JP6325413B2 - 架橋樹脂成形体及び架橋性樹脂組成物とそれらの製造方法、シランマスターバッチ、並びに、成形品 - Google Patents

架橋樹脂成形体及び架橋性樹脂組成物とそれらの製造方法、シランマスターバッチ、並びに、成形品 Download PDF

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Description

本発明は、架橋樹脂成形体及び架橋性樹脂組成物とそれらの製造方法、シランマスターバッチ、並びに、成形品に関する。さらに詳しくは、高耐熱性を維持しつつ外観及び機械特性に優れ、さらに好ましくは軽量化可能な架橋樹脂成形体及びその製造方法、この架橋樹脂成形体を形成可能な、シランマスターバッチ、架橋性樹脂組成物及びその製造方法、並びに、架橋樹脂成形体を、絶縁体やシースとして用いた電線、ゴムグロメット、ゴムホース又は防振ゴム等の成形品に関する。
電線、ゴムホース(ゴムチューブともいう)、タイヤ、グロメットや防振ゴム等のゴム製品は、柔軟性、弾力性、反発性、永久圧縮性等の物性又は特性が求められる各部材として、幅広く使用されている。
これらのゴム製品を形成するゴム材料として、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレンブチレンゴム(SBR)、ニトリルブチレンゴム(NBR)、フッ素ゴム等の幅広いゴム材料が使用されている。
また、架橋ポリエチレン材料は、その耐熱性を生かして、種々のケーブルの被覆材や部材として、幅広く使用されている。
これらのゴム材料や架橋ポリエチレンは、次のようにして、ゴム製品に製造される。すなわち、予め有機過酸化物やフェノール化合物等の架橋剤をゴム中に配合し、これらの架橋剤が十分に反応しない状態で成形する。その後、この未架橋成形体を加熱することにより架橋し、冷却して、ゴム弾性や柔軟性を有する架橋成形体を得る。
例えば、電線を連続的に生産する場合、ゴム材料等を120℃以下の低温度で成形し、その状態で例えば蒸気等で暖められた加硫管に通して架橋し、さらに水等で冷やされた冷却管を通す。
このように、上記ゴム材料や架橋ポリエチレンを用いる場合、これらのゴム材料等を成形する際には、架橋剤が反応しない温度で成形し、その後、成形状態を保ちつつ架橋剤が分解、反応する温度で十分に加熱して架橋を進め、それを冷却することが要求される。そのため、製造時間に長い時間を要する。
また、一般的に架橋剤が反応しない温度でゴム材料等を成形しなければならず、射出成形等の特定の方法で成形するのは難しいという問題があった。
これらの問題を改善する方法として、熱可塑性エラストマーや特許文献1〜3に示されるブロック共重合体等をベース樹脂とし、軟化剤として非芳香族系ゴム用軟化剤を加えたビニル芳香族系熱可塑性エラストマー組成物を、シラン表面処理された金属水和物を介して有機パーオキサイドを用いて動的架橋する方法が提案されている。
しかし、これらの熱可塑性エラストマーは、柔軟性は有するものの、高い温度では溶融して、ゴム製品として使用できない。
ところで、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂を架橋する方法として、電子線を用いる電子線架橋法や、シラン架橋法等が挙げられる。
しかし、電子線架橋法は、設備費用が非常に高いのみならず、製造できる成形体の厚さに制限があり、種々のゴム製品に使用することはできない。
一方、シラン架橋法は、有機パーオキサイドの存在下でシランカップリング剤をシラングラフト反応させてシラングラフトポリマーを得た後に、シラノール縮合触媒の存在下で水分と接触させることにより、架橋成形体を得る方法である。このシラン架橋法は、特殊な設備を要しないことが多い。
したがって、上記の架橋法の中でも、特にシラン架橋法は幅広い分野で使用されている。
一般に、樹脂にフィラーを混合する場合、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー又は2軸押出機が使用される。
ところが、フィラーを含有した樹脂をシラン架橋法により架橋させる場合、ニーダーやバンバリーミキサーを用いると、シランカップリング剤は揮発性が高く、シラングラフト反応前に揮発してしまう。そのため、シラングラフトポリマーとフィラーとを含有するシランマスターバッチを作製することが困難となる。また、2軸押出機を用いる場合においても、樹脂圧制御が難しく、また発泡を生じやすいという問題がある。
そこで、バンバリーミキサーやニーダーにて、シランマスターバッチを製造する場合、ポリオレフィンと難燃剤や補強材等のフィラーを溶融混合したマスターバッチにシランカップリング剤を加え、単軸押出機にてポリオレフィンにシランカップリング剤をシラングラフト反応させる方法が考えられる。しかし、この方法では、外観不良が生じることがある。また、マスターバッチに老化防止剤を含有させると、シラングラフト反応の阻害が起こり、所望の耐熱性を得ることができないことがある。
別の方法として、特許文献4には、オレフィン系樹脂にシランカップリング剤で表面処理した無機フィラー、シランカップリング剤、有機過酸化物、架橋触媒をニーダーにて溶融混練、単軸押出機にて成形する方法が記載されている。
しかし、この方法では、ニーダーでの溶融混練中に、オレフィン樹脂同士等が架橋してしまい外観不良を引き起こす。加えて、無機フィラーを表面処理したシランカップリング剤以外のシランカップリング剤の大部分が揮発し、又はシランカップリング剤同士が縮合してしまう。そのため、所望の耐熱性を得ることができないばかりか、シランカップリング剤同士の縮合が外観悪化の要因となるおそれがある。
上記方法においては、いずれも、ゴム製品に所期の特性、例えば機械特性、耐摩耗性、難燃性を発揮させるため、フィラー等を多量に配合する必要がある。
特開2000−143935号公報 特開2000−315424号公報 特開2001−240719号公報 特開2001−101928号公報
本発明は、上記の問題点を解決し、シランカップリング剤の揮発を抑えて製造された、高耐熱性を維持しつつ外観及び機械特性に優れ、さらに好ましくは軽量化可能な架橋樹脂成形体及びその製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、この架橋樹脂成形体を形成可能な、シランマスターバッチ、架橋性樹脂組成物及びその製造方法を提供することを課題とする。
さらに、本発明は、架橋樹脂成形体を含む成形品を提供することを課題とする。
本発明者らは、シリカの存在下にシランカップリング剤をポリオレフィン系樹脂にグラフト反応させる際に、シランカップリング剤及びシリカを下記式(I)で規定されるX値が特定の値を満たす条件で併用すると、シランカップリング剤の揮発を防止して、耐熱性、外観及び機械特性をバランスよく兼ね備えた架橋樹脂成形体を製造でき、さらには軽量化も可能になることを見出した。本発明者らはこれらの知見に基づきさらに研究を重ね、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の課題は以下の手段によって達成された。
<1>下記工程(1)、工程(2)及び工程(3)
工程(1):ポリエチレンを35〜95質量%含有するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.02〜0.6質量部と、シリカ0.3〜12質量部と、エチレン性不飽和基を含有する基を含むシランカップリング剤2〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含む架橋性樹脂組成物を得る工程
工程(2):前記工程(1)で得られた前記架橋性樹脂組成物を成形して成形体を得る工程
工程(3):前記工程(2)で得られた成形体を水と接触させて架橋樹脂成形体を得る工程
を有する架橋樹脂成形体の製造方法であって、
前記工程(1)が、下記工程(a)〜工程(d)を有する、
工程(a):前記有機過酸化物と、下記式(I)で規定されるX(以下、X値ということがある。)が5〜1000を満たす前記シリカと、前記シランカップリング剤とを混合する工程
式(I) X=ΣA/B
(式中、ΣAはシリカのBET比表面積(m/g)とシリカの配合量との積の合計量を表し、Bはシランカップリング剤の配合量を表す。)
工程(b):前記工程(a)で得られた混合物と前記ポリオレフィン系樹脂の全部又は一部を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチを得る工程
工程(c):前記シラノール縮合触媒とキャリア樹脂として前記ポリオレフィン系樹脂と異なる樹脂又は前記ポリオレフィン系樹脂の残部とを混合する工程
工程(d):前記工程(b)で得られたシランマスターバッチと、前記工程(c)で得られた混合物とを混合して、架橋性樹脂組成物を得る工程
架橋樹脂成形体の製造方法。
<2>前記シランカップリング剤が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、4質量部を超え、15.0質量部以下の配合量で混合される<1>に記載の架橋樹脂成形体の製造方法。
<3>前記シリカが、結晶性シリカである<1>又は<2>に記載の架橋樹脂成形体の製造方法。
<4>前記シランカップリング剤が、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランである<1>〜<3>のいずれか1項に記載の架橋樹脂成形体の製造方法。
