JPH1129672A - アイオノマー組成物 - Google Patents

アイオノマー組成物

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JPH1129672A
JPH1129672A JP18286697A JP18286697A JPH1129672A JP H1129672 A JPH1129672 A JP H1129672A JP 18286697 A JP18286697 A JP 18286697A JP 18286697 A JP18286697 A JP 18286697A JP H1129672 A JPH1129672 A JP H1129672A
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JP
Japan
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carboxylic acid
component
ionomer
unsaturated carboxylic
pka
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP18286697A
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English (en)
Inventor
Kazuyuki Nakada
一之 中田
Hideo Akimoto
英郎 秋元
Mitsunori Akiyama
光紀 秋山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dow Mitsui Polychemicals Co Ltd
Original Assignee
Du Pont Mitsui Polychemicals Co Ltd
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Publication date
Application filed by Du Pont Mitsui Polychemicals Co Ltd filed Critical Du Pont Mitsui Polychemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反発性、剛性、耐屈曲性、低温接着性、射出
成形性、耐候性、リサイクル性を維持したままで、高温
での熱成形時に発煙せず、成形加工が容易な有機アミン
変性アイオノマー組成物を提供すること。 【解決手段】 (A)不飽和カルボン酸含有量が2〜3
0重量%、メルトフローレート(190℃、2160g
荷重)が0.1〜1500g/10分であるエチレン・
不飽和カルボン酸共重合体、又はエチレン不飽和カルボ
ン酸共重合体の金属アイオノマーに対して、(B)1級
又は2級アミノ基を2個以上有するアミン化合物及び
(C)酸解離平衡定数(pKa)が2〜7のカルボキシ
ル基を有する有機カルボン酸を、溶融時の発煙を防止し
うる量で配合して成ることを特徴とするアイオノマー組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱成形時に発煙が
なく、成形性に優れ、しかも反発性、剛性、硬度、耐屈
曲性、引っ張り強度等の物性に優れたアイオノマー組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】アイオノマーは、種々の機械的性質に優
れており、耐久性にも優れているため、種々の成形材
料、例えばゴルフボール材料等に使用されているが、そ
の機械的特性の更なる向上が望まれている。
【0003】アイオノマーの硬度、剛性、反発弾性を改
善する手段として、ある種のジアミンの添加が有効であ
ることが知られており、その中でもビスアミノアルキル
基を有する芳香族又は脂環式化合物を配合したものが、
剛性、硬度等が改善されるとともに、溶融成形時に発煙
や着色が少なく、実用的であることが、特開昭61−9
403号公報や特開昭61−281145号公報におい
て提案されている。特表昭61−501455号公報に
おいても目的は異なるが、同様なアミンによるアイオノ
マーの改質が提案がなされている。
【0004】また、1級又は2級アミノ基を2個以上有
する有機アミン化合物を配合した、エチレン・不飽和カ
ルボン酸共重合体又はエチレン・不飽和カルボン酸共重
合体の多価金属アイオノマーは、反発性、剛性、耐屈曲
性、低温接着性、射出成形性に優れリサイクル使用が可
能なことから、ゴルフボール、靴カウンター、包装材等
の材料として使用されることも先に提案されている(例
えば、本出願人の出願に係る特願平8−33704号、
特願平8−305049号、特願平8−112826号
