JPS6129039Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、電気炉蓋の電極孔から噴出する炎等
をシールするための電気炉蓋の電極孔シール装置
に関するものである。

電気炉の蓋には炭素棒を挿入するための電極孔
が形成されている。しかし、電極孔に挿入された
電極棒と電極孔との間には電極棒を摺動させるた
めの隙間があるため、電気炉内の炎や粉塵等がこ
の隙間を通つて電気炉蓋の上方へ噴出し、電極を
溶損させ十分な寿命を保つことができなかつた。
また作業安全上にも問題があつた。斯る問題を解
決するため、従来は第１図に示すような位置にシ
ール環１を設置している。

すなわち、耐火レンガ等で作られた電気炉蓋２
には電極孔２ａが形成され、シール環１は電極蓋
２の上面２ｂに電極孔２ａを囲繞するようにして
配される。そして、このシール環１内に圧送され
たアルゴンガスやチツ素ガス等の不活性ガスをシ
ール環１内側に形成された流体噴出口（図示せ
ず。）から噴出させ、この不活性ガスによつて炭
素棒３と電極孔２ａとの間に存する隙間４をシー
ルする。なお、第１図中、５，５は電気炉本体
（図示せず。）を冷却するための水冷ボツクスを示
す。

しかしながら、上述した従来の電極孔シール装
置では、シール環が電極孔２ａの直上に位置する
ため、シール環１から噴出するガスによつてはシ
ールできなかつた炎や粉塵等が隙間４から噴出
し、シール環１を溶損したり、シール環１の流体
噴出口（図示せず。）を詰らせたりするという欠
点を生じていた。

本考案の目的は、シール環の溶損や目詰りを防
止できると共に、その寿命も延長し得る電気炉蓋
の電極孔シール装置を提供することにある。

本考案の電気炉蓋の電極孔シール装置は電気炉
蓋の電極孔の中途部に電極挿入口側を大径とした
環状の段差部を形成し、この段差部の大径側に電
極孔を囲繞するシール環を埋設すると共に、この
シール環の内側に複数の流体噴出口を形成して構
成される。シール環の埋設は耐火レンガを粉末に
して溶解し、電気炉蓋を一体成形する際に行われ
る。

斯る構成を有する本考案の電極孔シール装置に
よれば、シール環が電極孔内の段差部の大径側に
埋設されているから、たとえ電極孔内を炎や粉塵
が噴き上げてきても上記段差部によつて炎や粉塵
が直接シール環に接することは防止できる。ま
た、シール環内には不活性ガスが圧送されるか
ら、この不活性ガスによつて電気炉蓋のシール環
埋設部付近は冷却され、寿命の長い電極孔シール
装置を提供することができる。

なお、シール環に形成された流体噴出口は電極
孔内から噴き上がる炎や粉塵を効果的にシールす
るため、水平方向下方へ向つて10度ないし30度程
度傾斜させることが望ましい。

以下、本考案の電気炉蓋の電極孔シール装置に
係る一実施例を第２図ないし第５図に基づいて説
明する。

電気炉蓋６は粉末化して溶解した耐火レンガに
よつて一体成形され、この成形時に電極孔６ａと
段差部６ｂが形成されると共に、シール環７が埋
設される。８，８は電気炉本体（図示せず。）を
冷却するための冷却ボツクスを示す。

シール環７は管材を曲成して接合位置７ａで接
合することによりループ状に形成され、その外側
には流体導入管７ｂと、シール環７の埋設特にシ
ール環７を回転不能に係止する突変７ｃ，７ｃ，
…とが突設されている。また、シール環７の内側
には複数の流体噴出口７ｄ，７ｄ，…が並設さ
れ、これらの流体噴出口７ｄ，７ｄ，…はそれぞ
れ水平方向に対して下方へ角度θだけ傾斜して開
口する。角度θは10度ないし30度程度であること
が望ましい。そしてシール環７は、第３図に示す
ように、電極孔６ａの段差部６ｂに関してその大
径部６a′側に埋設される。このとき、少なくとも
流体噴出口７ｄ，７ｄ，…のみは電極孔６ａ内に
開口しなければならない。

以下、作用を説明する。

電極孔６ａ内に炭素棒３が挿入され、流体導入
管７ｂからシール環７内に不活性ガスが圧送され
ると、不活性ガスはシール環７の流体噴出口７
ｄ，７ｄ…からＡ方向へそれぞれ噴射される。す
ると、噴射された不活性ガスによつて炭素棒３と
電極孔６ａとの間の隙間９はシールされる。そし
て、隙間９がシールされているにも拘らず電気炉
内の炎や粉塵等が隙間９から噴出した場合には、
段差部６ｂによつて炎や粉塵等は大径部６a′まで
案内される。したがつて、シール環７は直接、炎
と接しないからその溶損は生じず、また流体噴出
口７ｄ，７ｄ，…が粉塵等によつて目詰りを生じ
ることもない。また、シール環７内を流れる不活
性ガスによつてシール環７の埋設部付近は常時冷
却される。

以上説明したように、本考案の電気炉蓋の電極
孔シール装置によれば、たとえ電気炉内の炎や粉
塵等が電極孔内を噴き上げてもシール環の溶損や
流体噴出口の目詰りは生じないと共に、シール環
内を流れる不活性ガスによつて電気炉蓋のシール
埋設部付近は冷却されるから、寿命の長い電極孔
シール装置を提供することができるという効果が
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の電極孔シール装置の断面図、第
２図は本考案の電極孔シール装置の断面図、第３
図は第２図の部分の拡大断面図、第４図はシー
ル環の平面図、第５図は第４図の−線に沿う
断面図である。 ６……電気炉蓋、６ａ……電極孔、６a′……大
径部、６ｂ……段差部、７……シール環、７ｄ…
…流体噴出口、９……隙間。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 電気炉蓋の電極孔の中途部に電極挿入口側を
   大径とした環状の段差部を形成し、該段差部の
   大径側に前記電極孔を囲繞するシール環を埋設
   すると共に、該シール環の内側に流体噴出口を
   形成したことを特徴とする電気炉蓋の電極孔シ
   ール装置。 (2) 前記流体噴出口の開口方向を水平方向から下
   方へ10度ないし30度傾斜させてなる実用新案登
   録請求の範囲第１項に記載の電気炉蓋の電極孔
   シール装置。