JPS6147777B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は糸切換装置を備えた編機およびジヤガ
ード編機において糸を積極的に供給する糸送り装
置に関するものである。

通常、編機に用いられているテープ式積極型糸
送り装置のものは複数のフイードホイールにわた
つて走行するエンドレステープが設けられそのテ
ープは通常動作時糸と共に駆動される。その糸は
テープの駆動につれて積極的に送り出されるよう
にテープとホイールとの間に挾まれて位置させる
よう適当なガイド手段によつて供給される。しか
し要求に従つて複数の異なつた糸を選択的に送る
ことが要求される糸切換装置を備えた編機又は編
組織によつて変化する糸量を送ることが要求され
るジヤガード編機ではその変化する要求に追随出
来なく使用不可能であつた。

又前記エンドレステープにより駆動されるホイ
ールと重なり合つた関係で複数のフイードホイー
ルを同軸一体的に備え、そのフイードホイールに
は糸を送るＶ溝が形成されてあつて丸編機の糸切
換装置により選択された糸の張力はその選択され
た糸を前記Ｖ溝に接触する糸の接触角度を自動的
に変化させて積極的に送り又は停止されるように
なつている糸送り装置のものが提案されているが
この装置はＶ溝の形状に高精度なものを必要とさ
れこのため加工が非常に困難であることと更に糸
番手の適用範囲がＶ溝の形状によつて著しく制限
されるため汎用性がなく、その上糸との接触によ
りＶ溝が摩減し易く高価なホイールの交換は不経
済である等の欠点があつた。

又、特開昭56−96941号（アメリカS.N102453
号）の装置のものはフイードホイールの表面には
摩擦力の大なる位置と、摩擦力の小なる位置とを
相対的に有し編機の糸切換装置により選択された
給糸状態にある糸の張力は選択された糸を摩擦力
の大なる送り位置に移動させ、これに対し、編機
の糸切換装置により選択されない糸を編機に送ら
ないように摩擦力の小なる非送り位置に自動的に
移動させる構成を備えた糸送り装置が提案されて
いるが摩擦力の小なる位置から摩擦力の大なる位
置に移動する瞬時には、糸の張力が異状に高くな
りこのため糸切れが生じることと、又糸切換装置
により選択されないにもかかわらず糸の撚方向
（Ｓ撚又はＺ撚）によつて摩擦力の大なる位置か
ら摩擦力の小なる位置への移動がスムーズに行な
われなく、その上使用する糸の種類によつて特に
ポリエステル糸，ナイロン糸等のフイラメント糸
に対しては糸そのものが摩擦面に密着するという
性向を有しているため糸が摩擦面から離れにくく
このためホイールに巻く等の欠点があつた。又、
他方装置の一つ一つに取り付けられたモータによ
つてドラムを駆動させ、そのドラムに糸を適当数
巻き付けることにより常に一定量の糸を貯えてお
き編機の要求の従つて常に一定の弱い張力で供給
するストレツヂ式給糸装置のものは編機による糸
の変化する要求に追随出来るものであるが装置自
体非常に複雑かつ調整に熟練者を要し、しかも高
価なものであり従つて編機の分野において余り受
け入れられていないのが現状である。

本発明は上述した問題を解決するに当り、これ
まで既に提案された来た挾い巾のエンドレステー
プと関連して駆動される駆動ホイールを備えその
軸線方向に複数段重なつた関係で同速的に回転可
能なフイードホイールが装着されており、これら
各フイードホイール表面には摩擦力の比較的大な
る摩擦面を有している。その各フイードホイール
に隣接して糸入口側と糸出口側には導入孔と導出
孔を持つた移動可能な固定ガイドと、前記ホイー
ル表面に対し非送り位置と送り位置との間に動く
ことが出来る糸ガイドを持つた可動ガイドとを有
しこの可動ガイドを選択的に移動可能なように設
けられている。これら両者の糸ガイドの相対的位
置により特定の糸に対する編機の要求の有無によ
り自動的に応答してその糸と関連してホイール表
面の糸の接触角度を増して送り位置、又は糸の接
触角度を減じて非送り位置にそれぞれ位置させる
ようになつている。前記非送り位置と送り位置と
の間に動くことが出来る可動ガイドはある制限さ
れた角度範囲内で自由に円弧運動できるようにフ
レームに取り付けられている。その可動ガイドの
位置は円弧運動の中心点から離れた位置において
可動ガイドに取り付けられた弾力装置と送り位置
を通過した糸の張力の有る無しとして両者の力の
影響のもとに自動的に決定される。

