JPH0223257B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、ツバ付の筒状シヤフトの製造法に
関するものである。

自動車用リトラクタのシヤフト等に用いられる
第１図に示す如きシヤフトは、筒状のシヤフト１
の一端にツバ２を設け、該ツバ２の外周面にギヤ
３を設けると共に、シヤフト１の周壁に軸方向の
孔４を穿設した形状としている。

上記したシヤフトは、従来、第２図に示す如
く、長尺な小径の素材５と、大径で短尺な棒材６
と、扁平な円盤状の板材７とを夫々異つた加工法
により加工してシヤフト１、ツバ取付部材８、ツ
バ２として形成し、これら３つの部材をカシメ組
付作業で一体に組付けて製造している。上記素材
５をシヤフト１に加工するには、棒材５をまず、
熱間鍛造法で筒状にすると共に両端部に小径の突
出部９を形成し、かつ、周壁部に孔４を形成して
おり、該熱間鍛造時に既に４工程を必要とし、さ
らに、突出部９をツバ取付け部材８に挿入するた
め、９ａ部の切削加工を必要としている。また、
棒材６は冷間鍛造法で凹部１０を形成し、さら
に、４〜５工程の切削加工を行なつてツバ取付部
材８を設けている。また、板材７はプレス加工で
軸穴を設け、かつ、外周面にギヤを形成してい
る。このように、従来は、熱間鍛造、冷間鍛造、
切削加工、プレス加工等の各種異つた加工法によ
り３点部品を構成し、これらをさらにカシメ組付
加工して一体としているため、加工点数・工程が
多く生産性が悪く、コスト高となり、かつ、熱間
鍛造では形状寸法精度が悪い等の種々の欠点があ
つた。

この発明は、上記した従来の欠点を解消せんと
するもので、１つの棒状素材を冷間鍛造法により
一体化加工でツバ付シヤフトに形成する製造法を
提供するものである。詳しくは、この発明は、棒
状素材を、まず、素材の一端を拘束し、他端面に
孔を後方押出し加工により穿設し環状体を成形す
ると同時に、環状体の外側に設けた、環状体より
大径の部分を有する下型と背圧により支持された
上型とで形成されたギヤビテイ内に材料を突出さ
せツバを形成し、ついで、押出し加工により上記
孔を軸芯に沿つて伸長させて筒状シヤフトとし、
ついで、成形加工を行ない上記ツバを大径薄巾に
展伸させ、ついで、曲げトリム加工を行ない筒状
シヤフトの周壁に孔を穿設し、最後にトリム加工
を行ない上記ツバの外周面にギヤ等の機構要素を
成形するものであり、１つの棒状素材を冷間鍛造
法により一体化加工してツバ付シヤフトを製造す
る方法を提供するものである。

以下、この発明を図面に示す実施例より詳細に
説明する。

第３図は棒状素材１１を６工程の加工により、
外周面にギヤを設けたツバ付シヤフト１２を製造
する工程を示すものであり、まず、所定寸法の長
さに切断した棒状素材１１を冷間鍛造法の据込加
工で上端面より孔１３を穿設すると同時に、孔１
３の外周にツバ１４を突出させている。この据込
加工は、第４図に示す据込加工装置Ａにより、ポ
ンチ１５を棒状素材１１の上端面より打込む時に
上型１６と下型１７とでツバ１４を孔１３の上端
面より所定間隔をおいた孔１３の外周面に張出す
るように設定している。従つて、該据込加工装置
Ａにおいて、まず、棒状素材１１の一端を下型１
７で拘束し、該棒状素材１１の他端面にポンチ１
５を打込むことにより、図中、上側へ孔を後方押
出し加工により穿設して、環状体２０を形成す
る。同時に、下型１７とスプリン５０グによる背
圧で支持された上型１６とで形成される上記環状
体２０より大径部を有するキヤビテイ５１内に、
素材を突出させてツバ１４を環状体２０の下部に
形成している。よつて、スプリング５０により負
荷される上型１６の背圧を調整することにより、
形成されるツバ１４の厚さと、環状体２０の押し
出し長さの割合とを容易に制御することができ
る。

上記据込加工の次に、押出し加工を行なう。上
記孔１３に第５図に示す押出加工装置Ｂによりポ
ンチ１８を打込み、棒状素材１１を軸心に沿つて
中空部１９を有する底面閉鎖の筒状シヤフト２１
に形成する。その際、金型２２と２３とによりシ
ヤフト２１の底面に小径の突出部２４を形成して
いる。

上記押出し加工の次に、上記ツバ１４を外方に
向つて展伸させて薄巾大径のツバ１５とする成形
加工を行なつており、第６図に示す成形加工装置
Ｃにより、中空部１９にポンチ２５を挿入すると
同時に上型２６と下型２７とによりツバ１４を押
圧して引き伸ばしツバ１５を形成している。その
際、ツバ１５は上面１５ａ側を外方に向つて上方
へ傾斜したテーパ状（角度θ）としており、ツバ
１５は外方に向つて厚巾となり、外周端部が最も
巾厚となるように形成している。

