JPH0235007B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、溶融金属浴にガスを導入するため
の、そして特に溶鋼中に撹拌用のガスを導入する
ための透過性素子に関する。現在、溶鋼の仕上げ
または精製の過程で溶鋼中に撹拌用ガスを導入す
るためにノズルあるいは転炉の底に耐火性ライニ
ングを煉瓦組みするのに用いられる煉瓦とほぼ同
じ形を有する矩形断面の煉瓦が用いられている。
これらの透過性煉瓦は薄い金属シート性の函体内
に型込めされあるいは包み込まれた透過性素子に
よつて形成され、函体の基部において函体に溶接
された管を通して撹拌ガスが吹き出される。

しかしながら、この型式の透過性素子は次のよ
うな欠点をもつている。

(a) 薄い金属シート上に行なわれた管の溶接部は
比較的脆く、耐火性ライニングを構成する転炉
の煉瓦組みがこの転炉外被のシート加工分の底
部シートに関し相対的に転置されることによ
り、ガス供給管と薄いシート間の結合が破れる
結果となり、薄いシートに割れまたは開孔部を
生じそれを通して撹拌ガスが逃げることにな
る。さらにその洩れたガスは転炉の煉瓦組みの
底部に広がりその中に過圧部をつくり耐火性ラ
イニングを押し上げ破壊事故を起すことにな
る。

(b) これまで述べてきた型式の透過素子は通常転
炉の煉瓦組みの中に組み込まれており、ライニ
ングの煉瓦を函体を構成する薄いシートと密接
状態で保持するようにその煉瓦はこれら素子の
まわりに非常に強固に組み付けられている。転
炉の操業過程の中で熱的機械的応力の影響によ
り、底部煉瓦が互に相対的に転置されるという
ことが起り得、その結果函体したがつて内蔵し
ている煉瓦の形をした透過性素子の函体を構成
している薄いシートがゆるむことになる。この
ように函体のシートと透過性素子との間にでき
る割れは溶融金属の滲透という危険な始まりと
なるものである。

(c) 透過性素子の底部にかかる圧力は函体を構成
する薄い金属壁をゆがませる傾向をもち、函体
はその中に収納している透過性耐火物素子から
離れることになる。前記したような煉瓦組みが
転置する場合は特にそうである。撹拌ガスの吹
き込みの際、ガスは函体に沿い形成された溝を
通り、溶融浴への道を見出して移動する。この
溝の幅が過大になると、次いで函体の金属シー
トとその内部に収納されている透過性素子との
間に開かれたこの通路を通り溶融金属の滲透が
生じることになる。これらの滲透は危険であ
る。なぜならば、滲透が透過性素子の下部に達
しそれを破壊し得るし、またガス供給管に入
り、さらに転炉の外部、撹拌用ガス供給パイプ
にまで達し得るからである。

(d) 透過性素子は正確には転炉の耐火ライニング
の煉瓦と同形であるが、この透過性素子のセツ
トバツク（すなわち円錐状勾配）は比較的小さ
い。透過性素子の底部域に行きわたつて作用す
る撹拌用ガスの圧力は函体から透過性素子を転
置させそれを転炉底面のレベルの上に徐々に押
し上げるような突き出し作用をなすものであ
る。このためその摩耗はかなりに促進される。
この破壊機構は非常に危険である。なぜなら
ば、煉瓦が完全に摩耗したとき転炉の底部を通
つて溶鋼が滲透する結果となり得るからであ
る。

本発明の目的は、これらの欠点をなくすことで
あり、またこのような透過性素子を収納している
容器から透過性素子が離れるという危険がないよ
うな溶融金属にガスを導入するための透過性素子
を提出することである。

従つて本発明は、溶融金属浴にガスを導入する
ための透過性素子を提供するものであつて、上部
が開放され、内部にガスを透過し得る耐火物素子
を配置し、そしてその底部が前記ガスの導入管に
繋つているところの函体よりなり、前記素子は上
部が開放され、函体内に配置され、そして内部に
第１の耐火物結合剤で保持された耐火物素子を配
置した外被を有し、該外被の底部が函体の底部を
通して伸びるガス導入管に繋つた孔を有してお
り、かつ該外被が第２の耐火物結合剤によつて函
体内に固定されていることを特徴とするものであ
る。

外被は好ましくは実質的に円錐台形をなした回
転体であり、その最小径は上部開放部の位置にあ
り、またその側面は内方に突き出している保持手
段を有しており、さらに函体の底部に面して凸形
をなした冠状底面を有している。

保持手段は１つまたはそれ以上の円周溝によつ
てもよいし、また側面に圧印その他の手段で形成
された１群の突起によつて構成してもよい。

本発明を、実施態様を示す付属図面により、さ
らに詳細に以下に説明する。

第１図に示された本発明の透過性素子は通常、
パラレルピペデイツク（各面が平行四辺形である
六面体）で上部が開放されており、平らな底面を
有した函体１からなり、この函体は薄い金属シー
トからできている。この函体１の底部はそれを通
して伸び、かつ函体の底面に密封式に溶接されて
いるガス供給用の管２を有している。