以下に述べる本発明の一実施態様において弾力
装置は可動ガイドの円弧運動の中心点に関しその
軸線上に有するクランク軸の一方に取り付けられ
ており、他方にはホイールまで延びる細長い腕を
有しその遊端には糸ガイド孔が設けられている。
この発明の好ましい実施例においては編機によつ
て特定の糸が要求された時に、その糸の張力によ
つて糸ガイド孔の位置が調整されるように弾力装
置を強くしたり弱くしたり調整出来るようになつ
ている。その調整は特定の糸が要求されない時に
弾力装置によつて可動ガイドの位置を非送り位置
に回転させるようにされる。

更に本発明によればホイールの表面の非送り位
置から送り位置に糸を移動させる瞬間に発生する
糸の異状張力を防ぐために常に糸をホイール表面
に一定の接触角度をもつて接触させていること
と、又、糸を送り位置から非送り位置に位置させ
る場合には糸にもたらせられている糸の張力が緩
むのに追随して弾力装置の力により可動ガイドの
孔をホイール表面に沿つて移動させ糸を剥離する
ようになつていることである。

要するに本発明の特徴とするところはフイード
ホイールの表面に大なる摩擦力を形成し、そのホ
イールに隣接して糸入口側と出口側には移動可能
な固定ガイドと、ホイールの表面に沿つて糸の張
力と弾力装置の力の配分の差に応じて動かされる
円弧運動が可能な可動ガイドとの相対的位置によ
り、特定の糸に対する編機の要求に自動的に応答
してその糸を接触角度の増す送り位置に移動さ
せ、これに対し糸停止時（糸切換装置により給糸
停止）には糸を接触角度の減じる非送り位置とな
るように移動させる構成を備えることにより、従
来のテープ式積極型糸送り装置の利点を採用した
まま糸切換装置を備えた編機およびジヤガード編
機に適用でき、しかも構造および操作が簡単かつ
廉価で信頼性の高い糸送り装置を実現しているこ
とである。

上記本発明の糸送り装置のもう一つの特徴はホ
イール表面がその垂直面からフランジ部までゴム
リングにより覆われていることである。

本発明の更にもう一つの特徴はホイールの表面
が多角形を有しない真円であると共に糸との接触
時において最大の接触長さが得られるようにホイ
ール表面に覆われたゴムリングの表面が凹凸のな
い平面に形成されていることである。

本発明の更にもう一つの特徴はホイール表面の
静電機の停留により糸を密着させた状態で非送り
位置にある糸を送らないようにホイールとゴムリ
ングに導電性を施したものが使用されていること
である。

