JPS5930738B2 - 耐熱難燃性架橋ポリプロピレン用混和物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、耐熱難燃性架橋ポリプロピレン用混和物に関
するものである。

発明の背景 一般に、架橋ポリプロピレンは、ポリエチレンの架橋物
に比較して、高度の耐熱性や優れた機械的特性を具備し
ているので、種々の用途に期待がもたれている。

ポリプロピレンを、電子線照射や化学的に架橋処理する
とその分子構造上架橋反応と併行して劣化が進行するが
、ポリプロピレン単独の場合には、その劣化は実用上差
程支障となるものではない。

例えば、照射線量０．５〜１０メガラット（Ｍｒａｄ）
の電子線を照射して、ゲル分率（測定条件、１２０℃、
ｘｙｌｅｎｅ） ２４時間浸漬、架橋された部分がゲル
化して残留するため、このゲル分率がおゝよその架橋度
に対応する）が３０〜４０％とした場合には初期値とし
ての伸びが３００〜４００％という満足できる物を得る
ことができる。しかしながら、このものに燃焼試験（Ｕ
Ｌ垂直燃焼試験：ＶＷ−１）に合格できる量の難燃剤を
添加して架橋すると、伸びは１００％以下に低下してし
まい、また、これを更に加熱すると、伸び率は一層低下
してポリプロピレン成形物として実用性のないものにな
る、という改善すべき技術的課題がある。

発明の目的及び構成 本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、そ
の目的とするところは、ポリプロピレンをベースとした
耐熱性でかつ十分な難燃度を有する架橋物用混和物を提
供することにある。

かかる本発明の目的は、ポリプロピレンに難燃剤と特定
の熱可塑性エラストマーすなわちスチレン−エチレン−
ブチレン−スチレンという構造を有するブロック共重合
体を主成分とする熱可塑性エラストマー（以下「ＳＥＢ
Ｓ」という）とを添加することにより達成される。

本発明におけるポリプロピレンは、ポリプロピレンとし
て一般に市販されているものであれば、如何なるもので
あつてもよく、特に制限されない。

例えば三井石油化学製・ＳＪ３１０）昭和電工製・シヨ
ウアロマー、住友化学製・スミトモノーブレン、三菱油
化製・三菱ノーブレン等を挙げることができる。これら
のポリプロピレンは、アイソタクチックポリプロピレン
が９０ｗｔ％以上含有するものである。本発明において
、熱可塑性エラストマーの中から特にＳＥＢＳを選び、
これを添加することにしているのは次の理由による。

即ち、ポリプロピレンに難燃剤の外に種々の熱可塑性エ
ラストマーを加えると架橋後の伸びが３００〜５００％
のものを得ることができる。しかし、これら架橋物につ
いて、１８０℃×７日の熱処理（ＵＬ耐熱試験の１５０
℃級試験に相当する）を行なうと、添加する熱可塑性エ
ラストマーが分子鎖に二重結合を有するものや軟化温度
の比較的低いものでは、伸び残率がＯ〜３０％に低下し
てしまうが、意外にも、ＳＥＢＳの場合には伸び残率が
７０％以上のものが得られることを知見したからである
。本発明において用いるＳＥＢＳとしては、特に限定さ
れないが、例えばクレイトンＧｌ６５２（商品名、シエ
ル化学社製）を挙げることができる。

また、本発明の混和物に用いられる難燃剤としては、例
えば塩素系難燃剤、臭素系難燃剤、三酸化アンチモン、
硼酸亜鉛などを挙げることができる。

そして、これら各組成の配合比としては、ポリプロピレ
ン５０〜８０重量部に対し、難燃剤は６０〜１２０重量
部、ＳＥＢＳは２０〜５０重量部が好ましい。すなわち
、難燃剤が６０重量部未満では十分な難燃性が得られず
、また１２０重量部を越える場合には、その他の特性、
例えば伸びなどが著しく低下するからである。一方、Ｓ
ＥＢＳの場合、２０重量部未満では伸び残率を７０％以
上とすることができず、また５０重量部を越えても、そ
れほど伸び残率の向上が期待できないからである。尚、
本発明においては、上記の各組成物の他に、必要に応じ
て、酸化防止剤及び銅害防止剤等の安定剤、架橋助剤な
どを配合することができる。

そして、その場合の配合比としては、上述のポリプロピ
レン、難燃剤、ＳＥＢＳの重量部数に対し、酸化防止剤
および安定剤は２〜２０重量部、架橋助剤も２〜２０重
量部が望ましい。また本発明の混和物の架橋手段として
は、電子線照射、化学架橋等公知の如何なるものをも利
用し得るが、例えば薄物では電子線照射による架橋でよ
いが、厚物では化学的な架橋の方が好ましい。

本発明の混和物を電子線照射で架橋する場合には、０．
５〜１０メカラット（Ｍｒａｄ）の電子線を照射すれば
よく、この範囲の照射量を選択することにより、所望の
架橋度を得ることができる。また、化学的架橋する場合
には、架橋剤として有機過酸化物例えば、ジクミルパー
オキサイド、２，５ジメチルヘキサン２、５ジハイドロ
パーオキサイド等の単味又はこれの混合物をポリプロピ
レン１００重量部当り０．５〜５重量部を添加し、これ
を成形加工後温度１６０〜２００℃に加熱すればよい。
実施例本発明の各実施例の配合比を示すと、第１表の如
くで、その各特性は第２表の如くである。

尚、比較のため、ポリプロピレンのみの場合、エチレン
一α−オレフイン共重合体またはイソプレゴムを添加し
た場合の各混和物を比較例として併記してある。上記各
表によると、本発明の各実施例において、ＳＥＢＳを添
加してあるため、伸び残率の低下が殆んどないことがわ
かる。

すなわち、ＶＷ−１に合格する十分な難燃度を有する他
に、使用可能温度が１５０℃という高度の耐熱性を有す
る混和物を得ることができる。これに対し、ポリプロピ
レンのみの場合には伸びが殆んどなく、また、エチレン
一α−オレフイン共重合体またはイソブレンゴムを添加
した場合、熱処理試験後の伸び残率が著しく低下するこ
とがわかる。発明の効果及び用途 以上の説明から明らかなように本発明によれば、ポリプ
ロピレンに難燃剤の外にＳＥＢＳを添加して架橋させて
あるため、十分な難熱度を有すると同時に、高度の耐熱
性、さらに優れた機械的特性などを有するポリプロピレ
ンをベースとした耐熱難熱性架橋物用の混和物を得るこ
とができる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 以下の組成より成る耐熱難燃性架橋ポリプロピレン
   用混和物。 ポリプロピレン５０〜８０重量部 スチレン−エチレン− ブチレン−スチレンブ ロツク共重合体２０〜５０重量部 難燃剤６０〜１２０重量部