JPH11323044A - 表皮部材用熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

表皮部材用熱可塑性エラストマー組成物

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JPH11323044A
JPH11323044A JP10133535A JP13353598A JPH11323044A JP H11323044 A JPH11323044 A JP H11323044A JP 10133535 A JP10133535 A JP 10133535A JP 13353598 A JP13353598 A JP 13353598A JP H11323044 A JPH11323044 A JP H11323044A
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JP
Japan
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weight
olefin
thermoplastic elastomer
parts
elastomer composition
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Application number
JP10133535A
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Inventor
Kunihiko Mizumoto
本 邦 彦 水
Masato Karaiwa
岩 正 人 唐
Akira Uchiyama
山 晃 内
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】本発明の表皮部材用熱可塑性エラストマー
組成物は、特定のエチレン・α- オレフィン・非共役ポ
リエン共重合体ゴム、特定のペルオキシド分解型オレフ
ィン系プラスチック、および脂肪酸アミドを特定割合で
含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得ら
れる完全または部分的に架橋された熱可塑性エラストマ
ー組成物に、ポリオレフィン系樹脂および/またはオル
ガノポリシロキサン、さらに必要に応じて可塑剤、充填
剤等の添加剤が添加されてなる。 【効果】上記組成物は、高滑性で摺動性および耐摩耗性
に優れた成形品を提供することができ、しかも、押出成
形時における目ヤニの発生量を著しく少なくすることが
できる。また、この組成物は、剛性が適度で、たとえば
自動車の窓ガラスあるいはドアパネルに対する摺動性お
よび密着性に優れた成形品を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、表皮部材用熱可塑性エラ
ストマー組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】熱可塑性エラストマーの中でも、
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、近年、その
軽量性、環境安全性等の特徴を活かし、広範囲な用途に
使用されてきている。特に自動車用部品については、用
途が拡大してきており、とりわけ自動車の窓ガラス、ド
ア周辺に使用されているウェザーストリップ部材に使用
されるようになっていきている。このウェザーストリッ
プ部材は、ドアのサッシュ部あるいは車体開口部のフラ
ンジ等に装着され、窓ガラスあるいはドアパネル面と接
触させ、車内への風雨の侵入防止と車外の音の遮断を目
的として用いられる部材であり、窓ガラスあるいはドア
パネルとの密着性が要求されると同時に、その接触部で
は、窓ガラスあるいはドアパネルがスムーズに摺動ない
し開閉できるように、摩擦抵抗が出来る限り小さいこと
が要求される。
【0003】また、ポリオレフィン系熱可塑性エラスト
マーのウェザーストリップ以外の自動車用用途として
は、サスペンション系におけるショックアブソーバーの
ダストカバー、ステアリング系におけるラック・アンド
・ピニオンブーツ、ドライブ系における等速ジョイント
ブーツなどがある。これらは、いずれも伸縮自在な蛇腹
形状を有し、車外からの水、埃等の侵入を防止すること
を目的としている。これらの材質は、従来ゴム製であっ
たが、近年、ウェザーストリップと同様、熱可塑性エラ
ストマーが採用されてきている。しかしながら、これら
のブーツ類は、繰り返しの伸び縮みに対する耐久性が必
要であるが、縮んだ時に蛇腹部同士が互いに密着し、か
つ、摩擦を受けることにより、耐摩耗性が著しく悪くな
るという問題がある。この問題を解消する方法として、
従来、ブーツ表面に耐摩耗性の良い塗料を塗布したり、
ブーツ材料中に潤滑油やワックスを添加する方法が採ら
れているが、このような方法では、コスト高となった
り、物性が低下する等の問題が残されている。
【0004】ところで、ウェザーストリップのガラスあ
るいはパネルとの摺動面における摺動性、音の発生、表
面の外観性等の問題、ならびに等速ジョイントシート等
に見られるブーツ類の本体同士の摩耗破壊等の問題を解
決した表皮部材用ポリオレフィン樹脂組成物として、特
開平9−176408号公報には、完全または部分架橋
されたオレフィン系熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポ
リオレフィン樹脂、可塑剤および充填剤のブレンド物か
らなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物に、脂
肪酸アミドおよび/またはオルガノポリシロキサンを配
合してなる表皮部材用ポリオレフィン樹脂組成物(熱可
塑性エラストマー組成物)が開示されている。
【0005】しかしながら、この公報に開示されている
表皮部材用ポリオレフィン樹脂組成物は、押出成形時に
ダイに発生する目ヤニの量が一般的な樹脂に比べて多い
ため目ヤニが成形品に付着して外観不良になる場合があ
る。
【0006】したがって、高滑性で摺動性および耐摩耗
性に優れた成形品を提供することができるとともに、押
出成形時における目ヤニの発生量を著しく少なくするこ
とができる表皮部材用熱可塑性エラストマー組成物の出
現が望まれている。
【0007】なお、本明細書中、「目ヤニ」とは、熱可
