JPS6132172B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、自動車のシート装置に関するもの
である。

従来の自動車のシート装置には、前部シートと
後部シートとがあり、前部シートのシートバツク
を後方に、後部シートのシートバツクに前方にそ
れぞれ倒し、前部シートのシートクツシヨン及び
シートバツクと後部シートのシートバツクとによ
つてベツドを形成できるようにしたものがある
（例えば、実開昭53−77521号公報参照）。

しかしながらこのような従来のシート装置で
は、前部シートのシートバツク上端にヘツドレス
トが一体に又はその上下位置を調節できるように
取付けられているため、このヘツドレストがベツ
ドを形成する際に後部シートのシートバツクと干
渉し、その結果ベツドが凹凸になつて寝心地が悪
かつたり、あるいはヘツドレストを取外せる場合
でもそれを取外す必要があり、ベツドを作るため
の操作が煩雑になるという欠点があつた。

また、前部シートのヘツドレストと後部シート
のシートクツシヨンとの干渉を防止してベツドを
作るため、前部シートがその本来の機能上座る人
の体格に応じて前後位置を調節できるようになつ
ていることを利用し、この前部シートをさらに前
方に移動できるようにし、前部シートを最前端に
移動し、前部シートのシートバツクを後倒し、前
部シートのシートクツシヨン、後倒したシートバ
ツク及び後部シートのシートクツシヨンでベツド
を作るようにしたものがある。

しかしながらこのようなシート装置では、別途
長尺のシートスライダを必要とし、この長尺のシ
ートスライダは量産品とはならないのでコスト高
になるという欠点があり、またベツドを形成した
ときに前部シートのシートバツクと後部シートの
シートクツシヨンとの間にヘツドレストの高さほ
どの大きな〓間ができてやはり寝心地が悪いとい
う欠点があつた。

この発明は以上のような従来のものの欠点を除
去するためになされたもので、後部シートのシー
トバツクの下端に前部シートのヘツドレストとは
まり合う凹部を形成し、後部シートのシートバツ
クをその起立状態からその下端を前側にしてシー
トクツシヨン上に移動載置できるようにすること
により、簡単な操作によつて寝心地のよいベツド
を形成できるようにした自動車のシート装置を提
供することを目的としている。

以下、本発明の一実施例を図について説明す
る。

第１図ないし第６図は本発明の一実施例による
自動車のシート装置を示す。図において、１はシ
ート装置で、該シート装置１は前部シート２と後
部シート３とによつて構成されている。そして前
部シート２は短幅のドライバーシート２ａとサブ
シート２ｂとからなり、該各シート２ａ，２ｂは
それぞれシートクツシヨン４の後端にヒンジ５に
よつてシートバツク６を傾動自在に取付けて構成
されており、該シートバツク６の上端にはヘツド
レスト７が一体に形成されている。またドライバ
ーシート２ａ及びサブシート２ｂのシートクツシ
ヨン４の下側にはシートスライダを有する前後位
置調節装置（図示せず）が設けられており、両シ
ート２ａ，２ｂは座る人の体格に応じてその前後
位置を調節できるようになつている。

また上記後部シート３は、長幅のシートクツシ
ヨン８とシートバツク９とからなり、上記シート
クツシヨン８は車体後部の左右のタイヤハウス１
０及びサスタワー１１の間に配設され、又シート
バツク９の下端には上記ドライバーシート２ａ及
びサブシート２ｂのヘツドレスト７とはまり合う
２つの凹部１２が形成されている。そしてシート
バツク９の左、右両側面９ａのほぼ中央にはピン
１３によつて第３図に示すような形状のリンク１
４の一端が回動自在に取付られ、該リンク１４の
他端の長孔１４ａにはタイヤハウス１０に固定さ
れたピン１５が挿入されており、上記ピン１３，
１５とリンク１４とによりシートバツク９をその
起立状態からその下端の凹部１２を前後にしてシ
ートクツシヨン８上に移動載置させる移動機構２
０を構成しており、こうしてシートバツク９は移
動機構２０によつてタイヤハウス１０に連結され
ている。

さらにシートバツク９の左、右両側には分離シ
ート１６がタイヤハウス１０上に固着して設けら
れ、シートバツク９はロツク機構１７によつて分
離シート１６にロツクされている。またシートバ
ツク９の背面９ｂ上端にはビニールシート１８の
前端が固着され、該ビニールシート１８の後端は
車室後部の荷台１９の前端に固着されている。

次に本実施例のシート装置の操作方法について
説明する。

このシート装置１を座席として使用する場合に
は、ドライバーシート２ａ、サブシート２ｂ及び
後部シート３のシートバツク６，９は第１図に示
すようにそれぞれ起立した状態にすればよい。

そしてこのような状態のシート装置１を操作し
てベツドを形成する場合、まずドライバーシート
２ａ及びサブシート２ｂのシートバツク６を後倒
させ、このシートバツク６の上端のヘツドレスト
７を後部シート３のシートクツシヨン８の前端上
に載置する。次にロツク機構１７のロツクを解除
し、後部シート３のシートバツク９をリンク１４
の長孔１４ａとタイヤハンス１０のピン１５とが
長孔１４ａの下端で当たるまで上方に持ち上げ
る。そしてこのシートバツク９をその凹部１２が
前側になるようにピン１３の回りに第１図及び第
２図の矢印Ａ方向に回動させるとともに、リンク
１４をタイヤハウス１０のピン１５の回りに第１
図及び第２図の矢印Ｂ方向に回動させて、シート
バツク９をその前面９ｃを上方に向けてシートク
ツシヨン８上に載置し、シートバツク９の凹部１
２とドライバーシート２ａ及びサブシート２ｂの
ヘツドレスト７とがはまり合うようにする。この
ようにすればドライバーシート２ａ及びサブシー
ト２ｂのシートクツシヨン４と後倒したシートバ
ツク６と後部シート３のシートバツク９とによつ
て第５図に示すようなベツドを形成することがで
きる。

