JPH1162959A - 直動案内軸受装置用スライダの仮軸 - Google Patents

直動案内軸受装置用スライダの仮軸

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JPH1162959A
JPH1162959A JP22408697A JP22408697A JPH1162959A JP H1162959 A JPH1162959 A JP H1162959A JP 22408697 A JP22408697 A JP 22408697A JP 22408697 A JP22408697 A JP 22408697A JP H1162959 A JPH1162959 A JP H1162959A
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JP
Japan
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guide rail
lubricant
slider
shape
temporary shaft
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JP22408697A
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Inventor
Yasushi Abe
靖司 阿部
Hiroshi Fujita
洋 藤田
Shunichi Yabe
俊一 矢部
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決課題】 潤滑剤含有部材からの潤滑剤が案内レー
ルに効率良く行われ、寿命が向上される直動案内軸受装
置用スライダの仮軸を提供する。 【課題解決手段】 スライダ2の移動方向端部には、案
内レール1の外面形状のうち少なくとも転動体転動溝3
0A,30Bの形状のうち少なくとも転動体転動溝の形
状ににほぼ一致する内周面を有する潤滑剤含有部材11
が設けられている。仮軸50は潤滑剤含有部材と嵌合す
る部分の少なくとも案内レールの転動体転動に相当する
部分の形状が案内レールの転動体転動溝の形状にほぼ一
致して形成されなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の利用分野】本発明は、直動案内軸受装置用スラ
イダの仮軸に係わり、特に別個売りのスライダ等のよう
に、案内レールに実際に装着される前のスライダを仮に
載せて保持しておくための仮軸の改良に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】直動案内軸受装置は、例えば、特開平9
−112551(特願平7――265346)号公報に
記載されているように案内レールにスライダを滑動自在
に支持或いは嵌合した装置として知られている。スライ
ダと案内レールとの間には転動体が設けられることによ
り、スライダが案内レールに沿って滑動自在に移動でき
るようになっている。
【0003】案内レールが転動体に臨む部分には、転動
体が案内レール上を転がるための転動溝が形成されてい
る。この転動溝の溝底には、転動体に相当するボールが
スライダから脱落しないように保持するためのボール保
持器用の逃げ溝が、ボール転動用の溝に沿ってこの溝底
からさらに奥へ形成されている。
【0004】従来の直動案内用軸受装置においては、ス
ライダの進行方向の両端部に、ゴム又は合成樹脂に潤滑
剤を含有させる等した潤滑剤含有部材が取り付けられて
いるものがある。この潤滑剤含有部材が案内レールに嵌
合するための凹部は、案内レールの外周の形状に一致す
る形状を持って形成されている。したがって、潤滑剤含
有部材の凹部には案内レールに設けられた既述の溝内に
嵌まり込む突部が設けられている。
【0005】この潤滑剤含有部材は、スライダを案内レ
