JP6325413B2 - 架橋樹脂成形体及び架橋性樹脂組成物とそれらの製造方法、シランマスターバッチ、並びに、成形品 - Google Patents
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Description
これらのゴム製品を形成するゴム材料として、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレンブチレンゴム(SBR)、ニトリルブチレンゴム(NBR)、フッ素ゴム等の幅広いゴム材料が使用されている。
また、架橋ポリエチレン材料は、その耐熱性を生かして、種々のケーブルの被覆材や部材として、幅広く使用されている。
例えば、電線を連続的に生産する場合、ゴム材料等を120℃以下の低温度で成形し、その状態で例えば蒸気等で暖められた加硫管に通して架橋し、さらに水等で冷やされた冷却管を通す。
このように、上記ゴム材料や架橋ポリエチレンを用いる場合、これらのゴム材料等を成形する際には、架橋剤が反応しない温度で成形し、その後、成形状態を保ちつつ架橋剤が分解、反応する温度で十分に加熱して架橋を進め、それを冷却することが要求される。そのため、製造時間に長い時間を要する。
また、一般的に架橋剤が反応しない温度でゴム材料等を成形しなければならず、射出成形等の特定の方法で成形するのは難しいという問題があった。
しかし、これらの熱可塑性エラストマーは、柔軟性は有するものの、高い温度では溶融して、ゴム製品として使用できない。
しかし、電子線架橋法は、設備費用が非常に高いのみならず、製造できる成形体の厚さに制限があり、種々のゴム製品に使用することはできない。
一方、シラン架橋法は、有機パーオキサイドの存在下でシランカップリング剤をシラングラフト反応させてシラングラフトポリマーを得た後に、シラノール縮合触媒の存在下で水分と接触させることにより、架橋成形体を得る方法である。このシラン架橋法は、特殊な設備を要しないことが多い。
したがって、上記の架橋法の中でも、特にシラン架橋法は幅広い分野で使用されている。
ところが、フィラーを含有した樹脂をシラン架橋法により架橋させる場合、ニーダーやバンバリーミキサーを用いると、シランカップリング剤は揮発性が高く、シラングラフト反応前に揮発してしまう。そのため、シラングラフトポリマーとフィラーとを含有するシランマスターバッチを作製することが困難となる。また、2軸押出機を用いる場合においても、樹脂圧制御が難しく、また発泡を生じやすいという問題がある。
しかし、この方法では、ニーダーでの溶融混練中に、オレフィン樹脂同士等が架橋してしまい外観不良を引き起こす。加えて、無機フィラーを表面処理したシランカップリング剤以外のシランカップリング剤の大部分が揮発し、又はシランカップリング剤同士が縮合してしまう。そのため、所望の耐熱性を得ることができないばかりか、シランカップリング剤同士の縮合が外観悪化の要因となるおそれがある。
また、本発明は、この架橋樹脂成形体を形成可能な、シランマスターバッチ、架橋性樹脂組成物及びその製造方法を提供することを課題とする。
さらに、本発明は、架橋樹脂成形体を含む成形品を提供することを課題とする。
<1>下記工程(1)、工程(2)及び工程(3)
工程(1):ポリエチレンを35〜95質量%含有するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.02〜0.6質量部と、シリカ0.3〜12質量部と、エチレン性不飽和基を含有する基を含むシランカップリング剤2〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含む架橋性樹脂組成物を得る工程
工程(2):前記工程(1)で得られた前記架橋性樹脂組成物を成形して成形体を得る工程
工程(3):前記工程(2)で得られた成形体を水と接触させて架橋樹脂成形体を得る工程
を有する架橋樹脂成形体の製造方法であって、
前記工程(1)が、下記工程(a)〜工程(d)を有する、
工程(a):前記有機過酸化物と、下記式(I)で規定されるX(以下、X値ということがある。)が5〜1000を満たす前記シリカと、前記シランカップリング剤とを混合する工程
式(I) X=ΣA/B
(式中、ΣAはシリカのBET比表面積(m2/g)とシリカの配合量との積の合計量を表し、Bはシランカップリング剤の配合量を表す。)
工程(b):前記工程(a)で得られた混合物と前記ポリオレフィン系樹脂の全部又は一部を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチを得る工程
工程(c):前記シラノール縮合触媒とキャリア樹脂として前記ポリオレフィン系樹脂と異なる樹脂又は前記ポリオレフィン系樹脂の残部とを混合する工程
工程(d):前記工程(b)で得られたシランマスターバッチと、前記工程(c)で得られた混合物とを混合して、架橋性樹脂組成物を得る工程
架橋樹脂成形体の製造方法。
