JPS6121774B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ホブにより歯切りするホブ切法に係
り、特に仕上げホブ切法に関する。

現在、ホブ盤を用いて仕上げ切り加工のみを実
施する超硬スカイビングホブ切りが既に実用化さ
れている。この超硬スカイビングホブ切りは、超
硬ホブを使用し、該ホブの切刃と既に歯切りされ
ている歯車状ワークとを干渉を起こさないように
して噛合せを行ない（第１図参照）、その後所定
の仕上げ代を更に切込んで仕上げ加工する技術で
ある。

この超硬スカイビングホブによる仕上げ歯切り
は、第１図に示すように、既に歯切りされたワー
ク１を更に歯切りするものであるからワーク１と
ホブ２を干渉させずに歯合せすることが重要であ
るが、任意の場所において歯合せの目安となるも
のが存在しないので歯合せそのものが簡単でな
い。このため、ホブ２は１ピツチあるいは0.5ピ
ツチといつた割出し易い特定量だけホブシフトさ
せて使用されることになる。ところが、仕上げホ
ブ切りにおいては、側面切歯のみが歯切りに関与
すると共に加工領域も固定される。このことは、
仕上げ代が小さくなる程顕著となり、各切歯溝の
歯切り領域は第４図の如く創成点の移動に伴つて
特定される一箇所となる。この点状の歯切領域即
ち摩耗点は前述の如く自由なホブシフトが困難な
ため、自由に移動させ得ずに第５図の如く切刃
（超硬チツプ）４の一部分のみが摩耗することに
なる。

したがつて、超硬チツプ４の一部しか摩耗して
いないにも係わらずチツプ交換をしなければなら
ないという無駄が生ずる。超硬スカイビングホブ
は、第２図に示す如く、超硬チツプ４を母材３に
ろう付けしたものであるから高価であると共に刃
付個数も限られているので、摩耗箇所が特定され
ることは不利である。

ホブによつて歯車素材から歯切りする場合に
は、切削に関与する歯はそれぞれの分担切刃ごと
に摩耗し、しかも任意にシフトできるから第３図
に示す如くホブの摩耗を一様に進めることがで
き、局部的摩耗のために切刃（チツプ）を交換す
るような問題は考えられなかつたのである。

本発明は、段取り時間の短縮、工具寿命の増大
および仕上げ面の精度の向上が可能な歯車のホブ
歯切り加工法を提供することを目的とする。

斯かる目的を達成する本発明の構成は、数値制
御ホブ盤において、あらかじめ加工前にホブと歯
車状ワークとの噛合いを解放した後、前記ホブを
回転させずにそのまま任意の量だけ軸方向にシフ
トさせると共に該シフトされたホブの切刃との位
置関係を同期させてワークテーブルを回転させ、
前記ホブと歯車状ワークを歯合せしてから創成歯
切りを行うことを特徴とする。

以下本発明方法を図面に基づき詳細に説明す
る。

あらかじめ加工前にホブ２とワーク１との噛合
いを解放した後、ホブ２をホブ軸方向にシフトさ
せると共にこれに合せてテーブル１８換言すれば
ワーク１を回転させることにより、第６図に示す
ように歯切領域即ち摩耗点ＢはB′へ移動する。こ
の摩耗点Ｂの移動量Ｘは、ホブ２の側面切刃上で
は、 Ｘ＝Ａ／cosα 但し、α：工具圧力角 となる。したがつて、この状態でホブ切りを始め
ると、仮想線の状態（シフト前の位置）での摩耗
点Ｂと異なる点B′が摩耗点即ち歯切領域となる。
つまり、ホブ２の回転によつて起こる創成点の移
動（第４図参照）をホブ２お軸方向シフトによつ
て同一切刃上に起こさせるのである。依つて、仕
上げホブ切りにおいても、任意の量だけホブ２を
シフトさせて歯合せすることにより、歯切領域を
次々に同一切刃上で移動させ得るので、超硬チツ
プ４の一箇所だけが摩耗することはない。適宜ホ
ブ２をシフトさせて歯切領域を移動させることに
より超硬チツプ４は均一に摩耗するので従来の歯
切加工法よりも超硬チツプ４の寿命が飛躍的に延
びる。