<5>ポリエチレンを35〜95質量%含有するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.02〜0.6質量部と、シリカ0.3〜12質量部と、エチレン性不飽和基を含有する基を含むシランカップリング剤2〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含む架橋性樹脂組成物を得る工程を有する架橋性樹脂組成物の製造方法であって、
前記混合する工程が、下記工程(a)〜工程(d)を有する、
工程(a):前記有機過酸化物と、下記式(I)で規定されるXが5〜1000を満たすシリカと、前記シランカップリング剤とを混合する工程
式(I) X=ΣA/B
(式中、ΣAはシリカのBET比表面積(m/g)とシリカの配合量との積の合計量を表し、Bはシランカップリング剤の配合量を表す。)
工程(b):前記工程(a)で得られた混合物と前記ポリオレフィン系樹脂の全部又は一部を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチを得る工程
工程(c):前記シラノール縮合触媒とキャリア樹脂として前記ポリオレフィン系樹脂と異なる樹脂又は前記ポリオレフィン系樹脂の残部とを混合する工程
工程(d):前記工程(b)で得られたシランマスターバッチと、前記工程(c)で得られた混合物とを混合して、架橋性樹脂組成物を得る工程
架橋性樹脂組成物の製造方法。
<6>上記<5>に記載の架橋性樹脂組成物の製造方法により製造されてなる架橋性樹脂組成物。
<7>上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の架橋樹脂成形体の製造方法により製造されてなる架橋樹脂成形体。
<8>上記<7>に記載の架橋樹脂成形体を含む成形品。
<9>ポリエチレンを35〜95質量%含有するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.02〜0.6質量部と、シリカ0.3〜12質量部と、エチレン性不飽和基を含有する基を含むシランカップリング剤2〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより得られる、シラン架橋性樹脂を含む架橋性樹脂組成物の製造に用いられるシランマスターバッチであって、
下記工程(a)及び工程(b)
工程(a):前記有機過酸化物と、下記式(I)で規定されるXが5〜1000を満たすシリカと、前記シランカップリング剤とを混合する工程
式(I) X=ΣA/B
(式中、ΣAはシリカのBET比表面積(m/g)とシリカの配合量との積の合計量を表し、Bはシランカップリング剤の配合量を表す。)
工程(b):前記工程(a)で得られた混合物と前記ポリオレフィン系樹脂の全部又は一部を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させる工程
により得られるシランマスターバッチ。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明により、ポリオレフィン系樹脂との混練り前及び/又は混練り時に、シリカとシランカップリング剤とを混合することにより、混練り時のシランカップリング剤の揮発を抑えることができ、簡易に効率的に架橋樹脂成形体を製造できる。しかも、特定のシリカをシランカップリング剤と併用することにより、従来のシラン架橋法が有する課題を克服し、耐熱性、外観及び機械特性に優れた架橋樹脂成形体を製造できる。さらには軽量な架橋樹脂成形体を製造できる。
したがって、本発明により、シランカップリング剤の揮発を抑えて製造した、高耐熱性を維持しつつ外観及び機械特性に優れ、さらに好ましくは軽量化可能な架橋樹脂成形体及びその製造方法を提供できる。
また、本発明により、このような特性に優れた架橋樹脂成形体を形成可能な、シランマスターバッチ、架橋性樹脂組成物及びその製造方法を提供できる。
さらには、上記特性に優れた架橋樹脂成形体を含む成形品を提供できる。
以下に本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明する。
本発明の「架橋樹脂成形体の製造方法」及び本発明の「架橋性樹脂組成物の製造方法」は、いずれも、少なくとも下記工程(1)を行う。また、本発明の「シランマスターバッチ」は、下記工程(a)及び工程(b)により製造される。
したがって、本発明の「架橋樹脂成形体の製造方法」及び本発明の「架橋性樹脂組成物の製造方法」(両者の共通部分の説明においては、これらを併せて、本発明の製造方法ということがある。)を、併せて、以下に説明する。また、本発明の「シランマスターバッチ」の製造方法のうち本発明の製造方法との共通部分は、併せて、説明する。
工程(1):ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.02〜0.6質量部と、シリカ0.1〜140質量部と、シランカップリング剤2〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを混合して混合物を得る工程
工程(2):前記工程(1)で得られた混合物を成形して成形体を得る工程
工程(3):前記工程(2)で得られた成形体を水と接触させて架橋樹脂成形体を得る工程
工程(1)は、下記工程(a)、工程(b)、工程(c)及び工程(d)を有する。
工程(a):有機過酸化物と、下記式(I)で規定されるX値が5〜1000を満たすシリカと、シランカップリング剤とを混合する工程
式(I) X=ΣA/B
(式中、ΣAはシリカのBET比表面積(m/g)×シリカの配合量の合計量を表し、Bはシランカップリング剤の配合量を表す。)
工程(b):工程(a)で得られた混合物とポリオレフィン系樹脂の全部又は一部を有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合する工程
工程(c):シラノール縮合触媒とキャリア樹脂としてポリオレフィン系樹脂と異なる樹脂又は前記ポリオレフィン系樹脂の残部を混合する工程
工程(d):工程(b)で得られた溶融混合物と、工程(c)で得られた混合物とを混合する工程
まず、本発明において用いる各成分について説明する。
<ポリオレフィン系樹脂>
本発明に用いるポリオレフィン系樹脂は、特に限定されるものではなく、上記ゴム製品を形成する、成形材料、ゴム材料、ケーブル材料等に使用される樹脂等が挙げられる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−α−オレフィン共重合体、酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有する共重合体からなる各樹脂、これら重合体からなるゴム若しくはエラストマー等が挙げられる。
この中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−(メタ)アルキル酸エステル共重合体若しくはエチレン−酢酸ビニル共重合体等の各樹脂、又は、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム若しくはエチレン−ブテンゴム等の各ゴムが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン系樹脂が複数の成分を含有する場合、各成分の合計が100質量%となるように、各成分の含有率が適宜に調製され、好ましくは下記範囲内から選択される。
ポリエチレンとしては、特に限定されず、例えば、エチレンのみからなる単独重合体、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)、直鎖型低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)が挙げられる。なかでも、直鎖型低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンが好ましい。
ポリエチレンの配合量は、ポリオレフィン系樹脂中、0〜95質量%であることが好ましく、0〜60質量%であることがより好ましい。
ポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体、ランダムポリプロピレン等のエチレン−プロピレン共重合体及びブロックポリプロピレンを包含する。
ポリプロピレンの配合量は、ポリオレフィン系樹脂中、0〜50質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体としては、特に限定されず、好ましくは、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンの具体例としては、特に限定されず、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体としては、特に限定されず、具体的には、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−ブチレン共重合体(EBR)、及びシングルサイト触媒存在下に合成されたエチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体の配合量は、ポリオレフィン系樹脂中、0〜95質量%であることが好ましく、0〜80質量%であることがより好ましい。
酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有する共重合体としては、特に限定されず、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重合体等が挙げられる。この中でも、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体が好ましく、さらにはシリカへの受容性及び難燃性の点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。
酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有する共重合体の配合量は、ポリオレフィン系樹脂中、0〜80質量%であることが好ましく、0〜50質量%であることがより好ましい。
また、ポリオレフィン系樹脂として、上記重合体等を不飽和カルボン酸で変性してなる樹脂、例えば無水マレイン酸変性ポリエチレン等のような酸無水物及びその変性物(酸変性樹脂)を、使用することができる。
ポリオレフィン系樹脂としてこれらを用いる場合、ポリオレフィン系樹脂中の配合量は、0.5〜30質量部であることが好ましい。
本発明に用いるエラストマーとしては、特に限定されず、例えば、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)等のスチレン系エラストマーが挙げられる。
エラストマーの配合量は、ポリオレフィン系樹脂中、0〜95質量%であることが好ましく、0〜80質量%であることがより好ましい。
本発明に用いるゴムは、特に限定されないが、エチレンゴムが好ましい。エチレンゴムは、エチレン性不飽和結合を有する化合物を共重合して得られる共重合体からなるゴム(エラストマーを含む)であれば特に限定されない。より好ましくは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレンとα−オレフィンとジエンとの三元共重合体からなるゴムが挙げられる。エチレンとα−オレフィンとの共重合体からなるゴムとして、例えば、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−オクテンゴム等が挙げられる。エチレンとα−オレフィンとジエンとの三元共重合体からなるゴムとしては、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテン−ジエンゴム等が挙げられる。
エチレンゴムの配合量は、ポリオレフィン系樹脂中、0〜95質量%であることが好ましく、0〜80質量%であることがより好ましい。
本発明において、ポリオレフィン系樹脂は、パラフィンオイル又はナフテンオイルを含有していてもよい。特に、上記ゴム(エチレンゴム)又はスチレン系エラストマーと、パラフィンオイル又はナフテンオイルとを併用するのがよい。オイルは、力学的強度の面から、パラフィンオイルが好ましい。
オイルの配合量は、ポリオレフィン系樹脂中、0〜60質量%であることが好ましく、0〜40質量%であることがより好ましい。
本発明において、オイルはポリオレフィン系樹脂に含まれるものとする。
樹脂は、上述の成分の他に、後述する添加剤、又は、上記樹脂成分以外の樹脂成分を含有していてもよい。
<有機過酸化物>
有機過酸化物は、少なくとも熱分解によりラジカルを発生して、触媒としてシランカップリング剤のポリオレフィン系樹脂へのグラフト化反応を生起させる働きをする。
本発明に用いられる有機過酸化物としては、ラジカルを発生させるものであれば特に制限はなく、例えば、一般式:R−OO−R、R−OO−C(=O)R、RC(=O)−OO(C=O)Rで表される化合物が好ましい。ここで、R、R、R、R及びRは各々独立にアルキル基、アリール基、アシル基を表す。このうち、本発明においては、R、R、R、R及びRがいずれもアルキル基であるか、いずれかがアルキル基で残りがアシル基であるものが好ましい。
このような有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド(DCP)、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド等を挙げることができる。これらのうち、臭気性、着色性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3が好ましい。
有機過酸化物の分解温度は、120〜190℃であるのが好ましく、125〜180℃であるのが特に好ましい。
本発明において、有機過酸化物の分解温度とは、単一組成の有機過酸化物を加熱したとき、ある一定の温度又は温度域でそれ自身が2種類以上の化合物に分解反応を起こす温度を意味する。具体的には、DSC法等の熱分析により、窒素ガス雰囲気下で5℃/minの昇温速度で、室温から加熱したとき、吸熱又は発熱を開始する温度をいう。
<シリカ>
本発明に用いるシリカとしては、特に限定されず、結晶性シリカ、非結晶性シリカ、また、溶融法で製造されたシリカ、湿式法で製造されたシリカ、乾式法で製造されたシリカ等のいずれも用いることができる。シリカとしては結晶性シリカが好ましい。シリカを大量に用いる場合は、溶融法で製造された結晶性シリカがよい。溶融法で製造されたシリカとしては、龍森社、電気化学工業社等から市販されているものを用いることができる。湿式法で製造されたシリカとしては、日本アエロジル社、東ソー社等から販売されているものを用いることができる。
シリカは、シランカップリング剤やその他の表面処理剤で表面処理されたものを用いてもよく、無処理のものを用いてもよい。
シリカのBET比表面積Yi(m/g)は、後述する式(I)で規定されるX値が下記範囲を満たす限り、特に限定されない。シリカ表面に結合するシランカップリング剤の量を低減させることなく、シリカの配合量を低減できる点で、シリカのBET比表面積は、2〜400m/gが好ましく、2〜350m/gがより好ましく、3〜300m/g、さらに好ましくは20〜350がさらに好ましい。
シリカのBET比表面積Yi(m/g)は、JIS Z 8830:2013の「キャリアガス法」に準拠して、吸着質として窒素ガスを用いて、測定される値である。例えば、比表面積・細孔分布測定装置「フローソーブ」(島津製作所社製)を用いて測定した値である。
シリカは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<シリカ以外の無機フィラー>
本発明においては、シリカ以外の無機フィラーを、目的とする効果を損なわない範囲で、用いることができる。シリカ以外の無機フィラーとしては、特に限定されることなく、例えば、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミニウムウイスカ、水和ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の水酸基あるいは結晶水を有する金属化合物のよう金属水和物が挙げられる。他にも、窒化ホウ素、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、タルク、ホウ酸亜鉛、ホワイトカーボン、カオリン、ホウ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛が挙げられる。
シリカ以外の無機フィラーのうち、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム(ベーマイト)、カオリン、ホウ酸亜鉛、焼成クレー、タルクの少なくとも1種が好ましい。
シリカ以外の無機フィラーのBET比表面積Yi(m/g)は、特に限定されない。例えば、0.3〜20m/gが好ましい。
シリカ以外の無機フィラーは、1種類を単独で配合してもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
無機フィラー(特段の断りがない限り、シリカを含む)は、表面処理されていてもよいし、無処理でもよい。
表面処理剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、シランカップリング剤、リン酸エステル、チタネートカップリング剤、コロイダルシリカ等が挙げられる。
無機フィラーが粉体の場合、その平均粒径は、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましく、0.6〜2.5μmであることがさらに好ましい。無機フィラーの平均粒径が上記範囲内にあると、架橋樹脂成形体に耐熱性を付与できる。平均粒径は、TEM、SEM等により測定した無機フィラー100個の粒径から求められる平均値をいう。
<シランカップリング剤>
本発明に用いるシランカップリング剤(加水分解性シラノール化合物ともいう)としては、特に限定されるものではなく、従来、シラン架橋法に使用されているシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤は、例えば下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006325413
