JPH11336903A - ガスケット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリンダ室の平面形状から副室の平面形状が
一部食み出した構造の副室式エンジンに装着されるガス
ケットについて、シリンダ室内のガスが副室圧入部を伝
って洩れることがないようにこのガスをシールし、もっ
て優れたシール性を発揮するガスケットを提供する。 【解決手段】 シリンダ室の平面形状に沿って設けられ
る一次シール部８と、シリンダ室および副室の平面形状
に沿って設けられる二次シール部９との間に、副室圧入
部に密接してガス洩れを防止する第三シール部１１を設
けることにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ガスケットに係
り、更に詳しくは、予燃焼室または渦流室等の副室を備
えた副室式エンジンに装着されるのに適したガスケット
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】実公平１−１７６３５号公報、実公平１
−１７６３６号公報、特公平５−４１８２５号公報また
は特公平５−４１８２６号公報等に掲載されている副室
式エンジンにおいては、図７に示すように、シリンダ室
２１の平面形状から副室２２の平面形状が一部、三日月
形に食み出しており（食出し部を斜線で示している）、
従来、この種の副室式エンジンに装着されるヘッドガス
ケットとして図８に示すガスケットが知られている。

【０００３】すなわち、このガスケットは、ヘッドガス
ケットとしての基本的な平面レイアウト内にシリンダ室
用孔（ボア部とも称する）５１と、水孔等の連通孔５２
と、ボルト挿通孔５３とをそれぞれ所要数設けるととも
に、図９または図１０に示すようにプレートストッパ５
４、プレートアクション５５およびスペーサ５６よりな
る三種類の金属板を組み合わせたものであって、更に以
下のようなシール構造を備えている。

【０００４】すなわち先ず、プレートストッパ５４の端
部を折り返してこの折返し部５４ａにスペーサ５６を挾
み込んだ一次シール部５７がシリンダ室２１の平面形状
に沿って設けられており、またその外側（外周側）に、
プレートストッパ５４およびプレートアクション５５を
積層状態で折曲したハーフビードよりなる二次シール部
５８がシリンダ室２１および副室２２の平面形状に沿っ
て設けられている。一次シール部５７の平面形状は円形
であり、二次シール部５８の平面形状も円形であるが、
後者の二次シール部５８の平面形状はその円周の一部が
上記した三日月形の食出し部に沿って外周側に膨らんで
いる。

【０００５】また図１０に示したように、このガスケッ
トがシリンダヘッド２３および副室形成部材２４とシリ
ンダブロック２５との間に装着されるときに、一次シー
ル部５７に大きな面圧が発生してこの一次シール部５７
が充分なシール作用を果たすように、一次シール部５７
の厚さがプレートストッパ５４およびプレートアクショ
ン５５の厚さの和より大きく設定されており、これによ
り一次シール部５７の外周側であってかつシリンダブロ
ック２５側（図上下側）に段差が形成されている。また
同図に示したようにハーフビードよりなる二次シール部
５８がシリンダヘッド２３側（図上上側）に立ち上がっ
ている。

【０００６】しかしながら、この従来技術には、以下の
不都合がある。

【０００７】すなわち、上記従来のガスケットがその一
次シール部５７においてシリンダ室２１内のガスをシー
ルするものであるのに対して、シリンダ室２１内のガス
が副室圧入部２６を伝って一次シール部５７と二次シー
ル部５８との間の空間２７に洩れることがあるために、
この空間２７に洩れたガスを二次シール部５８でシール
しなければならない。しかしながらこの二次シール部５
８は本来、水または油等がシリンダ室２１に侵入しない
ように一次シール部５７とは反対方向のシールを担当す
るものであって、しかもその構造がハーフビードである
ためにシール力が一次シール部５７より小さいものであ
る。したがってこの二次シール部５８によって高圧のガ
スを充分にシールすることができず、よってガスが最終
的に外部に洩れる虞がある。尚、副室圧入部２６は、シ
リンダヘッド２３の穴部に副室形成部材２４をカチ込み
により圧入した部分であって、副室形成部材２４の外周
面とこれに対向するシリンダヘッド２３の内壁との間に
ガスが通過するような洩れ流路２８が形成されることが
ある。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の点に鑑
み、シリンダ室内のガスが副室圧入部を伝って洩れるこ
とがないようにこのガスをシールすることができ、もっ
て優れたシール性を発揮することが可能なガスケットを
提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のガスケットは、シリンダ室の平面形状から
副室の平面形状が一部食み出した構造の副室式エンジン
に装着されるガスケットであって、前記シリンダ室の平
面形状に沿って設けられる一次シール部と、前記シリン
ダ室および副室の平面形状に沿って設けられる二次シー
ル部との間に、副室圧入部に密接してガス洩れを防止す
る第三シール部を設けることにした。

