JPH1150030A - 接着性組成物および接着性膜並びに透明積層材 - Google Patents

接着性組成物および接着性膜並びに透明積層材

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JPH1150030A
JPH1150030A JP20687597A JP20687597A JPH1150030A JP H1150030 A JPH1150030 A JP H1150030A JP 20687597 A JP20687597 A JP 20687597A JP 20687597 A JP20687597 A JP 20687597A JP H1150030 A JPH1150030 A JP H1150030A
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武彦 森田
Kanae Yamamoto
佳苗 山本
Koichi Nakagawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接着力のコントロールが必要な用途に対して
好適な接着性組成物および接着性膜と、高品質の透明積
層材とを提供する。 【解決手段】 一般式(1) 【化23】 (式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水素原子または
有機残基を表し、R3は水素原子、1価金属イオン、2
価金属イオン、アンモニウム基、または有機残基を表
し、nは0、1または2の整数を表す)で表される構造
単位、および/または、一般式(2) 【化24】 (式中、R4 は水素原子または有機残基を表し、R5
水素原子、1価金属イオン、2価金属イオン、アンモニ
ウム基、または有機残基を表し、mは0、1または2の
整数を表す)で表される構造単位を接着性組成物に導入
する。また、上記各構造単位を接着性膜に導入する。さ
らに、上記各構造単位を有する接着性膜を中間膜として
用いて透明積層材を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着力をコントロ
ールする必要がある用途に好適に用いられる接着性組成
物および接着性膜と、建築物の窓ガラスや自動車のフロ
ントガラス、航空機の窓ガラスなどに好適に用いられる
合わせガラスなどの透明積層材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、代表的な透明積層材である合
わせガラス(ガラス複合体または積層安全ガラスともい
う)は、建築物の窓ガラスや自動車のフロントガラス、
航空機の窓ガラスなどに広く用いられている。このよう
な合わせガラスは、可塑化されたポリビニルブチラール
樹脂組成物などからなる中間膜を、一対の板ガラスの間
に挟持して貼り合わせられている構成のものがよく知ら
れている。
【0003】上記の合わせガラスに、たとえば、外部か
ら物体が衝突することによって衝撃が加えられるとす
る。この場合、上記板ガラスは破損するが、2枚の板ガ
ラス間に挟持されている中間膜は容易に破損しない。こ
の中間膜は、合わせガラスに加えられた衝撃を吸収する
ことが可能であるため、外部から衝撃を与える物体が合
わせガラスを貫通することを抑制することができる。
【0004】また、上記板ガラスは、破損しても上記中
間膜によって貼着された状態となる。それゆえ、破片が
飛散することがなく、自動車などの輸送機関や建築物の
内部に対して著しい被害を与えることがない。
【0005】しかしながら、上記のような合わせガラス
の安全性は、外部からの衝撃に対していまだ十分である
とはいえず、この安全性をより向上させることが社会的
に要求されている。そこで、上記合わせガラスの安全性
をより向上させるために、中間膜の性能を改善する方法
が検討されている。
【0006】上記の合わせガラスにおいては、板ガラス
に対する中間膜の接着力が小さすぎると、外部からの衝
撃によって板ガラスが該中間膜から剥がれて、破損・飛
散する。一方、上記接着力が大きすぎると、板ガラスと
中間膜とが同時に破損して、外部からの物体が合わせガ
ラスを貫通することになる。
【0007】特に、上記合わせガラスを自動車のフロン
トガラスに用いるような場合では、衝突事故の際に、運
転者および乗客が、衝突の反動でフロントガラスへ衝突
したときの衝撃を吸収したり、該フロントガラスを貫通
して飛び出すことを防止したりする必要がある。また、
建築物の窓ガラスに用いる場合では、外部から飛来する
物体が、窓ガラスを貫通することを防止したり、窓ガラ
スの破損による建築物内部へのガラス破片の飛散を防止
する必要がある。
【0008】したがって、上記合わせガラスなどの透明
積層材を形成する場合、板ガラスに対する中間膜の接着
力は、該合わせガラスの構成や板ガラスの材質に応じて
適宜コントロールする必要がある。すなわち、上記中間
膜の接着力を適切にコントロールすることができれば、
得られる合わせガラスといった透明積層材の品質を向上
させることができる。そこで、従来より、エチレン−
(メタ)アクリル酸共重合体や、ポリビニルブチラール
樹脂などを用いて、上記中間膜の接着力をコントロール
することが検討されてきた。
【0009】上記エチレン−(メタ)アクリル酸共重合
体を用いてなる中間膜としては、たとえば、特開昭60
−86057号公報に開示された合わせガラス用中間膜
があり、また、上記ポリビニルブチラール樹脂を用いて
なる中間膜としては、たとえば、特開平8−14334
2号公報や特開平8−119687号公報に開示された
合わせガラス用中間膜がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記エチレ
ン−(メタ)アクリル酸共重合体やポリビニルブチラー
ル樹脂などは、上記接着力のコントロールにおいて、次
のような問題点を有している。
【0011】まず、上記エチレン−(メタ)アクリル酸
共重合体の場合では、(メタ)アクリル化合物の重合速
度を制御することが困難となっている。そのため、常に
一定の物性を有する中間膜を提供することが困難であ
り、該中間膜の接着力をコントロールしにくくなってい
る。
【0012】また、ポリビニルブチラール樹脂の場合で
は、従来から、該樹脂を用いた中間膜の接着力をコント
ロールするために、中間膜用の調整添加剤が種々検討さ
れている。この調整添加剤としては、主に、カルボン酸
の金属塩、特に、経時変化の小さい炭素数の少ないカル
ボン酸が用いられている。
【0013】しかしながら、このカルボン酸金属塩から
なる調整添加剤を中間膜に含有させると、耐湿性が低下
するという問題点を招来する。すなわち、ポリビニルブ
チラール樹脂からなる中間膜の接着力をコントロールす
るために上記調整添加剤を用いると、該中間膜の吸湿性
が高くなり、中間膜に白化を引き起こす。
【0014】それゆえ、上記調整添加剤を加えた中間膜
を用いて合わせガラスを製造したとすると、この合わせ
ガラスを湿度の高い状態で放置した場合、合わせガラス
の周辺部に白化が生じることになる。この合わせガラス
では透明性が重要であるため、この白化は、合わせガラ
スを使用不可能にすることになる。
【0015】また、上記の白化の発生に伴い、合わせガ
ラスの周辺部において、接着力の低下する部分が生じ
る。このような接着力の低下する部分の発生により、合
わせガラスの周辺部において、上記中間膜から板ガラス
が剥離するおそれがある。
【0016】上記特開平8−119687号公報や特開
平8−143342号公報に開示されている中間膜は、
上述した耐湿性をある程度改善することは可能である
が、いまだ十分であるとはいいがたい。さらに、上記特
開昭60−86057号公報に開示された中間膜は、ポ
リビニルブチラール樹脂を用いてはいないが、エチレン
−(メタ)アクリル酸系またはそのエステルからなる共
重合体を金属イオンで架橋しているため、耐湿性が低下
している。
【0017】本発明は、上記の問題点に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、接着力をコントロールし易