一般式(1)中、Ra11はエチレン性不飽和基を含有する基、Rb11は脂肪族炭化水素基、水素原子又はY13である。Y11、Y12及びY13は加水分解しうる有機基である。Y11、Y12及びY13は互いに同じでも異なっていてもよい。
一般式(1)中、Ra11は、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシアルキレン基、p−スチリル基等を挙げることができ、好ましくはビニル基である。
b11は脂肪族炭化水素基、水素原子又は後述のY13であり、脂肪族炭化水素基としては、脂肪族不飽和炭化水素基を除く炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基が挙げられ、好ましくは後述のY13である。
11、Y12及びY13は加水分解しうる有機基であり、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基が挙げられ、アルコキシ基が好ましい。加水分解しうる有機基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、アシルオキシ等を挙げることができる。なかでも、反応性の点から、メトキシ又はエトキシが好ましい。
上記シランカップリング剤としては、好ましくは加水分解速度の速いシランカップリング剤、より好ましくはRb11がY13であり、かつY11、Y12及びY13が互いに同じであるシランカップリング剤である。具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルジメトキシエトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルジエトキシブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のオルガノシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のエチレン性不飽和基を末端に有するシランカップリング剤等を挙げることができる。これらのシランカップリング剤は単独又は2種以上併用してもよい。このような架橋性のシランカップリング剤の中でも、末端にビニル基とアルコキシ基を有するシランカップリング剤がさらに好ましく、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが特に好ましい。
シランカップリング剤は、そのままで用いても、溶媒等で希釈して用いてもよい。
<シラノール縮合触媒>
シラノール縮合触媒は、ポリオレフィン系樹脂にグラフト化されたシランカップリング剤を水分の存在下で縮合反応させる働きがある。このシラノール縮合触媒の働きに基づき、シランカップリング剤を介して、樹脂成分同士が架橋される。その結果、優れた耐熱性を有する架橋樹脂成形体が得られる。
シラノール縮合触媒としては、特に限定されず、例えば、有機スズ化合物、金属石けん、白金化合物等が挙げられる。一般的なシラノール縮合触媒としては、例えば、ジブチルスズジラウリレート、ジオクチルスズジラウリレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ナフテン酸鉛、硫酸鉛、硫酸亜鉛、有機白金化合物等が用いられる。
<キャリア樹脂>
本発明に用いるキャリア樹脂としては、特に限定されず、上記ポリオレフィン系樹脂と同様のものを用いることができる。好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレンである。キャリア樹脂は、エチレンゴム、スチレン系エラストマー等の樹脂成分やオイルを含んでいてもよい。
キャリア樹脂は、工程(a)においてポリオレフィン系樹脂の一部を用いる場合、ポリオレフィン系樹脂の残部を用いることができる。
本発明において、「ポリオレフィン系樹脂の一部」とは、ポリオレフィン系樹脂のうち工程(a)で使用する樹脂の一部をいう。この一部には、ポリオレフィン系樹脂そのものの一部(ポリオレフィン系樹脂と同一組成を有する)、ポリオレフィン系樹脂を構成する樹脂成分の一部(例えば、特定の樹脂成分の全量未満)、及び、ポリオレフィン系樹脂を構成する一部の樹脂成分(例えば、複数の樹脂成分のうちの特定の樹脂成分全量)を包含する。
また、「ポリオレフィン系樹脂の残部」とは、ポリオレフィン系樹脂のうち工程(a)で使用する一部を除いた残りのポリオレフィン系樹脂をいう。この残部には、ポリオレフィン系樹脂そのものの残部(ポリオレフィン系樹脂と同一組成を有する)、ポリオレフィン系樹脂を構成する樹脂成分の残部、及び、ポリオレフィン系樹脂を構成する残りの樹脂成分を包含する。
<添加剤>
架橋樹脂成形体及び架橋性樹脂組成物は、電線、電気ケーブル、電気コード、自動車用部材、建築部材、雑貨、シート、発泡体、チューブ、パイプにおいて、一般的に使用されている各種の添加剤を、目的とする効果を損なわない範囲で適宜配合してもよい。このような添加剤としては、例えば、架橋助剤、酸化防止剤、滑剤、金属不活性剤、難燃(助)剤や他の樹脂等が挙げられる。
架橋助剤は、有機過酸化物の存在下において樹脂成分との間に部分架橋構造を形成する化合物をいう。例えば、多官能性化合物等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物等のアミン酸化防止剤、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール酸化防止剤、ビス(2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル)スルフィド、2−メルカプトベンヅイミダゾール及びその亜鉛塩、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル−チオプロピオネート)等のイオウ酸化防止剤などが挙げられる。酸化防止剤は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜15.0質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部で加えることができる。
金属不活性剤としては、1,2−ビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、2,2’−オキサミドビス−(エチル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)等が挙げられる。
滑剤としては、炭化水素、シロキサン、脂肪酸、脂肪酸アミド、エステル、アルコール、金属石けん等の各滑剤が挙げられる。
次に、本発明の製造方法を具体的に説明する。
本発明の製造方法において、工程(1)は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.02〜0.6質量部と、シリカ0.1〜140質量部と、シランカップリング剤2〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを混合する工程である。これにより、混合物として架橋性樹脂組成物が得られる。
工程(1)において、ポリオレフィン系樹脂の配合量は、特に限定されないが、工程(1)で得られる架橋性樹脂組成物中の含有率が50質量%以上となる量であることが好ましく、70質量%以上となる量であることが好ましい。
工程(1)において、有機過酸化物の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.02〜0.6質量部であり、0.04〜0.4質量部が好ましい。有機過酸化物をこの範囲内にすることにより、副反応である樹脂成分同士の架橋反応が進むこともなく、ブツも発生することなく、押出性に優れたシラングラフトマーを調製することができる。
本発明において、シリカの配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.1〜140質量部である。シリカの配合量が0.1質量部未満であると、シランカップリング剤が揮発しやすくなり、得られる架橋性樹脂組成物や架橋樹脂成形体の耐熱性が低下することがある。また、ブツが発生し、成形材料が発泡し、又は、成形材料の粘着性が高くなってしまい、いずれにおいても、製造面での問題が生じることがある。一方、140質量部を超えると、架橋性樹脂組成物や架橋樹脂成形体の耐熱性が低下し、又は、外観やゲルブツ等が発生することがある。さらには、上記特性に優れ、しかも軽量な架橋樹脂成形体を製造できなくなることがある。
シリカの配合量は、上記式(I)で規定されるX値が5〜1000を満たす限り、少なくできる。例えば、上記式(I)で規定されるX値を満たし、上記特性を保持しつつ、軽量な架橋樹脂成形体を製造できる点で、シリカの配合量は、0.1〜60質量部であることが好ましく、0.3〜10質量部であることがさらに好ましい。
シランカップリング剤の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、2〜15.0質量部である。シランカップリング剤の配合量が2質量部未満であると、架橋反応が十分に進行せず、架橋性樹脂組成物や架橋樹脂成形体に所望の耐燃性や機械特性を付与することができないことがある。一方、15.0質量部を超えると、溶融混練が困難になることがあり、また押出成形の際に所望の形状に成形できないことがある。シランカップリング剤の配合量は、4質量部を超え15質量部以下であることが好ましく、4質量部を超え12質量部以下であることがさらに好ましい。
