JPH11334397A - 自動車用駆動装置 - Google Patents

自動車用駆動装置

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JPH11334397A
JPH11334397A JP18322298A JP18322298A JPH11334397A JP H11334397 A JPH11334397 A JP H11334397A JP 18322298 A JP18322298 A JP 18322298A JP 18322298 A JP18322298 A JP 18322298A JP H11334397 A JPH11334397 A JP H11334397A
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JP
Japan
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gear
motor
sun gear
carrier
ring gear
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JP18322298A
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Kazumi Hiraiwa
一美 平岩
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KYOWA GOKIN KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジンと複数のモーターの2種類の動
力源で遊星歯車を用いて動力伝達する、いわゆるハイブ
リッド自動車の駆動装置において、モーターで駆動また
は駆動力補助を行う無段階な変速を可能にしながら、複
数の固定された変速比で機械的な動力伝達も可能にし
て、走行負荷の大きい場合や市街地などでの定常走行に
おける動力伝達効率を向上させて燃費の改善を図るとと
もに、駆動力を大きくして加速能力や登坂能力の向上を
図る。 【解決手段】 遊星歯車の回転メンバーのうち、入力軸
30および出力軸32と連結されたメンバーの他に、ケ
ース46に固定した際に減速駆動するメンバーA(第1
サンギヤ12)と、ケース46に固定した際に増速駆動
するメンバーB(第2リングギヤ24)とを設け、メン
バーAを第2モーター50と連結するとともに、一方向
のトルクのみ伝達する円錐クラッチ48、54により、
第1モーター34とメンバーBおよび出力軸32とをそ
れぞれ別個に、または同時に連結可能に構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関と電気モ
ーターの2種類の動力源を有する、いわゆるハイブリッ
ド自動車の駆動装置に関し、特にエンジンより入力され
る駆動力を、遊星歯車を介して出力軸へ伝達可能で、複
数のモーターを備えた自動車用駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジンより入力される駆動力
を、遊星歯車を介して出力軸へ伝達可能で、複数のモー
ターを備えた自動車用駆動装置としては、社団法人自動
車技術会発行の『自動車技術』1998年1月号17頁
の図5に記載のようなものが知られている。
【0003】前記従来例のスケルトン図を図9に示す。
図9に基づいて従来例を説明すると、遊星歯車1は、サ
ンギヤ2とキャリア3とリングギヤ4と、キャリア3に
軸支されサンギヤ2およびリングギヤ4と噛み合うピニ
ヨン5から構成されている。サンギヤ2は第1モーター
6と連結され、キャリア3は図示しないエンジンのクラ
ンク軸7と連結され、リングギヤ4は第2モーター8と
連結されるとともに、チェーン9,減速歯車10および
差動装置11を介して車軸12と連結されている。車軸
12は図示しない自動車の左右の車輪と連結されてい
る。第1モーター6と第2モーター8とは、正転・逆転
が可能であり、モーターとしての機能と発電機としての
機能を有し、任意に切り替えることができる。
【0004】以上のように構成された従来例の作動を説
明する。第2モーター8に図示しないバッテリーから電
力を供給すると、第2モーター8はチェーン9,減速歯
車10、差動装置11、車軸12を介して車輪を駆動
し、自動車を発進および加速することができる。この
際、エンジンが停止しているとキャリア3も停止してい
るので、サンギヤ2ならびに第1モーター6は逆転する
が、第1モーター6は空転するだけである。ここで、さ
らに大きな駆動力を要する場合には、第2モーター8に
電力を供給しながら第1モーター6にも電力を供給し
て、サンギヤ2が停止する方向のトルクを作用させる
と、クランク軸7が回転するのでエンジンを始動するこ
とができる。
【0005】エンジンを始動した後の加速は、以下のよ
うに行われる。クランク軸7からキャリア3に入ったエ
ンジントルクは遊星歯車1により分割される。すなわ
ち、エンジントルクの一部はサンギヤ2を通って第1モ
ーター6を駆動して発電し、残りのトルクはリングギヤ
4を通って第2モーター8の出力トルクとともに車軸1
2を駆動する。この際、第1モーター6で発電された電
力は第2モーター8に供給される。リングギヤ4を経て
機械的に伝達されるトルクは、リングギヤ4の歯数に対
するサンギヤ2の歯数の比をαとすると、クランク軸7
から入るトルクの1/(1+α)になる。従って、バッ
テリーから第2モーター8に電力を供給し続ければ、第
2モーター8はバッテリーからの電力と、エンジントル
クの一部によって第1モーター6で発電された電力とで
車軸12を駆動することになる。
【0006】また、車軸12はリングギヤ4を通じてエ
ンジントルクの一部でも駆動されているので、エンジン
トルクの一部と第2モーター8とから駆動されることに
なり、その動力源はエンジンとバッテリーになる。ここ
で、バッテリーからの電力供給をやめると、第2モータ
ー8は第1モーター6で発電される電力のみで駆動する
ことになり、車軸12を駆動する動力源はエンジンのみ
になる。
【0007】クランク軸7およびそれと一体になったキ
ャリア3の回転数と、車軸12に連結され第2モーター
8とともに回転するリングギヤ4の回転数との比(変速
比)は、クランク軸7からのエンジントルクの大きさ
と、車軸12が車輪を駆動する出力トルク(負荷)の大
きさ、およびバッテリーから第2モーター8に供給され
る電力とで自動的に決まる。自動車が低速でエンジント
ルクが大きく車軸12の負荷が大きい場合は、リングギ
ヤ4の回転数がサンギヤ2の回転数より低く、徐々に自
動車の速度が高くなって車軸12の負荷が小さくなる
と、サンギヤ2の回転数が低くなってリングギヤ4の回
転数が高くなるように無段階に変化する。
【0008】また、自動車を制動する際には、エンジン
を停止させ第2モーター8を発電機に切り替えて発電さ
せることで制動するとともに、従来は摩擦ブレーキ等で
熱に変えて捨てていた自動車の運動エネルギーの一部を
電力に変えてバッテリーを充電する、いわゆるエネルギ
ー回生を行うことができる。さらに後進の際には、エン
ジンを回さずにバッテリーから供給する電力で第2モー
ター8のみを逆転することにより後進の駆動力が得られ
る。一般にエンジンとして用いる内燃機関は、負荷が低
い運転状態において熱効率が低い特性を持つため、ハイ
ブリッド自動車は通常、自動車が低負荷域で走行する際
にはエンジンによる駆動を避け、エンジンでの発電およ
び前記エネルギー回生でバッテリーに充電した電力を使
ってモーターで駆動し、高負荷域の走行はエンジンの動
力で駆動することで、従来のエンジンのみを動力源とす
る自動車より燃費を良くすることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来例
にあっては、エンジンで駆動して走行する際にその動力
の一部を使って第1モーター6で発電させ、その電力に
よって第2モーター8で車軸12を補助駆動しているた
め、一部ではあるが発電してモーターで出力させる過程
でどうしてもロスが生じる。すなわち、第1モーター6
によりサンギヤ2を電気的に固定した場合は、遊星歯車
1による機械的な動力伝達になるが、これは高速走行な
どに用いるオーバードライブと呼ばれる増速の変速比で
あり、加速時および登坂時や市街地走行などでの使用は
できない。そのため、高速走行以外の一般的な走行はエ
ンジンの駆動力の一部を使って第1モーター6で発電さ
せ、その電力によって第2モーター8で車軸12を補助
駆動することになる。したがって、第1モーター6にお
ける発電効率と第2モーター8における出力効率との積
が、動力を一旦電気に変えて伝達するルートの動力伝達
