JPH1078033A - リニアガイド装置 - Google Patents

リニアガイド装置

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JPH1078033A
JPH1078033A JP23048996A JP23048996A JPH1078033A JP H1078033 A JPH1078033 A JP H1078033A JP 23048996 A JP23048996 A JP 23048996A JP 23048996 A JP23048996 A JP 23048996A JP H1078033 A JPH1078033 A JP H1078033A
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JP
Japan
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lubricant
compound
rolling element
reaction film
containing polymer
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JP23048996A
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English (en)
Inventor
Shunichi Yabe
俊一 矢部
Masaru Konno
大 金野
Soichiro Kato
総一郎 加藤
Yutaka Igarashi
豊 五十嵐
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】一般のリニアガイド装置では、転動体と案内レ
ールあるいはスライダ本体とが、グリース潤滑下でも金
属接触を起こし易く、作動に伴う摩耗が進行して長期に
わたる良好な作動性が維持できない。 【解決手段】スライダ2のエンドキャップ2Bの外側
に、案内レール1に摺接可能に潤滑剤含有ポリマ部材8
1を配設し、これに潤滑剤と共に化合物反応膜形成化合
物を含有させた。また、転動体を表面処理してその表面
に予め、酸性リン酸エステル等からなる化合物反応膜を
形成した。潤滑剤含有ポリマ部材81から経時的にしみ
出す潤滑剤及び化合物反応膜形成化合物が転動体に供給
されて、潤滑とその表面の化合物反応膜の補修が自動的
に行われ、長期にわたる良好な作動性が維持される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた作動性を有
するリニアガイド装置に関し、特に案内レールと転動体
のように互いに接触運動する部材に化合物反応膜を形成
して焼付きや摩耗を防止し、更にそれらの接触部に対し
て自動的経時的に潤滑剤を供給するのみならず、その潤
滑剤中にも化合物反応膜形成物質を含ませて先に形成し
た当該化合物反応膜の修復をも可能にしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般的に使用されるリニアガイド
装置としては、例えば図17に示すように、外面に軌道
溝3を有して軸方向に延びる案内レール1と、その案内
レール1を跨いで組み付けられたスライダ2を備えたも
のが知られている。スライダ2はスライダ本体2Aとそ
の両端部に取り付けられたエンドキャップ2Bとからな
り、スライダ本体2Aは両袖部4の内側面に案内レール
1の軌道溝3に対向する図示されない軌道溝を有すると
ともに、袖部の肉厚部分を軸方向に貫通する図外の転動
体戻し路を有している。一方、エンドキャップ2Bは、
スライダ本体2Aの軌道溝とこれに平行な転動体戻し路
とを連通させる図示されない湾曲路を有しており、それ
らの軌道溝と転動体戻し路と両端の湾曲路とで転動体の
循環回路が形成されている。その転動体の循環回路内に
は例えば鋼球からなる多数の転動体が装填されている。
【0003】案内レール1に組み付けたスライダ2は、
対向する両軌道溝内の転動体の転動を介して案内レール
に沿い滑らかに移動する。その移動中、転動体は案内レ
ールの軌道溝の溝面,スライダの負荷軌道溝の溝面,湾
曲路の内壁面,転動体戻し路の内壁面等と転がり接触し
つつ転動して、スライダ内の転動体循環路を循環する。
【0004】前記のスライダ2には、案内レール1との
間のすき間の開口をシールする防塵用シール装置とし
て、図17,図18に示すように、両端(各エンドキャ
ップ2Bの端面)にシール装置であるサイドシール5、
下面にアンダーシール6が装着されている。これら従来
のシールは、一般的にはNBR(アクリロニトリルブタ
ジエンゴム)などのゴム製のものが用いられている。な
お、図17に示すグリースニップル7からグリースや潤
滑油が転動体の循環回路に供給され、転動する転動体の
潤滑が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リニア
ガイド装置は高度の運動精度を維持し、さらには外部荷
重に対する弾性変位量を小さくして剛性を上げる必要が
ある。そのための手段として予圧を付与することが一般
に行われれており、その作動性について次のような未解
決の課題があった。
【0006】(1)グリース等の潤滑剤を使用していて
も、リニアガイド装置の作動に伴い、案内レールの転動
体接触面(すなわち軌道軌道溝の溝面)、あるいはスラ
イダの転動体接触面(すなわち負荷軌道溝の溝面,湾曲
路及び転動体戻し路からなる転動体の循環回路の内面)
と転動体とが、金属接触を起こし易い。そのため、動摩
擦力は運転初期においてかなり高く、また作動に伴い摩
耗が進行して初期の予圧が失われリニアガイド装置自体
の剛性が落ちやすい。
【0007】(2)リニアガイド装置の作動時にグリース
等が枯渇すると、直ちに焼付き・破損を起こして作動不
能になるおそれがある。そこでこの発明は、上記従来の
未解決の課題に着目してなされたものであり、案内レー
ルと転動体等のように直接金属同志が接触を起こし易い
部材に耐焼付き性を有する化合物反応膜を予め形成する
と共に自動的,経時的に潤滑剤の供給及び当該化合物反
応膜の修復を可能とすることにより、長期にわたり良好
な作動性が維持できるリニアガイド装置を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係るリニアガイド装置は、外面に軸方向
の軌道溝を有する案内レールと、その案内レールに組み
付けられるとともに前記軌道溝に対向する負荷軌道溝及
びこの負荷軌道溝の両端部に湾曲路を介して連結された
転動体戻し路を有するスライダと、前記湾曲路及び転動
体戻し路を経て循環可能にスライダに装填された多数の
転動体とを備え、かつ前記スライダは両端にスライダと
案内レールとの間のすき間の開口をシールするシール装
置を備えたリニアガイド装置において、案内レールの転
動体接触面,前記スライダの転動体接触面及び転動体自
身の表面の少なくともいずれかに予め化合物反応膜を形
成し、且つ前記両転動体接触面と前記転動体表面との少
なくともいずれかに接触する位置に潤滑剤含有ポリマ部
材を配設するとともに当該潤滑剤含有ポリマ部材中の潤
滑剤に化合物反応膜形成化合物を含有させたことを特徴