本発明においては、下記式(I)で規定されるX値が5〜1000の範囲内となるように、シリカのBET比表面積及び配合量並びにシランカップリング剤の配合量が、上記範囲内で、調整される。すなわち、シリカ及びシランカップリング剤を、下記X値が5〜1000の範囲内となる組み合わせで、用いる。
式(I):X=ΣA/B
式中、ΣAはシリカのBET比表面積Yi(m/g)とシリカの配合量Ziとの積の合計量を表す。したがって、複数のシリカを用いる場合、各シリカの、BET比表面積Yiと配合量Ziとの積の合計量をΣAとする。Bはシランカップリング剤の配合量を表す。
シリカの配合量Zi及びシランカップリング剤の配合量は、工程(1)における、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する割合(質量部)である。
本発明において、上記式(I)で規定されるX値は、工程(a)において用いるシリカとシランカップリング剤との関係(X値)を規定している。これは、シリカ以外の無機フィラーが共存していても、シランカップリング剤とシリカとの関係が重要であるとの推定に基づくものである。すなわち、シリカは、シランカップリング剤と相性が良好であるため、シランカップリング剤で表面処理を行うと、シランカップリング剤とシリカとの強い結合を作りやすい。これにより、シリカ以外の無機フィラーが存在していても、シランカップリング剤はシリカと結合しやすくなる。よって、ポリオレフィン系樹脂にシラングラフトするシランカップリング剤の大部分はシリカと結合していると考えられる。したがって、得られる架橋樹脂成形体の上記優れた特性ないしは物性は、このシリカに結合したシランカップリング剤によることが大きくなる。
本発明の製造方法において、式(I)で規定されるX値が5〜1000の範囲内になると、耐熱性、外観及び機械特性を兼ね備え、さらには軽量な架橋樹脂成形体を製造できる。
その作用のメカニズムはまだ定かではないが次のように推定される。
工程(1)において、ポリオレフィン系樹脂は、有機過酸化物の存在下、シリカ及びシランカップリング剤と共に有機過酸化物の分解温度以上で加熱混練される。これにより、有機過酸化物が分解してラジカルを発生して、ポリオレフィン系樹脂に対してシランカップリング剤によるグラフト化が起こる。また、このときの加熱により、部分的には、シランカップリング剤とシリカの表面での水酸基等の基との共有結合による化学結合の形成反応も促進される。
すなわち、本発明の製造方法においては、ポリオレフィン系樹脂との混練り前及び/又は混練り時に、シリカ及びシランカップリング剤を用いる。これにより、シランカップリング剤は、アルコキシ基でシリカと結合し、もう一方の末端に存在するビニル基等のエチレン性不飽和基でポリオレフィン系樹脂の未架橋部分と結合して、保持される。又は、アルコキシ基がシリカと結合することなく、シリカの穴や表面に物理的及び化学的に吸着して、保持される。このように、シリカに対して強い結合で結びつくシランカップリング剤(その理由は、例えば、シリカ表面の水酸基等との化学結合の形成が考えられる)と、弱い結合で結びつくシランカップリング剤(その理由は、例えば、水素結合による相互作用、イオン、部分電荷若しくは双極子間での相互作用、化学的又は物理的な吸着による作用等が考えられる)を形成できる。
この状態で、有機過酸化物を加えて混練りを行うと、シリカとの結合が異なるシランカップリング剤がポリオレフィン系樹脂にグラフト反応した少なくとも2種のシラン架橋性樹脂が形成される。
上述の混練りにより、シランカップリング剤のうちシリカと強い結合を有するシランカップリング剤は、シリカとの結合が保持され、かつ、架橋基であるエチレン性不飽和基等がポリオレフィン系樹脂の架橋部位とグラフト反応する。特に、1つのシリカ粒子の表面に複数のシランカップリング剤が強い結合を介して存在した場合、このシリカ粒子を介してポリオレフィン系樹脂が複数結合する。これらの反応又は結合により、このシリカを介した架橋ネットワークが広がる。
式(I)で規定されるX値は、表面に結合しうるシランカップリング剤の配合量に対するシリカの表面積を表す。X値、すなわち、シランカップリング剤を結合可能なシリカの表面積Yiが大きくなると、一定量のシリカ粒子の表面積が大きいのでシリカ粒子の単位表面積当たり、より多くのシランカップリング剤を結合できる。したがって、シリカの配合量を低減したとしても、シリカに結合するシランカップリング剤の量を維持できる。これにより、シリカでの架橋ネットワークが維持され、架橋樹脂成形体に上記優れた特性を発揮させる。
しかし、X値が小さくなりすぎて5未満になると、シランカップリング剤に対するシリカの表面積が小さくなり、シランカップリング剤がシリカに結合しにくくなる(結合量が低減する)。したがって、溶融混練中にシランカップリング剤が揮発してしまったり、副反応を生じてしまったりする。これにより、得られる架橋樹脂成形体は、耐熱性が劣り、場合によっては外観が劣るものとなることがある。また、架橋樹脂成形体を製造しにくくなることがある。
一方、X値が大きくなりすぎて1050を超えると、シランカップリング剤に対するシリカの表面積が大きくなり、シリカに対してシランカップリング剤が強い結合で結合してしまう。したがって、シリカに対して弱い結合で結合しているシランカップリング剤をほとんど形成できなくなる。このため、シラングラフト反応が生じにくくなり、耐熱性が維持できず、又は、架橋剤によってポリマー鎖同士が結合してしまう。その結果、得られる架橋樹脂成形体は、耐熱性、場合によっては外観又は機械特性が劣るものとなることがある。
式(I)で規定されるX値は、特に耐熱性に優れるものとなる点で、5〜650であることが好ましく、10〜450であることがより好ましく、10〜350であることがさらに好ましい。
式(I)で規定されるX値は、シリカのBET比表面積若しくは配合量又はシランカップリング剤の配合量により、適宜に調整できる。
工程(1)において、シラノール縮合触媒の配合量は、特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.01〜1質量部であることが好ましく、0.03〜0.6質量部であることがより好ましく、0.05〜0.5質量部であることがさらに好ましい。シラノール縮合触媒の配合量が上記範囲内にあると、架橋反応が十分に進行し、耐熱性(特に高温耐熱性)、変形性に優れたものとなる。また、シランカップリング剤同士の反応が抑えられ、ゲル化やブツ、シランカップリング剤の揮発により発泡を抑えることができる。
工程(1)において、シリカ以外の無機フィラーを用いる場合、この無機フィラーの配合量は、目的とする効果を損なわない範囲で、適宜に設定される。例えば、上記シリカの配合量との合計で、その上限値は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、350質量部であることが好ましく、300質量部であることがより好ましく、250質量部であることがさらに好ましい。この無機フィラーが多すぎると、シランカップリング剤が無機フィラーに吸着され、シラングラフト反応が円滑に進まなかったり、又は、機械物性に影響が発生したりすることがある。
工程(1)においては、上記成分の他に用いることができる他の樹脂や上記添加物の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で、適宜に設定される。
工程(1)においては、架橋助剤を実質的に混合しないのが好ましい。ここで、実質的に含有しない又は混合されないとは、架橋助剤を積極的に添加又は混合しないことを意味し、不可避的に含有又は混合されることを除外するものではない。
工程(1)は、下記工程(a)〜工程(d)を有する。工程(1)がこれらの工程を有すると、各成分を均一に溶融混合でき、所期の効果を得ることができる。
工程(a):有機過酸化物と、下記式(I)で規定されるX値が5〜1000を満たすシリカと、シランカップリング剤とを混合する工程
式(I) X=ΣA/B
(式中、ΣAはシリカのBET比表面積(m/g)×シリカの配合量の合計量を表し、Bはシランカップリング剤の配合量を表す。)
工程(b):工程(a)で得られた混合物とポリオレフィン系樹脂の全部又は一部を有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合する工程
工程(c):シラノール縮合触媒とキャリア樹脂として前記ポリオレフィン系樹脂と異なる樹脂又は前記ポリオレフィン系樹脂の残部をする工程
工程(d):工程(b)で得られた溶融混合物と、工程(c)で得られた混合物とを、ポリオレフィン系樹脂の溶融温度以上の温度で溶融混合する工程
工程(a)においては、有機過酸化物と、上記シリカと、シランカップリング剤と、所望により他の樹脂又はシリカ以外の無機フィラーとを、上記含有量で、混合する。混合は、これら成分を混合できる処理であればよく、有機過酸化物の分解温度未満の温度、例えば、室温(25℃)でのブレンドが挙げられる。
工程(a)において、上記温度が保持されている限り、ポリオレフィン系樹脂が存在していてもよい。
次いで、上記混合物とポリオレフィン系樹脂の全部又は一部とを、バンバリーミキサー等の混合機を用いて、加熱しながら溶融混練(溶融混合ともいう)する(工程(b))。これにより、溶融混合物としてシランマスターバッチが得られる。
