JPH1179156A - 多層プラスチック容器 - Google Patents

多層プラスチック容器

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Publication number
JPH1179156A
JPH1179156A JP24321197A JP24321197A JPH1179156A JP H1179156 A JPH1179156 A JP H1179156A JP 24321197 A JP24321197 A JP 24321197A JP 24321197 A JP24321197 A JP 24321197A JP H1179156 A JPH1179156 A JP H1179156A
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JP
Japan
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resin
ethylene
evoh
plastic container
pes
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Application number
JP24321197A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Shimo
浩幸 下
Hideaki Oda
英晶 小田
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃層間剥離、ホットフィル充填層間剥離
の改善された、さらには透明性の優れた多層プラスチッ
ク容器を得る事。 【解決手段】 熱可塑性ポリエステル(A )の内外層と
樹脂(B) の中間層からなり、かつ該樹脂(B )はエチレ
ン含有率15〜70モル%、エチレン−ビニルアルコー
ル共重合体(C )、ポリアミド樹脂(D )およびエチレ
ン・不飽和カルボン共重合体系樹脂(E )からなり、か
つを下記(I) および(II)式を満足する組成物である多層
プラスチック容器。 0.5≦ Wc /(Wc+Wd+We)≦0.99 ... (I ) 0.02≦ Wd/(W d+We)≦0.7 ... (II) 但し、 Wc:エチレン−ビニルアルコール共重合物
(C )の重量 Wd:ポリアミド樹脂(D )の重量 We:エチレン・不飽和カルボン共重合体(E )の重量

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素あるいは炭酸
ガスなどのガスバリヤー性、防湿性、フレーバーバリヤ
ー性及び外観良好な飲料、食品、化粧品などの容器に用
いられるプラスチック容器、特に熱可塑性ポリエステル
(以下PES と略記する)を内外層とし、エチレンービニ
ルエステル共重合体けん化物(以下EVOHと略記する)系
組成物を中間層とする、少なくとも3層構造の、特に耐
衝撃層間剥離性(以下デラミと略記する)を大幅に改善
した、多層容器、特に共射出延伸多層プラスチック容器
に関する。
【0002】
【従来の技術】延伸ブロー成形法によるPES 容器は、そ
の優れた透明性、剛性により多数の分野で使用されてい
るが、ガスバリヤー性は必ずしも十分でない為、食品の
保存は短い期間に限られていた。この欠点を改善する
為、PES にガスバリヤー性が良好なEVOHを組み合わせ多
層構造化する方法が種々提案されている。すなわち、延
伸ブローするに先立ち、プリフォームを製造する手法と
して共射出成形法、多段射出成形法、共射出成形法等が
あるが、夫々一長一短がある。この中で共射出成形法
は、装置が簡単であり、かつEVOHがPESで全てお
おわれる構造となる為、EVOHとPESとの間に接着
性樹脂が無くても大気圧による密着効果により外見上良
好な多層容器になるなどの特徴があり、現在注目を集め
ている方法である。しかしながら、実施に際し、容器内
に食品を充満し落下等の衝撃を加えると、PESとEV
OHとの間にデラミが生じ、外観上大きな問題であっ
た。そこで接着剤層(以下Adと略記する)を含む、基
材/Ad/EVOH/Ad/基材(特開昭56−501
040)の構成あるいは基材/Ad/EVOH/Ad/
基材/Ad/EVOH/Ad/基材(特開昭50−13
5169、同61−152411、同61−15241
2、同61−259944)などの構成の共射出成形法
が検討されてはいるが、設備が非常に複雑になり、かつ
各層の厚みコントロールが困難な場合が多く、製造コス
ト及び生産性の面で他の方法、たとえば共押出(パイ
プ)法よりおとる状況にある。さらに大きな問題として