<2>前記シランカップリング剤が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、4質量部を超え、15.0質量部以下の配合量で混合される<1>に記載の架橋樹脂成形体の製造方法。
<3>前記シリカが、結晶性シリカである<1>又は<2>に記載の架橋樹脂成形体の製造方法。
<4>前記シランカップリング剤が、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランである<1>〜<3>のいずれか1項に記載の架橋樹脂成形体の製造方法。
前記混合する工程が、下記工程(a)〜工程(d)を有する、
工程(a):前記有機過酸化物と、下記式(I)で規定されるXが5〜1000を満たすシリカと、前記シランカップリング剤とを混合する工程
式(I) X=ΣA/B
(式中、ΣAはシリカのBET比表面積(m2/g)とシリカの配合量との積の合計量を表し、Bはシランカップリング剤の配合量を表す。)
工程(b):前記工程(a)で得られた混合物と前記ポリオレフィン系樹脂の全部又は一部を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチを得る工程
工程(c):前記シラノール縮合触媒とキャリア樹脂として前記ポリオレフィン系樹脂と異なる樹脂又は前記ポリオレフィン系樹脂の残部とを混合する工程
工程(d):前記工程(b)で得られたシランマスターバッチと、前記工程(c)で得られた混合物とを混合して、架橋性樹脂組成物を得る工程
架橋性樹脂組成物の製造方法。
<6>上記<5>に記載の架橋性樹脂組成物の製造方法により製造されてなる架橋性樹脂組成物。
<7>上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の架橋樹脂成形体の製造方法により製造されてなる架橋樹脂成形体。
<8>上記<7>に記載の架橋樹脂成形体を含む成形品。
<9>ポリエチレンを35〜95質量%含有するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.02〜0.6質量部と、シリカ0.3〜12質量部と、エチレン性不飽和基を含有する基を含むシランカップリング剤2〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより得られる、シラン架橋性樹脂を含む架橋性樹脂組成物の製造に用いられるシランマスターバッチであって、
下記工程(a)及び工程(b)
工程(a):前記有機過酸化物と、下記式(I)で規定されるXが5〜1000を満たすシリカと、前記シランカップリング剤とを混合する工程
式(I) X=ΣA/B
(式中、ΣAはシリカのBET比表面積(m2/g)とシリカの配合量との積の合計量を表し、Bはシランカップリング剤の配合量を表す。)
工程(b):前記工程(a)で得られた混合物と前記ポリオレフィン系樹脂の全部又は一部を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させる工程
により得られるシランマスターバッチ。
したがって、本発明により、シランカップリング剤の揮発を抑えて製造した、高耐熱性を維持しつつ外観及び機械特性に優れ、さらに好ましくは軽量化可能な架橋樹脂成形体及びその製造方法を提供できる。
また、本発明により、このような特性に優れた架橋樹脂成形体を形成可能な、シランマスターバッチ、架橋性樹脂組成物及びその製造方法を提供できる。
さらには、上記特性に優れた架橋樹脂成形体を含む成形品を提供できる。
したがって、本発明の「架橋樹脂成形体の製造方法」及び本発明の「架橋性樹脂組成物の製造方法」(両者の共通部分の説明においては、これらを併せて、本発明の製造方法ということがある。)を、併せて、以下に説明する。また、本発明の「シランマスターバッチ」の製造方法のうち本発明の製造方法との共通部分は、併せて、説明する。
工程(2):前記工程(1)で得られた混合物を成形して成形体を得る工程
工程(3):前記工程(2)で得られた成形体を水と接触させて架橋樹脂成形体を得る工程
工程(a):有機過酸化物と、下記式(I)で規定されるX値が5〜1000を満たすシリカと、シランカップリング剤とを混合する工程
式(I) X=ΣA/B
(式中、ΣAはシリカのBET比表面積(m2/g)×シリカの配合量の合計量を表し、Bはシランカップリング剤の配合量を表す。)
工程(b):工程(a)で得られた混合物とポリオレフィン系樹脂の全部又は一部を有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合する工程
工程(c):シラノール縮合触媒とキャリア樹脂としてポリオレフィン系樹脂と異なる樹脂又は前記ポリオレフィン系樹脂の残部を混合する工程
工程(d):工程(b)で得られた溶融混合物と、工程(c)で得られた混合物とを混合する工程
<ポリオレフィン系樹脂>