以下本発明の実施態様を特に丸編機に附設され
た装置について添付図面に基ずき説明する。

第１図ないし第４図に示した丸編機に積極的に
糸を送る装置はホイール１を有し支持リング２上
にネジ３によつて取り付けられている。ホイール
１は丸編機の半径方向に延びる支持腕４をネジ５
によつて固定している。支持腕４にはブロツク６
をネジ７によつて取り付けている。そのブロツク
６の直下には垂直方向に移動可能になるそれぞれ
２個の導入孔８と導出孔９を持つた通常フリツパ
ーと称されている糸ガイド装置１０が装備されて
おり、フレーム１１と共にボルト１２によつて取
り付けられている。この糸ガイド装置１０の先端
には中空軸１３が設けられ中空軸１３に挿入され
たボルト１４によつて糸ガイド装置１０と共にナ
ツト１５で固定されている。これら中空軸１３に
は１個のホイール１６と同軸一体的に設けられた
導電性の２個のフイードホイール１７，１８が回
転可能に装着されている。尚エンドレステープ１
９が前記駆動ホイール１６の周りにおよび同様の
関連装置に対応するホイールの周りに延在してテ
ープ１９を丸編機の動作に同期して駆動されるよ
うな装置のものは既に公知のものである。この駆
動ホイール１６と同速的に回転するフイードホイ
ール１７，１８の表面には、そのホイール垂直面
を越えてフランジ部の折返し部２２，２２まで延
びてある静電気の停留を防止した例えばゴムリン
グ等により覆われた摩擦力の比較的大なる摩擦面
２０，２１を有している。この折返し部２２，２
２は糸停止時、糸の撚り方向によつて摩擦面２
０，２１から外れるのを防ぐために有効である。
これらホイール１７，１８に離接して糸入口側お
よび糸出口側には糸を送り位置に案内するための
導入孔２３，２４を持つ固定ガイド２５と、導出
孔２６，２７を持つ固定ガイド２８とが対持させ
て設けられている。この固定ガイド２５，２８は
第７図に示すように固定ガイド２５，２８の間に
弾性ワツシヤー２９が挿入され、カバー３０に固
着されたピン３１を支点として回動可能に支持さ
れておりそしてピン３１の軸端を押え板３２で固
着することにより軸方向の動きが阻止されてい
る。これら固定ガイド２５，２８には支点の半径
方向に突部３３，３４を対称位置に有し、突部３
３が押え板３２のノツチ３５に又突部３４がバー
３０のノツチ３６にそれぞれ係止され固定ガイド
２５，２８を移動させたとき図面では３段階の位
置決めが調整できるようになつている。この操作
は丸編機の調整段階において必要とするもので例
えば第３図に示すように固定ガイド２５，２８の
みに糸を通し固定ガイド２５，２８のそれぞれを
二点鎖線で示した位置に移動させることにより丸
編機に糸を供給することが出来る。

尚前記カバー３０に形成された突出部３７，３
８は固定ガイド２５，２８のそれぞれの動きをあ
る角度範囲内に制限するものであり、そしてカバ
ー３０はネジ３９によつてフレーム１１に取り付
けられている。他方可動ガイド４０は第５図、第
６図に示すようにクランク軸４１，４２が軸受部
４３，４４に、又可動ガイド４５はクランク軸４
６，４７が軸受部４８，４９に支持されている。
そしてカバー５０には凸部５１，５２，５３，５
４，を有し前記軸受部４３，４４，４８，４９の
前部に形成された凹溝５５，５６，５７，５８に
嵌められネジ５９によつてフレーム１１に取り付
けられている。前記クランク軸４１，４２の中央
部に有するクランク軸６０にはコネクテイングプ
レート６１を、又クランク軸４６，４７の中央部
に有するクランク軸６２にはコネクテイングプレ
ート６３をそれぞれ介してバネ６４，６５が取り
付けられている。このバネ６４，６５の他端はス
ライドプレート６６によつて支持されておりバネ
の力をボルト６７で調整出来るようになつてい
る。前記クランク軸４１，４２の反対方向にはホ
イール１７の表面レベルまで延びる長腕６８を、
又クランク軸４６，４７の反対方向にはホイール
１８の表面レベルまで延びる長腕６９をそれぞれ
有し、その遊端には糸ガイド孔７０，７１が設け
られている。これら可動ガイド４０，４５はフレ
ーム１１の切欠部７２，７３とガバー５０に形成
されている切欠部７４，７５とによつて導かれ且
つその動きが制限されている。

次に上述した装置の作動を説明する。

第８図にフイードホイール１７と同レベルにあ
る糸ガイドの相対的な動きが示されており、説明
の便宜上フイードホイール１８についてほぼ同じ
動きをするものであるから説明を省略する。

第８図に示すように１本の糸又はそれ以上の糸
７６は固定ガイド２５の導入孔２３を貫通してホ
イール１７の表面に接触し、そして可動ガイド４
５の孔７１を経て固定ガイド２８の導出孔２６を
通り丸編機に供給される。例えば丸編機による特
定の糸が要求された時その糸７６に生ずる張力は
バネ６５の力に打勝つて実線で示した可動ガイド
４５の孔７１をホイール表面に沿つて二点鎖線で
示した位置に回転させすなわち糸の接触角度を増
す送り位置に糸を移動させて丸編機に積極的に送
られる。前記特定の糸７６の要求が止まるとその
結果糸にもたらされている張力が緩み、バネ６５
の力によりホイールの表面に沿つて二点鎖線で示
した可動ガイドの孔７１を実線で示した元の位置
に戻しすなわち糸の接触角度を減じる非送り位置
に移動させて糸を送らないようにする。尚使用す
る糸の種類によつて糸の接触角度を短かくする必
要がある場合にはバネ６４，６５の力を調整しな
くても第９図に示すように矢方向に固定ガイド２
５を移動させて糸の接触角度を短かくすることに
より特にフイラメント糸等に対して良好なる糸送
り効果が得られる。