たとえ上記接着性樹脂層を含む多層共射出延伸ブロー容
器であっても衝撃デラミが完全に改善されていない場合
がしばしば認められる。すなわち容器胴部のPESとE
VOHとの接着強度(T型剥離強度)が400−600
g/10mm巾と比較的高い値を示す容器であっても、
衝撃デラミが非常に生じ易い場合がある反面、逆に上記
接着力が20−40g/10mm巾とほとんど接着して
いない容器でも、上記接着強度の高い容器より衝撃デラ
ミが生じにくい場合がある。この様に衝撃デラミは原因
が定かでないだけに困難な問題であり、改善が望まれる
所である。
【0003】これに対し特開平1−176554ではポ
リアミドーエステル系熱可塑性樹脂をEVOHに配合し、衝
撃デラミを改善する提案がなされているが、改善効果が
十分でなく、更なる改善が望まれている。
【0004】また、該プラスチック容器は飲料をホット
フィル充填し使用する場合があるが、この時PES 層とEV
OH層の熱収縮率の違いから層間剥離(デラミ)を生じる
事があり、本容器のこの分野への利用は困難であった。
しかしながら、ホットフィル充填を利用する飲料は非常
に多く、またそのうちの多くはバリヤー性を向上する事
により商品価値が向上するため、この分野へ使用可能な
バリヤー性容器の開発も強く望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】独立した接着性樹脂を
含有せず、ガスバリヤー樹脂としてEVOHを積層し
た、PES系多層容器、特に共射出延伸ブロー成形容器
は空容器、常圧充填容器あるいは高圧の内容物を充填し
た容器に衝撃を与えるとPES層とEVOH層との間に
デラミが生じる容器の外観不良をもたらす問題があっ
た。さらに、該容器に飲料をホットフィル充填した場合
に収縮率が異なり、層間接着力が不足しているため、デ
ラミが生じる問題もあった。そこで本発明者らは該デラ
ミの防止方法について鋭意検討を行った。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、多層プリ
フォーム、特に共射出成形法でPESを内外層に、EV
OHまたはPESとEVOHとが、該内外層表面層で完
全に封入された中間層にもつ多層プリフォームを製造
し、この多層パリソンを延伸ブロー成形して容器に製造
するに際し、EVOHの組成について鋭意検討した結
果、驚くべきことに、EVOH(C )にポリアミド樹脂
(D )及び、エチレン・不飽和カルボン共重合体系樹脂
(E )を配合したEVOH組成物(B )を使用し、とく
に共射出成形した所、耐衝撃デラミ性が大幅に改善され
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】さらに驚くべきことに、上記組成で成形し
た共射出延伸ブロー容器は衝撃デラミ性が大幅に改善さ
れるだけでなく、容器胴部、及び底部、開口周辺部に発
生しやすい縦スジ状のEVOH層の厚みムラが大幅に改
善することもわかった。一般的にPESとEVOHとの
共射出、共延伸操作においてEVOHはPESと比較し
て延伸性が良くない為、伸びムラ、特にボトル縦方向の
ムラスジが発生しやすく、外観不良が生じ易い。従っ
て、上記EVOH組成物(B )を使用した場合、縦スジ
が大幅に改善される原因は定かではないが、ポリアミド
樹脂(D )およびエチレン・不飽和カルボン共重合体系
樹脂(E )をEVOH(C )にブレンドする事により延
伸性が改善された事及びEVOH組成物(B)がPES
(A)と層間接着力が強まり、スジの発生を防止したた
めではないかと推定される。この事実に関しても、以下
で述べる実施例からも明らかである。また本発明におい
ては独立した接着性樹脂層を(A),(B)間に特に設
ける必要がないが、該層を設けること、たとえば薄い該
層を設けることは自由である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に使用されるPES(A)
としては、芳香族ジカルボン酸またはこれらのアルキル
エステルとグリコールを主成分とする縮合重合体が用い
られるが、特に本発明の目的を達成するには、エチレン
ーテレフタレートを主体とするPESが好ましい。そし
て加工性、強度を大幅に損なわない範囲で共重合成分と
してイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン
酸、セバシン酸またはこれらのアルキルエステル誘導体
などのジカルボン酸成分やプロピレングリコール、1,
4−ブタンジール、シクロヘキサンジメタノール、ネオ
ペンチルグリコール、ビスフェノールA、ジエチレング
リコールなどのグリコール成分を共重合せしめた共重合
体を用いることも可能である。そして、フェノール50