本発明に用いるポリオレフィン系樹脂は、特に限定されるものではなく、上記ゴム製品を形成する、成形材料、ゴム材料、ケーブル材料等に使用される樹脂等が挙げられる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−α−オレフィン共重合体、酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有する共重合体からなる各樹脂、これら重合体からなるゴム若しくはエラストマー等が挙げられる。
この中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−(メタ)アルキル酸エステル共重合体若しくはエチレン−酢酸ビニル共重合体等の各樹脂、又は、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム若しくはエチレン−ブテンゴム等の各ゴムが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン系樹脂が複数の成分を含有する場合、各成分の合計が100質量%となるように、各成分の含有率が適宜に調製され、好ましくは下記範囲内から選択される。
ポリエチレンの配合量は、ポリオレフィン系樹脂中、0〜95質量%であることが好ましく、0〜60質量%であることがより好ましい。
ポリプロピレンの配合量は、ポリオレフィン系樹脂中、0〜50質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体の配合量は、ポリオレフィン系樹脂中、0〜95質量%であることが好ましく、0〜80質量%であることがより好ましい。
酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有する共重合体の配合量は、ポリオレフィン系樹脂中、0〜80質量%であることが好ましく、0〜50質量%であることがより好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としてこれらを用いる場合、ポリオレフィン系樹脂中の配合量は、0.5〜30質量部であることが好ましい。
エラストマーの配合量は、ポリオレフィン系樹脂中、0〜95質量%であることが好ましく、0〜80質量%であることがより好ましい。
エチレンゴムの配合量は、ポリオレフィン系樹脂中、0〜95質量%であることが好ましく、0〜80質量%であることがより好ましい。
オイルの配合量は、ポリオレフィン系樹脂中、0〜60質量%であることが好ましく、0〜40質量%であることがより好ましい。
本発明において、オイルはポリオレフィン系樹脂に含まれるものとする。
有機過酸化物は、少なくとも熱分解によりラジカルを発生して、触媒としてシランカップリング剤のポリオレフィン系樹脂へのグラフト化反応を生起させる働きをする。
本発明に用いられる有機過酸化物としては、ラジカルを発生させるものであれば特に制限はなく、例えば、一般式:R1−OO−R2、R1−OO−C(=O)R3、R4C(=O)−OO(C=O)R5で表される化合物が好ましい。ここで、R1、R2、R3、R4及びR5は各々独立にアルキル基、アリール基、アシル基を表す。このうち、本発明においては、R1、R2、R3、R4及びR5がいずれもアルキル基であるか、いずれかがアルキル基で残りがアシル基であるものが好ましい。
本発明において、有機過酸化物の分解温度とは、単一組成の有機過酸化物を加熱したとき、ある一定の温度又は温度域でそれ自身が2種類以上の化合物に分解反応を起こす温度を意味する。具体的には、DSC法等の熱分析により、窒素ガス雰囲気下で5℃/minの昇温速度で、室温から加熱したとき、吸熱又は発熱を開始する温度をいう。
本発明に用いるシリカとしては、特に限定されず、結晶性シリカ、非結晶性シリカ、また、溶融法で製造されたシリカ、湿式法で製造されたシリカ、乾式法で製造されたシリカ等のいずれも用いることができる。シリカとしては結晶性シリカが好ましい。シリカを大量に用いる場合は、溶融法で製造された結晶性シリカがよい。溶融法で製造されたシリカとしては、龍森社、電気化学工業社等から市販されているものを用いることができる。湿式法で製造されたシリカとしては、日本アエロジル社、東ソー社等から販売されているものを用いることができる。
シリカは、シランカップリング剤やその他の表面処理剤で表面処理されたものを用いてもよく、無処理のものを用いてもよい。
シリカのBET比表面積Yi(m2/g)は、JIS Z 8830:2013の「キャリアガス法」に準拠して、吸着質として窒素ガスを用いて、測定される値である。例えば、比表面積・細孔分布測定装置「フローソーブ」(島津製作所社製)を用いて測定した値である。
本発明においては、シリカ以外の無機フィラーを、目的とする効果を損なわない範囲で、用いることができる。シリカ以外の無機フィラーとしては、特に限定されることなく、例えば、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミニウムウイスカ、水和ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の水酸基あるいは結晶水を有する金属化合物のよう金属水和物が挙げられる。他にも、窒化ホウ素、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、タルク、ホウ酸亜鉛、ホワイトカーボン、カオリン、ホウ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛が挙げられる。
