JPS6044163B2 - 自動車用ドアトリム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はカーニッシュレスタイプの自動車用ドアトリム
に関する。

カーニッシュレスタイプのドアトリムはドアトリムの芯
材上部を構成する金属板等からなる部材（カーニッシュ
）を省き、ハードボード芯材上縁よりこれの表面に積層
接着されたパッド材、表皮材を延設し、これらの可撓性
を利用してその延設部をドアのインナーパネル（車体側
パネル）の曲面に沿つて装着するようにして、従来の剛
性のあるドアトリムと外観の同一性を保つとともに、ド
アトリムの軽量化と部品数削減を図るようにしたもので
ある。

このカーニッシュレスタイプのドアトリム構造は、例え
ば第１図に示すように、ドアトリム１を構成するハード
ボード等の芯材２の表面にウエルダ溶着等によりパッド
材３、表皮材４を積層接着するとともに、上記芯材２の
上縁よりパッド材３及び表皮材４を延設して形成し、こ
の延設部５の延設端裏面に硬質ボード６を装着したもの
である。

またこのように構成されたドアトリム１をドア側のイン
ナーパネル７に組付けるには、上記芯材２の適宜位置に
取付クリップ８を装着しておくとともに、インナーパネ
ル７の上記クリップ取付位置に対向して取付穴８’を形
成しておき、更にインナーパネル７の上端折返し部７ａ
にウエザーストリツプ９を一体化した断面Ｕ字形の取付
金具１０を装着しておき、この取付金具１０のＵ字状部
にドアトリム１の硬質ボード６を嵌合固着し、延設部５
を引張りながら上記取付クリップ８を取付穴８’に嵌合
することによつて、上記延設部５をインナーパネル７の
上部曲面に沿つて展張し、ドアトリム１をインナーパネ
ル７の側部に装着するようにしている。フ ところで、
ドアのウェストライン（同第１図に示すインナーパネル
７の上端部の紙面と直交する方向の稜線形状を言う）は
必ずしも直線的に構成されているとは限らず、特にリア
ドア側のウェストラインは車種によつて曲線的に構成さ
れている５場合が多い。

このために上記のようなドアトリムを曲線部を有するイ
ンナーパネルに取着した場合には上記延設部５の展張度
が部分的に不均衡となり、表皮材４にシワが寄る原因と
なる。

したがつてこの原因を除去するために上記延設部は曲面
の展開形状にトリムカツトされ、展張度合を可及的に均
一化するようにしているが、一般に表皮材は塩化ビニー
ル等で構成されているため、寒暖の差で伸縮が著しく、
その伸縮分が寸法誤差となつて特に夏や冬にシワが発生
し易い欠点があつた。また上記ドアトリムの適宜位置に
は第２図、第３図に示すようにロックノブを挿通するた
めの穴１１が形成され、この穴１１にハトメ状のグロメ
ット１２を固着して上記ロックノブを受けるようにして
いる。

この場合、上記グロメット１２は同第２図に示すように
ドアトリム１の延設部５の裏面に直接カシメ止めされる
か、あるいは第３図のようにインナーパネル７への組付
時にこのインナーパネル７及び延設部５を貫通して裏面
に係止される。

しかし、この部分もまた上述する理由により特にシワが
発生し易く、しかも表皮材４の伸縮による寸法誤差等に
よつてインナーパネル７に設けたロックノブ用の穴７ｂ
と一致せずロックノブが上記グロメット１２の内周に当
接してしまい操作しにくくなる楊合も生じていた。更に
上記グロメット１２やウエザーストリップ９などはドア
トリム成形後あるいは車両組立ラインで後付けされため
、ドアトリムの組立工数や車両組付工数が大となり繁雑
な手間を要する欠点があつた。

本発明は以上のような従来のガーニツシユレスタイプの
ドアトリムの欠点に鑑みなされたものであつて、上記延
設部裏面にフレキシブルボードを．配置し、また上記ウ
エザーストリツプ、グロメットを高周波ウエルダ可能な
部材で構成し、これらをウエルダ溶着して延設部に固着
することにより、上記延設部表面にシワが発生するのを
防止し、外観向上を図るとともに、ドアトリムの組立！
工数や車両に対する組付工数の低減を図るようにしたも
のである。

