JPH1145438A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH1145438A
JPH1145438A JP20001497A JP20001497A JPH1145438A JP H1145438 A JPH1145438 A JP H1145438A JP 20001497 A JP20001497 A JP 20001497A JP 20001497 A JP20001497 A JP 20001497A JP H1145438 A JPH1145438 A JP H1145438A
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JP
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magnetic
magnetic layer
layer
recording medium
powder
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JP20001497A
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English (en)
Inventor
Hikoyoshi Momoi
彦佳 桃井
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 第1磁性層上に第2磁性層が積層されている
重層塗布型の磁気記録媒体において、電磁変換特性に優
れた磁気記録媒体及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 第1磁性層1と第2磁性層2とが積層さ
れている重層塗布型の磁気記録媒体において、保磁力4
8kA/m以下、比表面積35m2 /g以上の磁性粉末
4が第1磁性層1に配されており、この第1磁性層1の
磁化容易軸方向が、第2磁性層2の磁化容易軸方向と異
なり、かつ、第2磁性層2の面に沿う面内において媒体
走行方向xに対して85度〜95度の範囲内にあること
を特徴とする磁気記録媒体6。および、この磁気記録媒
体を再現性良く製造できる磁気記録媒体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、第1磁性層上に第
2磁性層が積層して設けられている重層塗布型の磁気記
録媒体(例えば、磁気テープ、磁気ディスクなど)及び
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ビデオテープ、オーディオテ
ープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体として、強磁性酸
化鉄、Co変性酸化鉄、CrO2 強磁性合金粉末などの
強磁性粉末を結合剤中に混合、分散させることによって
磁性塗料を調製し、この磁性塗料を、例えばポリエチレ
ンテレフタレート等の非磁性支持体上に塗布して形成さ
れた単層の磁性層を有する、いわゆる塗布型の磁気記録
媒体が広く用いられている。
【0003】近年、磁気記録の分野においては、記録再
生信号の質の向上、記録の長時間化、記録容量の増大
化、記録再生信号のデジタル化などを目的として、記録
の高密度化、記録波長の短波長化が進められており、前
記塗布型の磁気記録媒体においても、そのような記録の
高密度化、記録波長の短波長化に対応する特性が求めら
れている。
【0004】上述した単層磁性層を有する塗布型の磁気
記録媒体における高密度領域での電磁変換特性を向上す
る手法として、例えば、磁性層の薄層化が挙げられる。
即ち、磁性層を薄くすることによって、記録時の自己減
磁損失や再生時の厚み損失などが減少し、電磁変換特性
を効果的に改善することができる。
【0005】しかしながら、磁性層の厚さが例えば2μ
m以下と薄くなるにつれて、非磁性支持体の表面形状が
磁性層の表面に浮き出し易くなり、磁性層の表面が粗い
状態になることがある。これにより、スペーシングロス
による電磁変換特性の劣化が生じたり、ドロップアウト
が多発することがある。
【0006】そこで、塗布型の磁気記録媒体では、磁性
層と非磁性支持体との間に比較的厚みのある非磁性層
(下層、又は中間層)を介在させ、これによって非磁性
支持体の表面形状による影響が磁性層表面に現れ難くし
た、いわゆる重層塗布型の磁気記録媒体が提案されてい
る。この重層塗布型の磁気記録媒体では、極薄の磁性層
を良好な表面性をもって形成することができ、特に、短
波長領域において優れた電磁変換特性が得られることに
なる。
【0007】しかしながら、このような重層塗布型の磁
気記録媒体においては、前記非磁性層の表面性の制御の
ために含有するフィラー(例えば、炭酸カルシウム、カ
ーボンブラック等の非磁性粉末)が非磁性であるために
分散性の向上には限界があり、この非磁性粉末が凝集す
ることによって、前記磁性層の表面が粗い状態になるこ
とがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一般に、磁気記録媒体
は、例えばポリエステルフィルムなどの支持体上に、磁
性粉末、結合剤樹脂、有機溶剤等を混合、分散して調製
した磁性塗料を塗布、乾燥して作製されており、磁性塗
料を塗布した後、乾燥処理を施す前に、配向磁界を印加
して、磁性粉末、ひいては磁性層を配向させて記録再生
特性を向上させることが行われている。
【0009】また、前記重層塗布型の磁気記録媒体にお
いて、下層に磁性材料を含有させて、即ち、上層及び下
層共に磁性材料を用いて、高密度記録に優れた重層塗布
型の磁気記録媒体を形成することが知られている。この
場合、磁気ヘッドにより磁性層全体が磁化され、例え
ば、上層で短波長領域の信号を記録し、下層で長波長領
域の信号を記録する等のように、記録再生信号を上下両
磁性層で記録することになる。
【0010】しかしながら、例えば、長波長領域の信号
帯を必要としない記録媒体の場合、記録された信号を再
生する際に、下層に蓄えられた磁化を磁気ヘッドで拾
い、これがノイズとなることがあり、磁気記録媒体のC