【００１０】上記構成を備えた本発明のガスケットのよ
うに、シリンダ室の平面形状に沿って設けられる一次シ
ール部と、シリンダ室および副室の平面形状に沿って設
けられる二次シール部との間に、副室圧入部に密接して
ガス洩れを防止する第三シール部が設けられると、この
第三シール部のシール作用によって、シリンダ室内のガ
スが副室圧入部を伝って洩れるのを防止することが可能
となる。上記したように副室圧入部は、シリンダヘッド
の穴部に副室形成部材をカチ込みにより圧入した部分で
あり、副室形成部材の外周面とシリンダヘッドの内壁と
が対向する部分である。副室形成部材が円板状である場
合、副室圧入部は平面円形を呈することになるが、この
うちの一次シール部と二次シール部の間に位置する平面
円弧形の部分に接触するように、第三シール部が同じく
平面円弧形に設けられることになる。

【００１１】

【発明の実施の形態】つぎに本発明の実施形態を図面に
したがって説明する。

【００１２】第一実施形態・・・図１に示すように、当
該実施形態に係るガスケットは、シリンダ室２１（図７
参照）の平面形状から副室２２（図７参照）の平面形状
が一部、三日月形に食み出した構造の副室式エンジンに
装着されるヘッドガスケットとしての基本的な平面レイ
アウト内にシリンダ室用孔（ボア部とも称する）１と、
水孔等の連通孔２と、ボルト挿通孔３とをそれぞれ所要
数設けるとともに、図２および図３に示すようにプレー
トセンター４、第一プレートアクション５、第二プレー
トアクション６およびプレートストッパー７よりなる四
種類の金属板を組み合わせたものである。

【００１３】すなわち、図２に示すように、ボア部形成
孔を備えたプレートセンター４の上下に同じくボア部形
成孔を備えた第一および第二プレートアクション５，６
が重ねられて、これらによってガスケット全体の平面形
状が画定されており、プレートセンター４のボア部周縁
部に環状のプレートストッパー７が組み付けられ、断面
略Ｕ字形を呈するこのプレートストッパー７がプレート
センター４のボア部周縁部を上下から挟んで金属板三層
構造の一次シール部（第一シール部とも称する）８が設
けられている。この一次シール部８はシリンダ室２１の
平面形状に合わせて平面円形に形成されている。またこ
の一次シール部８が装着時にシリンダヘッド２３（図１
０参照）および副室形成部材２４（図１０参照）とシリ
ンダブロック２５（図１０参照）との間に強く挟まれて
大きな面圧が発生するように、プレートストッパー７の
板厚が第二プレートアクション６の板厚より厚く設定さ
れており、これによりプレートストッパー７の下側平面
部７ａの外縁部に符号ａで示す段差が形成されている。

【００１４】第一および第二プレートアクション５，６
に、平面上の位置を同じくしてハーフビード９が上下対
称に形成されており、この一対のハーフビード９によっ
てビード構造の二次シール部（第二シール部とも称す
る）１０が一次シール部８の外側に位置して設けられて
いる。この二次シール部１０の平面形状はシリンダ室２
１および副室２２の平面形状に合わせて、円周の一部が
三日月形に膨らんだ円形に形成されている。図２の切り
口が丁度、三日月形が最も外側に膨らんだ位置である。

【００１５】また、この図２から分かるように、上記三
日月形の拡大部分に限って、図上上側の第一プレートア
クション５が外側に後退しており、これに合わせてプレ
ートストッパー７の上側平面部７ａが外側に拡大形成さ
れており、この三日月形の拡大部７ｂの外縁に沿って第
三シール部１１が設けられている。第一プレートアクシ
ョン５の後退形状は平面三日月形であり、拡大部７ｂの
平面形状も三日月形である。