とする。
【0009】ここで、前記潤滑剤含有ポリマ部材は、ス
ライダの両端面に備えた前記シール装置の少なくとも一
部、例えばシール材それ自体を前記ポリマ部材で構成す
ることにより、シール機能に加えて化合物反応膜形成化
合物及び潤滑剤の供給源を兼ねたものとすることができ
る。
【0010】また、前記潤滑剤含有ポリマ部材は、スラ
イダの前記転動体戻し路を形成する孔に挿入して用いる
チューブであって、転動体戻し路の少なくとも一部を構
成すると共に化合物反応膜形成化合物及び潤滑剤の供給
源を兼ねたものとすることができる。
【0011】また、前記潤滑剤含有ポリマ部材は、スラ
イダの前記転動体戻し路の内壁の一部を構成すると共に
化合物反応膜形成化合物及び潤滑剤の供給源を兼ねたも
のとすることもできる。
【0012】また、前記潤滑剤含有ポリマ部材は、スラ
イダの前記湾曲路の一部を構成すると共に化合物反応膜
形成化合物及び潤滑剤の供給源を兼ねたものとすること
ができる。
【0013】また、前記潤滑剤含有ポリマ部材は、転動
体間に存在するスペーサーボールであって、化合物反応
膜形成化合物及び潤滑剤の供給源として使用するものと
することができる。
【0014】また、本発明のリニアガイド装置は、スラ
イダの端部のエンドキャップを前記潤滑剤含有ポリマ部
材で形成して、当該エンドキャップ自体を化合物反応膜
形成化合物及び潤滑剤の供給源とすることもできる。
【0015】以下に、本発明の化合物反応膜及びこれを
形成するための化合物反応膜形成化合物について詳細に
説明する。ここにいう化合物反応膜(層)とは、化学的
に活性な有機化合物(例えば、有機イオウ化合物,有機
リン化合物,有機塩素化合物,有機金属化合物)と反応
膜(層)形成面との間の化学反応によって当該反応膜形
成面に形成される化合物からなる反応膜(層)を意味
し、バルクとは異なった性質を持つ無機及び/又は有機
の金属化合物、例えば、金属リン化合物,金属イオウ化
合物,金属塩素化合物の少なくとも一種からなるもので
ある。以下、単に「化合物反応膜」と記載する。
【0016】当該化合物反応膜の形成化合物としての有
機リン化合物,有機イオウ化合物,有機塩素化合物及び
有機金属化合物と反応膜形成面との反応によって、有機
リン化合物−反応膜が、有機イオウ化合物との反応によ
って有機イオウ化合物−反応膜が、有機塩素化合物との
反応によって有機塩素化合物−反応膜が、有機金属化合
物との反応によって有機金属化合物−反応膜が反応膜形
成面に形成される。
【0017】有機リン化合物−反応膜を形成するのに用
い得る有機リン化合物としては、亜リン酸エステル類,
正リン酸エステル類,酸性リン酸エステル類等がある。
上記亜リン酸エステル類は、C1〜C18の炭化水素類
(例えば、アルキル,フェニル,ベンジル,クレジル,
シンナミル,アリル)の亜リン酸エステルで、例えばト
リオクチルフォスファイト,トリフェニルフォスファイ
ト,トリクレジルフォスファイト,ビス−2−エチルヘ
キシルフォスファイト,トリデシルフォスファイト,ジ
ブチルハイドロジェンフォスファイト,トリス(ノニル
フェニル)フォスファイト,ジラウリルハイドロジェン
フォスファイト,ジフェニルモノデシルフォスファイ
ト,トリラウリルトリチオフォスファイト,ジフェニル
ハイドロジェンフォスファイトなどが好ましい。
【0018】又、正リン酸エステル類は、C1〜C18
炭化水素類(例えば、アルキル,フェニル,ベンジル,
クレジル,シンナミル,アリル)の正リン酸エステル
で、例えばトリフェニルフォスフェート,トリエチルフ
ォスフェート,トリブチルフォスフェート,トリス(2
−エチルヘキシル)フォスフェート,トリデシルフォス
フェート,ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)フォ
スフェート,トリクレジルフォスフェート,トリオクチ
ルフォスフェート,トリステアリルフォスフェートなど
が好ましい。
【0019】又、酸性リン酸エステル類は、C1〜C20
のモノ又はジヒドロカルビルアッシドフォスフェートで
あり、例えばメチルアッシドフォスフェート,イソプロ
ピルアッシドフォスフェート,ブチルアッシドフォスフ
ェート,2−エチルヘキシルアッシドフォスフェート,
イソデシルアッシドフォスフェート,トリデシルアッシ
ドフォスフェート,ラウリルアッシドフォスフェートな
どが好ましい。
【0020】有機イオウ化合物−反応膜を形成するのに
用い得る有機イオウ化合物としては、例えば硫化鯨油な
どの硫化油脂類の他、硫化オレフィン類,メルカプタン
類,サルファイド類,スルホキシド類、スルホン類等が
ある。
【0021】上記の硫化オレフィン類は、C3〜C8のオ
レフィン又はそれから誘導される低分子量ポリオレフィ
ンの硫化物で、例えば硫化ペンテン,硫化ブチレン,硫
化オクテンなどが好ましい。
【0022】メルカプタン類は、C4〜C20のアルキル
メルカプタン及びメルカプト脂肪酸エステルで、例えば
n−ブチルメルカプタン,イソブチルメルカプタン,第
三ブチルメルカプタン,n−オクチルメルカプタン,第
三ノニルメルカプタン,第三ドデシルメルカプタン,チ
オグリコール酸ブチル,チオロピオン酸エチル,3−メ
ルカプトプロピオン酸オクチルなどが好ましい。
【0023】サルファイド類は、C4〜C18の炭化水素
類(例えば、アルキル,フェニル,ベンジル,シンナミ
ル,アリル)のモノサルファイド( −S− ),ジサ
ルファイド( −S−S− ),トリサルファイド(
−S−S−S− )で、例えばジブチルモノサルファイ
ド,ジブチルジサルファイド,ジフェニルサルファイ
ド,ジベンジルサルファイドなどが好ましい。
【0024】スルホキシド類は、C4〜C20の炭化水素
類(例えば、アルキル,フェニル,ベンジル,シンナミ
ル,アリル)のスルホキシドで、例えばジブチルスルホ
キシド,ジベンジルスルホキシドなどが好ましい。
【0025】スルホン類は、C4〜C20のアルキル,フ
ェニル,ベンジル,シンナミル,アリルのスルホンで、
例えばジブチルスルホン,ジドデシルスルホン,フェニ
ルスルホンなどが好ましい。
【0026】有機塩素化合物−反応膜を形成するのに用
い得る有機塩素化合物としては、塩素化パラフィン類,
塩素化油脂類等がある。塩素化パラフィン類としては、
例えば、n−オクチルクロライド,塩化パラフィン,塩
化オクタデシルが存在し、塩素化油脂類としては、例え
ば、塩化鯨油が存在する。
【0027】更に又、有機金属化合物−反応膜を形成す
るのに用い得る有機金属化合物としては、金属ジヒドロ
カルビルジチオフォスフェート類,金属ジヒドロカルビ
ルジチオカーバメート類,ナフテン酸塩類等がある。
【0028】上記金属ジヒドロカルビルジチオフォスフ
ェート類は、各ヒドロカルビル基がC4〜C20である金
属ジヒドロカルビルジチオフォスフェートで、例えばZ
nジメチルジチオフォスフェート,Znブチルイソオク
チルジチオフォスフェート,Znジ(4−メチル−2−
ペンチル)ジチオフォスフェート,Znジ(テトラプロ
ぺニルフェニル)ジチオフォスフェート,Zn(2−エ
チル−1−ヘキシル)ジチオフォスフェート,Zn(イ
ソオクチル)ジチオフォスフェート,Zn(エチルフェ
ニル)ジチオフォスフェート,Zn(アミル)ジチオフ