ールに沿って滑動自在にするために潤滑剤を供給すると
ともに、既述の転動溝や逃げ溝から異物がスライダ内に
至らないようにするためにシール材としての機能も発揮
する。したがって、これらの溝に嵌まり込む突部は、溝
の形状に極力合わせた形状や寸法を持って形成される。
【0006】一方、従来の直動案内軸受装置でスライダ
の端部に潤滑剤含有部材を有していないものにおいて、
案内レールに装着されずにスライダ単体で販売される場
合には、スライダは、仮軸と呼ばれる樹脂製のレールに
仮に支持され販売される。この仮軸を販売先で用意して
ある案内レールの端部に付けて配置し、スライダを仮軸
から案内レールに向けてスライドさせてやると、仮軸に
支持されていたスライダを案内レールに移動させること
ができる。
【0007】この仮軸はスライダを案内レールに移動で
きるように保持するので、スライダ内にある転動体等の
ために溝を備えている。この仮軸は、従前では、仮にス
ライダを保持するだけのものであるから、比較的簡単で
安価である、樹脂をブロー成型する方法によって製造さ
れていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
仮軸を潤滑剤含有部材付きのスライダに嵌合し長時間放
置した後にスライダを案内レールに組み付けると、潤滑
剤含有部材と案内レールとの間に隙間が発生し、潤滑剤
含有部材が案内レールの転動体転動溝と十分に接触しな
いことが判明した。
【0009】この結果、潤滑剤が効率良く転動体転動溝
に供給されず、さらに、シール性が低下することによ
り、直動案内軸受装置の寿命が低下するという虞がるこ
とが分かった。
【0010】本発明は、この問題点を解決するために、
このような隙間の発生がなく、寿命が向上される直動案
内軸受装置用スライダの仮軸を提供することを目的す
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者が検討したとこ
ろ、潤滑剤含有部材付スライダを従来の仮軸に保持して
放置すると、潤滑剤含有部材中の潤滑剤が放出され収縮
するので、潤滑剤含有部材の凹部の形状や寸法が仮軸の
外面の形状に倣って変形してしまい、実際に案内レール
にスライダを装着した際、潤滑含有部材が案内レールの
転動体転動溝に十分接触しない場合があることが分かっ
た。
【0012】従来の仮軸の製作に用いていたブロー成形
では、複雑な形状である転動体転動溝を持った案内レー
ルの形状に合わせて仮軸を成形することは困難である。
案内レールの転動体転動溝は断面がボールに合わせて円
弧状に成っているが、ブロー成形による合成樹脂製の仮
軸の溝は、ほぼ直線状又はV字状の断面形状にならざる
を得ない。また、転動体保持器用の溝を仮軸に形成する
ことは困難である。
【0013】一旦、この潤滑剤含有部材を仮軸に装着し
て時間が経つと、潤滑剤含有部剤が仮軸に臨む部分の形
状が仮軸の溝の形状に倣ってしまう。この状態で仮軸か
らスライダを案内レールに装着させると、潤滑剤含有部
剤の形状が案内レールの輪郭形状に合うことができな
い。
【0014】一方、案内レールそのものを仮軸として使
用することも考えられるが、この場合、鋼材を焼入後、
転動体転動溝を研削仕上するためのコストが高くなると
言う欠点がある。スライダを仮軸に保持した後スライダ
を案内レールに組み込んだ後は、通常不用として処分さ
れる仮軸として、案内レールそのものを使用することは
適当でない。
【0015】そこで、本発明は、既述の目的を達成する
ために、案内レールに対して滑動自在に嵌合されるスラ
イダであって、該スライダの前記案内レールとの嵌合部
に挿通される直動案内軸受装置用スライダの仮軸におい
て、前記スライダの移動方向端部には、前記案内レール
の外面形状のうち少なくとも転動体転動溝の形状にほぼ
一致する内周面を有する潤滑剤含有部材が設けられてお
り、前記仮軸は前記潤滑剤含有部材と嵌合する部分のう