明細書)。
【0005】更に、アイオノマー等の改質に、高分子量
のアミン化合物を用いる方法も先に提案されている(例
えば特願平8−112826号明細書等)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
有機アミン化合物を添加したアイオノマー組成物は、程
度の差はあれ、未だ熱成形時に発煙が発生するする傾向
があり、特に、射出成形用途で要求される200℃以上
の溶融成形温度では、発煙の問題を解決するには至って
いない。
【0007】、高分子量のアミン化合物あるいはポリア
ミン化合物を用いた場合には、アミン化合物の沸点が上
昇することによって発煙は抑制されるものの、樹脂の熱
流動性が著しく低下し、成形加工性が失われる傾向があ
る。
【0008】以上の様な状況から、現時点ではこの問題
を解決するためには低温で成形するより他になく、射出
成形用途等の高温成形を必要とする用途では使用するこ
とができない。
【0009】そこで、本発明者らは、反発性、剛性、耐
屈曲性、低温接着性、射出成形性、耐候性、リサイクル
性を維持したままで、高温での熱成形時に発煙せず、成
形加工が容易な有機アミン変性アイオノマー組成物につ
き、種々検討した。その結果、特定の有機カルボン酸化
合物を少量使用することによってその目的が達成でき、
熱成形が容易にできる熱可塑性アイオノマー組成物が得
られることを見いだすに至り、本発明に到達した。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、(A)
不飽和カルボン酸含有量が2〜30重量%、メルトフロ
ーレート(190℃、2160g荷重)が0.1〜15
00g/10分であるエチレン・不飽和カルボン酸共重
合体、又はエチレン不飽和カルボン酸共重合体の金属ア
イオノマーに対して、(B)1級又は2級アミノ基を2
個以上有する化合物及び(C)酸解離平衡定数(pK
a)が2〜7のカルボキシル基を有する有機カルボン酸
を、、溶融時の発煙を防止しうる量で配合して成ること
を特徴とするアイオノマー組成物が提供される。本発明
においては、アミン化合物(B)及び有機カルボン酸
(C)を、下記式 0.01≦X≦1 ‥(1) 0.001≦Y≦0.1 ‥(2) 及び 0.034X2 ≦Y≦0.034X2 +0.051 ‥(3) 式中、Xは(A)成分の全カルボキシル基に対する
(B)成分のアミノ基のモル比を表し、Yは(B)成分
のアミノ基に対する(C)成分のカルボキシル基のモル
比を表す、を満足する量で配合していることが好まし
い。また、有機カルボン酸が脂肪族或いは脂環族のカル
ボン酸であり、また有機カルボン酸が炭素数3乃至20
の有機カルボン酸であることが好ましい。本発明によれ
ば更に、上記アイオノマー樹脂組成物からなるアイオノ
マー成形品が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
[作用]本発明では、エチレン・不飽和カルボン酸共重
合体、又はエチレン不飽和カルボン酸共重合体の金属ア
イオノマー(A)に、1級又は2級アミノ基を2個以上
有する化合物(B)と特定の酸解離平衡定数(pKa)
を有する有機カルボン酸とを、溶融時の発煙が防止され
るような量で組み合わせで配合したことが特徴であり、
これにより、有機アミン変性アイオノマー組成物等が本
来有する反発性、剛性、耐屈曲性、低温接着性、射出成
形性、耐候性、リサイクル性等を維持したままで、高温
での熱成形時における発煙やアミン臭の発生を防止し、
成形加工性を向上させることができる。
【0012】本発明は、2乃至7のpKaを有する有機
カルボン酸、特に脂肪族或いは脂環族のカルボン酸が有
機アミン変性アイオノマー組成物の溶融時の発煙やアミ
ン臭の発生防止に役立つという知見に基づくものであ
る。
【0013】有機アミン変性アイオノマー組成物におけ
る発煙は、アイオノマー等に添加したアミン類の一部
が、アイオノマー等のポリエチレン結晶部に取り込まれ
ることが原因と考えられるが、上述した特定のカルボン
酸はこの部分のアミンに作用して発煙を防止するものと
推定される。従って、ポリエチレン結晶部に取り込まれ
易いようなカルボン酸でないと、むしろ物性改良に寄与
しているアミンを消費して物性の低下を招く。この傾向
は、カルボン酸の配合量が多すぎる場合にも、同様に認
められる。
【0014】本発明では、有機カルボン酸(C)の配合
量は、有機アミン化合物(B)の配合量にも関連して、
前記式(1)、(2)及び(3)で規定される範囲の量
とするのがよい。図1は、後述する実施例及び比較例に
おけるアミン類(B)の配合量を横軸、有機カルボン酸
の配合量を縦軸としてプロットしたグラフであり、図中
の○印は発煙やアミン臭の発生がなく、物性も良好であ
るものを示しており、×印は発煙やアミン臭の発生があ
