JPH1150286A - 高純度有機カルボン酸・コリン塩及び高純度コリンの製造方法 - Google Patents

高純度有機カルボン酸・コリン塩及び高純度コリンの製造方法

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JPH1150286A
JPH1150286A JP9210923A JP21092397A JPH1150286A JP H1150286 A JPH1150286 A JP H1150286A JP 9210923 A JP9210923 A JP 9210923A JP 21092397 A JP21092397 A JP 21092397A JP H1150286 A JPH1150286 A JP H1150286A
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Japan
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acid
tartaric acid
salt
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JP9210923A
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English (en)
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Yoichi Hasegawa
陽一 長谷川
Toshiharu Hyoda
俊治 兵田
Hirotoshi Sawada
浩利 沢田
Masakatsu Baba
昌克 馬場
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NIPPON HIDORAJIN KOGYO KK
NIPPON HYDROGENE KOGYO
Original Assignee
NIPPON HIDORAJIN KOGYO KK
NIPPON HYDROGENE KOGYO
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機カルボン酸・コリン塩を原料とし、副生
成物を含まない高純度コリンの製造方法を提供する。 【解決手段】 コリンに更にエチレンオキシドが付加し
た化合物を副生成物として含むコリン水溶液と、酒石酸
又はクエン酸とを反応させて得られる副生成物を含まな
い有機カルボン酸・コリン塩を超純水に溶解し、該高純
度有機カルボン酸・コリン塩水溶液を、陽イオン交換膜
を隔膜とする電気分解法に付することにより副生成物を
含まないコリン水溶液を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高純度有機カルボ
ン酸・コリン塩及び高純度コリンの製造方法に関するも
ので、より詳細には、フォトレジスト現像液として更な
る用途拡大につながるのみならず、医薬、農薬及び機能
性材料等の中間体原料として有用な高純度コリンを製造
する際の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コリンは、一般的に下記式(1)に従っ
て製造される。
【化1】 Meはメチル基である、
【0003】この反応の副生成物として、下記式(2)
の化合物が考えられている。
【化2】
【0004】この副生成物は、コリンに更にエチレンオ
キシドが逐次的に付加反応したもので、n=1及び2が
主なものである。従来のコリン水溶液中には、上記副生
成物がコリンに対して2〜3%程度含まれている。
【0005】本発明者らは既に、「高純度炭酸コリン又
は重炭酸コリンの製造方法」(特開平8−119911
号公報)、及び「高純度コリンの製造方法」(特開平8
−218191号公報)において、包接錯体化合物形成
時におけるホスト分子の分子認識を利用したコリンの新
しい精製方法を提案している。高純度コリンは、下記式
(3)に従って製造される。
【化3】
【0006】即ち、ホスト分子である1,1′−ビス−
β−ナフトールとコリンが包接錯体化合物を形成する際