ォスフェート,Znジ(ヘキシル)ジチオフォスフェー
ト、或いは金属として上記亜鉛(Zn)の他、鉛(P
b),カドミウム(Cd),アンチモン(Sb),モリ
ブデン(Mo)などのものが好ましい。
【0029】金属ジヒドロカルビルジチオカーバメート
類は、各ヒドロカルビル基がC4〜C20である金属ジヒ
ドロカルビルジチオカーバメートで、例えばZnジメチ
ルジチオカーバメート,Znブチルイソオクチルジチオ
カーバメート,Znジ(4−メチル−2−ペンチル)ジ
チオカーバメート,Znジ(テトラプロぺニルフェニ
ル)ジチオカーバメート,Zn(2−エチル−1−ヘキ
シル)ジチオカーバメート,Zn(イソオクチル)ジチ
オカーバメート,Zn(エチルフェニル)ジチオカーバ
メート,Zn(アミル)ジチオカーバメート,Znジ
(ヘキシル)ジチオカーバメート、或いは金属として上
記亜鉛(Zn)の他、鉛(Pb),カドミウム(C
d),アンチモン(Sb),モリブデン(Mo)などの
ものが好ましい。
【0030】又、ナフテン酸塩類はナフテン酸の金属塩
で、例えばナフテン酸鉛などが好ましい。前記のような
化合物反応膜を形成する種々の化合物は、そのまま、或
いは油や溶剤に溶解し希釈された状態で、濃度0.1〜1
00重量%の範囲で使用することができる。ここで油と
しては、例えば、精製パラフィン,ジフェニル等の非極
性のものを使用でき、溶剤としては、例えば、トルエン
等の非極性溶媒を使用できる。その他の油,溶媒を使用
することができるが、非極性のものであることが好まし
い。
【0031】本発明の化合物反応膜を形成する際、所定
濃度の前記有機リン化合物,有機イオウ化合物,有機塩
素化合物,有機金属化合物の各々が単独で、或いは複数
種類の混合物として用いられる。特に、有機リン化合物
と有機イオウ化合物とを混合すると、両者の相互作用に
より化合物反応膜の形成速度が大きくなることが検討の
結果明らかとなった。尚、同一種類の化合物内では、上
に例示したような各具体的化合物が単独或いは混合され
て用いられる。
【0032】単独で或いは混合して用いられた前記各化
合物の種類とその含有量に応じて、リニアガイド装置の
被処理部材の表面に、有機リン化合物−反応膜,有機イ
オウ化合物−反応膜,有機塩素化合物−反応膜,有機金
属化合物−反応膜、又はこれらが二種以上混在した化合
物反応膜を形成することができる。
【0033】その形成にあたっては、予め所定濃度に調
整した化合物液中にリニアガイド装置の被処理部材を浸
漬し、温度を室温から200℃の範囲内の所定温度に制
御しつつ、目的の膜厚になるように時間を制御して反応
させる。これにより、被処理部材の表面に、所定厚みの
化合物反応膜を形成することができる。この、化合物反
応膜の形成過程において、例えば超音波などを利用する
と、反応形成膜の均一性を改善したり、反応速度を増加
させることができる。
【0034】ここに、リニアガイド装置の前記「被処理
部材」とは、転動体自身及び転動体と転がり接触する面
を備えた部材をいう。具体的には、転動体が転がり接触
する軌道溝を有する案内レール、同じく負荷軌道溝及び
転動体戻し路を有するスライダ本体、同じく湾曲路を有
するエンドキャップ等である。
【0035】本発明の化合物反応膜形成の表面処理は、
被処理部材の少なくとも転がり接触面になされていれば
足りる。転がり接触面のみに表面処理する場合、転がり
接触面以外の面には適宜にマスキングを施して、化合物
液中に浸漬する。もっとも、これ以外の部分に表面処理
がなされていても良い。また、転がり接触する部材間に
おいて、少なくとも一方の部材の接触表面にこの表面処
理がなされていれば低摩擦,低摩耗,耐荷重,耐焼付き
性を十分に向上させたリニアガイド装置を提供すること
ができる。
【0036】続いて、本発明の潤滑剤含有ポリマ部材の
材料について詳しく説明する。本発明のリニアガイド装
置に使用する潤滑剤含有ポリマ部材は、ポリエチレン,
ポリプロピレン,ポリブチレン,ポリメチルペンテン等
の基本的に同じ化学構造を有するポリα−オレフィン系
ポリマーの群から選定したポリマに、潤滑剤としてポリ
α−オレフィン油のようなパラフィン系炭化水素油、ナ
フテン系炭化水素油、鉱油、ジアルキルジフェニルエー
テル油のようなエーテル油、フタル酸エステル・トリメ
リット酸エステルのようなエステル油等の何れかを混合
して加熱溶融した後、所定の型に注入して加圧しながら
冷却固化させて成形したものであり、予め酸化防止剤,
錆止め剤,あわ消し剤,極圧剤等の各種の添加剤を加え
たものでもよい。
【0037】本発明の潤滑剤含有ポリマ部材にあって
は、更に、前記潤滑油中に、先に述べた化合物反応膜形
成化合物を添加剤として加える。その添加量は、前記潤
滑剤の全体量に対して重量濃度で1〜10%、好ましく
は3〜7%に調整する。添加量が1重量%未満の場合
は、リニアガイド装置の被処理面に予め形成してある化
合物反応膜の欠損箇所を、新たな化合物反応膜の生成に
より修復する能力が不十分である。一方、添加量が10
重量%を越えた場合は、前記新たな化合物反応膜の生成
が過多になり、かえって被処理面が荒れる結果を招く。
【0038】本発明の潤滑剤含有ポリマ部材の組成比
は、全重量に対してポリオレフィン系樹脂が20〜80
重量%好ましくは20〜50重量%、潤滑剤(化合物反
応膜形成化合物を含む、以下同じ)は残余の量すなわち
80〜20重量%好ましくは80〜50重量%である。
潤滑剤を50重量%以上とした方が潤滑剤の供給が多
く、したがって損傷した化合物反応膜の修復能力が高く
なるので好ましい。
【0039】ポリオレフィン系樹脂が20重量%未満の
場合は、あるレベル以上の硬さ・強度が得られない。ま
た、ポリオレフィン系樹脂が80重量%を越える場合
(つまり、潤滑剤が20重量%未満の場合)は、潤滑剤
の供給が少なくなるため、リニアガイド装置の作動によ
り欠損した被処理面の既成の化合物反応膜を、新たな化
合物反応膜の生成により修復する能力が低下する。
【0040】上記ポリマの群は、基本構造は同じでその
平均分子量が異なっており、1×103 〜5×106
範囲におよんでいる。その中で、平均分子量1×103
〜1×105 という比較的低分子量のものと、1×10
6 〜5×106 という超高分子量のものとを、単独もし
くは必要に応じて混合して用いる。
【0041】本発明の潤滑剤含有ポリマ部材の機械的強
度を向上させるため、上述のポリα−オレフィン系ポリ
マーに、以下のような熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂
を添加したものでもよい。
【0042】熱可塑性樹脂としては、ポリアミド,ポリ
カーボネート,ポリブチレンテレフタレート,ポリフェ
ニレンサルファイド,ポリエーテルスルホン,ポリエー
テルエーテルケトン,ポリアミドイミド,ポリスチレ
ン,ABS樹脂等の各樹脂を使用することができる。
【0043】熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステ
ル樹脂,尿素樹脂,メラミン樹脂,フェノール樹脂,ポ
リイミド樹脂,エポキシ樹脂等の各樹脂を使用すること
ができる。
【0044】これらの樹脂は、単独または混合して用い