るか、物性低下の著しいものを示している。これらの結
果によると、曲線A(Y=0.034X2 )よりも下側
の領域では、発煙やアミン臭の発生が著しく、一方曲線
B(Y=0.034X2 +0.051)よりも上側の領
域では物性低下が著しいのに対して、これらの曲線で囲
まれた領域では、発煙やアミン臭の発生がなく、物性も
優れたレベルに維持されている。
【0015】[成分(A)]本発明で用いられる成分
(A)は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はエ
チレン・不飽和カルボン酸共重合体の金属アイオノマー
である。
【0016】成分(A)として用いられるエチレン不飽
和カルボン酸共重合体は、不飽和カルボン酸含有量が2
〜30重量%、メルトフローレート(190℃、216
0g荷重)が0.1〜1500g/10分であるエチレ
ン・不飽和カルボン酸共重合体である。また、このエチ
レン不飽和カルボン酸共重合体、エチレンと不飽和カル
ボン酸のみからなる狭義の共重合体のみならず、任意に
その他の共重合成分が共重合された多元共重合体であっ
てもよい。また異種、複数のエチレン・不飽和カルボン
酸共重合体の混合物を使用することもできる。
【0017】不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、
メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マ
レイン酸モノメチル、マレイン酸モノエステル、無水マ
レイン酸、無水イタコン酸等を例示することができ、特
にアクリル酸もしくはメタクリル酸の使用が好ましい。
【0018】また、任意の他の共重合体成分としては、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソ
ブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソオクチ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、マ
レイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等の不飽和カル
ボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルの様
なビニルエステル、一酸化炭素等を例示することができ
る。
【0019】エチレン・不飽和カルボン酸共重合体にお
いて、不飽和カルボン酸含量は2〜30重量%、好まし
くは5〜25重量%であり、また上記の(メタ)アクリ
ル酸エステル等の共重合成分は、一般には40重量%以
下、好ましくは30重量%以下の割合で共重合されてい
ても良い。あまりに酸含量の大きなエチレン酸コポリマ
ーを用いると、非常に脆くなり使用することはできな
い。また、他の共重合成分を過剰に共重合してしまう
と、柔軟過ぎて十分な反発弾性が得られない。
【0020】このようなエチレン・不飽和カルボン酸共
重合体は、好ましくは高圧ラジカル共重合によって得る
ことができる。またエチレン・不飽和カルボン酸共重合
体は、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体の
加水分解によって得ることができる。
【0021】一方、エチレン・不飽和カルボン酸共重合
体の金属アイオノマーは、前述のエチレン・不飽和カル
ボン酸共重合体を、常法によりイオン化することによっ
て得ることができる。
【0022】エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の金
属アイオノマーにおいては、金属イオンとしては、リチ
ウム、ナトリウム、カリウム、セシウムなどの1価イオ
ン、亜鉛、マグネシウム、カルシウム等の2価イオン、
アルミニウム等の3価イオンを例示することができる
が、これらの中では特にマグネシウム、亜鉛等2価イオ
ンが好適である。更に、ここに示した金属イオンの中
で、2種類以上を同時に使用することもできる。
【0023】アイオノマー中におけるこれらカルボキシ
ル基の中和度は、反発性や耐衝撃性を考慮すると20モ
ル%以上が好ましく、25〜80モル%が最も好まし
い。また、アイオノマーの特徴である硬度や反発性を考
慮すると、中和度としては40〜80モル%が最も好適
である。
【0024】また、成形性等、種々の物性を考慮する
と、イオン化することによって得られるエチレン・不飽
和カルボン酸共重合体の金属アイオノマーは、例えば、
190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート
が0.1〜1000g/10分程度、好ましくは0.5
〜300g/10分程度のものを使用するのが好まし