/N(搬送波対雑音比)が低下することがある。
【0011】即ち、このような重層塗布型の磁気記録媒
体において、通常、上層及び下層を同じ磁界を使用して
配向させているために、上層、下層共に同じ出力ピーク
を持つことになる。そのため、上下両層に同方向の磁化
容易軸を持たせた場合、下層から受けるノイズが最大に
なるために、上層の記録信号の再生において、媒体の電
磁変換特性(特に、C/N)を下げることになる。
【0012】特に、短波長特性に優れ、デジタル記録に
適した磁気記録媒体では、磁性層全厚に占める下層の割
合が大きくなるために、電磁変換特性などの劣化が著し
いものとなる。
【0013】本発明は、上述した従来の実情に鑑みてな
されたものであり、その目的は、第1磁性層(以下、下
層と称することがある。)上に第2磁性層(以下、上層
と称することがある。)が積層して設けられている重層
塗布型の磁気記録媒体において、表面性に優れ、かつ、
C/Nや再生出力などの電磁変換特性に優れた磁気記録
媒体及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した課
題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、前記第1磁性
層に特定の保磁力及び比表面積を有する磁性粉末を含有
させ、この第1磁性層の磁化容易軸方向を特定方向に配
向することによって、表面性に優れ、かつ、第2磁性層
の記録再生特性に対する影響がほとんどなく、即ち、第
1磁性層からのノイズを最小限に抑えられた磁気記録媒
体が得られることを見出した。
【0015】即ち、本発明は、第1磁性層上に第2磁性
層が積層して設けられている重層塗布型の磁気記録媒体
において、保磁力48kA/m以下、比表面積35m2
/g以上の磁性粉末が前記第1磁性層に配されており、
かつ、前記第1磁性層の磁化容易軸方向が、前記第2磁
性層の磁化容易軸方向と異なり、前記第2磁性層の面に
沿う面内において媒体走行方向に対して85度〜95度
の範囲内にあることを特徴とする磁気記録媒体(以下、
本発明の磁気記録媒体と称する。)に係るものである。
【0016】本発明の磁気記録媒体によれば、前記第1
磁性層における磁性粉末が、保磁力48kA/m以下、
比表面積35m2 /g以上であって、この第1磁性層の
磁化容易軸方向が、前記第2磁性層の磁化容易軸方向と
異なり、かつ、前記第2磁性層の面に沿う面内において
媒体走行方向に対して85度〜95度の範囲内としてい
るので、前記第1磁性層の表面性(更には、第2磁性層
の表面性)を向上させると同時に、前記第2磁性層の記
録再生特性に対する前記第1磁性層による悪影響がほと
んどない。従って、表面性に優れ、かつ、C/Nや再生
出力などの電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を得るこ
とができる。
【0017】即ち、前記第1磁性層に含有する磁性粉末
の比表面積が比較的大きく、かつ、その保磁力が比較的
小さいために、その凝集を抑制して分散性を向上させる
ことができ、表面性の良好な第1磁性層、更には表面性
の良好な第2磁性層を得ることができる。さらに、前記
第1磁性層における磁化容易軸の方向が、前記第2磁性
層の磁化容易軸方向と異なり、かつ、前記第2磁性層の
面に沿う面内において媒体走行方向に対して85度〜9
5度の範囲内としているので、前記第2磁性層の記録再
生特性に対する前記第1磁性層による悪影響がほとんど
なく、即ち、前記第1磁性層からのノイズがほとんど発
生せず、従って、C/N等の電磁変換特性に優れ、高密
度記録(特にデジタル記録)に好適な磁気記録媒体を得
ることができる。
【0018】特に、本発明の磁気記録媒体は、記録波長
として長波長領域の波長を必要とせず、短波長領域の波
長を主として使用するフォーマットで用いられる磁気記
録媒体(例えば、デジタル信号記録用)に好適な磁気記
録媒体を構成できる。
【0019】なお、上記「磁化容易軸方向」とは、磁性
層における実質的な磁化容易軸の方向であって、これと
実質的に同方向にこの磁性層中の磁性粉末が磁化容易軸
を有するように配向していることを意味し、他の方向に
磁化容易軸を有する磁性粉末が一部存在していることを
排除するものではない。また、上記「媒体走行方向」と
は、特に、媒体原反を作製する際、即ち、非磁性支持体
上に磁性塗料を塗布する際に、前記非磁性支持体を走行
(搬送)していく方向であり、長尺状の媒体(又は媒体
原反)の場合はその長手方向と言うこともできる。
【0020】また、本発明は、本発明の磁気記録媒体を
再現性良く製造する方法として、第1磁性層上に第2磁
性層が積層して設けられている重層塗布型の磁気記録媒
体を製造するに際し、保磁力48kA/m以下、比表面
積35m2 /g以上の磁性粉末を含む第1磁性塗料を非
磁性支持体上に塗布して第1磁性塗膜を形成する工程
と、前記第1磁性塗膜の磁化容易軸方向が、前記第2磁
性層の磁化容易軸方向とは異なり、かつ、前記第2磁性
層の面に沿う面内において媒体走行方向に対して85度
〜95度の範囲内となるように配向処理を施す工程と、
磁性粉末を含む第2磁性塗料を前記第1磁性塗膜上に塗
布して第2磁性塗膜を形成する工程とを有する磁気記録
媒体の製造方法(以下、本発明の製造方法と称する。)
も提供するものである。
【0021】本発明の製造方法によれば、上述した本発
明の磁気記録媒体を再現性良く製造することができ、特
に、前記第1磁性塗膜の形成後、前記第2磁性塗料の塗
布前に、前記第1磁性層に配向処理を施す工程を有して
おり、前記第1磁性層(下層)と前記第2磁性層(上
層)との配向方向(即ち、磁化容易軸方向)を互いに異
なった方向に配向処理することができ、なおかつ、前記
第1磁性層の磁化容易軸方向が前記第2磁性層の面に沿
う面内において媒体走行方向に対して85度〜95度の
範囲内となるように配向させることができる。
【0022】ここで、前記第1磁性層の配向処理後に
は、この第1磁性層を乾燥させてから前記第2磁性塗料
の塗布を行ってもよいし、前記第1磁性層が未乾燥又は