塑性エラストマーの押出成形時にダイに付着する、原料
とは色または物性が異なる付着物を意味する。この目ヤ
ニには、黄色の粘着物質や、黒色の細かい粒などが知ら
れており、このような目ヤニは原料ポリマーの劣化物と
考えられているが、その発生メカニズムなどは未だ明ら
かにされていない。
【0008】
【発明の目的】本発明は、高滑性で摺動性および耐摩耗
性に優れた成形品を提供することができるとともに、押
出成形時における目ヤニの発生量を著しく少なくするこ
とができる表皮部材用熱可塑性エラストマー組成物を提
供することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】本発明に係る表皮部材用熱可塑性エラス
トマー組成物は、(A) (a)エチレンと炭素原子数が3〜20のα- オレフィ
ンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α- オレフィ
ン・非共役ポリエン共重合体ゴム40〜95重量部、
(b)炭素原子数3〜20のα- オレフィンの含有量が
50〜100モル%である単独重合体あるいは共重合体
であり、かつ、メルトフローレート(ASTMD-1238-65T,
230℃、2.16kg荷重)が0.5〜80g/10分である
ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチック5〜60
重量部、および(c)脂肪酸アミド0.1〜10重量部
[成分(a)と(b)との合計量は100重量部とす
る]からなる混合物を、架橋剤(d)の存在下で動的に
熱処理して得られる完全または部分的に架橋された熱可
塑性エラストマー組成物100重量部に対して、(B)
ポリオレフィン系樹脂5〜100重量部を添加してなる
ことを特徴としている。
【0010】また、本発明に係る他の表皮部材用熱可塑
性エラストマー組成物は、(A) (a)エチレンと炭素原子数が3〜20のα- オレフィ
ンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α- オレフィ
ン・非共役ポリエン共重合体ゴム40〜95重量部、
(b)炭素原子数3〜20のα- オレフィンの含有量が
50〜100モル%である単独重合体あるいは共重合体
であり、かつ、メルトフローレート(ASTMD-1238-65T,
230℃、2.16kg荷重)が0.5〜80g/10分である
ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチック5〜60
重量部、および(c)脂肪酸アミド0.1〜10重量部
[成分(a)と(b)との合計量は100重量部とす
る]からなる混合物を、架橋剤(d)の存在下で動的に
熱処理して得られる完全または部分的に架橋された熱可
塑性エラストマー組成物100重量部に対して、(C)
オルガノポリシロキサン0.1〜30重量部を添加して
なることを特徴としている。
【0011】さらに、本発明に係る他の表皮部材用熱可
塑性エラストマー組成物は、(A) (a)エチレンと炭素原子数が3〜20のα- オレフィ
ンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α- オレフィ
ン・非共役ポリエン共重合体ゴム40〜95重量部、
(b)炭素原子数3〜20のα- オレフィンの含有量が
50〜100モル%である単独重合体あるいは共重合体
であり、かつ、メルトフローレート(ASTMD-1238-65T,
230℃、2.16kg荷重)が0.5〜80g/10分である
ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチック5〜60
重量部、および(c)脂肪酸アミド0.1〜10重量部
[成分(a)と(b)との合計量は100重量部とす
る]からなる混合物を、架橋剤(d)の存在下で動的に
熱処理して得られる完全または部分的に架橋された熱可
塑性エラストマー組成物100重量部に対して、(B)
ポリオレフィン系樹脂5〜100重量部、および(C)
オルガノポリシロキサン0.1〜30重量部を添加して
なることを特徴としている。
【0012】上記のような、本発明に係る表皮部材用熱
可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性エラストマー組
成物(A)、およびポリオレフィン系樹脂(B)または
オルガノポリシロキサン(C)の他に、可塑剤および/
または充填剤を含有していてもよい。
【0013】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る表皮部材用熱
可塑性エラストマー組成物について具体的に説明する。
【0014】本発明に係る表皮部材用熱可塑性エラスト
マー組成物は、(A)エチレン・α- オレフィン・非共
役ポリエン共重合体ゴム(a)、ペルオキシド分解型オ
レフィン系プラスチック(b)、および脂肪酸アミド
(c)からなる混合物を、架橋剤(d)の存在下で動的
に熱処理して得られる完全または部分的に架橋された熱
可塑性エラストマー組成物に、(B)ポリオレフィン系
樹脂および/または(C)オルガノポリシロキサンが特
定割合で添加されている。
【0015】熱可塑性エラストマー組成物(A) 本発明で用いられる熱可塑性エラストマー組成物(A)
は、完全または部分的に架橋された熱可塑性エラストマ
ー組成物(以下、完全または部分架橋熱可塑性エラスト
マー組成物と称する場合がある。)であって、エチレン
・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(a)
と、ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチック
(b)と、脂肪酸アミド(c)とからなる。
【0016】ここに、架橋された熱可塑性エラストマー
組成物とは、オレフィン系熱可塑性エラストマーをペル
オキシドと熱反応させた際に生じる分解反応と架橋反応
の競争反応において、架橋反応が多い結果、組成物中の
重合体の分子量が増大する成分と、分解反応が多い結
果、組成物中の重合体の分子量が減少する成分とが共存
する熱可塑性エラストマー組成物をいう。
【0017】[エチレン・α- オレフィン・非共役ポリ
エン共重合体ゴム(a)]本発明で用いられるエチレン
・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(a)
