JPH10251824A - 溶射用Al合金粉末ろう材とその溶射方法及びこれによって得られるろう材被覆押出多穴偏平チューブ - Google Patents

溶射用Al合金粉末ろう材とその溶射方法及びこれによって得られるろう材被覆押出多穴偏平チューブ

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JPH10251824A
JPH10251824A JP9062812A JP6281297A JPH10251824A JP H10251824 A JPH10251824 A JP H10251824A JP 9062812 A JP9062812 A JP 9062812A JP 6281297 A JP6281297 A JP 6281297A JP H10251824 A JPH10251824 A JP H10251824A
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brazing
thermal spraying
alloy
filler metal
brazing material
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JP9062812A
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Takenobu Dokou
武宜 土公
Koji Okada
光司 岡田
Yoshiharu Kinoshita
義治 木下
Taketoshi Toyama
猛敏 外山
Takaaki Sakane
高明 阪根
Etsuo Hasegawa
恵津夫 長谷川
Satoshi Nohira
智 野平
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Furukawa Electric Co Ltd
Denso Corp
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Furukawa Electric Co Ltd
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ろう材の溶射被覆によるろう付け用Al合金
部材を得るための、ろう付け性と耐蝕性に優れた溶射用
Al合金粉末ろう材とその溶射方法を見出すこと。 【解決手段】 Si:6.0〜20.0wt%(以下単に% と記す) を
含有し、Fe:0.10 〜1.8%とNi:0.10 〜1.8%の1 種または
2 種を含有し、更にZn:0.5〜40.0% もしくはIn:0.0005
〜0.3%、Sn:0.0005 〜0.3%の1種または2種を含有し、
残部がAlと不可避的不純物からなることを特徴とする
溶射用Al合金粉末ろう材であり、また、この溶射用A
l合金粉末ろう材を使用し、高速ガス炎溶射を行うこと
によりAl合金材の表面にろう材を被覆して、ろう付け
性と耐蝕性に優れたろう付け用Al合金部材を得るAl
合金粉末ろう材の溶射方法及びこれによって得られるチ
ューブである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶射用Al合金粉
末ろう材とその溶射方法及びこれによって得られるろう
材被覆押出多穴偏平チューブに関するものである。更に
詳しくは、ブレージング(ろう付け)工法によって製造
される熱交換器等の部材は、各種Al合金材の表面にA
l合金ろう材が被覆されているが、本発明はろう材の被
覆が圧延等では困難な場合の部材、例えばAl合金押出
部材等へのろう材の溶射による被覆の際の溶射用Al合
金粉末ろう材とその溶射方法及びこれによって得られる
ろう材被覆押出多穴偏平チューブに関するものである。
本明細書において、Al合金の組成はすべてwt%であ
るが、略して単に%で記すこととする。
【0002】
【従来の技術】Al合金製熱交換器の一例として、コン
デンサーを図1に示す。この熱交換器のチューブは、押
出による多穴偏平管が使用され、フィンにはろう材をク