重量%とテトラクロルエタン50重量%の混合溶剤と溶
解し、温度30℃において測定した固有粘度[ η] (単
位dl/g)が0.5〜1.5のものが良い。
【0009】本発明に用いられるEVOH樹脂(B)
は、エチレン−ビニルエステル共重合体のけん化物であ
り、エチレン含有率15〜70モル%、好適には25〜
65モル%、最適には25〜60モル%、更に、ビニル
エステル成分のけん化度が85%以上、好適には90%
以上のものが使用できる。エチレン含有率15モル%未
満では溶融成形性が悪く、一方70モル%を越える場合
は、ガスバリア−性が不足する。また、けん化度が85
%未満では、ガスバリア−性、熱安定性が悪くなる。
【0010】本発明においては、EVOH製造時に用い
るビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものと
してあげられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プ
ロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用でき
る。また、EVOHに共重合成分としてビニルシラン化
合物0.0002〜0.2モル%を含有することができ
る。ここで、ビニルシラン系化合物としては、たとえ
ば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、
γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシランが挙げら
れる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルト
リエトキシシランが好適に用いられる。更に、本発明の
目的が阻害されない範囲で、他の共単量体[例えば、プ
ロピレン、ブチレン、不飽和カルボン酸又はそのエステ
ル{(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル
メチル、エチル)など}、ビニルピロリドン(N−ビニ
ルピロリドンなど)を共重合することも出来る。また、
本発明に用いるEVOHの好適なメルトインデックス
(MI)(190℃、2160g荷重下)は0.1〜5
0g/10分、最適には0.5〜20g/10分であ
る。但し、融点が190℃付近あるいは190℃を越え
るものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測
定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MIを縦
軸対数としてプロットし、190℃に外挿した値で表
す。
【0011】本発明に用いられるポリアミド樹脂(D )
は、アミド結合を有する重合体であって、例えば、ポリ
カプロアミド(ナイロン−6)、ポリウンデカンアミド
(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン
−12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−
6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−
6,12)の如き単独重合体、カプロラクタム/ラウリ
ルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラ
クタム/アミノウンデカン酸重合体(ナイロン−6/1
1)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸重合体(ナ
イロン−6,9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジ
アンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−6/6,
6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウム
アジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート
共重合体(ナイロン−6/6,6/6,12)、アジピ
ン酸とメタキシリレンジアミンとの重合体、あるいはヘ
キサメチレンジアミンとm,p−フタル酸との重合体で
ある芳香族系ナイロンなどが挙げられる。これらのポリ
アミド系樹脂は、それぞれ単独で用いることもできる
し、2種以上を混合して用いることもできる。また、E
VOHとの相容性の点から、これらのポリアミド樹脂の
うち、ナイロン6成分を含むポリアミド(例えば、ナイ
