JPS6121202B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は化粧品、医薬部外品、外用医薬品等と
して利用される皮膚用液状組成物に関し、更に詳
述すれば可溶性ナイロンを被膜形成剤として含有
させることにより、適用時にこの可溶性ナイロン
の薄膜を形成させる剥離被膜型の皮膚用組成物に
関する。

従来、化粧品、それに医薬部外品、外用医薬品
として、例えば、ピールオフ型アイライナー、フ
エーシヤルパツク等のように、酢酸ビニル樹脂エ
マルジヨン等の各種樹脂エマルジヨン、或いはポ
リビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなど
の高分子物質の被膜性を応用した製品が広く使用
されている。これら製品は、その適用時に前記高
分子物質の被膜を皮膚表面に形成させることによ
り使用するものであり、また適用終了時にこの被
膜を皮膚より脱離除去するものである。しかる
に、従来のこの種の皮膚用組成物は、下記問題点
のうち１又は２以上の欠点を有するものが多い。

(1) 透明な被膜を形成しない。（例えば、パツク
ではアルコールのみだと白濁した状態とな
る。） (2) 被膜形成後もべたつく。（特に水溶性高分子
を用いた場合に多い。） (3) 被膜の皮膚への接着性が弱い。特に、水溶性
高分子を使用した場合、汗や湿気等の影響によ
り、被膜形成能が低下する。

(4) 被膜形成・接着時に皮膚に異和感を与える。
また、つつぱり感が生じ、皮膚の伸縮に追随し
ない場合が多い。

(5) 可塑剤添加の有無にかかわらず、皮膚表面か
らの剥離性が悪い。（非水溶性高分子でも、金
属、紙、ガラス等の表面からでは非常に良好な
剥離性を示すものがあるが、皮膚表面からの剥
離性は悪い。） (6) 剥離性が高くとも被膜強度が小さい場合が多
く、被膜に柔軟性がないため、１枚の膜として
脱離せず、ぼろぼろになつたり、細切れになつ
たりする。このため、被膜を簡単にかつ良好な
状態で引き剥すことが困難である。

(7) 被膜脱離時に接着性が強すぎて苦痛を感じさ
せる。特に有毛部に適用する場合に問題とな
る。

(8) 被膜形成剤を溶解させる溶媒の影響で皮膚表
面での乾燥時間が長く、迅速に被膜が形成され
ない。（特に、水溶性高分子等は水を主体とし
た溶媒を使用するため、乾燥性が悪い。） このように、従来の皮膚用組成物は、いずれに
しても透明被膜形成、被膜の皮膚への密着性、被
膜剥離性を兼ね備えたものはなく、また使用感の
点でもべたつき、皮膚への異和感、脱離時の苦
痛、１枚の被膜として脱離しない等の欠点を有し
ていた。

本発明者らは、上記欠点を除去した良好な機能
を有する皮膚用組成物につき、種々検討を進めた
結果、被膜形成剤として可溶性ナイロンを使用
し、これをエタノール等の揮発性溶剤に全体の５
〜20重量％の割合で溶解させて得た液状の皮膚用
組成物は、この皮膚用組成物の適用に当つて、透
明被膜が速やかに形成すると共に、この被膜の皮
膚への密着性が非常に良好であり、またこの被膜
はそれ自体が柔軟で適度な強度をもち、皮膚の伸
縮に確実に追随し、従つて容易に剥がれ落ちるこ
とがなく、かつこのように皮膚への被膜接着性が
良好であるにもかかわらず、この被膜を剥離、除
去するに際し、１枚の薄皮となつて簡単にかつ苦
痛を伴うことなく脱離することができ、しかも使
用感も非常に良く、べたつき、つつぱり感、付着
時の異和感も生じることがなく、又簡便に使用し
得て、化粧品、医薬部外品、外用医薬品等、多方
面に好適に応用することができ、このように、可
溶性ナイロンを用いる場合にのみ、その本来の機
能を発揮して、前記(1)〜(8)の欠点を良好に、また
確実に解消し得ることを知見し、本発明をなすに
至つた。