い。これらより高い中和度のアイオノマーを使用する
と、溶融時の流動性が著しく低下し、成形加工性が悪化
する傾向がある。
【0025】[成分(B)]本発明における、(B)成
分としては、1級又は2級アミノ基を2個以上含有する
化合物が使用される。1級又は2級アミノ基がアミノア
ルキル基またはアミノシクロアルキル基である物が好ま
しい。(B)成分としては、脂肪族、脂環族または芳香
族の化合物を使用することができるが、配合や成形品の
物性を考慮すると脂環族又は芳香族の化合物が好まし
く、特に縮合環を2個又は3個有する物が最も好まし
い。
【0026】アミノ化合物としてより具体的には、ヘキ
サメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミン、メチ
ルイミノビスプロピルアミン、3,6,9,12−テト
ラオキサ−テトラデカン−1,14ジアミン等の脂肪族
アミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、
1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、3−アミノ
メチル−3,5,6−トリメチルシクロヘキシルアミ
ン、イソホロンジアミン、2,5(又は2,6)−ビス
(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、
2,6(又は2,7)−ビス(アミノメチル)ビシクロ
[3,2,1]オクタン、2,5(又は2,6)−ビス
(アミノメチル)−7−ジメチルビシクロ[2,2,
1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)アダマン
タンのような脂環族アミン、m−キシリレンジアミン、
p−フェニレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)
メタン、1,4(又は2,6又は2,7)−ビス(アミ
ノメチル)ナフタレン、m−キシレンジアミンとエピク
ロルヒドリンの反応物などの芳香族ジアミン、ピペラジ
ン、アミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペ
ラジンのような複素環式アミンを例示することができ
る。これらアミノ化合物(B)は、2種以上の組み合わ
せで使用することができる。
【0027】成分(B)の使用割合は、エチレン・不飽
和カルボン酸共重合体又はエチレン不飽和カルボン酸の
金属アイオノマー(A)におけるカルボキシル基を基準
として、1級または2級アミノ基を0.01〜1当量、
好ましくは0.1〜0.8当量となる割合で使用するの
が望ましい。(B)の配合割合が成分(A)のカルボキ
シル基に対し1当量を超える量で使用しても物性改良は
期待できず、かえって成形品からのブリードアウト等に
よる品質低下のおそれが生ずるので好ましくない。
【0028】[成分(C)]本発明における(C)成分
は、酸平衡定数(pKa)が2〜7好ましくは3〜6の
カルボキシル基を有する有機カルボン酸である。本発明
において、有機カルボン酸が複数のpKaを有する場
合、最小のもののpKaをいう。
【0029】より具体的には、ぎ酸(pKa;3.5
5)、酢酸(pKa;4.56)、プロピオン酸(pK
a;4.67)、ブタン酸(pKa;4.63)、ペン
テン酸(pKa;4.68)、ヘキサン酸(pKa;
4.63)、ヘプタン酸(pKa;4.66)、等の鎖
状脂肪族モノカルボン酸、こはく酸(pKa1 ;4.0
0、pKa2 ;5.24)、グルタン酸(pKa1
4.13、pKa2 ;5.03)、アジピン酸(pKa
1 ;4.26、pKa2 ;5.03)、ピメリン酸(p
Ka1 ;4.31、pKa2 ;5.08)、スベリン酸
(pKa1 ;4.35、pKa2 ;5.10)、アゼラ
イン酸(pKa1 ;4.39、pKa2 ;5.12)、
リンゴ酸(pKa1 ;3.24、pKa2 ;4.7
1)、テレフタル酸(pKa1 ;3.54、pKa2
4.46)等の脂肪族及び芳香族ジカルボン酸、クロト
ン酸(pKa;4.69)、アクリル酸(pKa;4.
26)、メタクリル酸(pKa;4.66)等の不飽和
カルボン酸、アニス酸(pKa;4.09)、m−アミ
ノ安息香酸(pKa1 ;3.12、pKa2 ;4.7
4)、m−,p−クロロ安息香酸(pKam ;3.8
2、pKap ;3.99)、ヒドロキシ安息香酸(pK
1 ;4.08、pKa2 ;9.96)等の安息香酸を
含む芳香族カルボキシ化合物、クエン酸(pKa1
2.87、pKa2 ;4.35、pKa3 ;5.69)
等のポリカルボン酸及びその誘導体を挙げることができ
る。その他、ロジン類も使用することもできる。これら
の内でも、脂肪族或いは脂環族のカルボン酸が好まし