ロン−6,12、ナイロン−6/12、ナイロン−6/
6,6等)が好ましく、更には、ナイロン6成分を含む
ポリアミドが好ましい。EVOHとナイロンは溶融過程で反
応/ゲル化するため、ブレンド組成物の熱劣化を抑制す
る点から、ナイロンの融点は240℃以下、好ましくは
230℃以下の物を用いるのが好ましい。
【0012】同様に用いられる、エチレン・不飽和カル
ボン酸共重合体系樹脂とは、エチレン・不飽和カルボン
酸共重合体あるいはその金属塩であるアイオノマー(E
)であり、不飽和カルボン酸含有量は好ましくは2〜
15モル%、さらに好ましくは3〜12モル%のエチレ
ンとの共重合体体である。不飽和カルボン酸としては、
例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、エタアクリル
酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モ
ノエチル、無水マレイン酸などがあり、特にアクリル酸
あるいはメタアクリル酸が好ましい。また、共重合体に
含有されても良い他の単量体としては、酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、
アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル
酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタア
クリル酸イソブチル、マレイン酸ジエチルのような不飽
和カルボン酸エステル、一酸化炭素から例示される。
【0013】アイオノマーにおける金属イオンとして
は、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金
属、亜鉛、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土
類金属であり、特に亜鉛を用いた場合が好ましい。アイ
オノマーにおける中和度は、100%以下、特に90%
以下、特に70%以下の範囲が望ましい。中和度の下限
値については、通常5%以上、さらには10%以上、さ
らには30%以上である。また、本発明に用いるエチレ
ン・不飽和カルボン酸共重合体系樹脂の好適なメルトイ
ンデックス(MI)(190℃、2160g荷重下)は
特に制限されるものではないが、以下の式を満足するこ
とにより、衝撃デラミ改善効果が向上するので、好まし
い。 0.1≦ MI (E)/MI(C)≦100 ... (III ) 更に好ましくは、 0.3≦ MI (E)/MI(C)≦70 ... (V) 但し、 MI(C ):EVOH樹脂(C )のメルトイン
デックス(2160g、190℃)(g /10分) MI(E ):樹脂(E )のメルトインデックス(2160
g、190℃)(g /10分)
【0014】本発明のEVOH系組成物の組成比率につ
いては、以下の式を満足する必要がある。 0.5≦ Wc /(Wc+Wd+We)≦0.99 ... (I ) 0.02≦ Wd/(Wd+We)≦0.7... (II) 好ましくは 0.55≦ Wc /(Wc+Wd+We)≦0.93 ... (VI) 0.03≦ Wd/(Wd+We)≦0.6 ... (VII ) 更に、好ましくは 0.58≦ Wc /(Wc+Wd+We)≦0.95 ... (VIII) 0.05≦ Wd/(Wd+We)≦0.5 ... (IX) 但し、 Wc:エチレン−ビニルエステル共重合体のけ
ん化物(C )の重量 Wd:ポリアミド樹脂(D )の重量 We:エチレン・不飽和カルボン共重合体系樹脂(E )の
重量 EVOH樹脂(C)が全体組成の0.5未満の場合は、
ガスバリヤー性が著しく低下し、本発明の主旨より外れ
る。また、0.99より多くなると、衝撃デラミ改善効
果が不十分である。ポリアミド樹脂(D)とエチレン・
不飽和カルボン共重合体系樹脂(E)の配合比率で、ポ
リアミドの配合率が0.02未満になるとブレンド物の
EVOHに対する相容性が低下し、0.7を超えるとポ
リアミドとEVOHの化学反応よりブレンド物の熱安定
性が悪化する。
【0015】エチレン・不飽和カルボン共重合体樹脂系
樹脂(E)はPES樹脂(A)と、ある程度の接着強度
が得られることが知られているが、この樹脂(E )とE
VOH樹脂(C)のみのブレンド系を使用し多層容器を
得た場合は、ボトルはやや白濁し(ヘイズが増加し)ま
た、この場合その衝撃デラミ改善効果は不十分である。
しかし、本発明のようにエチレン・不飽和カルボン共重
合体樹脂系樹脂(E)およびEVOH樹脂(C)にさら
にポリアミド樹脂(D )を配合することにより透明性が
向上し、さらに衝撃デラミ改善効果も十分となる。この