即ち、本発明は被膜形成剤として可溶性ナイロ
ンを揮発性溶剤に全体の５〜20重量％の割合で溶
解してなることを特徴とする液状の皮膚用組成物
を提供するものである。

以下、本発明につき詳しく説明する。

本発明は、剥離被膜型アイライナー、パツク、
香水、制汗剤、ホウタイ、皮膚殺菌剤等の化粧
品、医薬部外品、外用医薬品（但し、外用消炎鎮
痛剤を除く）などに利用されるものであり、これ
ら製品の種類、用途等に応じた適宜成分、有効成
分が配合され、これら成分はメタノール、エタノ
ール、水−エタノール、プロピレングリコール、
イソプロピルアルコール等の皮膚に対してトラブ
ルのない揮発性溶剤の一種又は二種以上と混合さ
れる。

そして、本発明においては、目的に合つた成分
有効成分を含む揮発性溶剤に可溶性ナイロンを溶
解させる。この場合、可溶性ナイロンとしては、
ナイロン塩とカプロラクタムの共縮合物、共重合
物や６−ナイロン、６，６−ナイロンにホルムア
ルデヒドとアルコールとを反応させた変性ナイロ
ン等が使用される。また、この可溶性ナイロンの
配合量は全体の５〜20重量％とするもので、この
範囲の配合量とすることにより適用時に優れた特
性の薄膜が形成され、その効果が良好に発揮され
る。これに対し、配合量が５重量％より少ない場
合は、皮膜が形成されたとしても、皮膜強度が弱
く、剥離する際にぼろぼろとなつて連続一様なフ
イルムとして剥離できず、本発明の目的が達成さ
れない。また、配合量が20％以上よりも多くなる
と、得られる組成物の粘度が高くなるため、皮膚
に塗布した時にベタツキが強く、不快な感じを与
えるほか、揮発性溶媒の蒸散がおさえられるので
ベタツキが持続することとなる。更に、得られる
被膜が厚くなるためツツパリ感があり、不快な感
じを与えるので20％を越えて配合することは好ま
しくない。

このように本発明に係る皮膚用組成物は可溶性
ナイロンを揮発性溶剤に溶解させることによつて
形成されるものであり、これは液剤、もしくはこ
れにフレオン等の通常使用される噴射剤の適宜量
を配合してエアゾール剤の剤型に調製される。

而して、この皮膚用組成物は、適宜皮膚面など
に塗布し、或いは噴霧することにより使用するも
のであり、この組成物が皮膚面等に付着すると、
組成物中の揮発性溶剤が揮散すると共に、皮膚面
等に前記可溶性ナイロンの薄膜が形成されて目的
に合つた機能を発揮する。

即ち、可溶性ナイロンを主被膜形成物質として
用いた皮膚用組成物は、完全なる透明薄膜を形成
する。従つて、適用時に形成被膜の存在が目立た
ず、また被膜が透明であるため、例えばアイシヤ
ドウ、アイライナー等に応用した場合、被膜の形
成によりその予定した色彩が変つてみえるような
不都合もなく、所期の色彩通りの被膜を形成す
る。また、前記可溶性ナイロンの薄膜は、皮膚面
等に対し良好な被膜接着性を有し、またその薄膜
自体が柔軟で、適度な被膜強度を有し、皮膚の動
きに伴う伸縮性があるため、皮膚から容易に剥れ
落ちることがないと共に、被膜耐水性があり、発
汗しても入浴しても、こする、かく等の物理的な
力をかなり与えない限り、被膜が脱離することが
なく、従つて形成された被膜は適用終了時に引き
剥すまで皮膚面等に良好に保持、付着される。

更に、本発明に係る皮膚用組成物は、被膜乾燥
時間が短く、迅速に被膜が形成すると共に、被膜
乾燥後のべとつき感は全くなく、またつつぱり
感、付着時の異和感もなく、更にまた、上述した
ように被膜に柔軟性があるため、皮膚の伸縮に良
好に追随し、被膜がクラツク状になることもな
い。かつ、薄い被膜が形成されるため、皮膚呼吸
等の皮膚の生理作用が阻害されることなく、皮膚
トラブルの問題なしに好適に使用され、このよう
に使用感、使用の簡便性、安全性に優れたもので
ある。