く、また炭素数が3乃至20、特に4乃至10程度のも
のが、少量の使用で発煙防止効果があるので望ましい。
【0030】本発明で規定した範囲よりpKaの小さい
有機カルボン酸を用いると、ジアミンと激しく反応し、
塩を形成し樹脂への分散が不十分となるのみでなく、樹
脂そのものの物性も著しく低下する。一方、pKaが上
記範囲よりも大きい場合には、発煙抑制効果が著しく低
下する。これらの有機カルボン酸のなかで、性能、作業
性、コストの点を考慮するとアジピン酸が最も好まし
い。
【0031】(C)成分の適当な配合量は、(B)成分
の種類によっても若干異なるが、(C)成分のカルボキ
シル基が(B)成分のアミノ基に対してmol比で
(C)成分のカルボキシル基/(B)成分のアミノ基=
0.001〜1好ましくは、0.001〜0.1となる
ように且つ前記式(3)を満足するように配合するのが
好ましい。(C)成分の配合量が規定量より少ない場合
には、十分な発煙制御性能は得られない。又、(C)成
分の配合量が規定量より多い場合には、反発性及び剛性
等のアイオノマーの特徴的な物性が著しく低下する。
【0032】[組成物]本発明のアイオノマー樹脂は、
(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を加熱混合す
ることによって得られる。この加熱混合は単軸スクリュ
ウ押出機、二軸スクリュウ押出機、又はバンバリーミキ
サーやニーダー等の通常の熱可塑性樹脂用溶融混合又は
加工装置を用い、150〜280℃の温度条件下で行わ
れる。
【0033】3成分の配合順は特に制限はなく、(A)
成分と(B)成分を配合した後、(C)成分を配合して
も、(A)成分に(C)成分を配合した後、(B)成分
を配合してもよい。更に、(C)成分が液体でない場合
は、あらかじめ(A)成分と(C)成分をドライブレン
ドし、しかる後に(B)成分を配合することもできる。
いずれにしても、本発明はこのような製造法にとらわれ
る物ではない。
【0034】本発明のアイオノマー組成物には、上記3
成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で種々の添
加剤を配合しても良い。添加剤としては、各種着色剤、
酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤、無機充填剤等を例示
することができる。
【0035】本発明のアイオノマー組成物は射出成形、
ブロー成形、シート成形、パイプ成形等の成形方法によ
り、種々の成形品を製造することができるが、特にゴル
フボールの表皮材として有用である。
【0036】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明
する。但し、本発明はそれらの実施例のみに限定される
ものではない。以下の実施例、比較例に使用したエチレ
ン・不飽和カルボン酸(以下酸共重合体という)或い
は、その金属アイオノマー[(A)成分]、アミン化合
物[(B)成分]及び有機カルボン酸[(C)成分]を
示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】また、実施例、比較例における物性値は次
の方法によって測定した。
【0042】物性値測定方法 ・メルトフローレート(MFR):JIS K−676
0準拠、温度190℃、荷重2160g ・硬度(ショアD):JIS K−7215準拠 160℃(アイオノマーを使用した場合は190℃)で
熱プレス成形した3mm厚みシートを23℃、50%相
対湿度の雰囲気下で14日間調整し、このシートを打ち
抜いて試験試片とし、これを重ねて試験を行なった。 ・反発弾性率:JIS K−6301準拠 160℃(アイオノマーを使用した場合は190℃)で
熱プレス成形した厚み13.0mm、直径29.0mm
の円柱型試片を用い、これを23℃、50%相対湿度の
雰囲気下で14日間調整して試験を行なった。 ・曲げ剛性率:JIS K7106準拠 160℃(アイオノマーを使用した場合は190℃)で
熱プレス成形した3mm厚みシートを23℃、50%相
対湿度の雰囲気下で14日間調整し、このシートを打ち
抜いて試験試片とし試験を行なった。 ・引張り試験:JIS K6760 2号準拠 160℃(アイオノマーを使用した場合は190℃)で
熱プレス成形した2mm厚みシートを23℃、50%相
対湿度の雰囲気下で14日間調整し、このシートを打ち
抜いて試験試片とし試験を行なった。評価結果は、伸び
/破断点応力(%/MPa)。 ・発煙抑制評価 評価は、サーモプラスチック株式会社製 30mmΦ単
軸ベント押出機を用いて180℃(アイオノマーを使用
した場合には230℃)、スクリュウ回転数40min
−1で熱成形した際の、ベント口・ダイス口・ストラン
