JPS6140988Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、歯車変速機機構のリバースミスシ
フト防止機構に関し、特に、後退段と１つの前進
段（通常、第５速前進段又は第１速前進段）のシ
フト方向が同一直線上にあり、ミツシヨンケース
に組付けたケースカバーに回動及び軸方向へ移動
可能に組付けられたシフトレバーシヤフト上のス
ライデイングレバーがシフトレバーのシフト操作
により回動されかつシフトレバーのセレクト操作
により軸方向へ移動されるように構成されるシフ
ト機構に適用可能な歯車変速機のリバースミスシ
フト防止機構に関する。

シフト機構に用いられる回動およびその軸線方
向の移動をなすリバースレストリクトピンは、た
とえば、前進段から後退段へミスシフト操作され
ようとする時、或いは、中立シフトさら後退段へ
セレクトおよびシフト操作されようとする時、潤
滑油の異物等によりリバースレストリクトピンが
ロツク状態となり原位置に復帰しない危険があ
る。

この考案は、このような危険を解消させるため
に、シフト機構に用いられるリバースレストリク
トピンおよびスライデイングレバーを改良するこ
とを意図したもので、基本的には、スライデイン
グレバーの一端の突起部にその軸線方向に離間す
る突片および該突起部と突片との間に延在する肩
とを形成し、さらに、リバースレストリクトピン
にロツク解除片を設ける技術手段を用いる。この
ような技術手段の採用により、リバースレストリ
クトピンのロツクの際、シフトレバーのセレクト
操作により突片とロツク解除片とを係合させてリ
バースレストリクトピンをその軸方向に移動さ
せ、且つシフトレバーのシフト操作により肩とロ
ツク解除片とを係合させリバースレストリクトピ
ンを回動させる作用を作り、リバースレストリク
トピンのロツク状態を解除させる作用を得、そし
て、構成部品を新たに追加することなく、又、特
別なシフトレバー操作を必要とすることなく、簡
単な装置で確実に前記ロツクを解除させる効果を
呈する。

以下に、本考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。

第１図及び第２図はシフトパターンを第３図の
ようにした前進５速・後退１速の歯車変速機のリ
モートコントロール式シフト機構を部分的に示し
ていて、このシフト機構においては、ミツシヨン
ケース１０に組付けたケースカバー１１にシフト
レバーシヤフト１２が回動及び軸方向へ移動可能
に組付けられている。シフトレバーシヤフト１２
は、図示しないシフトレバーのシフト操作により
回動されかつシフトレバーのセレクト操作により
軸方向へ移動されるものであり、その外周にはス
ライデイングレバー１３が一体的に組付けられ、
またスプリングシート１４が係脱可能に係合して
いる。スライデイングレバー１３はミツシヨンケ
ース１０内に延びて三個のシフトヘツド１５，１
６，１７と選択的に係合するレバー１３ａを一体
的に有している。スプリングシート１４は、下端
をケースカバー１１に係止してなるスプリング１
８により上方へ付勢されていて、図示位置にてシ
フトレバーシヤフト１２の段部１２ａとケースカ
バー１１のボス部１１ａ及び段部１１ｂに係合し
てシフトレバーシヤフト１２を図示位置（第３図
のＮ位置に対応する）に位置決している。なお、
上記したシフトヘツド１５は１−２速用のシフト
ヘツドであり、シフトヘツド１６は３−４速用の
シフトヘツドであり、シフトヘツド１７は５速−
リバース用のシフトヘツドである。

スライデイングレバー１３には、突起２１とは
離間してリバースレストリクトピン２２方向に延
在する突片２５を設け、さらに、該突片２５と突
起２１との間にスライデイングレバー１３の軸線
方向に延在する肩２６を形成する。