効率になる。このように動力を電気に変えて伝達するル
ートの動力伝達効率は、一般に歯車やチェーンなどの機
械的伝達に比べて劣る。
【0010】このため、エンジンに高い負荷がかかる駆
動状態で走行するような場合に、電気ルートでの動力伝
達比率が高まって燃費を悪化させる要因になり、ハイブ
リッド自動車の良さを一部損なうという問題がある。ま
た、クランク軸7からリングギヤ4を経て機械的に伝達
されるトルクは、前述のように、クランク軸7から入る
トルクの1/(1+α)と小さいため、第2モーター8
による加勢を考慮しても車軸12を駆動するトルクが小
さく、加速力や登坂能力が低いという問題がある。
【0011】そこで本発明は、自動車が市街地を走行す
る際の定常走行や、走行負荷が大きい加速や登坂などの
運転状態において、電気ルートの動力伝達比率を減らし
てエンジンの動力を機械的に効率よく車軸に伝えるよう
にして、一層の燃費向上を図ることを目的とする。また
本発明は、機械的に伝達するトルクを増大することによ
り、大きな駆動力を得て加速力や登坂能力を向上させる
ことも目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の本発明の自動車用駆動装置にあっ
ては、エンジンより入力軸に入力される駆動力を、遊星
歯車を介して出力軸へ伝達可能で、複数のモーターを備
えた自動車用駆動装置において、前記遊星歯車が、この
回転メンバーのうち減速駆動を得るべくケースに固定可
能なメンバーAと、増速駆動を得るべくケースに固定可
能なメンバーBとを備え、第1モーターが出力軸および
メンバーBと選択的に連結可能とするとともに、第2モ
ーターがメンバーAと連結可能であることを特徴とす
る。
【0013】請求項2に記載の本発明の自動車用駆動装
置にあっては、第1モーターと出力軸およびメンバーB
とを連結する手段が、ヘリカル面を有する歯で噛み合う
コーンリングを備えて一方向のトルクが作用した際にセ
ルフロック可能な円錐クラッチであることを特徴とす
る。
【0014】請求項3に記載の本発明の自動車用駆動装
置にあっては、第1モーターが、出力軸およびメンバー
Bの両者と同時に連結可能であることを特徴とする。
【0015】請求項4に記載の本発明の自動車用駆動装
置にあっては、前記遊星歯車は、第1サンギヤと第1リ
ングギヤとこれらに噛み合う第1ピニヨンを支持する第
1キャリアとを有する第1遊星歯車と、第2サンギヤと
第2リングギヤとこれらに噛み合う第2ピニヨンを支持
する第2キャリアを有する第2遊星歯車とを備え、第1
サンギヤと第2サンギヤとを連結し、第1リングギヤと
第2キャリアとを出力軸と連結し、第1キャリアを入力
軸と連結するとともに、第2リングギヤをメンバーAと
するとともに第1サンギヤおよび第2サンギヤをメンバ
ーBとしたことを特徴とする。
【0016】請求項5に記載の本発明の自動車用駆動装
置にあっては、前記遊星歯車は、第1サンギヤと第1リ
ングギヤとこれらに噛み合う第1ピニヨンを支持する第
1キャリアとを有する第1遊星歯車と、第2サンギヤと
第2リングギヤとこれらに噛み合う第2ピニヨンを支持
する第2キャリアを有する第2遊星歯車とを備え、第1
リングギヤと第2キャリアとを出力軸と連結し、第1キ
ャリアと第2リングギヤとを入力軸と連結するととも
に、第2サンギヤをメンバーAとし、第1サンギヤをメ
ンバーBとしたことを特徴とする。
【0017】請求項6に記載の本発明の自動車用駆動装
置にあっては、前記遊星歯車は、第1サンギヤが第1ピ
ニヨンを介してリングギヤに噛み合い、第2サンギヤが
第1ピニヨンと第2ピニヨンとを介してリングギヤに噛
み合い、両ピニヨンがキャリアにより支持され、リング
ギヤとキャリアとのうち一方を入力軸と連結し、リング
ギヤとキャリアとのうち他方を出力軸と連結するととも
に、リングギヤと入力軸とを連結した場合は第1サンギ
ヤをメンバーAとするとともに第2サンギヤをメンバー
Bとし、リングギヤと出力軸とを連結した場合は第2サ
ンギヤをメンバーAとするとともに第1サンギヤをメン
バーBとしたことを特徴とする。
【0018】請求項7に記載の本発明の自動車用駆動装
置にあっては、前記遊星歯車は、第1サンギヤと第1リ
ングギヤとこれらに噛み合う第1ピニヨンを支持する第
1キャリアとを有する第1遊星歯車と、第2サンギヤと
第2リングギヤとこれらに噛み合う第2ピニヨンを支持
する第2キャリアを有する第2遊星歯車とを備え、第1
リングギヤと第2サンギヤとを連結し、第1キャリアと
第2キャリアとを連結し、第2リングギヤと第1キャリ
アおよび第2キャリアとのうち一方を入力軸と連結し、
第2リングギヤと第1キャリアおよび第2キャリアとの
うち他方を出力軸と連結するとともに、第2リングギヤ
を入力軸と連結した場合は第1リングギヤおよび第2サ
ンギヤをメンバーAとするとともに第1サンギヤをメン
バーBとし、第2リングギヤを出力軸と連結した場合は
第1サンギヤをメンバーAとするとともに第1リングギ
ヤおよび第2サンギヤをメンバーBとしたことを特徴と
する。
【0019】
【作用】請求項1に記載の本発明の自動車用駆動装置に
あっては、エンジンより入力軸に入力される駆動力を、
遊星歯車を介して出力軸へ伝達可能で、複数のモーター
を備えた自動車用駆動装置において、前記遊星歯車が、
この回転メンバーのうち減速駆動を得るべくケースに固
定可能なメンバーAと、増速駆動を得るべくケースに固
定可能なメンバーBとを備え、第1モーターが出力軸お
よびメンバーBと選択的に連結可能とするとともに、第
2モーターとメンバーAとを連結可能としたため、両モ
ーターの制御および第1モーターの連結関係の切り替え
によって無段階な変速を行うとともに、メンバーAを第
2モーターによってケースに固定することで機械的伝達
の減速駆動を行い、メンバーBを第1モーターによって
ケースに固定することで機械的伝達の増速駆動を行う。
【0020】また、請求項2に記載の本発明の自動車用
駆動装置にあっては、第1モーターと、出力軸およびメ
ンバーBとを連結する手段が、ヘリカル面を有する歯で
噛み合うコーンリングを備えて一方向のトルクが作用し
た際にセルフロック可能な円錐クラッチとしたため、連
結を必要とする場合に円錐クラッチをセルフロック状態
にして連結させ、連結が不要になると自動的に解除され
る。
【0021】また、請求項3に記載の本発明の自動車用
駆動装置にあっては、第1モーターが、出力軸およびメ
ンバーBの両者と同時に連結可能に構成したため、両者
を同時に連結することにより、遊星歯車全体を機械的に
一体にして直結駆動を行う。
【0022】また、請求項4に記載の本発明の自動車用
駆動装置にあっては、前記遊星歯車は、第1サンギヤと
第1リングギヤとこれらに噛み合う第1ピニヨンを支持
する第1キャリアとを有する第1遊星歯車と、第2サン
ギヤと第2リングギヤとこれらに噛み合う第2ピニヨン
を支持する第2キャリアを有する第2遊星歯車とを備
え、第1サンギヤと第2サンギヤとを連結し、第1リン
グギヤと第2キャリアとを出力軸と連結し、第1キャリ
アを入力軸と連結するとともに、第2リングギヤをメン
バーAとするとともに第1サンギヤおよび第2サンギヤ
をメンバーBとしたため、メンバーAと第2モーターを
連結するとともに、第1モーターとメンバーAおよび出
力軸とを選択的に連結し、各モーターを制御することに
より、無段階な変速の他に固定された変速比で減速・直
結・増速の各駆動を行う。
【0023】また、請求項5に記載の本発明の自動車用
駆動装置にあっては、前記遊星歯車は、第1サンギヤと
第1リングギヤとこれらに噛み合う第1ピニヨンを支持
する第1キャリアとを有する第1遊星歯車と、第2サン
ギヤと第2リングギヤとこれらに噛み合う第2ピニヨン
を支持する第2キャリアを有する第2遊星歯車とを備
え、第1リングギヤと第2キャリアとを出力軸と連結
し、第1キャリアと第2リングギヤとを入力軸と連結す
るとともに、第2サンギヤをメンバーAとし、第1サン
ギヤをメンバーBとしたため、メンバーAと第2モータ
ーを連結するとともに、第1モーターとメンバーAおよ
び出力軸とを選択的に連結し、各モーターを制御するこ
とにより、無段階な変速の他に固定された変速比で減速
・直結・増速の各駆動を行う。
【0024】また、請求項6に記載の本発明の自動車用
駆動装置にあっては、前記遊星歯車は、第1サンギヤが
第1ピニヨンを介してリングギヤに噛み合い、第2サン
ギヤが第1ピニヨンと第2ピニヨンとを介してリングギ
ヤに噛み合い、両ピニヨンがキャリアにより支持され、
リングギヤとキャリアとのうち一方を入力軸と連結し、
リングギヤとキャリアとのうち他方を出力軸と連結する
とともに、リングギヤと入力軸とを連結した場合は第1
サンギヤをメンバーAとするとともに第2サンギヤをメ
