JPH11297342A - ハニカム一体構造の固体電解質型燃料電池 - Google Patents

ハニカム一体構造の固体電解質型燃料電池

Info

Publication number
JPH11297342A
JPH11297342A JP10102872A JP10287298A JPH11297342A JP H11297342 A JPH11297342 A JP H11297342A JP 10102872 A JP10102872 A JP 10102872A JP 10287298 A JP10287298 A JP 10287298A JP H11297342 A JPH11297342 A JP H11297342A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
channel
honeycomb
separator
row
channel row
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10102872A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasunobu Mizutani
安伸 水谷
Masayuki Kawai
雅之 河合
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toho Gas Co Ltd
Original Assignee
Toho Gas Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toho Gas Co Ltd filed Critical Toho Gas Co Ltd
Priority to JP10102872A priority Critical patent/JPH11297342A/ja
Publication of JPH11297342A publication Critical patent/JPH11297342A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 セパレータチャネルの電気抵抗を小さくする
ことにより、セパレータチャネルでの電力ロスを低減
し、発電効率の高いハニカム一体構造の固体電解質型燃
料電池(SOFC)を提供すること。 【解決手段】 断面正方形状をした多数のハニカムチャ
ネル12,12…が縦横に列設されるイットリア安定化
ジルコニア(YSZ)から成るハニカム構造体の内壁
に、燃料極(Ni−YSZ)が設けられた燃料極チャネ
ル列14,14…と、空気極(La1−xSrMnO
) が設けられた空気極チャネル列16,16…と、
セパレータ(LaCrO) が設けられたセパレータ
チャネル列18,18…とを順次積層状に形成すると共
に、セパレータチャネル列18、18…と燃料極チャネ
ル列14、14…及び空気極チャネル列16、16…と
の間の隔壁にスリット19、19…を設けるようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハニカム一体構造
の固体電解質型燃料電池に関し、さらに詳しくは、断面
多角形状をした多数のハニカムチャネルが縦横に列設さ
れるハニカム構造体を固体電解質材料により一体的に形
成し、各ハニカムチャネル内壁面に燃料極、空気極、セ
パレータを設けるようにしたハニカム一体構造の固体電
解質型燃料電池(以下、「SOFC」と称する)に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】固体電解質型燃料電池(SOFC)は、
電解質材料としてリン酸水溶液や溶融炭酸塩等といった
液体状材料の代わりにイオン導電性を有する固体材料が
用いられたものであり、他の燃料電池に比べて発電効率
がよく、排熱温度が高いという特性を有している。これ
によれば、効率的な利用が可能な発電システムを構築で
きるため、固体電解質型燃料電池(SOFC)は、近年
特に注目を浴びている。
【0003】このSOFCの構造としては、単電池を多
数積層した積層構造が一般的であるが、これは各単電池
の電圧が1V以下と低いためである。したがって、SO
FCを実用化するためには、各単電池が複数直列に接続
された積層構造にする必要があるが、さらに電池を大容
量化するためには、積層段数を増やす他、多数の電池を
並列に接続して集積化することが必要になる。この集積
構造としては、平板型SOFC及び円筒型SOFCが周
知の技術としてよく知られている。
【0004】このうち、平板型SOFCは、一般的に図
14に示す全体構造を有しており、このSOFCを構成
する各単電池の構造としては、イットリア安定化ジルコ
ニア(Y Stabilized ZrO
材料あるいはスカンジア安定化ジルコニア(Sc
Stabilized ZrO) 材料による固体
電解質板100の両面にニッケル−サーメット系材料に
よる燃料極102及びランタンストロンチウムマンガナ
イト系材料による空気極104の薄膜がコーティングさ
れた単電池106がランタンクロマイト系セラミックス
材料もしくは耐熱金属材料によるセパレータ108を介
して積層された多層構造のものが良好な導電機能を有す
るものとして既に提案されている。
【0005】そしてこの多層構造を利用して大容量の燃
料電池を得るには、さらに多数の単電池及びこれらの単
電池を積層するための電気的な接続部材(平板型SOF
Cではセパレータ、円筒型SOFCではNiフェルトが
用いられている)が必要になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに従来一般に知られる積層タイプのSOFCでは単電
池とセパレータとが別個の部材となり、これらの組立工
程が必要になるばかりでなく、燃料ガス供給管や空気供
給管なども配設する必要があることから多数の部材が必
要になり、コストアップにつながるという欠点がある。
また、平板型SOFCの場合、各単電池の接続部材(セ
パレータ)にガス通路が設けられるがその形状は複雑な
ため、製造工程にコストがかかり、結果としてセパレー
タが高価になるという問題がある。また、円筒型SOF
Cの場合、各単電池は電気化学蒸着(EVD)等の高価
な薄膜製造プロセスにより製造されるため、単電池その
ものが極めて高価なものになるという問題がある。
【0007】さらに、上述の平板型SOFCにあっては
セパレータのガス通路が複雑になると、圧力損失が大き
くなる上、各単電池がジルコニアの薄板により形成され
るため、構造強度が弱くなってしまう。また、円筒型S
OFCにあっては各単電池が多孔質空気極の円筒により
形成されるため、やはり構造強度が弱くなってしまう。
加えて、平板型/円筒型SOFCの各単電池間の電気
的接続は接触のみであるため、この接触抵抗による電力
ロスが大きく、また、長期的にはこの部分での信頼性が
低下するという問題も指摘されている。
【0008】また、平板型SOFCの場合、積層構造に
する製造上の都合から、各単電池とその接続部材(セパ