い接着性組成物および接着性膜と、耐湿性、耐候性、お
よび透明性に優れ、かつ、高品質である合わせガラスと
を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、上記従
来の問題を解決すべく鋭意検討した結果、水酸基および
カルボニル基を含有し、ラクトン環を形成してなる特定
の構造単位および/または上記のラクトン環が開環して
なる特定の構造単位を有する重合体を含む接着性組成物
が、pH応答性に優れ、pHによって該接着性組成物の
接着力を容易にコントロールすることができるものであ
り、また、上記の構造単位を有する重合体を膜状に成形
することで、接着力をコントロールする必要がある用途
に好適な接着性膜を得られることを見い出した。
【0019】また、本願発明者らは、合わせガラスなど
の透明積層材を構成する中間膜が上記の構造単位を有す
る接着性膜であれば、pH応答性に優れ、pHによって
該接着性膜の接着力を容易にコントロールすることがで
きるとともに、透明性、耐湿性、および耐候性に優れた
透明積層材を提供することができることを見い出して、
本発明を完成させるに至った。
【0020】すなわち、本発明の請求項1記載の接着性
組成物は、上記の課題を解決するために、一般式(1)
【0021】
【化8】
【0022】(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水
素原子または有機残基を表し、R3は水素原子、1価金
属イオン、2価金属イオン、アンモニウム基、または有
機残基を表し、nは0、1または2の整数を表す)で表
される構造単位、および/または、一般式(2)
【0023】
【化9】
【0024】(式中、R4 は水素原子または有機残基を
表し、R5 は水素原子、1価金属イオン、2価金属イオ
ン、アンモニウム基、または有機残基を表し、mは0、
1または2の整数を表す)で表される構造単位を有する
重合体を含有していることを特徴としている。
【0025】本発明の請求項2記載の接着性組成物は、
上記の課題を解決するために、上記重合体が、一般式
(3)
【0026】
【化10】
【0027】(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水
素原子または有機残基を表す)で表される構造単位を有
する重合体であることを特徴としている。
【0028】上記請求項1または2記載の構成によれ
ば、上記一般式(1)で表される構造単位および/また
は一般式(2)で表される構造単位を有する重合体はp
H応答性に優れ、pHの変化に伴って素早くラクトン環
の開環または閉環が起こる。そのため、上記一般式
(1)で表される構造単位および/または一般式(2)
で表される構造単位を有する重合体を含む接着性組成物
は、pH応答性に優れたものとなり、pHによって該接
着性組成物の接着力を容易にコントロールすることがで
きる。
【0029】そして、特に、上記一般式(3)で表され
る構造単位を有する重合体は、pH応答性により一層優
れているため、pHによって該接着性組成物の接着力を
より一層容易にコントロールすることができる。
【0030】また、上記重合体は、重合の制御が容易で
あるために常に一定の物性を実現できる。さらに、上記
重合体は、従来の接着性組成物に用いられてきた重合体
よりも優れた耐湿性、耐候性および耐酸性を有してい
る。したがって、上記重合体を含む接着性組成物は、接
着力のコントロールが必要な用途に対して好適に用いる
ことができる。
【0031】また、本発明の請求項3記載の接着性膜
は、上記の課題を解決するために、一般式(1)
【0032】
【化11】
【0033】(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水
素原子または有機残基を表し、R3は水素原子、1価金
属イオン、2価金属イオン、アンモニウム基、または有
機残基を表し、nは0、1または2の整数を表す)で表
される構造単位、および/または、一般式(2)
【0034】
【化12】
【0035】(式中、R4 は水素原子または有機残基を
表し、R5 は水素原子、1価金属イオン、2価金属イオ
ン、アンモニウム基、または有機残基を表し、mは0、
1または2の整数を表す)で表される構造単位を有して
いることを特徴としている。
【0036】上記請求項3記載の構成によれば、上記一
般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表され
る構造単位とは、pHの変化に応じた可逆性を有してい
る。つまり、上記接着性膜中に含まれる、一般式(1)
で表される構造単位および/または一般式(2)で表さ
れる構造単位を有する重合体は、優れたpH応答性を有
し、pHの変化に伴って素早くラクトン環の開環または
閉環が起こる。
【0037】このため、上記接着性膜は、ラクトン環の
開環または閉環によってその水溶性を適宜変化させるこ
とができ、この水溶性の変化に伴い、該接着性膜の接着
力を適宜コントロールすることができる。このように、
上記一般式(1)で表される構造単位および/または一
般式(2)で表される構造単位を有する接着性膜は、接
着力を適宜コントロールする必要のある用途に好適に用
いることができ、さらに耐湿性および耐候性に優れてい
るため、特に、合わせガラスなどの透明積層材の中間膜
として好適に用いることができる。
【0038】本発明の請求項4記載の透明積層材は、上
記の課題を解決するために、一対の透明板の間に中間膜
を挟持してなる透明積層材において、上記中間膜が、一
般式(1)
【0039】
【化13】
【0040】(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水
素原子または有機残基を表し、R3は水素原子、1価金
属イオン、2価金属イオン、アンモニウム基、または有
機残基を表し、nは0、1または2の整数を表す)で表
される構造単位および/または一般式(2)
【0041】
【化14】
【0042】(式中、R4 は水素原子または有機残基を
表し、R5 は水素原子、1価金属イオン、2価金属イオ
ン、アンモニウム基、または有機残基を表し、mは0、
1または2の整数を表す)で表される構造単位を有して
いることを特徴としている。
【0043】上記請求項4記載の構成によれば、上記透
明積層材は、上記一般式(1)で表される構造単位およ
び/または一般式(2)で表される構造単位を有する中
間膜を用いているため、該中間膜の接着力をコントロー
ルすることが容易である。そのため、該透明積層材を形
成する透明板と上記中間膜とは、適切な接着力にて密着
させることができる。
【0044】それゆえ、上記中間膜を備えた合わせガラ
スなどの透明積層材は、優れた衝撃吸収性と耐貫通性と
を実現することができる。さらに、上記中間膜を備える
透明積層材は、優れた耐湿性、耐候性、および透明性を
有している。したがって、上記透明積層材は、自動車の
フロントガラスや建築物の窓ガラスなどとして好適に用
いることができる。
【0045】なお、衝撃吸収性とは、外部から物体など
の飛来によって透明積層材に加えられる衝撃を吸収する
性質であり、耐貫通性とは、衝撃を与える上記物体の貫
通を阻止する性質である。以下、本発明について詳細に
説明する。
【0046】本発明にかかる接着性組成物は、上記一般
式(1)で表される構造単位および/または上記一般式
(2)で表される構造単位を、その構成成分中に含んで
いる。また、本発明にかかる接着性膜は、たとえば、上
記一般式(1)で表される構造単位および/または上記
一般式(2)で表される構造単位を有する重合体を含む
接着性組成物を成形することによって容易に得ることが
できる。
【0047】さらに、本発明にかかる透明積層材は、た
とえば、上記一般式(1)で表される構造単位および/
または上記一般式(2)で表される構造単位を有する接
着性膜を中間膜として用いることで容易に製造すること
ができる。
