JP2007265547A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】裏写りが少なく、かつヘッド当たりが良好な高い電磁変換特性と優れた走行耐久性を兼ね備えた高密度記録用の磁気記録媒体を提供すること。
【解決手段】非磁性支持体の一方の面上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と強磁性粉末および結合剤を含む磁性層とをこの順に有し、かつ他方の面上にカーボンブラックおよび結合剤を含むバックコート層を有する磁気記録媒体。前記バックコート層は、温度80℃および荷重6mgfで20〜40kg/mm2(196〜392MPa)の範囲であって前記磁性層の超微小押し込み硬度よりも小さい超微小押し込み硬度を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁気記録媒体に関するものであり、より詳しくは、コンピューターデータを記録するための外部記録媒体として好適な磁気記録媒体に関するものである。
近年、高密度記録へのニーズが高まり、高い電磁変換特性を有する磁気記録媒体が求められている。またデータを繰り返し使用し、保存した時の信頼性も同時に要求される。従って、高密度記録用磁気記録媒体には、優れた電磁変換特性に加え、良好な走行耐久性も要求されている。
更に、近年のコンピュータデータストレージ用テープにおいては、高容量化のためにテープ厚みを薄くすることが必要となっている。しかしながら、薄手化されたテープでは、テープ巻面の不整(飛び出し)が発生して巻き姿が悪くなり、飛び出し部のテープエッジが折れたり、シンチングやスポーキングと呼ばれるテープ変形が生じる。このようなテープ変形も、エラーレート増加の原因となる。
また、薄手化されたテープでは、磁性層表面とヘッドの接触が不安定となってヘッド当たりが悪くなる。このようなヘッド当たりの悪化により、磁性層のより浅い凹みもドロップアウトを引き起こし、結果的にエラーレートの増加につながる。この傾向は、特に、高面記録密度(短記録波長、狭トラック)の状態で顕著となる。
走行耐久性を改善するために、バックコート層に粒径0.2μm以上の粗粒子のカーボンブラックを添加したり、ベース表面に突起を設けることにより、バックコート層表面に突起を形成させる試みが行われている。しかしながら、このような方法でバックコート層の突起を形成すると、製造過程でロール状態で磁気記録媒体を保存したり、製品化後磁気テープをリールハブに巻いた状態で保存すると、バックコート層突起が磁性層表面に転写し、微小な凹みを形成する、いわゆる「裏写り」が発生する。この結果、電磁変換特性が劣化してしまうばかりでなく、微小なドロップアウトが増加し、エラーレートを増加させるという欠点があった。
このような「裏写り」の問題を解消するために、バックコート層の表面を平滑化する試みがなされている(特許文献1参照)。しかし、バックコート層の平滑性の向上により裏写りが減少する反面、バックコートが平滑になることで巻姿が悪くなり、保存後にエラーが増加するという問題があった。また、磁性層表面の硬さを上げて裏写りを抑制する試みもされているが、ヘッド当たりが悪化し、エラー増加につながっていた。
また、特許文献2には、磁性層の走行耐久性とヘッド当たりの両立を目的として、磁性層の塑性変形量と押し込み硬さを規定した磁気記録媒体が開示されている。しかし、更に高密度化された磁気記録媒体では、より良好なヘッド当たりの確保が求められていた。一方、ヘッド当たりの確保のために磁性層を柔軟にすると、磁性層の凹みに起因するドロップアウトが増加するという問題もあった。
特開平11−259851号公報 特開2002−237024号公報
かかる状況下、本発明は、裏写りが少なく、かつヘッド当たりが良好な高い電磁変換特性と優れた走行耐久性を兼ね備えた高密度記録用の磁気記録媒体を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
上記裏写りは、磁気記録媒体をロール状に巻き上げて保存や処理を行うときにバックコート層と磁性層が圧接することにより発生する。特にカレンダー処理後の熱処理(サーモ処理)時や高温保存時にはバルク芯側が外側よりも巻き締まるためテンションがアップし、裏写りが発生し易い状況にある。
前述のように、従来、磁性層の硬度を高めて裏写りを防止することが提案されてきたが、その硬度は室温での測定値であって、上記サーモ処理のように高温での媒体の状態は何ら考慮されていなかった。それに対し、本発明者らは検討を重ね、高温下での超微小押し込み硬度を測定する手段を新たに開発し、これにより高温下での媒体の状態を評価することを可能にした。この新規測定法により評価したところ、高温下での軟化の程度が磁性層よりもバックコート層の方が大きい媒体にすれば、バック面写りが少なく、良好な磁性面の面性が得られることが新たに見出された。本発明は、以上の知見に基づき完成された。
即ち、上記目的を達成する手段は、以下の通りである。
[1] 非磁性支持体の一方の面上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と強磁性粉末および結合剤を含む磁性層とをこの順に有し、かつ他方の面上にカーボンブラックおよび結合剤を含むバックコート層を有する磁気記録媒体であって、
前記バックコート層は、温度80℃および荷重6mgfで20〜40kg/mm2(196〜392MPa)の範囲であって前記磁性層の超微小押し込み硬度よりも小さい超微小押し込み硬度を有することを特徴とする磁気記録媒体。
[2] 前記バックコート層の温度80℃および荷重6mgfでの超微小押し込み硬度は、20〜30kg/mm2(196〜294MPa)の範囲である、[1]に記載の磁気記録媒体。
[3] 前記バックコート層の温度80℃および荷重6mgfでの超微小押し込み硬度は、前記磁性層の温度80℃および荷重6mgfでの超微小押し込み硬度より5kg/mm2(49MPa)以上大きい、[1]または[2]に記載の磁気記録媒体。
[4] 前記磁性層は、温度80℃および荷重6mgfで30〜50kg/mm2(292〜490MPa)の範囲の超微小押し込み硬度を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[5] 前記磁性層は、温度80℃および荷重6mgfで40〜50kg/mm2(392〜490MPa)の範囲の超微小押し込み硬度を有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[6] 前記磁性層およびバックコート層は、温度33℃および荷重6mgfで50〜80kg/mm2(490〜784MPa)の範囲の超微小押し込み硬度を有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[7] 前記磁性層およびバックコート層は、温度33℃および荷重6mgfで55〜70kg/mm2(539〜686MPa)の範囲の超微小押し込み硬度を有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[8] 前記磁性層は、原子間力顕微鏡で測定した高さ20nm以上の突起数が10〜100個/900μm2の範囲であり、かつ中心線平均表面粗さRaが2〜5nmの範囲である、[1]〜[7]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[9] 前記バックコート層は、前記結合剤100質量部に対し、平均粒子径230〜300nmのカーボンブラックを2〜10質量部含有する、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