は、エチレンと炭素原子数が3〜20のα- オレフィン
と非共役ポリエンとからなる無定形ランダムな弾性共重
合体であって、ペルオキシドと混合し、加熱下で混練す
ることによって、架橋して流動性が低下するか、あるい
は流動しなくなるオレフィン系共重合体ゴムをいう。
【0018】このようなオレフィン系共重合体ゴム
(a)としては、具体的には、エチレン・α- オレフィ
ン・非共役ジエン共重合体ゴム[エチレン/α- オレフ
ィン(モル比)=約90/10〜50/50]などが挙
げられる。
【0019】上記非共役ジエンとしては、具体的には、
ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオク
タジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボル
ネン等の非共役ジエンなどが挙げられる。これらのうち
では、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴ
ム、エチレン・1-ブテン・非共役ジエン共重合体ゴムが
好ましく、特にエチレン・プロピレン・非共役ジエン共
重合体ゴム、中でもエチレン・プロピレン・エチリデン
ノルボルネン共重合体ゴムが特に好ましい。
【0020】また、非共役ジエン以外の非共役ポリエン
としては、具体的には、6,10- ジメチル-1,5,9- ウンデ
カトリエン、5,9-ジメチル-1,4,8- デカトリエン、6,9-
ジメチル-1,5,8- デカトリエン、6,8,9-トリメチル-1,
5,8- デカトリエン、6-エチル-10-メチル-1,5,9- ウン
デカトリエン、4-エチリデン-1,6- オクタジエン、7-メ
チル-4- エチリデン-1,6- オクタジエン、7-メチル-4-
エチリデン-1,6- ノナジエン、7-エチル-4- エチリデン
-1,6- ノナジエン、6,7-ジメチル-4- エチリデン-1,6-
オクタジエン、6,7-ジメチル-4- エチリデン-1,6- ノナ
ジエン、4-エチリデン-1,6- デカジエン、7-メチル-4-
エチリデン-1,6- デカジエン、7-メチル-6- プロピル-4
- エチリデン-1,6- オクタジエン、4-エチリデン-1,7-
ノナジエン、8-メチル-4- エチリデン-1,7- ノナジエ
ン、4-エチリデン-1,7- ウンデカジエン等の非共役トリ
エンなどが挙げられる。
【0021】本発明で用いられるエチレン・α- オレフ
ィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(a)のムーニー粘
度[ML1+4 (100℃)]は、10〜250、特に3
0〜200の範囲内にあることが好ましい。
【0022】また、このエチレン・α- オレフィン・非
共役ポリエン共重合体ゴム(a)のヨウ素価は、25以
下であることが好ましい。エチレン・α- オレフィン・
非共役ポリエン共重合体ゴム(a)のヨウ素価がこのよ
うな範囲にあると、部分的にバランスよく架橋された熱
可塑性エラストマー組成物(A)が得られる。
【0023】上記のようなエチレン・α- オレフィン・
非共役ポリエン共重合体ゴム(a)は、エチレン・α-
オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(a)とペル
オキシド分解型オレフィン系プラスチック(b)との合
計量100重量部に対して、40〜95重量部、好まし
くは50〜90重量部の割合で用いられる。
【0024】本発明においては、本発明の目的を損なわ
ない範囲で、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエ
ン共重合体ゴム(a)と、エチレン・α- オレフィン・
非共役ポリエン共重合体ゴム(a)以外のゴムとを組合
わせて用いることもできる。このようなエチレン・α-
オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(a)以外の
ゴムとしては、たとえばスチレン・ブタジエンゴム(S
BR)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)等
のジエン系ゴム、シリコンゴムなどが挙げられる。
【0025】[ペルオキシド分解型オレフィン系プラス
チック(b)]本発明で用いられるペルオキシド分解型
オレフィン系プラスチック(b)は、炭素原子数が3〜
20のα- オレフィンの含有量が50〜100モル%で
ある単独重合体あるいは共重合体であって、ペルオキシ
ドと混合し、加熱下で混練することによって、熱分解し
て分子量を減じ、樹脂の流動性が増加するオレフィン系
のプラスチックをいう。このようなオレフィン系プラス
チック(b)の具体的な例としては、以下のような単独
重合体または共重合体が挙げられる。 (1)プロピレン単独重合体 (2)プロピレンと10モル%以下の他のα- オレフィ
ンとのランダム共重合体 (3)プロピレンと30モル%以下の他のα- オレフィ
ンとのブロック共重合体 (4)1-ブテン単独重合体 (5)1-ブテンと10モル%以下の他のα- オレフィン
とのランダム共重合体 (6)4-メチル-1- ペンテン単独重合体 (7)4-メチル-1- ペンテンと20モル%以下の他のα
- オレフィンとのランダム共重合体 上記のα- オレフィンとしては、具体的には、エチレ
ン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-
ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられる。上記のオレフ
ィン系プラスチック(b)の中でも、プロピレン単独重
合体と、プロピレン含量が50モル%以上のプロピレン
・α- オレフィン共重合体が好ましく、中でも、アイソ
タクチックポリプロピレン、プロピレン・α- オレフィ
ン共重合体、たとえばプロピレン・エチレン共重合体、
プロピレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・1-ヘキセ
ン共重合体、プロピレン・4-メチル-1- ペンテン共重合
体などが特に好ましい。
【0026】ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチ
ック(b)のメルトフローレート(ASTM D−12
38−65T,230℃、2.16kg荷重)は、0.