半乾燥状態のうち前記第2磁性塗料の塗布を行ってもよ
い。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明においては、前記第2磁性
層がその面方向に沿う(即ち、媒体走行方向に)磁化容
易軸を有している磁気記録媒体を構成することができ
る。但し、第2磁性層(上層)は、媒体走行方向に対
し、面内又は厚み方向で斜め配向、或いは垂直配向して
も構わない。
【0024】上述した構成を有する磁気記録媒体の一例
を図1を参照に説明する。但し、図1は、第1磁性層及
び第2磁性層共に、長軸方向に磁化容易軸(磁気異方
性)を有する針状の磁性粉末を用いた例である。
【0025】図1(A)及び(B)に示すように、非磁
性支持体3上には、第2磁性層の磁化容易軸方向とは異
なり、かつ、前記第2磁性層の面に沿う面内において媒
体走行方向(x方向)に対して85度〜95度の範囲内
となるような配向角度αを有する第1磁性層1が設けら
れており、この第1磁性層上には、ほぼ水平方向(即
ち、x方向)に磁化容易軸を有する第2磁性層(上層)
が積層されている。即ち、第1磁性層1には、媒体走行
方向に対してほぼ垂直方向(即ち、y方向)に磁化容易
軸を有する第1磁性粉末4が配されており、また、第2
磁性層2には、媒体走行方向(即ち、X方向)に磁化容
易軸を有する第2磁性粉末5が配されている。
【0026】また、図1(B)は、図1(A)に示した
磁気記録媒体を上面側から見た場合を模式的に示した平
面図である。
【0027】図1(B)に示すように、媒体走行方向
(媒体長手方向)をx、媒体幅方向(面内方向)をyと
する直交座標系において、第1磁性層1に含まれる第1
磁性粉末4は、実質的にx方向に磁化容易軸方向を有し
ており、また、第2磁性層2に含まれる第2磁性粉末
は、実質的にy方向に磁化容易軸方向を有している。こ
こで、媒体走行方向に対する第1磁性層の配向角度αは
85〜95度である。
【0028】なお、上述したように、第1磁性層1は媒
体走行方向(x方向)に対してほぼ垂直方向に磁化容易
軸を有しているが、このような方向に磁化容易軸を有さ
せるためには、即ち、図に示した方向に第1磁性粉末4
を配向させるためには、第2磁性塗料の塗布前に、例え
ば長軸方向に磁気異方性(磁化容易軸)を有する磁性粉
末を、前記媒体の幅方向から配向処理することによっ
て、図1(B)に示すような配向方向に磁性粉末を配向
させることができる。
【0029】ここで、第1磁性層の形成のための配向処
理における配向磁場は、第1磁性粉末4の保磁力が比較
的小さく、また、流動配向時の配向方向とは大きく異な
る方向に配向させるため、通常の磁場配向処理時に印加
する磁場よりは大きな磁場を印加することが望ましく、
また、第2磁性層の磁場配向処理時の印加磁場の影響を
受けないことが望ましい。
【0030】また、本発明においては、前記第2磁性層
の表面祖度Raは5nm以下であることが好ましい。
【0031】特に、高密度記録用の磁気記録媒体におい
ては、上層磁性層の表面が粗面化すると、磁性層表面と
磁気ヘッドとの間のスペーシングが増加してしまい、記
録波長が短波長化するほど、記録再生出力が減衰するこ
とがある。また、上層磁性層の表面粗さRaが5nmを
越えると、スペーシングロスやドロップアウトなどが多
発するため、磁性層表層の磁性粉末を十分に配向させて
も、その効果を十分に得ることが困難であり、特に短波
長領域での記録再生特性が優れた磁気記録媒体を得るこ
とが難しくなる。
【0032】このため、前記第2磁性層の表面祖度Ra
は5nm以下が好ましく、さらには4nm以下が好まし
い。一般に、比表面積の大きな磁性粉末は、そのサイズ
が比較的小さいので、この磁性粉末を含む磁性層の表面
性に影響を与えることが少ないが、比表面積の大きな磁
性粉末は凝集し易く、凝集すると表面性の劣化を生じた
り、再生時の雑音の増加を引き起こすことがある。これ
に対して、本発明においては、前記第1磁性層に用いる
磁性粉末の保磁力が48kA/m以下、比表面積が35
2 /g以上であって、保磁力が比較的小さく、そのサ
イズが小さいわりに分散性が良好であるため、さらに、
この磁性粉末を含む磁性塗料を磁場配向処理することに
よって、表面性の良好な第1磁性層を形成することがで
き、ひいては、第2磁性層の表面祖度Raを5nm以下
と小さくすることが十分に可能である。
【0033】また、第2磁性層の表面祖度Raを5nm
以下にするためには、上述した磁性粉末を用いた上で、
例えば、粒径の比較的大きなラッピングフィルム(研磨
剤をコーティングしたフィルム)を用いて、第2磁性層
の表面を研磨し、これを効率良く平滑化した後、さら
に、粒径が比較的小さなラッピングフィルムを用いて仕
上げ加工を行うといった手段を用いてもよい。磁性層表
面の研磨は、媒体原反の裁断(スリット)前に行っても
よいし、裁断後に行ってもよい。
【0034】本発明においては、前記第2磁性層(上
層)の厚みが1μm以下であることが好ましい。
【0035】磁性層を薄くすることによって、記録時の
自己減磁損失や再生時の厚み損失などを減少させ、電磁
変換特性(記録再生特性)を効果的に改善することがで
きる。なお、前記厚みは更に0.5μm以下とすること
も十分に可能である。
【0036】次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法の
一例を図2を参照に説明する。
【0037】図2においては、まず、巻き出しロール1
0に巻回されている非磁性支持体20をガイドローラ1
8で支持しながら、図中矢印D方向に順次送り出し、下
層用押し出しコーター12によって第1磁性塗料(第1
磁性層用磁性塗料)を非磁性支持体20上に塗布し、そ
の後、下層用配向装置13における配向磁界を通過させ
ることによって、第1磁性塗膜の磁化容易軸を、前記第
2磁性層の磁化容易軸方向と異なり、かつ、前記第2磁
性層の面に沿う面内において媒体走行方向〔図1(B)
におけるx軸方向〕に対してなす角が85度〜95度と
なるように配向処理(磁場配向処理)を行う。ここで、
配向装置13は、媒体走行方向に対して、配向角度が8
5〜95度の範囲内となるように配向磁界(磁場)を印