以上詳記したようにホイール表面に摩擦力の比
較的大なる摩擦面を有しそのホイールに隣接して
移動可能な固定ガイドと、ホイール表面に沿つて
円弧運動する可動ガイドとの相対的位置により、
従来のテープ式積極型糸送り装置で得られなかつ
た特定の糸に対する編機の要求に自動的に応答で
き、更に従来のＶ溝を有するフイードホイールの
ものに比し糸番手に制限を受けることなく汎用性
があり、その上ストレツヂ式給糸装置よりも構造
および操作が簡単かつ安価でしかも信頼性の高い
糸送り装置が得られる効果をもたらすものであ
る。

【図面の簡単な説明】

附図は本発明の一実施例を示したものであり、
第１図は本装置の斜視図、第２図は本装置の一部
断面示した側面図、第３図は本装置の平面図、第
４図は本装置の正面図、第５図は第２図における
一部分の拡大図、第６図および第７図は夫々第５
図に示す部分の部分分解斜視図、第８図および第
９図は本装置の作動説明図である。 １…ホルダー、２…支持リング、４…支持腕、
１６…駆動ホイール、１７，１８…フイードホイ
ール、１９…エンドレステープ、２０，２１…摩
擦面、２２…折返し部、２３，２４…導入孔、２
５…固定ガイド、２６，２７…導出孔、２８…固
定ガイド、４０，４５…可動ガイド、６０，６２
…クランク軸、６４，６５…バネ、７０，７１…
糸ガイド孔。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ エンドレステープにより駆動されるホイール
   と重なり合つた関係で少くも１個のフイードホイ
   ールを同軸一体的に備え、該各フイードホイール
   の表面には摩擦力の比較的大なる摩擦面を有し、
   その各フイードホイールに隣接して糸入口側と糸
   出口側には導入孔と導出孔を持つた移動可能な固
   定ガイドと、ホイール表面に沿つて円弧運動する
   可動ガイドとをそれぞれ相対的位置に設け、この
   可動ガイドにはホイールの表面に沿つて糸接触角
   度を減じる非送り位置に可動ガイドを移動させる
   ための弾力装置が調整可能に取り付けられ、その
   糸ガイド手段は前記固定ガイドと関連して前記可
   動ガイドの孔をホイール表面に沿つて糸接触角度
   を増す送り位置に移動させるためには前記弾力装
   置の力とは反対方向に前記可動ガイドを円弧運動
   するように編機の糸切換装置により予め選択され
   た給糸状態にある糸の張力と、前記弾力装置の力
   との配分の差に応じて動き、前記糸切換装置によ
   り選択された給糸状態にある糸の張力が選択され
   た糸をその送り位置となるように自動的に移動さ
   せ、これに対し前記糸切換装置により選択されな
   い非給糸状態にある場合には前記弾力装置が選択
   されない糸を編機に送らないようにその送り位置
   に対して前とは異なる非送り位置となるように自
   動的に移動させる構成を備えることを特徴とする
   編機における積極型の糸送り装置。 ２ 前記ホイールの表面がその垂直面からフラン
   ジ部までゴムリングにより覆われていることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項記載の編機におけ
   る積極型の糸送り装置。 ３ 前記ホイールの表面が真円であると共にホイ
   ールの表面に被覆したゴムリングの表面が糸との
   接触時において最大の接触長さが得られるように
   凹凸のない平面が形成されていることを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項又は第２項記載の編機に
   おける積極型の糸送り装置。 ４ 糸送り手段が静電気の停留を防止する導電性
   のホイールとゴムリングによりなることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項ないし第３項の何れか
   記載の編機における積極型の糸送り装置。