ち少なくとも前記案内レールの転動体転動溝に相当する
部分の形状が、前記案内レールの転動体転動溝の形状に
ほぼ一致して形成されてなることを特徴とする。
【0016】仮軸の溝をこのように形成することは、仮
軸を射出成形法によって製造することによって実現され
る。射出成形法によれば、溝を含めた仮軸の断面形状や
端面形状等を案内レールの転動体転動溝や転動体保持器
用の逃げ溝などの形状に合わせて形成することが可能と
なる。
【0017】仮軸に形成される転動体転動溝の幅方向の
断面形状は、好適には、案内レールの転動体転動溝に合
わせて、サーキュラーアーク、ゴッシクアーチ等、案内
レールの溝の形状に対応した円弧状に形成される。
【0018】本発明によれば、スライダを仮軸から案内
レールに移動しても、スライダの潤滑剤含有部材から案
内レールに潤滑剤が効率良く供給され、しかも案内レー
ルとスライダとのシール性も維持される、仮軸に直動案
内軸受装置用スライダを保持又は支持する機構が提供さ
れる。 さらに、スライダを仮軸から案内レールに組み
付けた時に、案内レールに形成される転動体転動溝等の
各種溝の外形形状にほぼ一致する形状の凹部を持つ潤滑
剤含有部材を備えるスライダが提供される。さらにま
た、このスライダを有する直動案内軸受装置が提供され
る。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を添付
図面を用いて説明する。図1は、直動案内軸受装置全体
の斜視図を示すものである。直動案内軸受装置は外面に
転動体転動溝3A,3Bを有して軸方向に延びる案内レ
ール1と、その案内レール1を跨いで組み付けられたス
ライダ2とを備えている。
【0020】案内レ−ル1の上面1aと両側面lbが交
叉する稜線部に、断面ほぼ1/4円弧形状の軸方向の凹
溝からなる一方の転動体転動溝3Bが形成されるととも
に、案内レールの両側面1b中間位置に断面ほぼ半円形
の他方の転動体転動溝3Aが形成されている。
【0021】転動体転動溝3Aの溝底から案内レールの
内側に向かって、スライダ2を案内レール1に組み付け
ない状態で転動体の脱落を防ぐ保持器の逃げ溝3aが形
成されている。一方、スライダ2は、スライダ本体2A
とその進行方向の両端部に取り付けられたエンドキャッ
プ2Bとからなり、スライダ本体2Aは両袖部4の内側
面に案内レール1の転動体転動溝3A,3Bに対向する
負荷転動体転動溝を有するとともに、袖部の肉厚部分を
軸方向に貫通する転動体戻し路を有している。
【0022】一方、エンドキャップ2Bは、スライダ本
体2Aの転動体転動溝とこれに平行な転動体戻し路とを
連通させる湾曲路を有しており、それらの転動体転動溝
と転動体戻し路と両端の湾曲路とで転動体循環回路が形
成されている。
【0023】その転動体循環回路内には例えば鋼球から
なる多数の転動体が装填されている。なお、図中7は必
要に応じてグリ−スニップルが嵌着されるための貫通穴
である。
【0024】エンドキャップ2Bは、合成樹脂材の射出
成形品で、断面ほぼコ字形に形成されている。そして、
スライダ2の端部の組み立て状態を示す斜視図である図
2に示すように、両エンドキャップ2Bのそれぞれの外
面側には、エンドキャップ2Bに近い側から、補強板1
0,潤滑剤含有部材である潤滑剤含有ポリマー11及び
サイドシール12が、重ね合わされた状態で固定されて
いる。
【0025】これらのうち補強板10は、エンドキャッ
プ2Bの端面の外形に合わせたほぼコ字形状の鋼板であ
り、その両袖部10A,10Bには、取付ネジ貫通用の
貫通孔l0a,10bが形成されるとともに、それら両
袖部10A,10Bを連結する連結部l0Cには、グリ
ースニップル用貫通孔10cが形成されている。なお、
この補強板10は、案内レール1とは接触しない。
【0026】また、サイドシ−ル12は、エンドキャッ
プ2Bの外形に合わせたほぼコ字形状の鋼板と、この鋼
板と相似の形状を有してその外面に一体的に成形された