ガスの圧力に抗するように設計された強固な外
被３は函体１の内部に配置される。この外被は実
質的に円錐台形状をなす本体４と函体の底部に面
して凸状の冠状底面５からなり、本体上部は開放
され円錐台形状本体の最小径はその開口部に相当
している。冠状底面は溶接により管２に密封式に
接合されている孔６を有している。

円錐台形状本体４はその側面に沿い外被３の内
方に突き出している２つの円周溝７を有してい
る。

変形として、円周溝７を突起７ａで置き換えて
もよい。また適当な溝７と突起７ａの組合せを用
いることもできる。

透過性耐火物素子８は透過性素子の全域に撹拌
用ガスを分散させるのに適合する外被３の中の粒
状耐火物物質９の床上におかれる。それらは第２
図にさらに明瞭に示されている。

透過性素子８は第１の耐火物結合剤１０の中に
はめ込まれるが、耐火物結合剤はこれら透過性物
質と外被３の間に前記粒状物質９の床上に位置す
る環状空間に振動を与えられながら注入されるも
のである。

耐火物素子１０は透過性素子８を構成する耐火
物物質に適合し後者の耐火物物質の粗くかつ／ま
たはざらざらしている壁に固く接着する。

この方法において、一方では外被３の円錐台形
状により、そして他方ではこの外被３との関係の
耐火物物質１０の転置を防ぐよう上部開口部に平
行な面上に位置して設けられた円周溝および／ま
たは外被の内側に形成された突起によつて外被３
内部の透過性素子の組立体が転置する危険は減少
する。外被３はガスの圧力に耐えるだけの十分な
厚さをもつた金属シートからつくられ、その冠状
底面はさらにガスの圧力に対する抵抗性を増すの
に役立つている。

耐火性ライニング１０内に埋め込まれた透過性
素子８を内部においている外被３からなる組立体
は函体１の中に配置され、外被３と函体１との間
の空いている空間内に第２の耐火性結合剤１１を
詰め込まれることにより函体と強固に接着されて
いる。この方法で外被３とその中に収納されてい
る素子および函体１との間で強固で単一の組立体
が得られる。

この函体１は、通常転炉の函体に用いられてい
る煉瓦組みの形に適合しているところの実質的に
パラレルピペデイツクまたは角錐台形状をなして
いる。

第２の耐火物１１はたとえば第１の耐火物結合
剤１１および転炉の底部を覆う耐火ライニングの
煉瓦を形成する耐火物物質の双方とも適合する耐
火物固結剤である。

この方法で配列された本発明のガスを導入する
ための透過性素子の構造は次の利点をもつてい
る。

管２と外被３との間の接合が不完全でも転炉の
底部の損傷障害を起こすことがない。何故ならば
ガスはその割れ道によつて逃げて開放されたとし
ても函体１を構成する金属容器内に閉じ込められ
たままであつて耐火物物質１１を通り転炉に含ま
れている溶融金属浴にゆつくり拡散して行くこと
ができるのみだからである。これらのガスは転炉
の底部の煉瓦によつて構成されている耐火物塊の
内部には入り得ない。

管２の通路によつて導入されたガスの圧力は、
たとえばそのガスが撹拌用ガスであつても、高い
値に達しても損傷を起さない。

何故ならばこのガスはこうした高い圧力に耐え
られるように計算された外被３の中に完全に含ま
れているからである。撹拌用ガスが透過性素子８
やそれらを囲んでいる耐火物結合剤を押し出した
り転置させたりすることはできない。何故ならば
それらの構成分は互に強固に接着しており、溝７
および／または突起７ａによつて、そしてこの外
被の円錐台形状によつて外被３に固く繋ぎ止めら
れているからである。

さらに、この構造は転炉の底部の煉瓦組みの中
に配置されなければならない透過性素子８および
函体１の双方のために最も好ましい幾何学的な形
状および断面を利用し得るのである。

実施例として、透過性素子は小さいプレートの
形にされた多孔性の焼結粒子耐火物混合物からつ
くられる。これらのプレートは次に組み立てられ
外被３の中に垂直に配置される。

第３図にその１つが詳細に示されているがプレ
ートは特にパラレルピペデイツクまたは好ましく
は台形を基に角柱形状であつて、それらの最も大
きい寸法の方向に垂直に配列され、従つてプレー
トの主面１３の大きい基面１２が粒状耐火物物質
９の床上に支えられるようになる。

プレート８の側面１４の上に突き出し部１５の
形のアンカー手段を設けることもできる。

撹拌ガスによるプレート８の押し出しが防止さ
れるように、プレートの主面が梯形形状でこれら
側面は耐火物結合剤１０中へのプレートの確実な
喰い込みに寄与している。

隣り合うプレートにより構成される耐火物塊中
に微小通路１６を形成することもできる。該通路
は実質的に垂直でガスの流れを容易にし、そして
透過性素子を通るガスの透過性および速度を増加
させる。