原因は定かではないが、エチレン・不飽和カルボン共重
合体樹脂(E)とEVOH樹脂(C)の相容性は不十分
であるが、ポリアミド樹脂(D)が相容化剤として働
き、分散粒子径を小さくしているためと推定している。
その結果、組成物内部での分散粒子による光散乱が少な
くなり、透明性が向上すると理解できる。また、衝撃デ
ラミ改善効果は、PESとEVOH組成物層の界面にお
いて、ブレンド層中のエチレン・不飽和カルボン共重合
体系樹脂(E)がPESと接触し、接着力を発生すると
推定されるが、この時、エチレン・不飽和カルボン共重
合体系樹脂(E)とEVOH樹脂(C)の二者ブレンド
では、その接点が面積が大きく、数が少ない、“粗い”
構造であるのに対し、三者ブレンドでは接点数が多い
“細かい”構造のとなっているために、三者ブレンドの
方が優れた衝撃デラミ改善効果が付与されるものと推定
される。
【0016】EVOH樹脂(C)、ポリアミド樹脂
(D)とエチレン・不飽和カルボン共重合体系樹脂
(E)をブレンドする方法については特に限定されるも
のではなく、これら樹脂をドライブレンドし、そのまま
使用する方法、該ドライブレンドペレットをバンバリー
ミキサー、一軸押出機あるいは二軸押出機により、再ペ
レット化、乾燥を行う方法などがあげられる。
【0017】これらのブレンド方法のうち、ポリアミド
樹脂(D)とエチレン・不飽和カルボン共重合体系樹脂
(E)を予めブレンドあるいは反応させ、かかる後に樹
脂(C)とブレンドする方法が、衝撃デラミの改善効果
が更に向上する結果が得られている。この原因はポリア
ミド樹脂(D)とEVOH(C)の相溶性は良いが、こ
れに比べ樹脂(E)とEVOH樹脂(C)の相溶性がや
や劣ることから、予め(D) と(E )とをブレンドしてお
くことにより、より多くのポリアミド樹脂(D)が樹脂
(E)の周りに十分に付着し、そのためにEVOH樹脂
(C)と樹脂(E)の相溶性が改善されるためと推察さ
れる。
【0018】ポリアミド樹脂(D)とエチレン・不飽和
カルボン共重合体系樹脂(E)を予めブレンドあるいは
反応させ、かかる後にEVOH樹脂(C)とブレンドす
る方法についても特に限定されるものではない。例え
ば、樹脂(D)と樹脂(E)とをドライブレンドし、該
ドライブレンドペレットをバンバリーミキサー、一軸押
出機あるいは二軸押出機によりペレット化、乾燥を行
い、ブレンド物を得た後、樹脂(C)とドライブレンド
し共射出成形に使用する方法、あるいは同様な方法にて
再ペレット化する方法などがあげられる。また、共通溶
液中、樹脂(D)と樹脂(E)をブレンドし混合あるい
は反応させ、溶媒を乾燥し、樹脂(C)と適宜ブレンド
する方法も有効である。
【0019】また、ブレンドに際し本発明の目的を阻害
しない範囲内でヒンダードフェノール、ヒンダードアミ
ン、金属石鹸(たとえばステアリン酸カルシウム、ステ
アリン酸マグネシウム)などの酸化防止剤、紫外線吸収
剤、あるいは着色剤を一種あるいは二種以上添加する事
は自由であるし、また有効である。本発明においては、
これらのブレンドからなる組成物の層(中間層)のpH
を3~ 6に調整することにより、中間層と内外層のPES
層との接着性が向上するので好ましい。pHの調整は、有
機酸(酢酸、プロピオン酸、カプリル酸、ラウリン酸な
ど)、無機酸(リン酸など)を含有させることにより、
行うことができる
【0020】さらにまた、共射出延伸ブロー容器の衝撃
デラミ性を改善する手段として上記熱可塑性ポリエステ
ル樹脂100重量部に対し、ポリアミド樹脂(D)1〜
20重量部とエチレン・不飽和カルボン共重合体系樹脂
(E)1〜20重量部をブレンドした樹脂を使用する
事、すなわち、(D )および(E )をPESおよびEV
OH両者にブレンドする事がより有効である。ただし、
この場合透明性が若干低下する。
【0021】多層構造を有する容器前駆体(パリソン)
は通常2台の射出シリンダーを有する成形機を用い単一
の金型に1回の型締め操作を行い、溶融したPES および
EVOH樹脂組成物をそれぞれの射出シリンダーよりタ
イミングをずらして交互あるいは/及び同心円状のノズ
ル内を同時に射出する事により得られる。例えば(1)
先に内外層用のPESを射出し、次いで、中間層となる
EVOH組成物を射出して、PES/EVOH組成物/PE
Sの3層構成の容器を作る方法、あるいは(2)先に内
外層用のPESを射出し、次いで、EVOH組成物を射出し
て、それと同時にあるいはその後中心層となるPESを
再度射出し、PES/EVOH組成物/PES/EVO
H組成物/PESの5層構成の容器を作る方法など内層
が最内外PES層で完全に封入された有底パリソンの一