ニトリルゴムとから構成されている。かかるサイドシー
ル12の案内レールlと接触するリップ部13の内側の
面は、スライダ2と案内レ−ルlとの間のすき間をシー
ルできるように、その案内レールlの断面形状に合わせ
て案内レ−ルlの上面1a及び外側面lbに摺接可能な
形状、すなわち、転動体転動溝3A,3Bや逃げ溝3a
にも摺接可能な形状に成形されている。
【0027】なお、このサイドシール12の両袖部12
A,12Bにも、取付ネジ貫通用の貫通孔12a,12
bが形成されるとともに、それら両袖部12A,12B
を連結する連結部12Cには、グリースニップル用の貫
通孔12cが形成されている。
【0028】そして、これらサイドシール12及び補強
板10間には、潤滑剤含有部材に相当する潤滑剤含有ポ
リマー11が介装されている。この潤滑剤含有ポリマー
11は、エンドキャップ2Bの外形に合わせたほぼコ字
形状に形成されていて、そのコ字形状の内側の面は、テ
ーパ状ではなく平坦な形状であって、サイドシール12
のリップ部13の内面と同様に、案内レール1の断面形
状に合わせて案内レール1の上面1a及び転動体転動溝
3A,3B、さらに逃げ溝を合む外側面1bに摺接可能
な形状となっている。
【0029】潤滑剤含有ポリマー11の正面図である図
3(a)及び側面図である図3(b)にも示すように、
その両袖部11A,11Bにも、取付ネジ貫通用の貫通
孔11a,11bが形成されるとともに、それら両袖部
11A,11Bを連結する連結部11Cには、グリース
ニップル用の貫通孔11cが形成されている。貫通孔1
1a,11bのそれぞれは袖部l1A,11Bの外側に
向かって開放しており、貫通孔11cは連結部llCの
上面側に開放している。
【0030】この潤滑剤含有ポリマー11の凹部70
は、その内面が案内レ−ル1の上面la及び転勤体転動
溝3A,3Bを合む外側面1bに滑動自在に摺接するよ
うな形状及び寸法に形成されるとともに、その凹部内面
の案内レールlの転勤体転動溝3A,3B及び逃げ溝3
aに対向する部分には、それら各溝3A,3B及び3a
の内面に摺接するように凸部11d,11e,11f及
びllgが形成されている。
【0031】さらに、潤滑剤含有ポリマー11の凹部内
面のうち、案内レールlの上面laに摺接する内底面1
1hは、この潤滑剤含有ポリマー11に外部から力を与
えていない状態で、袖部11A,11Bに近い端部側よ
りも中央部側が下方にやや突き出るように、曲率半径R
の円弧形状となっている。
【0032】そして、図2に示すように、潤滑剤含有ポ
リマー11の両袖部11A,11Bに形成された貫通孔
11a,11bのそれぞれには、リング状部材15A,
15Bが嵌め込まれるようになっている。このリング状
部材15A,15Bは、短い円筒形状の部材であり、そ
の外径は、貫通孔11a,llbに容易に嵌め込める程
度の寸法となっている。
【0033】また、潤滑剤含有ポリマー11の連結部1
1Cに形成された貫通孔11cにも、リング状(又は中
実円柱状)部材16が嵌め込まれるようになっている。
このリング状部材16も短い円筒形状の部材である。た
だし、リング状部材16の外径は、貫通孔11Cの内径
よりも大きくなっている。つまり、リング状部材16を
貫通孔11cに嵌め込むことにより、その貫通孔11c
が押し広げられるようになっている。
【0034】さらに、リング状部材15A,15B及び
16の長さ方向の厚さは、潤滑剤含有ポリマー11のそ
れ(W)よりも、若干(例えば、0.2mm程度)厚く
なっている。つまり、リング状部材15A,15B及び
16を貫通孔lla、11cに嵌め込むと、そのリング
状部材15A,15B及び16の端部が、潤滑剤含有ポ
リマー11の表面又は裏面から突出するようになってい
る。
【0035】そして、これら補強板10,潤滑含有ポリ
マー11及びサイドシール12は、エンドキャップ2B
の貫通孔2a,2bを貫通して本体2Aに螺合する取付