本発明によれば、バルクでの熱処理工程等での巻締まりによるバック面写りを低減することができるため、安定した走行耐久性に必要な粗粒子カ−ボンを減らすことなく、磁性面の平滑性を実現できる。これにより、ドロップアウトが低減されるため、良好なC/N特性を得ることができる。こうして本発明によれば、走行耐久性と良好な電気的特性を兼ね備えた磁気記録媒体を得ることができる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。

本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の一方の面上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と強磁性粉末および結合剤を含む磁性層とをこの順に有し、かつ他方の面上にカーボンブラックおよび結合剤を含むバックコート層を有する磁気記録媒体であって、前記バックコート層は、温度80℃および荷重6mgfで20〜40kg/mm2(196〜392MPa)の範囲であって前記磁性層の超微小押し込み硬度よりも小さい超微小押し込み硬度を有する。
上記のように、本発明の磁気記録媒体は、高温下においてバックコート層が適度な柔軟性を有し、しかも磁性層よりも軟らかい。これにより、サーモ処理時等、媒体が巻かれた状態で高温に晒され巻き締まったときに、バックコート層表面から突出した粒状成分がバックコート層側に沈み込むため、例えば走行耐久性確保のためにバックコート層に粗粒子カーボンブラックを適量添加した場合にも、磁性層側への裏写りを顕著に低減することができる。
前記超微小押し込み硬度(DH)は、測定環境80℃±2.5℃の条件下において、三角錐状で尖端部の曲率半径が100nm、刃角度が65°、稜間角が115°の形状を有するダイヤモンド圧子を、荷重を連続的に増加させて測定対象となる層表面に押込み荷重6mgfに達した時点で除荷したときの最大荷重6mgf(Pmax)と最大変位量(Hmax)から、以下の式(1)により求められる値である。
DH(kg/mm2)=3.7926×10-2{Pmax/(Hmax2} …(1)
本発明の磁気記録媒体において、バックコート層は、温度80℃および荷重6mgfで20〜40kg/mm2(196〜392MPa)の範囲であって前記磁性層の超微小押し込み硬度よりも小さい超微小押し込み硬度を有する。前記超微小押込み硬度が20kg/mm2未満では、バックコート層が過度に柔軟なため走行耐久性を確保することが困難となる。一方、前記超微小押込み硬度が40kg/mm2を超えると、バックコート層が硬いため、サーモ処理等で媒体が高温に晒される際に、バックコート層表面から突出した粒状成分がバックコート層側に沈み込まず、磁性層への裏写りが発生し電磁変換特性の劣化を引き起こす。前記の超微小押込み硬度は、好ましくは20〜30kg/mm2(196〜294MPa)の範囲である。
一方、温度80℃および荷重6mgfで測定される磁性層の超微小押込み硬度は、上記バックコート層の超微小押込み硬度よりも大きい。このように、高温下で磁性層がバックコート層よりも高硬度となるように磁性層とバックコート層の硬さのバランスを調整すれば、媒体が巻かれてバックコート層表面と磁性層表面が密着した状態で高温に晒されたときに、バックコート層表面から突出した粒状成分をバックコート層側に沈み込ませることができる。本発明では、このようにバックコート層にクッション性を持たせることにより、磁性層への裏写りを顕著に低減することができる。
上記観点から、前記磁性層とバックコート層の温度80℃および荷重6mgfでの超微小押込み硬度の差は、5kg/mm2(49MPa)以上であることが好ましく、12〜20kg/mm2(118〜196MPa)であることが更に好ましい。また、磁性層の温度80℃および荷重6mgfで測定される超微小押込み硬度は、例えば30〜50kg/mm2(292〜490MPa)、好ましくは40〜50kg/mm2(392〜490MPa)の範囲である。
また、電磁変換特性および走行耐久性確保のためには、磁性層およびバックコート層の走行時の温度における硬さも制御することが好ましい。走行時の温度において磁性層が柔軟すぎると磁気ヘッドとの高速摺動によりデブリ(粉落ち)が発生するおそれがあり、硬すぎるとヘッド当たりが劣化して出力低下の原因となる。また、走行時の温度においてバックコート層が柔軟すぎると走行耐久性が低下するおそれがあり、硬すぎるとバックコート層からの残渣が発生しやすくなりドロップアウトが増加するおそれがある。以上の観点から、前記磁性層およびバックコート層は、温度33℃および荷重6mgfで50〜80kg/mm2(490〜784MPa)の範囲の超微小押し込み硬度を有することが好ましい。より好ましくは、55〜70kg/mm2(539〜686MPa)の範囲である。上記超微小押込み硬度は、温度33℃±0.1℃において、先に記載した方法により求められる値である。
前記の磁性層およびバックコート層の温度33℃および80℃での超微小押込み硬度は、(1)磁性層およびバックコート層に使用する結合剤樹脂の種類と組み合わせ、(2)バックコート層の乾燥条件、(3)カレンダー条件、(4)バックコート層の厚さ、によって制御することができる。以下に、各制御方法の詳細を説明する。
(1)結合剤樹脂の種類と組み合わせ
磁性層とバックコート層とで異なる結合剤樹脂を使用する。これにより、両層の柔軟性を変えることができる。結合剤樹脂としてガラス転移温度(Tg)の高い樹脂を使用すれば層は硬くなるため、磁性層に使用する結合剤樹脂として、バックコート層に使用する結合剤樹脂よりも高Tgのものを使用することにより、バックコート層を磁性層より柔軟にすることができる。各層に使用する結合剤樹脂としては、例えば20〜150℃程度のガラス転移温度を有する樹脂を選択することが好ましい。上記ガラス転移温度が20℃未満では、磁性層表面やバックコート層表面が粘着質化する傾向があり、150℃を超えると硬度が高すぎて脆弱になる場合がある。
また、磁性層とバックコート層とで、使用する結合剤樹脂の組み合わせを変えることによっても、両層の柔軟性を変えることができる。例えば、磁性層にはポリウレタン樹脂と塩化ビニル系樹脂(重合体または共重合体)を使用し、バックコート層にはポリウレタン樹脂と繊維素系樹脂(例えばセルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース)を使用することにより、バックコート層を磁性層より柔軟にすることができる。また、磁性層に使用する硬化剤を増量することによって磁性層の硬度を高めることもできる。
例えば、磁性層については、磁性層中の塩化ビニル系樹脂の添加量をa、そのガラス温度をTg1、ポリウレタン樹脂の添加量をb、そのガラス転移温度をTg2、硬化剤の添加量をc、そのガラス転移温度をTg3とすると、磁性層のガラス転移温度Tgmagは、(Tg1×a+Tg2×b+Tg3×c)/(a+b+c)として算出される値に近似できる。本発明では、上記のように算出される磁性層のガラス転移温度が、例えば75〜89℃、好ましくは84〜87℃となるように磁性層に使用する樹脂の組み合わせおよび添加量を決定することができる。