に、ホスト分子の分子認識により、コリンのみを選択的
に取り込んだコリン・1,1′−ビス−β−ナフトール
包接錯体が結晶として単離される。この包接化により、
コリン水溶液中の不純物の除去が可能となる。該包接錯
体を炭酸ガスと反応させて得た高純度炭酸コリン又は重
炭酸コリン水溶液を、陽イオン交換膜を隔膜とする電気
分解に付すことにより高純度コリンが製造されることを
提案している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術では、経済的に高価なホスト分子である1,1′−ビ
ス−β−ナフトールを使用しなければならない。また、
コリン・1,1′−ビス−β−ナフトール包接錯体合成
後、包接錯体結晶を分離し、次に、包接錯体結晶を超純
水に懸濁させて炭酸ガスと反応させ該包接錯体を高純度
炭酸コリン又は重炭酸コリンと1,1′−ビス−β−ナ
フトールに分解する。そして、高純度炭酸コリン又は重
炭酸コリン水溶液からホスト分子1,1′−ビス−β−
ナフトールを分離・回収する。最後に、高純度炭酸コリ
ン又は重炭酸コリン水溶液を、陽イオン交換膜を隔膜と
する電気分解に付して高純度コリンを製造するのである
が、工程が長く、煩雑な後処理が必要であった。
【0008】本発明は、従来技術と比較して、安価でし
かも入手容易な特定の有機カルボン酸を使用し、簡単な
操作で高純度コリンを得ることができる工業的、経済的
に有利な高純度コリンの製造方法を提供するものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、高純度
酒石酸・コリン塩又はクエン酸・コリン塩を、陽イオン
交換膜を隔膜とする電気分解に付して高純度コリンを製
造することを特徴とする高純度コリンの製造方法が提供
される。本発明によればまた、副生成物を含有するコリ
ン水溶液と、酒石酸又はクエン酸とを反応させて、高純
度酒石酸・コリン塩又はクエン酸・コリン塩とし、得ら
れた高純度酒石酸・コリン塩、又はクエン酸・コリン塩
を、陽イオン交換膜を隔膜とする電気分解に付して高純
度コリンとする製造法が提供される。
【0010】
【発明の実施形態】[作用]本発明は、コリン水溶液中
のコリンのみが、酒石酸あるいはクエン酸という特定の
有機カルボン酸と結晶性の塩を形成し、副生成物とは結
晶性の塩を形成しないという特定の有機カルボン酸の分
子認識を利用するものである。
【0011】コリン水溶液と、酒石酸あるいはクエン酸
とを反応させて、副生成物を含まない高純度酒石酸・コ
リン塩又はクエン酸・コリン塩を結晶として分離し、次
いで高純度酒石酸・コリン塩又はクエン酸・コリン塩を
超純水に溶解し、該水溶液を、陽イオン交換膜を隔膜と
する電気分解法に付すことにより高純度コリンを陰極室
により得るものである。
【0012】なお、陽極室から回収される酒石酸あるい
はクエン酸には、副生成物を含有するコリン水溶液を加
え、有機カルボン酸・コリン塩として結晶化することに
より、副生成物を含有しない高純度酒石酸・コリン塩又
はクエン酸・コリン塩として回収し、再使用することが
できる。
【0013】即ち、副生成物を含有するコリン水溶液
と、酒石酸あるいはクエン酸とを反応させることによ
り、高純度酒石酸・コリン塩、又はクエン酸・コリン塩
の結晶が得られる。
【0014】酒石酸・コリン塩の反応式は下記式(4)
【化4】 、またクエン酸・コリン塩の反応式は下記式(5)
【化5】 で表される。つまり、本発明は、副生成物と酒石酸或い
はクエン酸が結晶性の有機カルボン酸・副生成物の塩を
形成しないという特定の有機カルボン酸の分子認識に基
づく新規な知見に基づくものである。
【0015】同じ有機カルボン酸であっても、ギ酸、酢
酸等の1価カルボン酸では、コリン水溶液と反応させる
と、均一な水溶液を形成するが、この水溶液を、減圧濃
縮或いはアルコール等の貧溶媒を添加して、冷却しても
不溶性の結晶性塩を析出させることができない。また、
二塩基酸であるシュウ酸、ヒドロキシ基含有二塩基酸で
あるリンゴ酸、或いはL−アスコルビン酸を使用した場
合にも、上記と全く同様な現象が認められる。更に、芳