ンバーBとし、リングギヤと出力軸とを連結した場合は
第2サンギヤをメンバーAとするとともに第1サンギヤ
を前記メンバーBとしたため、メンバーAと第2モータ
ーを連結するとともに、第1モーターとメンバーBおよ
び出力軸とを選択的に連結し、各モーターを制御するこ
とにより、無段階な変速の他に固定された変速比で減速
・直結・増速の各駆動を行う。
【0025】さらに、請求項7に記載の本発明の自動車
用駆動装置にあっては、前記遊星歯車は、第1サンギヤ
と第1リングギヤとこれらに噛み合う第1ピニヨンを支
持する第1キャリアとを有する第1遊星歯車と、第2サ
ンギヤと第2リングギヤとこれらに噛み合う第2ピニヨ
ンを支持する第2キャリアを有する第2遊星歯車とを備
え、第1リングギヤと第2サンギヤとを連結し、第1キ
ャリアと第2キャリアとを連結し、第2リングギヤと第
1キャリアおよび第2キャリアとのうち一方を入力軸と
連結し、第2リングギヤと第1キャリアおよび第2キャ
リアとのうち他方を出力軸と連結するとともに、第2リ
ングギヤを入力軸と連結した場合は第1リングギヤおよ
び第2サンギヤをメンバーAとするとともに第1サンギ
ヤをメンバーBとし、第2リングギヤを出力軸と連結し
た場合は第1サンギヤをメンバーAとするとともに第1
リングギヤおよび第2サンギヤをメンバーBとしたた
め、メンバーAと第2モーターを連結するとともに、第
1モーターとメンバーBおよび出力軸とを選択的に連結
し、各モーターを制御することにより、無段階な変速の
他に固定された変速比で減速・直結・増速の各駆動を行
う。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に
基づき説明する。図1は、本発明の自動車用駆動装置に
おける主要部のスケルトン図である。第1遊星歯車10
は、第1サンギヤ12と、第1リングギヤ14と、第1
キャリア16および、該第1キャリア16に軸支され第
1サンギヤ12および第1リングギヤ14と噛み合う第
1ピニヨン18から構成されている。第2遊星歯車20
は、第2サンギヤ22と、第2リングギヤ24と、第2
キャリア26および、該第2キャリア26に軸支され第
2サンギヤ22および第2リングギヤ24と噛み合う第
2ピニヨン28から構成されている。
【0027】第1キャリア16は入力軸30と連結され
ている。入力軸30はエンジン70により駆動可能であ
る。出力軸32は、第1リングギヤ14および第2キャ
リア26と連結されるとともに駆動歯車36と一体にな
っており、駆動歯車36はアイドラ歯車38を介して出
力歯車40と連結されている。出力歯車40は差動装置
42を内包しており、左右の車軸44a、44bを介し
て図示しない自動車の車輪と連結されている。
【0028】第1サンギヤ12および第2サンギヤ22
は一体的に連結されるとともに、第1円錐クラッチ48
を介して第1モーター34の回転子34aと連結可能で
あり、第1モーター34の固定子34bはケース46に
固定されている。出力軸32は第2円錐クラッチ54を
介して第1モーター34の回転子34aと連結可能であ
る。
【0029】第1サンギヤ12を、第1円錐クラッチ4
8および第1モーター34を介してケース46に固定す
ると、後述するように入力軸30から出力軸32へ固定
された増速比で機械的な動力伝達を行うことができる。
このように、ケース46に固定することで機械的に増速
駆動が可能になる第1サンギヤ12のような回転メンバ
ーを、メンバーBと呼ぷ。
【0030】第2リングギヤ24は、第2モーター50
の回転子50aと連結されており、第2モーター50の
固定子50bはケース46に固定されている。第2モー
ター50により第2リングギヤ24をケース46に電気
的に固定すると、後述するように入力軸30から出力軸
32へ固定された減速比で機械的な動力伝達ができる。
このように、ケース46に固定することで機械的に減速
駆動が可能になる第2リングギヤ24のような回転メン
バーを、メンバーAと呼ぶ。
【0031】第1円錐クラッチ48および第2円錐クラ
ッチ54は、図1に示すように互いに対称に配置されて
いるが、ともに図7および図8に示すような構造になっ
ている。図7は第1円錐クラッチ48の要部断面であり
軸中心より上の部分を示す。図8は図7のC−C断面を
表す。以下、図7および図8に基づき第1円錐クラッチ
48を例に説明する。
【0032】第1サンギヤ12および第2サンギヤ22
と一体になった第1ハブ56と、第1コーンリング58
とは、一方がヘリカル面56a、58aで他方が平面5
6b、58bを形成した多数の歯56c、58c同士で
噛み合っており、第1コーンリング58は外側に円錐摩
擦面58dを有し、円錐摩擦面58dは第1モーター3
4の回転子34aと一体になった第1アウターリング6
0の円錐内面60dに対応している。
【0033】第1コーンリング58は溝58eを有し、
溝58eには第1フォーク62が係合しており、図示し
ないアクチュエーターにより必要に応じて第1コーンリ
ング58を左右に移動させることができる。尚、図示は
省略したが、第1モーター34の回転子34aと第1ハ
ブ56とは、それぞれ軸方向に移動しないようにベアリ
ング等を介して、ケース46に支持されている。
【0034】第1ハブ56と第1コーンリング58とが
噛み合っている歯56c、58cは、一方がヘリカル面
56a、58aであるため、ヘリカル面56a、58a
側に力が作用する方向のトルクが伝達されると、軸方向
のスラストが生じて第1ハブ56と第1コーンリング5
8とが互いに離反することになり、第1コーンリング5
8は図7において右側へ押され、前述の円錐摩擦面58
dと第1アウターリング60の円錐内面60d同士が押
しつけられる。
【0035】ここで、ヘリカル面56a、58aのリー
ドと、円錐摩擦面58d、円錐内面60dの円錐角とを
適切に設定しておくことによりワンウエイクラッチの機
能を持つ。すなわち、第1コーンリング58と第1アウ
ターリング60との間に一方向にトルクが作用する状態
において、前述の第1フォーク62により第1コーンリ
ング58を右側へ移動して円錐摩擦面58dを円錐内面
60dに軽く押しつけると、円錐摩擦面58dおよび円
錐内面60dの間に摩擦トルクが発生し、この摩擦トル
クによりヘリカル面56a、58aでスラストが生ず
る。
【0036】このスラストで円錐摩擦面58d、円錐内
面60dがさらに強く押しつけられ、大きなトルク伝達
が可能になる。そして、さらに大きなスラストを生ずる
結果、セルフロック状態になって第1コーンリング58
と第1アウターリング60とは一体的に連結される。
尚、第1フォーク62が第1コーンリング58を押しつ
ける荷重は、前記のセルフロックを起こすきっかけにす
るだけであり、わずかな力で済むとともに連結時の最初
だけ押しつければよく、非連結時は第1コーンリング5
8を逆方向(図7において左側)に移動させて円錐摩擦
面58dおよび60d同士の接触を防止する。
【0037】上記のセルフロックによる連結状態にあっ
ても、これと逆方向のトルクが作用した場合は、歯56
c、58cの平面56b、58b側に力が作用してスラ
ストを生じないため、前記のセルフロックは解消し、第
1円錐クラッチ48の連結は自動的に解除される。これ
が一方向のトルクのみ伝達するワンウエイクラッチの機
能である。
【0038】出力軸32と第1モーター34との間に
は、前述のように第1円錐クラッチ48と対称に配置さ
れた第2円錐クラッチ54が設けられ、第1円錐クラッ
チ48と同様に図示しない第2フォークの制御により、
出力軸32と第1モーター34とを連結可能であり、一
方向にのみ動力伝達することができるのも同じである。
【0039】第1円錐クラッチ48と第2円錐クラッチ
54は、それぞれ独立して作動させることが可能であ
り、選択的に一方を連結したり両者を同時に連結したり
でき、両者を同時に連結した場合には後述するように第
1遊星歯車10および第2遊星歯車20全体を一体的に
連結する。
【0040】第1モーター34および第2モーター50
とは、それぞれ回転方向を正転・逆転に切り替えられる
とともに、モーターとしての機能と発電機としての機能
を有しており、図示しないコントローラーからの指令で
任意に切り替えることができる。
【0041】図1に示す駆動装置を搭載した自動車は、
エンジン70と、第1モーター34および第2モーター
50の2種類の動力源を有するので、いわゆるハイブリ
ッド自動車を構成する。次に、上記構成の駆動装置の作
動について説明する。以下の説明で『正回転』とは、エ
ンジン70の回転方向と同じ方向の回転を言い、『逆回
転』とはその逆方向の回転を言う。
【0042】はじめに、図示しないバッテリーから供給
される電力による発進と加速を説明する。通常、自動車