般的な方法で得られ、特に設備上限定を受けるものでは
ない。また、該多層パリソンはあたたかい状態で直接あ
るいはブロックヒーター、赤外線ヒーターなどの発熱体
で75〜150℃に加熱された後、延伸ブロー工程に送
られ、タテ方向に1〜5倍にストレッチされた後、圧空
などで1〜4倍ブローされ、PESあるいは/及びEV
OH組成物が一軸あるい二軸延伸され、多層ポリエステ
ル延伸ブロー容器が得られる。該加熱延伸工程において
設備上特に限定されるものではない。
【0022】延伸ブロー容器を熱処理は多層ボトルの衝
撃デラミに大きく関与し、下記式(IV)を満足する事が
より望ましい。 (Tp−20)>Tc>100 ... (IV) 但し Tp:PESの融点(℃) Tc:ボトルの熱処理温度(℃)
【0023】TcがTp−20より大きいと最外層PE
Sが軟化し延伸配向性が低下する為かボトルの強度が不
良となる。一方Tcが100℃より低い場合、該多層容
器の衝撃デラミ性の向上が見られない。熱処理時間は1
〜100秒程度が良く、熱処理方法については特に限定
されるものではないが、一般的には、ブロー工程の金型
温度を増す方法あるいは加圧下、再度加熱し、金型に導
き熱処理する方法、あるいは熱風、熱媒で熱処理する方
法などが挙げられる。また熱処理後、温度の高いボトル
を取り出すに際しては、該加熱金型あるいは熱媒を急冷
する方法、あるいは再度冷却金型に導き加圧下、冷却金
型で冷却する方法などが挙げられる。
【0024】本発明の多層容器の構成は、PES及びE
VOH組成物2種類の樹脂を用い、中間層のEVOH組
成物層を1層以上、あるいはEVOH組成物層とPES
層とを各1層以上含む中間層を内外層のPES層が完全
に封入した構成であり、一般的にはPES/EVOH組
成物/PES、PES/EVOH組成物/PES/PE
S、PES/EVOH組成物/PES/EVOH組成物
/PESなどがあげられる。パリソンの厚みに関して
は、総厚みで2〜5mm、EVOH組成物層は合計で1
0〜500μであり、一般的にはEVOH組成物層が薄
いほど、EVOH組成部層の数が少ないほど、さらに外
層側に近いEVOH組成物層の位置が外層表面に近いほ
ど容器の衝撃デラミが生じやすい。また容器胴部の総厚
みは一般的には100〜3000μmであり、用途に応
じて使い分けられる。またこの時のEVOH組成物の合
計厚みは2〜200μ、好ましくは5〜100μであ
る。
【0025】本発明の多層プラスチック容器としては、
前述した共射出延伸多層プラスチック容器が特に好適で
あるが、他の共押出ダイレクトブロー容器、共押出延伸
多層プラスチック容器、多層シートから成形されるカッ
プ等の熱成形容器などもあげられる。
【0026】以下実施例により、本発明をさらに説明す
るが本発明はこれによって何ら限定を受けるものではな
い。
【0027】
【実施例】
実施例1 EVOH樹脂として、少量の酢酸を含み、かつエチレン
含有量32モル%、けん化度99.6%、MI(メルト
インデックス190℃―2160g)1.3g/10
分、融点181℃のEVOH(C)70重量部に対し
て、ポリアミド樹脂(D)としてナイロン6(宇部ナイ
ロン1011FB、融点225℃)10重量部、不飽和
カルボン酸共重合樹脂(E) としてエチレン・メタクリル
酸共重合体(メタクリル酸4.3モル%、融点98℃)
20重量部を予め溶融混錬したものをドライブレンド
し、30mmφの二軸押出機(日本製鋼所製TEX3
0)で、ダイ出口樹脂温度220℃、スクリュー回転数
300回転でペレット化した後、80℃、16時間減圧
下で乾燥し、EVOH系樹脂組成物(B)を得た。熱可
塑性ポリエステル樹脂として固有粘度0.71のポリエ
チレンテレフタレート(PET)を使用し、これらの樹
脂を用いて日精ASB製共射出延伸ブロー装置(50−
HT型750ml、2個取り)を使用し、PET側押出
機先端温度270℃、EVOH側押出機先端温度200
℃、PETとEVOHが合流するホットランナーブロッ
ク部260℃で共射出延伸ブロー成形を行い、胴部平均
厚みが内層PET90μ中間層EVOH組成物20μ、
外層PET190μの多層共射出ブロー成形ボトルを得
た。このボトル胴部には衝撃デラミが生じ易いように金
型にタテ50mmxヨコ15mm、厚み1.0mm、
2.0mmおよび4.0mmの凹凸を付けておいた。
【0028】該多層容器10個に水を充填し、常圧下1
mの高さより胴部を水平にして繰り返し落下させたとこ
ろ、平均20回目にデラミが発生した。また炭酸ガス水
溶液を充填しボトル内を4gasVol.に加圧し、同
様に繰り返し落下させた所、平均33回目にデラミが発
生した。
【0029】また、この容器をパリソンから延伸ブロー
するに際しブロー金型温度を120℃にし、30秒間熱