ても良い。また、ポリオレフィン系ポリマーとそれ以外
の樹脂とを、より均一な状態で分散させるために、必要
に応じて適当な相溶化剤を加えてあっても良い。
【0045】また、機械的強度を向上させるために、充
填材を添加してもよい。充填材としては、例えば、炭酸
カルシウム、炭酸マグネシウム、チタン酸カリウムウィ
スカーやホウ酸アルミニウムウィスカー等の無機ウィス
カー類、或いはガラス繊維やアスベスト、金属繊維等の
無機繊維類及びこれらを布状に編組したもの、また有機
化合物では、カーボンブラック、黒鉛粉末、カーボン繊
維、アラミド繊維やポリエステル繊維等を挙げることが
できる。
【0046】更に、ポリオレフィン系樹脂の熱による劣
化を防止する目的で、N,N' −ジフェニル−P−フェ
ニレンジアミン、2,2' −メチレンビス(4−エチル
−6−t−ブチルフェノール)等の老化防止剤、また光
による劣化を防止する目的で、2−ヒドロキシ−4−n
−オクトキシベンゾフェノン、2−(2' −ヒドロキシ
−3' −第三−ブチル−5' −メチル−フェニル)−5
−クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤を添加し
てもよい。
【0047】本発明の潤滑剤含有ポリマ部材は補強材で
補強したものとすることもできる。その場合の補強材と
しては、鋼,アルミニウム等の芯部にポリオレフィン系
プラスチックを被覆したもの、又は同様の芯部にポリオ
レフィン系プラスチック製部材を接着材等で接着したも
の、又はポリオレフィン系プラスチックのみからなるも
の等を用いる。それらのポリオレフィン系プラスチック
としては、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリメチル
ペンテン等が用いられる。
【0048】前記補強材のポリオレフィン系プラスチッ
ク側の面と潤滑剤含有ポリマ部材との具体的な接合方法
は、以下のとおりである。先ず、射出成形機にセットさ
れた適当な温度に保持された所定の金型のキャビティ中
に補強板のポリオレフィン系プラスチック面を有する金
属製芯金を挿入して固定する。その後、射出成形機によ
って、金型キャビティ内に、潤滑剤含有ポリマを可塑化
(溶解)したものを注入し、冷却固化させてキャビティ
形状に形成する。これにより、補強材のポリオレフィン
系プラスチックと同種材料であるポリオレフィン系ポリ
マからなる潤滑剤含有ポリマとが容易に且つ強固に一体
化されて補強した潤滑剤含有ポリマ部材が成形される。
因みに、補強材を例えば金属やナイロンのようにポリオ
レフィン系ポリマとは異種の材料で形成した場合には、
両者は良好に接合されず容易に剥離してしまう。
【0049】本発明のリニアガイド装置は、その構成部
材である案内レール又はスライダにおける転動体接触面
か或いは転動体自身の表面か、少なくともいずれかに、
予め耐焼付き性に優れた化合物反応膜を形成してあるか
ら、転動体と案内レールあるいは転動体とスライダなど
のように互いに当接した状態で作動する部材であって
も、直接金属面同士が接触することがない。そのため、
例えばグリース等の潤滑剤が枯渇したとしても、従来の
ように直ちに焼付きを起こして転動体の転動が停止し、
スライダの走行が不能になるという事態は避けられる。
【0050】また、化合物反応膜の形成によって転動体
との接触面における摩擦・摩耗特性や耐荷重性が向上す
るため、リニアガイド装置の初期の作動性が良好になる
と共に、長期間作動しても軌道面が摩耗しにくい。した
がって、転動体に対して予め付与されている予圧が長期
間維持できてリニアガイド装置の剛性が確保され、案内
精度等の特性が向上する。
【0051】更に、本発明のリニアガイド装置は、案内
レール又はスライダにおける転動体との接触面及び転動
体自身の少なくともいずれかに必ず接触する潤滑剤含有
ポリマ部材から、潤滑剤及び化合物反応膜形成化合物が
経時的に徐々にしみ出して、転動する転動体の面に均一
に供給される。そのため、たとえ高温の悪環境にあって
も長期間にわたって安定した潤滑が行われる。同時に、
案内レール,転動体及びスライダの少なくともいずれか
の金属面に予め形成してある化合物反応膜に、潤滑剤中
に含まれた新しい化合物反応膜形成化合物が絶えず供給
される。したがって、リニアガイド装置の長期間の作動
や高頻度の作動等により、前記予め形成してある化合物
反応膜が部分的に欠損したり損傷を受けたりしても、潤
滑剤と共に供給される化合物反応膜形成化合物で新しい
化合物反応膜が形成されて欠陥箇所が自動的に補修され
る。
【0052】また、例えば予め形成した化合物反応膜が
例えば転動体のみというように一部の部材に限られてい
ても、潤滑剤含有ポリマ部材からしみ出した潤滑剤から
その転動体の転動を介して供給される新しい化合物反応
膜形成化合物で、未処理の部材面(例えば案内レールの
軌道溝面やスライダの負荷軌道溝面)にも化合物反応膜
が新たに形成される。そのため、一層長期間にわたって
リニアガイド装置の低摩擦性,低摩耗性,耐焼付き性な
どの特性を維持することができる。
【0053】スライダの両端面に備えたシール装置の少
なくとも一部を潤滑剤含有ポリマ部材で構成すると、ス
ライダの移動に伴って潤滑剤含有ポリマ部材からしみ出
した潤滑剤及び化合物反応膜形成化合物が案内レールの
軌道溝を経て、自動的に転動体及びスライダの負荷軌道
溝等に供給される。
【0054】また、スライダの転動体戻し路の全部ある
いは一部を潤滑剤含有ポリマ部材で形成すると、スライ
ダの移動に伴って転動体戻し路を転動しつつ循環する転
動体が当該転動体戻し路を通過する際に、潤滑剤含有ポ
リマ部材からしみ出した潤滑剤及び化合物反応膜形成化
合物が自動的に転動体に供給され、その転動体の転動を
介して案内レール及びスライダの軌道溝等にも供給され
る。
【0055】また、スライダの湾曲路の構成部材を潤滑
剤含有ポリマ部材で形成すると、スライダの移動に伴っ
て湾曲路を経て転動しつつ循環する転動体が、転動体戻
し路を経て当該湾曲路を通過し負荷軌道溝に移る際に、
潤滑剤含有ポリマ部材からしみ出した潤滑剤及び化合物
反応膜形成化合物が自動的に転動体等に供給され、その
転動体の転動を介して案内レール及びスライダの軌道溝
等にも供給される。
【0056】また、スライダ本体の端面に取り付けられ
るエンドキャップを潤滑剤含有ポリマ部材で形成する
と、転動体が湾曲路を移動する際に、当該エンドキャッ
プから湾曲路内にしみ出した潤滑剤及び化合物反応膜形
成化合物が自動的に転動体に供給され、その転動体の転
動を介して案内レール及びスライダの軌道溝等にも供給
される。
【0057】また、潤滑剤含有ポリマ部材からなるスペ
ーサーボールを用いると、転動体と共に走行する当該ス
ペーサーボールからしみ出した潤滑剤及び化合物反応膜
形成化合物が、接触する転動体,案内レールの軌道溝及
びスライダの負荷軌道溝等に自動的に供給される。
【0058】なお、本発明の化合物反応膜形成化合物
を、リニアガイド装置の潤滑剤として用いられているグ
リース中に含有させてもよい。これにより、転動体と案
内レール及びスライダの各軌道溝とにグリースと共に自
動的に供給され、化合物反応膜を形成させることが可能
である。しかしその場合は、膜形成反応の進行に伴って