しかも、この任意位置における歯合せは、歯合
せし易い特定の場所でのホブ２とワーク１の歯合
め状態を基準にし、それからホブ２を任意の量だ
けシフトさせると共にこれと同期させてワークテ
ーブル１８を回転させることによりワーク１をホ
ブ２の移動に合せて移動させるので容易である。
即ち、ホブヘツド（ホブ取付台）７におけるホブ
２の取付位置を特定の位置決めできた点に決める
ことは簡単であるし、荒切りされたワーク１をワ
ークテーブル１８に取付ける場合も同様だからで
ある。どのホブ盤でもホブヘツド７の中心は存在
し、この点にホブ切刃の目安となる位置をセツト
することは容易であるし、一旦ホブ２を固定する
と、このホブヘツド中心とホブ２の切刃の位置関
係は固定される。他方、テーブル１８にも原点に
なるものを決め、これに荒切りされたワーク１を
一定の関係で固定するのである。例えば、ワーク
ホルダ６の位置決めキーをホブ盤中心Ｃに合致さ
せるのである。勿論、このとき、テーブル１８の
原点とホブ２の基準位置とは一定の関係即ちホブ
２とワーク１が干渉せずに歯合せしうる状態にあ
ることは当然である。したがつて、この位置関係
が正しいことを予め確認してから、スカイビング
ホブ切りの加工に入る前にホブ２を任意量軸方向
にシフトさせると共にこのシフト量に応じてテー
ブル１８を同期回転させれば、任意のホブシフト
位置における歯合せが自動的に成される。つま
り、段取りに時間を要さないのである。

上述のホブ２のシフト移動とテーブル（換言す
ればワーク１）１８の同期回転は、第７図に示す
ような数値制御のホブ盤などで容易に実施され
る。該機構は、ホブ取付台７とホブ支持具８によ
つて支持されるホブカツタ２をホブ取付台７ごと
テーブル１８上のワーク１の接線方向に移動可能
とし、このホブカツタ２の軸方向シフトと同期さ
せてワークテーブル１８を回転させるものであ
る。ホブカツタ２の軸方向シフトは、ホブシフト
モータ１１の回転をホブシフト駆動伝達歯車１０
を介してホブシフト送りねじ９に伝え、この送り
ねじ９とねじ対偶を成すホブ取付台７を移動させ
ることより行う。そして、このホブ２のシフト量
はタコジエネ１２とレゾルバ１３によつてNC制
御装置１４に入力され、該NC制御装置において
あらかじめプログラミングされているホブシフト
量とテーブル回転移動量との関係に基づいて相当
テーブル回転角とするべく作動指令がテーブル駆
動モータ１５のタコジエネ１２とレゾルバ１３に
向けて出力される。このモータ１５の回転は、テ
ーブル駆動歯車１６とマスターウオーム１７を介
してテーブル１８に伝達される。

前記NC制御装置の作動は特定のＧコードにて
実施できる。この場合、入力値は、ｘ・ｍ（モジ
ユール）の大きさ及びホブシフト量並びにワーク
１の歯数だけである。又、手動操作による場合も
あり、このときは予め計算された関係量に基づい
てホブ２及びテーブル１８を夫々別個にシフトあ
るいは回転させる。

以上のように本発明によれば、仕上げホブ切り
においても、ホブを軸方向にシフトさせると共に
このシフト量に合せてワークを回転させて歯合せ
することにより、同一切刃において歯切領域を移
動させ得るので切刃の一部分のみが摩耗するよう
なことはなく工具寿命が飛躍的に延びる。また、
任意の位置において歯合せする段取り時間も歯合
せ容易な特定位置における歯合せを行つてからホ
ブをシフトさせるだけで済むので短縮できる。

尚、本発明の歯車加工方法は、実施例として挙
げた超硬スカイビングホブ切りに限らず、一般的
なハイスホブ（高速度鋼ホブ）による仕上げホブ
切りや、あらかじめ別の歯切加工機（例えばギヤ
ツシユミル機、フライス盤等）にて荒切加工後の
ワークをホブ切りで仕上げる場合あるいは歯厚寸
法を誤つて加工されたワークの仕上げホブ切り等
に応用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は超硬スカイビングホブ切り時のワーク
とホブカツタの歯合せ方法を示す説明図、第２図
はろう付超硬スカイビングホブの一例を示す側面
図、第３は連続的なホブシフトによる側面切刃の
摩耗の様子を示すモデル図、第４図はスカイビン
グホブ切りの創成点の移動を第２図のホブで示す
説明図であり、ａは矢視の切刃、ｂは矢視の
切刃、ｃは矢視の切刃、ｄは矢視の切刃の各
成点を示す。第５図は超硬スカイビングホブの一
つの切刃を示す斜視図、第６図はホブシフトによ
るホブ切刃の作用側面の移動を示す説明図、第７
図はホブシフトとテーブル回転が同期して自由に
歯合せできるNCホブ盤の概略説明図である。 図面中、１はワーク、２はホブである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 数値制御ホブ盤において、あらかじめ加工前
   にホブと歯車状ワークとの噛合いを解放した後、
   前記ホブを回転させずにそのまま任意の量だけ軸
   方向にシフトさせると共に該シフトされたホブの
   切刃との位置関係を同期させてワークテーブルを
   回転させ、前記ホブと前記歯車状ワークを噛合せ
   してから創成歯切りを行うことを特徴とするホブ
   盤における歯車加工方法。