又、リバースレストリクトピン２２には、常時
は、突片２５および肩２６とは離間するが、必要
に応じて、これらに接触可能なロツク解除片２７
が設けられる。

しかして、この実施例においては、第２図にて
示したように、ケースカバー１１内に、第５速前
進段にあるシフトレバーが第３図に示した中間位
置ｍを越えて直接後退段へシフトされるのを阻止
するミスシフト防止装置２０が設けられている。
ミスシフト防止装置２０は、スライデイングレバ
ー１３に一体的に形成した突起部２１と、ケース
カバー１１のボス部１１ａに組付けたリバースレ
ストリクトピン２２及びコイルスプリング２３
と、ケースカバー１１のボス部１１ａに打込まれ
てリバースレストリクトピン２２を図示元位置に
位置決するスロツテツドピン２４からなる。突起
部２１は第３図Ｎ位置においてリバースレストリ
クトピン２２に対して第２図及び第４図に示した
位置関係にある。リバースレストリクトピン２２
は、ケースカバー１１のボス部１１ａに設けた取
付孔１１ｃ内に回動及び軸方向へ摺動可能に組付
けられていて、その先端は突起部２１に対向して
いる。またリバースレストリクトピン２２は、そ
の先端に第２図及び第４図に示した切欠２２ａを
有し、かつその中央部に第２図及び第５図に示し
た溝２２ｂを有していて、切欠２２ａは突起部２
１との係合時突起部２１の移動を規制する。コイ
ルスプリング２３は、一端をケースカバー１１の
ボス部１１ａに係止し他端をリバースレストリク
トピン２２の先端に係止して組付けられており、
リバースレストリクトピン２２を第２図図示矢印
の軸方向へ付勢するとともに、第５図図示矢印の
回転方向へ付勢している。スロツテツドピン２４
は、リバースレストリクトピン２２の溝２２ｂを
挿通していて、リバースレストリクトピン２２と
の係合によりリバースレストリクトピン２２の第
５図図示時計方向への回動を規制し、かつリバー
スレストリクトピン２２の軸方向への移動を所要
量、すなわち第２図に示した量Ｓ許容する。この
量Ｓは、第３図のＮ位置にあるシフトレバーが中
間位置ｍにセレクト操作されたとき、突起部２１
との当接によりリバースレストリクトピン２２が
押込まれる量よりわずかに大きくしてある。

このように構成したこの実施例において、シフ
トレバーを第３図のシフトパターンにおいて第１
速前進段〜第４速前進段に操作するときには、ス
ライデイングレバー１３に形成した突起部２１と
リバースレストリクトピン２２は全く触れないた
め、ミスシフト防止装置２０は何ら作用せず、シ
フトレバーの操作は自由になし得る。

ところで、シフトレバーを第３図のＮ位置から
５−Ｒの中間位置ｍへセレクト操作すると、（第
６図参照）シフトレバーシヤフト１２及びスライ
デイングレバー１３がスプリング１８の作用に抗
して第２図図示下方へ押動されて、突起部２１が
リバースレストリクトピン２２の先端に当接しリ
バースレストリクトピン２２が第２図の仮想線の
ごとく押込まれる。この状態にてシフトレバーを
第５速前進段へシフト操作すると（第７図参
照）、突起部２１がリバースレストリクトピン２
２の先端から外れ、リバースレストリクトピン２
２がコイルスプリング２３の作用により元位置に
復帰する。かかる後、シフトレバーを第５速前進
段から後退段へシフト操作しようとすると、中間
位置ｍに至る以前において突起部２１が元位置に
あるリバースレストリクトピン２２の切欠２２ａ
と片当りし、リバースレストリクトピン２２が反
時計方向へ回動する。かくして、シフトレバーが
中間位置ｍをわずかに越えると、第８図のごとく
突起部２１が切欠２２ａと一致係合してリバース
レストリクトピン２２が回動されなくなり、突起
部２１が移動を規制されてシフトレバーの後退段
へのミスシフトが阻止される。

上記のシフトレバーを後退段へシフトしたい場
合には、シフトレバーを中間位置ｍからＮ位置に
向けて操作し、かかる後シフトレバーを中間位置
ｍ−後退段へと操作すれば、中間位置ｍからＮ位
置に向かう移動時に突起部２１と切欠２２ａの係
合が外れてリバースレストリクトピン２２がコイ
ルスプリング２３の作用により元位置に復帰し、
また中間位置ｍに向かう移動時に突起部２１がリ
バースレストリクトピン２２の先端に当接してリ
バースレストリクトピン２２が押込まれ（第６図
参照）、更に後退段に向う移動時に突起部２１が
リバースレストリクトピン２２の先端に当接した
まま摺動して、第９図にて示したように後退段へ
シフトされる。