香族オキシカルボン酸に属するサリチル酸、或いは二塩
基酸に属するアジピン酸を用いる場合には、コリン水溶
液と反応させると、均一な水溶液を形成し、この水溶液
を、減圧濃縮或いはアルコール等の貧溶媒を添加して、
冷却すると、コリンとの塩が析出し、溶液から分離する
ことができるが、上記塩を電解すると、生成するサリチ
ル酸及びアジピン酸が常温では水に難溶であるため、陽
極に結晶として析出するので、操作が煩雑となり、実用
に耐えない。
【0016】これに対して、酒石酸やクエン酸を用いる
場合には、コリン水溶液と反応させると、均一な水溶液
を形成する共に、この水溶液を、減圧濃縮或いはアルコ
ール等の貧溶媒を添加して、冷却することにより、コリ
ンとの結晶性塩を析出させることができ、更に電気分解
により、コリンを有効に単離することができるのであ
る。
【0017】得られた高純度酒石酸・コリン塩又はクエ
ン酸・コリン塩を超純水に溶解し、高純度酒石酸・コリ
ン塩又はクエン酸・コリン塩水溶液を、陽イオン交換膜
を隔膜とする二室型電解槽の陽極室に仕込み、電気分解
に付すことにより陰極室から高純度コリン水溶液が得ら
れる。なお、陽極室から、酒石酸あるいはクエン酸は水
溶液として回収される。これらの酒石酸あるいはクエン
酸の水溶液は、これに副生成物を含有するコリン水溶液
を加え、コリン塩として結晶化させることにより、副生
成物を含有しない高純度酒石酸・コリン塩又はクエン酸
・コリン塩として回収し、再使用することができる。
【0018】高純度酒石酸・コリン塩の電気分解反応
は、下記式(6)、高純度クエン酸・コリン塩の電気分
解反応は下記式(7)で表される。
【化6】
【化7】
【0019】本発明によれば、高純度酒石酸・コリン塩
又はクエン酸・コリン塩を原料とするため、この原料中
には、前記式(2)で示される副生成物は一切含有され
ていない。更に、高純度酒石酸・コリン塩又はクエン酸
・コリン塩水溶液を陽イオン交換膜を隔膜とする電気分
解に付することにより、コリンを極めて高純度の形で得
ることが可能になる。即ち、本発明の隔膜法電気分解は
酒石酸・コリン塩、又はクエン酸・コリン塩を形成して
いるイオン結合等を切断し、酒石酸あるいはクエン酸等
の水溶性有機カルボン酸を陽極室に残存させるため、陰
極室で得られるコリン製品の純度は極めて高いものにな
るという利点がある。
【0020】[原料]本発明では、既に述べたとおり、
有機カルボン酸化合物のうちでも、酒石酸或いはクエン
酸、即ち、下記式(8)或いは(9)の化合物が使用さ
れる。酒石酸には、d−酒石酸、l−酒石酸、dl−酒
石酸およびmeso−酒石酸の4種類がありいずれも使
用可能であるが、入手の容易さ、価格面および水への溶
解度等を勘案すると、d−酒石酸がより好適である。な
お、下記式(8)はd−酒石酸をを示す。
【化8】
【化9】
【0021】本発明に使用する強塩基性化合物は、コリ
ンであり、前記反応式(1)の方法で製造されるコリン
水溶液を原料として使用可能である。
【0022】[反応]本発明による高純度コリンの製造
は、以下のような方法で実施可能である。
【0023】酒石酸或いはクエン酸と、コリン水溶液と
を、有機カルボン酸/コリンのモル比が実質上1/1と
なるような割合で反応器に仕込み、有機カルボン酸化合
物を溶解させた後、減圧濃縮により水を留去し、次に、
メタノール、エタノール等のアルコール中に濃縮液を分
散させた後、あるいは、濃縮液にメタノール、エタノー
ル等のアルコール溶媒を加えた後、析出結晶を加熱溶解
後、冷却晶析することにより、極めて純度の高い酒石酸
・コリン塩、又はクエン酸・コリン塩を結晶として単離
することができる(製造法1)。
【0024】また、有機カルボン酸/コリンのモル比が
実質上1/1となるような割合で反応器に仕込み、有機
カルボン酸化合物を溶解させた後、エタノール等のアル
コール溶媒を加えるだけで目的化合物を単離することも
できるが、エタノール等のアルコール溶媒を加え、析出
する結晶を加熱溶解後、冷却晶析することにより、極め
て純度の高い酒石酸・コリン塩、又はクエン酸・コリン
塩を得ることもできる(製造法2)。この製造法は、前
記製造法1のように、反応液を減圧濃縮する必要もな
