JPS5926381B2 - 締め付けロ−ラ式コ−スタ型カツプリング用スリ−ブの製法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、内孔が軸方向長さの中央範囲の内周面に、締
め付けローラ式コースタ型カップリングの締め付け面を
形成するほぼのこ歯状の突出成形部を備えているととも
に、内孔中央範囲の軸方向で両側の範囲の内周面はそれ
ぞれ転がり軸受けの円柱状転動体のための滑らかな円筒
形外側レース面として形成されており、内孔中央範囲の
内接円直径がその両側の円筒形外側レース面の直径より
も小さくなつているスリーブを非切削加工で製造する方
法に関するものである。

コースタ（ｃｏａｓｔｅｒ）型カップリングは一方向カ
ップリングとも呼ばれ、軸とスリーブとの間の相対的回
転運動を一方の方向のみ行なわせ、他方の方向ではこれ
を阻止するものである。

そしてこの相対的回転運動の阻止は締め付けローラ式の
ものの場合には、締め付けローラがスリーブ内孔の内周
面から内方にのこ歯状に突出している突出成形部により
形成されている傾斜した締め付け面と軸の外周面との間
で固く締め込まれることによつて行われるのである。と
ころでこのような締め付けローラ式コースタ型カップリ
ング用スリーブにおいて、スリーブ内孔の中央範囲の内
接円直径がその両側の円筒形外側レース面の直径よりも
小さいようにするのは、両側の転がり軸受けの転動体の
ための保持器の回動を簡単に防止することができるから
である。

すなわちこの場合保持器の外周面を適当に成形して、内
孔中央範囲の突出成形部と係合させればよい。しかしな
がらこのように内孔中央範囲の内接円直径がその両側の
円筒形外側レース面の直径よりも小さくなつているスリ
ーブ非切削加工（塑性加工）で製作することは極めて困
難である。スリーブを簡単に製作し得るようにするため
に、一方の転動体レース面の直径は内孔中央範囲の内接
円直径よりも大きくするのに対し、他方の転動体レース
面の直径を内孔中央範囲の内接円直径よりも小さくする
ことが提案されている。

しかしながらこの場合には両側の転がり軸受けの転動体
に互いに直径の異なつたものを使用しなければならず、
これら両方の群の転動体の製作並びに選別作業に高価な
費用がかかり、組み立ての際に転動体の直径を取り違え
ることのないように細心の注意を払わなければならない
。スリーブを切削加工で製造すれば簡単であるが、切削
加工は非切削加工に比して著しく高価な費用を必要とす
る。

そこで本発明の目的は、最初に述べた形式のスリーブを
簡単かつ安価に製造する方法を提供することである。

この目的を達成するために本発明の構成では、スリーブ
内周面の完成形状と合致する外周面形状を有する成形プ
ランジヤに薄壁の素材スリーブをかぶせはめ、次いで成
形プランジヤに対して相対的に動くダイスを通して素材
スリーブを引き抜きながら素材スリーブの外径を減少さ
せるとともにスリーブ内周面を成形プランジヤの外周面
に密着させ、このようにして成形されたスリーブを弾性
的に拡開させながら成形プランジヤから取り外すのであ
る。

このような方法は全く新規であつて、当業界の偏見を打
破するものである。

すなわち当業界の常識によれば、前述のようにして成形
されたスリーブを弾性的に拡開させながら成形プランジ
ヤから取り外すことは不可能であり、また仮に可能であ
つたとしても成形プランジヤ又はスリーブが損傷しても
はや使用不能になるという危険があるのであるが、本発
明による方法は実地において実施することができ、前述
のような危険は全く生じないことが判明した。それはス
リーブ内孔の中央範囲の突出成形部の寸法は締め付けロ
ーラ式コースタ型カツプリング用スリーブの場合はスリ
ーブ壁厚に比してかなり小さな値であつて、成形された
スリープを取り外す際のスリーブの拡開量は薄壁スリー
ブの弾性変形限度内にとどまるからである。本発明の１
実施態様では、引き抜き運動後に成形プランジヤに対し
て相対的にもどり運動を行うダイス自体によつてスリー
ブを成形プランジヤから取り外す。これによりスリーブ
の取り外しのために特別な手段を全く必要としない。以
下においては図面を参照しながら本発明の構成を具体的
に説明する。