シリカ以外の無機フィラーのうち、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム(ベーマイト)、カオリン、ホウ酸亜鉛、焼成クレー、タルクの少なくとも1種が好ましい。
シリカ以外の無機フィラーのBET比表面積Yi(m2/g)は、特に限定されない。例えば、0.3〜20m2/gが好ましい。
シリカ以外の無機フィラーは、1種類を単独で配合してもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
表面処理剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、シランカップリング剤、リン酸エステル、チタネートカップリング剤、コロイダルシリカ等が挙げられる。
本発明に用いるシランカップリング剤(加水分解性シラノール化合物ともいう)としては、特に限定されるものではなく、従来、シラン架橋法に使用されているシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤は、例えば下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
シランカップリング剤は、そのままで用いても、溶媒等で希釈して用いてもよい。
シラノール縮合触媒は、ポリオレフィン系樹脂にグラフト化されたシランカップリング剤を水分の存在下で縮合反応させる働きがある。このシラノール縮合触媒の働きに基づき、シランカップリング剤を介して、樹脂成分同士が架橋される。その結果、優れた耐熱性を有する架橋樹脂成形体が得られる。
本発明に用いるキャリア樹脂としては、特に限定されず、上記ポリオレフィン系樹脂と同様のものを用いることができる。好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレンである。キャリア樹脂は、エチレンゴム、スチレン系エラストマー等の樹脂成分やオイルを含んでいてもよい。
キャリア樹脂は、工程(a)においてポリオレフィン系樹脂の一部を用いる場合、ポリオレフィン系樹脂の残部を用いることができる。
本発明において、「ポリオレフィン系樹脂の一部」とは、ポリオレフィン系樹脂のうち工程(a)で使用する樹脂の一部をいう。この一部には、ポリオレフィン系樹脂そのものの一部(ポリオレフィン系樹脂と同一組成を有する)、ポリオレフィン系樹脂を構成する樹脂成分の一部(例えば、特定の樹脂成分の全量未満)、及び、ポリオレフィン系樹脂を構成する一部の樹脂成分(例えば、複数の樹脂成分のうちの特定の樹脂成分全量)を包含する。
また、「ポリオレフィン系樹脂の残部」とは、ポリオレフィン系樹脂のうち工程(a)で使用する一部を除いた残りのポリオレフィン系樹脂をいう。この残部には、ポリオレフィン系樹脂そのものの残部(ポリオレフィン系樹脂と同一組成を有する)、ポリオレフィン系樹脂を構成する樹脂成分の残部、及び、ポリオレフィン系樹脂を構成する残りの樹脂成分を包含する。
架橋樹脂成形体及び架橋性樹脂組成物は、電線、電気ケーブル、電気コード、自動車用部材、建築部材、雑貨、シート、発泡体、チューブ、パイプにおいて、一般的に使用されている各種の添加剤を、目的とする効果を損なわない範囲で適宜配合してもよい。このような添加剤としては、例えば、架橋助剤、酸化防止剤、滑剤、金属不活性剤、難燃(助)剤や他の樹脂等が挙げられる。
滑剤としては、炭化水素、シロキサン、脂肪酸、脂肪酸アミド、エステル、アルコール、金属石けん等の各滑剤が挙げられる。
本発明の製造方法において、工程(1)は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.02〜0.6質量部と、シリカ0.1〜140質量部と、シランカップリング剤2〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを混合する工程である。これにより、混合物として架橋性樹脂組成物が得られる。
シリカの配合量は、上記式(I)で規定されるX値が5〜1000を満たす限り、少なくできる。例えば、上記式(I)で規定されるX値を満たし、上記特性を保持しつつ、軽量な架橋樹脂成形体を製造できる点で、シリカの配合量は、0.1〜60質量部であることが好ましく、0.3〜10質量部であることがさらに好ましい。
式(I):X=ΣA/B
式中、ΣAはシリカのBET比表面積Yi(m2/g)とシリカの配合量Ziとの積の合計量を表す。したがって、複数のシリカを用いる場合、各シリカの、BET比表面積Yiと配合量Ziとの積の合計量をΣAとする。Bはシランカップリング剤の配合量を表す。