【0048】本発明にかかる接着性組成物においては、
該接着性組成物に含まれる重合体における重合の制御を
容易にして常に安定した物性を実現し、また、優れた耐
湿性および耐候性を有するとともに、その接着力をコン
トロールすることが容易にできる接着性組成物を実現す
べく、次の3つの重合体、、またはのうち、少な
くとも一つを含んでなっている。
【0049】まず、重合体は、前記一般式(1)で表
される構造単位を主鎖に含み、R1、R2 で示される置
換基がそれぞれ独立して水素原子または有機残基で構成
され、R3 で表される置換基が水素原子、1価金属イオ
ン、2価金属イオン、アンモニウム基、または有機残基
で構成され、nは0、1または2の整数を表している。
【0050】次に、重合体は、前記一般式(2)で表
される構造単位を主鎖に含み、R4で示される置換基が
水素原子または有機残基で構成され、R5 で示される置
換基が水素原子、1価金属イオン、2価金属イオン、ア
ンモニウム基、または有機残基で構成され、mは0、1
または2の整数を表している。
【0051】また、重合体は、前記一般式(1)およ
び前記一般式(2)で表される構造単位を主鎖に含み、
1 、R2 で示される置換基がそれぞれ独立して水素原
子または有機残基で構成され、R3 で表される置換基が
水素原子、1価金属イオン、2価金属イオン、アンモニ
ウム基、または有機残基で構成され、R4 で示される置
換基が水素原子または有機残基で構成され、R5 で示さ
れる置換基が水素原子、1価金属イオン、2価金属イオ
ン、アンモニウム基、または有機残基で構成され、m、
nは0、1または2の整数を表している重合体である。
【0052】上記各重合体において、上記R1 、R2
3 で示される置換基のうち、有機残基としては、具体
的には、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチ
ル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチ
ル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル
基などの、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖を含むア
ルキル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフ
タレン基、ベンジル基などの、炭素数6〜12の無置換
あるいは置換アリール基;ヒドロキシメチル基、2−ヒ
ドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒ
ドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、6−ヒ
ドロキシヘキシル基などの、炭素数1〜6のヒドロキシ
アルキル基;有機アミン基;などが挙げられる。ここ
で、有機アミン基とは、置換アミノ基を示し、具体的に
は、エチレンジアミン、N−アルキル置換ポリアミン、
ポリエチレンポリアミン、アルカノールアミンなどの有
機アミン類から、窒素原子に結合した水素原子が一つ脱
離した基を示す。
【0053】また、上記R3 、R5 で示される置換基の
うち、1価金属イオンとしては、具体的には、リチウム
イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどが挙げ
られる。また、2価金属イオンとしては、具体的には、
マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオ
ンなどが挙げられる。さらに、有機残基としては、たと
えば、アルキル基、アリール基、ヒドロキシアルキル
基、有機アミン基などが挙げられる。
【0054】上記アルキル基としては、メチル基、エチ
ル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチ
ル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキ
シル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ラウ
リル基、ステアリル基などの、炭素数1〜18の直鎖ま
たは分岐鎖を含むアルキル基などが挙げられる。アリー
ル基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基、
ナフタレン基、ベンジル基などの炭素数6〜12の無置
換あるいは置換アリール基などが挙げられる。ヒドロキ
シアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒド
ロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒド
ロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、6−ヒド
ロキシヘキシル基などの炭素数1〜6のヒドロキシアル
キル基などが挙げられる。有機アミン基としては、エチ
レンジアミン、N−アルキル置換ポリアミン、ポリエチ
レンポリアミン、アルカノールアミンなどの有機アミン
類から、窒素原子に結合した水素原子が一つ脱離した基
が挙げられる。
【0055】そして、これらの重合体のなかでも、n、
mで表される繰り返し単位が1である重合体が好まし
く、nで表される繰り返し単位が1であり、かつR3
表される置換基が水素原子である重合体、すなわち、前
記一般式(3)で表される構造単位を有する重合体が、
pHに対する応答感度に特に優れ、接着力のコントロー
ルがよりし易くなることから好ましい。
【0056】加えて、前記一般式(1)で示される構造
単位においては、ラクトン環の員数は何ら限定されるも
のではないが、6員環であることが最も好ましい。
【0057】また、前記重合体またはにおいては、
前記一般式(1)で表される構造単位の含有量が、10
重量%以上であることが好ましく、40重量%以上であ
ることがより好ましい。同様に、前記重合体において
は、前記一般式(2)で表される構造単位が2つ隣接し
た構造が複数含まれており、この隣接構造によって、前
記一般式(1)で表される構造単位であるラクトン環
が、好ましくは10重量%以上、より好ましくは40重
量%以上形成されるようになっていることが好ましい。
【0058】このように、一般式(1)で表される構造
単位が上記の範囲以上であれば、得られる重合体の接着
力をコントロールし易くなるとともに、耐湿性や耐酸性
を向上させることができる。
【0059】本発明において、前記一般式(1)および
/または一般式(2)で表される構造単位を有する成分
の重合方法は、特に限定されるものではない。たとえ
ば、ラジカル重合反応を用いる重合方法;イオン化放射
線、電子線などの放射線や、紫外線を照射する重合方
法;加熱による重合方法;など、従来公知の種々の方法
を採用することができる。
【0060】上記重合によって得られた重合体、、
またはにおける重量平均分子量(Mw)は、特に限定
されるものではないが、取り扱い性の点やpH応答性、
すなわち、接着力をコントロールし易くする点から、5
00〜500,000の範囲内であることが好ましく、
5,000〜300,000の範囲内であることがより
好ましい。上記重合体の重量平均分子量が上記の範囲内
であれば、被着材との間に、より一層顕著な接着力、耐
湿性、および耐候性を示すとともに、取り扱い易いので
有用である。
【0061】なお、上記重合体、、またはにおけ
る前記一般式(1)および一般式(2)で表される構造
単位以外の構造単位は、特に限定されるものではない。
【0062】本発明にかかる接着性組成物に含まれる重
合体としては、前述したように、重合体、、または
があるが、これら重合体は、前記重合体に含まれ
る、前記一般式(2)で表される構造単位を有するポリ
カルボン酸類から容易に得ることができる。このポリカ
ルボン酸類としては、たとえば、一般式(4)
【0063】