ところで、前述した機構において、潤滑油等の
異物によりロツク状態にリバースレストリクトピ
ン２２がなると、たとえば、第３図のｍ点からＮ
点方向へシフトレバーをセレクト操作した際、ス
ライデイングレバー１３の軸方向の移動に伴いそ
の突片２５がロツク解除片２７と接し、リバース
レストリクトピン２２を上方に持上げ元位置へ復
帰させる。さらに、１速或いは３速にシフトレバ
ーをシフト操作すると、ロツク解除片２７と肩２
６とが接触し（第１０図参照）、リバースレスト
リクトピン２２を回動させ、これを元位置に完全
に復帰させる。かくして、リバースレストリクト
ピン２２のロツク状態が解除され、その本来の機
能を回復する。

この実施例から明らかなように、リバースレス
トリクトピンにロツク解除片およびスライデイン
グレバーに突片および肩を形成するのみの簡単な
加工で、リバースレストリクトピンのロツクを容
易に解除できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す部分縦断面
図、第２図は第１図の−線に沿う縦断面図、
第３図は第１図及び第２図に示した実施例のシフ
トパターン図、第４図は第２図の矢視方向から
みた部分平面図、第５図は第２図の−線に沿
う横断面図、第６図は第３図のＮ点からｍ点にセ
レクト操作された時のスライデイングレバーとリ
バースレストリクトピンの関係を示す部分平面
図、第７図は第３図のｍ点から５速にシフト操作
された際のスライデイングレバーとリバースレス
トリクトピンとの関係を示す部分平面図、第８図
は第３図の５速からｍ点へシフト操作された際の
スライデイングレバーとリバースレストリクトピ
ンとの関係を示す部分平面図、第９図は第３図の
ｍ点からＲ点にシフト操作された際のスライデイ
ングレバーとリバースレストリクトピンの関係を
示す部分平面図、および第１０図は１速或いは３
速にシフトする際のロツク解除の状態を示す部分
平面図である。 図中：１０……ミツシヨンケース、１１……ケ
ースカバー、１１ａ……ボス部、１２……シフト
レバーシヤフト、１３……スライデイングレバ
ー、２０……ミスシフト防止装置、２１……突起
部、２２……リバースレストリクトピン、２２ａ
……切欠、２２ｂ……溝、２３……コイルスプリ
ング、２４……スロツテツドピン（位置決ピ
ン）、２５……突片、２６……肩、２７……ロツ
ク解除片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 後退段と１つの前進段のシフト方向が同一直線
   上にあり、ミツシヨンケースに組付けたケースカ
   バーに回動及び軸方向へ移動可能に組付けられた
   シフトレバーシヤフト上のスライデイングレバー
   がシフトレバーのシフト操作により回動されかつ
   シフトレバーのセレクト操作により軸方向へ移動
   されるようにしてなる歯車変速機のシフト機構に
   おいて、前記スライデイングレバーの一端に突起
   部、該突起部より前記スライデイングレバーの軸
   線方向に離間した突片および前記突起部と前記突
   片との間に延在する肩とを一体に形成し、前記突
   起部に対向する前記ケースカバーのボス部に、前
   記突起部との係合により前記突起部の移動を規制
   する切欠を先端に有しかつ中央部に溝を有してコ
   イルスプリングにより前記突起部に向けて軸方向
   へ付勢されるとともに回転方向へ付勢され且つ前
   記スライデイングレバー方向に延在するロツク解
   除片を有するリバースレストリクトピンを、回動
   及び軸方向へ移動可能に組付け、このリバースレ
   ストリクトピンの前記溝に対応する前記ケースカ
   バーのボス部に、前記溝に挿通されて前記リバー
   スレストリクトピンとの係合により前記リバース
   レストリクトピンの元位置を規定する位置決ピン
   を打込んで、前記前進段にある前記シフトレバー
   が前記前進段と後退段間の中間位置を越えて直接
   前記後退段へシフトされるとき、前記スライデイ
   ングレバーの切欠部が前記リバースレストリクト
   ピンの切欠と係合して移動を規制され、前記シフ
   トレバーの前記後退段へのミスシフトが阻止され
   るようにし、前記リバースレストリクトピンのロ
   ツクの際、前記シフトレバーのセレクト操作によ
   り前記突片と前記ロツク解除片とを係合させて前
   記リバースレストリクトピンをその軸方向に移動
   させ、且つ前記シフトレバーのシフト操作により
   前記肩と前記ロツク解除片とを係合させ前記リバ
   ースレストリクトピンを回動させることを特徴と
   する歯車変速機のリバースミスシフト防止機構。