JPH11291028A - ろう材被覆金属材の製造方法 - Google Patents

ろう材被覆金属材の製造方法

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JPH11291028A
JPH11291028A JP9792898A JP9792898A JPH11291028A JP H11291028 A JPH11291028 A JP H11291028A JP 9792898 A JP9792898 A JP 9792898A JP 9792898 A JP9792898 A JP 9792898A JP H11291028 A JPH11291028 A JP H11291028A
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brazing
powder
brazing material
binder resin
filler metal
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JP9792898A
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Takenobu Doko
武宜 土公
Noboru Soga
昇 曽我
Koji Okada
光司 岡田
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ろう材粉末の分布が一定で、安定したろう付
性を実現しうる、表面にろう材粉末を被覆した金属材の
製造方法を提供する。 【解決手段】 金属材料の表面に硬化性バインダー樹脂
溶液を塗布後、ろう材粉末を吹き付け、次いでバインダ
ー樹脂を硬化させるろう材被覆金属材の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ろう材を被覆した
チューブおよび条等の金属材を製造する方法に関し、さ
らに詳しくは、ろう材粉末を表面に均一に被覆したチュ
ーブおよび条を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金製熱交換器の例とし
て、コンデンサーを図1に示す。図示のようにチューブ
1は押出による多穴管が使用され、フィン2はろう材を
クラッドしたブレージングシートフィンが使用され、ブ
レージング工法により一体に製造されている。3はヘッ
ダーパイプを示す。ところで近年、熱交換器の小型、軽
量化のため、ろう拡散の点から薄肉化に限界があるフィ
ンをベアフィンにして薄肉化し、チューブの外側にバイ
ンダーにてろう材粉末を塗布し、これらを組み合わせて
ブレージングにより一体化する方法が提案されている
(特開平7−75844号など)。この方法の一番の問
題は、ろう材粉末を含有した塗膜の形成にある。実験室
的に少量のチューブに塗布を行う場合は、ろう材粉末と
バインダーの混合溶液をロールコーターやディッピング
や刷毛塗り等で塗布することで製造可能であるが、これ
を工業的に大量で実施する場合、次のような問題が生じ
る。バインダー中に混ぜたろう材粉末が沈降してしま
い、バインダー溶液内でろう材粉末分布が不均一とな
り、ろう付性が安定しない結果となる。バインダー樹
脂溶液の濃度を高めると、の沈降は防止できるが、ア
ルミニウム材表面に塗布する樹脂の厚さが厚くなるため
に、ろう付性が低下する上に、バインダー自体は無駄で
ある。また、バインダー樹脂溶液の濃度を下げて、粘度
を下げると、塗布後、硬化前にチューブの表面を樹脂と
一緒にろう材粉末が流れて不均一なろう材付着状況とな
る。長時間バインダーとろう材粉末とを混ぜると、粉
末が凝集してしまい、アルミニウム材料表面に均一にろ
う材が分布しなくなるため、ろう付性が低下する。さら
に、凝集した粉末を再度分散させることは困難なため
に、長時間の保管ができず、タンクに残った樹脂(粉
末)が無駄になる。そのほかに溶剤の蒸発、必要バイン
ダー塗布量の増大などの点で満足できるものではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的はこのような従来のろう材被覆金属材の欠点を克服
し、被覆したろう材粉末の分布が一定で、安定したろう
付性を実現しうる、表面にろう材粉末を被覆した金属材
の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため鋭意検討を重ねた結果特定の樹脂を用い、樹脂
