く拡散する様
に網目ができるだけ細い方が好結果を得ることが
できる。具体的には網目の径が500ミクロン以下
であり開口率(格子電極全面積に対する低速電子
線を透過する穴の面積)が50%以上であることが
望ましい。陽極プレートはその電極形態を必要と
される文字、図形の形に分割して、それぞれの電
極に必要とされる電圧が選択的に印加できる様に
しておけば任意の文字、図形を表示することがで
きる。また陽極プレートを点状あるいは線状に分
割し、その一部の電極上に本発明の発光組成物の
螢光膜を形成し、他の電極上に前記発光組成物と
は発光色が異なる低速電子線励起用螢光体よりな
る螢光膜を形成することによつて、多色表示が可
能な螢光表示管を得ることができる。
以上説明したように、本発明は螢光表示管の螢
光膜として使用した場合に従来のZnO:Zn螢光体
よりも良好な表示コントラストを示す低速電子線
励起用発光組成物、およびこの発光組成物を螢光
膜とする高コントラストの螢光表示管を提供する
ものである。また本発明は螢光表示管の螢光膜と
して使用した場合に従来のZnO:Zn螢光体よりも
良好な表示コントラストを示し、かつ従来の
ZnO:Zn螢光体よりも高輝度の発光を示す低速電
子線励起用発光組成物、およびこの発光組成物を
螢光膜とする高コントラストかつ高輝度の螢光表
示管を提供するものである。
本発明の螢光表示管を表示素子として使用する
にあたつてはZnO:Zn螢光体を螢光膜とする従来
の螢光表示管の場合のようにコントラストを向上
させるためのフイルターをその前面に設置しなく
とも充分なコントラストを得ることが可能であ
る。
なお本発明の螢光表示管の前面に緑色系フイル
ターを設置する場合には螢光表示管の螢光膜面で
反射される周囲光の赤色成分も取除かれるので更
に表示のコントラストを高めることができる。
次に実施例によつて本発明を説明する。
実施例 1 ZnO:Zn螢光体100gと平均粒子径がおよそ0.5
μの硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子(三菱金
属製#7300)0.2gを乳鉢を用いて充分に混合
し、顔料粒子含有量が0.2重量パーセントの低速
電子線励起用発光組成物を得た。
次に、上述のようにして得た発光組成物20gに
3重量%のニトロセルロースを含む酢酸ブチル溶
液20c.c.を加えて混練し、ペースト状になつた発光
組成物を150メツシユのナイロン製スクリーンを
用いてセラミツク基板によつて支持された陽極プ
レート上に塗布し、その後450℃で30分間熱処理
することにより上記ニトロセルロースを分解除去
し、螢光膜を形成した。次にタングステン線状ヒ
ーターを酸化物で被覆してなる陰極を陽極プレー
ト上の螢光膜に対向させておよそ5mmの間隔を置
いて配置し、この一対の電極を硬質ガラス容器中
に設置した後、容器内の排気を行なつた。容器内
の真空度が10-5Torr程度の真空度となつた後に
排気を止め封止を行ない次いでゲツターを飛ばし
て容器内の真空度を更に高めた。このようにして
第1図に示される構造の螢光表示管を得た。
得られた螢光表示管は同一条件で螢光膜を励起
した場合、顔料粒子が混合されていないZnO:Zn
螢光体を用いて上記と同様の方法で作製した従来
の螢光表示管の発光強度が200ft−Lの時、300ft
−Lの発光強度を示した。またこの時、この螢光
表示管のコントラストは周囲光強度が200ft−L
の場合、従来の螢光表示管の約1.3倍であり、螢
光表示管の前面にフイルターを設けなくても従来
の螢光表示管の前面にフイルターを配した場合と
同様にコントラストの良好な発光を示した。
実施例 2 ZnO:Zn螢光体100gと平均粒子径がおよそ0.5
μの硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子(三菱金
属製#7300)1g重量部をボールミルを用いて充
分に混合し、顔料粒子含有量1重量パーセントの
低速電子線励起用発光組成物を得た。
次に上述のようにして得た発光組成物20gを用
いて実施例1と同様の方法で第1図に示される構
造の螢光表示管を作製した。
得られた螢光表示管は同一条件で螢光膜を励起
した場合、顔料粒子が混合されていないZnO:Zn
螢光体を用いて上記と同様の方法で作製した従来
の螢光表示管の発光強度が200ft−Lの時、244ft
−Lの発光強度を示した。またこの時、この螢光
表示管のコントラストは周囲光強度が200ft−L
の場合、従来の螢光表示管の約1.25倍であり、螢
光表示管の前面にフイルターを設けなくても従来
の螢光表示管の前面にフイルターを配した場合と
同様にコントラストの良好な発光を示した。
実施例 3 ZnO:Zn螢光体50gを300mlのビーカーに入
れ、純水100mlを加えて15分間マグネツトスター