グリース中の化合物反応膜形成化合物の濃度が低下して
いくので、化合物反応膜の生成が時間の経過とともに次
第に困難になっていく。これに対し、上に述べたように
リニアガイド装置の種々の構成部材中の潤滑剤含有ポリ
マ部材に潤滑剤と共に含有させる本発明の場合は、転動
体と接触する部材に常に新しい化合物反応膜形成化合物
が供給されるから、長期間にわたり化合物反応膜の形成
が行える利点がある。
【0059】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面を参照して説明する。なお、従来と同一ないし相当部
分には同一の符号を付してある。
【0060】まず、この発明のリニアガイド装置の全体
の構造について、図1〜図6に基づいて説明する。図
1、図2において、横断面角形の案内レール1上に横断
面形状がほぼコ字形のスライダ2が軸方向に相対移動可
能に跨架されている。スライダ2はスライダ本体2Aの
軸方向の両端部にエンドキャップ2Bが着脱可能に固着
されている。案内レール1の上面1aと両側面1bが交
叉する稜線部には、断面ほぼ1/4円弧形状の凹溝から
なる一方の軌道溝13が軸方向に形成され、案内レール
の両側面1b中間位置には、断面ほぼ半円形の他方の軌
道溝3が軸方向に形成されている。これらの軌道溝3,
13の溝面は、後述する転動体Bとの接触面である。
【0061】一方、スライダ2の本体2Aの両袖部4の
内側のコーナ部には、案内レール1の一方の軌道溝13
に対向する断面ほぼ半円形の負荷軌道溝18が形成さ
れ、スライダ袖部4の内側面の中央部には案内レール1
の他方の軌道溝3に対向する断面ほぼ半円形の負荷軌道
溝19が形成されている。これらの軌道溝3,13の溝
面は、後述の転動体Bとの接触面である。
【0062】上記の案内レールの軌道溝13とスライダ
の負荷軌道溝18とで負荷転動体転動路21が構成さ
れ、案内レールの軌道溝3とスライダの負荷軌道溝19
とで負荷転動体転動路22が構成されている。
【0063】また、スライダ本体2Aの袖部4の上部肉
厚に、負荷軌道溝18に平行な軸方向の断面円形の貫通
孔からなる転動体戻し路23が形成され、袖部4の下部
肉厚内に、軌道溝3に平行する同様の軸方向貫通孔から
なる転動体戻し路24が形成されている。これらの転動
体戻し路23及び24の内面は後述の転動体Bとの接触
面である。なお、25はエンドキャップ2B取付け用の
ねじ穴である。
【0064】エンドキャップ2Bは、合成樹脂材の射出
成形品で、断面ほぼコ字状に形成されている。そして、
スライダ本体2Aとの当接面(裏面)には、図3に示す
ように、両袖部分に斜めに傾斜した半円状の上凹部31
と下凹部32が上下に形成されている。これらの各凹部
31及び32の内面は転動体Bとの接触面である。その
各半円状の凹部31,32の中心部を横断して半円柱状
の凹溝33が設けてある。半円柱状の凹溝33には、図
4,図5に示す半円筒状のリターンガイド35が嵌合さ
れる。このリターンガイド35の外径面の中央部には、
転動体Bの案内面となる断面円弧状の凹溝36が半円状
に形成され、リターンガイド35の内径側の凹部37は
潤滑剤通路であり、その凹部37から外径側の凹溝36
に抜ける貫通孔37Aが給油孔として形成されている。
上記リターンガイド35の凹溝36も転動体Bとの接触
面になる。
【0065】この実施形態のリターンガイド35は合成
樹脂材の射出成形品である。このようなリターンガイド
35を半円状の凹部31,32に組み込むことにより、
エンドキャップ2Bの裏面に半ドーナツ状の湾曲路38
が上下二段に形成される。そのエンドキャップ2Bをス
ライダ本体2Aに取り付けて、湾曲路38で、スライダ
本体2Aの負荷軌道溝18と転動体戻し路23とを連通
させる(図6参照)。下段の負荷軌道溝19と転動体戻
し路24も同様に連通させる。上記の負荷軌道溝18
(19),転動体戻し路23(24),湾曲路38で構
成される転動体無限循環経路に、多数の転動体Bが転動
自在に挿入されている。
【0066】また、エンドキャップ2Bの表側の給油ニ
ップル7から注入された潤滑剤が、エンドキャップ2B
裏面の給油溝49を通りリターンガイド35の内径側の
凹部37から給油孔37Aを経て、湾曲路38内へ送り
込まれるようにしてある。
【0067】続いて、上記の全体構造を有する本発明の
リニアガイド装置の部分構造の実施の形態について説明
する。図7〜図9は、本発明における第1の実施形態と
して、スライダ本体2Aの端部に固着されたエンドキャ
ップ2Bの外側端面に取り付けるシール装置部分の構造
を示したものである。
【0068】この第1の実施形態は、エンドキャップ2
Bのさらに外側に、エンドキャップ2Bに遠い側から順
に、サイドシール80,潤滑剤含有ポリマ部材81及び
補強板82が重ね合わされた状態で固定されている。
【0069】サイドシール80は、NBRゴムとエンド
キャップ2Bの外形に合わせたほぼコ字形状の鋼板とを
接着した部材であって、その両袖部に取付ネジ貫通用の
貫通孔80a,80bが形成されるとともに、それら両
袖部を連結する連結部にグリースニップル取付け用の貫
通孔80cが形成されている。その内側のゴム面は、ス
ライダ2と案内レール1との間のすき間をシールできる
ように、案内レール1の断面形状に合わせて案内レール
1の上面1a及び外側面1bに摺接可能な形状に成形さ
れている。ただし、その内面寸法は、案内レール1との
間のすき間を確実にシールするために、案内レール1の
表面に接する寸法よりも若干(0.1 〜0.2 mm程度)小
さくしてある。
【0070】補強板82は、同じくエンドキャップ2B
の外形に合わせたほぼコ字形状の鋼板であり、その両袖
部に取付ネジ貫通用の貫通孔82a,82bが形成され
るとともに、それら両袖部を連結する連結部にグリース
ニップル用の貫通孔82cが形成されている。ただし、
この補強板42は、案内レール1とは非接触である。
【0071】そして、これらサイドシール80及び補強
板82間に挟まれている潤滑剤含有ポリマ部材81も、
図7にその斜視図を示すように、エンドキャップ2Bの
外形に合わせたほぼコ字形状の部材であり、そのコ字形
状の内側の面は、サイドシール80の内面と同様に、案
内レール1の断面形状に合わせて案内レール1の上面1
a及び外側面1b(転動体接触面である軌道溝3,13
の溝面を含む)に少なくとも一部分が摺接可能な形状と
なっている。また、潤滑剤含有ポリマ部材81には、ス
ライダ本体2Aに固定する際に取付け用ねじが貫通する
一部が軸方向に切開された貫通孔81a,81bと、グ
リースニップル取付け用の同じく一部が軸方向に切開さ
れた貫通孔81cとが形成されており、各貫通孔81
a,81b及び81cには、図10に示すような管状の
スリーブ81A,81B,81Cがはめ込まれるように
なっている。そのスリーブ81Cの内側をグリースニッ
プル7が貫通する。なお、これらのスリーブ81A,8
1B,81Cの長さL2 は、潤滑剤含有ポリマ部材81
の厚さL1 と等しくするか、若しくは若干(〜0.2 mm
程度)長くされている。そのため、潤滑剤含有ポリマ部
材81をサイドシール80と補強板82との間に挟み込
んで取付け用ねじ83a,83bで締め付けたとき、そ