く、簡便で、優れた高純度有機カルボン酸・コリン塩の
製造方法である。
【0025】使用するコリン水溶液は、一般的に前記式
(1)の方法で得られ、前記一般式(2)の副生成物を
含有している。
【0026】析出した酒石酸・コリン塩又はクエン酸・
コリン塩は、ろ過、又は遠心分離後、メタノール、エタ
ノール等のアルコール溶媒で洗浄、乾燥し、副生成物を
含まない高純度酒石酸・コリン塩又はクエン酸・コリン
塩を収率85モル%以上の高収率で得ることができる。
【0027】得られた高純度酒石酸・コリン塩又はクエ
ン酸・コリン塩を、超純水に溶解した高純度酒石酸・コ
リン塩又はクエン酸・コリン塩水溶液を、陽イオン交換
膜を隔膜とする電気分解に付すことにより、高純度コリ
ン水溶液を得ることができる。なお、この水溶液中に
は、有機カルボン酸化合物である酒石酸、又はクエン酸
は混入していない。
【0028】本発明の電気分解法は、通常、陽イオン交
換膜で陽極室と陰極室とに区画された一般的な電解槽が
使用される。電解室の構造は、陽極と陰極との間に、1
枚の隔膜を持つ二室型が考えられる。二室型は、構造が
簡単で、電解電圧の面からも有利である。なお、陽極で
回収された有機カルボン酸水溶液は、副生成物を含有す
るコリン水溶液を加え、有機カルボン酸・コリン塩とし
て結晶化することにより、副生成物を含有しない高純度
酒石酸・コリン塩、又はクエン酸・コリン塩として回
収、再使用することができる。
【0029】本発明に使用する陽イオン交換膜は、それ
自体公知の陽イオン交換膜、例えばスルフォン酸基、カ
ルボン酸基、ホスフォン酸基等の陽イオン交換基を有す
るものであり、好適にはフッ素樹脂を骨格とするものが
使用される。フッ素樹脂系の<ナフィオン966>ある
いは<ナフィオン350>(デュポン社製)等のスルフ
ォン酸系の陽イオン交換膜が好適に使用できる。
【0030】本発明に使用する陽極は、耐食性の基体上
に白金族の金属あるいはその酸化物を含む被膜を形成し
た電極やマグネタイト等の酸化性雰囲気での耐食性の大
きな電極を使用することができる。また、本発明に使用
する陰極は、ステンレス鋼及びニッケル等のアルカリに
侵されない金属を使用することができる。これらの陽極
及び陰極は、板状、棒状、網状又は多孔板状等のいずれ
の形状でも使用できる。
【0031】本発明において、電気分解は、高純度酒石
酸・コリン塩又はクエン酸・コリン塩水溶液を、電解槽
の陽極室に供給し、陰極室に超純水を供給し、両極間に
直流電圧を印加することによって行われるが、その電流
密度は1〜100A/dm2、好ましくは3〜50A/
dm2 である。
【0032】本発明において、電気分解の温度は、10
〜50℃の範囲にあることが好ましい。
【0033】本発明において、電気分解は、回分式及び
連続式のいずれの方法でも行うことができる。
【0034】本発明において、陽極室に供給する原料濃
度は、1〜60重量%、好ましくは5〜50重量%であ
る。
【0035】本発明において、陰極室には、超純水が供
給されるが、電気分解開始時は、超純水単独では電気伝
導度が低く電気分解が起こりがたいので、目的物の高純
度コリンを少量、例えば0.01〜5重量%程度添加し
た溶液を用いることが望ましい。
【0036】本発明において、電気分解は清浄な窒素又
はアルゴン等の不活性ガスの雰囲気下に行うことが望ま
しい。
【0037】本発明によれば、以上のようにして、高純
度酒石酸・コリン塩又はクエン酸・コリン塩水溶液を電
気分解することにより、高純度コリンを得ることができ
る。
【0038】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるも
のではない。電解後、陽極室に残存する酒石酸又はクエ
ン酸水溶液中の酒石酸又はクエン酸は1N−NaOH滴
定、高純度酒石酸・コリン塩又は高純度クエン酸・コリ
ン塩中のコリンはイオンクロマトグラフィー、陰極室の
高純度コリンは1N−HCl滴定で定量した。
【0039】(実施例1)酒石酸・コリン塩の合成副生
成物を含有する48.0重量%コリン水溶液642.9
g(2.546mol)に、酒石酸382.2g(2.