ラーで撹拌し、ZnO:Zn螢光体の水分散懸濁液を
調製した。得られた螢光体の水分散懸濁液中に平
均粒子径がおよそ0.5μの硫セレン化カドミウム
赤色顔料粒子(三菱金属製#7300)2.5gを加え
て30分間マグネツトスターラーで撹拌してZnO:
Zn螢光体と前記顔料粒子の均一な分散懸濁液と
した。次にアクリル系エマルジヨン(日本カーバ
イド製ニカゾールRX−242、固形分60%)0.17ml
を10倍に希釈して前記螢光体一顔料粒子均一分散
懸濁液中に加え、15分間撹拌した。放置後、上澄
み液をデカンテーシヨンにて取除き、沈澱物を
100℃で3時間乾燥後300メツシユの櫛にかけた。
このようにして顔料粒子付着量が5重量パーセン
トの低速電子線励起用発光組成物を得た。
次に得られた顔料付螢光体を用いて実施例1と
同様にして第1図に示される構造の螢光表示管を
作製した。得られた螢光表示管は同一条件で螢光
膜を励起した場合、顔料粒子が付着していない
ZnO:Zn螢光体を用いて上述と同様の方法で作製
した従来の螢光表示管の発光強度が200ft−Lの
時、170ft−Lの発光強度を示した。またこの
時、この螢光表示管のコントラストは周囲光強度
が200ft−Lの場合、従来の螢光表示管の約1.15
倍であり、螢光表示管の前面にフイルターを設け
なくても従来の螢光表示管の前面にフイルターを
配した場合と同様にコントラストの良好な発光を
示した。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は螢光表示管の典型例の概
略図であり、第1図は二極管、第2図は三極管で
ある。第3図は本発明の発光組成物ZnO:Zn螢光
体および本発明の発光組成物に用いられる硫セレ
ン化カドミウム赤色顔料粒子の反射スペクトルを
示すグラフである。第4図は本発明の発光組成物
における硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子含有
量と相対発光強度および相対平均反射率との関係
を示すグラフである。 11……陽極プレート、12……螢光膜、13
……セラミツク基板、14……陰極、15……格
子電極、16……容器、17……高真空に保たれ
た表示管内部。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 亜鉛付活酸化亜鉛螢光体と硫セレン化カドミ
    ウム赤色顔料粒子とを混合してなり、前記硫セレ
    ン化カドミウム赤色顔料粒子の量が前記亜鉛付活
    酸化亜鉛螢光体の0重量パーセントより多く20重
    量パーセント以下であることを特徴とする発光組
    成物。 2 前記硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子の量
    が前記亜鉛付活酸化亜鉛螢光体の0重量パーセン
    トより多く3重量パーセント以下であることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の発光組成
    物。 3 前記硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子が前
    記亜鉛付活酸化亜鉛螢光体の表面に付着している
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項または第
    2項記載の発光組成物。 4 片面に螢光膜を有する陽極プレートと、前記
    螢光膜に対向してある陰極とを、その内部が真空
    である容器内に封入した構造を有する低速電子線
    励起螢光表示管において、前記螢光膜が、亜鉛付
    活酸化亜鉛螢光体と硫セレン化カドミウム赤色顔
    料粒子とを混合してなり、前記硫セレン化カドミ
    ウム赤色顔料粒子の量が前記亜鉛付活酸化亜鉛螢
    光体の0重量パーセントより多く20重量パーセン
    ト以下である発光組成物よりなることを特徴とす
    る低速電子線励起螢光表示管。 5 前記硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子の量
    が前記亜鉛付活酸化亜鉛螢光体の0重量パーセン
    トより多く3重量パーセント以下であることを特
    徴とする特許請求の範囲第4項記載の低速電子線
    励起螢光表示管。 6 前記硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子が前
    記亜鉛付活酸化亜鉛螢光体の表面に付着している
    ことを特徴とする特許請求の範囲第4項または第
    5項記載の低速電子線励起螢光表示管。
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