が発進する際はエンジン70が停止している。まず、コ
ントローラーを介してバッテリーから第1モーター34
に正回転する方向に電流を流すとともに、図示しない第
2フォークで第2円錐クラッチ54を押しつけて連結さ
せる。つまり、第2円錐クラッチ54は第1モーター3
4から正回転方向に駆動されるとセルフロックするよう
に構成されている。このセルフロックにより第1モータ
ー34が出力軸32と連結される。第1モーター34の
回転子34aと連結された出力軸32は、アイドラ歯車
38、出力歯車40および差動装置42を介して左有の
車軸44a、44bを駆動する。図示しない車輪は車軸
44a、44bに駆動され、自動車は発進し加速を始め
る。
【0043】この際、エンジン70が停止しているた
め、入力軸30と連結された第1キャリア16は回転せ
ず、第1サンギヤ12および第2サンギヤ22は逆回転
し、第2リングギヤ24および第2モーター50は正回
転するが、いずれもトルクを伝達せず空転するのみであ
る。このように、第1モーター34のみで駆動する状態
を第1駆動モードと呼ぶ。
【0044】次に、さらに駆動力を強くするためにエン
ジン70を始動させる際の作動を説明する。この場合
は、第1モーター34での駆動に加えて正回転している
第2モーター50に発電させることで、第2リングギヤ
24に逆回転方向のトルクが作用して第1キャリア16
は正回転方向に駆動され、入力軸30を介してエンジン
70を回転させる。ここでエンジン70に燃料を供給し
たり図示しない点火回路を接続するなどの制御を行うと
エンジン70が始動する。
【0045】エンジン70が始動して駆動を始めると、
以下のように動力伝達が行われる。エンジン70の動力
は第1キャリア16に入って第1遊星歯車10でトルク
分割され、一部は第1リングギヤ14を通って出力軸3
2を駆動し、残りのトルクは第1サンギヤ12から第2
サンギヤ22へ伝えられ、第2ピニヨン28を介して第
2リングギヤ24を逆回転させる。ここで、直ちに第2
リングギヤ24とともに逆回転する第2モーター50を
発電機に切り替えて発電させ、第1モーター34に電力
を供給する。
【0046】第2モーター50が逆回転しながら発電す
ることで、出力軸32と連結された第2キャリア26に
正回転方向のトルクが作用するので、入力軸30から第
1遊星歯車10、第2遊星歯車20を介して出力軸32
に機械的に伝達されるトルクは以下になる。すなわち、
第1リングギヤ14の歯数に対する第1サンギヤ12の
歯数の比をα1とし、第2リングギヤ24の歯数に対す
る第2サンギヤ22の歯数の比をα2とすると、(α1
+α2+α1・α2)/(α2+α1・α2)倍に増大
されたトルクが機械的に伝達される。
【0047】実際に出力軸32を駆動するトルクは、上
記の機械的伝達分に第1モーター34の出力トルクが加
算されたものとなる。したがって、バッテリーから第1
モーター34に電力を供給し続ければ、第1モーター3
4はバッテリーからの電力と、第2モーター50が発電
した電力とで駆動することになり、出力軸32を駆動す
る動力源はエンジン70とバッテリーになる。
【0048】ここで、バッテリーからの電力供給をやめ
ると、第1モーター34は第2モーター50が発電した
電力のみで駆動することになり、出力軸32が第1遊星
歯車10、第2遊星歯車20を介して機械的に動力伝達
されるトルクも含めて動力源はエンジン70だけにな
る。このように、第2モーター50が逆回転で発電しな
がら、第1モーター34で駆動する状態を第2駆動モー
ドと呼ぶ。
【0049】この第2駆動モードにおける入力軸30の
回転数と出力軸32の回転数の比(変速比)は、入力軸
30に入るエンジン70のトルクの大きさと、自動車を
駆動する出力軸32のトルク(負荷)の大きさ、および
バッテリーから第1モーター34に供給される電力とで
自動的に決まる。また、第2モーター50が発電する電
力もそれらに応じて変化する。
【0050】すなわち、自動車が低速でエンジン70の
トルクが大きく出力軸32の負荷が大きい場合は、入力
軸30の回転数が出力軸32の回転数より大幅に高く、
徐々に自動車の速度が上昇して出力軸32の負荷が小さ
くなると、入力軸30の回転数が一定であっても出力軸
32の回転数が上昇するように無段階に変化する。と、
同時に第2モーター50の回転数は下降する。
【0051】そして、さらに車速が上昇したりエンジン
70の回転数が下降したりすると、第2リングギヤ24
とともに第2モーター50の回転数がさらに下がり、や
がて停止するに至る。第2リングギヤ24が停止するた
めには、バッテリーから第2モーター50に正回転方向
のトルクを発生させるように電力を供給して電気的にケ
ース46に固定する必要がある。通常、モーターは回転
数が0の状態で最も大きなトルクを出す特性を持つの
で、第2リングギヤ24をケース46に固定するのに要
する電力はわずかである。
【0052】このようにして、第2モーター50ととも
に第2リングギヤ24が停止すると、入力軸30の回転
数と出力軸32の回転数の比(変速比:出力軸回転数/
入力軸回転数)は、前述のトルク比の逆数、(α2+α
1・α2)/(α1+α2+α1・α2)になり、固定
された減速比の機械的な動力伝達になる。ここで、固定
された減速比を得るためにケース46に固定する第2リ
ングギヤ24が前述のように図1の実施形態におけるメ
ンバーAである。このように、固定された減速比の機械
的な動力伝達の状態を第3駆動モードと呼ぶ。
【0053】尚、第3駆動モードにおいても、バッテリ
ーから第1モーター34に電力を供給して機械的伝達の
動力に加勢することが可能であるし、逆に機械的な駆動
をしながら第1モーター34に発電させてバッテリーを
充電することもできる。第3駆動モードにおいては、第
1サンギヤ12および第2サンギヤ22は正回転してい
る。
【0054】第3駆動モードにおいて、第2モーター5
0が第2リングギヤ24の固定を維持したまま、バッテ
リーから第1モーター34に電力の供給をやめると、前
記のセルフロックは解消して第2円錐クラッチ54の連
結は自動的に解放される。第2円錐クラッチ54の連結
が解放されると、直ちに第1モーター34に正回転方向
の電力を供給する。第1モーター34の回転数が上昇し
てやがて第1サンギヤ12および第2サンギヤ22とほ
ぼ同じ回転数に至る。
【0055】ここで、第1フォーク62を作用させると
同時に第1モーター34を発電機に切り替えて第1円錐
クラッチ48を連結させる。すなわち、第1円錐クラッ
チ48は、第1サンギヤ12および第2サンギヤ22か
ら正回転で第1モーター34を駆動する方向においてセ
ルフロックするように構成されているので、第1モータ
ー34は第1サンギヤ12および第2サンギヤ22と連
結され、正回転で発電を開始する。合わせて、第1モー
ター34で発電した電力を第2モーター50へ供給して
正回転方向の駆動を行う。
【0056】この場合、バッテリーからも第2モーター
50へ電力供給することもできる。第2モーター50は
供給された電力により出力軸32と連結された第2キャ
リア26を駆動し、その反力トルクが第2サンギヤ22
に作用する。したがって、第1サンギヤ12に作用する
エンジン70からの入力トルクの一部と、前記第2サン
ギヤ22に作用する反力トルクとの差のトルクで、前記
のように第1円錐クラッチ48を介して第1モーター3
4を駆動し発電する。
【0057】この際、第1キャリア16から第1リング
ギヤ14へ機械的に伝達されるトルクは、エンジン70
から入力するトルクの1/(1+α1)になる。すなわ
ち、出力軸32に機械的に伝達されるトルクは入力軸3
0へ入るエンジン70のトルクより小さくなるが、出力
軸32にはさらに第2モーター50のトルクが(1+α
2)倍になって加わる。
【0058】この場合も、入力軸30の回転数と出力軸
32の回転数の比(変速比)は、入力軸30に入るエン
ジン70のトルクの大きさと、自動車を駆動する出力軸
32のトルク(負荷)の大きさ、およびバッテリーから
第2モーター50に供給される電力とで自動的に決ま
り、変速比は無段階に変化する。また、第1モーター3
4が発電する電力もそれらに応じて変化する。
【0059】例えば、バッテリーから第2モーター50
へ供給する電力を増やして、前記第2サンギヤ22に作
用する反力トルクとエンジン70から第1サンギヤ12
に作用するトルクが同じになると、第1モーター34を
駆動するトルクは0になり発電しなくなる。このよう
に、第1モーター34が発電するか否かを問わず、第2
モーター50が第2キャリア26を駆動し、かつ、出力
軸32の回転数が入力軸30の回転数より低い状態を第
4駆動モードと呼ぶ。
【0060】自動車の速度が上昇したりエンジン70の
回転数が下がると、やがて出力軸32と入力軸30の回