シリカの配合量Zi及びシランカップリング剤の配合量は、工程(1)における、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する割合(質量部)である。
その作用のメカニズムはまだ定かではないが次のように推定される。
工程(1)において、ポリオレフィン系樹脂は、有機過酸化物の存在下、シリカ及びシランカップリング剤と共に有機過酸化物の分解温度以上で加熱混練される。これにより、有機過酸化物が分解してラジカルを発生して、ポリオレフィン系樹脂に対してシランカップリング剤によるグラフト化が起こる。また、このときの加熱により、部分的には、シランカップリング剤とシリカの表面での水酸基等の基との共有結合による化学結合の形成反応も促進される。
この状態で、有機過酸化物を加えて混練りを行うと、シリカとの結合が異なるシランカップリング剤がポリオレフィン系樹脂にグラフト反応した少なくとも2種のシラン架橋性樹脂が形成される。
一方、X値が大きくなりすぎて1050を超えると、シランカップリング剤に対するシリカの表面積が大きくなり、シリカに対してシランカップリング剤が強い結合で結合してしまう。したがって、シリカに対して弱い結合で結合しているシランカップリング剤をほとんど形成できなくなる。このため、シラングラフト反応が生じにくくなり、耐熱性が維持できず、又は、架橋剤によってポリマー鎖同士が結合してしまう。その結果、得られる架橋樹脂成形体は、耐熱性、場合によっては外観又は機械特性が劣るものとなることがある。
工程(1)においては、上記成分の他に用いることができる他の樹脂や上記添加物の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で、適宜に設定される。
工程(1)においては、架橋助剤を実質的に混合しないのが好ましい。ここで、実質的に含有しない又は混合されないとは、架橋助剤を積極的に添加又は混合しないことを意味し、不可避的に含有又は混合されることを除外するものではない。
工程(a):有機過酸化物と、下記式(I)で規定されるX値が5〜1000を満たすシリカと、シランカップリング剤とを混合する工程
式(I) X=ΣA/B
(式中、ΣAはシリカのBET比表面積(m2/g)×シリカの配合量の合計量を表し、Bはシランカップリング剤の配合量を表す。)
工程(b):工程(a)で得られた混合物とポリオレフィン系樹脂の全部又は一部を有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合する工程
工程(c):シラノール縮合触媒とキャリア樹脂として前記ポリオレフィン系樹脂と異なる樹脂又は前記ポリオレフィン系樹脂の残部をする工程
工程(d):工程(b)で得られた溶融混合物と、工程(c)で得られた混合物とを、ポリオレフィン系樹脂の溶融温度以上の温度で溶融混合する工程
工程(a)において、上記温度が保持されている限り、ポリオレフィン系樹脂が存在していてもよい。
混練方法としては、ゴム、プラスチック等で通常用いられる方法であればよい。混練装置としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等が用いられる。
キャリア樹脂は、工程(b)でポリオレフィン系樹脂の一部を用いる場合には、ポリオレフィン系樹脂の残部を用いることができる。この場合、ポリオレフィン系樹脂は、工程(b)において好ましくは99〜40質量部、より好ましくは98.5〜60質量部が配合され、工程(c)において好ましくは1〜60質量部、より好ましくは1.5〜40質量部が配合される。本発明において、工程(b)及び工程(c)の両工程で用いたポリオレフィン系樹脂の合計100質量部が各成分の配合量の基準となる。
混合温度は、ポリオレフィン系樹脂又はキャリア樹脂の溶融温度以上の温度であればよく、150〜230℃が好ましい。
溶融混合は、例えば工程(b)の溶融混合と同様に行うことができる。
工程(1)は、工程(a)〜(d)を同時又は連続して行うことができる。
この工程(2)は、工程(d)と同時に又は連続して、行うことができる。すなわち、工程(d)の溶融混合の一実施態様として、溶融成形の際、例えば押出成形の際に、又は、その直前に、成形原料を溶融混合する態様が挙げられる。例えば、絶縁電線等を製造する場合、シランマスターバッチと架橋促進マスターバッチとの成形材料を例えば被覆装置内で溶融混合し、次いで、例えば導体等の外周面に押出被覆して所望の形状に成形する一連の工程を採用できる。
工程(3)は、成形体を、湿熱処理、温水処理、常温水への浸漬又は常温で放置することにより、ポリオレフィン系樹脂にグラフト処理されたシランカップリング剤を水分で加水分解して、架橋を促進することができる。接触時間等の接触条件は適宜設定することができる。
その場合、ベース樹脂(ポリオレフィン系樹脂)にもよるものの、シリカの配合量を10質量部以下に設定することにより、比重を、例えば、1.0g/cm3以下、さらには0.95g/cm3以下の、非常に低比重の成形体を得ることが可能となる。