【化15】
【0064】(式中、R4 、R6 はそれぞれ独立して水
素原子または有機残基を表し、mは0、1または2の整
数を表す)で表される水酸基含有単量体を、単独で、あ
るいは、該水酸基含有単量体と共重合可能な単量体と
(共)重合させた後、得られた(共)重合体(以下、ポ
リカルボン酸類前駆体)を、アルカリ性物質にて加水分
解することにより容易に製造される。
【0065】上記一般式(4)で表される水酸基含有単
量体としては、具体的には、たとえば、α−(ヒドロキ
シメチル)アクリレート類、α−(ヒドロキシエチル)
アクリレート類、α−(ヒドロキシブチル)アクリレー
ト類、α−(1−ヒドロキシヘキシル)アクリレート
類、α−(1−ヒドロキシベンジル)アクリレート類な
どが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0066】さらに、上記ポリカルボン酸類前駆体は、
上記一般式(4)で表される水酸基含有単量体と、他の
単量体とを重合させてなる共重合体であってもよい。上
記の他の単量体としては、具体的には、(メタ)アクリ
ル酸およびその塩、(メタ)アクリル酸エステル、無水
マレイン酸およびその塩、マレイン酸エステル、フマル
酸エステル、イタコン酸およびその塩、イタコン酸エス
テル、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メ
タ)アクリルアミド、アリルアルコール、エチレン、プ
ロピレン、塩化ビニルなどが挙げられるが、特に限定さ
れるものではなく、上記一般式(4)で表される水酸基
含有単量体と重合可能な単量体であればよい。
【0067】上記一般式(4)で表される水酸基含有単
量体は、従来公知の方法、たとえば、相当するビニル化
合物とアルデヒド系化合物とを、触媒として、三級アミ
ン化合物および水の存在下で反応させる方法(特開平7
−285906号公報)により、容易に得ることができ
る。この場合、上記一般式(4)において、R6 で示さ
れる置換基は、たとえばアルデヒド系化合物に由来する
置換基であり、具体的には、水素原子、炭素数1〜18
のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、有機アミン基、
または複素環基を示す。また、R4 で示される置換基の
うち、有機残基としては、たとえば、前述した置換基が
挙げられる。
【0068】上記水酸基含有単量体をその他の単量体と
共重合させる場合に用いられる、上記水酸基含有単量体
に対するその他の単量体の添加量は、特に限定されるも
のではないが、上記水酸基含有単量体100重量部に対
して、その他の単量体20重量部〜500重量部の範囲
内で用いることが好ましく、50重量部〜300重量部
の範囲内で用いることがさらに好ましく、100重量部
〜200重量部の範囲内で用いることが特に好ましい。
【0069】上記水酸基含有単量体を含む単量体成分の
重合方法としては、たとえば、ラジカル重合開始剤など
の重合開始剤を用いる重合方法;イオン化放射線、電子
線などの放射線や、紫外線を照射する重合方法;加熱に
よる重合方法;など、従来公知の種々の方法を採用する
ことができる。
【0070】上記単量体を重合させるための重合開始剤
としては、たとえば、過酸化ベンゾイル、過酸化ter
t−ブチル、過酸化ラウロイルなどの過酸化物;アゾビ
スイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;過硫酸塩;な
どが挙げられる。また、上記の(共)重合反応におい
て、用いられる重合開始剤の使用量や、重合反応の反応
条件などは特に限定されるものではない。
【0071】また、上記のアルカリ性物質としては、た
とえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム、アンモニアあるいはその水溶液
が用いられる。
【0072】上述のようにして得られたポリカルボン酸
類は、そのまま前記重合体として用いることができ
る。また、前記重合体またはは、上記ポリカルボン
酸類を酸で処理してラクトン環化させることにより容易
に得ることができる。
【0073】本発明において、上記一般式(1)で表さ
れる構造単位と一般式(2)で表される構造単位とは、
pHによる可逆性を有し、酸性雰囲気下においてラクト
ン環化する一方、アルカリ性雰囲気下で該ラクトン環が
開環する。
【0074】つまり、本発明において、接着性組成物の
原料として用いられる上記の重合体中に、一般式(1)
で表される構造単位を導入するためには、一般式(2)
で表される上記のポリカルボン酸類を酸で処理すること
により、ラクトン環化させればよい。これによって、前
記重合体またはを得ることができる。
【0075】上記のポリカルボン酸類を酸で処理する方
法としては、具体的には、上記のポリカルボン酸類に酸
を添加、混合し、必要に応じて加熱すればよい。
【0076】上記ラクトン環化処理に用いられる酸とし
ては、具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸な
どの鉱酸類;メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン
酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸;リンタングステン
酸、リンモリブデン酸などのヘテロポリ酸類;などが挙
げられる。上記の酸は一種類のみを用いてもよく、適宜
二種類以上を用いてもよい。上記の酸のなかでも塩酸、
硫酸が特に好ましい。
【0077】上記の酸は、水や不活性有機溶媒に溶解さ
せてなる溶液として用いてもよく、水や不活性有機溶媒
に懸濁させてなる懸濁液として用いてもよく、また、そ
のまま固形物として用いてもよい。
【0078】上記の酸をポリカルボン酸類に添加する際
には、上記ポリカルボン酸類を水溶液(ポリカルボン酸
塩水溶液)とし、該水溶液中に上記の酸を添加すること
が好ましい。上記の酸による処理は、均一、あるいは、
水に不溶性の不活性有機溶媒を含む不均一系で実施して
もよいが、均一水溶液系で用いることがより好ましい。
また、上記の酸は、一括添加してもよく、逐次添加して
もよい。なお、上記ポリカルボン酸類と酸との混合に要
する時間は、特に限定されるものではない。
【0079】上記ポリカルボン酸類に酸を添加してラク
トン環化させる際の処理温度としては、0℃〜150℃
の範囲内が好ましく、20℃〜80℃の範囲内がさらに
好ましい。処理温度が0℃よりも低ければ、ラクトン環
化反応の進行が遅くなり、ラクトン環含有重合体を効率
的に得ることができなくなるおそれがある。また、処理
温度が150℃よりも高ければ、副反応として、脱炭酸
反応あるいはゲル化物の生成が起こり好ましくない。
【0080】上記ポリカルボン酸類に対する酸の添加量
としては、該ポリカルボン酸類を含む処理液が酸性を示
す量であればよいが、好ましくは、上記処理液のpHが
5以下、さらに好ましくは3以下、特に好ましくは2以
下となるような量の酸を添加する。上記のポリカルボン
酸類を含む処理液が酸性を示すように酸を添加すること
で、ポリカルボン酸類がラクトン環化し、上記一般式
(1)で表される構造単位を有するラクトン環含有重合
体、すなわち、前記重合体またはを得ることができ
る。
【0081】前記重合体またはを得る場合に、上記
ポリカルボン酸類が、特に、前記水酸基含有単量体の単
独重合体を加水分解してなる重合体である場合には、上
記ポリカルボン酸類を含む処理液のpHが3以下となる
ように酸を添加することが好ましい。前記水酸基含有単
量体の単独重合体からなるポリカルボン酸類をpH3以
下となるように酸で処理することにより、水不溶性のラ
クトン環含有重合体である前記またはの重合体を沈
澱物として得ることができる。
【0082】このように、上記の沈澱物を濾過し、この
濾過物を乾燥させることによって、ラクトン環含有重合
体である前記重合体またはを、分離生成物として容
易に得ることができる。