5〜80g/10分、特に0.6〜60g/10分の範
囲にあることが好ましい。
【0027】本発明においては、ペルオキシド分解型オ
レフィン系プラスチック(b)は、組成物の流動性の向
上、および耐熱性を向上させる役割をもつ。上記ペルオ
キシド分解型オレフィン系プラスチック(b)は、上述
したエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合
体ゴム(a)とペルオキシド分解型オレフィン系プラス
チック(b)との合計量100重量部に対して、5〜6
0重量部、好ましくは10〜50重量部の割合で用いら
れる。ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチック
(b)を上記割合で用いると、柔軟性に優れた成形品を
提供し得る、流動性が良好な組成物が得られる。
【0028】[脂肪酸アミド(c)]本発明で用いられ
る脂肪酸アミド(c)としては、具体的には、ステアロ
アミド、オキシステアロアミド、オレイルアミド、エル
カ酸アミド、ラウリルアミド、パルミチチルアミド、ベ
ヘンアミド、メチロールアミド等の高級脂肪酸のモノア
ミド類;メチレン・ビス・ステアロアミド、エチレン・
ビス・ステアロアミド、エチレン・ビス・オレイルアミ
ド、エチレン・ビス・ラウリルアミド等の高級脂肪酸の
ジアミド類;ステアリルオレイルアミド、N-ステアリル
エルクアミド、N-オレイルパルミトアミド等の高級脂肪
酸の複合型アミド類;プラストロジンTM(藤沢薬品工業
(株)製)、プラストロジンSTM(藤沢薬品工業(株)
製)等の商品名で市販されている特殊脂肪酸などが挙げ
られる。
【0029】これらの脂肪酸アミド(c)は、1種単独
で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ
る。脂肪酸アミド(c)は、エチレン・α- オレフィン
・非共役ポリエン共重合体ゴム(a)とペルオキシド分
解型オレフィン系プラスチック(b)との合計量100
重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.
5〜5重量部の割合で用いられる。脂肪酸アミド(c)
を上記割合で用いると、摺動性および耐摩耗性に優れた
成形品を提供することができるとともに、押出成形時に
おける目ヤニの発生量を著しく少なくすることができる
熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
【0030】[その他の成分]本発明で用いられる熱可
塑性エラストマー組成物(A)は、上述したエチレン・
α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(a)と
ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチック(b)の
他に、ペルオキシド非架橋型ゴム状物質および/または
ポリエチレン系重合体を含んでいてもよい。
【0031】このペルオキシド非架橋型ゴム状物質は、
ペルオキシドと混合し、加熱下で混練しても架橋せず、
流動性が低下しない炭化水素系のゴム状物質であり、具
体的には、ポリイソブチレン、ブチルゴム、プロピレン
含量が70モル%以上のプロピレン・エチレン共重合体
ゴム、プロピレン・1-ブテン共重合体ゴムなどが挙げら
れる。これらの内では、ポリイソブチレン、ブチルゴム
が性能および取扱い上好ましい。特にムーニー粘度[M
1+4 (100℃)]が60以下であるポリイソブチレ
ン、ブチルゴムが、組成物の流動性を改善する点で好ま
しい。
【0032】なお、本発明において「架橋する」とは、
重合体をペルオキシドと熱反応させた際に生じる分解反
応と架橋反応の競争反応において、架橋反応が多い結
果、組成物中の重合体の見かけの分子量が増大する現象
をいい、また、「分解する」とは、分解反応が多い結
果、重合体の見かけの分子量が減少する反応現象をい
う。
【0033】上記のペルオキシド非架橋型ゴム状物質
は、必要に応じて、エチレン・α- オレフィン・非共役
ポリエン共重合体ゴム(a)およびペルオキシド分解型
オレフィン系プラスチック(b)の合計量100重量部
に対して、5〜100重量部、好ましくは5〜50重量
部の割合で用いられる。
【0034】また、本発明で用いられる熱可塑性エラス
トマー組成物(A)は、エチレン・α- オレフィン・非
共役ポリエン共重合体ゴム(a)、ペルオキシド分解型
オレフィン系プラスチック(b)およびペルオキシド非
架橋型ゴム状物質の他に、鉱物油系軟化剤を含んでいて
もよい。
【0035】このような鉱物油系軟化剤としては、通常
ゴムをロール加工する際ゴムの分子間力を弱め、加工を
容易にするとともにカーブンブラック、ホワイトカーボ
ン等の分散を助け、あるいは加硫ゴムの硬度を低下せし
めて柔軟性を増す目的で使用されている高沸点の石油留
分が挙げられる。この石油留分は、パラフィン系、ナフ
テン系、あるいは芳香族系等に区分されている。
【0036】この鉱物油系軟化剤は、エチレン・α- オ
レフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(a)およびペ
ルオキシド分解型オレフィン系プラスチック(b)の合
計量100重量部に対して、5〜100重量部、好まし
くは5〜80重量部、さらに好ましくは5〜70重量部
の割合で用いられる。上記のような割合で鉱物油系軟化
剤を用いると、成形品の耐熱性、引張特性等の物性を低
下させることなく、熱可塑性エラストマー組成物の流動
性を十分に改善することができる。
【0037】本発明においては、上記鉱物油系軟化剤の
他に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じ
て、他の軟化剤を用いることもできる。さらに、本発明
で用いられる完全または部分架橋熱可塑性エラストマー
組成物(A)中に、必要に応じて、従来公知の耐熱安定
剤、耐候安定剤、老化防止剤、帯電防止剤、充填剤、着
色剤など添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配
合することができる。
【0038】[完全または部分架橋熱可塑性エラストマ
ー組成物(A)の調製方法]本発明で用いられる完全ま
たは部分架橋熱可塑性エラストマー組成物(A)は、上
述したエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重
合体ゴム(a)と、ペルオキシド分解型オレフィン系プ
ラスチック(b)と、脂肪酸アミド(c)と、必要に応
じペルオキシド非架橋型ゴム状物質、鉱物油系軟化剤等
とを含有するブレンド物を、架橋剤の存在下で動的に熱
処理することにより得ることができる。
【0039】本発明で用いられる架橋剤としては、有機
過酸化物、イオウ、イオウ化合物、フェノール樹脂等の
フェノール系加硫剤などが挙げられる。これらの中で