ラッドしたブレージングシートフィンが使用され、ブレ
ージング工法により一体に製造されている。近年、熱交
換器の小型、軽量化のため、薄肉化に限界があるフィン
をベアフィンにして薄肉化し、押出チューブの外側に溶
射によりろう材を被覆し、これらを組み合わせてブレー
ジングにより一体化する方法が提案されている(例えば
特開昭63−34495、特開平2−84261な
ど)。しかし、このような押出チューブにAlろう合金
材を溶射する方法では、ろう材の合金組成の検討が十分
になされていないために、ろう付性や耐食性に問題があ
り、押出チューブにAlろう合金材を溶射する方法は工
業化されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】Al合金製熱交換器等
は、ろう付け性や耐食性が必要であるが、本発明の課題
は、前記の状況に鑑み、Alろう合金粉末の溶射による
ろう付け用のAl合金部材のろう付性や耐食性の優れる
溶射用Al合金粉末ろう材とその溶射方法を見出すこと
である。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の請求項1の発明は、Si:6.0〜20.0% を含有し、Fe:0.1
0 〜1.8%とNi:0.10 〜1.8%の1 種または2 種を含有し、
更にZn:0.5〜40.0% を含有し、残部がAlと不可避的不
純物からなることを特徴とする溶射用Al合金粉末ろう
材であり、
【0005】請求項2の発明は、Si:6.0〜20.0% を含有
し、Fe:0.10 〜1.8%とNi:0.10 〜1.8%の1 種または2 種
を含有し、更にIn:0.0005 〜0.3%、Sn:0.0005 〜0.3%の
1種または2種を含有し、残部がAlと不可避的不純物
からなることを特徴とする溶射用Al合金粉末ろう材で
あり、
【0006】請求項3の発明は、前記請求項2に記載の
Al合金粉末ろう材に、更にZn:0.5〜40.0% を含有した
ことを特徴とする溶射用Al合金粉末ろう材である。
【0007】また、請求項4の発明は、前記請求項1、
2、3のいずれかに記載の溶射用Al合金粉末ろう材を
使用して高速ガス炎溶射を行うことにより、Al合金材
の表面にろう材を被覆して、耐蝕性とろう付け性に優れ
たろう付け用Al合金部材を得ることを特徴とするAl
合金粉末ろう材の溶射方法であり、
【0008】請求項5の発明は、前記Al合金材が、A
l若しくはAl合金からなる押出多穴偏平チューブであ
ることを特徴とする請求項4に記載のAl合金粉末ろう
材の溶射方法である。
【0009】更に、請求項6の発明は、請求項4、5に
記載の溶射方法によって得られる、ろう材被覆押出多穴
偏平チューブである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、前記各発明について、詳細
に説明する。まず、請求項1の発明について説明する。
請求項1の発明は、Si:6.0〜20.0% を含有し、Fe:0.10
〜1.8%とNi:0.10 〜1.8%の1 種または2 種を含有し、更
にZn:0.5〜40.0% を含有し、残部がAlと不可避的不純
物からなる溶射用Al合金粉末ろう材を発明の要旨とす
るものである。
【0011】Al合金粉末ろう材の各添加元素の役割は
次のとおりである。Siは、合金の融点を下げ、ブレージ
ング用ろう材とするための必須元素である。その量が、
6.0%未満並びに20.0% を越えると十分に融点が低下せ
ず、ブレージング用ろう材として不適である。従ってそ
の範囲は6.0 〜20.0% とするが、ろう流れ性を考慮する
と 8.0〜14.0% の範囲が好ましい。
【0012】Fe、Niは、溶射により被覆するブレージン
グ用ろう材にとって重要な添加元素であり、本発明にと
って最も重要な元素である。Fe、Niの役割を述べるにあ
たり、溶射についてまず簡単に説明する。ろう合金材の
溶射を工業的に行う場合、押出ラインの押出の直後に溶
射装置を設置して行う。材料の押出速度は生産性に関わ
るために早い方が望ましいが、押出速度が早くなるほど
溶射により形成されるろう材層は薄くなる。溶射装置を