【0083】このような重合体、、またはは、優
れたpH応答性を有している。まず、重合体または
は、前記一般式(1)で表されるラクトン環を含有して
いるため、pHが3以下の状態では、上記ラクトン環が
維持されて水に不溶化する。これに対して、塩基性下に
おいては、ラクトン環が開環して前記一般式(2)で表
される構造単位が2つ連続した構造となって水に可溶と
なる。このような水に対する溶解性の変化に伴って接着
力も変化する。
【0084】つまり、ラクトン環の開環度が上昇するこ
とによって、上記重合体またはの水に対する可溶性
が上昇し、これに伴って、該重合体またはの接着性
は向上する。一方、ラクトン環の開環度が低下する、す
なわち、ラクトン環が閉環して前記一般式(1)で表さ
れる構造単位が維持される度合いが大きいことによっ
て、上記重合体またはの水に対する不溶性が上昇
し、これに伴って、該重合体またはの接着性は低下
する。
【0085】このように、上記重合体またはの水に
対する溶解性を適宜変化させることによって、該重合体
またはの接着力を適宜コントロールすることが容易
となる。さらに、上記ラクトン環は酸性条件下で維持さ
れるため、得られる重合体は耐酸性を有していることに
もなる。
【0086】次に、前記重合体は、前記一般式(2)
で表される構造単位を有しているため、これをpH3以
下の酸性条件下とすることで、上記構造単位が隣接して
いる部分においては、前記一般式(1)で表される構造
単位であるラクトン環が形成される。そのため、重合体
の水に対する溶解性が低下する。また、形成された上
記ラクトン環は、塩基性下において開環するため、重合
体の水に対する溶解性は上昇する。
【0087】したがって、前記重合体またはと同様
に、重合体も、ラクトン環の開環の度合いを変化させ
て水に対する溶解性を変化させることにより、該重合体
の接着力をコントロールすることが可能となる。
【0088】このように本発明にかかる接着性組成物に
は、前記重合体、、またはのうち、少なくとも何
れか1つが含まれている。これら重合体、、または
は、ラクトン環を含有するか、あるいは、ラクトン環
を容易に形成できる構造単位を有しているため、上述し
たように接着力を容易にコントロールすることが可能で
ある。さらに、上記重合体は、ラクトン環を形成してい
る状態、すなわち、酸性の条件下で不溶性となった状態
では耐湿性および耐酸性に優れている。
【0089】また、上記各重合体は、ポリカルボン酸類
から容易に得ることができる。また、このポリカルボン
酸類は、前記一般式(4)で表される水酸基含有単量体
を、単独で、あるいは、該水酸基含有単量体と共重合可
能な単量体と共重合させた後、得られたポリカルボン酸
類前駆体を、アルカリ性物質にて加水分解することによ
り、容易に製造される。
【0090】このようにして得られたポリカルボン酸類
は、重合が制御し易くなっており、得られる重合体のポ
リマー設計が行い易くなっているため、安定した物性を
常に実現することができる。これに対して、従来、接着
性組成物として用いられている、たとえば、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート(2−HEMA)や2−ヒド
ロキシエチルアクリレート(HEA)とエチレンとの共
重合体では、単量体の重合速度を制御することが困難で
あり、そのために、常に一定の物性を有する重合体を提
供することが困難となっている。
【0091】また、上記従来の2−HEMAやHEAと
エチレンとの共重合と比較して、前記一般式(4)で表
される単量体は、長時間重合しても得られる重合体がゲ
ル化しにくい。このため、得られる重合体の成形性が向
上する。なお、上記のゲル化については、前記一般式
(4)で表される単量体中に含まれる水酸基とカルボキ
シル基との密度によって適宜コントロールすることがで
きる。
【0092】本発明にかかる接着性組成物は、上述して
きた前記重合体、、またはのうち、少なくとも何
れか1つを含んでなっている。この接着性組成物が使用
される形態は、何ら限定されるものではないが、膜状に
成形して接着性膜として使用することが特に好ましい。
上記接着性膜は十分な強度を有しているため、接着性組
成物としての取り扱い性が向上する。
【0093】本発明にかかる接着性組成物中には、上述
してきた前記重合体、、または以外に各種添加剤
が加えられていてもよい。上記添加剤としては、特に限
定されるものではないが、具体的には、たとえば、可塑
剤、酸化防止剤、紫外線遮断剤、熱線吸収剤、赤外線遮
断性物質、顔料、染料などが挙げられる。また、これら
各種添加剤は、従来公知のものが使用可能である。
【0094】上記酸化防止剤としては、たとえば、t−
ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、テトラキス[メ
チレン−3−(3’,5’−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]メタン(チバガイギー社
製;商品名 イルガノックス1010)などのフェノー
ル系化合物;アデカアーガス社製;商品名 MarkL
A−57などのヒンダードアミン系のものが挙げられ
る。
【0095】また、上記の熱線吸収剤としては、シアニ
ン系色素、ピリリウム色素、スクワリウム色素、ジチー
ルニッケル錯体色素、アゾ色素、ナフトキノン系色素、
アントラキノン系色素、ナフタロシアニン系色素、ジイ
モニウム色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニ
ン系色素などの熱線吸収色素や、2価の銅イオンが結合
したリン酸基を有するポリマーなどが挙げられる。
【0096】また、赤外線遮断性物質としては、金属酸
化物の微粒子を挙げることができ、この金属酸化物とし
ては、酸化インジウム類、酸化スズ類、酸化亜鉛類、ス
ズ酸カドミウムなどがある。
【0097】また、上記顔料としては、プラスチック用
として用いられているものであれば特に限定されるもの
ではなく、たとえば、アゾ系、フタロシアニン系、キナ
クリドン系、ペリレン系、ペリノン系、ジオキサジン
系、アンスラキノ系、イソインドリノ系などの有機顔料
や、酸化物、水酸化物、硫化物、クロム酸、硫酸鉛、炭
酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、フェロシアン化物、炭素、
金属粉などの無機顔料を挙げることができる。顔料の配
合量は目的の色に合わせて適宜変化させることができ
る。
【0098】上記酸化防止剤、紫外線遮断剤、熱線吸収
剤、赤外線遮断性物質、顔料などの各種添加剤を添加す
るタイミングとしては、特に限定されるものではなく、
上記の単量体を重合する際や、重合して得られた重合体
を成形する際などが挙げられる。
【0099】なお、上記各種添加剤を添加するタイミン
グが単量体を重合する際である場合、該添加剤が重合反
応を阻害しないことが必要である。また、上記添加剤の
添加量は、特に限定されるものではなく、添加剤の種類
などに応じて、上記一般式(1)および/または一般式
(2)で表される構造単位を有する重合体、すなわち、
重合体、、またはが有する物性を阻害しない範囲
内で用いればよい。
【0100】本発明にかかる接着性組成物が有する接着
力をより強化するために、シランカップリング剤やチタ
ンカップリング剤などを用いてプライマー処理を施して
もよい。このプライマー処理とは、接着性組成物と被着
材との両者に親和性のある材料をプライマーとして使用
することにより、該接着性組成物の接着性の向上・改善
をはかる処理である。
【0101】上記シランカップリング剤としては、たと
えば、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロ
ピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0102】本発明にかかる接着性膜は、前記重合体
、、またはのうちの少なくとも1つを含んでいれ
ばよい。それゆえ、本発明にかかる接着性膜は、上述し