は、有機過酸化物が好ましい。
【0040】上記有機過酸化物としては、具体的には、
ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、
2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキ
サン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキ
シ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオキシイ
ソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert- ブチルペルオ
キシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-
4,4- ビス(tert- ブチルペルオキシ)バレレート、ベ
ンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシ
ド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert- ブチ
ルペルオキシベンゾエート、tert- ブチルペルベンゾエ
ート、tert- ブチルペルオキシイソプロピルカーボネー
ト、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシ
ド、tert- ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられ
る。
【0041】これらの内では、臭気性、スコーチ安定性
の点で、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキ
シ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペ
ルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオ
キシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert- ブチル
ペルオキシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、n-ブ
チル-4,4- ビス(tert- ブチルペルオキシ)バレレート
が好ましく、中でも、1,3-ビス(tert- ブチルペルオキ
シイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
【0042】本発明においては、有機過酸化物は、エチ
レン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム
(a)とペルオキシド分解型オレフィン系プラスチック
(b)との合計量100重量%に対して、0.05〜3
重量%、好ましくは0.1〜2重量%の割合で用いられ
る。
【0043】本発明においては、上記有機過酸化物によ
る部分架橋処理に際し、硫黄、p-キノンジオキシム、p,
p'- ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N-4- ジ
ニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグア
ニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニレンジ
マレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤、あるいはジ
ビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレング
リコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメ
タクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレー
ト、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリ
ルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノ
マー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような
多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
【0044】上記のような化合物を用いることにより、
均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明に
おいては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニル
ベンゼンは、取扱い易く、上記の被架橋処理物の主成分
であるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重
合体ゴム(a)、ペルオキシド分解型オレフィン系プラ
スチック(b)との相溶性が良好であり、かつ、有機過
酸化物を可溶化する作用を有し、有機過酸化物の分散剤
として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動
性と物性とのバランスのとれた熱可塑性エラストマー組
成物(A)が得られる。
【0045】本発明においては、上記のような架橋助剤
もしくは多官能性ビニルモノマーは、上記の被架橋処理
物全体に対して、0.1〜3重量%、特に0.3〜2重
量%の割合で用いるのが好ましい。架橋助剤もしくは多
官能性ビニルモノマーの配合割合が上記範囲にあると、
得られる熱可塑性エラストマー組成物(A)は、架橋助
剤および多官能性ビニルモノマーがエラストマー中に未
反応のモノマーとして残存することがないため、加工成
形の際に熱履歴による物性の変化が生じることがなく、
しかも、流動性に優れている。
【0046】上記の「動的に熱処理する」とは、上記の
ような各成分を融解状態で混練することをいう。動的な
熱処理は、解放型のミキシングロール、非解放型のバン
バリーミキサー、ニーダー、一軸または二軸押出機、連
続ミキサーなどの混練装置を用いて行なわれるが、非開
放型の混練装置中で行なうことが好ましい。また、動的
な熱処理は、窒素、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下で
行なうことが好ましい。
【0047】また、混練は、使用する有機ペルオキシド
の半減期が1分未満となる温度で行なうのが望ましい。
混練温度は、通常150〜280℃、好ましくは、17
0〜240℃であり、混練時間は、1〜20分間、好ま
しくは1〜5分間である。また、混練の際に加えられる