546mol)を、冷却下、反応器内温度を28℃以下
に保ち、30分で加えた。酒石酸結晶溶解後、エタノー
ル1737.7gを酒石酸・コリン塩水溶液に加える
と、酒石酸・コリン塩の結晶が析出するが、反応液を7
0℃まで加熱し、析出結晶を再溶解し、その後、反応液
を−3℃まで徐々に冷却し、析出白色結晶694.8g
を単離した。湿析出結晶を、50℃で、真空乾燥し、酒
石酸・コリン塩結晶557.3g(2.194mol)
を得た。収率86.2モル%であった。NMRより酒石
酸・コリン塩であることを確認した。
【0040】(酒石酸・コリン塩結晶データ)mp
151−153℃NMR(DMSO−d6 〜CDCl3)
3.27 (9H,s,(CH3)3 + −,[コリ
ン])3.60 (2H,m,−CH2 CH2 −,
[コリン])4.07 (2H,m,−CH2 CH2
−,[コリン])4.07 (2H,m,>C−O
H,[酒石酸])6.99 (4H,bs,−COO
H,−OH[コリン、酒石酸])→D交換可能なお、得
られた酒石酸・コリン塩結晶を、イオンクロマトグラフ
ィーで分析したところ、コリン水溶液中に含有される副
生成物は検出限界以下であった。
【0041】(実施例2)酒石酸・コリン塩の合成副生
成物を含有する47.68重量%コリン水溶液857.
4g(3.374mol)に、酒石酸507.7g
(3.383mol)を、冷却下、反応器内温度を30
℃以下に保ち、徐々に加えた。酒石酸結晶溶解後、反応
器内温度を47℃以下に保ち、23mmHgで減圧濃縮
を行った。留出水量は、理論量の89%であった。濃縮
後、濃縮液に、メタノール2500gを加え、65℃ま
で加熱して析出結晶を溶解させた。そして、酒石酸・コ
リン塩メタノール溶液をゆっくりと冷却した。54℃で
結晶析出後、−9℃まで冷却し、析出白色結晶864.