レータ)の熱膨張係数を一致させる必要があるととも
に、ガスシールが難しいという欠点がある。
【0009】そこで、多数の単電池をより効率的に集積
する構造として、各単電池間に接続部材を介設すること
なくハニカム構造体としたものが特公昭60−2330
1号公報に開示されている。このハニカム構造体は、ハ
ニカム形状の固体電解質材料による各隔壁の両面に電極
が設けられるとともに、各隔壁によって区切られた各空
間をそれぞれ陽極層又は陰極層として機能させることに
より所望の容量が得られるようにしたものである。
【0010】しかしながら、この特公昭60−2330
1号公報に開示されたハニカム構造体によれば、各隔壁
によって交互に配置される陽極層と陰極層とを電気的に
接続する接続部材に相当する構成部材が介設されていな
いため、個々に独立して隣接するはずの各単位電池の同
極層同士がその間にある異極層に対して該同極の機能を
もって作用するという不都合が発生することがある。そ
うするとその同極層同士は互いに電流が反対方向に流れ
るように機能することになり、結果として所望の電流及
び電圧が取り出せなくなるという問題が発生する。ま
た、端部で電気的接続を行った場合には、電流経路が長
くなるため、高い発電性能は期待できない。
【0011】そこで、上述のような問題を解決するため
に、本願発明者は、特願平8−354848号におい
て、断面多角形状をした多数のハニカムチャネルが縦横
に列設されるハニカム構造体を固体電解質材料により一
体的に形成すると共に、ハニカムチャネル内壁面に燃料
極が設けられた燃料極チャネル列と、ハニカムチャネル
内壁面に空気極が設けられた空気極チャネル列と、ハニ
カムチャネル内壁面にセパレータ(インターコネクタ)
が設けられたセパレータ(インターコネクタ)チャネル
列とを順次積層状に形成した固体電解質型燃料電池を提
案している。
【0012】特願平8−354848号に開示された方
法によれば、各単位電池は、セパレータチャネルで電気
的に連結されるので、各単位電池を白金等の電極により
連結する必要がなくなり、各単位電池の同極層同士がそ
の間にある異極層に対して該同極の機能をもって作用す
るという不都合や、電流経路が長くなることに起因する
発電性能の低下という不都合を回避できるものである。
【0013】しかしながら、ハニカム構造体の内壁面に
単に燃料極、空気極、及びセパレータ材をコーティング
しただけでは、セパレータをコーティングした部分(セ
パレータチャネル)の電気抵抗が高く、この部分で発電
した電力の大半をロスしていることがわかった。
【0014】本発明の解決しようとする課題は、ハニカ
ムチャネル内壁面に燃料極が設けられた燃料極チャネル
列と、ハニカムチャネル内壁面に空気極が設けられた空
気極チャネル列と、ハニカムチャネル内壁面にセパレー
タが設けられたセパレータチャネル列とを順次積層状に
形成したハニカム一体構造の固体電解質型燃料電池(S
OFC)において、セパレータチャネルの電気抵抗を小
さくすることにより、セパレータチャネルでの電力ロス
を低減し、発電効率の高いハニカム一体構造の固体電解
質型燃料電池(SOFC)を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明に係るハニカム一体構造の固体電解質型燃料電
池(SOFC)は、断面多角形状をした多数のハニカム
チャネルが縦横に列設されるハニカム構造体を固体電解
質材料により一体的に形成し、ハニカムチャネル内壁面
に燃料極が設けられた燃料極チャネル列と、ハニカムチ
ャネル内壁面に空気極が設けられた空気極チャネル列
と、ハニカムチャネル内壁面にセパレータが設けられた
セパレータチャネル列とを順次積層状に形成すると共
に、前記セパレータチャネル列と前記燃料極チャネル列
との間の隔壁、及び前記セパレータチャネル列と前記空
気極チャネル列との間の隔壁にスリットを設けたことを
要旨とするものである。
【0016】その場合に前記固体電解質材料としては、
従来一般に知られるイットリア安定化ジルコニア(YS
Z)の他、本願出願人による特開平7−6774号公報
等に示されるスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)
やセリア(CeO) 等を適用することが最適であ
る。また、前記ハニカム一体構造は、このジルコニア
(ZrO) を押し出し成形することにより成形され
る断面多角形状をした多数のハニカムチャネルが一体的
に成形されたジルコニアハニカム成形体とされた後、焼
成処理を経てジルコニアハニカムとして得られるもので
ある。
【0017】また、前記セパレータチャネル列と前記燃
料極チャネル列との間の隔壁、及び前記セパレータチャ
ネル列と前記空気極チャネル列との間の隔壁に設けられ
るスリットは、ハニカム成形体を押し出し成形した後
に、隔壁に切り込みを入れることにより形成してもよい
が、押し出し成形用の金型のスリットに相当する部分に
突起を設ければ、隔壁の所定の位置にスリットを有する
ハニカム成形体を容易に押し出し成形するができる。
【0018】この場合に、押し出し成形により一体的に
形成される多数のハニカムチャネルの断面多角形状は、
三角形、四角形、六角形その他任意の形状からなるもの
である。例えば、四角形のハニカムチャネルが縦横に列
設され、上から順に燃料極チャネル列、空気極チャネル
列、セパレータチャネル列が形成されたもの、あるいは
六角形のハニカムチャネルが縦横に列設されたもので
も、同じように上から順に燃料極チャネル列、空気極チ
ャネル列、セパレータチャネル列が形成されたものなど
が例として挙げられる。各ハニカムチャネルの断面形状
が正方形である場合には、各チャネル列の各ハニカムチ
ャネルがそれぞれ斜め格子状に連設されている形態のも
のも挙げられる。
【0019】ハニカムチャネルを斜め格子状に連設する
場合には、前記スリットは、前記セパレータチャネル列
と前記燃料極チャネル列との間の隔壁の内のいずれか一
方、及び前記セパレータチャネル列と前記空気極チャネ
ル列との間の隔壁の内のいずれか一方に設けることが望
ましい。これは、全ての隔壁にスリットを設けると、い
ずれの隔壁にも連結していない部分が生じ、その部分を
支持するのが困難となるためである。
【0020】またこの各ハニカムチャネルの断面多角形
状は、各チャネル列毎にその形状単独であっても組み合
わせたものであってもよいものである。例えばハニカム
構造体の燃料極チャネル列と空気極チャネル列の各ハニ
カムチャネルの断面形状は三角形であって、セパレータ
チャネル列の各ハニカムチャネルは斜め四角形あるいは
菱形形状のものが燃料極チャネル列あるいは空気極チャ
ネル列の間に配列されたものであってもよい。
【0021】この場合も、前記スリットは、前記セパレ
ータチャネル列と前記燃料極チャネル列との間の隔壁の
内のいずれか一方、及び前記セパレータチャネル列と前
記空気極チャネル列との間の隔壁の内のいずれか一方に
設けることが望ましい。
【0022】さらに、燃料極チャネル列、空気極チャネ
ル列及びセパレータチャネル列の各ハニカムチャネルの