用ネジ17A,17Bが、サイドシ−ル12の貫通孔1
2a,12b、潤滑ポリマー11の貫通孔11a,ll
b,内側のリング状部材15A,15B及び補強板10
の貫通孔10a,l0bを貫通することにより、エンド
キャップ2Bと一体に本体2Aに固定される。
【0036】機台に固定した案内レールl上をスライダ
2が移動すると、スライダ2内の転動体は転動体転動路
内を転動しつつスライダ2の移動方向にスライダ2より
遅い速度で移勤し、一端側の湾曲路でUターンして転動
体戻し路を逆方向に転動しつつ移動し、他端側の湾曲路
で逆Uターンして転動体転動路内に戻る循環を繰り返
す。こうして直動案内軸受装置が駆動されると、潤滑剤
含有ポリマー11も案内レール1に接触しつつ移動し、
その移動時の摩擦熱の影響も加わって、潤滑剤含有ポリ
マーllから潤滑剤が経時的に徐々に滲み出すが、その
滲み出した潤滑剤は、案内レール1の特に転動体転動溝
3A,3Bを介して、その転動体転動溝3A,3B内を
転動する転動体へ自動的に供給される。
【0037】この自己潤滑性により、長期間にわたり安
定した滑らかな作動が行われる。したがって、殊更に潤
滑剤を外部からスライダ2に供給しないでも低トルクで
良好な運転を長時間続けることができる。
【0038】また、潤滑ポリマー11の凹部の内面形状
を、上述したように案内レール1の横断面形状に整合さ
せているから、図4に示すように、潤滑剤含有ポリマー
11は案内レ−ルlの上面1a及び側面1bに密着する
ことができるし、潤滑剤含有ポリマー材11から潤滑剤
が滲み出すにつれて、潤滑剤含有ポリマー自体が自己収
縮するから、潤滑剤含有ポリマーは、その収縮力により
案内レール1の被シール面に常時密着して接触し、シー
ル機能と潤滑機能を果たすという作用が得られる。
【0039】既述の図4は、潤滑剤含有ポリマーが案内
レールに密着している状態を示す、一部案内レールの幅
方向の断面図である。図4に示すように、両者が密着し
ている状態では、潤滑剤含有ポリマーの突部11dが案
内レール1の転導体転動溝3Aに密着している。この突
部11dの案内レール側にはボール保持器用溝3aに嵌
入される小突起11tが連続して設けられている。
【0040】図3に示される潤滑ポリマーの凸部11f,1
1g,11d,及11eは、案内レールに設けられたサーキュラ
ーアーク溝3A,3B(ボールの曲率半径よりも大きい
曲率半径を有する円弧状の溝で、そこを転動するボール
が溝と一点で接触するようにしたもの)或いはゴッシク
アーチ溝(ボールの曲率半径よりも大きい曲率半径を有
する円弧を二つ繋ぎ合わせた形状の溝で、そこを転動す
るボールが2点で接触するようにしたもの)3A,3B
に対応した形状を持っている。
【0041】潤滑剤含有ポリマー11は、特開平9−1
12551号に記載されているように、次のようにして
構成される。
【0042】ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブチ
レン,ポリメチルペンテン等の基本的に同じ化学構造を
有するポリオレフィン系樹脂の群から選定した合成樹脂
に、潤滑剤としてポリα−オレフィン油のようなパラフ
ィン系炭化水素油、ナフテン系炭化水素油、鉱油、ジア
ルキルジフェニルエーテル油のようなエーテル油、フタ
ル酸エステルのようなエステル油等の何れかを単独若し
くは混合油の形で混ぜて調整した原料を、射出成形によ
り成形したものが適用でき、潤滑剤の中に予め酸化防止
剤,錆止め剤,摩耗防止剤,あわ消し剤,極圧剤等の各
種添加剤を加えたものでもよい。
【0043】上記潤滑剤含有部材の組成比は、全重量に
対してポリオレフィン系樹脂20〜80重量%、潤滑剤
80〜20重量%である。ポリオレフィン系樹脂が20
重量%未満の場合は、あるレベル以上の硬さ・強度等が
得られない。また、ポリオレフィン系樹脂が80重量%
を越える場合(つまり、潤滑剤が20重量%未満の場