以下この発明の一実施例を図面を用いて詳細に説明する
。

但し、従来と共通部分には同一符号を付して、異なる部
分についてのみ新たな符号を付（して説明する。第４図
ないし第６図はこの発明に係るガーニツシユレスタイプ
のドアトリム２０及びこのドアトリム２０のインナーパ
ネル７への取付状態を示すもので、このドアトリム２０
は概路上記と同様ハードボード等の芯材２の表面にバッ
ド材３、表皮材４を積層接着し上記芯材２の上縁よリバ
ンド材３及び表皮材４を延設し、可撓性のある延設部５
を形成したものである。

そして上記延設部５の裏面にはフレキシブルボード２１
が全面に亘り添設されウエルダ溶着によりその周囲を固
着されているとともに、延設部５の表面上縁部及びロッ
クノブ２２の挿通用開口縁ノ部には夫々ウエザーストリ
ツプ２３及びグロメット２４がウエルダ溶着により固着
されている。

なお特に第４図に表われている筋押状溝模様２５，２５
・ ・はウエルダラインを示し、表皮材４の外周縁を
囲むべくウエルタ化て、芯材２及・び上記フレキシブル
ボード２１をバッド材３を介して固着してある。上記フ
レキシブルボード２１は厚手の硬質紙等の熱変形が少く
、比較的剛性が高いウエルダ溶着可能な部材から構成さ
れ、かつその裏面には第７゛図によく表われているよう
にその長手方向に沿つて多数条の筋押溝２１ａ，２１ａ
・・ ・が形成され、該ボード２１をその各溝２１ａを
折曲げ線として幅方向に屈曲可能にして可撓性を付与し
てあるとともに、長手方向に対してはボード２１の材質
である剛性を付与し、これによつてインナーパネルの上
下方向の曲面に対しては完全に密着追従し、その形状に
ドアトリム２０が組付けられるようにしてあるとともに
、ウェストラインの曲線の変化に対し、完全に密着して
追従することなくなだらかな曲面となり、曲率の極端な
変化により表皮材４にシワがよることを防止している。

なお、ロックノブ２２の挿通箇所において上記インナー
パネル７は第６図に示す状態に比して実際は周縁が盛り
上がつている場合が多い。従つてこのような部位では上
記ボード２１の裏面に幅方向にも筋押溝を形成し幅方向
に対する可撓性を部分的に付与するようにしてもよい。
上記ウエザーストリツプ２３は硬質塩化ビニルか構成さ
れたストリップベース２３ａと、このベース２３ａの一
側面に突出し軟質塩化ビニルから構成されたリップ部２
３ｂとからなり、かつベース２３ａの裏面には断面Ｌ字
状の係止部２３ｃが形成され、これら各部は２色押出成
形により成形され上述のように延設端縁に固着されたも
のである。

また上記グロメット２４も硬質塩化ビニルから構成され
た鳩目状のものであるが、次にこれらウエザーストリツ
プ２３及びグロメット２４をドアトリム２０に組付ける
手順について第８図を用いて説明する。

同第８図は上記ドアトリム２０の成形用ウエルダ金型（
但し下型のみを示す）及び上記ドアトリム２０を構成す
る各部材のセット状態を示すものでる。

同図におけるウエルダ金型は下型プレート３０と、この
プレート３０上に立設された電極バー３１、ウエザース
トリツプ固着用電極バー３２、グロメット固着用電極バ
ー３３を備えているとともに、上記電極バー３１の上部
側には絶縁板３４が配置されている。

なお上記電極バー３１は実際には第４図に示すウエルダ
ライン２５の溝模様状に形成され、またウエザーストリ
ツプ固着用電極バー３２は断面凹状をなし、この凹状部
３２ａにリップ部２３ｂを収容し、ベース２３ａの側部
両縁にその長手方向に沿つて当接されるようになつてお
り、更にグロメット固着用電極バー３３は上記グロメッ
ト２４の周縁に当接すべくだ円状に形成され、かつその
中央に凹状部３３ａを形成してある。