直列に多数設置すれば、溶射により形成されるろう材層
の厚さを厚くすることは可能であるが、装置のコストの
点で限界がある。また、溶射でのろうの歩留まりは10
〜60%程度であり、これもろう材層を薄くする原因で
ある。これらの理由で、溶射でろう材層を被覆する場
合、通常40g/m2 程度であり、これは厚さで換算す
ると約15μm程度であり、一般に電縫管として熱交換
器に使用されている0.4mmのブレージングシートの
ろう材被覆率10%(40μm)の半分以下である。こ
のように、溶射により、Al合金ろうを被覆する場合、
ろう材量が少ないので、ろう付け性により十分なフィレ
ット部の強度と耐食性を確保可能なろう合金とする必要
がある。
【0013】さらに、溶射の場合、ブレージングシート
と異なりろうは(ミクロ的に)均一に着かないので、ろ
う付け性をブレージングシートよりも高めたろう材とす
る必要がある。即ち、チューブの幅方向でろう材の付着
量は異なり、幅方向の中心部のろう材量は端部のろう材
量より多くなる。また、ミクロ的には溶射は非常に細か
なろう合金がチューブ表面に付着するため、その付き方
はミクロ的に均一でない。そのため、溶射したろう材の
ろう付け性には特にろう流れ性が必要であり、ろう流れ
性を高めれば不均一に付着したろうでもろう付け性が確
保できる。ここで、Fe、Niは, 粉末として溶射を行う場
合に、ろう流れ性を向上し、ろう付け性を高める働きを
有する。すなわち、溶射時にろう材は急冷されるため、
その際にろう材中にFe、Niを添加した場合、Fe、Niは微
細な化合物となり晶出する。Fe、Niの晶出は共晶反応で
生じるSiよりも先に生じるために、溶射の凝固時のSiの
晶出はFe、Ni系の金属間化合物が微細に生じた後に生じ
るので、Siは分断されて、溶射したろう材中には粗大な
Siは生じない。そのため、Fe、Niを添加したろう材を溶
射した場合、粗大なSiが生じていないので、ろうの溶融
が速やかに生じ、ろう流れ性が向上するのである。この
ような特性は溶射ろう材特有の現象である。ここで、F
e、Niの量が、各々0.10% 未満ではそのような効果が不
十分である。以上のように、ろう付性の点から、溶射用
ろう材合金ではFe、Niの添加が有効であるが、Fe、Niの
添加量を増やしすぎるとFe、Ni系の金属間化合物が増
え、ろう付け時に未溶融のまま残存し、逆にろうの流れ
を阻害してろう付け性を低下するので、Fe、Niの添加量
は、各々1.8%以下とするが、ろう流れの点からは0.6%以
上1.2%以下が特に推奨される。
【0014】以上より、本ろう材においては、Fe:0.10
〜1.8%とNi:0.10 〜1.8%の1 種または2 種を添加する
が、Fe、Niの添加量が増えるとブレージング後に粗大な
Fe、Ni系の金属間化合物を生成し、その周囲に局部電流
を形成し、ろうの耐食性を低下させ、ろうが薄い場合は
母材の耐食性をも低下させる。従って、耐食性の点で
は、Fe、Niは、各々0.6%以下の添加が望ましい。
【0015】Znは、ろう材の電位を調整し、耐食性をさ
らに高めるために添加する。添加量は、溶射されるAl
合金の電位により決めるが、通常Al合金よりろうを卑
にするように添加することが望ましい。また、ろう付に
より熱交換器を組み立てる場合、フィンの電位よりろう
の電位が貴になるように添加することが望ましい。ここ
で、0.5%未満のZnでは、上記効果が得られない。また、
40.0% を越えたZnを添加した場合、ろうの自己耐食性が
低下してしまう。従って、Znの添加は、0.5 〜40.0% と
する。
【0016】不可避的不純物として、他の元素(ろう材
合金にろう流れ性向上やろう付け後の結晶粒微細化等の
目的で、しばしば添加されることがあり、本発明の効果
に影響を及ぼさない元素)も、それぞれ0.30% 以下であ
れば含有してもよいが、0.05% 以下が望ましい。ここ
で、代表的な不可避的不純物としては、Cu、Mn、Mg、C
r、Zr、Ti、Bi、Be、Li等を挙げることができる。
【0017】次に、請求項2の発明は、Si:6.0〜20.0%
を含有し 、Fe:0.10 〜1.8%とNi:0.10 〜1.8%の1 種ま