剪断力は、通常、剪断速度で10〜104 sec-1、好
ましくは102 〜104 sec-1の範囲内で決定され
る。
【0048】本発明において前記各成分を混合および混
練する際の好ましい方法としては、エチレン・α- オレ
フィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(a)と、ペルオ
キシド分解型オレフィン系プラスチック(b)と、脂肪
酸アミド(c)と、必要に応じてペルオキシド非架橋型
ゴム状物質、鉱物油系軟化剤等と、ジビニルベンゼンに
溶解させた有機ペルオキシドと、必要であれば、更に架
橋助剤、加硫促進剤等とをタンブラー型ブラベンダー、
V型ブラベンダー、ヘンシェルミキサー等の公知の混練
機で好ましくは50℃以下の温度で均一に混合し、次に
前記所定の条件下で混練する方法を採用することが望ま
しい。
【0049】上記のようにしてエチレン・α- オレフィ
ン・非共役ポリエン共重合体ゴム(a)が完全または部
分的に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(A)が
得られる。
【0050】なお、本発明において、熱可塑性エラスト
マー組成物が部分的に架橋されたとは、下記の方法で測
定したゲル含量が10重量%以上、好ましくは20〜9
7重量%、特に好ましくは30〜97重量%の範囲内に
ある場合をいい、また完全に架橋されたとは、このゲル
含量が97重量%を超える場合をいう。 [ゲル含量の測定法]熱可塑性エラストマー組成物の試
料を約100mg秤量し、これを0.5mm×0.5m
m×0.5mmの細片に裁断し、次いで、得られた細片
を密閉容器中にて30mlのシクロヘキサンに、23℃
で48時間浸漬する。
【0051】次に、この試料を濾紙上に取り出し、室温
で72時間以上、恒量になるまで乾燥する。この乾燥残
渣の重量から、ポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶
性成分(繊維状フィラー、充填剤、顔料等)の重量を減
じた値を、「補正された最終重量(Y)」とする。
【0052】一方、試料の重量から、ポリマー成分以外
のシクロヘキサン可溶性成分(たとえば軟化剤)の重
量、およびポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶性成
分(繊維状フィラー、充填剤、顔料等)の重量を減じた
値を、「補正された初期重量(X)」とする。
【0053】ここに、ゲル含量(シクロヘキサン不溶解
分)は、次の式で求められる。 ゲル含量[重量%]=[補正された最終重量(Y)/補
正された初期重量(X)]×100ポリオレフィン系樹脂(B) 本発明では、ポリオレフィン系樹脂(B)および後述す
るオルガノポリシロキサン(C)の少なくとも一方の成
分が用いられる。
【0054】本発明で用いられるポリオレフィン樹脂
(B)としては、具体的には、低密度ポリエチレン、直
鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、エチレン- プロピレン共重合体、ポリイソブ
チレンなどが挙げられる。
【0055】これらのポリオレフィン系樹脂は、1種単
独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ
る。本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂(B)の
密度(ASTM D 1505)は、通常0.84〜0.94g/c
3 、好ましくは0.86〜0.92g/cm3 であ
り、また、メルトフローレート(MFR;ASTM D 123
8,230℃、荷重2.16kg)は、通常0.5〜80g/10
分、好ましくは0.6〜60g/10分である。
【0056】ポリオレフィン系樹脂(B)は、上記熱可
塑性エラストマー組成物(A)100重量部に対して、
好ましくは5〜100重量部の割合で用いられる。ポリ
オレフィン系樹脂(B)を上記割合で用いると、剛性が
適度で、窓ガラスあるいはドアパネルに対する摺動性お
よび密着性に優れた成形品を調製できる熱可塑性エラス
トマー組成物が得られる。
【0057】オルガノポリシロキサン(C) 本発明で用いられるオルガノポリシロキサン(C)とし
ては、具体的には、ジメチルポリシロキサン、メチルフ
ェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロ
キサン等のポリシロキサン、およびこれらのポリシロキ
サンをエポキシ変性、アルキル変性、アミノ変性、カル
ボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、アルキル
アラルキルポリエーテル変性、エポキシポリエーテル変
性、あるいは他のポリエーテル変性した変性ポリシロキ
サンが挙げられる。
【0058】オルガノポリシロキサン(C)は、上記熱
可塑性エラストマー組成物(A)100重量部に対し
て、0.1〜30重量部、好ましくは1.0〜25重量
部の割合で用いられる。オルガノポリシロキサン(C)
を上記割合で用いると、摺動性および耐摩耗性がさらに
向上した成形品を提供できる熱可塑性エラストマー組成
物が得られる。
【0059】その他の成分 本発明に係る表皮部材用熱可塑性エラストマー組成物中
に、必要に応じて、可塑剤、充填剤、耐熱安定剤、老化
防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、金属セッケン、ワッ
クス等の滑剤、顔料、染料、核剤、難燃剤、ブロッキン
グ防止剤、加工助剤など添加剤を、本発明の目的を損な
わない範囲内で添加することができる。
【0060】上記可塑剤としては、パラフィン系、ナフ
テン系および芳香族系のプロセスオイルが好ましく用い
られる。上記充填剤としては、具体的には、炭酸カルシ
ウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、
シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、
硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩
基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイ
ト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、カーボン
繊維などが挙げられる。中でも、シリカうち、一般にホ
ワイトカーボンと称せられている乾式法および湿式法ホ
ワイトカーボン、合成ケイ酸塩系ホワイトカーボン、煙
霧状シリカを用いると、摺動性および耐摩耗性を向上さ
せると同時に加工時のスリップを防止する効果がある。
【0061】これらの充填剤は、1種単独で、あるいは