また、バックコート層についても同様に、バックコート層中のニトロセルロース樹脂の添加量をd、そのガラス転移温度をTg4、ポリウレタン樹脂の添加量をe、そのガラス転移温度をTg5、硬化剤の添加量をf、そのガラス転移温度をTg6とすると、バックコート層のガラス転移温度Tgbackは、Tg=(Tg4×d+Tg5×e+Tg6×f)/(d+e+f)として算出される値に近似できる。本発明では、上記のように算出されるバックコート層のガラス転移温度が、例えば59〜120℃、好ましくは59〜88℃となるようにバックコート層に使用する樹脂の組み合わせおよび添加量を決定することができる。具体的には、例えば、バックコート層に結合剤として、ニトロセルロース樹脂、ポリウレタン樹脂、およびポリイソシアネートを使用する場合は、全結合剤中に、ニトロセルロ−ス樹脂が10〜41質量%(更に好ましくは13〜28質量%)、ポリウレタン樹脂が43〜109質量%(更に好ましくは78〜109質量%)、ポリイソシアネ−トが13〜48質量%(更に好ましくは13〜30質量%)の範囲の量で含まれるように用いることが好ましい。上記の割合で各成分を使用することにより、室温下では磁性層と同等の硬度を示すにもかかわらず、高温での軟化の程度が磁性層よりも格段に大きいバックコート層を得ることができる。
(2)バックコート層の乾燥条件
バックコート層の乾燥工程において、乾燥温度を高めて急激に乾燥させるほど溶剤が揮発しやすく、比較的低温で徐々に乾燥させるほど溶剤が残留しやすい。バックコート層中の残留溶剤が多いほどバックコート層は柔軟になるため、バックコート層中に溶剤が適量残留するように乾燥処理を行うことが好ましい。バックコート層中の残留溶剤量は、好ましくは0.2〜1.5mg/m2、より好ましくは0.8〜1.2mg/m2である。一般に乾燥工程では、バックコート層塗布後の支持体が搬送される雰囲気温度を段階的に昇温することによって乾燥処理が行われる。本発明では、例えば、温度70〜90℃程度の雰囲気を通過させた後、100〜105℃程度の雰囲気を通過させることにより比較的残留溶剤量の多いバックコート層を得ることができる。
(3)カレンダー条件
カレンダー条件を強化するほど磁性層の硬度を高めることができる。カレンダーロールとしては、耐熱性プラスチックロールのような弾性ロールまたは金属ロールがあり金属ロールを使用する方が層は硬くなる。よって、適度な柔軟性を得るためには、弾性ロールまたは弾性ロールと金属ロールの組み合わせを使用することが好ましい。また、カレンダー温度、線圧および搬送速度を高めるほど層は硬くなるため、使用するカレンダーロールに応じて上記各条件を設定することが好ましい。
(4)バックコート層の厚さ
バックコート層が厚いほど残留溶剤量が多くなり柔軟になり、またクッション性も高まる。バックコート層の厚さは、好ましくは0.3〜1.6μm、より好ましくは0.4〜0.8μmである。
本発明では、上記制御方法を適宜組合わせることにより、温度33℃および80℃での磁性層およびバックコート層の超微小押込み硬度を所望の範囲とすることができる。
次に、本発明の磁気記録媒体における磁性層、非磁性層、非磁性支持体、バックコート層の詳細を説明する。
[非磁性層]
本発明の磁気記録媒体が有する非磁性層は、非磁性粉末および結合剤を含む層である。この非磁性層は、その上の磁性層の電磁変換特性に影響を与えないように実質的に非磁性であることが必要であるが、磁性層の電磁変換特性に影響を与えない程度に少量の磁性粉末が含有されていても構わない。
前記非磁性粉末としては、例えば、非磁性無機粉末、カーボンブラックを挙げることができる。非磁性無機粉末は、比較的硬いものが好ましく、モース硬度が5以上(更に好ましくは、6以上)のものが好ましい。非磁性無機粉末の例としては、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、二酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムおよび硫酸バリウムを挙げることができる。これらは単独でまたは組合せて使用することができる。これらの中では、酸化チタン、α−アルミナ、α−酸化鉄、または酸化クロムが好ましい。非磁性無機粉末の平均粒子径は、0.01〜1.0μm(好ましくは0.01〜0.5μm、特に好ましくは0.02〜0.1μm)の範囲にあることが好ましい。なお、非磁性粉末中3〜25質量%(好ましくは、3〜20質量%)は、モース硬度が5以上(好ましくは、6以上)の所謂研磨剤として機能し得るものを使用することが好ましい。
非磁性層には、非磁性無機粉末に加えて、磁性層に導電性を付与して帯電を防止すると共に、非磁性層上に形成される磁性層の平滑な表面性を確保する目的でカーボンブラックを添加することができる。非磁性層に使用されるカーボンブラックは、その平均粒子径が35nm以下(更に好ましくは、10〜35nm)であることが好ましい。またその比表面積は5〜500m2/g(更に好ましくは、50〜300m2/g)であることが好ましい。DBP吸油量は10〜1000mL/100g(更に好ましくは、50〜300mL/100g)の範囲にあることが好ましい。また、pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、そしてタップ密度は0.1〜1g/ccであることが好ましい。
カーボンブラックとしては、様々な製法で得たものが使用できる。これらの例としては、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックおよびランプブラックを挙げることができる。カーボンブラックの具体的な商品例としては、BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800、700、VULCAN XC−72(以上、キャボット社製)、#35、#50、#55、#60および#80(以上、旭カ−ボン(株)製)、#3950B、#3750B、#3250B、#2400B、#2300B、#1000、#900、#40、#30、および#10B(以上、三菱化学(株)製)、CONDUCTEX SC、RAVEN、150、50、40、15(以上、コロンビアンカーボン社製)、ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックECDJ−500およびケッチェンブラックECDJ−600(以上、ライオンアクゾ(株)製)を挙げることができる。
非磁性層におけるカーボンブラックの添加量は、全非磁性無機粉末100質量部に対して例えば3〜25質量部であり、好ましくは4〜20質量部、更に好ましくは5〜15質量部である。
非磁性層に使用される結合剤としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を挙げることができる。熱可塑性樹脂の例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、およびビニルエーテルを構成単位として含む重合体または共重合体を挙げることができる。共重合体としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、メタアクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、メタアクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタアクリル酸エステル−スチレン共重合体、塩ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、クロロビニルエーテル−アクリル酸エステル共重合体を挙げることができる。
上記の他に、ポリアミド樹脂、繊維素系樹脂(セルロースアセテートブチレート、セルロースジアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロースなど)、ポリ弗化ビニル、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂なども利用することができる。
また熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とポリイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物を挙げることができる。
上記ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどのイソシアネート類、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、およびイソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネートを挙げることができる。
上記ポリウレタン樹脂は、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、およびポリカプロラクトンポリウレタンなどの構造を有する公知のものが使用できる。
本発明において、非磁性層に使用する結合剤は、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、およびニトロセルロースの中から選ばれる少なくとも1種の樹脂と、ポリウレタン樹脂との組合せ、またはこれらに更に硬化剤としてのポリイソシアネートを組み合わせて構成することが好ましい。
結合剤としては、より優れた分散性と得られる層の耐久性を高めるために必要に応じて、−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−O−P=O(OM)2(Mは水素原子、またはアルカリ金属を表わす。)、−OH、−NR2、−N+3(Rは炭化水素基を表わす。)、エポキシ基、−SH、−CNなどから選ばれる少なくともひとつの極性基を共重合または付加反応で導入したものを用いることが好ましい。このような極性基は、結合剤に10-1〜10-8モル/g(さらに好ましくは、10-2〜10-6モル/g)の量で導入されていることが好ましい。
非磁性層中の結合剤含有量は、非磁性粉末100質量部に対して、例えば5〜50質量部(好ましくは10〜30質量部)とすることができる。なお、非磁性層に結合剤として塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、およびポリイソシアネートを組み合わせて用いる場合は、全結合剤中に、塩化ビニル系樹脂が5〜70質量%、ポリウレタン樹脂が2〜50質量%、そしてポリイソシアネートが2〜50質量%の範囲の量で含まれるように用いることが好ましい。
前記非磁性層は潤滑剤を含むことができる。非磁性層中の潤滑剤は、磁性層表面ににじみ出すことによって、磁性表面と磁気ヘッド、ドライブのガイドポールとシリンダとの間の摩擦を緩和し、円滑に摺接状態を維持させる効果を発揮することができる。潤滑剤としては、例えば、脂肪酸および脂肪酸エステルを挙げることができる。脂肪酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、アラキン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、およびパルミトレイン酸等の脂肪族カルボン酸またはこれらの混合物を挙げることができる。
また脂肪酸エステルとしては、例えば、ブチルステアレート、sec−ブチルステアレート、イソプロピルステアレート、ブチルオレエート、アミルステアレート、3−メチルブチルステアレート、2−エチルヘキシルステアレート、2−ヘキシルデシルステアレート、ブチルパルミテート、2−エチルヘキシルミリステート、ブチルステアレートとブチルパルミテートの混合物、オレイルオレエート、ブトキシエチルステアレート、2−ブトキシ−1−プロピルステアレート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルをステアリン酸でアシル化したもの、ジエチレングリコールジパルミテート、ヘキサメチレンジオールをミリスチン酸でアシル化してジオールとしたもの、そしてグリセリンのオレエート等の種々のエステル化合物を挙げることができる。これらのものは、単独で、または組み合わせて使用することができる。非磁性層における潤滑剤の添加量は、全非磁性粉末100質量部に対して、例えば0.2〜20質量部の範囲とすることができる。
非磁性層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば0.5〜2.5μmとすることができる。好ましくは1.0〜2.0μm、より好ましくは1.2〜1.6μmである。
[磁性層]
磁性層は、基本的には強磁性粉末および結合剤から形成されている。また、磁性層には、通常、潤滑剤、導電性粉末(例えばカーボンブラック)および研磨剤が含有されている。強磁性粉末としては、例えば、γ−Fe23、Fe34、FeOx(x=1.33〜1.5)、CrO2、Co含有γ−Fe23、Co含有FeOx(x=1.33〜1.5)、Fe、Ni、またはCoを主成分(75質量%以上)とする強磁性合金粉末(強磁性金属粉末)、および板状六方晶フェライト粉末を挙げることができる。本発明においては、強磁性粉末として、強磁性金属粉末または板状六方晶フェライト粉末を使用することが好ましい。特に好ましくは、強磁性金属粉末である。
上記強磁性金属粉末は、その粒子の比表面積が好ましくは30〜70m2/gであって、X線回折法から求められる結晶子サイズは好ましくは50〜300オングストロームである。比表面積が余り小さいと高密度記録に充分に対応できなくなり、余り大き過ぎても分散が充分に行えず、従って平滑な面の磁性層が形成できなくなるため同様に高密度記録に対応できなくなる。
前記強磁性金属粉末は、少なくともFeを含むものであることができ、具体的には、Fe、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Zn−NiまたはFe−Ni−Coを主体とした金属単体または合金である。なお、Fe単独でも良い。またこれらの強磁性金属粉末の磁気特性については、高い記録密度を達成するために、その飽和磁化量(σs)は、例えば110A・m2/kg以上、好ましくは120A・m2/kg以上、170A・m2/kg以下である。また、保磁力(Hc)は、例えば1950〜2650エルステッド(Oe)(156〜212kA/m)、好ましくは2000〜2500Oe(160〜200kA/m)の範囲である。そして、透過型電子顕微鏡により求められる粉末の平均長軸長は、例えば0.5μm以下、好ましくは0.01〜0.3μmで軸比(長軸長/短軸長、針状比)は、例えば5〜20、好ましくは5〜15である。更に特性を改良するために、組成中にB、C、Al、Si、P等の非金属またはその塩、酸化物が添加されることもある。通常、前記強磁性金属粉末の粒子表面は、化学的に安定化させるために酸化物の層が形成されている。
磁性層に使用される板状六方晶フェライト粉末は、その比表面積は25〜65m2/gであって、板状比(板径/板厚)が2〜15、平均板径は0.02〜1.0μmであることが好ましい。板状六方晶フェライト粉末は、強磁性金属粉末と同じ理由からその粒子サイズが大きすぎても小さすぎても高密度記録が難しくなる。板状六方晶フェライトとしては、平板状でその平板面に垂直な方向に磁化容易軸がある強磁性体であって、具体的には、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライト、およびそれらのコバルト等の置換体等を挙げることができる。これらの中では、特にバリウムフェライトのコバルト置換体、ストロンチウムフェライトのコバルト置換体が好ましい。板状六方晶フェライトには、更に必要に応じてその特性を改良するためにIn、Zn、Ge、Nb、V等の元素を添加してもよい。またこれらの板状六方晶フェライト粉末の磁気特性については、高い記録密度を達成するためには、飽和磁化(σs)は例えば50A・m2/kg以上、好ましくは53A・m2/kg以上である。また、保磁力は、例えば700〜2000Oe(56〜160kA/m)の範囲であり、900〜1600Oe(72〜128kA/m)の範囲であることが好ましい。