断面形状はすべて三角形であって、それぞれのハニカム
チャネルがそのチャネル壁を共用して連設されているも
のであってもよい。この場合には燃料極、空気極のトー
タルの表面積が多く取れて、より高い出力電圧が得られ
ることが期待されるものである。
【0023】また、この場合は、前記スリットは、前記
セパレータチャネル列と前記燃料極チャネル列との間の
隔壁、前記セパレータチャネル列と前記空気極チャネル
列との間の隔壁、及び前記セパレータチャネル列間の隔
壁の内のいずれか一方に設けることが望ましい。
【0024】そしてこのジルコニアハニカム構造体の燃
料極チャネル列、空気極チャネル列及びセパレータチャ
ネル列は、その一例として次のような手法により形成さ
れる。すなわち、燃料極チャネル列の形成に際しては、
他のチャネル列のチャネル孔をシールして塞いでおい
て、燃料極を形成するハニカムチャネルの内壁面にニッ
ケル−イットリア安定化ジルコニア(Ni−YSZ)の
スラリーを流すか、このスラリー材料中に浸漬してハニ
カムチャネルの内壁面にそのスラリーを付着させる。そ
してそのスラリーを乾燥させた後、焼成することにより
燃料極チャネル列が形成される。
【0025】また、空気極チャネル列の形成に際して
は、同様に他のチャネル列のチャネル孔を塞ぎ空気極を
形成するハニカムチャネルの内壁面にランタンストロン
チウムマンガナイト(La1−xSrMnO:x=
0.1〜0.4) のスラリーを流す等して付着させ、
乾燥・焼成により形成される。セパレータチャネル列も
同様で、ハニカムチャネルの内壁面にランタンクロマイ
ト(LaCrO) あるいはランタンクロマイト系に
電子導電性、焼結性の改善のため、ランタン(La)や
クロム(Cr)の一部をアルカリ土類金属やニッケル
(Ni)で置換した酸化物(La1−xCaCr
1−yNi:x=0〜0.2、y=0〜0.1)
のスラリーを流す等した後、乾燥・焼成することによ
り形成される。焼成は最後に一度に行うようにしてもよ
い。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な一実施の形
態を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の
一実施の形態に係るハニカム一体構造の固体電解質型燃
料電池(SOFC)の外観斜視図である。
【0027】同図に示すSOFC10は、固体電解質材
料であるイットリア安定化ジルコニア(Y St
abilized ZrO) あるいはスカンジア安
定化ジルコニア(Sc Stabilized
ZrO) 材料による押し出し成形処理、焼成処理を
経て一体的に形成されたジルコニアハニカム構造体に、
後述する燃料極、空気極及びセパレータ極が設けられる
ことにより形成されるものである。
【0028】これによりこのSOFC10は、断面四角
形状をした両端が開放される多数のハニカムチャネル1
2,12…が縦横に列設された構造になっている。ハニ
カム構造体の肉厚は、押出成形により薄肉化が可能とな
り、0.1mm〜0.3mmの厚みとなっている。
【0029】そしてこのジルコニアハニカム構造体には
横方向に同極のハニカムチャネルあるいはセパレータチ
ャネルが配列され、縦方向に単電池を構成する燃料極チ
ャネル列14,14…と、空気極チャネル列16,16
…と、各単電池を電気的に接続するセパレータチャネル
列18,18…とが順次積層状に形成された構成とされ
ている。同図においてはセパレータチャネル列18,1
8…を介して単電池が4段積層された構造が示されてい
る。
【0030】まず、燃料極チャネル列14,14…は、
ハニカムチャネル内壁面20,20…に燃料極(アノー
ド:−極)としてニッケル−イットリア安定化ジルコニ
ア(Ni−YSZ)のスラリーがコーティングされてな
るものであり、このコーティングが施されたハニカムチ
ャネル内壁面20,20…により形成される断面四角形
状の空間は、水素(H )ガスが流れる燃料ガス流路
22,22…としての機能を有している。
【0031】空気極チャネル列16,16…は、ハニカ
ムチャネル内壁面20,20…に空気極(カソード:+
極)としてランタンストロンチウムマンガナイト (L
−xSrMnO:x=0.1〜0.4)のスラ
リーがコーティングされてなるものであり、このコーテ
ィングが施されたハニカムチャネル内壁面20,20…
により形成される断面四角形状の空間は、空気が流れる
空気流路24,24…としての機能を有している。
【0032】セパレータチャネル列18,18…は、ハ
ニカムチャネル内壁面20,20…に単電池を直列に接
続する導電体であるセパレータとしてランタンクロマイ
ト(LaCrO )あるいはランタンクロマイト系に
電子導電性、焼結性の改善のため、ランタン(La)や
クロム(Cr)の一部をアルカリ土類金属やニッケル
(Ni)で置換した酸化物 (La1−xCaCr
1−yNi:x=0〜0.2,y=0〜0.1)
のスラリーがコーティングされてなるものである。
【0033】さらに、セパレータチャネル列18、18
…と空気極チャネル列16、16…との境目にある隔
壁、及びセパレータチャネル列18、18…と燃料極チ
ャネル列14、14…との境目にある隔壁には、スリッ
ト19、19…が設けられ、スリット19、19…内に
も、ランタンクロマイト等からなるセパレータが充填さ
れている。
【0034】そのため、空気極チャネル列の内壁にコー
ティングされたランタンストロンチウムマンガナイトか
らなる一つの単位電池の空気極と、ニッケル−イットリ
ア安定化ジルコニアからなる他の単位電池の燃料極と
が、スリット19、19…内に充填されたセパレータ及
びセパレータチャネル列18、18…の内壁にコーティ
ングされたセパレータを介して、直接接続された構造に
なっている。
【0035】セパレータの電気抵抗は、隔壁を構成する
ジルコニアの電気抵抗より小さいので、スリット19、
19…を設けたことにより電気通路が確保され、セパレ
ータチャネル列の隔壁で生じていた発電ロスを少なくす
ることができる。その結果、電池全体での内部抵抗が低
くなり、発電性能を向上させることが可能となる。
【0036】図2は、図1に示したハニカム一体構造の
固体電解質型燃料電池(SOFC)の正面拡大図であ
り、燃料極チャネル列(A)14,14…、空気極チャ
ネル列(C)16,16…、セパレータチャネル列
(S)18,18…、スリット19、19…、ハニカム
チャネル内壁面20,20…、燃料ガス流路22,22
…及び空気流路24,24…等が拡大して示されてい
る。
【0037】なお、本発明では、セパレータチャネル列
18、18の隔壁にスリット19、19…を設けること
により電気通路を確保し、電池全体の内部抵抗を低くす
るよう構成されているが、上記構成に加えて、セパレー
タチャネル列18、18…の隔壁として電子電導性を有
する材料を用いたり、界面抵抗や直流抵抗を減少させる
物質をハニカムチャネル列の内壁にコーティングしたり
すると、さらに内部抵抗を低くすることができるので好
ましい。
【0038】例えば、セパレータチャネル列18,18
…のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)層に電子導
電性を持たせる場合には、チタン(Ti)、鉄(F
e)、ニッケル(Ni)、テルビウム(Tb)、セリウ
ム(Ce)、ネオジム(Nd)、イリジウム(Ir)、
マンガン(Mn)、バナジウム(V)等の一種類もしく
は複数元素をドープすればよい。
【0039】また、図示はしないが、SOFC10の界
面抵抗を減少させるためには、燃料極チャネル列14、
14…、及び空気極チャネル列16、16…の内壁に、
パラジクロロアンミン白金等の白金錯体水溶液を利用し
て白金(Pt)薄膜を予めコーティングすればよい。さ
らに、その直流抵抗を減らすようにするには、空気極チ
ャネル列16,16…にランタンストロンチウムマンガ
ナイト(La1−xSrMnO)だけでなく、さら
にその内壁にランタンストロンチウムコバルタイト(L
1−xSrCoO)をコーティングすればよい。
【0040】このような構成を有するSOFC10の製
造方法について説明する。まず、このSOFC10に供
される固体電解質材料の製造方法について説明すると、
初めにその主材料であるジルコニア(ZrO )の粉
末粒子と安定化材料であるイットリア(Y)の粉
末粒子とを適当な配合比率で混合する。この混合粉末の
平均粒径は3μm程度である。また、ジルコニア・イッ
トリアの混合粉末を調整する方法として、ゾルゲル法や
共沈法などの液相製造プロセスを適用すれば不純物が少
なく、均一な混合粉末を得ることができる。
【0041】次にこの混合粉末に成形用バインダーを添
加し、焼成後の大きさが10cm×10cm程度の大き
さの断面で長さが20cm程度の大きさとなる直方体に
成形し、その直方体の断面に四角形状をした多数のハニ
カムチャネル12,12…が両端開放状態で形成される
ように押し出し成形する。このハニカムチャネル12,
12…は、ハニカムチャネル間の壁の肉厚が上述と同様
に焼成後に0.1〜0.3mm程度になるように成形さ
れる。
【0042】また、押し出し成型用の金型の内、セパレ
ータチャネル列18、18…と燃料極チャネル列14、
14…の間の隔壁、及びセパレータチャネル列18、1
8…と空気極チャネル列16、16…の間の隔壁に相当
する部分に突起を設けておくと、スリット19、19…
を有するハニカム構造体を容易に製造できる。
【0043】スリット19、19…の幅は、後述するよ
うにセパレータチャネル列18、18にスラリーを流し
込んだときに、スラリーがスリット19、19…から漏
れ出さないような幅にする必要がある。スラリーの漏れ
出しは、スラリーの粘度を調整することによりある程度
防ぐことができるので、スリット19、19…の幅は、
スラリー粘度に応じて、0.05mm〜0.5mmとす
ればよい。
【0044】そしてこのジルコニアハニカム成形体を1
500℃〜1700℃の温度で焼成すれば、イットリア
(Y)がジルコニア(ZrO )中に固溶化さ
れたイットリア安定化ジルコニア(YSZ)材料から成
るジルコニアハニカムが得られる。
【0045】次にこのジルコニアハニカムに燃料極、空
気極あるいはセパレータを形成するに当たっては、いわ
ゆるスラリーコーティング法が採られる。すなわち、セ
パレータチャネル列18,18…の形成に際しては、他
のチャネル列のチャネル孔をシールして塞いでおいて、
セパレータチャネルを形成するハニカムチャネルの内壁
面にランタンクロマイト(LaCrO )あるいはラ
ンタンクロマイト系に電子導電性、焼結性の改善のた
め、ランタン(La)やクロム(Cr)の一部をアルカ
リ土類金属やニッケル(Ni)で置換した酸化物(La
1−xCaCr 1−yNi:x=0〜0.2、
y=0〜0.1) のスラリーを流しこむ。
【0046】この時、スリット19、19…の幅及びス
ラリーの粘度が適正であれば、スリット19、19…を
有するチャネル列に流し込んだスラリーがスリット1
9、19…から漏れ出すことはない。スリット19、1
9…を有するチャネル列にスラリーを注入した後、乾燥
し、さらに1450℃で焼成することにより、セパレー
タチャネル列18、18…形成される。
【0047】また、燃料極チャネル列14,14…の形
成に際しては、同様に他のチャネル列のチャネル孔をシ
ールして塞いでおいて、燃料極を形成するハニカムチャ
ネルの内壁面にニッケル(Ni)40重量%−ジルコニ
ア(ZrO )60重量%のニッケル−イットリア安
定化ジルコニア(Ni−YSZ)粉末を泥状にしたスラ
リーを50μm程度の厚さになるように流すか、このス
ラリー材料中に浸漬してハニカムチャネルの内壁面にそ
のスラリーをやはりその厚さが50μm程度になるよう
に付着させる。そしてそのスラリーを乾燥させた後、1
200℃〜1400℃の温度で焼成することにより燃料
極チャネル列14,14…が形成される。
【0048】さらに、空気極チャネル列16,16…の
形成に際しては、同様に他のチャネル列のチャネル孔を
塞ぎ空気極を形成するハニカムチャネルの内壁面にラン
タンストロンチウムマンガナイト(La1−xSr
nO:x=0.1〜0.4) のスラリーをその厚さ
が50μm程度になるように流して付着させる。そし
て、それを乾燥し、1150℃〜1200℃程度の温度
で焼成すれば、空気極チャネル列16,16…が形成さ
れる。尚、空気極の材料の配合比率としては、ランタン
90〜60モル%に対し、ストロンチウム10〜40モ
ル%程度とするのが適当である。
【0049】尚、焼成は、焼成温度の高い順序、すなわ
ち、セパレータチャネル列18、18…、燃料極チャネ
ル列14、14…、及び空気極チャネル列16、16…
の順に行うようにすることが望ましいが、各チャネル列
の内壁面に塗布する材料の組成によっては、予め全ての
チャネル列にスラリーを塗布した後、最後に一度に行う
ようにしてもよい。
【0050】また、安定化材料としてスカンジウム(S
c)の粉末粒子を適用する場合には、特開平7−677
4号公報に開示されているようにジルコニア(ZrO
)とスカンジア(Sc)とを、スカンジア(S
)の配合比率が8〜15モル%になるように調
整すればよい。
【0051】図3は、図1及び図2に示したハニカム一
体構造のSOFC10が実際に燃料電池として使用され
るときのその全体構成を示す分解斜視図である。同図に
示すようにSOFC10は、上述のハニカム構造体の開
放両端にそれぞれ押え板26a,26bを介して燃料ガ
スや空気を供給するガス供給板28aと燃料ガスや空気
を排出するガス排出板28bが設けられている。そし
て、押え板26aにはそれぞれ図4に示すように燃料ガ
ス導入孔30,30…及び空気導入孔32,32…がそ
れぞれ図1に示したハニカム構造体の燃料極チャネル列
14,14…のチャネル及び空気極チャネル列16,1
6…のチャネルに対応して横一列に設けられている。
【0052】そしてガス供給板28aには、燃料ガス
(H )をこのSOFC10に導入するための燃料ガ
ス導入管34と、同じくこのSOFC10に空気ガス
(Air)を導入するための空気導入管36が取り付け