合)は、潤滑剤の供給が少なくなり、シール装置のリッ
プ部の摩耗低減効果が少なくなる。
【0044】上記合成樹脂の群は、基本構造は同じでそ
の平均分子量が異なっており、1X103−5X106
範囲におよんでいる。その中で、平均分子量lX103
−5×105という比較的 低分子量のものと、lXl
6−5X106という超高分子量のものとを、単独もし
くは必要に応じて混合して用いる。
【0045】潤滑剤含有ポリマーの機械的強度を向上さ
せるため、上述のポリオレフィン系樹脂に、以下のよう
な熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を添加したものでも
よい。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド,ポリカーボ
ネート,ポリブチレンテレフタレート,ポリフェニレン
サルファイド,ポリエーテルスルホン,ポリエーテルエ
一テルケトン,ポリアミドイミド,ポリスチレン,AB
S樹脂等の各樹脂を使用することができる。熱硬化性樹
脂としては、不飽和ポリエステル樹脂,尿素樹脂,メラ
ミン樹脂,フエノール樹脂,ポリイミド樹脂,エポキシ
樹脂等の各樹脂を使用することができる。
【0046】これらの樹脂は、単独または混合して用い
ても良い。更に、ポリオレフィン系樹脂とそれ以外の樹
脂とを、より均一な状態で分散させるために、必要に応
じて適当な相溶化剤を加えてあっても良い。また、機械
的強度を向上させるために、充填材を添加してもよい。
例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チタン酸
カリウムウィスカーやホウ酸アルミニウムウィスカー等
の無機ウィスカー類、或いはガラス繊維やアスベスト、
金属繊維等の無機繊維類及びこれらを布状に編組したも
の、また有機化合物では、カーボンブラック、黒鉛粉
末、カーボン繊維、アラミド繊維やポリエステル繊維等
を添加してもよい。更に、ポリオレフィン系樹脂の熱に
よる劣化を防止する目的で、N,N’−ジフエニル−P
一フェニレンジアミン、2,2’−メチレンビス(4−
エチル−6−t−ブチルフェノール)等の老化防止剤、
また光による劣化を防止する目的で、2−ヒドロキシ−
4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒド
ロキシー3’−第三一ブチル−5’−メチルーフェニ
ル)一5一クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤
を添加してもよい。
【0047】以上の全ての添加剤(ポリオレフィン+油
以外)の添加量としては、添加剤全体として、成形原料
全量の20童量%以下であることが、潤滑剤の供給能力
を維持する上で好ましい。
【0048】図5乃至図7は本発明に係る仮軸を示すも
のであり、図5は仮軸に装着されたスライダの斜視図を
示し、図6はこの仮軸自体の斜視図を示し、図7はこの
仮軸の幅方向の断面形状を示すものである。
【0049】この仮軸50は射出成型法によって形成さ
れており、仮軸の幅方向断面及びスライダの進行方向端
面の輪郭外形形状がほぼ案内レールのそれに合わせて成
形されている。すなわち、仮軸の両側面の上部位置に
は、前記転動体溝3Bに相当する溝30B、その下方に
は既述の転動体転動溝3Aに相当する溝30Aが形成さ
れている。
【0050】さらに、この転動体用溝30Aの溝底に
は、前記案内レールと同様にボール保持器用の逃げ溝3
0aが形成されている。図7に示すように、本発明の仮
軸の断面形状のサイズは、仮軸の幅C、仮軸の高さD、
転動体用溝30Aと転動体用溝30Bとのそれぞれの曲
率半径の中心を基準とした、図示AとBの長さを元にし
て、案内レールのサイズや転動体用の溝の形状にほぼ一
致するように形成されている。但し、案内レールと異な
り仮軸はスライダを仮に保持すれば十分であるから、図