上記成形加工の次に、シヤフト２１周壁部にツ
バ１５下方より下端部近傍にかけて軸方向の孔３
０を曲げ・トリム加工により形成している。該曲
げ・トリム加工は第７図に示す如く、に示す円
管状のシヤフト２１に、まず、に示す如くパン
チ孔４６をあけ、ついでに示す如くパンチ孔３
６と対向した位置に凹部３４を形成し、最後に
に示す如く凹部３４の底面に孔３０を設けてい
る。該曲げ・トリム加工は、第８図に示す如く、
曲げトリム加工装置Ｄ内に、まずａに示す如くシ
ヤフト２１を支持し、シヤフト２１の中空部１９
に心金３２を嵌合し、パンチ３３ａを打ち込んで
パンチ孔３６を打ち抜く。ついで、ｂに示す如く
シヤフト２１を180゜回転させ、パンチ孔３６と対
向する位置にパンチ３３ｂを打ち込み、側壁部２
１ａに湾曲状に曲がつた凹部３４を形成する。最
後に、第８図ｃに示す如く、凹部３４の底面にパ
ンチ３３ｃを打ち込み、孔３０を穿設している。
よつて、孔３０は内方へ湾曲した両側壁３５の底
面に形成されることとなる。

上記孔３０の曲げ・トリム加工の次に、ツバ１
５の外周面に歯車３６をトリム加工で形成する。
該歯車３６は上方に向つてテーパ状とした厚巾の
外周面に形成されるため、歯車３６に負荷がかか
つてもツバ１５全体にかかる負荷が低減され、ツ
バ１５の強度が向上する。

尚、ツバ１５には必ずしも歯車を形成する必要
はなく、シヤフトの用途に応じて、プーリ、カム
形状等の機構要素を設けてもよい。

上記の如く、この発明に係る製造方法によれ
ば、棒材素材を冷間鍛造法による据込加工−押出
加工−成形加工を順次行なうことにより、ツバ付
の筒状シヤフトを製造することが出来る。該ツバ
付シヤフトを形成した後は、シヤフトの用途に応
じて、リトラクタ用のシヤフトでは曲げ・トリム
加工で孔を穿設し、ついで、トリム加工で歯車を
成形すればよく、１つの素材を加工することによ
り製造される。尚、ツバ付の中実のシヤフトを形
成するには、押出し加工を省くことにより更に簡
単に製造できる。

以上の説明より明らかなように、この発明に係
る製造法によれば、従来は異つた加工法により成
形していた３点部品を組付けて構成していたツバ
付シヤフトを、冷間鍛造法による一体化加工で１
つの素材よりツバ付シヤフトを製造することがで
きる。よつて、加工工程を大巾に削減でき、生産
性が向上し、コストの低減を図ることができる。
また、冷間鍛造法で加工するため、熱間鍛造法に
比較して寸法精度が向上する。さらに、ツバの形
状をテーパ状としているため負荷の低減が図ら
れ、強度が向上する等の種々の利点を有するもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の製造法により製造したリトラク
タのツバ付シヤフトの正面図、第２図は従来の製
造法を示す工程図、第３図イ〜ヘはこの発明に係
るツバ付シヤフトの製造法を示す工程図、第４図
は据込加工装置の断面図、第５図は押出加工装置
の断面図、第６図は成形加工装置の断面図、第７
図〜は曲げ・トリム加工順序を示す概略図、
第８図ａ〜ｃは曲げ・トリム加工装置の断面図で
ある。 １１……棒状素材、１２……ツバ付シヤフト、
１３……孔、１４，１５……ツバ、１９……中空
部、２０……環状体、２１……シヤフト、３６…
…歯車、Ａ……据込加工装置、Ｂ……押出加工装
置、Ｃ……成形加工装置、Ｄ……曲げ・トリム加
工装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 棒状素材を冷間鍛造法による加工で、素材の
   一端を拘束し、他端面に孔を後方押出し加工によ
   り穿設し環状体を成形すると同時に、環状体の外
   側に設けた、環状体より大径の部分を有する下型
   と背圧により支持された上型とで形成されたギヤ
   ビテイ内に材料を突出させツバを形成し、つい
   で、押出し加工を行ない孔を軸芯に沿つて穿設し
   中空部を設けて筒状シヤフトを成形し、ついで、
   成形加工を行い上記ツバを薄巾大径に成形すると
   共に該ツバを外周に向つて厚巾となるテーパ状に
   成形するこを特徴とするツバ付シヤフトの製造
   法。 ２ 特許請求の範囲１記載の製造法において、上
   記成形加工の次に、筒状シヤフトの周壁を曲げト
   リム加工により軸方向の孔を穿設し、ついで、上
   記ツバの外周面に歯車、カム、レバー等の機構要
   素を成形することを特徴とするツバ付シヤフトの
   製造法。