JPS5849483B2 - アルミニウム電解槽用陰極炭素ブロック製造法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はアルミニウム電解槽用陰極炭素ブロックの製造
法に関するものである。

詳しくは本発明は、特に耐摩耗性に富み、且つ耐浴性の
すぐれた陰極炭素ブロックの製造法に関するものである
。

アルミニウム電解槽の陰極部分のうち、溶融アルミニウ
ムや電解浴と接する個所は、周知のように、炭素質材料
で構成されている。

特に電解槽の底部は、暇焼無煙炭、黒鉛、コークス等を
主体とする骨材と炭素質粘結剤との混練物を加圧成型し
、次いで９００〜１３００℃程度の温度で焼成して得ら
れた炭素ブロックで構成されている。

電解操業中に、この炭素ブロックは熱応力及び化学的作
用を受けて劣化し、遂には操業停止の止むなぎに到る。

炭素ブロックの劣化原因は単純ではなく、各種の要因が
関係していると考えられている。

その一つは電解浴成分の炭素ブロック中への侵入であり
、他の一つは物理的作用による炭素ブロックの破損であ
る。

この物理的作用による破損のなかには、電磁力による溶
融アルミニウムの流動に伴なう炭素ブロック表面の摩耗
及び溶融アルミニウムが局所的渦流を形成することに伴
なう甑穴（ Ｐｉｔ ｈｏｌｅ ）の生或があると考え
られている。

特に甑穴の形成は、クラツク部から発生するといわれ、
鳳穴形成が進行すると、甑穴を経て溶融アルミニウムが
集電棒に達してアルミニウム中の鉄分を増加させる（
Ｊｏｕｒｎａｌ ｏｆ Ｍｅｔａｌｓ ｌ ９ ６
７年３月及びｌ９６８年９月参照）。

このような物理的作用による炭素ブロックの破損を防止
するためには、従来から炭素ブロックの備えるべき特性
として挙げられている圧縮及び引張り強度、耐熱衝撃性
、耐浴性、導電性等の外に、耐摩耗性が要求されるもの
と考えられる。

本発明者らは上述の如き考察に基づき、耐摩耗性に富む
炭素ブロックについで検討した結果、石炭ピッチコーク
スを主体とする骨材と炭素質粘結剤とを、常法により混
練して加圧或型したのち、約２００〜４００時間かげて
最高７００〜１３００℃まで昇温することにより熱処理
し、次いで約３日間かげて２０００℃以上の温度で、準
黒鉛化の程度まで熱処理することにより著るしく耐摩耗
性に富み、しかも耐浴性も優れているアルミニウム電解
槽用陰極炭素ブロックが得られることを見出し、本発明
を完成した。

本発明について更に詳細に説明すると、本発明の炭素ブ
ロックは、石炭ピッチコークスを主体とする骨材と、炭
素質粘結剤とを原料として製造される。

従来、陰極炭素ブロックは蝦焼無煙炭を主体とする骨材
を用いて製造されることが多く、石炭ピッチコークスは
蝦焼無煙炭に対する添加剤として使用されていた。

これは石炭ピッチコークスは、従来の炭素ブロックの製
法では、生成する炭素ブロックの耐浴性を悪化させるた
めである。

しかるに本発明者らの知見によれば、石炭ピッチコーク
スを原料として、従来法による焼成を行なったのち、さ
らにこれよりもｉ ｏ ｏ ｏ ’ｃ以上も高い２４０
０℃にも達する高温で焼成して準黒鉛化したものは、耐
摩耗性に富み且つ耐浴性が著るしく向上する。

石炭ピッチコークスとしては、比較的針状構造の発達し
たものが好ましい。

石炭ピッチコークスは単独で使用するのが好ましいが、
公知の他の骨材を配合することもできる。

しかしその配合量は、通常、５０％未満好ましくは２５
％未満に止めるべきである。

本発明に係る炭素ブロックを製造するには、上述の石炭
ピッチコークスを主体とする骨材を粉砕して粒度を調整
したのち、これに粘結剤としての溶融ピッチを配合する
。

骨材の粒度分布は、使用する骨材の種類にもよるが、そ
の１例をあげると４メッシュ以上１０〜２０％、４〜１
０メッシュ１５〜２０％、１０〜６５メッシュ１０〜１
５％、６５メッシュ以下４０〜５０％である。

骨材一溶融ピッチ配合物は常法により加熱混練したのち
加圧成形する。

成形物を焼成炉に装入し、徐々に昇温させて最終的に７
００〜１３００”ｃに到達させる。

次いで３００℃以下まで徐冷して炉から取出し、更に電
気炉に装入して２０００℃以上に加熱し、準黒鉛化する
。

なお、加熱の程度は準黒鉛化に止めるべきで、黒鉛化が
進行しすぎると強度、耐摩耗性が低下して所期の目的を
達成し得ない。

ここで準黒鉛化とは次のことをいう。

即ち石炭ピッチコークスを昇温しでいくと黒鉛化が進行
し、更に昇温しでいくと遂には完全に黒鉛化し、それ以
上昇温しでも、例えばそのものの格子定数が実質的に変
化しなくなる。

このような完全黒鉛化の状態に到達する手前の黒鉛化状
態にあるものを準黒鉛化という。

以上説明したように、本発明に係る陰極炭素ブロックは
、石炭ピッチコークスを骨材として、常法により焼成ブ
ロックを製造し、次いでこれを更に加熱することにより
容易に製造することができる。

また、本発明に係る陰極炭素ブロックは、抗圧力、抗張
力、導電性、耐熱衝撃性など、従来から陰極炭素ブロッ
クに要求されている諸特性に加えて、著るしくすぐれた
耐摩耗性と耐浴性を有している。

次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発
明は以下の実施例に限定されるものではない。

実施例 ｌ 下記の特性を有する蝦焼石炭ピッチコークスを骨材とし
て、陰極炭素ブロックを製造した。

蝦焼石炭ピッチコークスを粉砕し、２０〜６ｏメッシュ
の部分と６０メッシュ以下の部分とを重量比で３：７の
比率で配合した。

この骨材１００重量部にバインダーピッチ（ＪＩＳ水銀
法による軟化点８０℃）３６重量部を配合し、１５０℃
で６０分間混練したのち、押出圧力８０〜９０ｋｇ／ｃ
ｒＡで押出成型した。

これを焼成炉に入れて徐徐に昇温し、最高温度８００℃
で約５００時間焼成したのち常温まで徐冷し、更に電気
炉で２４００℃に加熱した。

かくして製造された陰極炭素ブロックの特性は下記の通
りであった。

なお、表には比較のため、市販の陰極炭素ブロックの特
性も併記した。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 石炭ピッチコークスを主体とする骨材と炭素質粘結
   剤との混練物を加圧成形してなる成形物を最高温度７０
   ０〜１３００℃で熱処理したのち、２０００℃以上の温
   度で準黒鉛化の程度まで更に熱処理することを特徴とす
   るアルミニウム電解槽用陰極炭素ブロックの製造法。