られる。また、ガス排出板28bには、このSOFC1
0に導入された燃料ガス(H )を排出するための燃
料ガス排出管38と、同じくこのSOFC10に導入さ
れた空気を排出するための空気排出管40がそれぞれ設
けられている。
【0053】すなわち、前記燃料ガス導入孔30,30
…は、燃料極チャネル列14,14…の各ハニカムチャ
ネルの燃料ガス流路22,22…に連通して設けられ、
また、空気導入孔32,32…は、空気極チャネル列1
6,16…の各ハニカムチャネルの空気流路24,24
…に連通して設けられている。同様にして、押え板26
bには、燃料ガス排出孔42,42…と空気排出孔4
4,44…とが各々燃料ガス流路22,22…と空気流
路24,24…とに連通して設けられている。
【0054】またガス供給板28aには、図5に示すよ
うに、櫛歯状の燃料ガス供給路46が設けられており、
これは、燃料ガス導入管34を介して導入される燃料ガ
ス(H )を燃料ガス導入孔30,30…を介して燃
料極チャネル列14,14…の各チャネル内に形成され
る燃料ガス流路22,22…へ供給するものである。ま
た、このガス供給板28aには前記燃料ガス供給路46
と互い違いに交差するように、やはり櫛歯状の空気供給
路48が設けられており、これにより、空気導入管36
を介して導入される空気が空気導入孔32,32…を介
して空気極チャネル列16,16…の各チャネル内に形
成される空気流路24,24…へ供給されるようになっ
ている。
【0055】また、ガス排出板28bには、燃料ガス流
路22,22…から燃料ガス排出孔42,42…を介し
て燃料ガス排出管38へ反応後のガスを排出する燃料ガ
ス排出路50が設けられるとともに、空気流路24,2
4…から空気排出孔44,44…を介して空気排出管4
0へ反応後の空気を排出するやはり櫛歯状の空気排出路
52が設けられており、これにより、空気導入管36や
燃料ガス導入管34を介して導入された空気や燃料ガス
の反応後の各ガスが空気排出管40及び燃料ガス排出管
38から排出されるようになっている。
【0056】したがって、空気導入管36、空気供給路
48、空気導入孔32、空気流路24,24…、空気排
出孔44,44…、空気排出路52、空気排出管40は
連通して設けられて空気流路を構成することになり、一
方、燃料ガス導入管34、燃料ガス供給路46、燃料ガ
ス導入孔30,30…、燃料ガス流路22,22…、燃
料ガス排出孔42,42…、燃料ガス排出路50、燃料
ガス排出管38もやはり連通して設けられて燃料ガス流
路を構成することになる。
【0057】そして実際に使用される際には、例えば、
図3に矢示するA方向に電流が取り出されることになる
が、この場合にはSOFC10の側面に図6に示すよう
な電極端子板54,56が取り付けられることになる。
【0058】上記した構成において、固体電解質型燃料
電池(SOFC)の発電メカニズムは次の通りである。
すなわち、空気導入管36から導入される空気が空気供
給路48、空気導入孔32,32…を経てSOFC10
の空気極チャネル列16,16…の空気極(La1−x
Sr) と接触すると、その空気極チャネル列1
6,16…で酸素イオン(O2−)が生成される。
【0059】そうするとこの空気極チャネル列16,1
6…の空気極で発生した酸素イオン(O2−)が対応す
る燃料極チャネル列14,14…の対応するハニカムチ
ャネル内の燃料極に向けてハニカムチャネル12,12
…の壁内部を移動し、その対応する燃料極チャネル列1
4,14…の燃料極に到達する。
【0060】一方、燃料極チャネル列14,14…の燃
料ガス流路22,22…には、やはり、燃料ガス導入管
34から導入される水素ガス(H )がガス供給板2
8aの燃料ガス供給路46を経て流れているので、空気
極チャネル列16,16…から移動してきた酸素イオン
(O2−)がその水素ガス(H)と反応して水蒸気
(HO)となり、電子が放出される。これにより発電
状態が得られる。
【0061】さらに、セパレータチャネル列18、18
の隔壁にはスリット19、19…が形成されているの
で、空気極はセパレータと直接接続され、セパレータは
次の単位電池の燃料極に直接接続されている。そのた
め、空気極で放出された電子は、隔壁を構成するジルコ
ニアよりも電気抵抗の小さいセパレータを介して、次の
単位電池の燃料極に移動する。その結果、電池全体の内
部抵抗が小さくなり、発電性能が向上する。そして反応
後の空気及び燃料ガスは、各々空気排出管40及び燃料
ガス排出管38を通って排出される。
【0062】図6は、上述のハニカム一体構造の固体電
解質型燃料電池(SOFC)を適用した2kWモジュー
ルの分解斜視図であり、断面四角形状のSOFC10
(10cm×10cm×20cm)が4つ組み合わされ
て構成されている。その出力電力は1つ当り500Wで
あり、図1に示したものと同様な発電メカニズムによっ
て発電状態が得られるものである。図6に示すようにS
OFC10の外側表面には電極端子板54,56がそれ
ぞれ対向して設けられており、発電された電気はこれら
の電極端子板54,56から、例えば矢示するB方向に
取り出される。
【0063】すなわち、同図においてSOFC10の下
部に図示する部材には燃料ガス供給路46や空気供給路
48の他、空気導入管36や燃料ガス導入管34等が設
けられ、上述した押え板26aとガス供給板28aとを
組み合わせたような構成になっている。さらに、SOF
C10の上部に図示する部材には、空気排出管40や燃
料ガス排出管38の他、図示せぬ燃料ガス排出路50や
空気排出路52等が設けられ、上述した押え板26bと
ガス排出板28bとを組み合わせたような構成になって
いる。
【0064】SOFC10を適用してさらに大容量の電
力を得るには、図7に示すように、図6に示した2kW
モジュールを空気/燃料ガス流路に沿った方向に5つ積
層して10kWモジュールとし、これにより得られた1
0kWモジュールを積層した方向の大きさが変わらない
ように4つ組み合わせてさらに大きな断面四角形状を呈
する構成にする。各モジュールを組み合わせる際にはブ
スバー58等の各種の接続部材を用いたり、空気導入管
36や空気排出管40に接続部材としての機能をもたせ
るようにすることができる。
【0065】次に、本発明の他のハニカム構造の断面形
態についての実施例について図8乃至図12を参照して
説明する。これら図8乃至図12に示されるハニカム一
体構造は、いずれも図1に示したものと同様に押し出し
成形処理及び焼成処理を経て一体的に成形されるもので
ある。
【0066】図8に示したものは断面多角形状として六
角形状にしたものの例であり、図9に示したものは断面
多角形状として斜め格子状の正方形状にしたものの例で
ある。これらはいずれも図1に示したものと同様、ジル
コニアハニカム構造体には横方向に同極のハニカムチャ
ネルあるいはセパレータチャネルが配列され、縦方向に
単電池を構成する燃料極チャネル列(A)14,14…
と、空気極チャネル列(C)16,16…と、各単電池
を電気的に接続するセパレータチャネル列(S)18,