転数がほぼ同じに至る。ここで再び第2フォークを作用
させると第2円錐クラッチ54を連結することができ
る。すなわち、第4駆動モードにおいて出力軸32は入
力軸30の回転数よりやや低い回転数で正回転している
が、出力軸32の回転数が入力軸30の回転数を上回ろ
うとすると、第1サンギヤ12から駆動されている第1
モーター34が、第2円錐クラッチ54を介して出力軸
32を駆動する側にトルクが作用して前記と同様にセル
フロックする。この場合、第1円錐クラッチ48もセル
フロック状態が維持されているので、両円錐クラッチ5
4、48がともにセルフロック状態になる。このため、
第1遊星歯車10と第2遊星歯車20および第1モータ
ー34、第2モーター50、さらには出力軸32は、と
もに入力軸30と一体になって回転し、入力軸30と出
力軸32は機械的に直結される。
【0061】このように、入力軸30と出力軸32が機
械的に直結され、変速比が1になった状態を第5駆動モ
ードと呼ぶ。この直結は純粋に機械的に維持されるの
で、動力伝達のために消費する電力は0になる。無論、
第5駆動モードにおいてもバッテリーから第1モーター
34および第2モーター50に電力を供給して機械的な
動力伝達に加勢することが可能であるし、逆に機械的な
直結駆動をしながら第1モーター34および第2モータ
ー50に発電させてバッテリーを充電することもでき
る。特に、バッテリーから第1モーター34および第2
モーター50に電力を供給して両モーター34、50に
加勢させた場合は強力な駆動力を得ることができ、急加
速や登坂時に威力を発揮する。
【0062】この状態から再び第1モーター34に発電
させて第2モーター50に電力供給して、出力軸32の
回転数が入力軸30より高くなるように制御すると第2
円錐クラッチ54の連結は自動的に解除され、前述の第
4駆動モードと同様に、エンジン70の動力の一部で第
1サンギヤ12を介して第1モーター34が発電して第
2モーター50を駆動することになる。
【0063】この場合も、第4駆動モードと同様に、第
1キャリア16から第1リングギヤ14へ機械的に伝達
されるトルクは、入力軸30へ入るエンジン70のトル
クの1/(1+α1)倍になり、出力軸32へは第2キ
ャリア26を介して第2モーター50の出力トルクが
(1+α2)倍になって加わる。変速比はエンジン70
のトルクの大きさと、出力軸32のトルク(負荷)の大
きさ、およびバッテリーから第2モーター50に供給さ
れる電力とで無段階に変化する。また、第1モーター3
4が発電する電力もそれらに応じて変化する。このよう
に、第1モーター34が発電するか否かを問わず、第2
モーター50が第2キャリア26を駆動し、かつ、出力
軸32の回転数が入力軸30の回転数より高い状態を第
6駆動モードと呼ぶ。
【0064】この状態で、自動車の速度がさらに上昇す
るか、エンジン70の回転数が下がると、やがて第1サ
ンギヤ12および第2サンギヤ22の回転がほぼ停止す
るに至る。この際に、バッテリーから第1モーター34
に逆回転方向のトルクを出すように電力供給して、電気
的に第1サンギヤ12をケース46に固定する。第1サ
ンギヤ12をケース46に固定すると、変速比は(1+
α1)になり、入力軸30から出力軸32へ固定された
変速比で増速駆動される。このように、固定された増速
比を得るためにケース46に固定する第1サンギヤ12
が前述のように図1の実施形態におけるメンバーBであ
る。また、固定された変速比で機械的に増速駆動される
状態を第7駆動モードと呼ぶ。
【0065】第7駆動モードにおいても、バッテリーか
ら第2モーター50に電力を供給して機械的な動力伝達
に加勢することが可能であるし、逆に機械的な増速駆動
をしながら第2モーター50に発電させてバッテリーを
充電することもできる。
【0066】次に、自動車の速度を徐々に下げる場合、
および制動する場合について説明する。上記の第1駆動
モードから第7駆動モードのいずれの場合であっても、
運転者が自動車のスロットルペダルを解放したり、ブレ
ーキペダルを踏んで制動する場合には、直ちに上記の駆
動をやめてエンジン70を停止し、第2モーター50に
発電させる。と、同時に、発電した電力の一部を第1モ
ーター34に供給して逆転駆動する。
【0067】すなわち、入力軸30はエンジン70とと
もに停止しているので、出力軸32が正回転している場
合は第1サンギヤ12および第2サンギヤ22は逆回転
し、第2リングギヤ24は正回転方向に増速駆動され
る。ここで単に第2モーター50に発電させると、その
反力で逆回転している第2サンギヤ22も正回転方向に
トルクが作用して、結果的に入力軸30にも正回転方向
の駆動力が作用してエンジン70が回転させられること
になる。そこで、第1モーター34を逆回転方向に駆動
して前記反力を相殺することにより、入力軸30および
エンジン70の回転を防止する。この場合、第1円錐ク
ラッチ48は第1モーター34から逆回転方向のトルク
が作用する場合はセルフロックするので連結状態を維持
するが、第2円錐クラッチ54はセルフロックと逆方向
のトルクになるので連結が自動的に解除される。
【0068】また、第2モーター50の発電量に対して
第1モーター34への電力供給量はその一部で済むの
で、その差だけバッテリーを充電することができる。し
たがって、第2モーター50の発電量と第1モーター3
4への電力供給量を適切に制御することにより、エンジ
ン70を停止したまま適度な制動を行うとともに、従来
は摩擦ブレーキで熱に変えて捨てていた自動車の運動エ
ネルギーの一部を電気に変えてバッテリーに蓄え、いわ
ゆるエネルギー回生を行うことができる。エネルギー回
生でバッテリーに蓄えた電力は、次に自動車を加速する
際に使うことで自動車の燃料消費を少なくする効果が得
られる。
【0069】次に、自動車を後進させる場合について説
明する。エンジン70を停止した状態での後進は、バッ
テリーからの電力供給で第2モーター50を逆回転さ
せ、同時に第2サンギヤ22および第1円錐クラッチ4
8を介して第1モーター34に正回転の発電をさせるこ
とで発進から加速を行うことができる。すなわち、この
場合も第2モーター50が第2リングギヤ24を逆転さ
せて第2キャリア26を駆動すると、その反力が第2サ
ンギヤ22を正回転方向に作用する。この反力を受ける
のが第1モーター34であり、この場合もエンジン70
を停止したまま後進するように第2モーター50への電
力供給量と第1モーター34の発電量を適切に制御す
る。
【0070】この場合、第1モーター34で発電した電
力は第2モーター50への電力供給の一部になる。次
に、エンジン70が回転している状態で、発電しながら
後進する場合を説明する。この場合も、前進の第4駆動
モードと同様に第1サンギヤ12が第1円錐クラッチ4
8を介して第1モーター34に発電させながら、その電
力および場合によってバッテリーからの電力供給で第2
モーター50を逆回転駆動して後進することができる。
【0071】また、後進の制動時においては、第2円錐
クラッチ54を連結させて第1モーター34に発電させ
ることにより、前進と同様にエネルギー回生を行うこと
ができる。
【0072】以上のように、図1の実施形態にあって
は、第1モーター34とメンバーBの第1サンギヤ1
2、第2サンギヤ22および出力軸32との連結関係
と、メンバーAの第2リングギヤ24と連結された第2
モーター50と第1モーター34との駆動や発電、さら
にはケース46への固定などの制御により、前述の第1
駆動モードから第7駆動モードまでの多様な駆動モード
を選択して、自動車を走行させることができる。
【0073】特に、車速0の発進から第7駆動モードま
で無段階に変速できるとともに、減速、直結、増速の3
種類の固定された変速比の機械的な動力伝達が可能であ
ることが最大の特徴である。すなわち、機械的な動力伝
達においてはエンジン70の動力の一部で発電して第2
モーター50を駆動する電気ルートの動力伝達がないた
め、特に第3駆動モードと第5駆動モードにおいて従来
例より動力伝達効率が高くなり、走行負荷が大きい低速
加速や登坂時などにおいては減速の第3駆動モードを、
都市内の定常走行などにおいては車速に応じて減速の第
3駆動モードまたは直結の第5駆動モードを、高速走行
においては増速の第7駆動モードでの駆動比率を高くす
ることで自動車の燃費を良くすることができる。
【0074】また、第2および第3駆動モードにおいて
は、出力軸32へ機械的に伝達されるトルクが入力トル
クの(α1+α2+α1・α2)/(α2+α1・α
2)倍に増大されること、さらに第5駆動モードにおい
ては機械的な動力伝達に加えて両モーター34、50で
加勢することができるので、それぞれ従来例より大きな