の塗布とろう材粉末の塗布とを段階的に行う特定の方法
をとることにより、その目的を満足でき、表面にろう材
を被覆したチューブまたは条などの金属材を工業的に安
定して製造できることを見い出し、この知見に基づき本
発明をなすに至った。すなわち、本発明は、(1)金属
材料の表面に硬化性バインダー樹脂溶液を塗布後、ろう
材粉末を吹き付け、次いでバインダー樹脂を硬化させる
ことを特徴とするろう材被覆金属材の製造方法、(2)
金属材料の表面に硬化性バインダー樹脂溶液を塗布後、
ろう材粉末を吹き付け、さらにバインダー樹脂の塗布を
行った後、バインダー樹脂を硬化させることを特徴とす
るろう材被覆金属材の製造方法、(3)ろう材吹き付け
と同時、もしくはその前後にフラックス粉末を吹き付け
ることを特徴とする(1)または(2)項に記載のろう
材被覆金属材の製造方法、(4)硬化性バインダー樹脂
にあらかじめフラックスを混合しておくことを特徴とす
る(1)〜(3)項のいずれか1つに記載のろう材被覆
金属材の製造方法、(5)上記金属材料およびろう材
が、Al基合金である(1)〜(4)項のいずれか1つ
に記載のろう材被覆金属材の製造方法、(6)ろう材粉
末がSi粉末であることを特徴とする(3)または
(4)項に記載のろう材の被覆方法、(7)得られたろ
う材被覆金属材をコイル状に巻き取ることを特徴とする
(1)〜(6)項のいずれか1つに記載のろう材被覆金
属材の製造方法を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる金属材料は、ろう付接合を適用しう
る金属材料であれば特に制限はないが好ましくはアルミ
ニウム合金材料、銅系材料などである。この中でもアル
ミニウム合金材料は、他の金属と比較して、融点が低く
かつ表面に強固な酸化皮膜を有しているために、溶融メ
ッキ等の従来のろう材の被覆方法が困難であり、本方法
に使用する金属材料として特に推奨される。この金属材
料の形態としては、チューブ、条、板などがあげられ
る。アルミニウム合金材料を例にとって述べると、アル
ミニウム合金はブレージング用に使用可能なアルミニウ
ム合金であれば、それぞれの用途にあったものが適宜選
択される。例えば、チューブであれば、3003合金、
1100合金、Al−Cu合金等があげられ、熱交換器
の流体通路として使用される条であれば、3003合
金、1100合金、Al−Mn−Cu系合金等やこれら
の合金にAl−Zn系合金や純アルミニウム系の合金を
被覆した条等があげられる。またフィンとして使用され
る条であれば、Al−Mn系合金、Al−Fe系合金、
純アルミニウム系合金やこれらにZn等の元素を添加し
た合金をあげられる。以上の合金は一例であり、使用さ
れる部位により必要な特性を満たすアルミニウム合金を
使用すればよい。
【0006】チューブまたは条に使用するアルミニウム
合金は以上の通りであるが、チューブまたは条の寸法
は、本材料を使用して製造する機器の設計によって定め
ることができ特に限定されないことはいうまでもない。
本発明に使用するろう材粉末はアルミニウム合金ろう材
粉末またはSi粉末である。アルミニウム合金粉末はA
l−Si系合金、Al−Zn系合金、Al−Cu系合金
等が代表的な合金系であるが、これらに限定するもので
ない。すなわち、従来から行われているろう付が可能な
ろう材の組成であればよいが、耐食性やろう流れ性を考
慮すると特にAl−Si系合金、Al−Si−Zn系合
金、Al−Si−Cu系合金、Al−Si−Cu−Zn
系合金、Al−Cu−Zn系合金が特に推奨できる。
【0007】これらのろう材は粉末の90%以上を粒子
径で250μm以下とするのが好ましい。吹き付け時の
分散性の点で粒径は100μm以下がより好ましく、5
0μm以下が特に好ましい。また、チューブおよび条を
コイル状に巻き取る場合は被覆したろう材粉末粒子を剥
がれにくくするためには、40μm以下の粒径の粒子が
好ましく、30μm以下がさらに好ましい。一方、ろう
材粉末が小さくなりすぎるとろう材粉末の表面積が増え
るために、表面の酸化皮膜の量が多くなり、ろう付性を
低下させるため、90%以上の粒子を通常3μm以上の
粒子径とするが、さらに5μm以上とすることが好まし
い。
【0008】ろう材粉末の形状は球形が近い方が吹き付
け時の搬送性(吹き付けの作業性)の点で望ましいた
め、凝固後のろう材を粉砕した粉末よりも、アトマイズ