ド表面からの発煙・アミン臭の状況を評価する。 評価1:ジアミン変性酸コポリマーを使用した場合 ○:180℃の条件で、押出し成形を行なった場合に、
ベント口・ダイス口・ストランド表面のいずれからも発
煙が認められない。 ×:180℃の条件で、押出し成形を行なった場合に、
ベント口・ダイス口・ストランド表面の少なくとも一部
より発煙が発生する。 評価2:ジアミン変性アイオノマーを用いた場合 ○:230℃の条件で、押出し成形を行なった場合に、
ベント口・ダイス口・ストランド表面のいずれからも発
煙が認められない。 ×:230℃の条件で、押出し成形を行なった場合に、
ベント口・ダイス口・ストランド表面の少なくとも一部
より発煙が発生する。 ・アミン臭抑制評価 評価1:ジアミン変性酸コポリマーを使用した場合 ○:180℃の条件で、押出し成形を行なった場合に、
ベント口・ダイス口・ストランド表面のいずれからもア
ミン臭が認められない。 ×:180℃の条件で、押出し成形を行なった場合に、
ベント口・ダイス口・ストランド表面の少なくとも一部
よりアミン臭が発生する。 評価2:ジアミン変性アイオノマーを用いた場合 ○:230℃の条件で、押出し成形を行なった場合に、
ベント口・ダイス口・ストランド表面のいずれからもア
ミン臭が認められない。 ×:230℃の条件で、押出し成形を行なった場合に、
ベント口・ダイス口・ストランド表面の少なくとも一部
よりアミン臭が発生する。 ・外観 ○:白濁ブリードアウトがまったく認められない。 ×:白濁ブリードアウトが認められる。
【0043】実施例・比較例 表に示す配合の組成物は、サーモプラスチック株式会社
製 30mmΦ単軸ベント押出機を用いて180℃(ア
イオノマーを使用した場合には230℃)、スクリュウ
回転数40min−1でメルトブレンドした。混合物の
配合法は、あらかじめジアミン変性酸コポリマー及びジ
アミン変性アイオノマーを作製した後、有機カルボン酸
をドライブレンド後、上記条件でのメルトブレンドを行
なった。得られた加熱混合組成物の物性を評価し、まと
めた。
【0044】比較例1 比較例1は、酸共重合体1に、酸共重合体1のカルボキ
シル基に対して80mol%相当のアミノ基を有する量
のアミン化合物1を配合したものである。比較例1の組
成物は、高い反発性、剛性、硬度、引張り強度を有す
る。しかしながら、表6に示す通り、180℃での押出
し成形は勿論、射出成形等の熱成形の段階で著しい発煙
及びアミン臭が発生し、明らかに成形加工性に劣ってい
る。
【0045】実施例1 実施例1は、比較例1に記載の組成物に、酸共重合体1
のカルボキシル基に対して4mol%相当のカルボキシ
ル基を有する量の低分子カルボン酸1を配合した組成物
である。評価結果を表6に示す。実施例1の組成物は、
比較例1と同等の反発性、剛性、硬度、引張り強度を有
し、しかも良好な成形加工性を保持している。さらに、
MFR及びPEの融点などの樹脂物性も全く変化が認め
られない。即ち、実施例1に示す組成物は、180℃で
の加工時においても発煙やアミン臭は認められず、良好
な熱安定性を有している。
【0046】実施例2 実施例2は、実施例1において、低分子カルボン酸1の
代わりに低分子カルボン酸2を配合した組成物である。
評価結果を表6に示す。実施例2の組成物は、実施例1
と同等の反発性、剛性、硬度、引張り強度を有し、しか
も良好な成形加工性を保持している。
【0047】比較例2〜4 実施例1において、低分子カルボン酸1を表5に示す量
用いた。評価結果を表6に示す。比較例2及び3に示す
組成物は実施例1に示す組成物と同等の発煙及びアミン
臭の抑制能を有するものの、過剰に存在する低分子カル
ボン酸1によって樹脂が白濁してしまい、透明性が失わ
れる。さらに、比較例2及び3に示す組成物の反発性、
剛性、硬度、引張り強度は比較例1に示す組成物と比較
して著しく低下し、目的とする性能は得られない。比較
例4に示す組成物は、比較例1に示す組成物と同等の反
発性、剛性、硬度、引張り強度及び樹脂物性を有してい
るものの、低分子カルボン酸1の添加量が少なく、多少
の発煙及びアミン臭が生じる。
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】比較例5 比較例5は、アイオノマー1に、メタクリル酸のカルボ
キシル基に対して39mol%相当のアミノ基を有する
量のアミン化合物1を配合したものである。評価結果を
表8に示すが、比較例5に示す組成物は、高い反発性、
剛性、硬度、引張り強度を有する。しかしながら、一般
的な熱成形条件である230℃での押出し成形は勿論、
射出成形等の熱成形の段階で著しい発煙及びアミン臭が
発生し、明らかに成形加工性に劣っている。
【0051】実施例3〜5 実施例3〜5は、比較例5に記載の組成物に、表7に示
す量の低分子カルボン酸1を配合した組成物である。評