強磁性粉末の含水率は0.01〜2質量%とすることが好ましい。また結合剤の種類によって含水率を最適化することが好ましい。強磁性粉末のpHは用いる結合剤との組み合わせにより最適化することが好ましく、そのpHは通常4〜12の範囲であり、好ましくは5〜10の範囲である。強磁性粉末は、必要に応じて、Al、Si、Pまたはこれらの酸化物などでその表面の少なくとも一部が被覆されているものが好ましい。表面処理を施す際のその使用量は、通常強磁性粉末に対して、0.1〜10質量%である。このように被覆された強磁性粉末は、脂肪酸などの潤滑剤の吸着を100mg/m2以下に抑えられるので、潤滑剤の磁性層への添加量を少なくしても所望の効果が達成できる。強磁性粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、およびSrなどの無機イオンが含まれる場合があるが、その含有量はできるだけ少ないことが好ましい。通常は5000ppm以下であれば特性に影響を与えることはない。なお、上記のような強磁性粉末およびその製造方法は、例えば、特開平7−22224号公報に記載されている。
なお、本発明で用いる強磁性粉末は、Al、Si、P、Ti、および希土類元素(Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)などの燒結防止剤として公知の物質により処理されていることが好ましい。特に少なくともY(イットリウム)で処理されていることが好ましい。上記燒結防止剤については、例えば、特開昭52−134858号、同56−114833号、同57−73105号、特開平6−25702号、および同6−36265号の各公報に開示されている。
磁性層には潤滑剤を添加することができ、非磁性層に使用できるものとして記載した潤滑剤を使用することができる。潤滑剤の通常の添加量は、強磁性粉末100質量部に対して、例えば0.2〜20質量部(好ましくは、0.25〜10質量部)の範囲である。
磁性層には、磁性層の表面電気抵抗(RS)の低減、動摩擦係数(μK値)の低減、走行耐久性の向上、および磁性層の平滑な表面性を確保する等の種々の目的でカーボンブラックを添加することができる。磁性層には、非磁性層に使用できるものとして記載したカーボンブラックを使用することができる。但し、磁性層で使用するカーボンブラックは、その平均粒子径が、5nm〜350nm(更に好ましくは10nm〜300nm)の範囲にあることが好ましい。カーボンブラックは、平均粒子径の異なるものを二種以上使用することができる。カーボンブラックの添加量は、通常強磁性粉末100質量部に対して、0.1〜30質量部(好ましくは、0.2〜15質量部)の範囲である。
磁性層には研磨剤を添加することもできる。上記研磨剤としては、例えば、溶融アルミナ、炭化珪素、酸化クロム(Cr23)、コランダム、人造コランダム、ダイアモンド、人造ダイアモンド、ザクロ石、エメリー(主成分:コランダムと磁鉄鉱)を挙げることができる。これらの研磨剤は、モース硬度5以上(好ましくは、6以上)であり、平均粒子径が、0.05〜1μmの大きさのもの(更に好ましくは、0.2〜0.8μm)が好ましい。研磨剤の添加量は通常、前記強磁性粉末100質量部に対して、3〜25質量部(好ましくは、3〜20質量部)の範囲である。
磁性層に使用する結合剤としては、前記非磁性層用の結合剤として記載したものを用いることができる。磁性層中の結合剤は、強磁性粉末100質量部に対して、通常5〜50質量部(好ましくは10〜30質量部)の範囲で用いられる。磁性層に結合剤として塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、およびポリイソシアネートを組み合わせて用いることが好ましいが、その場合には、全結合剤中に、塩化ビニル系樹脂が5〜70質量%、ポリウレタン樹脂が2〜50質量%、そしてポリイソシアネートが2〜50質量%の範囲の量で含まれるように用いることが好ましい。なお、本発明では先に記載したようにバックコート層との硬度のバランスを取るために、結合剤樹脂のガラス転移温度、樹脂の組み合わせ、硬化剤の使用量等を調整することが好ましい。
本発明では、前述のように、特に裏写りの発生し易い高温下での磁性層とバックコート層の硬度のバランスを取ることにより、磁性層への裏写りを低減することができ、これにより平滑性が高く、かつドロップアウトの原因となる凹みの低減された磁性層を得ることができる。前記磁性層表面において、原子間力顕微鏡で測定した高さ20nm以上の突起数は、10〜100個/900μm2(好ましくは10〜50個/900μm2)の範囲である。また、前記磁性層における中心線平均表面粗さRaは、2〜5nm(好ましくは2〜3nm)の範囲である。特に、本発明では、上記のように高温下でバックコート層を柔軟にすることにより、特にバルクロール内側において、バック面写りによる磁性層表面の凹みを顕著に低減することができ、これにより磁性層表面の凹みに由来するドロップアウトを低減し、媒体の電気的特性を格段に向上することができる。なお、原子間力顕微鏡で測定した高さ20nm以上の突起数が上記範囲内であれば、ヘッドと磁気記録媒体との距離(スペーシングロス)が少なく良好な電気的特性が得られるとともに、高温高湿(例えば40℃−80%RH等)の厳しい環境においても、ヘッドと磁気記録媒体との貼り付きを生じず良好な走行性を得ることができる。
前記磁性層の厚さは、例えば0.05〜0.2μm、好ましくは0.08〜0.12μmである。本発明では、磁性層が薄層であっても、前述のように特に高温下での磁性層およびバックコート層の硬度のバランスを取ることにより、裏写りを低減し優れた電磁変換特性を達成することができる。
[バックコート層]
バックコート層は、少なくともカーボンブラックと結合剤を含む層であり、カーボンブラックおよびモース硬度5〜9の無機質粉末が結合剤中に分散されてなる層であることが好ましい。なお、このような構成のバックコート層は、例えば特開平9−115134号公報に記載されており、本発明におけるバックコート層もこれらの構成と同様に構成することができる。
カーボンブラックは、平均粒子サイズの異なる二種類のものを併用することが好ましい。具体的には、平均粒子径が10〜20nmの微粒子状カーボンブラックと平均粒子径が230〜300nmの粗粒子状カーボンブラックを併用することが好ましい。一般に、上記のような微粒子状のカーボンブラックの添加により、バックコート層の表面電気抵抗を低く設定でき、また光透過率も低く設定できる。磁気記録の装置によっては、テープの光透過率を利用し、動作の信号に使用しているものが多くあるため、このような場合には特に微粒子状のカーボンブラックの添加は有効になる。また微粒子状カーボンブラックは一般に液体潤滑剤の保持力に優れ、潤滑剤併用時、摩擦係数の低減化に寄与する。一方、粒子サイズが230〜300nmの粗粒子状カーボンブラックは、固体潤滑剤としての機能を有しており、またバックコート層の表面に微小突起を形成し、接触面積を低減化して、摩擦係数の低減化に寄与する。