た接着性組成物を膜状に成形することによって容易に得
ることができる。この接着性膜を成形する方法として
は、従来用いられているプラスチックの成形方法である
プレス成形、押し出し成形、射出成形、カレンダー成形
などを用いることができる。あるいは、上記接着性組成
物を溶剤に溶解し、この溶液を適当なコーターで塗布し
て塗膜を形成した後、乾燥させてシート状に成膜しても
よい。
【0103】上記接着性膜の膜厚としては、特に、合わ
せガラスなどの透明積層材の中間膜として用いる場合
は、0.01mm〜5.00mmが好ましく、0.05
mm〜3.00mmがより好ましく、0.10mm〜
1.00mmが特に好ましい。上記接着性膜が上記範囲
よりも薄い膜厚を有していると、該接着性膜を中間膜と
して用いて透明積層材を形成した場合、この透明積層材
における耐貫通性や衝撃吸収性が低下するため好ましく
ない。また、上記接着性膜が、上記範囲よりも厚い膜厚
を有していると、上記透明積層材の透明性が低下すると
ともにコスト上昇を招来するため好ましくない。
【0104】なお、上記接着性膜の膜厚は、上記の範囲
に限定されるものではなく、その用途に応じて適宜設定
すればよい。また、上記接着性膜の用途も上記透明積層
材の中間膜に限定されるものではなく、接着力のコント
ロールが必要な用途において、好適に用いることができ
る。
【0105】上記一般式(1)で表される構造単位と一
般式(2)で表される構造単位とは、pHの変化に応じ
た可逆性を有している。つまり、上記一般式(1)で表
される構造単位および/または一般式(2)で表される
構造単位を有する重合体は、優れたpH応答性を有し、
pHの変化に伴って素早くラクトン環の開環または閉環
が起こる。
【0106】このため、上記一般式(1)で表される構
造単位および/または一般式(2)で表される構造単位
を有する重合体を含む接着性組成物を用いれば、pH応
答性に優れ、pHによって接着力を容易にコントロール
することができる成形体を得ることができる。
【0107】また、本発明にかかる接着性膜に、上記一
般式(1)で表される構造単位および/または一般式
(2)で表される構造単位を導入する他の方法として
は、たとえば、前述したポリカルボン酸類前駆体を、ア
ルカリ性物質にて加水分解する前に膜状に成形し、その
後、得られた成形体をアルカリ処理する方法が挙げられ
る。上記のポリカルボン酸類前駆体を成形した後、アル
カリ処理することで、接着性膜自体の強度を維持するこ
とができる。
【0108】なお、上記ポリカルボン酸類前駆体の成形
方法は、前述した成形方法と同様の方法を採用すること
ができる。また、得られた成形体のアルカリ処理に用い
られるアルカリ性物質は、ポリカルボン酸類の製造方法
にて例示したアルカリ性物質と同様のアルカリ性物質を
用いることができる。
【0109】このようにして得られた上記の接着性膜
は、一般式(1)で表される構造単位および/または一
般式(2)で表される構造単位を有する重合体を、その
構成成分として含み、該接着性膜の表面および内部に、
上記一般式(1)で表される構造単位および/または一
般式(2)で表される構造単位を有している。
【0110】上記一般式(1)で表される構造単位と一
般式(2)で表される構造単位とは、pHの変化に応じ
た可逆性を有し、pHの変化に伴って素早くラクトン環
の開環または閉環が起こる。つまり、上記の接着性膜
は、酸性雰囲気下では、ラクトン環を形成することで、
水に難溶あるいは不溶となり、接着力が低下する。ま
た、上記の接着性膜は、ラクトン環を形成していること
で耐酸性、耐熱性にも優れている。
【0111】上記の接着性膜をラクトン環化させる際の
条件は、前述した酸処理と同様である。また、上記のラ
クトン環を開環させる際に用いられるアルカリ性物質と
しては、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリ
ウム、アンモニア、アミン類などが用いられる。上記の
アルカリ性物質は一種類のみを用いてもよいし、適宜、
二種類以上を混合して用いてもよい。上記のアルカリ性
物質のなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
が、応答速度の点で特に好ましい。
【0112】このように、本発明の接着性膜は、pH応
答性に優れ、pHによって接着力を容易にコントロール
することができる。したがって、たとえば、上記の接着
性膜を中間膜として合わせガラスなどの製造に用いれ
ば、中間膜の板ガラスへの接着を適切な接着力にて行う
ことが可能となり、合わせガラスの性能を向上させるこ
とができるとともに、その製造も簡素化することができ
る。
【0113】本発明にかかる透明積層材は、図1に示す
ように、上記接着性膜のように、前記重合体、、ま
たはのうちの少なくとも1つを含んでなる膜を中間膜
1として用い、一対の透明板2・2の間に中間膜1を挟
持してなっている。この中間膜1を挟持する透明板2・
2としては、板ガラスが好ましい。すなわち、上記透明
積層材は合わせガラスであることが好ましい。
【0114】本発明にかかる透明積層材の製造方法とし
ては、特に限定されるものではないが、たとえば、一対
の透明板2・2として上記板ガラスを用いた場合では、
この一対の板ガラスの間に上記接着性膜を挟持してサン
ドイッチ体を形成し、このサンドイッチ体を脱気処理し
た後、真空プレスにより予備圧着させ、さらに、所定温
度・所定圧力のオートクレーブによって本圧着させる方
法が挙げられる。
【0115】ここで、上記中間膜1の透明板2・2への
接着力が小さすぎると、外部からの物体の衝突などによ
る衝撃のために透明板2・2が中間膜1から剥がれて、
破損・飛散する。一方、上記接着力が大きすぎると、上
記衝撃のために透明板2・2と中間膜1とが同時に破損
することになる。
【0116】これに対して、本発明にかかる透明積層材
は、接着力をコントロールし易い接着性膜を中間膜1と
して備えている。それゆえ、上記中間膜1を透明板2・
2に対して適切な接着力にて密着させることができる。
そのため、透明板2・2が中間膜1から剥離したりする
ことがなく、また、該中間膜1が透明板2・2と同時に
破損したりすることがない。
【0117】それゆえ、上記中間膜1は外部からの衝撃
を吸収することができるとともに、外部からの物体が透
明積層材を貫通することは抑制される。したがって、上
記中間膜1を用いることにより、耐貫通性および衝撃吸
収性に優れた高品質な透明積層材を得ることができる。
【0118】さらに、上記中間膜1は、前記重合体、
、またはのうちの少なくとも一つを含んでいる。そ
のため、該中間膜1は、前記一般式(1)で表される構
造単位であるラクトン環を有することになり、耐湿性が
高い。それゆえ、上記透明積層材を湿度の高い状態で放
置しても、従来の合わせガラスとは異なり、周辺部分に
白化が生じることがなく、また、この白化の発生に伴う
周辺部における接着力の低下も生じない。それゆえ、上
記透明積層材は、接着性、耐湿性および透明性に優れた
ものとなっている。
【0119】また、上記重合体、、またはは、ア
クリレート系の単量体の重合体であるため、これら重合
体のうちの少なくとも1つを含む上記中間膜1は、耐候
性に優れている。そのため、上記透明積層材は、耐湿性
に加えて耐候性にも優れたものとなっている。
【0120】なお、本発明にかかる透明積層材は、上記
透明板2・2が板ガラスである合わせガラスに限定され
るものではなく、たとえば、上記中間膜1は、透明性樹
脂からなる一対の透明板2・2に挟持されていてもよ
い。上記透明性樹脂としては、ポリカーボネートなど、
上記中間膜1よりも剛性の高い材質であることが好まし
い。これによって、非ガラス材からなる軽量かつ強固な
透明積層材を得ることができる。
【0121】以上のように、本発明にかかる接着性組成
物は、前記一般式(1)および/または一般式(2)の
構造単位を有している。そのため、pH応答性に優れ、
ラクトン環の閉環反応/開環反応に基づいて接着力を強
度を変化させることが可能となる。この接着力の強度の