混練温度は、有機過酸化物の分解温度以上の温度、好ましくは150〜230℃である。この混練温度では、上記成分が溶融し、有機過酸化物が分解、作用して必要なシラングラフト反応が進行する。混練時間等の混練条件は適宜設定することができる。
混練方法としては、ゴム、プラスチック等で通常用いられる方法であればよい。混練装置としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等が用いられる。
本発明においては、上記混合物の調製工程(工程(a))は、上記溶融混練工程(工程(b))と別工程とすることなく、有機過酸化物、上記シリカ、シランカップリング剤及びポリオレフィン系樹脂等を一緒に混合して、溶融混合物を調製することができる。例えば、工程(a)は、混練り機等で溶融混合する工程(b)と併せて一工程で行うことができる。具体的には、混練り工程の初期で工程(a)に用いる各成分をブレンドすることができる。
工程(a)及び工程(b)のいずれにおいても、シラノール縮合触媒を混合せずに上述の各成分を混合することが好ましい。これにより、シランカップリング剤の縮合反応を抑えることができる。
工程(b)で調製されるシランマスターバッチは、シランカップリング剤がポリオレフィン系樹脂にグラフト反応した、少なくとも2種のシラン架橋性樹脂(シラングラフトポリマー)を含有している。
本発明においては、上記工程(a)及び(b)とは別に、シラノール縮合触媒とキャリア樹脂を混合する(工程(c))。これにより、架橋促進マスターバッチが得られる。この混合は、均一に混合できる処理であればよく、例えばキャリア樹脂の溶融下で行う混合(溶融混合)が挙げられる。
キャリア樹脂は、工程(b)でポリオレフィン系樹脂の一部を用いる場合には、ポリオレフィン系樹脂の残部を用いることができる。この場合、ポリオレフィン系樹脂は、工程(b)において好ましくは99〜40質量部、より好ましくは98.5〜60質量部が配合され、工程(c)において好ましくは1〜60質量部、より好ましくは1.5〜40質量部が配合される。本発明において、工程(b)及び工程(c)の両工程で用いたポリオレフィン系樹脂の合計100質量部が各成分の配合量の基準となる。
一方、工程(b)でポリオレフィン系樹脂の全部を用いる場合、これとは別の樹脂を工程(c)で用いることができる。別の樹脂は、特に限定されず、種々の樹脂が挙げられる。この場合、別の樹脂の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部であり、より好ましくは3〜30質量部である。
シラノール縮合触媒の配合量は、上記した通りであり、キャリア樹脂の配合量に応じて、適宜に決定される。
本発明の製造方法において、次いで、工程(b)で得られた溶融混合物(シランマスターバッチ)と、工程(c)で得られた混合物(架橋促進マスターバッチ)とを加熱しながら溶融混合する(工程(d))。これにより、溶融混合物として架橋性樹脂組成物を得る。
混合温度は、ポリオレフィン系樹脂又はキャリア樹脂の溶融温度以上の温度であればよく、150〜230℃が好ましい。
溶融混合は、例えば工程(b)の溶融混合と同様に行うことができる。
工程(1)は、工程(a)〜(d)を同時又は連続して行うことができる。
得られる架橋性樹脂組成物は、少なくとも2種のシラン架橋性樹脂を含有する。この架橋性樹脂組成物は、シランカップリング剤がシラノール縮合していない未架橋体である。実際的には、工程(d)の溶融混合下では一部架橋(部分架橋)は避けられないが、得られる架橋性樹脂組成物について、少なくとも工程(2)での成形における成形性が保持されたものとする。
本発明の架橋樹脂成形体の製造方法は、次いで、工程(2)及び工程(3)を行う。すなわち、本発明の架橋樹脂成形体の製造方法において、得られた混合物を成形して成形体を得る工程(2)を行う。この工程(2)は、混合物を成形できればよく、本発明の成形品の形態に応じて、適宜の成形方法及び成形条件が選択される。成形方法は、押出機を用いた押出成形、射出成形機を用いた押出成形、その他の成形機を用いた成形が挙げられる。
この工程(2)は、工程(d)と同時に又は連続して、行うことができる。すなわち、工程(d)の溶融混合の一実施態様として、溶融成形の際、例えば押出成形の際に、又は、その直前に、成形原料を溶融混合する態様が挙げられる。例えば、絶縁電線等を製造する場合、シランマスターバッチと架橋促進マスターバッチとの成形材料を例えば被覆装置内で溶融混合し、次いで、例えば導体等の外周面に押出被覆して所望の形状に成形する一連の工程を採用できる。
工程(2)で得られる成形体は、架橋性樹脂組成物と同様に、一部架橋は避けられないが、工程(2)で成形可能な成形性を保持する部分架橋状態にある。
本発明の架橋樹脂成形体の製造方法においては、工程(2)で得られた成形体を水と接触させる工程(3)を行う。これにより、シランカップリング剤がシラノール縮合して、架橋した架橋樹脂成形体を得ることができる。
工程(3)は、成形体を、湿熱処理、温水処理、常温水への浸漬又は常温で放置することにより、ポリオレフィン系樹脂にグラフト処理されたシランカップリング剤を水分で加水分解して、架橋を促進することができる。接触時間等の接触条件は適宜設定することができる。
このようにして、本発明の架橋樹脂成形体が製造される。この架橋樹脂成形体は、後述するように、2種のシラン架橋性樹脂それぞれがシロキサン結合を介して縮合した樹脂成分を含んでいる。
本発明においては、多成分のベース材料でかつ非常に低比重の架橋樹脂成形体を得ることが可能となる。したがって、例えば、シリカ等のフィラーを含有し、補強性を有する低比重のゴム架橋体、耐摩耗性を有する低比重のゴム架橋体等を得ることができる。
その場合、ベース樹脂(ポリオレフィン系樹脂)にもよるものの、シリカの配合量を10質量部以下に設定することにより、比重を、例えば、1.0g/cm以下、さらには0.95g/cm以下の、非常に低比重の成形体を得ることが可能となる。
本発明の製造方法における反応機構等の詳細についてはまだ定かではないが、以下のように考えられる。
すなわち、ポリオレフィン系樹脂との混練り前及び/又は混練り時に、シリカに対してさらにシランカップリング剤を混合することにより、混練り時のシランカップリング剤の揮発を抑えることができる。そのため、耐熱性シラン架橋樹脂成形体の耐熱性及び外観の低下を防止できる。加えて、シリカに対して強い水素結合で結びつくシランカップリング剤と、弱い結合で結びつくシランカップリング剤を形成することができる。
ここで、シリカとシランカップリング剤との関係が重要であることは、上記の通りである。
このような表面処理がなされたシリカを有機過酸化物の存在下で、ポリオレフィン系樹脂と共にその融点以上の温度で混練りを行うと、表面処理されたシリカは、シリカと強い結合をしているシランカップリング剤を介してポリオレフィン系樹脂、及び表面処理されたシリカ同士との間に結合を作り出すことができる(反応k)。
一方、シリカと弱い結合をしているシランカップリング剤は、シリカから離脱してポリオレフィン系樹脂とグラフト反応により結合する(反応m)。この(反応m)によりポリオレフィン系樹脂にグラフトしたシランカップリング剤は、その後、シラノール縮合触媒と混合され、水分と接触することにより縮合反応が生じ、シロキサン結合による架橋が生じる(反応n)。
このようにシリカに対して強い結合で結合したシランカップリング剤は、主に高い機械強度(引張強さ)、さらには耐摩耗性、耐外傷性、補強性に寄与する。また、シリカに対して弱い結合で結合したシランカップリング剤は、主に架橋度の向上に寄与する。
したがって、これらの結合を制御することにより、架橋度や力学的強度、さらには摩耗性、耐外傷性、補強性を制御することができる。
したがって、シリカのBET比表面積及びその配合量、並びに、不飽和基含有シランカップリング剤の配合量を、上記式(I)で規定されるX値が5〜1000を満たす特定の範囲に調整することによって、反応k、反応m及び反応nが互いに相俟って、架橋樹脂成形体及び架橋性樹脂組成物に、高い耐熱性に加えて、優れた機械特性及び外観、さらには耐摩耗性、耐外傷性を付与することができる。
また、シリカは単位質量当たりの表面積が大きなものが存在するため、少ない配合量で高い力学的強度、さらには耐摩耗性、補強性、耐外傷性と耐熱性の両立を図ることができる。したがって、低比重の耐熱性、高い力学的強度、さらには耐摩耗性、補強性、耐外傷性を有する架橋樹脂成形体、これを形成可能な架橋性樹脂組成物を得ることが可能となる。
さらに、難燃性を付与する材料、例えば水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水和物や三酸化アンチモン等の難燃助剤、臭素系難燃剤や塩素系難燃剤等の難燃剤を配合することにより、優れた難燃性を付与することができる。また、窒化ホウ素やアルミナを配合することにより、さらに熱伝導性等各種フィラーを追加して導入することにより、耐熱性、高い力学的強度、耐摩耗性、補強性、耐外傷性を付与して、さらに諸物性を満足させることが可能となる。
本発明の製造方法は、耐熱性が要求される製品(半製品、部品も含む。)の製造や強度が求められる製品、難燃性が要求される製品、ゴム材料等の製品に適用することができる。したがって、本発明の成形品は、このような製品とされる。このとき、成形品は、架橋樹脂成形体を含む成形品であってもよく、架橋樹脂成形体のみからなる成形品でもよい。