価結果を表8に示す。実施例3〜5の組成物は、比較例
5と同等の反発性、剛性、硬度、引張り強度を有し、し
かも良好な成形加工性を保持している。さらに、MFR
及びPEの融点などの樹脂物性もまったく変化が認めら
れない。即ち、実施例3〜5に示す組成物は、230℃
での加工時においても発煙やアミン臭は認められず、良
好な熱安定性を有している。
【0052】実施例6 実施例3〜5において低分子カルボン酸1の代わりに低
分子カルボン酸2を用いた。評価結果を表8に示す。実
施例6の組成物は、実施例3〜5の組成物と同等の反発
性、剛性、硬度、引張り強度を有し、しかも良好な成形
加工性を保持している。
【0053】比較例6 比較例6は、比較例5に記載の組成物に、表7に示す量
のアジピン酸を配合した組成物である。結果を表8に示
す。比較例6の組成物は、実施例3〜5と同等の発煙及
びアミン臭抑制能を有するが、反発性、剛性、硬度、引
張り強度は比較例5に示す組成物と比較して著しく低下
し、目的とする性能は得られない。さらに、MFR及び
PEの融点などの樹脂物性も大きく変化してしまう。
【0054】
【表7】
【0055】
【表8】
【0056】比較例7及び8 比較例7及び8は、比較例5に示すアミン化合物1の代
わりに、表9に示す量のアミン化合物2及びアミン化合
物3をそれぞれ配合したものである。評価結果を表10
に示すが、比較例7及び8の組成物は、高い反発性、剛
性、硬度、引張り強度を有する。しかしながら、一般的
な熱成形条件である230℃での押出し成形は勿論、射
出成形等の熱成形の段階で著しい発煙及びアミン臭が発
生し、明らかに成形加工性に劣っている。
【0057】実施例7及び8 実施例7及び8は、比較例7及び8に記載の組成物に、
表9に示す量の低分子カルボン酸1を配合した組成物で
ある。評価結果を表10に示す。実施例7及び8記載の
組成物は、比較例7及び8記載の組成物と同等の反発
性、剛性、硬度、引張り強度を有し、しかも良好な成形
加工性を保持している。即ち、実施例7及び8に示す組
成物は、230℃での加工時においても発煙やアミン臭
は認められず、良好な熱安定性を有している。
【0058】
【表9】
【0059】
【表10】
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、アミン化合物で変性さ
れたエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、又はエチレ
ン不飽和カルボン酸共重合体の多価金属アイオノマーが
有する、反発性、剛性 耐屈曲性、低温接着性、射出成
形性、耐候性、リサイクル性等の特徴を維持したまま
で、熱成形発煙せず、成形加工が容易な有機アミン変性
アイオノマー組成物が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例におけるアミン類の配合量を
横軸、有機カルボン酸の配合量を縦軸としてプロットし
たグラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)不飽和カルボン酸含有量が2〜3
    0重量%、メルトフローレート(190℃、2160g
    荷重)が0.1〜1500g/10分であるエチレン・
    不飽和カルボン酸共重合体、又はエチレン不飽和カルボ
    ン酸共重合体の金属アイオノマーに対して、(B)1級
    又は2級アミノ基を2個以上有するアミン化合物及び
    (C)酸解離平衡定数(pKa)が2〜7のカルボキシ
    ル基を有する有機カルボン酸を、溶融時の発煙を防止し
    うる量で配合して成ることを特徴とするアイオノマー組
    成物。
  2. 【請求項2】 アミン化合物(B)及び有機カルボン酸
    (C)を、下記式 0.01≦X≦1 0.001≦Y≦0.1 及び 0.034X2 ≦Y≦0.034X2 +0.051 式中、Xは(A)成分の全カルボキシル基に対する
    (B)成分のアミノ基のモル比を表し、 Yは(B)成分のアミノ基に対する(C)成分のカルボ
    キシル基のモル比を表す、を満足する量で配合して成る
    請求項1記載のアイオノマー組成物。
  3. 【請求項3】 有機カルボン酸が脂肪族或いは脂環族の
    カルボン酸である請求項1または2記載のアイオノマー
    組成物。
  4. 【請求項4】 有機カルボン酸が炭素数3乃至20の有
    機カルボン酸である請求項1乃至3の何れかに記載のア
    イオノマー組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4の何れかに記載の熱可塑
    性樹脂組成物からなるアイオノマー成形品。
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