すなわち、ポリオレフィン系樹脂との混練り前及び/又は混練り時に、シリカに対してさらにシランカップリング剤を混合することにより、混練り時のシランカップリング剤の揮発を抑えることができる。そのため、耐熱性シラン架橋樹脂成形体の耐熱性及び外観の低下を防止できる。加えて、シリカに対して強い水素結合で結びつくシランカップリング剤と、弱い結合で結びつくシランカップリング剤を形成することができる。
ここで、シリカとシランカップリング剤との関係が重要であることは、上記の通りである。
一方、シリカと弱い結合をしているシランカップリング剤は、シリカから離脱してポリオレフィン系樹脂とグラフト反応により結合する(反応m)。この(反応m)によりポリオレフィン系樹脂にグラフトしたシランカップリング剤は、その後、シラノール縮合触媒と混合され、水分と接触することにより縮合反応が生じ、シロキサン結合による架橋が生じる(反応n)。
したがって、これらの結合を制御することにより、架橋度や力学的強度、さらには摩耗性、耐外傷性、補強性を制御することができる。
本発明の成形品として、例えば、耐熱難燃絶縁電線等の電線又は耐熱難燃ケーブルの被覆材料、ゴム代替電線・ケーブルの材料、その他耐熱難燃電線部品、難燃耐熱シート、難燃耐熱フィルム等、自動車用機構部品、自動車用クッション材、電源プラグ、コネクター、パッキン、クッション材、防震材、ボックス、テープ基材、チューブ、シート、電気・電子機器の内部及び外部配線に使用される配線材、電線の絶縁体、シース等が挙げられる。
また、ボックス、各種部品等に射出成形する場合、成形材料を射出成形機に導入し、射出成形することにより、得ることができる。
これらの成形体を、常温放置や湿熱放置、温水処理等水分と接触させて架橋をさせることにより高い耐熱性を維持することが可能となる。
これらの成形品の厚さは、用途等に応じて一概に決定されないが、通常0.1〜50mm程度である。
なお、表1〜表4において、各例における配合に関する数値は特に断らない限り質量部を表す。
<ポリオレフィン系樹脂>
(ポリエチレン:PE)
「エボリューSP0540F」(商品名、プライムポリマー社製、直鎖状メタロセンポリエチレン(LLDPE))
「UE320」(ノバテックPE(商品名)、日本ポリエチレン社製、直鎖型低密度ポリエチレン(LLDPE))
(エチレン−酢酸ビニル共重合体:EVA)
「V5274」(エバフレックスV5274(商品名)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量17質量%、三井・デュポンケミカル社製)
(ポリプロピレン:PP)
「PB222A」(商品名、サンアロマー社製、ランダムポリプロピレン)
(エチレン−プロピレン−ジエンゴム:EPDM)
「ノーデル IP−4760P」(商品名、ダウ・ケミカル社製)
「ノーデル IP−4520P」(商品名、ダウ・ケミカル社製)
(スチレン系エラストマー:SEPS)
「セプトン4077」(商品名、クラレ社製、SEPS、スチレン含有量30質量%)
(オイル:OIL)
「ダイアナプロセスオイルPW−90」(商品名、出光興産社製、パラフィンオイル)
「アエロジル200」(商品名、日本アエロジル社製、親水性フュームドシリカ、非結晶性シリカ、BET比表面積Yi:200m2/g)
「クリスタライト5X」(商品名、龍森社製、結晶性シリカ、BET比表面積Yi:12m2/g)
「アエロジル90」(商品名、日本アエロジル社製、親水性フュームドシリカ、非結晶性シリカ、BET比表面積Yi:90m2/g)
「アエロジルOX50」(商品名、日本アエロジル社製、親水性フュームドシリカ、非結晶性シリカ、BET比表面積Yi:50m2/g)
「SFP−20M」(商品名、電気化学工業社製、結晶性シリカ、BET比表面積Yi:11.3m2/g)
「SFP−30M」(商品名、電気化学工業社製、結晶性シリカ、BET比表面積Yi:6.2m2/g)
(炭酸カルシウム)
「ソフトン2200」(商品名、備北粉化工業社製、BET比表面積2.2m2/g)
(水酸化マグネシウム)
「キスマ5L」(商品名、協和化学社製、BET比表面積5.8m2/g)
(水酸化アルミニウム)
「ハイジライトH42M」(商品名、昭和電工社製、BET比表面積5m2/g)
(タルク)
「k−1タルク」(商品名、日本タルク工業社製、BET比表面積Yi:7m2/g)
「KBM1003」(商品名、信越化学工業社製、ビニルトリメトキシシラン)
<有機過酸化物>
「パーヘキサ25B」(商品名、日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、分解温度149℃)
<シラノール縮合触媒>
「アデカスタブOT−1」(商品名、ADEKA社製、ジオクチルスズジラウリレート)
「イルガノックス1010」(商品名、BASF社製、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート])