なおまた、本発明の皮膚用組成物は、上述した
ように形成される被膜の皮膚面等に対する密着、
保持性が非常に良好であるにもかかわらず、非常
に優れた被膜剥離性を有する。即ち、この被膜を
剥離、除去する場合、被膜が１枚の薄皮となつて
脱離し、随時簡単に引き剥すことができるという
特徴を有する。かつ、このように剥離性が優れて
いると共に、被膜を皮膚より脱離させる場合に、
痛み等の苦痛を伴うことがなく、有毛部に対して
も好適に適用できるものである。更に、この皮膚
用組成物は、可溶性ナイロンの被膜が形成される
ことにより、皮膚用組成物中に配合された有効成
分の効果が長時間に亘り持続するものである。

以上説明したように、本発明は、可溶性ナイロ
ンを被膜形成剤として全体の５〜20重量％の割合
で揮発性溶剤に溶解させていることにより、局所
皮膚二面などに塗布した後、短時間で乾燥し、薄
い透明被膜が形成されると共に、皮膚等に対する
被膜接着性が良好であり、かつ被膜を１枚の薄皮
として随時簡単に剥離することができ、このよう
に透明被膜形成、被膜接着性、被膜剥離性をいず
れも良好に兼ね備えている上、使用感、使用の簡
便性に優れ、化粧品、医薬部外品、外用医薬品
等、多方面に被膜剥離型の剤型として好適に応用
される。

以下実施例を示して本発明を具体的に説明す
る。

〔実施例 １〕 常法により下記処方の剥離被膜型制汗剤を調製
した。

アルミニウムクロルヒドロール 30.0重量％ （50％水溶液） 香 料 0.3〃 可溶性ナイロン （東レ(株)製CM−9000） 10.0〃 エタノール 59.7〃 100.0〃 この制汗剤は、安定に調製することができ、さ
わやかな使用感を有するものであつた。また、制
汗効果に持続性があり、形成された被膜を剥離す
る際、柔らかな１枚の膜として剥離した。

〔実施例 ２〕 常法により下記処方の剥離被膜型パツクを製造
した。

可溶性ナイロン（CM−9000） 15.0重量％ 水 10.0〃 香 料 0.3〃 エタノール 74.7〃 100.0〃 このパツクは良好な透明液剤となり、また塗布
後わずか５分で乾燥した。その使用感は非常に良
好であり、パツク中に会話してもパツクが変形す
ることはなく、更に剥離時、完全に１枚の薄膜と
なつて引き剥すことができた。

〔実施例 ３〕 常法により下記処方の剥離被膜型ホウタイを製
造した。

可溶性ナイロン（CM−9000） 20.0重量％ エタノール 80.0〃 100.0〃 このホウタイは安定なものであり、また速乾
性、被膜の伸縮性に優れ、使用中にむれが生じる
ことのないものであつた。また、被膜は密着性が
良好であると共に、剥離時、簡単に一枚の膜とし
て引き剥すことができた。

〔実施例 ４〕 常法により下記処方の剥離被膜型香水を製造し
た。

可溶性ナイロン （東レ(株)製CM−8000） 10.0重量％ 香 料 10.0〃 エタノール 80.0〃 100.0〃 この香水は、香りの持続性があり、また随時剥
離可能で、簡便に使用することができた。

〔実施例 ５〕 常法により下記処方の剥離被膜型エアゾール殺
菌剤を製造した。

可溶性ナイロン（CM−8000） 5.0重量％ テトラメチルチウラムジスルフイド 0.02〃 ポリエチレングリコール1500 0.5〃 ジクロルジフルオロメタン 30.0 〃 トリクロロフルオロメタン 45.0 〃 エタノール 残部 100.0〃 この殺菌剤は、有効成分の効果が持続し、また
被膜の伸縮性に優れ、汗などによつても剥離する
ことがなく、適用皮膚面に良好に保持されると共
に、剥離時、１枚の薄皮となつて簡単に引き剥す
ことができた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 皮膜形成剤として可溶性ナイロンを全体の５
   〜20重量％の割合で揮発性溶剤に溶解してなるこ
   とを特徴とする液状皮膚用組成物。