18…とが順次積層状に形成された構成となっている。
【0067】この場合において、燃料極チャネル列1
4,14…及び空気極チャネル列16,16…の電極は
図1に示したものと同様にハニカムチャネル内壁面2
0,20…の全体に電極材料がコーティングされて形成
される。そして、図8及び図9に線示する部位G,Dで
発電される。
【0068】さらに、図8及び図9において、セパレー
タチャネル列18、18…と空気極チャネル列16、1
6…とは、2つの隔壁により仕切られているが、その内
の一方にスリット19、19…が設けられている。ま
た、セパレータチャネル列18、18…と燃料極チャネ
ル列14、14…も同様に、2つの隔壁により仕切られ
ているが、その内の一方にスリット19、19…が設け
られている。
【0069】このような構造としたのは、セパレータチ
ャネル列18、18…と空気極チャネル列16、16…
あるいは燃料極チャネル列14、14…との間の隔壁の
全てについてスリット19、19…を設けると、図10
に示すように、隔壁の一部13a、13a…及び13
b、13b…が他の部分から完全に遊離するため、遊離
した部分を何らかの手段により支持した状態でセパレー
タ材料からなるスラリーをチャネル内部に流し込む必要
があり、製造工程が煩雑となるためである。
【0070】次いで、図11に示したものは、燃料極チ
ャネル列(A)14,14…と空気極チャネル列(C)
16,16…のハニカムチャネル12,12…の断面形
状は三角形であって、断面形状が四角形あるいは菱形形
状のセパレータチャネル列(S)18,18…が燃料極
チャネル列(A)14,14…と空気極チャネル列
(C)16,16…との間に配列されたものである。
【0071】なお、セパレータチャネル列18、18…
と空気極チャネル列16、16…とを仕切る2つの隔壁
の内の一方と、セパレータチャネル列18、18…と燃
料極チャネル列14、14…とを仕切る2つの隔壁の内
の一方にスリット19、19…が設けられている点は、
図8及び図9と同様である。
【0072】また、図12に示したものは、燃料極チャ
ネル列(A)14,14…、空気極チャネル列(C)1
6,16…及びセパレータチャネル列(S)18,18
…の各ハニカムチャネルの断面形状がすべて三角形であ
って、それぞれのハニカムチャネルがそのチャネル壁を
共用して連設されているものであり、単位体積当りの燃
料極及び空気極の表面積が多く取れる構成になってい
る。そのため高い発電特性が必要な場合に好適である。
【0073】なお、図12の場合、セパレータチャネル
列18、18…と空気極チャネル列16、16…とを仕
切る隔壁、及びセパレータチャネル列18、18…と燃
料極チャネル列14、14…とを仕切る隔壁にスリット
19、19…が設けられると共に、セパレータチャネル
列18、18…間を仕切る隔壁のいずれか一方にもスリ
ット19、19…が設けられている。
【0074】また、図11及び図12の場合に取り付け
られる電極は上述のように各壁面全体にコーティングし
て形成される。そして、これらの図に線示する部位E,
Fに位置する各ハニカムチャネルの内壁面において発電
される。
【0075】(実施例1)正方形のチャネルを縦横に列
設したハニカム状に押し出したジルコニア成形体(未焼
成)の隔壁の内、セパレータチャネル列と燃料極チャネ
ル列の間、及びセパレータチャネル列と空気極チャネル
列との間の隔壁をワイヤーでカットし、スリットを形成
した後、脱脂し、1600℃で焼成してジルコニア単味
のスリット入りハニカムとした。
【0076】次に、セパレータチャネル列にランタンク
ロマイトを注入して乾燥・焼成(1450℃)し、次い
で燃料極チャネル列にNi/YSZを注入して乾燥・焼
成(1300℃)し、さらに、空気極チャネル列にラン
タンマンガナイトを注入して乾燥・焼成(1200℃)
することにより、図1に示すような形状を有する固体電
解質型燃料電池を作製した。なお、ハニカムの外形は、
20x20x15mmとし、単位電池を3段に積み重ね
た構造とした。
【0077】(比較例1)ハニカム成形体の隔壁にスリ
ットを入れなかった以外は、実施例1と同様の手順によ
り、固体電解質型燃料電池を作製した。
【0078】実施例1及び比較例1で得られた各固体電
解質型燃料電池について、開回路起電圧、最大出力、出
力密度及び抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】スリットを有しない比較例1では、開回路
電圧は1.5(V)、電池の内部抵抗は4.0(Ω)で
あるのに対し、スリットを備えた実施例1では、開回路
起電圧は2.2(V)、電池の内部抵抗は1.5(Ω)
となった。また、これに対応して、最大出力は、前者の
0.2(W)に対し、後者は0.85(W)に向上し、
さらに、出力密度は5倍に向上した。
【0081】実施例1で得られたスリット入りハニカム
固体電解質型燃料電池の発電特性を図13に示す。スリ
ット入りハニカム固体電解質型燃料電池は、電流値が約
0.8(A)のところで出力は最大値0.85(W)を
示していることがわかる。各単位電池の出力は0.3
(W)であり、三層で0.9(W)であることから、ス
リットのない比較例1では、電池で発生した電力の78
%がロスしていたことになるが、スリットを設けた実施
例1では電力ロスはわずか6%であり、スリットを形成
することにより、セパレータチャネルでの電力ロスを大
幅に削減できることがわかった。
【0082】以上本発明の各実施例について説明した
が、上述のように、セパレータチャネル列にスリットを
設けることにより、空気極と燃料極とをセパレータを介
して直接連結するようにしたので、セパレータチャネル
での電力ロスを大幅に削減できる。しかも、ハニカム構
造体は単一材料で一体的に構成されているため、積層電
池内に他材料からなる構成部材の接触部が必要なくな
り、接触抵抗による電力ロスが少なくなる。また、各積
層電池内の燃料ガス流路や空気流路は、直線状の流路に
なるから圧力損失が少なくなるという利点がある。
【0083】さらに、固体電解質型燃料電池(SOF
C)自体は、多数のハニカムチャネルから構成される薄
肉の構造体であるが、単一材料で一体的に構成されるこ
とが極めて高い構造強度に寄与している。このため、セ
リア(CeO )などのように比較的強度が低い材料
でも信頼性が高い構造体が形成される。また、ガスシー
ル特性に関しては、燃料ガス流路や空気流路に沿った内
壁面は外雰囲気に対して完全にガスシールが実現される
からガスシールのための特別な構造は必要なくなるとい
う設計上の利点がある。一方、断面多角形状をした両端
面はガスシールが必要であるが、シールされる部位は規
則的な形状をしているからガスシールは容易である。
【0084】しかも、イットリア安定化ジルコニア(Y
SZ)の一体構造であるから従来のように各電極材料の
熱膨張係数の差を考慮した材料設計が必要なくなるとい
う利点がある。したがって、他の材料(たとえば、セリ
ア(CeO ))の適用も容易に可能になる。
【0085】尚、本発明は、上記した実施の形態に何ら