微粒子状カーボンブラックの具体的な商品としては、以下のものを挙げることができる。なお、括弧内は平均粒子径である。RAVEN2000B(18nm)、RAVEN1500B(17nm)(以上、コロンビアンカーボン社製)、BP800(17nm)(キャボット社製)、PRINTEX90(14nm)、PRINTEX95(15nm)、PRINTEX85(16nm)、PRINTEX75(17nm)(以上、デグサ社製)、#3950(16nm)(三菱化学(株)製)。また粗粒子カーボンブラックの具体的な商品の例としては、サーマルブラック(270nm)(カーンカルブ社製)、RAVEN MTP(275nm)(コロンビアンカーボン社製)を挙げることができる。
バックコート層に平均粒子サイズの異なる二種類のものを使用する場合、10〜20nmの微粒子状カーボンブラックと230〜300nmの粗粒子状カーボンブラックの含有比率(質量比)は、前者:後者=98:2〜75:25の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは、95:5〜85:15の範囲である。また、バックコート層におけるカーボンブラックの含有量(全含有量)は、結合剤100質量部に対して、通常30〜80質量部の範囲にあり、好ましくは、45〜65質量部の範囲にある。また、走行耐久性確保のためには、前記粗粒子カーボンブラックは、結合剤樹脂100質量部に対して2〜10質量部(より好ましくは4〜8質量部)の量で使用することが好ましい。前述のように、本発明では、特に高温時のバックコート層と磁性層の硬さのバランスを取ることにより、走行耐久性確保のために所定量の粗粒子カーボンブラックを使用する場合にも磁性層への裏写りを低減できるという利点がある。
バックコート層には、モース硬度が5〜9の無機質粉末を、テープに高い走行耐久性を付与し、バックコート層を強化する目的で添加することができる。またモース硬度が5〜9の無機質粉末を使用することによって、バックコート層に適度の研磨力が生じ、テープガイドポール等への脱落したカーボンブラックの付着を低減することができる。モース硬度5〜9の無機質粉末の平均粒子サイズは、80〜250nmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは100〜210nmの範囲にある。
モース硬度が5〜9の無機質粉末としては、例えば、α−酸化鉄、α−アルミナ、および酸化クロム(Cr23)を挙げることができる。これらの粉末は、それぞれ単独で用いても良いし、または併用しても良い。これらの中では、α−酸化鉄またはα−アルミナが好ましい。モース硬度が5〜9の無機質粉末のバックコート層中の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して通常3〜30質量部であり、好ましくは、3〜20質量部である。
バックコート層には、潤滑剤を含有させることができる。潤滑剤は、前述した非磁性層に使用できる潤滑剤として挙げた潤滑剤の中から適宜選択して使用できる。バックコート層において、潤滑剤は、結合剤100質量部に対して通常1〜5質量部の範囲で添加される。
バックコート層の結合剤は、前記非磁性層の結合剤として記載したものを使用することができる。好ましくは、ニトロセルロース樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂およびポリイソシアネートを組み合わせた構成である。バックコート層に結合剤として、ニトロセルロース樹脂、ポリウレタン樹脂、およびポリイソシアネートを組み合わせて用いる場合は、前述のように、全結合剤中に、ニトロセルロ−ス樹脂が10〜41質量%(更に好ましくは13〜28質量%)、ポリウレタン樹脂が43〜109質量%(更に好ましくは78〜109質量%)、ポリイソシアネ−トが13〜48質量%(更に好ましくは13〜30質量%)の範囲の量で含まれるように用いることが好ましい。バックコート層の結合剤は、バックコート層のカーボンブラック100質量部に対して、通常5〜250質量部(好ましくは10〜200質量部)の範囲で用いられる。なお、本発明では先に記載したように磁性層との硬度のバランスを取るために、結合剤樹脂のガラス転移温度、樹脂の組み合わせ、硬化剤の使用量等を調整することが好ましい。
[添加剤]
磁気テープの各層を形成するための塗布液には、磁性粉末または非磁性粉末等を結合剤中に良好に分散させるために、分散剤を添加することができる。また必要に応じて、各層には、可塑剤、カーボンブラック以外の導電性粒子(帯電防止剤)、防黴剤などを添加することもできる。分散剤としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸等の炭素数12〜18個の脂肪酸(RCOOH;Rは炭素数11〜17個のアルキル基、またはアルケニル基)、前記脂肪酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属からなる金属石けん、前記の脂肪酸エステルのフッ素を含有した化合物、前記脂肪酸のアミド、ポリアルキレンオキサイドアルキルリン酸エステル、レシチン、トリアルキルポリオレフィンオキシ第四級アンモニウム塩(アルキルは炭素数1〜5個、オレフィンは、エチレン、プロピレンなど)、硫酸塩、および銅フタロシアニン等を使用することができる。これらは、単独でも組み合わせて使用しても良い。特にバックコート層には、オレイン酸銅、銅フタロシアニン、および硫酸バリウムを組み合わせて使用することが好ましい。分散剤は、いずれの層においても結合剤100質量部に対して0.5〜20質量部の範囲で添加することが好ましい。
[非磁性支持体]
本発明に用いることのできる非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズオキサゾール等を挙げることができる。これらの支持体は、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ったものであってもよい。また本発明に用いることのできる支持体は、中心線平均表面粗さがカットオフ値0.25mmにおいて0.1〜20nm、好ましくは1〜10nmの範囲にあって、表面が優れた平滑性を有していることが好ましい。また、これらの支持体は中心線平均表面粗さが小さいだけでなく1μ以上の粗大突起がないことが好ましい。支持体の厚さは、例えば4〜15μm、好ましくは4〜9μmである。薄い場合は、バック層の凹凸がハンドリングテンションで写りやすくなるため、高Tgのポリウレタン樹脂を磁性層に使用することによってこれを効果的に抑制することができる。厚さが7μm以下の場合は、PENまたはアラミド等の芳香族ポリアミドを使用することが好ましい。
[製造方法]
本発明の磁気記録媒体は、好ましくは磁気テープである。磁気テープは、磁気テープ原反を長手方向にスリットすることにより得ることができる。テープ全体の厚みは、例えば3〜20μmであり、高容量化には4〜10μmであることが好ましく、4〜8μmであることが更に好ましい。以下に、磁気テープの製造方法について説明する。
磁気テープの製造には、通常の方法に従って幅広の長尺状の支持体の一方の面に非磁性層および磁性層を、そして他方の面にバック層を順にそれぞれ形成する工程、次いで得られた磁気テープ原反を所定の幅に裁断する工程が含まれる。なお、上記各工程中、または各工程の前後に、乾燥処理、配向処理、カレンダー処理、または巻き取り処理などの通常行なわれる各処理が適宜行われる。
カレンダー処理条件としては、カレンダーロールの温度が60〜120℃の範囲、好ましくは70〜115℃の範囲、特に好ましくは80〜100℃の範囲であり、圧力は100〜400kg/cm(98〜392kN/m)の範囲であり、好ましくは200〜350kg/cm(196〜343kN/m)の範囲であり、特に好ましくは250〜350kg/cm(245〜343kN/m)の範囲である。前述のように、カレンダーロールとしては、弾性ロールまたは弾性ロールと金属ロールの組み合わせを使用することが好ましい。弾性ロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用することができる。