本発明の成形品として、例えば、耐熱難燃絶縁電線等の電線又は耐熱難燃ケーブルの被覆材料、ゴム代替電線・ケーブルの材料、その他耐熱難燃電線部品、難燃耐熱シート、難燃耐熱フィルム等、自動車用機構部品、自動車用クッション材、電源プラグ、コネクター、パッキン、クッション材、防震材、ボックス、テープ基材、チューブ、シート、電気・電子機器の内部及び外部配線に使用される配線材、電線の絶縁体、シース等が挙げられる。
本発明の成形品が、電線、ケーブル、チューブ、クッション材など押出成形品である場合、押出し被覆装置内で成形材料を溶融混練しながら、導体を被覆成形し、チューブ状に押出成形し、又は、棒状やシート状に押出成形することができる(工程(d)及び工程(2))。
また、ボックス、各種部品等に射出成形する場合、成形材料を射出成形機に導入し、射出成形することにより、得ることができる。
これらの成形体を、常温放置や湿熱放置、温水処理等水分と接触させて架橋をさせることにより高い耐熱性を維持することが可能となる。
これらの成形品の厚さは、用途等に応じて一概に決定されないが、通常0.1〜50mm程度である。
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
なお、表1〜表4において、各例における配合に関する数値は特に断らない限り質量部を表す。
実施例1〜25(実施例7、10及び11は欠番とする。)、比較例1〜5及び参考例1〜3は、下記成分を用いて、それぞれの諸元を表1〜表4に示す条件に設定して実施し、後述する評価を併せて示した。
表1〜表4中に示す各化合物の詳細を以下に示す。
<ポリオレフィン系樹脂>
(ポリエチレン:PE)
「エボリューSP0540F」(商品名、プライムポリマー社製、直鎖状メタロセンポリエチレン(LLDPE))
「UE320」(ノバテックPE(商品名)、日本ポリエチレン社製、直鎖型低密度ポリエチレン(LLDPE))
(エチレン−酢酸ビニル共重合体:EVA)
「V5274」(エバフレックスV5274(商品名)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量17質量%、三井・デュポンケミカル社製)
(ポリプロピレン:PP)
「PB222A」(商品名、サンアロマー社製、ランダムポリプロピレン)
(エチレン−プロピレン−ジエンゴム:EPDM)
「ノーデル IP−4760P」(商品名、ダウ・ケミカル社製)
「ノーデル IP−4520P」(商品名、ダウ・ケミカル社製)
(スチレン系エラストマー:SEPS)
「セプトン4077」(商品名、クラレ社製、SEPS、スチレン含有量30質量%)
(オイル:OIL)
「ダイアナプロセスオイルPW−90」(商品名、出光興産社製、パラフィンオイル)
<シリカ>
「アエロジル200」(商品名、日本アエロジル社製、親水性フュームドシリカ、非結晶性シリカ、BET比表面積Yi:200m/g)
「クリスタライト5X」(商品名、龍森社製、結晶性シリカ、BET比表面積Yi:12m/g)
「アエロジル90」(商品名、日本アエロジル社製、親水性フュームドシリカ、非結晶性シリカ、BET比表面積Yi:90m/g)
「アエロジルOX50」(商品名、日本アエロジル社製、親水性フュームドシリカ、非結晶性シリカ、BET比表面積Yi:50m/g)
「SFP−20M」(商品名、電気化学工業社製、結晶性シリカ、BET比表面積Yi:11.3m/g)
「SFP−30M」(商品名、電気化学工業社製、結晶性シリカ、BET比表面積Yi:6.2m/g)
<シリカ以外の無機フィラー>
(炭酸カルシウム)
「ソフトン2200」(商品名、備北粉化工業社製、BET比表面積2.2m/g)
(水酸化マグネシウム)
「キスマ5L」(商品名、協和化学社製、BET比表面積5.8m/g)
(水酸化アルミニウム)
「ハイジライトH42M」(商品名、昭和電工社製、BET比表面積5m/g)
(タルク)
「k−1タルク」(商品名、日本タルク工業社製、BET比表面積Yi:7m/g)
<シランカップリング剤>
「KBM1003」(商品名、信越化学工業社製、ビニルトリメトキシシラン)
<有機過酸化物>
「パーヘキサ25B」(商品名、日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、分解温度149℃)
<シラノール縮合触媒>
「アデカスタブOT−1」(商品名、ADEKA社製、ジオクチルスズジラウリレート)
<酸化防止剤>
「イルガノックス1010」(商品名、BASF社製、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート])
(実施例1〜25比較例1〜5及び参考例1〜3
各例において、ポリオレフィン系樹脂の一部(ポリオレフィン系樹脂の全量に対して25質量部)を架橋促進マスターバッチ(架橋促進MBということがある)のキャリア樹脂として用いた。このキャリア樹脂は、ポリオレフィン系樹脂を構成する樹脂成分の1つであるポリエチレン「UE320」とした。
まず、実施例2、3、512及び23を除く実施例比較例及び参考例2については、表1〜表4の「組成P(シランマスターバッチの組成)」欄に示す配合割合で、シリカ、シリカ以外の無機フィラー(炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム又はタルク)、シランカップリング剤及び有機過酸化物を室温(25℃)で3分間ドライブレンドした。
次に、得られた混合物と、表1〜表4の「組成P」欄に示す残りの成分を、表1〜表4の「組成P」欄に示す配合割合で、日本ロール製2Lバンバリーミキサーに、投入した。このミキサーで、回転数35rpmで約12分混練り後、材料排出温度180〜190℃で排出し、シランマスターバッチ(シランMBということがある。)を得た。
実施例2、3、5及び参考例1については、表1の「組成P」欄に示す全成分を表1の「組成P」欄に示す配合割合で日本ロール製2Lバンバリーミキサーに、投入した。このミキサーで2分程度空回しした後に約12分混練り後、材料排出温度180〜190℃で排出し、シランMBを得た。
実施例12、23及び参考例3については、表2及び表3の「組成P」欄に示す配合割合で、まず、シランカップリング剤と有機過酸化物を室温(25℃)で混ぜた後、ポリオレフィン系樹脂、シリカ、シリカ以外の無機フィラー及び酸化防止剤を日本ロール製2Lバンバリーミキサー内に投入し、その後にシランカップリング剤と有機過酸化物を混ぜたものを投入した。その後、室温(25℃)下においてバンバリーミキサーで混合し、引き続き、材料排出温度180℃〜190℃、回転数35rpmで約15分溶融混合し、シランMBを得た。
実施例1〜25及び参考例1〜3で得られたシランMBは、いずれも、ポリオレフィン系樹脂にシランカップリング剤がグラフト反応した少なくとも2種のシラン架橋性樹脂を含有している。
表1〜表4の「組成P」欄には、各成分の配合量に加えて、上記式(I)で規定される等を示した。
次いで、表1〜表4の「組成Q(架橋促進MBの組成)」欄に示す成分を、表1〜表4の「組成Q」欄に示す配合割合で、バンバリーミキサーにて混合し、材料排出温度180〜190℃で溶融混合して、架橋促進MBを得た。
次いで、シランMBと架橋促進MBを表1〜表4の「混合比」欄に示す配合割合でドライブレンドし、L/D=24の40mm押出機(圧縮部スクリュー温度190℃、ヘッド温度200℃)に導入し、押出機スクリュー内にて溶融混合しながら、Tダイ押出によって、厚さ1mm及び2mmの2種のシート状成形体に、成形した。
また、押出機を用いて同様にして、シランMBと架橋促進MBを、1/0.8TA導体の外側に肉厚1mmで被覆し、外径2.8mmの電線を得た。
得られた2種のシート状成形体及び電線を、温度60℃湿度95%の雰囲気に、24時間放置した。このようにして、2種類の架橋樹脂成形体それぞれからなるシートと、架橋樹脂成形体を被覆として有する絶縁電線を製造した。
比較例1で製造した2種のシート及び絶縁電線は、いずれも、架橋樹脂成形体が発泡していた。
製造したシート及び絶縁電線について下記評価をし、その結果を表1〜表4に示した。
<比重>
実施例1〜3、8及び9で製造した、厚さ2mmのシートの比重を測定した。
比重は、JIS K7221(A法)に基づいて、測定した。
<機械特性>
各例で製造した、厚さ1mmのシートについて引張試験を行った。この引張試験は、架橋樹脂成形体シートから打ち抜いたJIS 3号ダンベル試験片を用いて、JIS K 6723に基づき、行った。測定温度25℃、標線間20mm、引張速度200mm/分で行い、引張強さ(MPa)及び伸び(%)を測定した。
引張強さは10MPa以上である場合が製品レベルとして合格であり、伸びは200%以上である場合が製品レベルとして合格である。
<加熱変形試験(シート)>
架橋樹脂成形体からなるシートの耐熱性として下記の加熱変形試験を行った。この加熱変形試験は、厚さ2mmのシートについて、JIS K 6723に規定の「加熱変形試験」に基づき、測定温度120℃、荷重5Nの条件下で、加熱変形率を測定した。
評価は、加熱変形率が、40%以下である場合を製品レベルとして合格とし、40%を超える場合を製品レベルとして不合格(表1〜表4において「C」で表す)とした。
表1〜表4において、シートの加熱変形試験の結果は、加熱変形率に加えて、下記評価記号を併記した。評価記号は、不合格である場合を「C」、加熱変形率が、35%を超え40%以下である場合を「B」、30%を超え35%以下である場合を「A」、30%以下である場合を「AA」で表した。