これら微小通路を形成するため、たとえば以后
隣接関係となるプレートの主面１３の片面または
両面に縦に溝付けすることができ、それによりプ
レートが重ねられたとき該溝はこれら縦の微小通
路を構成し透過性素子にすぐれた透過性を付与
し、大量のガスを通すことができるようになる。

このようにして、たとえば約８mm厚さ、650〜
750mm長さおよび150〜250mm幅のプレートをつく
ることができる。２つの並置されるプレート間の
間隔が0.5mm以上となることがないように、プレ
ートの表面すなわち主面の片面または両面に形成
される溝は１mmのせいぜい十分の幾つでせいぜい
0.3mmという深さを有する。この微小通路の寸法
制限により、プレートの積層によつて形成される
透過性素子の透過性を段々に損ねる結果を斉らす
ような金属滲透という危険が避けられる。

透過性素子８を構成する耐火物物質は転炉環境
によつて加熱され、撹拌用ガスが十分な量で供給
されたとき急激に冷却されるという場合の熱衝撃
に耐えるように選ばれる。この物質はそこを通つ
て移動するガスの作用に耐えなければならない。
それらのガスはたとえば窒素やアルゴンのような
中性のもの、一酸化炭素や水素のような還元性の
もの、二酸化炭素またはこれらガスとの共存混合
物のような炭化性のものである。これらの物質は
撹拌操作時に接触する酸化した溶融金属や酸化鉄
を伴つて装入される塩基性スラグの腐食作用にも
耐えなければならない。

これらの物質は特にはマグネシウムであるが、
それらは撹拌用ガスとして用いられ得るCO₂によ
る炭化作用には耐えることができない。もし撹拌
用ガスとして純ガスとしてでも混合ガスとしてで
もCO₂が用いられる場合には窒化珪素を結合剤と
したアルミニウムまたは酸化クロームを結合剤と
する酸化ジルコニウムが推奨される。

透過性素子８が埋め込まれている第１の耐火物
結合剤は、勿論透過性素子と適合したものでなけ
ればならず、この目的のために通常用いられる物
質である。

第２の耐火物結合剤物質もまた第１の耐火物結
合剤とも、そして転炉の底部の煉瓦組みを構成す
る塩基性耐火物物質とも適合するものとして選ば
れる耐火物固結剤のような通常的な物質である。

確かに、溶融金属と接触すれば、函体１を構成
する金属容器と外被３は少くともその高さまで溶
融し除去される。そして転炉の底部の煉瓦組みを
構成する塩基性耐火物物質が第１の耐火物結合剤
１０と接触している第２の耐火物結合剤１１と接
触することになるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の透過性素子の透視図、第２
図は第１図の断面図、第３図は第１図の透過性素
子の透視図を示したものである。 １……函体、３……外被、５……冠状底面、７
……溝、７ａ……突起、８……透過性耐火物素
子、１０……第１の耐火物物質、１１……第２の
耐火物物質。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 溶融金属浴にガスを導入するための透過性素
   子であつて、上部が開放され、内部にガスを透過
   し得る耐火物素子が配置され前記ガスのための導
   入管を繋がれた底面を有する函体よりなり、前記
   透過性素子は上部が開放され、函体内に配置され
   かつ内部に第１の耐火物結合剤によつて保持され
   た透過性耐火物素子を配置した外被を有し、該外
   被の底面は函体の底面を通して伸びているガス導
   入管に繋がれた孔を有し、さらに該外被は第２の
   耐火物結合剤によつて函体内に固定されているこ
   とを特徴とする溶融金属浴中にガスを導入するた
   めの素子。 ２ 外被が、その最も小さい径が上部開放部に位
   置し、側面に内方に突き出した保持手段を有しか
   つ函体の底面に向つて凸状をなす冠状底面を有す
   るところの実質的に円錐台形本体からなることを
   特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の素子。 ３ 保持手段が少くとも１つの円周溝およびまた
   は１群の突起からなることを特徴とする特許請求
   の範囲第２項に記載の素子。 ４ 函体が実質的にパラレルピペデイツクである
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の
   素子。 ５ 透過性素子が最も大きい寸法に沿つて垂直に
   配置されたパラレルピペデイツクまたは正角柱形
   状のプレートによつて形成され、前記プレートの
   側面がアンカー手段を有し、さらに縦の微小通路
   を有し、前記プレートは粒状耐火物物質の床上に
   置かれていることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項に記載の素子。 ６ 微小通路がプレートの面に縦につくられた溝
   によつて形成され、該溝は0.3mm以下の深さにな
   るようになされることを特徴とする、特許請求の
   範囲第５項に記載の素子。 ７ プレートが窒化珪素結合剤を用いたマグネシ
   ウム、アルミニウムからつくられ、あるいは酸化
   クローム結合剤を用いた酸化ジルコニウムからつ
   くられていることを特徴とする特許請求の範囲第
   ５項に記載の素子。