変化はpHの変化により可逆的に生じるため自在にコン
トロールが可能である。
【0122】また、本発明にかかる接着性膜は、前記一
般式(1)および/または一般式(2)の構造単位を有
しているため、ラクトン環の閉環反応/開環反応に基づ
いて接着力をコントロールし易くなっている。したがっ
て、上記の接着性組成物は、膜状に成形することによっ
て、合わせガラスといった透明積層材の中間膜などに好
適に用いることができる。
【0123】さらに、本発明にかかる透明積層材は、前
記一般式(1)および/または一般式(2)の構造単位
を有する中間膜を備えている。そのため、耐水性、耐候
性に優れており、さらに、中間膜と透明板とを適切な接
着力によって密着できるため、従来よりも高品質な透明
積層材を容易に製造することができる。
【0124】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。なお、実施例および比較例に記
載の「部」は、「重量部」を示し、「%」は、「重量
%」を示す。また、本発明にかかる接着性組成物を成形
してなる接着性膜を合わせガラスの中間膜として用いた
場合の性能は、以下に示す方法により評価した。
【0125】密着性は、上記合わせガラスに対する圧縮
剪断試験に基づき評価した。◎は200kgf/cm2
以上を表し、○は150〜200kgf/cm2 以上を
表す。
【0126】可視光線透過率は、温度23℃、湿度50
%の状態で、分光光度計において400mμから750
mμまでの上記合わせガラスの透過率(%)を測定し、
評価した。
【0127】耐湿性は、JIS R3212「自動車用
安全ガラス試験方法」に基づいて評価した。30cm四
方の上記合わせガラスを、温度50±2℃、相対湿度9
5±4℃に保持された恒温恒湿槽内で2週間放置した
後、該合わせガラスの周辺部に生じた中間膜の白化部の
面積割合を耐湿性の指標とした。◎は変化なし、△は3
0〜50%白化、×は半分以上白化を表す。
【0128】耐候性は、上記合わせガラスに紫外線を1
000時間照射した後、該合わせガラスの外観を目視で
観察し、評価した。◎は全く変化なし、○は若干の部分
的変色有り、×は全面変色を表す。
【0129】〔実施例1〕水酸基含有単量体としてのα
−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル100部に対し
て、重合開始剤として、過酸化ラウロイルを1%の濃度
となるように添加して単量体溶液を得た。この単量体溶
液を60℃で3時間保持し、該単量体溶液を重合させ
た。得られた重合体100gに、可塑剤としてトリエチ
レングリコール−ジ(2−エチルブチレート)を40g
添加し、径6インチのロールを用いて80℃にて5分間
混練して本発明にかかる接着性組成物を得た。この接着
性組成物を、150℃にて20分間プレス成形すること
によって、表面が平滑であり、かつ、厚さが約0.76
mmである本発明にかかる接着性膜を得た。
【0130】この接着性膜を、一辺の長さが30cmで
ある正方形の一対のフロートガラスで挟持してサンドイ
ッチ体を形成した。このサンドイッチ体を、真空度20
Torr、温度90℃で20分間脱気処理し、さらに、
この温度90℃を維持しながら真空プレスした。この真
空プレスにより、上記接着性膜と上記一対のフロートガ
ラスとを予備圧着させた。この予備圧着されたサンドイ
ッチ体を圧力12kg/m2 、温度135℃のオートク
レーブによって本圧着させ、本発明にかかる透明積層材
としての合わせガラスを製造した。
【0131】この合わせガラスが備える中間膜、すなわ
ち、上記接着性膜の性能を、上述した方法により評価し
た。この結果を表1に示す。
【0132】〔実施例2〕実施例1において、水酸基含
有単量体として、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチ
ルの代わりに、α−ヒドロキシメチルアクリル酸−n−
ブチル100部を用いた以外は、実施例1と同様の重合
を行って、本発明にかかる接着性組成物を得た。この接
着性組成物を実施例1と同様に成形して、接着性膜を
得、さらに、この接着性膜を中間膜として用いて、実施
例1と同様の方法にて合わせガラスを製造した。この合
わせガラスが備える上記接着性膜の性能を上述した方法
により評価した。この結果を表1に示す。
【0133】〔実施例3〕実施例1において、水酸基含
有単量体として、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチ
ルの代わりに、α−ヒドロキシメチルアクリル酸−2−
エチルヘキシル100部を用いた以外は、実施例1と同
様の重合を行った。その後、さらにアンモニア水20部
を添加して該重合体の一部を加水分解した後、1%硫酸
水溶液で処理し、ラクトン環を有する重合体を得た。こ
の重合体を用いて実施例1と同様にして、本発明にかか
る接着性組成物を得た。この接着性組成物を実施例1と
同様に成形して、接着性膜を得、さらに、この接着性膜
を中間膜として用いて、実施例1と同様の方法にて合わ
せガラスを製造した。この合わせガラスが備える上記接
着性膜の性能を上述した方法により評価した。この結果
を表1に示す。
【0134】〔比較例1〕実施例1において、α−ヒド
ロキシメチルアクリル酸メチルの代わりに、アクリル酸
メチル100部を用いた以外は、実施例1と同様の重合
を行って、本発明にかかる接着性組成物を得た。この接
着性組成物を実施例1と同様に成形して、接着性膜を
得、さらに、この接着性膜を中間膜として用いて、実施
例1と同様の方法にて比較例としての合わせガラスを製
造した。この合わせガラスが備える上記接着性膜の性能
を上述した方法により評価した。この結果を表1に示
す。
【0135】〔比較例2〕実施例1において、接着性
膜、すなわち、中間膜としてポリビニルブチラール樹脂
を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて比較例とし
ての合わせガラスを製造した。この合わせガラスが備え
る上記中間膜の性能を上述した方法により評価した。こ
の結果を表1に示す。
【0136】
【表1】
【0137】表1の結果から明らかなように、本実施例
の接着性組成物を用いてなる接着性膜は、合わせガラス
の中間膜として用いた場合、フロートガラスに対する密
着性が良好であり、また、可視光線透過率や耐湿性、耐
候性に優れているものであった。したがって、本発明に
よれば、ガラスに対する密着性が良く、しかも、耐湿性
や耐候性、さらには透明性に優れた合わせガラスを容易
に製造することができる接着性組成物を提供することが
できる。
【0138】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の接着性組成物
は、以上のように、一般式(1)
【0139】
【化16】
【0140】(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水
素原子または有機残基を表し、R3は水素原子、1価金
属イオン、2価金属イオン、アンモニウム基、または有
機残基を表し、nは0、1または2の整数を表す)で表
される構造単位、および/または、一般式(2)
【0141】
【化17】
【0142】(式中、R4 は水素原子または有機残基を
表し、R5 は水素原子、1価金属イオン、2価金属イオ
ン、アンモニウム基、または有機残基を表し、mは0、
1または2の整数を表す)で表される構造単位を有する
重合体を含有している構成である。
【0143】本発明の請求項2記載の接着性組成物は、
以上のように、上記重合体が、一般式(3)
【0144】
【化18】
【0145】(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水
素原子または有機残基を表す)で表される構造単位を有
する重合体である構成である。
【0146】それゆえ、上記構成の接着性組成物では、
上記一般式(1)で表される構造単位および/または一