各例において、ポリオレフィン系樹脂の一部(ポリオレフィン系樹脂の全量に対して25質量部)を架橋促進マスターバッチ(架橋促進MBということがある)のキャリア樹脂として用いた。このキャリア樹脂は、ポリオレフィン系樹脂を構成する樹脂成分の1つであるポリエチレン「UE320」とした。
次に、得られた混合物と、表1〜表4の「組成P」欄に示す残りの成分を、表1〜表4の「組成P」欄に示す配合割合で、日本ロール製2Lバンバリーミキサーに、投入した。このミキサーで、回転数35rpmで約12分混練り後、材料排出温度180〜190℃で排出し、シランマスターバッチ(シランMBということがある。)を得た。
表1〜表4の「組成P」欄には、各成分の配合量に加えて、上記式(I)で規定されるX等を示した。
また、押出機を用いて同様にして、シランMBと架橋促進MBを、1/0.8TA導体の外側に肉厚1mmで被覆し、外径2.8mmの電線を得た。
比較例1で製造した2種のシート及び絶縁電線は、いずれも、架橋樹脂成形体が発泡していた。
実施例1〜3、8及び9で製造した、厚さ2mmのシートの比重を測定した。
比重は、JIS K7221(A法)に基づいて、測定した。
各例で製造した、厚さ1mmのシートについて引張試験を行った。この引張試験は、架橋樹脂成形体シートから打ち抜いたJIS 3号ダンベル試験片を用いて、JIS K 6723に基づき、行った。測定温度25℃、標線間20mm、引張速度200mm/分で行い、引張強さ(MPa)及び伸び(%)を測定した。
引張強さは10MPa以上である場合が製品レベルとして合格であり、伸びは200%以上である場合が製品レベルとして合格である。
架橋樹脂成形体からなるシートの耐熱性として下記の加熱変形試験を行った。この加熱変形試験は、厚さ2mmのシートについて、JIS K 6723に規定の「加熱変形試験」に基づき、測定温度120℃、荷重5Nの条件下で、加熱変形率を測定した。
評価は、加熱変形率が、40%以下である場合を製品レベルとして合格とし、40%を超える場合を製品レベルとして不合格(表1〜表4において「C」で表す)とした。
表1〜表4において、シートの加熱変形試験の結果は、加熱変形率に加えて、下記評価記号を併記した。評価記号は、不合格である場合を「C」、加熱変形率が、35%を超え40%以下である場合を「B」、30%を超え35%以下である場合を「A」、30%以下である場合を「AA」で表した。
架橋樹脂成形体からなる被覆を有する絶縁電線の耐熱性として下記の加熱変形試験を行った。この加熱変形試験は、絶縁電線について、JIS C 3005に基づき、測定温度120℃、荷重5Nの条件で、厚さの減少率を測定した。
評価は、減少率が、50%以下である場合を製品レベルとして合格とし、50%を超える場合を製品レベルとして不合格とした。
表1〜表4において、絶縁電線の加熱変形試験の結果は、減少率に加えて、下記評価記号を併記した。評価記号は、不合格である場合を「C」、減少率が、40%を超え50%以下である場合を「B」、35%を超え40%以下である場合を「A」、35%以下である場合を「AA」で表した。
絶縁電線の押出外観特性は、絶縁電線を製造する際に押出外観を観察することで評価した。具体的には、スクリュー径30mm押出機にて線速15m/分で、シランMBと架橋促進MBとの溶融混合物を押し出した際に、電線の外観が良好だったものを「A」、外観がやや悪かったものを「B」、外観が著しく悪かったものを「C」とした。「A」及び「B」が製品レベルとして合格である。
実施例1〜25により、いずれも、優れた、耐熱性、外観及び機械特性を兼ね備えた架橋樹脂成形体からなるシート、及び、この架橋樹脂成形体からなる被覆を有する絶縁電線を製造できた。特に、シリカの配合量がポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.3〜60質量部という少量であっても、所期の耐熱性を十分に発揮する、シート及び絶縁電線を製造できた。
また、上記式(I)で規定されるX値が上記好ましい範囲内となるようにシリカとシランカップリング剤とを併用すると、架橋樹脂成形体の外観及び機械特性を損なうことなく、耐熱性をさらに向上できた。
さらに、実施例1〜3、8及び9で製造されたシートは、比重が小さく、軽量であった。実施例1〜3、8及び9で製造した絶縁電線、並びに、実施例1〜3、8及び9以外の実施例で製造したシート及び絶縁電線においても、同様に軽量化が可能になる。
比較例4は、シランカップリング剤の配合量が少なく、加熱変形試験が不合格であった。
Claims (9)
- 下記工程(1)、工程(2)及び工程(3)
工程(1):ポリエチレンを35〜95質量%含有するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.02〜0.6質量部と、シリカ0.3〜12質量部と、エチレン性不飽和基を含有する基を含むシランカップリング剤2〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含む架橋性樹脂組成物を得る工程