3gを単離した。湿析出結晶を、50℃で、真空乾燥
し、酒石酸・コリン塩結晶788.5g(3.110m
ol)を得た。収率92.2モル%であった。
【0042】なお、得られた酒石酸・コリン塩結晶を、
イオンクロマトグラフィーで分析したしたところ、コリ
ン水溶液中に含有される副生成物は検出限界以下であっ
た。
【0043】(実施例3)高純度酒石酸・コリン塩の電
気分解電解槽には、電極の有効面積が、1.8dm2
一対の陽極と陰極を有するフローセル型電解槽を使用し
た。電解槽を、フッ素樹脂系の陽イオン交換膜である<
ナフィオン350>(デュポン社製)で陽極室と陰極室
に区画し、電極としては、陽極:DSE電極、陰極:N
i電極を用いた。陽極室には、高純度酒石酸・コリン塩
100.0g(0.395mol)を超純水620.0
gに溶解した高純度酒石酸・コリン塩水溶液720.0
gを、陰極室には、2.74重量%、高純度コリン水溶
液468.0g(0.106mol)をそれぞれ仕込ん
だ。電解温度:室温〜30℃、電流密度:5.56A/
dm2 で、1.5時間、定電流電解を行った。
【0044】電解反応の結果、陽極室に、9.06重量
%酒石酸水溶液603.3g(0.364mol)が得
られた。酒石酸回収率は、92.2モル%であった。ま
た、陰極室に、9.78重量%高純度コリン水溶液56
7.5g(0.458mol)が得られた。コリン中の
副生成物は検出限界以下であった。陰極室の高純度コリ
ン収率は、89.2モル%であった。なお、電解反応の
電流効率は、62.9%であった。
【0045】電解後、陽極室に残存する9.06重量%
酒石酸水溶液530.0g(0.320mol)に、副
生成物を含有する47.8重量%コリン水溶液81.1
g(0.320mol)を加え、減圧濃縮により水を留
去し、メタノールを濃縮液に加え、加熱して析出結晶を
溶解させた。そして、酒石酸・コリン塩メタノール溶液
をゆっくりと冷却した。次いで、析出結晶をろ過、乾燥
して酒石酸・コリン塩白色結晶77.8gを得た。収率
96.0モル%、mp148−152℃であった。
【0046】なお、回収した酒石酸・コリン塩結晶を、
イオンクロマトグラフィーで分析したところ、コリン水
溶液中に含有される副生成物は検出限界以下であった。
【0047】(実施例4)高純度酒石酸・コリン塩の電
気分解フッ素樹脂系の陽イオン交換膜である<ナフィオ
ン966>(デュポン社製)を使用し、実施例3と同じ
フローセル型電解槽で電気分解を行った。
【0048】陽極室には、高純度酒石酸・コリン塩50
6.5g(2.000mol)を超純水506.5gに
溶解した高純度酒石酸・コリン塩水溶液1013.0g
を、陰極室には、超純水700.0gをそれぞれ仕込ん
だ。電解温度:室温〜30℃、電流密度:5.56A/
dm2 で、6時間40分、定電流電解を行った。
【0049】電解反応の結果、陽極室に、酒石酸水溶液
584.4g[酒石酸251.9g(1.678mo
l)、未反応高純度酒石酸・コリン塩16.2g(0.
064mol)、H2 O316.3g]が得られた。酒
石酸回収率は、87.1モル%であった。また、陰極室
に、17.2重量%高純度コリン水溶液1090.4g
(1.548mol)が得られた。陰極室の高純度コリ
ン収率は、77.4モル%であった。なお、電解反応の
電流効率は、62.2%であった。また、高純度コリン
水溶液中の不純物濃度は、コリン中の副生成物は検出限
界以下、Na,Cr,Ca<10ppb,Fe,Ni<
20ppb以下であった。
【0050】電解後、陽極室に得られた酒石酸水溶液5
40.0g[酒石酸232.8g(1.551mo
l)、未反応残存高純度酒石酸・コリン塩15.0g
(0.059mol)、H2 O292.2g]に、副生
成物を含有する47.8重量%コリン水溶液393.2
g(1.551mol)を、冷却下、反応器内温度を3
0℃以下に保ち、30分で加えた。コリン水溶液滴下
後、エタノール3500.0gを酒石酸・コリン塩水溶
液に加えた。酒石酸・コリン塩の結晶析出後、反応液を
加熱し、析出結晶を再溶解し、その後、反応液を−3℃
まで徐々に冷却し、析出白色結晶472.3gを単離し
た。湿析出結晶を、60℃、3時間真空乾燥し、97.