の押圧力が潤滑剤含有ポリマ部材81に加わることが防
止できるから、この潤滑剤含有ポリマ部材81の自己収
縮作用が妨げられるような事態が避けられる。
【0072】また、スリーブ81A,81Bの外径は、
サイドシール80の貫通孔80a,80b及び補強板8
2の貫通孔82a,82bよりも大きくされている。こ
のようにスリーブ径を大きくすると、潤滑剤含有ポリマ
部材81の内面を絶えず案内レール1の外面に押しつけ
て密着させることができ、しみ出してくる潤滑剤及び化
合物反応膜形成化合物を安定的に供給することができ
る。
【0073】ここで、潤滑剤含有ポリマ部材81の組成
は、低分子量ポリエチレン(三菱油化(株)製PZ50
U)20重量%、超高分子量ポリエチレン(三井石油化
学(株)ミペロン,登録商標,XM220)10重量%、
パラフィン系鉱油(日本石油(株)製FBK RO10
0)66.5重量%及びこの鉱油に予め溶解させた化合
物反応膜形成化合物としての酸性リン酸エステル類であ
るトリデシルモノアッシドフォスフェート(和光純薬
(株)製)3.5重量%に設定されている。
【0074】これらサイドシール80,潤滑剤含有ポリ
マ部材81及び補強板82は、その組み立て状態を示す
斜視図である図9に示すように、取付け用ねじ83a及
び83bを、サイドシール80のねじ用の貫通孔80
a,80bと潤滑剤含有ポリマ部材81のねじ用の貫通
孔81a,81bと補強板82のねじ用の貫通孔82
a,82bとをそれぞれ貫通させて、エンドキャップ2
Bと一体にスライダ本体2Aにねじ止めされる。
【0075】前記リニアガイド装置の構成部材である転
動体Bの表面には、焼付き防止及び摩擦,摩耗の低減の
ための化合物反応膜として、厚さ0.05μmの前記ト
リデシルモノアッシドフォスフェートの被膜が予め形成
されている。もっとも、この化合物反応膜は、転動体B
の表面の金属面に限らない。例えば転動体Bと接触する
案内レール1の軌道溝3及び13の溝面や、スライダ本
体2Aの負荷軌道溝18及び19の溝面等に形成しても
良い。次に上記第1の実施形態の動作を説明する。
【0076】機台に固定した案内レール1上をスライダ
2が移動すると、転動体Bは負荷転動体転動路21(2
2)内を転動しつつスライダ2の移動方向にスライダ2
より遅い速度で移動し、一端側の湾曲路38でUターン
して転動体戻し路23(24)を逆方向に転動しつつ移
動し、他端側の湾曲路38で逆Uターンして負荷転動体
転動路21(22)内に戻る循環を繰り返す。
【0077】こうしてリニアガイド装置が駆動される
と、サイドシール80に併設している潤滑剤含有ポリマ
部材81からは潤滑剤が経時的に徐々にしみ出し、シー
ルの接触面である案内レール1の軌道溝3,13の溝面
に自動的に供給される。さらにそれらの軌道溝3,13
内を転動する転動体B及びスライダ2の負荷軌道溝1
8,19へ供給され、長期間にわたり安定した潤滑が行
われる。したがって、殊更に潤滑剤を外部からスライダ
2に供給しないでも低トルクで良好な運転を長時間続け
ることができる。
【0078】同時に、転動体Bの金属表面に予め形成し
てある化合物反応膜に、潤滑剤中に含まれている化合物
反応膜形成化合物が絶えず供給され、予め形成してある
それらの化合物反応膜が部分的に欠損したり損傷を受け
たりしても、直ちに新しい化合物反応膜が形成されて欠
陥箇所が自動的に補修される。したがって、リニアガイ
ド装置の摩擦・摩耗特性や耐荷重性等の作動性を長期間
にわたって良好に維持することができる。
【0079】なお、図示を省略するが、上記第1実施形
態の変形として、サイドシール80の代わりに補強板8
2を用いた例を挙げることができる。すなわち、潤滑剤
含有ポリマ部材81は、二枚の補強板82によりサンド
イッチ状に挟まれることになる。その場合の潤滑剤含有
ポリマ部材81は、サイドシール機能をも兼用するもの
になる。
【0080】次に、本発明における第2の実施形態を図
10に示す。この第2の実施形態は、スライダ本体2A
の斜視図である図10(a)に示すように、スライダ本
体2Aの転動体戻し路23,24を通常より大径にする
とともに、各転動体戻し路23,24内に潤滑剤含有ポ
リマ部材からなり内径が転動体Bの直径より僅かに大き
い転動体循環チューブ50をそれぞれ挿入している。
【0081】この転動体循環チューブ50は、図10
(b)に示すように、円筒体の円周面に所定間隔を保っ
て軸方向に延長し且つ内外周面を貫通する複数の長孔5
1を穿設した円筒籠状のポリエチレン製の補強材52
と、その長孔51内に一体に接合された複数の潤滑剤含
有ポリマ53とでなる潤滑剤含有ポリマ部材として構成
されている。この潤滑剤含有ポリマ部材は、まず、予め
射出成形された補強材52を射出成形機に保持された所
定の金型中にセットし、この金型内に可塑化された潤滑
剤含有ポリマを射出して冷却することにより、補強材5
2と潤滑剤含有ポリマ53とが一体化されて接合されて
いる。
【0082】ここで、潤滑剤含有ポリマ53の組成は、
第1の実施形態の場合と同じである。この第2実施形態
においては、リニアガイド装置が駆動されると、転動体
戻し路23(24)を形成している転動体循環チューブ
50から、潤滑剤及び化合物反応膜形成化合物が経時的
に徐々にしみ出して、チューブ内を転動する転動体Bへ
自動的に供給され、長期間にわたり安定した潤滑が行わ
れる。したがって、殊更に潤滑剤を外部からスライダ2
に供給しないでも低トルクで良好な運転を長時間続ける
ことができる。
【0083】同時に、転動体Bの金属表面に予め形成し
てある化合物反応膜に、潤滑剤中に含まれている化合物
反応膜形成化合物が絶えず供給され、予め形成してある
転動体Bの化合物反応膜が部分的に欠損したり損傷を受
けたりしても、直ちに新しい化合物反応膜が形成されて
欠陥箇所が自動的に補修される。したがって、リニアガ
イド装置の摩擦・摩耗特性や耐荷重性等の作動性を長期
間にわたって良好に維持することができる。
【0084】次に、本発明における第3の実施形態を図
11に示す。この第3の実施形態は、図11(a)に示
すように、スライダ2の転動体戻し路23(24)の内
壁の一部を循環路部分形成部材54で置き換えている。
すなわち、スライダ本体2Aの転動体戻し路23(2
4)に対向する外側面1bを軸方向に部分的に切り欠い
て、転動体戻し路23(24)の内壁の一部を軸方向に
切開する。その切り欠いた部分に、図11(b),
(c)に示すような循環路部分形成部材54を嵌合して
いる。この循環路部分形成部材54は、転動体戻し路2
3(24)側の内周面が、中央部を凹ませた円弧状溝5
5aに形成され、且つこの円弧状溝55aの上下方向の
中央部に所定間隔を保って突起55bを形成したポリエ
チレン被覆SPCC材製の角柱状の補強材55と、この
補強材55の円弧状溝55aに一体接合された内周面に
転動体戻し路23(24)の内壁面(転動体接触面)の
一部を構成する円弧状溝56aを形成した潤滑剤含有ポ
リマ56とを有する潤滑剤含有ポリマ部材として構成さ
れている。
【0085】ここで、潤滑剤含有ポリマ56の組成は、
第1の実施形態の場合と同様である。この第3実施形態
においても、転動体戻し路23及び24を転動体Bが通
過する際に、潤滑剤含有ポリマ56から経時的に徐々に