駆動力を得ることができるので、加速能力や登坂能力を
高めることもできる。
【0075】次に、図2は、本発明の自動車用駆動装置
における他の実施形態を表すスケルトン図である。はじ
めに、図1の実施形態との違いを中心に説明する。2組
の遊星歯車10と20とを有することは図1と同じであ
るが、第1キャリア16と第2リングギヤ24とが連結
されるとともに入力軸30と連結しており、第1リング
ギヤ14と第2キャリア26とが連結されるとともに出
力軸32と連結している。
【0076】第1サンギヤ12は第1円錐クラッチ48
により第2モーター50と連結可能であるとともにメン
バーBを構成し、第2サンギヤ22は第2モーター50
と常に連結しているとともにメンバーAを構成する。出
力軸32は第2円錐クラッチ54を介して第2モーター
50と連結可能である。
【0077】詳細な説明は省略するが、以上の構成で、
各モーター34、50および第1円錐クラッチ48、第
2円錐クラッチ54を、図1の実施形態と同様に制御す
ることで第1駆動モードから第7駆動モードまでの多様
な駆動が可能になる。制動および後進についても同様で
ある。
【0078】したがって、図2の実施形態においても、
無段階な変速が可能であるとともに、各遊星歯車10お
よび20の歯数比α1、α2と変速比との関係は図1の
実施形態と異なるが、減速・直結・増速の固定された3
種類の変速比で機械的な動力伝達が可能であり、走行条
件に応じて適切な駆動モードを選択して燃費の良い走行
を行うことができる。また、第2および第3駆動モード
ならびに第5駆動モードにおいて、それぞれ従来例より
大きな駆動力を得ることができるのも同様である。
【0079】次に、図3は、本発明の自動車用駆動装置
における他の実施形態を表すスケルトン図である。図3
において、遊星歯車10はいわゆる複列の構成であり、
第1サンギヤ12と、第2サンギヤ22と、リングギヤ
14と、キャリア16および、該キャリア16に軸支さ
れ第1サンギヤ12およびリングギヤ14と噛み合う第
1ピニヨン18と、同じくキャリア16に軸支され第1
ピニヨン18および第2サンギヤ22と噛み合う第2ピ
ニヨン28から構成されている。キャリア16は入力軸
30と連結されている。入力軸30はエンジン70によ
り駆動される。
【0080】出力軸32は、リングギヤ14と連結され
るとともに第2円錐クラッチ54を介して第1モーター
34と連結可能である。出力軸32は駆動歯車36と一
体になっており、駆動歯車36は図1の実施形態と同様
に、図示しないアイドラ歯車などを介して自動車を駆動
する。第1サンギヤ12は第1円錐クラッチ48により
第1モーター34と連結可能であるとともにメンバーB
を構成し、第2サンギヤ22は第2モーター50と常に
連結しているとともに、メンバーAを構成する。
【0081】詳細な説明は省略するが、以上の構成で、
各モーター34、50および第1円錐クラッチ48、第
2円錐クラッチ54を、図1の実施形態と同様に制御す
ることで第1駆動モードから第7駆動モードまでの多様
な駆動が可能になる。制動および後進についても同様で
ある。
【0082】したがって、図4の実施形態においても、
無段階な変速が可能であるとともに、遊星歯車10の歯
数比α1(リングギヤ14の歯数に対する第1サンギヤ
12の歯数の比)、α2(リングギヤ14の歯数に対す
る第2サンギヤ22の歯数の比)と変速比との関係は図
1の実施形態と異なるが、減速・直結・増速の固定され
た3種類の変速比で機械的な動力伝達が可能であり、走
行条件に応じて適切な駆動モードを選択して燃費の良い
走行を行うことができる。また、第2および第3駆動モ
ードならびに第5駆動モードにおいて、それぞれ従来例
より大きな駆動力を得ることができるのも同様である。
【0083】次に、図4は、本発明の自動車用駆動装置
における他の実施形態を表すスケルトン図である。遊星
歯車10は、図3の実施形態と同様に複列の構成であ
り、第1サンギヤ12と、第2サンギヤ22と、リング
ギヤ14と、キャリア16と、該キャリア16に軸支さ
れ第1サンギヤ12およびリングギヤ14と噛み合う第
1ピニヨン18と、同じくキャリア16に軸支され第1
ピニヨン18および第2サンギヤ22と噛み合う第2ピ
ニヨン28から構成されている。
【0084】入力軸30および出力軸32と遊星歯車1
0の各回転メンバーとの連結関係は図3の実施形態と逆
になっている。すなわち、リングギヤ14は入力軸30
と連結され、出力軸32はキャリア16と連結されると
ともに第2円錐クラッチ54を介して第1モーター34
と連結可能である。出力軸32は駆動歯車36と一体に
なっており、駆動歯車36は図1の実施形態と同様に、
図示しないアイドラ歯車などを介して自動車を駆動す
る。また、メンバーAおよびメンバーBも図3の実施形
態と逆になり、第2サンギヤ22は第1円錐クラッチ4
8により第1モーター34と連結可能であるとともにメ
ンバーBを構成し、第1サンギヤ12は第2モーター5
0と常に連結しているとともに、メンバーAを構成す
る。
【0085】詳細な説明は省略するが、以上の構成で、
各モーター34、50および第1円錐クラッチ48、第
2円錐クラッチ54を、図1の実施形態と同様に制御す
ることで第1駆動モードから第7駆動モードまでの多様
な駆動が可能になる。制動および後進についても同様で
ある。
【0086】したがって、図4の実施形態においても、
無段階な変速が可能であるとともに、遊星歯車10の歯
数比α1、α2と変速比との関係は図1および図3の実
施形態と異なるが、減速・直結・増速の固定された3種
類の変速比で機械的な動力伝達が可能であり、走行条件
に応じて適切な駆動モードを選択して燃費の良い走行を
行うことができる。また、第2および第3駆動モードな
らびに第5駆動モードにおいて、それぞれ従来例より大
きな駆動力を得ることができるのも同様である。
【0087】次に、図5は、本発明の自動車用駆動装置
における他の実施形態を表すスケルトン図である。本実
施形態は、2組の遊星歯車10と20とを有することは
図1と同じであるが、第1リングギヤ14と第2サンギ
ヤ22とを連結し、第1キャリア16および第2キャリ
ア26とが連結されている。そして、第2リンギギヤ2
4と入力軸30とを連結し、両キャリア16、26と出
力軸32とを連結している。入力軸30はエンジン70
により駆動される。入力軸30と出力軸32は同じ軸心
であるが互いに逆方向に延びており、自動車の前方にエ
ンジンを配置した後輪駆動車に適した構成になってい
る。
【0088】また、第1リングギヤ14と第2サンギヤ
22とは第2モーター50と連結してメンバーAを構成
し、第1サンギヤ12がメンバーBを構成するととも
に、第1モーター34は第1円錐クラッチ48を介して
メンバーBの第1サンギヤ12と、第2円錐クラッチ5
4を介して出力軸32とそれぞれ選択的に連結可能であ
る。
【0089】詳細な説明は省略するが、以上の構成で、
各モーター34、50および第1円錐クラッチ48、第
2円錐クラッチ54を、図1の実施形態と同様に制御す
ることで第1駆動モードから第7駆動モードまでの多様
な駆動が可能になる。制動および後進についても同様で
ある。
【0090】したがって、図5の実施形態においても、
無段階な変速が可能であるとともに、遊星歯車10、2
0の歯数比α1、α2と変速比との関係は図1の実施形
態と異なるが、減速・直結・増速の固定された3種類の
変速比で機械的な動力伝達が可能であり、走行条件に応
じて適切な駆動モードを選択して燃費の良い走行を行う
ことができる。また、第2および第3駆動モードならび
に第5駆動モードにおいて、それぞれ従来例より大きな
駆動力を得ることができるのも同様である。
【0091】次に、図6は、本発明の自動車用駆動装置
における他の実施形態を表すスケルトン図である。本実
施形態も2組の遊星歯車10、20を有しており、遊星
歯車10、20同士の回転メンバーの連結関係は図5の
実施形態と同じであるが、入力軸30および出力軸32
との連結関係が逆になっている。すなわち、両キャリア
16、26と入力軸30とを連結し、第2リンギギヤ2
4と出力軸32とを連結している。入力軸30はエンジ
ン70により駆動される。入力軸30と出力軸32は同
じ軸心であるが互いに逆方向に延びており、自動車の前
方にエンジンを配置した後輪駆動車に適した構成になっ
ていることは図5の実施形態と同じである。
【0092】また、メンバーAとメンバーBの構成も図
5の実施形態と逆になっている。すなわち、第1サンギ
ヤ12が第2モーター50と連結してメンバーAを構成
し、第1リングギヤ14と第2サンギヤ22とはメンバ
ーBを構成するとともに、第1モーター34は第1円錐
クラッチ48を介してメンバーBの第1リングギヤ14