48重量%酒石酸・コリン塩結晶390.0g(1.5
01mol)を得た。酒石酸回収収率93.2モル%で
あった。
【0051】なお、回収した酒石酸・コリン塩結晶を、
イオンクロマトグラフィーで分析したところ、コリン水
溶液中に含有される副生成物は検出限界以下であった。
【0052】(実施例5)高純度クエン酸・コリン塩の
合成副生成物を含有する47.8重量%コリン水溶液2
53.5g(1.00mol)に、クエン酸192.0
g(1.00mol)を、冷却下、反応器内温度を40
℃以下に保ち、徐々に加えた。クエン酸結晶溶解後、反
応器内温度を50℃以下に保ち減圧濃縮を行った。濃縮
後、濃縮液339.5gに、メタノール200gを加
え、40℃まで加熱して析出結晶を溶解させた。そし
て、クエン酸・コリン塩メタノール溶液を徐冷し、0℃
まで冷却して、析出白色結晶290.8gを単離した。
湿析出結晶を、40℃で、真空乾燥し、クエン酸・コリ
ン塩結晶264.9gを得た。収率88.6モル%であ
った。NMRよりクエン酸・コリン塩であることを確認
した。
【0053】(クエン酸・コリン塩結晶データ)mp
99−103℃NMR(DMSO−d6 〜CDCl
3)2.72 (4H,s, −C 2 −COOH,[クエ
ン酸])3.33 (2H,m,(CH3)3 + −,
[コリン])3.67 (2H,m,−CH2 CH
2 −,[コリン])4.10 (2H,m,−CH2
2 −,[コリン])9.40 (4H,bs,−CO
OH,−OH,[コリン、クエン酸])→D交換可能
【0054】なお、得られたクエン酸・コリン塩結晶
を、イオンクロマトグラフィーで分析したところ、コリ
ン水溶液中に含有される副生成物は検出限界以下であっ
た。
【0055】(実施例6)高純度クエン酸・コリン塩の
電気分解実施例3と同一のフローセル型電解槽を使用
し、電気分解を行った。陽極室には、実施例5で合成し
た高純度クエン酸・コリン塩116.6g(0.395
mol)を超純水624.8gに溶解した高純度クエン
酸・コリン塩水溶液741.4gを、陰極室には、2.
73重量%高純度コリン水溶液470.0g(0.10
6mol)をそれぞれ仕込んだ。電解温度:室温〜30
℃、電流密度:5.56A/dm2 で、1.5時間、定
電流電解を行った。
【0056】電解反応の結果、陽極室に、11.34重
量%クエン酸水溶液623.5g(0.368mol)
が得られた。クエン酸回収率は、93.2モル%であっ
た。また、陰極室に、9.37重量%高純度コリン水溶
液575.7g(0.445mol)が得られた。コリ
ン中の副生成物は検出限界以下であった。陰極室の高純
度コリン収率は、85.7モル%であった。なお、電解
反応の電流効率は、60.6%であった。
【0057】電解後、陽極室に得られた11.34重量
%クエン酸水溶液556.3g(0.328mol)
に、副生成物を含有する47.8重量%コリン水溶液8
3.2g(0.328mol)を加え、減圧濃縮により
水を留去し、メタノールを濃縮液に加え、加熱して析出
結晶を溶解させた。そして、クエン酸・コリン塩メタノ
ール溶液を徐冷し、ろ過、乾燥してクエン酸・コリン塩
白色結晶87.0gを単離した。収率89.8モル%で
あった。
【0058】なお、回収したクエン酸・コリン塩結晶
を、イオンクロマトグラフィーで分析したところ、コリ
ン水溶液中に含有される副生成物は検出限界以下であっ
た。
【0059】(比較例1)実施例1において、酒石酸の
代わりにギ酸を用いる以外は実施例1と同様に実験を行
った。不純物含有コリン水溶液と反応させると、均一な
水溶液を形成するが、この水溶液を、減圧濃縮或いはア
ルコール等の貧溶媒を添加して、冷却しても不溶性の結
晶性塩を析出させることができなかった。
【0060】(比較例2)実施例1において、酒石酸の
代わりに酢酸を用いる以外は実施例1と同様に実験を行
った。不純物含有コリン水溶液と反応させると、均一な
水溶液を形成するが、この水溶液を、減圧濃縮或いはア
ルコール等の貧溶媒を添加して、冷却しても不溶性の結
晶性塩を析出させることができなかった。
【0061】(比較例3)実施例1において、酒石酸の