法等の方法で溶湯を急冷して製造した粉末が好ましい。
本発明ではろう材にSi粉末を使用することもできる。
この場合、Si粉末はチューブや条のアルミニウム合金
と反応してろう材となるように、50μm以下の粒子径
としアルミニウム合金表面の酸化皮膜を破壊するための
フラックスを用いる。しかし、ろう材表面の酸化皮膜に
ついては考慮する必要がないため、下限は0.5μm程
度でも問題はない。Si粒子は工業的には粉砕法によっ
て製造することが多いため、搬送性の点で上記のアルミ
ニウム合金ろう材に劣る。これらのろう材粉末はその表
面にろう付に使用するフラックスを予めコートしてあっ
てもよい。
【0009】本発明に用いる硬化性バインダー樹脂とは
後述の硬化方法により短時間で硬化して、ろう付温度よ
り低い温度で分解して、ろう付性や耐食性に悪影響を及
ぼす残渣を分解時に残さないものである。その例として
は、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ウレタン系樹
脂、エポキシ系樹脂等があるがこれに限定するものでな
い。このバインダーとして使用できる硬化性樹脂として
は、特開昭54−43853号、特開平1−14379
5号、特開平6−39586号などに記載されているも
のがあげられる。本発明方法において、金属材料の表面
に硬化性バインダー樹脂溶液を塗布する。塗布はディッ
ピング、ロールコーター、スプレー塗布等で行えばよい
が、特にロールコーター法が塗布速度の点で好ましい。
塗布する面はろう材が両面に必要であれば、両面に、片
面に必要であれば片面に、一部分に必要であれば必要な
部分に塗布すればよい。樹脂は必要に応じて、水、アル
コール、トルエン等の溶剤を用いた溶液で使用すればよ
い。
【0010】塗布する樹脂の量は、硬化後(溶媒を蒸発
させた状態で)1mg/m2 以上3g/m2 以下が好ま
しい。1mg/m2 未満では、次の工程で吹き付けたろ
う材粉末の付着が十分でなく、以降のわずかな状態の変
化により被覆したろう材が剥がれてしまう。3g/m2
を越えてもろう材を付着する効果は変わらないためにバ
インダーが無駄になる上に、バインダーを硬化させるの
に時間がかかるために、塗布の生産性が低下する。この
ようにして樹脂を被覆した金属材料に、樹脂を硬化させ
る前に上記ろう材粉末を吹き付ける。粉末は窒素ガス等
の不活性なガスを用いて吹き付けることがアルミニウム
合金粉末のようなろう材粉末の防曝上好ましい。吹き付
け方法は、このようなガスにより粉末を搬送して吹き付
ける方法や静電塗布法等があるが、取り扱いやすさとろ
う材塗布量の安定性の面で前者の方が好ましい。
【0011】ろう材粉末は吹き付けによって硬化性バイ
ンダー樹脂層の表面に付着する。ろう材粉末の塗布量
は、機器の設計上で要求されるろう付強度などにより決
まる。通常、アルミニウム合金ろう材を使用する場合、
10g/m2 以上150g/m2 以下が好ましい。この
塗布量が少なすぎると十分な大きさのフィレットが形成
されず、また、多すぎると樹脂の表面がほとんどろう材
粉末に覆われるため、付着自体が困難になる。Si粉末
を使用する場合、塗布量は3g/m2 以上あればよい。
【0012】本発明では吹き付けた際に付着しなかった
ろう材粉末を回収して、再使用可能である。ろう材粉末
は、製造に手間がかかり、高価なために回収により、ろ
う材粉末の歩留まりが向上する。ろう材を付着後、樹脂
を硬化させる。樹脂の硬化の方法は、樹脂の種類によっ
て異なるが代表的な硬化方法として、熱硬化、紫外線硬
化、電子線硬化等をあげることができる。この中で紫外
線硬化と熱硬化が設備コスト、操作容易性から好まし
い。また、生産性点で特に紫外線硬化が好ましい。本発
明では、樹脂にろう材粉末を混ぜる方法と比較して、使
用する樹脂の量が少なくてすむために、硬化は容易であ
る。
【0013】本発明では別の態様としてろう材粉末を吹
き付けた後に、さらにバインダー樹脂の塗布を行い、樹
脂を硬化させる実施態様をとることができる。これによ
れば、ろう材表面全域をバインダーが覆うために、ろう
材の耐剥離性が向上する。ろう材を吹き付け後樹脂を一
旦硬化させた後に、バインダー樹脂の塗布を行う場合、
塗布方法は、ディッピング、ロールコーター、スプレー
塗布等で行えばよい。硬化処理前に行う場合は、ろう材
粉末の移動を生じさせない点からスプレー法が好まし
い。このように、表面を覆った樹脂は、先に述べた方法
と同様に硬化させる。この場合に塗布する樹脂の量は、