限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範
囲で種々の改変が可能である。例えば、上記の実施例に
おいてはハニカム構造体の材料として、イットリア安定
化ジルコニア(Y Stabilized Zr
) あるいはスカンジア安定化ジルコニア(Sc
Stabilized ZrO )を適用する
ようにしたが、これに限られる事なく、イッテルビウム
(Yb)をドープしたジルコニア(ZrO)等の固体
電解質や、カドリニウム(Gd)、サマリウム(S
m)、イットリウム(Y)をドープした酸化セリウム
(CeO )等、酸素イオン(O2−)を透過する固
体電解質が一般に適用できる。
【0086】
【発明の効果】本発明のハニカム一体構造の固体電解質
型燃料電池(SOFC)によれば、断面多角形状をした
多数のハニカムチャネルが縦横に列設されるハニカム構
造体を固体電解質材料により一体的に形成すると共に、
セパレータチャネル列と燃料極チャネル列及び空気極チ
ャネル列の間の隔壁にスリットを設けたので、構造強度
に優れ、接触抵抗による電力ロスの低減等を図ることが
できることはもとより、セパレータチャネルでの電力ロ
スを大幅に削減することが可能となる。このSOFCに
よればハニカム構造体は単一材料で製造されるため、生
産コストの低廉化はもとより大量生産が図られることに
なる。したがって、このような固体電解質型燃料電池
(SOFC)を生産することは産業上極めて有益であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るハニカム一体構造
の固体電解質型燃料電池(SOFC)の外観斜視図であ
る。
【図2】図1に示したハニカム一体構造の固体電解質型
燃料電池(SOFC)の正面拡大図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るハニカム一体構造
の固体電解質型燃料電池(SOFC)の分解斜視図であ
る。
【図4】図3に示した押え板26a,26bの平面図で
ある。
【図5】図3に示したガス供給板28a及びガス排出板
28bの平面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係るハニカム一体構造
の固体電解質型燃料電池(SOFC)による2kWモジ
ュールの分解斜視図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るハニカム一体構造
の固体電解質型燃料電池(SOFC)による40kWス
タックの組立構成図である。
【図8】本発明の他の実施の形態に係るハニカム構造
(六角形)を示す図である。
【図9】本発明の他の実施の形態に係るハニカム構造
(斜め格子状)を示す図である。
【図10】図10(a)及び図10(b)は、それぞ
れ、図8及び図9に示すハニカム構造のセパレータチャ
ネルと燃料極チャネルの間、及びセパレータチャネルと
空気極チャネルとの間の隔壁の全てにスリットを入れた
状態を示す図である。
【図11】本発明の他の実施の形態に係るハニカム構造
(三角形と斜め格子状との組合せ)を示す図である。
【図12】本発明の他の実施の形態に係るハニカム構造
(三角形)を示す図である。
【図13】スリット入りハニカム固体電解質型燃料電池
(SOFC)の発電特性を示す図である。
【図14】従来一般的に知られる積層構造の固体電解質
型燃料電池(SOFC)の外観斜視図である。
【符号の説明】
10 固体電解質型燃料電池(SOFC) 12 ハニカムチャネル 14 燃料極チャネル列 16 空気極チャネル列 18 セパレータチャネル列 19 スリット 20 ハニカムチャネル内壁面 22 燃料ガス流路 24 空気流路

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面多角形状をした多数のハニカムチャ
    ネルが縦横に列設されるハニカム構造体を固体電解質材
    料により一体的に形成し、 ハニカムチャネル内壁面に燃料極が設けられた燃料極チ
    ャネル列と、ハニカムチャネル内壁面に空気極が設けら
    れた空気極チャネル列と、ハニカムチャネル内壁面にセ
    パレータが設けられたセパレータチャネル列とを順次積
    層状に形成すると共に、 前記セパレータチャネル列と前記燃料極チャネル列との
    間の隔壁、及び前記セパレータチャネル列と前記空気極
    チャネル列との間の隔壁にスリットを設けたことを特徴
    とするハニカム一体構造の固体電解質型燃料電池。
  2. 【請求項2】 前記ハニカム構造体の各ハニカムチャネ
    ルの断面形状は、三角形、四角形、六角形その他任意の
    形状からなることを特徴とする請求項1に記載されるハ
    ニカム一体構造の固体電解質型燃料電池。
  3. 【請求項3】 前記ハニカム構造体の各ハニカムチャネ
    ルの断面形状が正方形であって、ハニカムチャネル内壁
    面に燃料極が設けられた燃料極チャネル列、ハニカムチ
    ャネル内壁面に空気極が設けられた空気極チャネル列、
    ハニカムチャネル内壁面にセパレータが設けられたセパ
    レータチャネル列がそれぞれ斜め格子状に連設され、 前記スリットは、前記セパレータチャネル列と前記燃料
    極チャネル列との間の隔壁の内のいずれか一方、及び前
    記セパレータチャネル列と前記空気極チャネル列との間
    の隔壁の内のいずれか一方に設けられていることを特徴
    とする請求項1に記載されるハニカム一体構造の固体電
    解質型燃料電池。
  4. 【請求項4】 前記ハニカム構造体の燃料極チャネル列
    と空気極チャネル列の各ハニカムチャネルの断面形状は
    三角形、セパレータチャネル列の各ハニカムチャネルの
    断面形状は斜め格子状であって、前記燃料極チャネル列
    と空気極チャネル列のハニカムチャネルは一辺を共通と
    して反対向きに設けられ、前記セパレータチャネル列の
    ハニカムチャネルは前記燃料極チャネル列及び空気極チ
    ャネル列の間に設けられ、 前記スリットは、前記セパレータチャネル列と前記燃料
    極チャネル列との間の隔壁の内のいずれか一方、及び前
    記セパレータチャネル列と前記空気極チャネル列との間
    の隔壁の内のいずれか一方に設けられていることを特徴
    とする請求項1に記載されるハニカム一体構造の固体電
    解質型燃料電池。
  5. 【請求項5】 前記ハニカム構造体の燃料極チャネル
    列、空気極チャネル列及びセパレータチャネル列の各ハ
    ニカムチャネルの断面形状はすべて三角形であって、そ
    れぞれのハニカムチャネル列のハニカムチャネルはチャ
    ネル壁を共用して連設され、 前記スリットは、前記セパレータチャネル列と前記燃料
    極チャネル列との間の隔壁、前記セパレータチャネル列
    と前記空気極チャネル列との間の隔壁、及び前記セパレ
    ータチャネル列間の隔壁の内のいずれか一方に設けられ