5及び図6に示すように、機能上必要がない部分を仮軸
の寸法精度を上げるために、肉ヌスミ52を設けてい
る。図7では、この肉ヌスミの部分を省略している。符
号52Aは、肉ヌスミを補強するための補強板である。
そして、この射出成形法による仮軸の製造では、転動体
転動溝の幅A、転動体転動溝位置B、幅寸法C、及び高
さDや既述のRの各寸法公差はJISB0405の中級
程度となっている。
【0051】これに対して、図8はブロー成形法によっ
て形成された従来の仮軸の斜視図であり、図9はこの仮
軸の幅方向の断面図である。この従来の仮軸は、ブロー
成形法により成形されていたために、先に述べたよう
に、案内レールの転動体転動溝の形状(シングルアーク
又はゴシックアーチ)に合わせた複雑な形状に成形され
ることができず、案内レールの転動体転動溝3Bに相当
する溝の部分は直線状の平面80に簡素化され、転動体
転動溝3Aに相当する部分は、転動体(φE)が2点で
接触するV字状溝82に簡素化されている。
【0052】また、従来はスライダを単体で販売する場
合にスライダ内にボール保持器に保持されているボール
が脱落しない程度に仮軸が嵌合すれば良く、転動体用溝
30A、30Bの断面形状は直線状で十分であった。
【0053】既述のように、潤滑剤含有ポリマー11か
ら潤滑剤が滲み出すにつれて、ポリマーll自体は自己
収縮して被潤滑面に常時密着して接触する性質を有して
いることから、従来の仮軸にスライダを遊嵌させてその
まま時間が経つと、徐々に、潤滑剤含有ポリマーの凹部
にある溝内に嵌合される突部の形状が、特に、図3の一
点鎖線で示すように、ほぼ直線状やV字状に変化してし
まうことになる。
【0054】これに対して、本発明の仮軸の溝の形状
は、図7に示すように、実際の案内レールの溝の断面形
状にほぼ一致して形成されていることから、この仮軸に
スライダを装着して時間が経て潤滑剤含有ポリマー11
の形状が仮軸に合って変化した場合でも、実際の案内レ
ールの溝の形状に合うように形状が変化する。
【0055】
【実施例】本発明の仮軸を以下の寸法にて製造した。断
面形状は製品案内レールとほぼ同一の形状とし、潤滑剤
含有ポリマーの既述のA、B、C、Dの各寸法、溝曲率
R寸法の値も案内レールとほぼ同一とした。各寸法の目
標値は、以下の通りとして仮軸を試作した。
【0056】 A,C,D:製品レールの基準寸法±0.1mm B:(製品レールの基準寸法−0.1)±0.1mm R:(製品レールの基準寸法−0.1)±0.05mm 次に本発明の仮軸と従来の仮軸に潤滑剤含有ポリマーを
嵌合し、80℃、168hrの条件下に放置した時の潤
滑剤含有ポリマーの各部の変形量を測定した結果を表1
に示す。併せて製品案内レールに潤滑剤含有ポリマーを
放置したときの変形量を示す。測定部位は、潤滑剤含有
ポリマーの凹部の輪郭形状である図10に示す通りであ
る。
【0057】潤滑剤含有ポリマーは、仮軸又は案内レー
ルに嵌合すると、時間の経過に伴い、潤滑剤含有ポリマ
ーの凹部における輪郭形状が実線から点線で示す形状に
変化する。潤滑剤含有ポリマーの凹部の輪郭形状及び寸
法は、当初製品案内レールの外形の輪郭形状や寸法に合
わせて形成される。
【0058】
【表1】
【0059】表1の(1)は、製品案内レールそのもの
に潤滑剤含有ポリマーを嵌合した場合の結果である。
(2)は従来の仮軸の同様な結果である。(3)は本発
明の仮軸の同様な結果である。a〜lは、図10に示す
測定部位である。(1)〜(3)はそれぞれの測定部位
に対応する寸法変化量であり、単位はmmである。
【0060】表1から分かることは、従来の仮軸の場合
は各測定点において、本発明の仮軸に比べて寸法変化量
が大きくなっている。すなわち、本発明の仮軸によれ
ば、潤滑剤含有部ポリマーの凹部の全周に亘って従来の
仮軸より寸法変化が少ないことが分かる。これは、本発
明の仮軸が、案内レールの形状(寸法を含む。)極力合
わせた形状(寸法を含む。)で製作されていることによ