工程(2):前記工程(1)で得られた前記架橋性樹脂組成物を成形して成形体を得る工程
工程(3):前記工程(2)で得られた成形体を水と接触させて架橋樹脂成形体を得る工程
を有する架橋樹脂成形体の製造方法であって、
前記工程(1)が、下記工程(a)〜工程(d)を有する、
工程(a):前記有機過酸化物と、下記式(I)で規定されるXが5〜1000を満たすシリカと、前記シランカップリング剤とを混合する工程
式(I) X=ΣA/B
(式中、ΣAはシリカのBET比表面積(m2/g)とシリカの配合量との積の合計量を表し、Bはシランカップリング剤の配合量を表す。)
工程(b):前記工程(a)で得られた混合物と前記ポリオレフィン系樹脂の全部又は一部を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチを得る工程
工程(c):前記シラノール縮合触媒とキャリア樹脂として前記ポリオレフィン系樹脂と異なる樹脂又は前記ポリオレフィン系樹脂の残部とを混合する工程
工程(d):前記工程(b)で得られたシランマスターバッチと、前記工程(c)で得られた混合物とを混合して、架橋性樹脂組成物を得る工程
架橋樹脂成形体の製造方法。 - 前記シランカップリング剤が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、4質量部を超え、15.0質量部以下の配合量で混合される請求項1に記載の架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記シリカが、結晶性シリカである請求項1又は2に記載の架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記シランカップリング剤が、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランである請求項1〜3のいずれか1項に記載の架橋樹脂成形体の製造方法。
- ポリエチレンを35〜95質量%含有するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.02〜0.6質量部と、シリカ0.3〜12質量部と、エチレン性不飽和基を含有する基を含むシランカップリング剤2〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含む架橋性樹脂組成物を得る工程を有する、架橋性樹脂組成物の製造方法であって、
前記混合する工程が、下記工程(a)〜工程(d)を有する、
工程(a):前記有機過酸化物と、下記式(I)で規定されるXが5〜1000を満たすシリカと、前記シランカップリング剤とを混合する工程
式(I) X=ΣA/B
(式中、ΣAはシリカのBET比表面積(m2/g)とシリカの配合量との積の合計量を表し、Bはシランカップリング剤の配合量を表す。)
工程(b):前記工程(a)で得られた混合物と前記ポリオレフィン系樹脂の全部又は一部を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチを得る工程
工程(c):前記シラノール縮合触媒とキャリア樹脂として前記ポリオレフィン系樹脂と異なる樹脂又は前記ポリオレフィン系樹脂の残部とを混合する工程
工程(d):前記工程(b)で得られたシランマスターバッチと、前記工程(c)で得られた混合物とを混合して、架橋性樹脂組成物を得る工程
架橋性樹脂組成物の製造方法。 - 請求項5に記載の架橋性樹脂組成物の製造方法により製造されてなる架橋性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋樹脂成形体の製造方法により製造されてなる架橋樹脂成形体。
- 請求項7に記載の架橋樹脂成形体を含む成形品。
- ポリエチレンを35〜95質量%含有するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.02〜0.6質量部と、シリカ0.3〜12質量部と、エチレン性不飽和基を含有する基を含むシランカップリング剤2〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより得られる、シラン架橋性樹脂を含む架橋性樹脂組成物の製造に用いられるシランマスターバッチであって、
下記工程(a)及び工程(b)
工程(a):前記有機過酸化物と、下記式(I)で規定されるXが5〜1000を満たすシリカと、前記シランカップリング剤とを混合する工程
式(I) X=ΣA/B
(式中、ΣAはシリカのBET比表面積(m2/g)とシリカの配合量との積の合計量を表し、Bはシランカップリング剤の配合量を表す。)
工程(b):前記工程(a)で得られた混合物と前記ポリオレフィン系樹脂の全部又は一部を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させる工程
により得られるシランマスターバッチ。
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