    ていることを特徴とする請求項1に記載されるハニカム
    一体構造の固体電解質型燃料電池。
  6. 【請求項6】 前記ハニカム構造体の固体電解質材料が
    イットリア安定化ジルコニア又はスカンジア安定化ジル
    コニアあるいはセリアのいずれか選択された一種である
    ことを特徴とする請求項1乃至5に記載されるハニカム
    一体構造の固体電解質型燃料電池。
JP10102872A 1998-04-14 1998-04-14 ハニカム一体構造の固体電解質型燃料電池 Pending JPH11297342A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10102872A JPH11297342A (ja) 1998-04-14 1998-04-14 ハニカム一体構造の固体電解質型燃料電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10102872A JPH11297342A (ja) 1998-04-14 1998-04-14 ハニカム一体構造の固体電解質型燃料電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11297342A true JPH11297342A (ja) 1999-10-29

Family

ID=14338998

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10102872A Pending JPH11297342A (ja) 1998-04-14 1998-04-14 ハニカム一体構造の固体電解質型燃料電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11297342A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1612876A1 (en) * 2003-03-14 2006-01-04 Thinktank Phoenix Ltd. Honeycomb type solid electrolytic fuel cell
EP1662598A1 (en) * 2003-06-30 2006-05-31 Japan Energy Corporation Fuel cell with reformer
JP2007059239A (ja) * 2005-08-25 2007-03-08 Kikusui Chemical Industries Co Ltd 電気化学セルの製造方法
JP2007066546A (ja) * 2005-08-29 2007-03-15 Hitachi Ltd 円筒形燃料電池
CN115073179A (zh) * 2021-03-16 2022-09-20 日本碍子株式会社 蜂窝结构体的制造方法及电加热式载体的制造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1612876A1 (en) * 2003-03-14 2006-01-04 Thinktank Phoenix Ltd. Honeycomb type solid electrolytic fuel cell
EP1612876A4 (en) * 2003-03-14 2010-07-28 Thinktank Phoenix Ltd SOLID ELECTROLYSIS FUEL CELL OF HONEYCOMB TYPE
EP1662598A1 (en) * 2003-06-30 2006-05-31 Japan Energy Corporation Fuel cell with reformer
EP1662598A4 (en) * 2003-06-30 2010-08-11 Japan Energy Corp FUEL CELL WITH REFORMER
JP2007059239A (ja) * 2005-08-25 2007-03-08 Kikusui Chemical Industries Co Ltd 電気化学セルの製造方法
JP2007066546A (ja) * 2005-08-29 2007-03-15 Hitachi Ltd 円筒形燃料電池
JP4537292B2 (ja) * 2005-08-29 2010-09-01 株式会社日立製作所 円筒形燃料電池
CN115073179A (zh) * 2021-03-16 2022-09-20 日本碍子株式会社 蜂窝结构体的制造方法及电加热式载体的制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5132878B2 (ja) 燃料電池セル、燃料電池セルスタック及び燃料電池
JP5175527B2 (ja) セルスタック及び燃料電池
JP5442097B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池セルおよび燃料電池セルスタック装置ならびに燃料電池モジュール、燃料電池装置
JP5080951B2 (ja) 横縞型燃料電池セルスタックおよび燃料電池
EP2380231A2 (en) Thermal shock-tolerant solid oxide fuel cell stack
JP4236298B2 (ja) ハニカム一体構造の固体電解質型燃料電池
JP5192723B2 (ja) 横縞型燃料電池セル及び燃料電池
KR20110022907A (ko) 평관형 고체 산화물 연료전지 모듈
JP4966503B2 (ja) 燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の構造
JP3516325B2 (ja) ハニカム構造固体電解質型燃料電池
KR20160012217A (ko) 셀, 셀 스택 장치, 모듈 및 모듈 수납 장치
JP6803437B2 (ja) セル、セルスタック装置、モジュールおよびモジュール収納装置
JPH09129252A (ja) 高耐久性固体電解質燃料電池およびその製造方法
JP5449076B2 (ja) 燃料電池セル
JP5480656B2 (ja) 横縞型固体酸化物形燃料電池バンドルおよび燃料電池
JPH11297342A (ja) ハニカム一体構造の固体電解質型燃料電池
KR20200094876A (ko) 고체산화물 연료전지와 고체산화물 전해셀
CN113488689B (zh) 固体氧化物燃料电池堆及其制备方法
JPH10189024A (ja) ハニカム一体構造の固体電解質型燃料電池
JP3966950B2 (ja) 電気化学セル用支持体、電気化学セルおよびその製造方法
JPH11297343A (ja) ハニカム一体構造の固体電解質型燃料電池
JPH10189023A (ja) ハニカム一体構造の固体電解質型燃料電池
JP2980921B2 (ja) 平板型固体電解質燃料電池
JP7349847B2 (ja) 電気化学セル、電気化学反応セルスタック
JP2019053926A (ja) 燃料電池スタック