【００１６】第三シール部１１は、以下のように構成さ
れている。

【００１７】すなわち先ず、この第三シール部１１は、
上記したプレートストッパー７の拡大部７ｂ、プレート
センター４および第二プレートアクション６が上下に重
ねられることによって形成されており、この第三シール
部１１において第二プレートアクション６は、装着時に
拡大部７ｂの上面をシリンダヘッド２３および副室形成
部材２４の下面に密接させるように、フルビードよりな
るバネ部１２として形成されている。また同じ理由か
ら、この第三シール部１１の自由状態における厚さ（高
さ）が一次シール部８の厚さ（高さ）より厚く（高く）
形成されている。またこの第三シール部１１は、装着時
に一次シール部８と同時にシリンダヘッド２３および副
室形成部材２４の下面に密接するように、その上面が一
次シール部８の上面と面一状に形成されている。またこ
の第三シール部１１が装着時にシリンダヘッド２３およ
び副室形成部材２４とシリンダブロック２５との間に強
く挟まれて大きな面圧が発生するように、プレートスト
ッパー７の板厚が第一プレートアクション５の板厚より
厚く設定されており、これによりプレートストッパー７
の上側平面部７ｂおよび拡大部７ｃの外縁部に符号ｂで
示す段差が形成されている。

【００１８】また、この第三シール部１１の平面形状
は、上記した平面三日月形の拡大部７ｂの外縁部に沿っ
て円弧形に形成されており、この円弧形が丁度、当該ガ
スケットの装着時に副室圧入部２６（図１０参照）の平
面形状である円の一部と上下に重なるようになってい
る。上記したように副室圧入部２６の平面形状は円形で
あるが、この円のうち、一次シール部８の外側に位置す
る円弧形部分と上下に重なることになる。副室圧入部２
６の平面形状である円は、副室２２の内径ｄが成す円と
同じ円であり、また副室形成部材２４の外径が成す円と
も同じ円である。また一次シール部８との関係は以下の
とおりである。すなわち一次シール部８が平面円形をな
しており、この一次シール部８の成す円に対して第三シ
ール部１１の成す円弧がその両端部においてそれぞれ連
結されている。円と円弧とに囲まれる部分は、ここ自体
がシール作用を奏するものではなく、却って一次シール
部８および第三シール部１１の面圧を高めることができ
るように、この部分におけるプレートストッパー７の上
側平面部７ｂが肉盗みされており、具体的には、この部
分におけるプレートストッパー７の上側平面部７ａに孔
１３が所要数開けられている。

【００１９】上記構成を備えたガスケットが図１０に示
したような副室式エンジンに装着されると、先ず一次シ
ール部８がシリンダヘッド２３および副室形成部材２４
とシリンダブロック２５との間に挟まれてシール作用を
奏するために、シリンダ室２１内のガス（燃焼ガスまた
はエア等）が洩れるのを防止することができる。また二
次シール部１０がシリンダヘッド２３とシリンダブロッ
ク２５との間に挟まれてシール作用を奏するために、外
部の水または油等がシリンダ室２１に侵入するのを防止
することができる。また同時に、第三シール部１１がバ
ネ部１２の弾性によって副室圧入部２６にその下方から
密接し、シリンダヘッド２３と副室形成部材２４との境
部分を塞いで洩れ流路２８（図１０参照）を閉塞するた
めに、シリンダ室２１内のガスが副室圧入部２６を伝っ
て洩れるのを有効に防止することができる。したがって
当該構造によれば、このようにして、副室式エンジンに
装着されるガスケットのシール性能を格段に向上させる
ことができる。

【００２０】上記実施形態に係る構成は、以下のように
付加変更することが可能である。

【００２１】第二実施形態・・・上記第一実施形態にお
ける第三シール部１１のバネ部１２がフルビード構造で
あったのを、図４に示すように、ハーフビード構造とす
る。その他の構成および作用効果は上記第一実施形態と
同じである。