加できる装置であり、例えば、媒体の幅方向を挟み込む
ように配向用磁石を配することで、上記配向角度を有す
る磁性層を形成することができる。
【0038】次いで、第2磁性塗料(第2磁性層用磁性
塗料)を上層用押し出しコーター14を用いて塗布し、
その後、配向装置15を用いて、例えば、非磁性支持体
の搬送方向と同方向に、第2磁性塗膜の配向処理(磁場
配向処理)を行う。
【0039】次いで、乾燥機16で乾燥処理を施した
後、カレンダー装置17で鏡面化処理を施した磁気記録
媒体原反21を巻取りロール11に巻き取る。
【0040】なお、上記各磁性塗料の塗布方法に関して
は、上述した押し出しコーターに限らず、リバースロー
ラー、ドクターブレードなどいずれの塗布方式を用いて
もよく、また、第1磁性層と第2磁性層とを積層して形
成する際には、これらの塗布方式を適宜組み合わせ、第
1磁性層(第1磁性塗膜)が半乾燥状態または乾燥状態
のうちに第2磁性層(第2磁性塗膜)を積層する、ウエ
ット・オン・ドライ等の積層塗布方式を用いてもよい。
さらに、前記第1磁性塗料は、フィラーとして磁性粉末
を使用しているので、非磁性支持体に関してダイコータ
とは反対側に磁石を配して、即ち、磁場の作用を利用し
て、第1磁性塗膜を形成することができる。
【0041】さらに、磁性層(即ち、磁性粉末)の配向
処理(磁場配向処理)は、永久磁石、ソレノイドコイ
ル、ヨーク、遮磁材料を任意に組み合わせて行うことが
でき、これらの手法により発生させた配向磁界を用い、
上述した配向方向になるように磁性層の配向処理を行う
ことができる。
【0042】なお、本発明の製造方法によれば、前記第
2磁性塗膜を配向処理しなくても構わないが、この第2
の磁性塗膜は配向処理することが好ましく、前記第2磁
性塗膜の配向方向は、磁性層中の磁性粉末を長手方向
(即ち、非磁性支持体の搬送方向と同方向)、垂直方
向、或いは斜め方向など、任意の方向に配向することが
できる。
【0043】次に、本発明に基づき使用可能な磁気記録
媒体の構成材料などを簡単に説明する。
【0044】まず、第2磁性層(下層)は主として強磁
性粉末及び結合剤により構成されており、強磁性粉末と
しては、従来より使用されているものがいずれも使用可
能であって、酸化物磁性粉末でもよく、金属磁性粉末で
もよい。
【0045】前記酸化物磁性粉末としては、例えば、γ
−Fe2 3 、Co含有γ−Fe23 、Co被着γ−
Fe2 3 、CrO2 、またマグネタイトに代表される
フェライト類、即ち、Fe3 4 、Co含有Fe
3 4 、Co被着Fe3 4 等が挙げられる。
【0046】また、前記金属磁性粉末としては、例え
ば、Fe、Co等の金属粉末の他、Fe−Al系、Fe
−Al−Ni系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−C
o系、Fe−Al−Ca系、Fe−Ni系、Fe−Ni
−Co系、Fe−Ni−Si−Al−Mn系、Fe−N
i−Si−Al−Zn系、Fe−Al−Si系、Fe−
Ni−Zn系、Fe−Ni−Mn系、Fe−Ni−Si
系、Fe−Mn−Zn系、Fe−Co−Ni−P系、N
i−Co系等のように、Fe、Ni、Co等を主成分と
する合金粉末が挙げられる。
【0047】さらに、これらの金属磁性粉末は種々の特
性を改善する目的で、Al、Si、Ti、Cr、Mn、
Cu、Zn等の金属成分が添加されたものであってもよ
い。このうち、Fe系の磁性粉末は電気的特性に優れて
いる。また、耐蝕性及び分散性の点では、Fe−Al
系、Fe−Al−Ca系、Fe−Al−Ni系、Fe−
Al−Zn系、Fe−Al−Co系、Fe−Ni−Si
−Al−Zn系、Fe−Ni−Si−Al−Mn系等の
Fe−Al系の合金粉末が好ましい。
【0048】これらの磁性粉末の形状は、平均長軸長が
0.5μm以下、好ましくは0.01〜0.4μm、更
に好ましくは0.01〜0.3μmであり、かつ、軸比
(平均長軸長/平均短軸長)が12以下、好ましくは1
0以下のものがよい。例えば、Fe−Al系強磁性金属
粉末(Fe:Al重量比=100:5)であって、平均
長軸長が0.16μm、保磁力Hcが1580Oe、飽
和磁化量σsが120emu/gのものが非常に優れた
特性を発揮する。なお、上記平均長軸長及び平均短軸長
は、透過型電子顕微鏡等による観察によって求めること
ができる。
【0049】また、板状であって板面に対して垂直方向
に磁化容易軸を有する磁性粉末を使用することも可能で
あり、このような磁化容易軸を有するフェライトとして
は、例えば、六方晶系フェライトが挙げられる。
【0050】六方晶系フェライトには、バリウムフェラ
イト、ストロンチウムフェライト等があり、鉄元素の一
部が他の元素(例えば、Ti、Co、Zn、In、M
n、Ge、Nbなど)で置換されていてもよい。なお、
六方晶系フェライトの中でも、とりわけバリウムフェラ
イトが好ましく、更にはFeの一部が少なくともCo及
びZnで置換されたバリウムフェライトであって、平均
粒径(六方晶系フェライトの板面の対角線の長さ)が3
00〜900Å、板状比(六方晶系フェライトの板面の
対角線の長さを板厚で除した値)が2.0〜10.0、
保磁力Hcが450〜1500Oeのものが好ましい。
【0051】また、第1磁性層(下層)に用いる磁性粉
末としても上記したような各種磁性粉末を使用できる
が、特に、酸化物磁性粉末が好ましく、例えば、γ−F
2 3 、Co含有γ−Fe2 3 、Fe3 4 、Co
含有Fe3 4 、Co被着Fe3 4 、CrO2 などが
挙げられる。
【0052】この際、第1磁性層に用いる磁性粉末は、
上述したように、保磁力Hcが48kA/m以下、比表
面積が35m2 /g以上であることが要求される。
【0053】次に、結合剤としては、ポリウレタン樹
脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル系共重合体等の塩化
ビニル系樹脂等が代表的である。
【0054】これら樹脂は、−SO3 M、−OSO
3 M、−COOM、−PO(OM’)2(但し、Mは水