このようにフラツト化したシート装置１を元の
状態に戻す場合は、上記と逆の操作を行なえばよ
い。即ち、後部シート３のシートバツク９をピン
１３の回りにＡ方向と逆方向に、リンク１４をピ
ン１５の回りにＢ方向と逆方向に回動してシート
バツク９を起立させた後、このシートバツク９を
下方に移動してシートクツシヨン８後方に位置さ
せ、ロツク機構１７によつてシートバツク９を分
離シート１６にロツクする。また前方のドライバ
ーシート２ａ及びサブシート２ｂについてはその
シートバツク６を起立させればよい。

またこのシート装置１では、後部シート３のシ
ートバツク９は第６図に示すようにその背面９ｂ
を上方に向けてシートクツシヨン８上に倒すこと
によつて従来と同様、荷台面積を拡張することも
でき、しかもシートバツク９と荷台１９との間に
ビニールシート１８を設けているので、荷物がシ
ートバツク９と荷台１９との間に落ちることはな
い。

以上のような本実施例のシート装置では、シー
トバツク９の下端に凹部１２が形成し、この凹部
１２とヘツドレスト７とがはまり合うようにして
ベツドを形成するようにしているので、簡単な操
作によつて平担なベツドを形成でき、しかもこの
際両シートバツク６，９の間に大きな〓間ができ
ることはなく、これは非常に快適なベツドとな
る。またシートバツク６，９を倒すだけで平担な
ベツドを形成できるようにしているので、従来の
ように別途長尺のシートスライダを設ける必要が
なく、したがつてコスト高になることもない。又
本シート装置１は狭い車室内にも設けることがで
きる。

ところで平担なベツドを形成するためには、後
部シートのシートバツクの上端に凹部を形成し、
この凹部とヘツドレストとがはまり合うようにし
てもよいが、このようにシートバツク上端に凹部
を形成すると、後部シートを座席として使用する
場合に乗員の頭部が不安定となつて乗り心地が悪
く、衝突時には大きな衝撃を受けるおそれがある
のみならず、シートバツク上端が凹凸形状とな
り、美観を損う。しかるに本装置ではシートバツ
ク９の下端に凹部１２を形成しており、後部シー
ト３を座席として使用する際にはシートバツク９
の上端は従来のものと同様平らになつているの
で、乗員の頭部は安定して乗り心地がよく、安全
性が損なわれることもなく、また美観も損われな
い。

さらに従来のシート装置では、ベツドを形成す
る場合も荷台面積を拡張する場合も後部シートの
シートバツクをその背面を上方に向けて前方に倒
すようにしていたので、荷台として用いたあとベ
ツドとして用いると衣服が汚れることがあつた
が、本装置ではベツドを形成する場合にはシート
バツク９の前面９ｃを、又荷台面積を拡張する場
合にはシートバツク９の背面９ｂをそれぞれ上方
に向けるようにしているので、上記のように衣服
が汚れることもない。

なお上記実施例では後部シートの長幅を一体型
シートとしたが、これは２つの短幅のシートであ
つてもよいのである。また上記実施例では前部シ
ートのシートバツクとヘツドレストとを一体に形
成したが、これは別体であつてもよい。

さらに、シートバツク９の下端に形成した凹部
１２は、前部シート２のヘツドレスト７が嵌合す
る深さであればよく、したがつてこの凹部１２は
後部シート３のシートバツク９が起立状態にある
ときには、シートクツシヨン８の後部に位置し、
前方よりわずかに見えるだけであるから、後部シ
ート３の美観が損われることはほとんどない。

以上のように本発明にかかる自動車のシート装
置によれば、後部のシートのシートバツクの下端
に凹部を形成し、このシートバツクをその下端を
前側にしてシートクツシヨン上に倒し、前部シー
トのヘツドレストとシートバツクの凹部とが相互
にはまり合うようにしたので、簡単な操作によつ
て平坦で快適なベツドを形成できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例による自動車のシー
ト装置の概略図、第２図は上記装置の後部シート
の側面図、第３図は上記装置におけるリンクの正
面図、第４図は第２図の正面図、第５図ａ及びｂ
は上記装置のベツドを形成した状態の側面図及び
平面図、第６図は上記装置において荷台面積を拡
張した状態の一部側面図である。 １……シート装置、２……前部シート、３……
後部シート、４……シートクツシヨン、５……シ
ートバツク、７……ヘツドレスト、８……シート
クツシヨン、９……シートバツク、１２……凹
部、２０……移動機構。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シートクツシヨンと該シートクツシヨンに傾
   動自在に取付けられたシートバツクと該シートバ
   ツク上端に設けられたヘツドレストとからなる前
   部シートと、シートクツシヨンとシートバツクと
   からなる後部シートとを備え、この後部シートの
   シートバツクの側部には、上端部が該シートバツ
   クに対して回動自在のリンクを設けるとともに、
   該リンクの下端部には車体に設けられたピンが嵌
   合する長孔を形成して、起立状態の該シートバツ
   クの下端を前側にして該シートバツクを後部シー
   トのシートクツシヨン上に移動載置可能とし、こ
   のシートバツクの下端には、該シートバツクがシ
   ートクツシヨン上に移動載置されたとき後傾され
   た前部シートのシートバツク上端のヘツドレスト
   と嵌り合う凹部が形成されていることを特徴とす
   る自動車のシート装置。