<加熱変形試験(絶縁電線)>
架橋樹脂成形体からなる被覆を有する絶縁電線の耐熱性として下記の加熱変形試験を行った。この加熱変形試験は、絶縁電線について、JIS C 3005に基づき、測定温度120℃、荷重5Nの条件で、厚さの減少率を測定した。
評価は、減少率が、50%以下である場合を製品レベルとして合格とし、50%を超える場合を製品レベルとして不合格とした。
表1〜表4において、絶縁電線の加熱変形試験の結果は、減少率に加えて、下記評価記号を併記した。評価記号は、不合格である場合を「C」、減少率が、40%を超え50%以下である場合を「B」、35%を超え40%以下である場合を「A」、35%以下である場合を「AA」で表した。
<絶縁電線の押出外観特性>
絶縁電線の押出外観特性は、絶縁電線を製造する際に押出外観を観察することで評価した。具体的には、スクリュー径30mm押出機にて線速15m/分で、シランMBと架橋促進MBとの溶融混合物を押し出した際に、電線の外観が良好だったものを「A」、外観がやや悪かったものを「B」、外観が著しく悪かったものを「C」とした。「A」及び「B」が製品レベルとして合格である。
Figure 0006325413
Figure 0006325413
Figure 0006325413
Figure 0006325413
表1〜表4の結果から以下のことが分かる。
実施例1〜25により、いずれも、優れた、耐熱性、外観及び機械特性を兼ね備えた架橋樹脂成形体からなるシート、及び、この架橋樹脂成形体からなる被覆を有する絶縁電線を製造できた。特に、シリカの配合量がポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.3〜60質量部という少量であっても、所期の耐熱性を十分に発揮する、シート及び絶縁電線を製造できた。
また、上記式(I)で規定されるX値が上記好ましい範囲内となるようにシリカとシランカップリング剤とを併用すると、架橋樹脂成形体の外観及び機械特性を損なうことなく、耐熱性をさらに向上できた。
さらに、実施例1〜3、8及び9で製造されたシートは、比重が小さく、軽量であった。実施例1〜3、8及び9で製造した絶縁電線、並びに、実施例1〜3、8及び9以外の実施例で製造したシート及び絶縁電線においても、同様に軽量化が可能になる。
特に、実施例21〜24は、上記式(I)で規定されるX値を固定して、シリカ以外の無機フィラーである水酸化マグネシウムの配合量を徐々に多くした例である。これらの例においては、水酸化マグネシウムの配合量の増大に伴い機械特性は低下する傾向が見られた。しかし、機械特性は合格レベルを維持しており、また加熱変形率はほぼ同じ値であった。このように、フィラーとしてシリカを用いる場合、シリカについて上記式(I)で規定されるX値を上記範囲内に設定すると、得られる架橋樹脂成形体は、優れた耐熱性、外観及び機械特性を兼ね備えることが分かった。
また、実施例1〜25により、優れた、耐熱性、外観及び機械特性を兼ね備え、さらに好ましくは軽量な架橋樹脂成形体を製造可能な、架橋性樹脂組成物及びシランマスターバッチを調製できた。
これに対して、比較例1は、上記式(I)で規定されるX値が小さく、引張強さ、加熱変形試験及び押出外観特性が不合格であった。一方、比較例2、3及び5は、いずれも、上記式(I)で規定されるX値が大きく、少なくとも加熱変形試験が不合格であった。
比較例4は、シランカップリング剤の配合量が少なく、加熱変形試験が不合格であった。

Claims (9)

  1. 下記工程(1)、工程(2)及び工程(3)
    工程(1):ポリエチレンを35〜95質量%含有するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.02〜0.6質量部と、シリカ0.3〜12質量部と、エチレン性不飽和基を含有する基を含むシランカップリング剤2〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含む架橋性樹脂組成物を得る工程
    工程(2):前記工程(1)で得られた前記架橋性樹脂組成物を成形して成形体を得る工程
    工程(3):前記工程(2)で得られた成形体を水と接触させて架橋樹脂成形体を得る工程
    を有する架橋樹脂成形体の製造方法であって、
    前記工程(1)が、下記工程(a)〜工程(d)を有する、
    工程(a):前記有機過酸化物と、下記式(I)で規定されるXが5〜1000を満たすシリカと、前記シランカップリング剤とを混合する工程
    式(I) X=ΣA/B
    (式中、ΣAはシリカのBET比表面積(m/g)とシリカの配合量との積の合計量を表し、Bはシランカップリング剤の配合量を表す。)
    工程(b):前記工程(a)で得られた混合物と前記ポリオレフィン系樹脂の全部又は一部を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチを得る工程
    工程(c):前記シラノール縮合触媒とキャリア樹脂として前記ポリオレフィン系樹脂と異なる樹脂又は前記ポリオレフィン系樹脂の残部とを混合する工程
    工程(d):前記工程(b)で得られたシランマスターバッチと、前記工程(c)で得られた混合物とを混合して、架橋性樹脂組成物を得る工程
    架橋樹脂成形体の製造方法。
  2. 前記シランカップリング剤が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、4質量部を超え、15.0質量部以下の配合量で混合される請求項1に記載の架橋樹脂成形体の製造方法。
  3. 前記シリカが、結晶性シリカである請求項1又は2に記載の架橋樹脂成形体の製造方法。
  4. 前記シランカップリング剤が、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランである請求項1〜3のいずれか1項に記載の架橋樹脂成形体の製造方法。
  5. ポリエチレンを35〜95質量%含有するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.02〜0.6質量部と、シリカ0.3〜12質量部と、エチレン性不飽和基を含有する基を含むシランカップリング剤2〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含む架橋性樹脂組成物を得る工程を有する架橋性樹脂組成物の製造方法であって、
    前記混合する工程が、下記工程(a)〜工程(d)を有する、
    工程(a):前記有機過酸化物と、下記式(I)で規定されるXが5〜1000を満たすシリカと、前記シランカップリング剤とを混合する工程
    式(I) X=ΣA/B
    (式中、ΣAはシリカのBET比表面積(m/g)とシリカの配合量との積の合計量を表し、Bはシランカップリング剤の配合量を表す。)
    工程(b):前記工程(a)で得られた混合物と前記ポリオレフィン系樹脂の全部又は一部を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチを得る工程
    工程(c):前記シラノール縮合触媒とキャリア樹脂として前記ポリオレフィン系樹脂と異なる樹脂又は前記ポリオレフィン系樹脂の残部とを混合する工程
    工程(d):前記工程(b)で得られたシランマスターバッチと、前記工程(c)で得られた混合物とを混合して、架橋性樹脂組成物を得る工程
    架橋性樹脂組成物の製造方法。
  6. 請求項5に記載の架橋性樹脂組成物の製造方法により製造されてなる架橋性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋樹脂成形体の製造方法により製造されてなる架橋樹脂成形体。
  8. 請求項7に記載の架橋樹脂成形体を含む成形品。
  9. ポリエチレンを35〜95質量%含有するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.02〜0.6質量部と、シリカ0.3〜12質量部と、エチレン性不飽和基を含有する基を含むシランカップリング剤2〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させることにより得られる、シラン架橋性樹脂を含む架橋性樹脂組成物の製造に用いられるシランマスターバッチであって、
    下記工程(a)及び工程(b)
    工程(a):前記有機過酸化物と、下記式(I)で規定されるXが5〜1000を満たすシリカと、前記シランカップリング剤とを混合する工程
    式(I) X=ΣA/B
    (式中、ΣAはシリカのBET比表面積(m/g)とシリカの配合量との積の合計量を表し、Bはシランカップリング剤の配合量を表す。)
    工程(b):前記工程(a)で得られた混合物と前記ポリオレフィン系樹脂の全部又は一部を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記エチレン性不飽和基を前記ポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させる工程
    により得られるシランマスターバッチ。
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