潤滑剤がしみだして転動体Bに自動的に供給され、長期
間にわたり安定した潤滑が行われて、殊更に潤滑剤を外
部からスライダ2に供給しないでも低トルクで良好な運
転を長時間続けることができる。
【0086】同時に、転動体Bの金属表面に予め形成し
てある化合物反応膜に、潤滑剤中に含まれている化合物
反応膜形成化合物が絶えず供給され、予め形成してある
化合物反応膜の欠陥部分に直ちに新しい化合物反応膜が
形成されて欠陥箇所が自動的に補修される。したがっ
て、リニアガイド装置の摩擦・摩耗特性や耐荷重性等の
作動性を長期間にわたって良好に維持することができ
る。
【0087】次に、本発明における第4の実施形態を図
12について説明する。この第4の実施形態は、スライ
ダ本体2Aの軸方向両端部にそれぞれ形成されたエンド
キャップ2B内における転動体循環路となる湾曲路38
の一部である内壁部を構成するリターンガイド35を潤
滑剤含有ポリマ部材として形成し、これを各エンドキャ
ップ2Bの裏面における半円柱状の凹溝33に嵌合させ
たものである。
【0088】このリターンガイド35は、図12に示す
ように、ポリエチレン80wt%、チタン酸カリウムウ
ィスカー20wt%の組成を有する射出材料を射出成形
することにより、転動体Bの案内面となる断面円弧状の
凹溝36の底部に沿って凹部57aを形成した補強材5
7と、この補強材57を射出成形機にセットされた所定
の金型内にセットした後、凹部57a内に射出成形され
た潤滑剤含有ポリマ58とでなる潤滑剤含有ポリマ部材
として構成されている。
【0089】ここで、潤滑剤含有ポリマ58の組成は、
第1の実施形態の場合と同様である。この第4の実施形
態によれば、転動体戻し路23(24)を転動してきた
転動体Bが、湾曲路38でUターンされて負荷軌道溝2
1(22)内に戻る際に、潤滑剤含有ポリマ部材でなる
リターンガイド35から潤滑剤が経時的に徐々にしみ出
して、湾曲路38内を転動する転動体Bへ自動的に供給
され、長期間にわたり安定した潤滑が行われ、低トルク
で良好な運転を長時間続けることができる。
【0090】同時に、転動体Bの金属表面に予め形成し
てある化合物反応膜に、潤滑剤中に含まれている化合物
反応膜形成化合物が絶えず供給され、転動体Bの化合物
反応膜の欠陥部分には直ちに新しい化合物反応膜が形成
されて自動的に補修されるから、リニアガイド装置の摩
擦・摩耗特性や耐荷重性等の作動性を長期間にわたって
良好に維持することができる。
【0091】さらに、本発明における第5の実施形態を
図13について説明する。この第5の実施形態は、スラ
イダ本体2Aの両端面に取り付けられるエンドキャップ
2Bにおいて転動体Bとの接触面となる湾曲路38の内
面の一部を潤滑剤含有ポリマ60で置き換えている。す
なわち、湾曲路38の内面を形成するべくエンドキャッ
プの裏面に設けた半円状の上凹部31と下凹部32との
内壁面(転動体接触面)の一部を軸方向に部分的に切り
欠いて、各凹部31,32をそれぞれ横断する断面台形
のアリ溝61(入り口の溝幅Hを狭くして抜け止めして
ある)を複数本設け、その溝61内に潤滑剤含有ポリマ
60を充填している。具体的には、エンドキャップ2B
は、炭素繊維を20重量%混入したポリエチレン製の補
強材62からなるエンドキャップ2Bの本体と、これを
射出成形機の金型内にセットした後、各溝61にインサ
ート成形した潤滑剤含有ポリマ60からなる潤滑剤含有
ポリマ部材とで構成されている。
【0092】この場合の潤滑剤含有ポリマ60の組成
も、第1の実施形態の場合と同様である。この第5の実
施形態によれば、潤滑剤含有ポリマ60からなる潤滑剤
含有ポリマ部材から潤滑剤が経時的に徐々にしみ出して
湾曲路38内を転動する転動体Bへ自動的に供給され、
長期間にわたり安定した潤滑が行われ、低トルクで良好
な運転を長時間続けることができる。
【0093】同時に、転動体Bの金属表面に予め形成し
てある化合物反応膜に、潤滑剤中に含まれている化合物
反応膜形成化合物が絶えず供給され、転動体Bの化合物
反応膜の欠陥部分には直ちに新しい化合物反応膜が形成
されて自動的に補修されるから、リニアガイド装置の摩
擦・摩耗特性や耐荷重性等の作動性を長期間にわたって
良好に維持することができる。
【0094】さらにまた、本発明における第6の実施形
態を図14について説明する。この第6の実施形態は、
各転動路内に挿入される転動体B間に転動体Bの径より
小径の潤滑剤含有ポリマ部材で構成したスペーサボール
Sを介装するようにしたものである。
【0095】すなわち、スペーサボールSは、図14
(b)に示すように、表面に多数の突起70を形成した
炭素繊維を20wt%混入させたポリエチレン製の補強
材71と、この補強材71を射出成形機にセットされた
所定の金型内にセットした後、その回りにインサート成
形された潤滑剤含有ポリマ72とでなる球形の潤滑剤含
有ポリマ部材で構成されている。
【0096】この場合の潤滑剤含有ポリマ72の組成
も、第1の実施形態の場合と同様である。この第6の実
施形態によれば、潤滑剤含有ポリマ部材からなるスペー
サボールSから潤滑剤が経時的に徐々にしみ出して、こ
れらに隣接する転動体Bへそれぞれ自動的に供給され、
長期間にわたり安定した潤滑が行われ、低トルクで良好
な運転を長時間続けることができる。
【0097】同時に、転動体Bの金属表面に予め形成し
てある化合物反応膜に、潤滑剤中に含まれている化合物
反応膜形成化合物が絶えず供給され、転動体Bの化合物
反応膜の欠陥部分には直ちに新しい化合物反応膜が形成
されて自動的に補修されるから、リニアガイド装置の摩
擦・摩耗特性や耐荷重性等の作動性を長期間にわたって
良好に維持することができる。
【0098】続いて、本発明における第7の実施形態に
ついて説明する。この第7の実施形態は、図15,図1
6に示すエンドキャップ2B自体を、潤滑剤含有ポリマ
部材で形成している。すなわち、取付け用ねじ等を装着
するために機械的強度が必要とされるエンドキャップ2
Bの表面側を、炭素繊維20重量%混入ポリエチレン製
の補強材63で予め形成し、これを射出成形機の金型内
にセットして金型を閉じた後、キャビティ内に溶融させ
た潤滑剤含有ポリマ64を圧入してインサート成形した
もので、スライダ本体に当接させる裏面側に肉厚の潤滑
剤含有ポリマの層が形成され、エンドキャップ2B全体
が潤滑剤含有ポリマ部材として機能する。この場合の潤
滑剤含有ポリマ64の組成も、第1の実施形態の場合と
同様にした。
【0099】この第7の実施形態によれば、潤滑剤含有
ポリマ部材であるエンドキャップ2Bを形成している潤
滑剤含有ポリマ64から潤滑剤が経時的に徐々にしみ出
して、湾曲路38を構成する上凹部31と下凹部32と
の内面に接触しつつ転動する転動体Bへ自動的に供給さ
れ、長期間にわたり安定した潤滑が行われる結果、低ト
ルクで良好な運転を長時間続けることができる。
【0100】同時に、転動体Bの金属表面に予め形成し
てある化合物反応膜に、潤滑剤中に含まれている化合物
反応膜形成化合物が絶えず供給され、転動体Bの化合物
反応膜の欠陥部分には直ちに新しい化合物反応膜が形成
されて自動的に補修されるから、リニアガイド装置の摩
擦・摩耗特性や耐荷重性等の作動性を長期間にわたって