処理を行った所、上記デラミテストにおいて、常圧充填
では30回目にデラミが、また炭酸ガス水溶液による加
圧充填系では50回以上落下させてもデラミが生じず、
熱処理による衝撃デラミ性の改善が認められた。結果を
表1 に示す。
【0030】実施例2~ 4 表1 に示す組成でそれ以外は実施例1と同様に実験を行
った。得られたボトルの性能を表1に示す。なお、実施
例3に使用するEVOH中には少量の酢酸を含む。
【0031】比較例1 実施例1において、ポリアミド樹脂および不飽和カルボ
ン酸共重合樹脂を含まないEVOH樹脂のみを用いて、
実施例1と同様に実験を行った。その結果、該容器は常
圧水充填では平均2回目落下でデラミが生じ、炭酸ガス
水溶液の加圧充填でも平均5回目でデラミが発生した。
また、実施例1と同様熱処理ボトルでデラミテストを行
った所、常圧水充填では平均3回目の落下でデラミが、
炭酸ガス水溶液の加圧充填でも平均4回目の落下でデラ
ミが発生し、熱処理効果は認められなかった。
【0032】比較例2~ 7 表1 に示す組成で実施例1と同様に実験を行った。得ら
れた容器の性能を表1に示す。
【0033】実施例5 実施例1において共射出成形条件を変更し、容器胴部の
平均厚みを内側より順にPET90μ/EVOH組成物
10μ/PET100μ/EVOH組成物10μ/PE
T90μの2種5層構成のボトルを得た。該容器は常圧
水充填下では平均26回目にデラミが発生し、炭酸ガス
水溶液加圧充填では、平均41回目にデラミが発生し
た。また実施例1と同様、熱処理を行った所、常圧、炭
酸ガス加圧充填とも50回以上落下させてもデラミは生
じなかった。なお、実施例1~5の中間層(EVOH組成物
層)のpH( 中間層を粉砕して120℃の水中に浸漬して
得た抽出液のpH) は4であった。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、耐衝撃層間剥離性、ホ
ットフィル充填層間剥離性の大幅に改善された多層プラ
スチック容器を得る事ができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B32B 27/32 101 B32B 27/32 101 27/34 27/34 27/36 27/36 C08L 29/04 C08L 29/04 S 67/00 67/00 //(C08L 29/04 77:00 33:06) B29L 9:00 22:00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリエステル(A )の内外層と
    樹脂(B)の中間層からなり、かつ該樹脂(B )はエチ
    レン含有率15〜70モル%のエチレン−ビニルアルコ
    ール共重合体(C )、ポリアミド樹脂(D )およびエチ
    レン・不飽和カルボン共重合体系樹脂(E )からなり、
    かつ下記(I) および(II)式を満足する組成物である多層
    プラスチック容器。 0.5≦ Wc /(Wc+Wd+We)≦0.99 ... (I ) 0.02≦ Wd/(W d+We)≦0.7 ... (II) 但し、 Wc:エチレン−ビニルアルコール共重合物
    (C )の重量 Wd:ポリアミド樹脂(D )の重量 We:エチレン・不飽和カルボン共重合体系樹脂(E )の
    重量
  2. 【請求項2】 下記(III) 式を満足する請求項1記載の
    多層プラスチック容器。 0.1≦ MI (E)/MI(C)≦100 ... (III ) 但し、 MI(C ):樹脂(C )のメルトインデックス
    (2160g、190℃)(g /10分) MI(E ):樹脂(E )のメルトインデックス(2160
    g、190℃)(g /10分)
  3. 【請求項3】 共押出延伸ブロー成形する請求項1記載
    の多層プラスチック容器の製法。
  4. 【請求項4】 共射出延伸ブロー成形後、下記式(IV)
    を満足する温度で熱処理する請求項1記載の多層プラス
    チック容器の製法。 (Tp-20 )> Tc >100 ... (IV) 但し、 Tp:熱可塑性ポリエステル(A )の融点
    (℃) Tc:プラスチック容器の熱処理温度(℃)
  5. 【請求項5】 樹脂(B)として、ポリアミド樹脂(D
    )およびエチレン・不飽和カルボン共重合体系樹脂(E
    )を予めブレンドし、これをエチレン−ビニルアルコ
    ール共重合体(C )にブレンドした組成物を使用する請
    求項1記載の多層プラスチック容器の製法。
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