素原子又はNa、K、Li等のアルカリ金属原子を表
し、M’は水素原子又はNa、K、Li等のアルカリ金
属原子、アルキル基を表す)及びスルホペタイン基から
選ばれた少なくとも一種の極性基を繰返し単位として含
有していることが好ましい。これら極性基は、強磁性粉
末の分散性を向上させる作用があり、含有率は0.1〜
8.0モル%、更には0.2〜6.0モル%であるのが
好ましい。極性基の含有率が0.1モル%未満である
と、磁性粉末の分散性が低下する。逆に含有率が8.0
モル%を超えていると、磁性塗料がゲル化し易くなる。
また、樹脂の重量平均分子量は、15,000〜50,
000の範囲であるのが好ましい。
【0055】また、その混合量は、第1磁性層、第2磁
性層においても、各層に含有される磁性粉末100重量
部に対して、8〜25重量部が適当であり、10〜20
重量部がさらに好ましい。
【0056】なお、極性基を含有する塩化ビニル系共重
合体は、例えば塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体
等の水酸基を有する共重合体と、極性基及び塩素原子を
有する化合物との付加反応により合成できる。
【0057】また、前記ポリエステル樹脂は、ポリオー
ルと多塩基酸との反応により合成することができる。な
お、他の極性基を導入したポリエステルも公知の方法で
合成することが可能である。
【0058】前記ポリウレタン樹脂は、ポリオールとポ
リイソシアネートとの反応により合成することができ
る。このポリオールとしては、ポリオールと多塩基酸と
の反応によって得られるポリエステルポリオールが一般
に使用される。なお、極性基を有するポリエステルポリ
オールを原料として用いれば、極性基を有するポリウレ
タンを合成することができる。
【0059】これらの樹脂は、一種類単独で用いてもよ
く、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、
ポリウレタン及び/又はポリエステルと、塩化ビニル系
樹脂とを混合して用いる場合、その重量比は90:10
〜10:90、好ましくは70:30〜30:70の範
囲であるのがよい。
【0060】更に、下記の樹脂を全結合剤の50重量%
以下の使用量で併用するようにしてもよい。
【0061】即ち、併用する樹脂としては、重量平均分
子量が10,000〜200,000である塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共
重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタ
ジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、
ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセル
ロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、フェノー
ル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェ
ノキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホ
ルムアミド樹脂、各種の合成ゴム系樹脂等が挙げられ
る。
【0062】また、第1磁性層及び第2磁性層には、媒
体の走行耐久性等を改善する目的で、通常この種の磁気
記録媒体で用いられる研磨剤、潤滑剤、硬化剤(耐久性
向上剤)、分散剤、帯電防止剤及び導電性微粉末等の添
加剤を添加してもよい。
【0063】研磨剤としては、例えば、溶融アルミナ、
炭化ケイ素、酸化クロム、コランダムなど、特開平4−
214218号公報等に記載されるような固体粉末が使
用できる。この研磨剤の平均粒子径は0.05μm〜
0.6μm、好ましくは0.05μm〜0.5μm、更
に好ましくは0.05μm〜0.3μmである。また、
この研磨剤の添加量は、磁性粉末100重量部に対して
3〜20重量部、好ましくは5〜15重量部、更に好ま
しくは5〜10重量部とするのが適当である。
【0064】潤滑剤としては、脂肪酸や脂肪酸エステル
等が単独あるいは混合して使用される。脂肪酸は、一塩
基酸であっても二塩基酸であってもよく、炭素数は6〜
30が好ましく、12〜22であるのがより好ましい。
【0065】これら脂肪酸や脂肪酸エステルの添加量
は、磁性粉末に対して0.2〜10重量%であるのが好
ましく、更には0.5〜5重量%であるのが好ましい。
脂肪酸の添加量が0.2重量%未満である場合には、媒
体の走行性が十分に改善されず、また、10重量%を超
えると、脂肪酸が磁性層の表面にしみ出したり、出力低
下が生じ易くなる。一方、脂肪酸エステルの添加量が
0.2重量%未満であると、特にスチル耐久性が不足す
る。また、10重量%を超えると、脂肪酸エステルが磁
性層の表面にしみ出したり、出力低下が生じ易くなる。
なお、脂肪酸と脂肪酸エステルとを併用する場合、脂肪
酸と脂肪酸エステルの比率は重量比で10:90〜9
0:10が好ましい。
【0066】また、上記脂肪酸、脂肪酸エステルと共
に、公知の潤滑剤を併用してもよい。併用する潤滑剤と
しては、シリコーンオイル、弗化カーボン、脂肪酸アミ
ド、オレフィンオキサイド等が挙げられる。
【0067】硬化剤(耐久性向上剤)には、ポリイソシ
アネート等が使用される。ポリイソシアネートとして
は、例えばトリレンジイソシアネート(TDI)と活性
水素化合物との付加体等の芳香族ポリイソシアネート
や、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)と活
性水素化合物との付加体等の脂肪族ポリイソシアネート
等がある。これらポリイソシアネートの重量平均分子量
は100〜3,000の範囲であることが望ましい。
【0068】分散剤としては、特開平4−214218
号公報に記載されるような化合物が使用できる。これら
の分散剤は、磁性粉末に対して0.5〜5重量%の範囲
で用いるのが適当である。
【0069】帯電防止剤としては、特開平4−2142
18号公報に記載されるような界面活性剤が使用でき