【００２２】第三実施形態・・・金属板の組み合わせ
を、図５に示すように、プレートアクション４、このプ
レートアクション４のシリンダヘッド２３側（図上上
側）に重ねられるプレートストッパー７、およびこのプ
レートストッパー７の折り返し部７ｄに挟まれるスペー
サー１４よりなる三種類の金属板の組み合わせとし、更
に以下のシール構造を備えたものとする。

【００２３】すなわち先ず、プレートストッパー７のボ
ア部周縁部をＵ字形に折り返して折返し部７ｄを形成
し、この折返し部７ｄで環状のスペーサー１４を挟み込
んで金属板三層構造の一次シール部８を形成する。また
その外側で、プレートアクション４およびプレートスト
ッパー７を積層状態で折曲してハーフビード構造の二次
シール部１０を形成する。また一次シール部８および二
次シール部１０の間に、フルビード構造のバネ部１２を
備えて装着時に副室圧入部２６に密接してガス洩れを防
止する第三シール部１１を形成する。この第三シール部
１１の上面は一次シール部８の上面と面一状に形成され
ている。

【００２４】第四実施形態・・・上記第三実施形態にお
ける第三シール部１１のバネ部１２がフルビード構造で
あるのを、図６に示すように、ハーフビード構造とす
る。

【００２５】尚、この他にも様々な付加変更が可能であ
り、その構成に拘らず副室圧入部２６にその下方から密
接し、シリンダヘッド２３と副室形成部材２４との境部
分を塞いで洩れ流路２８を閉塞する第三シール部１１が
設けられていれば、シリンダ室２１内のガスが副室圧入
部２６を伝って洩れるのを有効に防止することができ
る。

【００２６】

【発明の効果】本発明は、以下の効果を奏する。

【００２７】すなわち、上記構成を備えた本発明のガス
ケットにおいては、シリンダ室の平面形状に沿って設け
られる一次シール部と、シリンダ室および副室の平面形
状に沿って設けられる二次シール部との間に、副室圧入
部に密接してガス洩れを防止する第三シール部が設けら
れているために、この第三シール部のシール作用によっ
て、シリンダ室内のガスが副室圧入部を伝って洩れるの
を有効に防止することができ、副室式エンジンに装着さ
れるガスケットのシール性能を格段に向上させることが
できる。またガス漏洩の防止により二次シール部の負担
を軽減させることができ、その耐久性を向上させること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一実施形態に係るガスケットの一部
平面図

【図２】図１におけるＡ−Ａ線拡大断面図

【図３】図２におけるＢ方向矢視図

【図４】本発明の第二実施形態に係るガスケットの要部
断面図

【図５】本発明の第三実施形態に係るガスケットの要部
断面図

【図６】本発明の第四実施形態に係るガスケットの要部
断面図

【図７】シリンダ室と副室の平面配置関係を示す説明図

【図８】従来例の係るガスケットの一部平面図

【図９】同ガスケットの要部斜視図

【図１０】同ガスケットの装着状態を示す図８における
Ｃ−Ｃ線拡大断面図

【符号の説明】

１ シリンダ室用孔 ２ 連通孔 ３ ボルト挿通孔 ４ プレートセンター ５ 第一プレートアクション ６ 第二プレートアクション ７ プレートストッパー ７ａ 下側平面部 ７ｂ 上側平面部 ７ｃ 拡大部 ７ｄ 折返し部 ８ 一次シール部 ９ ハーフビード １０ 二次シール部 １１ 第三シール部 １２ バネ部 １３ 孔 １４ スペーサー ２１ シリンダ室 ２２ 副室 ２３ シリンダヘッド ２４ 副室形成部材 ２５ シリンダブロック ２６ 副室圧入部 ２７ 空間 ２８ 洩れ流路

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シリンダ室（２１）の平面形状から副室
   （２２）の平面形状が一部食み出した構造の副室式エン
   ジンに装着されるガスケットであって、 前記シリンダ室（２１）の平面形状に沿って設けられる
   一次シール部（８）と、前記シリンダ室（２１）および
   副室（２２）の平面形状に沿って設けられる二次シール
   部（９）との間に、副室圧入部（２６）に密接してガス
   洩れを防止する第三シール部（１１）を設けたことを特
   徴とするガスケット。