たは2 種を含有し、更にIn:0.0005 〜0.3%、Sn:0.0005
〜0.3%の1種または2種を含有し、残部がAlと不可避
的不純物からなる溶射用Al合金粉末ろう材を発明の要
旨とするものである。このAl合金粉末ろう材の合金組
成のうち、Si、Fe、Niの添加の意味と範囲の限定理由
は、前記と同様である。このAl合金粉末ろう材は、更
にIn:0.0005 〜0.3%、Sn:0.0005 〜0.3%の1種または2
種を含有するものである。In、Snをこのように添加する
のは、ろう材の電位を調整し、耐食性をさらに高めるた
めである。これらの量は、溶射されるAl合金の電位に
より決めるが、通常Al合金よりろうを卑にするように
添加することが望ましい。また、ろう付により熱交換器
を組み立てる場合、フィンの電位よりろうの電位が貴に
なるように添加することが望ましい。ここで、0.0005 %
未満のIn、0.0005 %未満のSnでは、上記の効果が得られ
ない。また、0.3%を越えたIn、0.3%を越えたSnを添加し
た場合、ろうの自己耐食性が低下してしまう。従って、
In、Snは、0.0005〜0.3%の範囲で1種または2種添加す
る。他の不可避的不純物については、請求項1で説明し
たことと同様である。
【0018】次に、請求項3の発明は、前記請求項2に
記載のAl合金粉末ろう材に、更にZn:0.5〜40.0% を含
有した溶射用Al合金粉末ろう材を発明の要旨とするも
のである。即ち、Al-Si-Fe.Ni-In.Sn-Zn合金粉末ろう材
である。ここで、更にZnを0.5 〜40.0% 添加するのは、
InやSnを添加する場合、これらの元素が偏析し、微量の
偏析であってもこれらの元素は電位を大きく変化するの
で、ピット状の腐食を生じることがあるが、これを防止
するためである。即ち、Znを添加することで、局部的な
電位差が生じることを防止し、さらに耐食性を高めてい
る。その量は0.5%未満では効果がなく、40.0% を越える
とろうの自己耐食性が低下する。他の不可避的不純物に
ついては、請求項1で説明したことと同様である。
【0019】以上が本発明の溶射用Al合金粉末ろう材
の組成に関する説明であるが、本発明のろう合金は、粉
末として溶射に使用する。線材で溶射を行うと、ろう合
金線材中にFe系の粗大な金属間化合物が存在するため
に、溶射時に粗大な化合物が完全に溶融しないで、その
まま溶射されてAl合金材に達する。そのため、先に記
したFe、Niの晶出によるろう付け性を向上させる効果が
Fe、Niの添加により得られない。粉末の場合、Fe、Ni系
の金属間化合物は微細であり、溶射時にろう合金はほぼ
完全に溶融するため、先の効果によりろう付け性を向上
させる。したがって、本発明のろう合金は溶射用粉末に
用途を限定する。粉末の製造方法は、一般に行われてい
る不活性ガスアトマイズ法等の方法でよく、粉末の粒度
は溶射の条件に合わせて必要なサイズにすればよい。
【0020】次に、請求項4の発明は、前記請求項1、
2、3のいずれかに記載の溶射用Al合金粉末ろう材を
使用して、高速ガス炎溶射を行うことにより、Al合金
材の表面にろう材を被覆して、耐蝕性とろう付け性に優
れたろう付け用Al合金部材を得るAl合金粉末ろう材
の溶射方法を発明の要旨とするものである。
【0021】金属粉末の溶射方法は、代表的なものとし
て、粉末式フレーム溶射、爆発溶射、プラズマ溶射を上
げることができるが、本発明の溶射用Al合金粉末ろう
材の溶射方法は、粉末式フレーム溶射が推奨され、特に
高速ガス炎溶射法が最も適する。これは、高速ガス炎溶
射法では高速でろう合金が溶射されるため、溶射時に溶
けたろうと母材との接触が確実に生じ、溶射時のろうの
冷却速度が早くなるので、本発明のようにFe、Niを微細
な化合物として、ろう付け性を向上させるために効果的
なためである。
【0022】また、溶射を行うものは、ブレージングを
行いかつ耐食性が必要なAl合金材であればよく、特に
限定されるものではないが、最も推奨するものとして、
Al合金製熱交換器用の押出多穴偏平チューブ、配管に
用いられる各種押出管、引抜管等を上げることができ