る。これらの帯電防止剤の添加量は、結合剤に対して
0.01〜40重量%の範囲とするのがよい。この他、
導電性微粉末を帯電防止剤として添加してもよい。この
導電性微粉末としては、例えばカーボンブラック、グラ
ファイト、酸化錫、銀粉、酸化銀、硝酸銀、銀の無機化
合物、銅粉等の金属粒子や、酸化亜鉛、硫酸バリウム、
酸化チタン等の金属酸化物等の顔料を、酸化錫被膜又は
アンチモン固溶酸化錫被膜等の導電性物質でコーティン
グ処理したものが挙げられる。これら導電性微粉末の平
均粒子径としては、5〜700nm、好ましくは5〜2
00nmであるのがよい。また、これら導電性微粉末の
添加量は、磁性粉末100重量部に対して1〜20重量
部、好ましくは2〜7重量部が適当である。
【0070】また、非磁性支持体としては、例えば、ポ
リエチレンテレフレート、ポリエチレン−2,6−ナフ
タレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリ
オレフィン類、セルローストリアセテート、セルロース
ダイアセテート等のセルロース誘導体、ポリアミド、ア
ラミド樹脂、ポリカーボネート等のプラスチック類等が
挙げられる。また、非磁性支持体は単層構造或いは多層
構造等であってもよい。また、例えば、コロナ放電処理
等の表面処理が施されていてもよい。
【0071】また、本発明の磁気記録媒体の形状は、例
えば、テープ状、フィルム状、シート状、カード状、デ
ィスク状、ドラム状など、磁気記録媒体として一般に用
いられている形状がいずれも採用可能である。
【0072】また、本発明の磁気記録媒体は、図3に示
すように、非磁性支持体3上に第1磁性層1と第2磁性
層2とが設けられた積層構造の磁気記録媒体であるが、
勿論、磁性層の数は2層構造以上であってもよい。
【0073】更に、第1磁性層と非磁性支持体との間に
下引き層を設けてもよいし、第2磁性層の表面にトップ
コート層を設けてもよく、さらに、非磁性支持体の磁性
層が設けられている側とは反対側に、バックコート層を
設けることもできる。
【0074】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例について説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0075】実施例1 <上層(第2磁性層)用磁性塗料組成> 強磁性金属粒子(Fe系)〔比表面積50m2 /g〕 100重量部 Al2 3 粉末(平均粒径0.3μm) 8重量部 結合剤 16重量部 ポリウレタン樹脂 (8重量部) 塩化ビニル系共重合体(U.C.C社製VAGH) (8重量部) ブチルステアレート 2重量部 ミリスチン酸 1重量部 メチルエチルケトン 150重量部 トルエン 90重量部
【0076】以上の組成成分を塗料分散機中に入れて十
分に混合、分散させた後、これに架橋剤(硬化剤)とし
て、結合剤樹脂組成成分に対して10重量%のポリイソ
シアネートを加え、均一分散状態となるように十分に混
合、攪拌して上層(第2磁性層)用磁性塗料を調製し
た。
【0077】 <下層(第1磁性層)用磁性塗料組成> Co含有酸化鉄 100重量部 〔比表面積35m2 /g、保磁力(Hc)48kA/m〕 Al2 3 粉末(平均粒径0.3μm) 8重量部 結合剤 16重量部 ポリウレタン樹脂 (8重量部) 塩化ビニル系共重合体(U.C.C社製VAGH) (8重量部) カーボンブラック 4重量部 ブチルステアレート 2重量部 ミリスチン酸 1重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 90重量部
【0078】以上の組成成分を塗料分散機中に入れて十
分に混合、分散させた後、これに架橋剤(硬化剤)とし
て、結合剤樹脂成分に対して10重量%のポリイソシア
ネートを加え、均一分散状態となるように十分に混合、
攪拌して下層(第1磁性層)用磁性塗料を調製した。
【0079】上述した上層用磁性塗料及び下層用磁性塗
料を用い、磁性層の乾燥後の塗布厚が2μm(上層0.
5μm、下層1.5μm)となるように押し出しコータ
ーを用いて厚さ7μmのポリエステルフィルムベース上
に塗布し、磁性層を形成した。但し、一連の製造工程
は、図2に示した装置を用いて行った。
【0080】即ち、図2に示すように、巻き出しロール
10に巻回されているフィルムベース20をガイドロー
ラ18で支持しながら順次送り出し、まず、押し出しコ
ーター12を用い、乾燥後の膜厚が1.5μmとなるよ
うに前記下層用磁性塗料をポリエステルフィルムベース
20上に塗布し、その後、下層配向用の配向装置13を
用いて、下層1の磁化容易軸方向がベース20の搬送方
向Dに対してなす角が90度となるように、即ち、図1
(B)において、第1磁性粉末4と第2磁性粉末5との
なす角(以下、面内方向の配向角と称することがあ
る。)が90度となるように磁場配向処理を行った。
【0081】次いで、前記上層用塗料を押し出しコータ
ー14を用いて塗布し、その後、配向装置15を用いて
上層2の磁化容易軸が水平方向に沿うように磁場配向処
理を行った。
【0082】次いで、乾燥機16で乾燥処理を施した
後、カレンダー装置17で鏡面化処理を施した磁気記録
媒体原反21を巻取りロール11に巻き取った。
【0083】これを更に、60℃の温度条件のもとで1
5時間硬化させた後、8mm幅に裁断(スリット)して
8mmビデオテープを作製した。
【0084】実施例2 実施例1にて調製したものと同じ上層用磁性塗料を使用
し、実施例1において使用した磁性粉末の代わりに、比
表面積40m2 /g、保磁力48kA/mのCo含有酸
化鉄を用いて、その他は実施例1と同様の工程を経てサ
ンプルテープを作製した。
【0085】実施例3 実施例1にて調製したものと同じ上層用磁性塗料を使用
し、実施例1において使用した磁性粉末の代わりに、比
表面積50m2 /g、保磁力48kA/mのCo含有酸
化鉄を用いて、その他は実施例1と同様の工程を経てサ
ンプルテープを作製した。
【0086】実施例4 実施例1にて調製したものと同じ上層用磁性塗料を使用