る。
【0061】したがって、この実施例によれば、仮軸を
案内レールの幅方向の断面における輪郭形状や溝部を含
む各輪郭部分の寸法に正確に合わせて製造することによ
り、仮軸にスライダを装着したまま長時間放置或いは保
存しても、潤滑剤含有ポリマーの寸法変化が潤滑剤含有
ポリマーを実際の製品レールに嵌合した場合の変化の範
囲内に抑えることが可能となる。よって、スライダを仮
軸に嵌合させて長期間放置し、この後スライダを製品レ
ールに装着しても潤滑剤含有ポリマーと製品レールの溝
との間の隙間を極力無くし潤滑剤を案内レールに効率良
く供給することが可能となる。
【0062】なお、仮軸の案内レールの転動体転動溝に
相当する部分の形状が、案内レールの転動体転動溝の形
状にほぼ一致するとは、たとえば、スライダが案内レー
ルに装着された際に潤滑剤含有部材による案内レールの
潤滑性能やシール性能が、目的とする直動案内軸受装置
の寿命を得るに足る範囲で一致すればよいことである。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
潤滑剤含有部材からの潤滑剤が案内レールに効率良く供
給され、直動案内軸受装置の寿命延長に寄与する潤滑剤
含有部材の潤滑剤供給機能を長期にわたり維持すること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】直動案内軸受装置全体の斜視図である。
【図2】スライダの端部の組み立て状態を示す斜視図で
ある。
【図3】(a)は潤滑剤含有ポリマーの正面図であり、
(b)はその側面図である。
【図4】案内レールに潤滑剤含有ポリマーが嵌合されて
いる状態を示す一部断面図である。
【図5】本発明の仮軸に装着されたスライダの斜視図で
ある。
【図6】本発明の仮軸の斜視図である。
【図7】本発明の仮軸の幅方向の断面形状を示す。
【図8】ブロー成形法によって形成された従来の仮軸の
斜視図である。
【図9】従来の仮軸の幅方向の断面図である。
【図10】潤滑剤含有ポリマー部材の凹部の輪郭形状の
寸法変化とそれの測定部位を示す模式図である。
【符号の説明】
1 案内レール、2 スライダ、3A,3B 転動体転
動溝、3a 転動体保持器用溝、11 潤滑剤含有ポリ
マー、 30A,30B 転動体用溝、50仮軸

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 案内レールに対して滑動自在に嵌合され
    るスライダであって、該スライダの前記案内レールとの
    嵌合部に挿通される直動案内軸受装置用スライダの仮軸
    において、前記スライダの移動方向端部には、前記案内
    レールの外面形状のうち少なくとも転動体転動溝の形状
    にほぼ一致する内周面を有する潤滑剤含有部材が設けら
    れており、前記仮軸は前記潤滑剤含有部材と嵌合する部
    分のうち少なくとも前記案内レールの転動体転動溝に相
    当する部分の形状が、前記案内レールの転動体転動溝の
    形状にほぼ一致して形成されてなることを特徴とする直
    動案内軸受装置用スライダの仮軸。
JP22408697A 1997-08-20 1997-08-20 直動案内軸受装置用スライダの仮軸 Pending JPH1162959A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008057690A (ja) * 2006-08-31 2008-03-13 Nsk Ltd 直動案内装置の仮軸

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008057690A (ja) * 2006-08-31 2008-03-13 Nsk Ltd 直動案内装置の仮軸

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