代わりにシュウ酸を用いる以外は実施例1と同様に実験
を行った。不純物含有コリン水溶液と反応させると、均
一な水溶液を形成するが、この水溶液を、減圧濃縮或い
はアルコール等の貧溶媒を添加して、冷却しても不溶性
の結晶性塩を析出させることができなかった。
【0062】(比較例4)実施例1において、酒石酸の
代わりにリンゴ酸を用いる以外は実施例1と同様に実験
を行った。不純物含有コリン水溶液と反応させると、均
一な水溶液を形成するが、この水溶液を、減圧濃縮或い
はアルコール等の貧溶媒を添加して、冷却しても不溶性
の結晶性塩を析出させることができなかった。
【0063】(比較例5)実施例1において、酒石酸の
代わりにL−アスコルビン酸を用いる以外は実施例1と
同様に実験を行った。不純物含有コリン水溶液と反応さ
せると、均一な水溶液を形成するが、この水溶液を、減
圧濃縮或いはアルコール等の貧溶媒を添加して、冷却し
ても不溶性の結晶性塩を析出させることができなかっ
た。
【0064】(比較例6)実施例1において、酒石酸の
代わりにサリチル酸を用いる以外は実施例1と同様に実
験を行った。不純物含有コリン水溶液と反応させると、
均一な水溶液を形成するが、この水溶液を、減圧濃縮或
いはアルコール等の貧溶媒を添加して、冷却してコリン
の結晶性塩を析出させることができた。しかしながら、
このコリン塩を、実施例3と同様に電気分解すると、サ
リチル酸が陽極に結晶として析出し、実用に耐えないこ
とが判明した。
【0065】(比較例7)実施例1において、酒石酸の
代わりにアジピン酸を用いる以外は実施例1と同様に実
験を行った。不純物含有コリン水溶液と反応させると、
均一な水溶液を形成するが、この水溶液を、減圧濃縮或
いはアルコール等の貧溶媒を添加して、冷却してコリン
の結晶性塩を析出させることができた。しかしながら、
このコリン塩を、実施例3と同様に電気分解すると、ア
ジピン酸が陽極に結晶として析出し、実用に耐えないこ
とが判明した。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、コリンに更にエチレン
オキシドが付加した化合物を副生成物として含むコリン
水溶液と、酒石酸又はクエン酸とを反応させて得られる
副生成物を含まない有機カルボン酸・コリン塩を超純水
に溶解し、該高純度有機カルボン酸・コリン塩水溶液
を、陽イオン交換膜を隔膜とする電気分解法に付するこ
とにより副生成物を含まないコリン水溶液を得ることが
できる。得られるコリンは、高純度の塩基性化合物であ
り、医薬、農薬及び機能性材料などの分野において極め
て有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高純度酒石酸・コリン塩又は高純度クエ
    ン酸・コリン塩を、陽イオン交換膜を隔膜とする電気分
    解に付して高純度コリンを製造することを特徴とする高
    純度コリンの製造方法。
  2. 【請求項2】 副生成物を含有するコリン水溶液と酒石
    酸、あるいはクエン酸とを反応させ、得られた高純度酒
    石酸・コリン塩又は高純度クエン酸・コリン塩を結晶と
    して分離することを特徴とする高純度有機カルボン酸・
    コリン塩の製造方法。
JP9210923A 1997-08-05 1997-08-05 高純度有機カルボン酸・コリン塩及び高純度コリンの製造方法 Withdrawn JPH1150286A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000048986A3 (en) * 1999-02-19 2000-12-14 Dcv Inc Low odor choline salts
WO2011084765A2 (en) * 2009-12-21 2011-07-14 E. I. Du Pont De Nemours And Company Process for the synthesis of choline salts

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