本発明では、非磁性層が湿潤状態にあるうちに、この上に磁性層を設けることが好ましい。すなわち、磁性層は、非磁性層用塗布液を塗布後、形成された非磁性層が湿潤状態にあるうちにこの上に磁性層用塗布液を塗布する、所謂ウエット・オン・ウエット方式による塗布方法を利用して形成されたものであることが好ましい。
上記ウエット・オン・ウエット方式による塗布方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。
(1)グラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、あるいはエクストルージョン塗布装置などを用いて、支持体上にまず非磁性層を形成し、該非磁性層が湿潤状態にあるうちに、支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により、磁性層を形成する方法(特開昭60−238179号、特公平1−46186号、特開平2−265672号公報参照)。
(2)二つの塗布液用スリットを備えた単一の塗布ヘッドからなる塗布装置を用いて支持体上に磁性層および非磁性層をほぼ同時に形成する方法(特開昭63−88080号、特開平2−17921号、同2−265672号各公報参照)。
(3)バックアップローラ付きエクストルージョン塗布装置を用いて、支持体上に磁性層および非磁性層をほぼ同時に形成する方法(特開平2−174965号公報参照)。
本発明において、非磁性層および磁性層は、同時重層塗布方法を利用して形成することが好ましい。
得られた磁気テープ原反を所定の幅に裁断する方法としては、例えば特開2001−273629号公報に記載の方法を使用することが好ましい。
次に本発明を実施例により具体的に説明する。但し本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。以下において、「部」との表示は「質量部」を表す。
[実施例1〜5、比較例1〜3]
非磁性層形成用塗布液の調製
非磁性粉体 α−Fe23 ヘマタイト 80部
平均長軸長:0.15μm
BETによる比表面積:52m2/g
pH:8
タップ密度:0.8g/ml
DBP吸油量:27〜38ml/100g
表面処理層:Al23、SiO2
カ−ボンブラック 20部
平均一次粒径:16nm
DBP吸油量:80ml/100g
PH:8.0
BET法による比表面積:250m2/g
揮発分:1.5%
塩化ビニル系共重合体 12部
日本ゼオン製MR−104
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
ネオペンチルグリコ−ル/カプロラクトンポリオ−ル/MDI=0.9/2.6/1、−SO3Na基含有量:1×10-4eq/g
α−Al23(平均粒径:0.1μm) 1部
ブチルステアレ−ト 1部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 100部
シクロヘサノン 50部
トルエン 50部
磁性層形成用塗布液の調製
下記の塩化ビニル系共重合体、ポリエステルポリウレタン樹脂、硬化剤の添加量は表1に示す。
強磁性金属粉末 100部
組成:Fe/Co=100/30(原子比)
Hc:191kA(2400Oe)
BET法による比表面積:48m2/g
結晶子サイズ:130Å
表面処理層:Al23、Y23
粒子サイズ(長軸長):0.06μm
針状比:6
σs:120A・m2/kg(120emu/g)
塩化ビニル系共重合体 a部
日本ゼオン製MR−110
ポリエステルポリウレタン樹脂 b部
東洋紡社製バイロンUR8300
硬化剤 c部
日本ポリウレタン社製コロネート3040
α−Al23(平均粒径:0.23μm) 5部
カ−ボンブラック(平均粒径0.08μm) 0.5部
ブチルステアレ−ト 1部
ステアリン酸 5部
メチルエチルケトン 90部
シクロヘサノン 30部
トルエン 60部
バックコート層形成用塗布液の調製
下記のニトロセルロース樹脂、ポリウレタン樹脂、および硬化剤の添加量は表1に示す。
微粒子状カ−ボンブラック粉末 100部
(キャボット社製、BP−800、平均粒子サイズ:17nm)
粗粒子状カ−ボンブラック粉末 10部
(カ−ンカルブ社製、サ−マルブラック、平均粒子サイズ:270nm)
α−酸化鉄 15部
(戸田工業(株)製TF100、平均粒子サイズ110nm、モ−ス硬度:5.5)
ニトロセルロ−ス樹脂 d部
ポリウレタン樹脂 e部
日本ポリウレタン社製ニッポランN2301
硬化剤 f部
日本ポリウレタン社製コロネート3040
分散剤: オレイン酸銅 5部
銅フタロシアニン 5部
硫酸バリウム 5部
メチルエチルケトン 2200部
酢酸ブチル 300部
トルエン 600部
上記の非磁性層塗布液については、各成分をオープンニーダーで混練した後、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液にポリイソシアネート(日本ポリウレタン(株)製コロネートL)を5部加え、更にメチルエチルケトン、シクロヘキサノン混合溶媒40部を加え、1μmの孔径を有するフィルターを用いて濾過して非磁性層塗布液を調製した。
磁性層塗布液については、硬化剤以外の成分をオープンニーダーで混練した後、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液に硬化剤を加え、更にメチルエチルケトン、シクロヘキサノン混合溶媒40部を加え、1μmの孔径を有するフィルターを用いて濾過して磁性層塗布液を調製した。
バックコート層塗布液については、硬化剤以外の成分をオープンニーダーで混練した後、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液に硬化剤を加え、更にメチルエチルケトン2200部、酢酸ブチル300部、トルエン600部を加え、更に連続ニーダーで混練した後、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液については前記同様1μmの孔径を有するフィルターを用いて濾過した。
得られた非磁性層塗布液および磁性層用塗布液を、非磁性層は乾燥後の膜厚で1.5μm、磁性層は乾燥後の膜厚で0.15μmになるように、更に乾燥後のテ−プ総厚が8.7μmになるように厚さ7μmの支持体(二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート)上に同時重層塗布を行い、両層がまだ湿潤状態にあるうちに、0.3T(3000G)の磁力を持つコバルト磁石と0.15T(1500G)の磁力を持つソレノイドにより配向させ乾燥させた。
磁性層および非磁性層乾燥後、表2に示すカレンダーロールから構成される7段のカレンダー装置で表2に示す条件でカレンダー処理を行った。
上記カレンダー処理後、バックコート層を乾燥後に表1に示す厚さになるように塗布した。また、バックコート層の硬さを調整するために、バックコート層塗布後の乾燥ゾ−ン(第1の乾燥ゾ−ン+第2乾燥ゾ−ン)の温度を表1に示すように調整することで残留溶剤量を調整した。
バックコート層形成後、磁性層、非磁性層およびバツクコート層の膜を強化し、かつ可撓性支持体の熱変形を防止するために、80℃の環境の下で36時間保存処理した。バックコート面写り評価のため、バルク長は5000mとした。