2種以上組み合わせて用いることができる。表皮部材用熱可塑性エラストマー組成物 本発明に係る表皮部材用熱可塑性エラストマー組成物
は、たとえば熱可塑性エラストマー組成物(A)のペレ
ット、ポリオレフィン系樹脂(B)、オルガノポリシロ
キサン(C)、さらには、可塑剤、充填剤等の添加剤を
一旦タンブラー型ブラベンダー、V型ブラベンダー、リ
ボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等で混練した後、
必要であれば解放型のミキシングロールや非解放型のバ
ンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサー等
で混練する方法を挙げることができる。
【0062】次に、上記のようにして得られた熱可塑性
エラストマー組成物から、従来公知の成形方法たとえば
押出成形、プレス成形、射出成形、カレンダー成形、ブ
ロー成形等の各種の成形方法を採用することができる。
これらの成形方法により、単層構造および2層以上の多
層構造の成形品を得ることができる。
【0063】
【発明の効果】本発明に係る表皮部材用熱可塑性エラス
トマー組成物は、その構成成分である熱可塑性エラスト
マー組成物(A)中に、エチレン・α- オレフィン・非
共役ポリエン共重合体ゴム(a)およびペルオキシド分
解型オレフィン系プラスチック(b)の他に、脂肪酸ア
ミド(c)を特定量配合されているので、高滑性で摺動
性および耐摩耗性に優れた成形品を提供することがで
き、しかも、押出成形時における目ヤニの発生量を著し
く少なくすることができる。また、本発明に係る表皮部
材用熱可塑性エラストマー組成物は、剛性が適度で、た
とえば自動車の窓ガラスあるいはドアパネルに対する摺
動性および密着性に優れた成形品を提供することができ
る。
【0064】上記のような効果を有する本発明に係る表
皮部材用熱可塑性エラストマー組成物は、特に自動車の
ガラスランチャンネル等のウェザーストリップ、サスペ
ンション系におけるショックアブソーバーのダストカバ
ー、ステアリング系におけるラック・アンド・ピニオン
ブーツ、ドライブ系における等速ジョイントブーツなど
の用途に好適である。
【0065】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これらの実施例により限定されるものではな
い。
【0066】なお、実施例、比較例で得られた熱可塑性
エラストマー組成物の押出成形時における目ヤニ発生
量、その射出成形品の摩擦係数および摩耗量を、次の方
法に従って測定した。 (1)目ヤニ発生量の測定方法 熱可塑性エラストマー組成物を使用し、スクリュー径が
50mm、L/Dが28、圧縮比が4.0のフルフライ
ト型スクリューを有する一軸押出機と、それに取り付け
た開口部25mm×1mmのダイを用いて、この一軸押
出機の導入部からダイ出口を160〜210℃のグラジ
エント昇温により、テープ状の成形品を20m/分で押
し出した場合に、10分間でダイ付近に発生する目ヤニ
を秤量した。
【0067】上記グラジエント昇温は、押出機の各ゾー
ン(C1〜C4)、ヘッド(H)およびダイ(D)の温
度を次の設定温度で行なった。 C1/C2/C3/C4/H/D=160/170/1
80/190/200/210(℃) (2)摩擦係数の測定方法 摩擦係数の測定は、インストロン型万能材料試験機を用
い、ガラス片の上に載置した熱可塑性エラストマー組成
物の射出成形試験片に100gの荷重をかけて200m
m/分のスピードで移動させたときの、初期のピークを
静摩擦、その後の定常状態を動摩擦として、各々の摩擦
係数を算出した。
【0068】上記試験片のサイズは、縦120mm×横
120mm×厚み3mmである。 (3)摩耗量の測定方法 摩耗量の測定は、図1に示すように、熱可塑性エラスト
マー組成物の射出成形試験片1表面に、ガラス摩擦子2
(幅20mm、厚み3mm)を接触させ、このガラス摩
擦子2に3kgの荷重をかけて10,000回の摺動試
験を行なった後の摩耗量(試験片1における摩耗個所の
凹部の深さ(μm))を断面を切り出して測定した。
【0069】
【実施例1】成分(a)としてエチレン・プロピレン・
エチリデンノルボルネン共重合体ゴム[エチレン含量=
78モル%、ムーニー粘度[ML1+4(100℃)]=16
0、ヨウ素価=13)62重量部と、成分(b)として
プロピレン単独重合体[メルトフローレート(ASTM D 1
238,230℃、荷重2.16kg)=20g/10分]38重量
部と、成分(c)としてエルカ酸アミド3重量部と、そ
の他の成分としてブチルゴム(IIR 065)17重量部、直
鎖状低密度ポリエチレン[密度(ASTM D 1505)=0.9
2g/cm3 、メルトフローレート(ASTM D1238,190
℃、荷重2.16kg)=18g/10分]25重量部および
プロセスオイル25重量部とからなる配合組成物のペレ
ット(I−1)と、この配合組成物の成分(a)と
(b)との合計量100重量部に対して、1,3-ビス(t-
ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン0.33重量
部をジビニルベンゼン0.5重量部に溶解分散させた溶
液をヘンシェルミキサーにより混合し、この溶液をペレ
ット(I−1)表面に均一に付着させた。
【0070】次いで、このペレット(I−1)を、押出
機を用いて窒素雰囲気下210℃で押し出して動的な熱
処理を行ない、ゲル含量が85重量%である部分架橋熱
可塑性エラストマー組成物(TPE−1)を得た。
【0071】上記のようにして得られた部分架橋熱可塑
性エラストマー組成物(TPE−1)100重量部と、
メルトフローレート(ASTM D 1238,230℃、荷重2.16k
g)が20g/10分、密度(ASTM D 1505)が0.91
g/cm3 であるホモポリプロピレン35重量部と、オ
ルガノポリシロキサン(東レダウコーニングシリコーン
社製のBY27−001)7重量部とを、ペレタイザー
を備えた押出機で溶融混練しペレット(II−1)と調製
した。
【0072】次いで、このペレット(II−1)を用い
て、射出成形し、縦120mm、横120mm、厚み3
mmの摩擦係数測定用試験片と縦200mm、横200
mm、厚み3mmの摩耗量測定用試験片を作製し、それ
ぞれ上記方法に従って、摩擦係数と摩耗量を測定した。
【0073】さらに、このペレット(II−1)を用い
て、上記方法に従って、押出成形時における目ヤニ発生
量を測定した。これらの結果を第1表に示す。
【0074】
【実施例2】実施例1のペレット(II−1)の調製にお
いて、ホモポリプロピレンの配合量を35重量部から2
0重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ペ
レット(II−2)を調製した。
【0075】以下、このペレット(II−2)を用い、実
施例1と同様にして、摩擦係数、摩耗量および押出成形