まず金属薄板を深絞りして第１図に示すように底２を有
する円筒形のスリーブ１を作り、次いで第２図に示すよ
うに底２に円形の穴３を形成して素材スリーブとする。

穴３の直径は素材スリーブ１の内径よりも小さく、つば
４が残されている。このようにしてあらかじめ準備され
た素材スリーブ１は第３図に示すように成形プランジヤ
５にかぶせはめられる。この成形プランジヤ５はプラン
ジヤシヤフト６に接続して３つの区分７，８，９を有し
ており、両側の区分７及び９は滑らかな円筒形外周面を
備えていて、完成スリーブ１の滑らかな円筒形レース面
を成形するのに対し、中央の区分８は完成スリーブ１の
内孔中央範囲ののこ歯状突出成形部を成形するためのお
う所を有している。なお区分７〜９の外周面直径は均一
であつて、素材スリーブ１の内径よりも小さい。更に区
分９に続いて成形プランジヤ５の端部に区分１０が設け
られだおり、この区分１０は素材スリーブ１の穴３に係
合するように直径を小さくされている。このようにして
成形プランジヤ５にかぶせはめられた素材スリーブ１は
次いで成形プランジヤ５に対して相対的に運動可能なダ
イス１１を通して引き抜かれ、その場合素材スリーブ１
の外径が減少せしめられるとともにスリーブ内周面が成
形プランジヤ５の外周面に密着せしめられて成形され、
第４図に示すように完成スリーブ１が得られる。

次いでダイス１１を成形プランジヤ５に対して相対的に
、第４図に示した下方位置から土方の出発位置に向かつ
てもどり運動させると、このダイス１１は完成スリーブ
１を成形プランジヤ５からかき取る。この場合完成スリ
ーブ１の成形突出部を備えている中央範囲は弾性的に拡
開せしめられながら成形プランジヤ５の区分９を越えて
押し外される。以上のように本発明によればスリーブ内
周面の完成形状と合致する外周面形状を有する成形プラ
ンジヤに素材スリーブをかぶせはめてダイスを通して引
き抜き、完成スリーブを弾性的に拡開させながら成形プ
ランジヤから取り外すようにしたので、スリーブ内孔の
突出成形部を備えている中央範囲の内接円直径がその両
側のレース面の直径よりも小さいにもかかわらず、スリ
ーブを安価な非切削加工で簡単に作ることができるので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は深絞りされたスリーブの縦断面図、第２図は底
に穴をあけられた素材スリーブの縦断面図、第３図は成
形プランジヤにかぶせはめられた素材スリーブ及びダイ
スの引き抜き加工前の状態における断面図、第４図は引
き抜き加工後の状態における完成スリーブ及びダイスの
断面図である。 １・・・スリーブ、２・・・底、３・・・穴、４・・・
つば、５・・・成形ブランジヤ、６・・・プランジヤシ
ヤフト、７〜１０・・・区分、１１・・・ダイス。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内孔が軸方向長さの中央範囲の内周面に、締め付け
   ローラ式コースタ型カップリングの締め付け面を形成す
   るほぼのこ歯状の突出成形部を備えているとともに、内
   孔中央範囲の軸方向で両側の範囲の内周面はそれぞれ転
   がり軸受けの円柱状転動体のための滑らかな円筒形外側
   レース面として形成されており、内孔中央範囲の内接円
   直径がその両側の円筒形外側レース面の直径よりも小さ
   くなつているスリーブを非切削加工で製造する方法にお
   いて、スリーブ内周面の完成形状と合致する外周面形状
   を有する成形プランジャに薄壁の素材スリーブをかぶせ
   はめ、次いで成形プランジャに対して相対的に動くダイ
   スを通して素材スリーブを引き抜きながら素材スリーブ
   の外径を減少させるとともにスリーブ内周面を成形プラ
   ンジャの外周面に密着させ、このようにして成形された
   スリーブを弾性的に拡開させながら成形プランジャから
   取り外すことを特徴とする、締め付ローラ式コースタ型
   カップリング用スリーブの製法。 ２ 引き抜き運動後に成形プランジャに対して相対的に
   もどり運動を行うダイスによつてスリーブを成形プラン
   ジャから取り外す特許請求の範囲第１項記載の締め付け
   ローラ式コースタ型カップリング用スリーブの製法。