硬化処理後(溶媒を蒸発させた状態で)10mg/m2
以上3g/m2 以下が好ましい。10mg/m2 未満で
は、ろう材の耐剥離性の向上効果が認められない。3g
/m2 を越えても耐剥離性を向上させる効果は変わらな
いためにバインダーが無駄になる上に、硬化性バインダ
ー樹脂を硬化させるのに時間がかかるために、塗布の生
産性が低下する。
【0014】また、このように、ろう材吹き付け後に再
度硬化性バインダー樹脂を塗布する工程を取る場合、最
初に塗布するバインダーの量を少なめにできるために、
全体として使用する硬化性バインダー樹脂の量が大きく
増えることはない。本発明では、ろう材の吹き付けと同
時、もしくはその前後にフラックス粉末を吹き付けても
よい。フラックスはろう付時にアルミニウム合金表面の
酸化皮膜を破壊し、ろう付を可能とするために使用する
ものであり、フッ化物系、Cs系、塩化物系等のフラッ
クスが代表としてあげられるがこれに限定するものでな
い。この場合のフラックスの粒径は先に述べたSiの粒
径と同等とすれば、問題は生じない。このようにろう材
とフラックスを一緒に塗布したものは、ろう付時にフラ
ックスの塗布が不要になるという利点が生じる。
【0015】フラックスの塗布量は通常0.5g/m2
以上30g/m2 以下である。フラックスはあらかじ
め、硬化性バインダーに混ぜておいてもよい。フラック
スはろう材粉末と異なって、その比重は硬化性バインダ
ー樹脂の比重に近いために、硬化性バインダー樹脂に混
ぜていても沈降が起きにくく、また、ろう材ほど正確
に、塗布量と分布を制御する必要がないためである。本
発明により製造されるろう材被覆金属材は、その用途は
特に限られるものではない。チューブまたは条は、自動
車等の熱交換器用の材料として特に適している。
【0016】
【実施例】次に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説
明する。 実施例1 3003合金に1%Znを添加した板厚0.08mm幅
16mmの条材(長さ約10km)の全長に、ディッピ
ング法により、溶媒としてトルエンを使用した熱硬化性
アクリル樹脂系バインダー溶液を、乾燥後の樹脂重量で
4g/m2 となるように連続的に塗布し、続けて粒子径
を10μm〜30μmの範囲内になるように分級したA
l−14%Si合金(不可避的不純物として、Feを
0.6wt%以下、Cu、Zu、Mn、Ti等の元素を
それぞれ0.05wt%以下含有している)ろう材粉末
(ガスアトマイズ法により製造)を、付着量が30g/
m2となるよう、窒素ガスをキャリアガスとして連続的
に吹き付けた。吹き付けた際に条材表面に付着しなかっ
たろう材合金粉末は回収して使用した。このように、バ
インダーおよびろう材粉末を表面に塗布後、空気炉にて
200℃に加熱して溶媒を蒸発させ、樹脂を硬化させ
た。得られた条材の長さ方向の先頭部、1/4部、中央
部、3/4部、最終部より、高さ10mm間隔2mmの
ピッチにコルゲート加工を行った。このコルゲートした
条材をフィン材として20山分を使用し、幅16mm厚
さ1mmの3003合金板と組み合わせて一段コアを組
み立て、フッ化物系のフラックスを塗布し、窒素ガス雰
囲気中で600℃×3分のろう付加熱を行った。ろう付
性をフィンの接着率で評価した。すなわち、チューブか
らフィンを剥がし、完全に接着されているものの接着率
を100%とし、未接着部があるものは、(接着されて
いる部分の長さ)/(接着されている部分の長さ+未接
着部の長さ)を100倍して接着率(%)とした。結果
を表1に示す。表1の結果から明らかなように本発明の
条材では、長さ方向のいずれの部位でも良好なろう付性
を有し安定している。また、ろう材粉末の回収が可能な
ため付着歩留まりが90%を越えていた。
【0017】比較例1 実施例1と同様な3003合金に1%Znを添加した板
厚0.08mm幅16mmの条材(長さ約10km)
に、溶媒としてトルエンを使用したアクリル系バインダ
ー溶液(実施例1と同じバインダー)にAl−14%S
i合金粉末(実施例1と同じ粉末)を混合したろう材粉
末含有バインダー溶液を、ディッピング法により連続的
に塗布した。塗布は、塗布開始時のろう材粉末の付着量
が30g/m2 となるように、バインダー濃度、バイン
ダー溶液中のろう材粉末の割合やライン速度等を調整し
た。このように、ろう材粉末含有バインダー粉末を条材
表面に塗布後、空気炉にて200℃に加熱して溶媒を蒸