および第2サンギヤ22と、第2円錐クラッチ54を介
して出力軸32とそれぞれ選択的に連結可能である。
【0093】詳細な説明は省略するが、以上の構成で、
各モーター34、50および第1円錐クラッチ48、第
2円錐クラッチ54を、図1の実施形態と同様に制御す
ることで第1駆動モードから第7駆動モードまでの多様
な駆動が可能になる。制動および後進についても同様で
ある。
【0094】したがって、図6の実施形態においても、
無段階な変速が可能であるとともに、遊星歯車10、2
0の歯数比α1、α2と変速比との関係は図1および図
5の実施形態と異なるが、減速・直結・増速の固定され
た3種類の変速比で機械的な動力伝達が可能であり、走
行条件に応じて適切な駆動モードを選択して燃費の良い
走行を行うことができる。また、第2および第3駆動モ
ードならびに第5駆動モードにおいて、それぞれ従来例
より大きな駆動力を得ることができるのも同様である。
【0095】以上のように、本発明の各実施形態にあっ
ては、いずれの実施形態においても遊星歯車が、その回
転メンバーのうち減速駆動を得るべくケースに固定可能
なメンバーAと、増速駆動を得るべくケースに固定可能
なメンバーBとを備え、第1モーターが出力軸およびメ
ンバーBと選択的に連結可能であるとともに、第2モー
ターが前記メンバーAと連結していることが共通してい
る。
【0096】したがって、遊星歯車の構成は図で例示し
た各実施形態以外の組み合わせであっても、上記のよう
に、その回転メンバーのうち減速駆動を得るべくケース
に固定可能なメンバーAと、増速駆動を得るべくケース
に固定可能なメンバーBとを備えた構成であれば同様の
機能を得ることができる。
【0097】上述したように、本発明の各実施形態にあ
っては、いずれの実施形態においても発進から増速駆動
まで無段階に変速できるとともに、減速・直結・増速の
3種類の固定された変速比で機械的な動力伝達が可能で
あることが大きな特徴である。
【0098】したがって、無段階でスムーズな変速によ
って違和感のない走行が可能であるとともに、ハイブリ
ッド自動車の長所を生かして第1駆動モードや他の駆動
モードにおいても電気的な駆動と機械的な駆動を最適に
使い分け、様々な走行条件における燃費を良くすことが
できる。
【0099】また、特に固定された変速比の機械的動力
伝達においては電気ルートの動力伝達がなく動力伝達効
率が高いので、加速や登坂などの負荷が大きい走行にお
いては減速の第3駆動モードを、都市内の定常走行にお
いては車速に応じて減速の第3駆動モードまたは直結の
第5駆動モードを、高速走行においては増速の第7駆動
モードでの駆動を多用することで、各種の走行条件にお
いて最も燃費を良くするように制御することができる。
【0100】さらに、第2および第3駆動モードにおい
ては、出力軸32へ機械的に伝達されるトルクが入力ト
ルクより大きいこと、第5駆動モードにおいては機械的
な動力伝達に加えて両モーター34、50の加勢を得ら
れることで、それぞれ従来例より大きな駆動力を得るこ
とができ、加速能力や登坂能力を高めることができる。
【0101】本発明の自動車用駆動装置は、当業者の一
般的な知識に基づいて、固定された変速比の機械的伝達
を多用しつつ、変速のための円錐クラッチの切り替えを
スムーズに行うため、入力軸や出力軸およびメンバーB
の回転数を検出するなどして、エンジンおよび各モータ
ーを能動的に制御することや、燃費をよくするために固
定された変速比を適切に用いるように変速制御をプログ
ラム化すること、さらには第1モーターとメンバーBお
よび出力軸との連結手段を他の構造のクラッチにするな
どの変更や改良を加えた態様で実施することができる。
【00102】
【発明の効果】以上、説明してきたように、本発明の自
動車用駆動装置によれば、以下のような効果を得ること
ができる。 (1) 請求項1に記載の本発明の自動車用駆動装置に
よれば、エンジンより入力軸に入力される駆動力を、遊
星歯車を介して出力軸へ伝達可能で、複数のモーターを
備えた自動車用駆動装置において、前記遊星歯車が、こ
の回転メンバーのうち減速駆動を得るべくケースに固定
可能なメンバーAと、増速駆動を得るべくケースに固定
可能なメンバーBとを備え、第1モーターが出力軸およ
びメンバーBと選択的に連結可能とするとともに、第2
モーターとメンバーAとを連結可能としたため、第1モ
ーターの連結関係の切り替えおよび両モーターの制御に
よって無段階な変速を行うとともに、メンバーAを第2
モーターによってケースに固定することで機械的伝達の
減速駆動を行い、メンバーBを第1モーターによってケ
ースに固定することで機械的伝達の増速駆動を行うこと
ができるので、機械的伝達においては電気ルートの動力
伝達がなく、従来に比べて減速駆動における動力伝達効
率が高くなり、自動車の燃費を向上させることができ
る。
【0103】(2) 請求項2に記載の本発明の自動車
用駆動装置によれば、第1モーターと、出力軸およびメ
ンバーBとを連結する手段が、ヘリカル面を有する歯で
噛み合うコーンリングを備えて一方向のトルクが作用し
た際にセルフロック可能な円錐クラッチとしたため、連
結を必要とする場合に円錐クラッチをセルフロック状態
にして連結させ、連結が不要になると自動的に解除され
るので、減速などの機械的な駆動モードから無段階な駆
動モードへの移行や、駆動状態から制動作用への切り替
えをスムーズに行うことができる。。
【0104】(3) 請求項3に記載の本発明の自動車
用駆動装置によれば、第1モーターが、出力軸およびメ
ンバーBの両者と同時に連結可能に構成したため、両者
を同時に連結することにより、遊星歯車全体を機械的に
一体にして直結駆動を行うので、これも電気ルートの動
力伝達がなくなり動力伝達効率が高く、定常走行のよう
な直結駆動に適した走行条件における燃費を向上するこ
とができる。
【0105】(4) 請求項4に記載の本発明の自動車
用駆動装置によれば、前記遊星歯車は、第1サンギヤと
第1リングギヤとこれらに噛み合う第1ピニヨンを支持
する第1キャリアとを有する第1遊星歯車と、第2サン
ギヤと第2リングギヤとこれらに噛み合う第2ピニヨン
を支持する第2キャリアを有する第2遊星歯車とを備
え、第1サンギヤと第2サンギヤとを連結し、第1リン
グギヤと第2キャリアとを出力軸と連結し、第1キャリ
アを入力軸と連結するとともに、第2リングギヤをメン
バーAとするとともに第1サンギヤおよび第2サンギヤ
をメンバーBとしたため、メンバーAと第2モーターを
連結するとともに、第1モーターとメンバーAおよび出
力軸とを選択的に連結し、各モーターを制御することに
より、簡単な構成で無段階な変速の他に、固定された変
速比で減速・直結・増速の各駆動を行うことが可能にな
り、走行条件に応じて多様な駆動モードを使い分けて燃
費を向上させることができる。
【0106】(5) 請求項5に記載の本発明の自動車
用駆動装置によれば、前記遊星歯車は、第1サンギヤと
第1リングギヤとこれらに噛み合う第1ピニヨンを支持
する第1キャリアとを有する第1遊星歯車と、第2サン
ギヤと第2リングギヤとこれらに噛み合う第2ピニヨン
を支持する第2キャリアを有する第2遊星歯車とを備
え、第1リングギヤと第2キャリアとを出力軸と連結
し、第1キャリアと第2リングギヤとを入力軸と連結す
るとともに、第2サンギヤをメンバーAとし、第1サン
ギヤをメンバーBとしたため、メンバーAと第2モータ
ーを連結するとともに、第1モーターとメンバーAおよ
び出力軸とを選択的に連結し、各モーターを制御するこ
とにより、簡単な構成で無段階な変速の他に、固定され
た変速比で減速・直結・増速の各駆動を行うことが可能
になり、走行条件に応じて多様な駆動モードを使い分け
て燃費を向上させることができる。
【0107】(6) 請求項6に記載の本発明の自動車
用駆動装置によれば、前記遊星歯車は、第1サンギヤが
第1ピニヨンを介してリングギヤに噛み合い、第2サン
ギヤが第1ピニヨンと第2ピニヨンとを介してリングギ
ヤに噛み合い、両ピニヨンがキャリアにより支持され、
リングギヤとキャリアとのうち一方を入力軸と連結し、
リングギヤとキャリアとのうち他方を出力軸と連結する
とともに、リングギヤと入力軸とを連結した場合は第1
サンギヤをメンバーAとするとともに第2サンギヤをメ
ンバーBとし、リングギヤと出力軸とを連結した場合は
第2サンギヤをメンバーAとするとともに第1サンギヤ
を前記メンバーBとしたため、メンバーAと第2モータ
ーを連結するとともに、第1モーターとメンバーBおよ
び出力軸とを選択的に連結し、各モーターを制御するこ
とにより、簡単な構成で無段階な変速の他に、固定され
た変速比で減速・直結・増速の各駆動を行うことが可能
になり、走行条件に応じて多様な駆動モードを使い分け
て燃費を向上させることができる。