良好に維持することができる。
【0101】(実施例)次に、本発明に係るリニアガイ
ド装置について実施した性能試験について説明する。
【0102】この性能試験はリニアガイド装置の動摩擦
変化を測定したものである。実施例には、リニアガイド
装置に上記第1の実施形態(図7〜図9)の潤滑剤含有
ポリマ部材81を取り付けると共に、転動体Bの表面に
トリデシルモノアッシドフォスフェートからなる化合物
反応膜を0.05μmの厚さに形成したものを使用し
た。
【0103】一方、比較例1として従来のリニアガイド
装置(化合物反応膜も形成せず、且つ潤滑剤含有ポリマ
部材も使用しない)を選定した。 各リニアガイド装置
のスライダを案内レール上に長時間連続的に往復走行さ
せて、走行距離10km,100km,200km,5
00km,700km,1000kmの時点毎の動摩擦
力及び表面処理した転動体Bの化合物反応膜の厚さを測
定し、それぞれの変化を比較した。
【0104】なお、性能試験は通常の使用条件より苛酷
な負荷条件で行った。結果を表1に示す。
【0105】
【表1】 表1中の数字は、実施例の初期値の動摩擦力を100%
としたときの各走行距離毎の動摩擦力の初期値に対する
割合を示している。( )内の数値は反応膜の厚さ[μ
m]である。
【0106】表1の結果から明らかなように、予め化合
物反応膜を形成した実施例は、未処理の比較例1に対し
初期の動摩擦力の低下が少ない。また、長距離走行後の
動摩擦力の変化も、実施例は比較例1より少ない。比較
例1は走行摩耗による動摩擦力の低下が大きく、予圧の
低下が懸念される。
【0107】以上の結果から、実施例によれば、長期間
にわたり良好な潤滑と良好な作動性が維持されるという
効果を奏することが明らかである。なお、上記各実施形
態では、各部に個別に潤滑剤含有ポリマ部材を適用した
場合について説明したが、これらの複数種を任意に組み
合わせるようにしてもよく、さらには全ての実施形態を
組み合わせるようにしてもよく、その場合にはより長期
間にわたり安定した潤滑を行うことができる。
【0108】また、本発明を適用し得るリニアガイド装
置は、前記実施形態のタイプに限定されるものではな
く、例えば負荷軌道溝が片側二条以外のものでもよく、
また転動体がボールではなくころであっても良い。
【0109】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
リニアガイド装置を構成する部材の転動体との接触面及
び転動体自体の表面の少なくともいずれかに、予め化合
物反応膜を形成するとともに、当該転動体接触面と転動
体との少なくともいずれかに接触する潤滑剤含有ポリマ
部材を配設し、且つその潤滑剤含有ポリマ部材中の潤滑
剤には化合物反応膜形成化合物を含有させたため、その
潤滑剤含有ポリマ部材から潤滑剤及び化合物反応膜形成
化合物が経時的に徐々にしみ出して転動体表面に自動的
に供給され、その転動体の転動により転動体が接触する
負荷転動体転動路にもくまなく均一に供給され、また、
同時に、接触面に予め形成してある化合物反応膜に潤滑
剤中に含まれている化合物反応膜形成化合物が絶えず供
給されて当該化合物反応膜に欠陥が生じたときには直ち
に新しい化合物反応膜が形成されて自動的に補修され、
その結果、長期間にわたり良好な潤滑と良好な作動性が
維持されて長寿命のリニアガイド装置が提供できるとい
う効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリニアガイド装置における第1の実施
形態の斜視図である。
【図2】図1のエンドキャップを取り外したものの正面
図である。
【図3】リターンガイドを除去して示すエンドキャップ
の背面図である。
【図4】リターンガイドの正面図である。
【図5】リターンガイドを装着したエンドキャップの斜
視図である。
【図6】リターンガイドを装着したエンドキャップとス
ライダ本体との接合部の部分断面図である。
【図7】第1の実施形態を示す潤滑剤含有ポリマ部材の
斜視図である。
【図8】図7のものに使用するスリーブの斜視図であ
る。
【図9】図7に示す潤滑剤含有ポリマ部材の組み付け態
様を表す斜視図である。
【図10】(a)は第2の実施形態を示すスライダ本体
の斜視図、(b)は転動体循環チューブの斜視図であ
る。
【図11】(a)は第3の実施形態を示すスライダ本体
の斜視図、(b)は循環路部分形成部材の内面側斜視
図、(c)は同部材の外面側斜視図である。
【図12】本発明における第4の実施形態を示すリター
ンガイドの正面図である。
【図13】(a)は第5の実施形態を示すエンドキャッ
プの裏面図、(b)はエンドキャップとスライダ本体と
の接合部の部分断面図、(c)は溝断面形状の図であ
る。
【図14】(a)は本発明における第6の実施形態を示
すスペーサボールの使用例を示す断面図、(b)はスペ
ーサボールを示す正面図である。
【図15】第7の実施形態を示すエンドキャップの表面
側から見た斜視図である。
【図16】図15に示すエンドキャップの裏面側から見
た斜視図である。
【図17】従来のリニアガイド装置の全体斜視図であ
る。
【図18】図17のリニアガイド装置の下面側を示す斜
視図である。
【符号の説明】
1 案内レール 2 スライダ 3 軌道溝 13 軌道溝 18 負荷軌道溝 19 負荷軌道溝 23 転動体戻し路 24 転動体戻し路 35 リターンガイド 38 湾曲路 B 転動体 50 転動体循環チューブ 51 補強材 52 潤滑剤含有ポリマ 54 循環路部分形成部材 55 補強材 56 潤滑剤含有ポリマ 57 補強材 58 潤滑剤含有ポリマ 60 潤滑剤含有ポリマ 62 補強材 63 補強材 64 潤滑剤含有ポリマ S スペーサボール 71 補強材 72 潤滑剤含有ポリマ 81 潤滑剤含有ポリマ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 五十嵐 豊 群馬県前橋市鳥羽町78番地 日本精工株式 会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外面に軸方向の軌道溝を有する案内レー
    ルと、その案内レールに組み付けられるとともに前記軌
    道溝に対向する負荷軌道溝及びこの負荷軌道溝の両端部
    に湾曲路を介して連結された転動体戻し路を有するスラ
    イダと、前記湾曲路及び転動体戻し路を経て循環可能に
    スライダに装填された多数の転動体とを備え、かつ前記
    スライダは両端にスライダと案内レールとの間のすき間
    の開口をシールするシール装置を備えたリニアガイド装
    置において、 前記案内レールの転動体接触面,前記スライダの転動体
    接触面及び転動体自身の表面の少なくともいずれかに予
    め化合物反応膜を形成し、且つ前記両転動体接触面と前
    記転動体表面との少なくともいずれかに接触する位置に
    潤滑剤含有ポリマ部材を配設するとともに当該潤滑剤含
    有ポリマ部材中の潤滑剤に化合物反応膜形成化合物を含
    有させたことを特徴とするリニアガイド装置。
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