時における目ヤニ発生量を測定した。その結果を第1表
に示す。
【0076】
【比較例】実施例1のペレット(I−1)の調製と同様
にして調製したエルカ酸アミドを含まない配合組成物の
ペレット(I−2)を用いた以外は、実施例1と同様に
して、ゲル含量が85重量%である部分架橋熱可塑性エ
ラストマー組成物(TPE−2)を得た。
【0077】上記のようにして得られた部分架橋熱可塑
性エラストマー組成物(TPE−2)100重量部と、
メルトフローレート(ASTM D 1238,230℃、荷重2.16k
g)が20g/10分、密度(ASTM D 1505)が0.91
g/cm3 であるホモポリプロピレン35重量部と、オ
ルガノポリシロキサン(東レダウコーニングシリコーン
社製のBY27−001)7重量部と、エルカ酸アミド
2重量部とを、ペレタイザーを備えた押出機で溶融混練
し、ペレット(II−3)と調製した。
【0078】以下、このペレット(II−3)を用い、実
施例1と同様にして、摩擦係数、摩耗量および押出成形
時における目ヤニ発生量を測定した。その結果を第1表
に示す。
【0079】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る表皮部材用熱可塑性エラ
ストマー組成物の射出成形試験片における摩擦係数の測
定方法を説明するための概略斜視図である。
【符号の説明】 1 ・・・ 試験片 2 ・・・ ガラス摩擦子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C08L 23/16 83:04)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) (a)エチレンと炭素原子数が3〜20のα- オレフィ
    ンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α- オレフィ
    ン・非共役ポリエン共重合体ゴム40〜95重量部、 (b)炭素原子数3〜20のα- オレフィンの含有量が
    50〜100モル%である単独重合体あるいは共重合体
    であり、かつ、メルトフローレート(ASTMD-1238-65T,
    230℃、2.16kg荷重)が0.5〜80g/10分である
    ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチック5〜60
    重量部、および (c)脂肪酸アミド0.1〜10重量部 [成分(a)と(b)との合計量は100重量部とす
    る]からなる混合物を、 架橋剤(d)の存在下で動的に熱処理して得られる完全
    または部分的に架橋された熱可塑性エラストマー組成物
    100重量部に対して、(B)ポリオレフィン系樹脂5
    〜100重量部を添加してなることを特徴とする表皮部
    材用熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 【請求項2】(A) (a)エチレンと炭素原子数が3〜20のα- オレフィ
    ンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α- オレフィ
    ン・非共役ポリエン共重合体ゴム40〜95重量部、 (b)炭素原子数3〜20のα- オレフィンの含有量が
    50〜100モル%である単独重合体あるいは共重合体
    であり、かつ、メルトフローレート(ASTMD-1238-65T,
    230℃、2.16kg荷重)が0.5〜80g/10分である
    ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチック5〜60
    重量部、および (c)脂肪酸アミド0.1〜10重量部 [成分(a)と(b)との合計量は100重量部とす
    る]からなる混合物を、 架橋剤(d)の存在下で動的に熱処理して得られる完全
    または部分的に架橋された熱可塑性エラストマー組成物
    100重量部に対して、(C)オルガノポリシロキサン
    0.1〜30重量部を添加してなることを特徴とする表
    皮部材用熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 【請求項3】(A) (a)エチレンと炭素原子数が3〜20のα- オレフィ
    ンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α- オレフィ
    ン・非共役ジエン共重合体ゴム40〜95重量部、 (b)炭素原子数3〜20のα- オレフィンの含有量が
    50〜100モル%である単独重合体あるいは共重合体
    であり、かつ、メルトフローレート(ASTMD-1238-65T,
    230℃、2.16kg荷重)が0.5〜80g/10分である
    ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチック5〜60
    重量部、および (c)脂肪酸アミド0.1〜10重量部 [成分(a)と(b)との合計量は100重量部とす
    る]からなる混合物を、架橋剤(d)の存在下で動的に
    熱処理して得られる完全または部分的に架橋された熱可
    塑性エラストマー組成物100重量部に対して、(B)
    ポリオレフィン系樹脂5〜100重量部、および(C)
    オルガノポリシロキサン0.1〜30重量部を添加して
    なることを特徴とする表皮部材用熱可塑性エラストマー
    組成物。
  4. 【請求項4】熱可塑性エラストマー組成物(A)、およ
    びポリオレフィン系樹脂(B)またはオルガノポリシロ
    キサン(C)の他に、可塑剤を含有していることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載の表皮部材用熱可
    塑性エラストマー組成物。
  5. 【請求項5】熱可塑性エラストマー組成物(A)、およ
    びポリオレフィン系樹脂(B)またはオルガノポリシロ
    キサン(C)の他に、充填剤を含有していることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれかに記載の表皮部材用熱可
    塑性エラストマー組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012031342A (ja) * 2010-08-02 2012-02-16 Mitsui Chemicals Inc ゴム組成物およびその用途
WO2021193554A1 (ja) * 2020-03-27 2021-09-30 三井化学株式会社 熱可塑性エラストマー組成物およびその成形体

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