し、実施例1において使用した磁性粉末の代わりに、比
表面積35m2 /g、保磁力32kA/mのγ−酸化鉄
を用いて、その他は実施例1と同様の工程を経てサンプ
ルテープを作製した。
【0087】実施例5 実施例1にて調製したものと同じ上層用磁性塗料を使用
し、実施例1において使用した磁性粉末の代わりに、比
表面積40m2 /g、保磁力32kA/mのγ−酸化鉄
を用いて、その他は実施例1と同様の工程を経てサンプ
ルテープを作製した。
【0088】比較例1 実施例1にて調製したものと同じ上層用磁性塗料を使用
し、実施例1において使用した磁性粉末と同じ、比表面
積35m2 /g、保磁力48kA/mのCo含有酸化鉄
を用い、下層の配向を上層の配向方向と同方向に配向処
理した以外は、実施例1と同様の工程を経てサンプルテ
ープを作製した。
【0089】比較例2 実施例1にて調製したものと同じ上層用磁性塗料を使用
し、実施例1において使用した磁性粉末の代わりに、比
表面積50m2 /g、保磁力48kA/mのCo含有酸
化鉄を用い、下層の配向を上層の配向方向と同方向に配
向処理した以外は、実施例1と同様の工程を経てサンプ
ルテープを作製した。
【0090】比較例3 実施例1にて調製したものと同じの上層用磁性塗料を使
用し、実施例1において使用した磁性粉末と同じ、比表
面積35m2 /g、保磁力48kA/mのCo含有酸化
鉄を用い、下層の配向処理工程を行わない以外は、実施
例1と同様の工程を経てサンプルテープを作製した。
【0091】比較例4 実施例1にて調製したものと同じの上層用磁性塗料を使
用し、実施例1において使用した磁性粉末の代わりに、
比表面積50m2 /g、保磁力48kA/mのCo含有
酸化鉄を用い、下層の配向処理工程を行わない以外は、
実施例1と同様の工程を経てサンプルテープを作製し
た。
【0092】比較例5 実施例1にて調製したものと同じ上層用磁性塗料を使用
し、実施例1において使用した磁性粉末の代わりに、比
表面積35m2 /g、保磁力72kA/mのCo含有酸
化鉄を用い、その他は実施例1と同様の工程を経てサン
プルテープを作製した。
【0093】比較例6 実施例1にて調製したものと同じ上層用磁性塗料を使用
し、実施例1において使用した磁性粉末の代わりに、比
表面積50m2 /g、保磁力72kA/mのCo含有酸
化鉄を用い、その他は実施例1と同様の工程を経てサン
プルテープを作製した。
【0094】比較例7 実施例1にて調製したものと同じ上層用磁性塗料を使用
し、実施例1において使用した磁性粉末の代わりに、比
表面積30m2 /g、保磁力48kA/mのCo含有酸
化鉄を用い、その他は実施例1と同様の工程を経てサン
プルテープを作製した。
【0095】比較例8 実施例1にて調製したものと同じ上層用磁性塗料を使用
し、実施例1において使用した磁性粉末の代わりに、比
表面積20m2 /g、保磁力32kA/mのCo含有酸
化鉄を用い、その他は実施例1と同様の工程を経てサン
プルテープを作製した。
【0096】比較例9 実施例1にて調製したものと同じ上層用磁性塗料を使用
し、この上層用磁性塗料のみを単層で乾燥後の厚みが2
μmとなるように塗布し、その他は実施例1と同様の工
程を経てサンプルテープを作製した。
【0097】上述した実施例1〜5及び比較例1〜9の
サンプルテープについて、電磁変換特性(再生出力)、
C/N(搬送波と雑音との比:CN比)、および磁性層
の表面粗さRaを測定した。
【0098】但し、電磁変換特性(再生出力)は、ドラ
ム式テスタを用い、記録波長(λ)が0.5μm及び
0.4μmの単一正弦波信号の記録再生出力(dB)を
測定した。また、C/Nについても、上記と同様のテス
タを用い、記録波長0.4μmの単一正弦波信号のC/
N(dB)を測定した。なお、これらの値は、比較例9
のサンプルテープを記録再生出力及びC/N測定のため
の標準テープとし、このテープの出力及びC/Nを0d
Bとして、それとの比を示したものである。
【0099】また、表面粗さRaは、光干渉式3次元表
面形状測定装置(ZYGO)を用いて測定したものであ
る。
【0100】また、これらの測定結果を下記の表1A及
び表1Bに示す。また、図3に下層の面内方向の配向角
による再生出力(記録波長λ=0.4μm)及びC/N
の値をプロットしたグラフ、図4に保磁力Hcによる再
生出力(記録波長λ=0.4μm)及びC/Nの値をプ
ロットしたグラフ、図6に比表面積による再生出力(記
録波長λ=0.4μm)及びC/Nの値をプロットした
グラフを示した。
【0101】 *配向角度:支持体の搬送方向に対する第1磁性層中の面内方向の磁性粉末の 配向方向
【0102】 *配向角度:支持体の搬送方向に対する第1磁性層中の面内方向の磁性粉末の 配向方向
【0103】<評価>表1A、表1B及び図4〜図6か
らわかるように、本実施例のサンプルテープは、再生出
力(記録波長λ=0.4μm、λ=0.5μm)に関し
て、比較例とほぼ同等の性能を示しており、また、C/
Nに関しては、比較例に比べてかなり優れた性能を示し
ている。
【0104】これは、下層に含有されている磁性粉末が
前記記録波長では、ほとんど磁化されず、下層から発生
するノイズが十分に抑制されているためC/Nを大きく
向上できたと考えられる。
【0105】さらに、本実施例のサンプルテープは、表
面性にも優れており、表面性が優れると、例えば、ドロ
ップアウトが減少する等、電磁変換特性に優れた磁気テ
ープとなり得る。
【0106】また、例えば、下層の面内方向の配向角度
による再生出力及びC/Nの変化を示すグラフ(図4)
から、下層の配向角度が、媒体走行方向に対して、85
度〜95度の範囲内にある本実施例のサンプルテープ
は、前記配向角度が上記範囲外にある比較例のサンプル
テープに比べて、特に、C/Nが優れており、ノイズ特
性に優れた磁気記録媒体であると言える。
【0107】また、下層に使用する磁性粉末の保磁力H
cによる再生出力及びC/Nの変化を示すグラフ(図
5)から、保磁力Hcが48kA/m以下の磁性粉末が
配された本実施例のサンプルテープは、再生出力や表面
性(表面祖度)に関しては、比較例のサンプルテープと