発させ、樹脂を硬化させた。
【0018】得られた条材の長さ方向の先頭部、1/4
部、中央部、3/4部、最終部より、高さ10mm間隔
2mmのピッチにコルゲート加工を行った。このコルゲ
ートした条材をフィン材として20山分を使用し、幅1
6mm厚さ1mmの3003合金板と組み合わせて一段
コアを組み立て、フッ化物系のフラックスを塗布し、窒
素ガス雰囲気中で600℃×3分のろう付加熱を行っ
た。ろう付性をフィンの接着率で評価した。すなわち、
チューブからフィンを剥がし、完全に接着されているも
のの接着率を100%とし、未接着部があるものは、
(接着されている部分の長さ)/(接着されている部分
の長さ+未接着部の長さ)を100倍して接着率(%)
とした。結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】表1の結果から明らかなように、この方法
では、先頭部でも接着率は100%になっておらず、塗
布が進むにつれて、バインダー溶液のバインダー濃度が
上がるために、バインダーが多く塗布され、逆に容器の
底にろう材粉末が沈んでしまうためにろう材の付着量が
減じて、ろう付性が低下する。さらに、塗布後に容器に
残ったろう材は再使用できないために、ろう材粉末の歩
留まりは50%以下であった。
【0021】実施例2 3003合金の片面にAl−3%Zn合金を15%クラ
ッドした板厚0.25mm幅37mmの条材(長さ約4
km)のAl−3%Zn合金を15%クラッドしていな
い面に表2〜3の実験No.2−1〜2−8に示す手順
にてろう材の被覆を連続的に行った。表中に示されてい
るろう材粉末には特に記載されていない限りは、不可避
的不純物として、Feを0.6wt%以下、Cu、Z
n、Mn、Ti等の元素をそれぞれ0.05wt%以下
含有している。なお、ろう材粉末吹き付けた際に条材表
面に付着しなかったろう材合金粉末は回収して使用し
た。得られた条材に電縫加工を行い、ろう材側が外面と
した幅16mmの扁平チューブを作製し、長さ200m
mずつに切断し、条材の長さ方向の先頭部、1/4部、
中央部、3/4部、最終部に対応する位置より切断した
チューブを採取した。チューブは板厚0.07mmのコ
ルゲート加工した3003合金に1%Znを添加した合
金フィンと組み合わせ一段コアを組み立てた。得られた
コアにフッ化物系のフラックスを塗布し(すでにフラッ
クスを塗布してあるチューブについてはフラックスを塗
布せずに)、窒素雰囲気中で595℃×3.5分の加熱
条件でろう付した。
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】ろう付性をフィンの接着率で評価した。す
なわち、チューブからフィンを剥がし、完全に接着され
ているものの接着率を100%とし、未接着部があるも
のは、(接着されている部分の長さ)/(接着されてい
る部分の長さ+未接着部の長さ)を100倍して接着率
(%)とした。結果を表5に示す。表5の結果から明ら
かなように本発明の条材では、いずれの部位でも良好な
ろう付性を有している。また、フラックスをろうと一緒
に塗布したものではろう付時のフラックスの塗布が不要
である。また、ろう材粉末の回収が可能なため付着歩留
まりが90%を越えていた。
【0026】次に3003合金の片面にAl−3%Zn
合金を15%クラッドした板厚0.25mm幅37mm
の条材(長さ約4km)のAl−3%Zn合金を15%
クラッドしていない面に表4の実験No.2−9に示す
手順にてろう材の被覆を連続的に行ったが、膜厚が厚い
ためにロールコーターにより安定したろう材付着量が確
保できなかった。この得られた条材について前記実験例
と全く同様にしてろう付試験を行った。その結果を表5
に示す。
【0027】
【表5】
【0028】表5の結果から明らかなように、この実験
例では、ろう材粉末の付着量がばらついており、接着率
が安定しない。さらに、塗布後に余ったろう材含有バイ
ンダー溶液は容器底にろう材粉末が沈降しているため、
再使用できず、ろう材粉末の歩留まりは60%以下であ
った。
【0029】実施例3 JISA1050アルミニウムの円筒状ののビレットを
熱間押出して得られた多穴扁平管(高さ1.8mm、幅
16mm、長さ約2km、12穴)に表6及び7の実験
No.3−1〜3−7に示す手順にてろう材の被覆を連
続的に行った。表中に示されているろう材粉末には特に
記載されていない限りは、不可避的不純物として、Fe