前記保存処理後、特開2001−273629号公報の図1に示す裁断装置を用いて1/2幅に裁断した。スリット条件は下記の条件に統一して裁断した。
スリット速度:300m/分
噛み合い深さ:0.5mm
上刃と下刃との周速比:1.05
得られた磁気テープについて、以下の評価を行った。
(1)超微小押込み硬度
(測定装置)
測定装置として(株)エリオニクス製超微小押し込み硬さ試験機(型式ENT−1100a)を用いた。主な装置使用は以下の通りである。
・荷重発生方式:電磁力式
・圧子:三角錐圧子、刃角度65°、稜間角115°、ダイヤモンド製
・荷重範囲:2mgf〜100gf(20μN〜1N)
・荷重分解能:0.2μN
・変位測定方式:圧子の動きを静電容量式に検知
・変位範囲:〜20μm
・変位読み取り分解能:0.3nm
(測定条件)
上記各磁気テープを、5mm×5mmにカットし、CF5(ノビナイト、鋳物)製の専用の試料台(13mm×19mm)に瞬間接着剤(商品名:アロンアルファ)で固定し、乾燥後、測定環境に約30分放置した後測定した。
・試験荷重:6mgf(58.8μN)
・分割数:100
・ステップインターバル:20msec
・測定環境:33℃±0.1℃および80℃±2.5℃
・測定n数:磁性層表面またはバツクコート層表面を9箇所測定し、ノイズの入ったデータ、最大変位の大きいデータ、最大変位の小さいデータを除き、中間の5個のデータを用いて前記式(1)により超微小押し込み硬さ(DH)を求めた。
(2)突起測定
磁性層表面における基準面からの20nm以上の高さの突起個数をSII(株)社製AFM(型式SPA500)で測定面積30×30μmを測定して求めた。なお、基準面とは上側の体積と下側の体積とが同等となる面のことであり、測定に使用したAFMにより定められるものである。
(3)中心線平均表面粗さRaの測定
前記SII(株)社製AFM(型式SPA500)で測定面積40×40μmを測定して求めた。
(4)C/N評価
記録ヘッド(MIG、ギャップ:0.15μm、トラック幅:18μm、磁場強度(Bs):1.8T)と再生用MRヘッド(シ−ルド型:シ−ルド間ギャップ:0.2μm、トラック幅4μm)をドラムテスターに取り付けて測定した。ヘッド−メディア相対速度10m/secで記録波長0.2μm(50MHz)の単周波信号を記録、再生信号をシバソク製スペクトラムアナライザーにて周波数分析し前記単周波信号と、1MHz離れたノイズ電圧の比をC/N(dB)とした。再生時にはMRヘッドに、再生出力が最大になるように、バイアス電流を印加した。
(5)DO(ドロップアウト)評価について
磁気テープに記録トラック幅15μm、記録波長0.36μm、テープ送り速度2.5m/秒で信号を記録し、MRヘッドを用いてリードトラック幅7.5μm、テープ送り速度2.5m/秒で信号を再生した。このとき、0.08μsec以上の時間、出力が50%以上低下した時の、記録1MB当たりのドロップアウト個数を測定した。
(6)ヘッド汚れ評価
C/N評価のための走行後のヘッドをキーエンス社製デジタルマイクロスコープで観察し、汚れ状態を評価した。
○ :ヘッド汚れが少ない
× :ヘッド汚れが少ない
(7)アルフェシルバー磨耗
<摩耗幅の変化率>
磁気記録媒体を下記走行条件で走行させた時のAlFeSil角柱の摩耗幅をa、その走行後、磁気記録媒体の同一走行箇所を前記と同一条件にて同じAlFeSil角柱に対して同一部位を上記と同じ走行条件で接触走行させた時の当該AlFeSil角柱の摩耗幅の増分bを求め、摩耗幅の変化率b/aを算出した。
(走行条件)
磁性層表面をAlFeSil角柱(ECMA−228/AnnexH/H2に規定されている角柱)の長手方向と直交するように、AlFeSil角柱の一稜辺にラップ角12度で接触させ、その状態で磁気記録媒体を100gfの張力下において3m/秒の速さで580×100Pass走行させる。
以上の結果を表3に示す。
Figure 2007265547
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評価結果
表3に示すように、実施例1〜5の磁気テープは、磁性層およびバックコート層が室温時に適度な硬度を有するとともに、高温時のバックコート層の柔軟性が高い。このような実施例1〜5の磁気テープは、比較例1〜3の磁気テープと比べてドロップアウトが少なくC/Nも良好であった。また、実施例1〜5の磁気テープは、アルフェシルバー磨耗が少なくヘッド当たりも良好であった。
本発明によれば、高い電磁変換特性と優れた走行耐久性を兼ね備えた高密度記録用の磁気記録媒体を提供することができる。

Claims (9)

  1. 非磁性支持体の一方の面上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と強磁性粉末および結合剤を含む磁性層とをこの順に有し、かつ他方の面上にカーボンブラックおよび結合剤を含むバックコート層を有する磁気記録媒体であって、
    前記バックコート層は、温度80℃および荷重6mgfで20〜40kg/mm2(196〜392MPa)の範囲であって前記磁性層の超微小押し込み硬度よりも小さい超微小押し込み硬度を有することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記バックコート層の温度80℃および荷重6mgfでの超微小押し込み硬度は、20〜30kg/mm2(196〜294MPa)の範囲である、請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記バックコート層の温度80℃および荷重6mgfでの超微小押し込み硬度は、前記磁性層の温度80℃および荷重6mgfでの超微小押し込み硬度より5kgmm2(49MPa)以上大きい、請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記磁性層は、温度80℃および荷重6mgfで30〜50kg/mm2(292〜490MPa)の範囲の超微小押し込み硬度を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記磁性層は、温度80℃および荷重6mgfで40〜50kg/mm2(392〜490MPa)の範囲の超微小押し込み硬度を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  6. 前記磁性層およびバックコート層は、温度33℃および荷重6mgfで50〜80kg/mm2(490〜784MPa)の範囲の超微小押し込み硬度を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  7. 前記磁性層およびバックコート層は、温度33℃および荷重6mgfで55〜70kg/mm2(539〜686MPa)の範囲の超微小押し込み硬度を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  8. 前記磁性層は、原子間力顕微鏡で測定した高さ20nm以上の突起数が10〜100個/900μm2の範囲であり、かつ中心線平均表面粗さRaが2〜5nmの範囲である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  9. 前記バックコート層は、前記結合剤100質量部に対し、平均粒子径230〜300nmのカーボンブラックを2〜10質量部含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
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