ほぼ同等であるが、C/Nに関しては、非常に優れた値
が得られており、ノイズ特性に優れた磁気記録媒体であ
ることが分かる。
【0108】さらに、下層に使用する磁性粉末の比表面
積による再生出力及びC/Nの変化を示すグラフ(図
6)から、比表面積が35m2 /g以上の磁性粉末が配
された本実施例のサンプルテープは、再生出力及びC/
N共に優れた値が得られており、比較例であって比表面
積が前記範囲未満のサンプルテープは、再生出力、C/
Nが大きく劣化していると同時に、表面性も損なわれて
いることが分かる。
【0109】また、本実施例のサンプルテープは、下層
における磁性粉末の比表面積及び保磁力が上述した所定
の範囲内にあるので、表面祖度Raが小さく、表面性の
良好な磁気記録媒体である。このため、ドロップアウト
が減少する等、電磁変換特性に優れたサンプルテープで
あると考えられる。
【0110】
【発明の作用効果】本発明の磁気記録媒体によれば、前
記第1磁性層における磁性粉末が、保磁力48kA/m
以下、比表面積35m2 /g以上であって、この第1磁
性層の磁化容易軸方向が、前記第2磁性層の磁化容易軸
方向と異なり、かつ、前記第2磁性層の面に沿う面内に
おいて媒体走行方向に対して85度〜95度の範囲内と
しており、前記第1磁性層に含有する磁性粉末の比表面
積が比較的大きく、かつ、その保磁力が比較的小さいた
めに、その凝集を抑制して分散性を向上させることがで
き、表面性の良好な第1磁性層、更には表面性の良好な
第2磁性層を得ることができると同時に、前記第1磁性
層からの前記第2磁性層に対する記録再生特性の影響が
ほとんどなく、即ち、信号のロスが少なく、前記第1磁
性層からのノイズがほとんど発生せず、C/N等の電磁
変換特性に優れ、特に、高密度記録(デジタル記録)に
好適な磁気記録媒体を得ることができる。
【0111】また、本発明の製造方法によれば、本発明
の磁気記録媒体を再現性良く製造できると同時に、前記
第1磁性層の磁化容易軸方向を前述した所定の方向に設
定することができ、また、第2磁性層の磁化容易軸方向
を任意の方向に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一例の長さ方向に沿う
要部概略断面図(A)、同磁気記録媒体を上面側から見
た場合を模式的に示した上面図(B)である。
【図2】本発明の製造方法に使用できる製造フローの一
例のフロー図である。
【図3】本発明の磁気記録媒体の一例の要部断面図であ
る。
【図4】第1磁性層(下層)においての配向角度による
再生出力及びC/Nの変化を示すグラフである。
【図5】同、比表面積による再生出力及びC/Nの変化
を示すグラフである。
【図6】同、保磁力Hcによる再生出力及びC/Nの変
化を示すグラフである。
【符号の説明】
1…第1磁性層(下層)、2…第2磁性層(上層)、3
…非磁性支持体、4、5…磁性粉末、6…磁気記録媒
体、10…巻き出しロール、11…巻取りロール、1
2、14…押し出しコーター、13、15…配向装置、
16…乾燥機、17…カレンダー装置、18…ガイドロ
ーラ、20…非磁性支持体、21…磁気記録媒体原反

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1磁性層上に第2磁性層が積層して設
    けられている重層塗布型の磁気記録媒体において、保磁
    力48kA/m以下、比表面積35m2 /g以上の磁性
    粉末が前記第1磁性層に配されており、前記第1磁性層
    の磁化容易軸方向が、 前記第2磁性層の磁化容易軸方向と異なり、 前記第2磁性層の面に沿う面内において媒体走行方向に
    対して85度〜95度の範囲内にあることを特徴とする
    磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記第2磁性層が、媒体走行方向に磁化
    容易軸を有している、請求項1に記載した磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 前記第2磁性層の表面祖度Raが5nm
    以下である、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記第2磁性層の厚みが1μm以下であ
    る、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 第1磁性層上に第2磁性層が積層して設
    けられている重層塗布型の磁気記録媒体を製造するに際
    し、 保磁力48kA/m以下、比表面積35m2 /g以上の
    磁性粉末を含む第1磁性塗料を非磁性支持体上に塗布し
    て第1磁性塗膜を形成する工程と、 前記第1磁性塗膜の磁化容易軸方向が、前記第2磁性層
    の磁化容易軸方向とは異なり、かつ、前記第2磁性層の
    面に沿う面内において媒体走行方向に対して85度〜9
    5度の範囲内となるように配向処理を施す工程と、 磁性粉末を含む第2磁性塗料を前記第1磁性塗膜上に塗
    布して第2磁性塗膜を形成する工程とを有する磁気記録
    媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第2の磁性塗膜に配向処理を施す、
    請求項5に記載した磁気記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第2磁性層が、媒体走行方向に磁化
    容易軸を有するように前記配向処理を施す、請求項6に
    記載した磁気記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第2磁性層の表面祖度Raを5nm
    以下とする、請求項5に記載した磁気記録媒体の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記第2磁性層の厚みを1μm以下とす
    る、請求項5に記載した磁気記録媒体の製造方法。
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