以上のように構成された金型を用いてドアトリムを成形
するには、先ずウエザーストリツプ２３及びグロメット
を夫々の電極バー３２上に配置し、次に表皮材４、バッ
ド材３を積層し、次いで芯材２及びフレキシブルボード
２１を所定位置に積層後上型（図示せす）を上記金型に
係合し、高周波を印刷すれば、各部は同第８図の如くウ
エルダ溶着によソー体化され、第４図に示す完成状態と
なる。

なお上記表皮材４、バッド材３の側周縁部の処理は、同
金型に付設されている折返し装置（図示せず）により芯
材２、フレキシブルボード２１の裏面側に折返して上記
と同時にウエルダ溶着するようにすれば、ワンショット
で製品を完成する。

またこのように構成されたドアトリム２０を組付工程で
インナーパネル７に組付けるには、準備段階で芯材２に
形成された取付穴に取付クリップ８を装着しておき、後
は従来と同様にウエザーストリツプ２３の係止部２３ｃ
をインナーパネル７に掛け止めし、ドアトリム２０をイ
ンナーパネル７の側面に押付けることにより第５，第６
図に示す如く取付けが完了する。なおインナーパネル７
と延設部５との結合を強化するために第９図示すように
予めインナーパネル７に係止爪７ｃを形成し、これを各
部にくさび状に喰い込むようにしてもよい。

以上説明したようにこの発明に係る自動車用ドアトリム
にあつては、上述の如く、建設部裏面に、これの曲げ方
向に可撓性を有するフレキシブルボードを裏打ちしてあ
るため、上記延設部が温度差等により伸縮することが防
止され、精度よくインナーパネルに組付けすることがで
きるとともに、極端な曲率変化に対しては追従せず、な
だらかな曲面に展張されるため、表面にしわが寄ること
が防止され、取付け状態で見栄えが向上する利点を有す
る。

またこの発明にあつてはウエザーストリツプ及びグロメ
ットのような従来後付け部品であつたものをドアトリム
成形時に同時にウエルダ溶着してあるため、ドアトリム
の組立が簡単であるとともに、車体組付時の手数が省け
、特にウエザーストリツプにおいては予めインナーパネ
ル側に取付け金具も不要であるため、部品数も削減でき
るなどの効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のガーニツシユレスタイプのドアトリム及
びその取付状態を示す縦断面図、第２”図、第３図はグ
ロメット取付部分の断面図、第４図はこの発明に係るド
アトリムの斜視図、第５図、第６図は第４図の５−５線
及び６−６線断面におけるインナーパネルへの装着例を
示す断面図、第７図はフレキシブルボードの部分的斜視
・図、第８図は同ドアトリム成形用ウエルダ金型及びド
アトリム構成材のセット状態を示す一部断面斜視図、第
９図はインナーパネルの上部構成例を示す部分拡大斜視
図である。 ２・・・・・・芯材、３・・・・・・バッド材、４・・
・・・・表皮材、ノ５・・・・・・延設部、２１・・・
・・・フレキシブルボード、２３・・・・・・ウエザー
ストリツプ、２４・・・・・・グロメット（ロックノブ
グロメット）、２５・・・・・・ウエルダライン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 板状の芯材上縁よりこれの表面にウエルダ溶着され
   るパッド材、表皮材を延設し、これらの可撓性を利用し
   てその延設部をドアのインナーパネルの曲面に沿つて装
   着するようにした自動車用ドアトリムにおいて、上記延
   設部裏面にこれの曲げ方向に可撓性を有するフレキシブ
   ルボードを裏打ちするとともに、上記インナーパネルに
   対する装着手段を有するウエザーストリツプ及びロック
   ノブグロメットを高周波溶着可能な部材で構成しこれら
   部材を上記延設部の端縁及びグロメット装着位置に位置
   決め配置し、高周波ウエルダにより夫々を上記延設部表
   裏面に溶着固定してなる自動車用ドアトリム。