を0.6wt%以下、Cu、Zn、Mn、Ti等の元素
をそれぞれ0.05wt%以下含有している。なお、ろ
う材粉末吹き付けた際に条材表面に付着しなかったろう
材合金粉末は回収して使用した。実験No.3−7では
ディッピング法のため、粉末の回収はできない。得られ
たチューブは直径400mmのリールに巻き、その後製
直加工を行って長さ580mmずつに切断し、条材の長
さ方向の先頭部、1/4部、中央部、3/4部、最終部
に対応する位置より切断したチューブを採取した。得ら
れた多穴チューブを、板厚0.07mmのコルゲート加
工したAl−0.5Si−1%Fe−0.5%Ni−2
%Zn合金フィンと3003合金のヘッダーパイプと組
み合わせ図1に示す熱交換器コアを組み立てた。得られ
たコアにフッ化物系のフラックスを塗布し(フラックス
をろうと一緒に塗布しているものについてはフラックス
を塗布せずに)、窒素雰囲気中で595℃にて3.5分
の加熱条件でろう付した。
【0030】
【表6】
【0031】
【表7】
【0032】ろう付性を実施例1と同様にフィンの接着
率で評価した。その結果を表8に示す。
【0033】
【表8】
【0034】表8の結果から明らかなように、実験N
o.3−1〜3−6で製造したチューブでは、いずれの
部位でも良好なろう付性を有している。これに対して、
実験No.3−7では膜厚が厚いため安定したろう付が
できなかった。特にろう材被覆工程最終部に近づくとデ
ィッピング層中でバインダーの沈殿、凝集が生じて不安
定なろう付性となった。また、実験No.3−1〜3−
6でフラックスをろうと一緒に塗布したものではろう付
時のフラックスの塗布が不要である。また、これらの実
験例ではろう材粉末の回収が可能なため付着歩留まりが
90%を越えていたが、実験No.3−7ではディッピ
ング容器内に多くのバインダー溶液(ろう材粉末を混合
したバインダー溶液)が残ったため、ろう材粉末の歩留
まりは60%以下であった。
【0035】
【発明の効果】以上のように本発明方法によれば、被覆
したろう材の分布が一定である金属材を工業的に、生産
性よく製造することができ、ろう付の安定性を高めるこ
とができ、ろう材粉末の歩留まりがよく、さらに、フラ
ックスをろうと一緒に塗布したものではろう付時のフラ
ックスの塗布が不要であり、工業上顕著な効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はパラレルフロータイプのコンデンサーを
示す模式図である。
【符号の説明】
1 押出多穴扁平チューブ 2 フィン 3 ヘッダーパイプ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属材料の表面に硬化性バインダー樹脂
    溶液を塗布後、ろう材粉末を吹き付け、次いでバインダ
    ー樹脂を硬化させることを特徴とするろう材被覆金属材
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 金属材料の表面に硬化性バインダー樹脂
    溶液を塗布後、ろう材粉末を吹き付け、さらにバインダ
    ー樹脂の塗布を行った後、バインダー樹脂を硬化させる
    ことを特徴とするろう材被覆金属材の製造方法。
  3. 【請求項3】 ろう材吹き付けと同時、もしくはその前
    後にフラックス粉末を吹き付けることを特徴とする請求
    項1または2に記載のろう材被覆金属材の製造方法。
  4. 【請求項4】 硬化性バインダー樹脂にあらかじめフラ
    ックスを混合しておくことを特徴とする請求項1〜3の
    いずれか1つに記載のろう材被覆金属材の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記金属材料およびろう材が、Al基合
    金である請求項1〜4のいずれか1つに記載のろう材被
    覆金属材の製造方法。
  6. 【請求項6】 ろう材粉末がSi粉末であることを特徴
    とする請求項3または4に記載のろう材の被覆方法。
  7. 【請求項7】 得られたろう材被覆金属材をコイル状に
    巻き取ることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つ
    に記載のろう材被覆金属材の製造方法。
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