【0108】(7) 請求項7に記載の本発明の自動車
用駆動装置によれば、前記遊星歯車は、第1サンギヤと
第1リングギヤとこれらに噛み合う第1ピニヨンを支持
する第1キャリアとを有する第1遊星歯車と、第2サン
ギヤと第2リングギヤとこれらに噛み合う第2ピニヨン
を支持する第2キャリアを有する第2遊星歯車とを備
え、第1リングギヤと第2サンギヤとを連結し、第1キ
ャリアと第2キャリアとを連結し、第2リングギヤと第
1キャリアおよび第2キャリアとのうち一方を入力軸と
連結し、第2リングギヤと第1キャリアおよび第2キャ
リアとのうち他方を出力軸と連結するとともに、第2リ
ングギヤを入力軸と連結した場合は第1リングギヤおよ
び第2サンギヤをメンバーAとするとともに第1サンギ
ヤをメンバーBとし、第2リングギヤを出力軸と連結し
た場合は第1サンギヤをメンバーAとするとともに第1
リングギヤおよび第2サンギヤをメンバーBとしたた
め、メンバーAと第2モーターを連結するとともに、第
1モーターとメンバーBおよび出力軸とを選択的に連結
し、各モーターを制御することにより、簡単な構成で無
段階な変速の他に、固定された変速比で減速・直結・増
速の各駆動を行うことが可能になり、走行条件に応じて
多様な駆動モードを使い分けて燃費を向上させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動車用駆動装置のスケルトン図であ
る。
【図2】本発明の自動車用駆動装置における、他の実施
形熊のスケルトン図である。
【図3】本発明の自動車用駆動装置における、他の実施
形態の要部スケルトン図である。
【図4】本発明の自動車用駆動装置における、他の実施
形態の要部スケルトン図である。
【図5】本発明の自動車用駆動装置における、他の実施
形態のスケルトン図である。
【図6】本発明の自動車用駆動装置における、他の実施
形態のスケルトン図である。
【図7】本発明の自動車用駆動装置における、第1円錐
クラッチの要部断面図である。
【図8】図7のC−Cにおける断面図である。
【図9】従来例を示すスケルトン図である。
【符号の説明】
10:第1遊星歯車 12:第1サンギヤ 14:第1リングギヤ 16:第1キャリア 18:第1ピニヨン 20:第2遊星歯車 22:第2サンギヤ 24:第2リングギヤ 26:第2キャリア 28:第2ピニヨン 30:入力軸 32:出力軸 34:第1モーター 36:駆動歯車 38:アイドラ歯車 40:出力歯車 42:差動装置 44:車軸 46:ケース 48:第1円錐クラッチ 50:第2モーター 54;第2円錐クラッチ 56:第1ハブ 58:第1コーンリング 60:第1アウターリング 62:第1フォーク 70:エンジン

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンより入力軸に入力される駆動力
    を、遊星歯車を介して出力軸へ伝達可能で、複数のモー
    ターを備えた自動車用駆動装置において、前記遊星歯車
    が、この回転メンバーのうち減速駆動を得るべくケース
    に固定可能なメンバーAと、前記回転メンバーのうち増
    速駆動を得るべくケースに固定可能なメンバーBとを備
    え、前記複数のモーターのうちの第1モーターが前記出
    力軸および前記メンバーBと選択的に連結可能とすると
    ともに、前記複数のモーターのうちの第2モーターが前
    記メンバーAと連結可能であることを特徴とする自動車
    用駆動装置。
  2. 【請求項2】 前記第1モーターと前記出力軸および前
    記メンバーBとを連結する手段が、ヘリカル面を有する
    歯で噛み合うコーンリングを備えて一方向のトルクが作
    用した際にセルフロック可能な円錐クラッチであること
    を特徴とする請求項1に記載の自動車用駆動装置。
  3. 【請求項3】 前記第1モーターが、前記出力軸および
    前記メンバーBの両者と同時に連結可能であることを特
    徴とする請求項1および2に記載の自動車用駆動装置。
  4. 【請求項4】 前記遊星歯車は、第1サンギヤと第1リ
    ングギヤとこれらに噛み合う第1ピニヨンを支持する第
    1キャリアとを有する第1遊星歯車と、第2サンギヤと
    第2リングギヤとこれらに噛み合う第2ピニヨンを支持
    する第2キャリアを有する第2遊星歯車とを備え、前記
    第1サンギヤと前記第2サンギヤとを連結し、前記第1
    リングギヤと前記第2キャリアとを前記出力軸と連結
    し、前記第1キャリアを前記入力軸と連結するととも
    に、前記第2リングギヤを前記メンバーAとするととも
    に前記第1サンギヤおよび前記第2サンギヤを前記メン
    バーBとしたことを特徴とする請求項1乃至3に記載の
    自動車用駆動装置。
  5. 【請求項5】 前記遊星歯車は、第1サンギヤと第1リ
    ングギヤとこれらに噛み合う第1ピニヨンを支持する第
    1キャリアとを有する第1遊星歯車と、第2サンギヤと
    第2リングギヤとこれらに噛み合う第2ピニヨンを支持
    する第2キャリアを有する第2遊星歯車とを備え、前記
    第1リングギヤと前記第2キャリアとを前記出力軸と連
    結し、前記第1キャリアと前記第2リングギヤとを前記
    入力軸と連結するとともに、前記第2サンギヤを前記メ
    ンバーAとし、前記第1サンギヤを前記メンバーBとし
    たことを特徴とする請求項1乃至3に記載の自動車用駆
    動装置。
  6. 【請求項6】 前記遊星歯車は、第1サンギヤが第1ピ
    ニヨンを介してリングギヤに噛み合い、第2サンギヤが
    前記第1ピニヨンと第2ピニヨンとを介して前記リング
    ギヤに噛み合い、前記両ピニヨンがキャリアにより支持
    され、前記リングギヤと前記キャリアとのうち一方を前
    記入力軸と連結し、前記リングギヤと前記キャリアとの
    うち他方を前記出力軸と連結するとともに、前記リング
    ギヤと前記入力軸とを連結した場合は前記第1サンギヤ
    を前記メンバーAとするとともに前記第2サンギヤを前
    記メンバーBとし、前記リングギヤと前記出力軸とを連
    結した場合は前記第2サンギヤを前記メンバーAとする
    とともに前記第1サンギヤを前記メンバーBとしたこと
    を特徴とする請求項1乃至3に記載の自動車用駆動装
    置。
  7. 【請求項7】 前記遊星歯車は、第1サンギヤと第1リ
    ングギヤとこれらに噛み合う第1ピニヨンを支持する第
    1キャリアとを有する第1遊星歯車と、第2サンギヤと
    第2リングギヤとこれらに噛み合う第2ピニヨンを支持
    する第2キャリアを有する第2遊星歯車とを備え、前記
    第1リングギヤと前記第2サンギヤとを連結し、前記第
    1キャリアと前記第2キャリアとを連結し、前記第2リ
    ングギヤと前記第1キャリアおよび前記第2キャリアと
    のうち一方を前記入力軸と連結し、前記第2リングギヤ
    と前記第1キャリアおよび前記第2キャリアとのうち他
    方を前記出力軸と連結するとともに、前記第2リングギ
    ヤを前記入力軸と連結した場合は前記第1リングギヤお
    よび前記第2サンギヤを前記メンバーAとするとともに
    前記第1サンギヤを前記メンバーBとし、前記第2リン
    グギヤを前記出力軸と連結した場合は前記第1サンギヤ
    を前記メンバーAとするとともに前記第1リングギヤお
    よび前記第2サンギヤを前記メンバーBとしたことを特
    徴とする請求項1乃至3に記載の自動車用駆動装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000142135A (ja) * 1998-11-13 2000-05-23 Nissan Motor Co Ltd ハイブリッド車両用駆動装置
KR100623082B1 (ko) 2005-04-11 2006-09-14 다이모스(주) 차량용 무단변속장치
KR100624130B1 (ko) 2005-04-11 2006-09-19 다이모스(주) 하이브리드 차량용 무단변속장치
KR100893438B1 (ko) 2007-08-29 2009-04-17 현대자동차주식회사 하이브리드 차량의 동력전달시스템
US9969255B2 (en) 2016-04-26 2018-05-15 Hyundai Motor Company Power transmission system of hybrid electric vehicle

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