般式(2)で表される構造単位を有する重合体を含んで
いるため、pH応答性に優れ、pHの変化に伴って素早
くラクトン環の開環または閉環が起こる。そのため、p
Hによって該接着性組成物の接着力を容易にコントロー
ルすることができる。
【0147】そして、特に、上記一般式(3)で表され
る構造単位を有する重合体は、pH応答性により一層優
れているため、pHによって該接着性組成物の接着力を
より一層容易にコントロールすることができる。
【0148】また、上記重合体は、重合の制御が容易で
あるために常に一定の物性を実現できる。さらに、上記
重合体は、従来の接着性組成物に用いられてきた重合体
よりも優れた耐湿性、耐候性および耐酸性を有してい
る。したがって、上記重合体を含む接着性組成物は、合
わせガラスなどの透明積層材に対して好適に用いること
ができるという効果を奏する。
【0149】また、本発明の請求項3記載の接着性膜
は、以上のように、一般式(1)
【0150】
【化19】
【0151】(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水
素原子または有機残基を表し、R3は水素原子、1価金
属イオン、2価金属イオン、アンモニウム基、または有
機残基を表し、nは0、1または2の整数を表す)で表
される構造単位、および/または、一般式(2)
【0152】
【化20】
【0153】(式中、R4 は水素原子または有機残基を
表し、R5 は水素原子、1価金属イオン、2価金属イオ
ン、アンモニウム基、または有機残基を表し、mは0、
1または2の整数を表す)で表される構造単位を有して
いる構成である。
【0154】それゆえ、上記構成の接着性膜は、上記一
般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表され
る構造単位を有しているため、pHの変化に応じた可逆
性を有している。つまり、pHの変化に伴って素早くラ
クトン環の開環または閉環が起こる。このため、上記接
着性膜は、ラクトン環の開環または閉環によってその水
溶性を適宜変化させることができ、この水溶性の変化に
伴い、該接着性膜の接着力を適宜コントロールすること
ができる。したがって、上記接着性膜は、接着力を適宜
コントロールする必要のある用途に好適に用いることが
でき、さらに耐湿性および耐候性に優れているため、特
に、合わせガラスなどの透明積層材の中間膜として好適
に用いることができるという効果を奏する。
【0155】本発明の請求項4記載の透明積層材は、以
上のように、一対の透明板の間に中間膜を挟持してなる
透明積層材において、上記中間膜が、一般式(1)
【0156】
【化21】
【0157】(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水
素原子または有機残基を表し、R3は水素原子、1価金
属イオン、2価金属イオン、アンモニウム基、または有
機残基を表し、nは0、1または2の整数を表す)で表
される構造単位および/または一般式(2)
【0158】
【化22】
【0159】(式中、R4 は水素原子または有機残基を
表し、R5 は水素原子、1価金属イオン、2価金属イオ
ン、アンモニウム基、または有機残基を表し、mは0、
1または2の整数を表す)で表される構造単位を有して
いる構成である。
【0160】それゆえ、上記構成の透明積層材は、上記
一般式(1)で表される構造単位および/または一般式
(2)で表される構造単位を有する中間膜を用いている
ため、該中間膜の接着力をコントロールすることが容易
である。そのため、該透明積層材を形成する透明板と上
記中間膜とは適切な接着力にて密着させることができ
る。したがって、上記中間膜を備えた透明積層材は、優
れた衝撃吸収性と耐貫通性とを実現することができる。
さらに、上記透明積層材は、優れた耐湿性、耐候性、お
よび透明性を有している。したがって、上記透明積層材
は、自動車のフロントガラスや建築物の窓ガラスなどと
して好適に用いることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である透明積層材として
の合わせガラスの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 中間膜 2 透明板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08F 20/10 C08F 20/10 20/28 20/28

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水素原子または
    有機残基を表し、R3は水素原子、1価金属イオン、2
    価金属イオン、アンモニウム基、または有機残基を表
    し、nは0、1または2の整数を表す)で表される構造
    単位、および/または、一般式(2) 【化2】 (式中、R4 は水素原子または有機残基を表し、R5
    水素原子、1価金属イオン、2価金属イオン、アンモニ
    ウム基、または有機残基を表し、mは0、1または2の
    整数を表す)で表される構造単位を有する重合体を含有
    していることを特徴とする接着性組成物。
  2. 【請求項2】上記重合体が、一般式(3) 【化3】 (式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水素原子または
    有機残基を表す)で表される構造単位を有する重合体で
    あることを特徴とする請求項1記載の接着性組成物。
  3. 【請求項3】一般式(1) 【化4】 (式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水素原子または
    有機残基を表し、R3は水素原子、1価金属イオン、2
    価金属イオン、アンモニウム基、または有機残基を表
    し、nは0、1または2の整数を表す)で表される構造
    単位、および/または、一般式(2) 【化5】 (式中、R4 は水素原子または有機残基を表し、R5
    水素原子、1価金属イオン、2価金属イオン、アンモニ
    ウム基、または有機残基を表し、mは0、1または2の
    整数を表す)で表される構造単位を有していることを特
    徴とする接着性膜。
  4. 【請求項4】一対の透明板の間に中間膜を挟持してなる
    透明積層材において、 上記中間膜が、一般式(1) 【化6】 (式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水素原子または
    有機残基を表し、R3は水素原子、1価金属イオン、2
    価金属イオン、アンモニウム基、または有機残基を表
    し、nは0、1または2の整数を表す)で表される構造
    単位および/または一般式(2) 【化7】 (式中、R4 は水素原子または有機残基を表し、R5
    水素原子、1価金属イオン、2価金属イオン、アンモニ
    ウム基、または有機残基を表し、mは0、1または2の
    整数を表す)で表される構造単位を有していることを特
    徴とする透明積層材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004018836A (ja) * 2002-06-20 2004-01-22 Nippon Shokubai Co Ltd 硬化性樹脂組成物
JP2005281589A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Nippon Shokubai Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物
JP2016098285A (ja) * 2014-11-20 2016-05-30 株式会社日本触媒 ノニオン性多価アルコール含有結合剤

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