る。
【0023】また、請求項5の発明は、請求項4におけ
る溶射するAl合金材の好ましい実施態様である。即
ち、このAl合金材として、特に熱交換器用のAl若し
くはAl合金からなる押出多穴偏平チューブをあげたも
のである。具体的に、純Alとしては、合金No.10
50、1100、1200等であり、また、Al合金と
しては、合金No.3003、3203等である。
【0024】請求項6の発明は、請求項4、5に記載し
た溶射方法によって得られるろう材被覆押出多穴偏平チ
ューブである。即ち、本発明に係わる溶射用Al合金ろ
う材を用いて、高速ガス炎溶射を行うことにより得られ
る、ろう材被覆のAl若しくはAl合金からなる押出多
穴偏平チューブである。このろう材被覆のチューブは、
ベアのコルゲートフィンと組み合わせて、ろう付け接合
することにより、コンデンサ等のコアを製造することが
できる。この場合、フィン材は、ろう材が被覆されてい
ないベア材であるため、フィン材の薄肉化が実現でき
る。
【0025】
【実施例】以下に、本発明の実施例(本発明例)を、比
較例、従来例とともに、より具体的に説明する。 〔実施例1〕本実施例は、請求項1、4、5、6に相当
するものである。JISA1050に相当するアルミニ
ウムの円筒状のビレットを、多穴扁平チューブ(高さ
1.8mm、幅16mm、19孔)に、熱間押出した。
この押出多穴扁平チューブの幅16mmの両面に、表1
に示した組成のAl合金ろう材粉末(窒素ガスアトマイ
ズ法にて製造)を、高速ガス炎溶射法により溶射した
(表1の本発明例No.1〜12、比較例No.13〜
16)。なお、ろう材粉末には、不可避的不純物元素
は、0.04%以下含有されている。
【0026】なお、高速ガス炎溶射は、下記の条件で行
った。 ・使用粉末の粒度: 約20〜100μm ・燃料ガス: プロピレンと酸素の混合ガス ・溶射ガンとチューブ表面との距離: 約200mm また、表1の比較例No.16は、表1のろう合金線材
(直径1.5mm)を、チューブ表面にアーク溶射して
製造した。表1の従来例No.17は、表1の合金組成
(4343合金)のろう合金線材(直径1.5mm)を
アーク溶射して製造した。これらのチューブの溶射後の
ろう材の量は、35〜45g/m2であった。
【0027】得られた多穴扁平チーブを長さ100mm
に切断し、板厚0.07mmのコルゲート加工したAl-
0.5%Si-1%Fe-0.5%Ni-2%Zn合金フィンと組み合わせ、図
2に示す1段のコアを各2つ作製した。得られたコアに
フッ化物系のフラックスを塗布し、窒素雰囲気中で59
5℃×3.5分の加熱条件でろう付した。
【0028】上記コアの一つを用いて、コアのろう付状
況をフィンの接着率で評価した。すなわち、コアからフ
ィンを剥がし、図3のように完全に接着されているもの
の接着率を100%とし、図4のように未接着部がある
ものは、(接着されている部分の長さ)/(接着されて
いる部分の長さ+未接着部の長さ)を100倍して接着
率(%)とした。結果を表2に示す。また、他の一つの
コアは、チューブ端面をマスキング後CASS試験を行
い、耐食性について調べた。これらの結果を、表2に示
す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】表1、2から明らかなように、本発明のろ
う合金粉末を使用した本発明例は、いずれも接着率、耐
食性が従来例より優れている。また、本発明と組成が異
なる比較例では、接着率や耐食性が本発明例と比較して
劣っている。さらに、本発明例No.5と比較例No.
16は、同一合金組成であるが、ろう材を線材として溶
射している比較例No.16は、本発明のろう合金粉末
を使用している本発明例と比較して、ろう付性が劣って
いる。
【0032】〔実施例2〕本実施例は、請求項2、3、
4、5、6に相当するものである。実施例1と同様に、
JISA1050に相当するアルミニウムの熱間押出に
よる多穴扁平チューブの両面に、表3に示した組成のA
l合金ろう材粉末(窒素ガスアトマイズ法にて製造)
を、高速ガス炎溶射法により溶射した(表3の本発明例
No.18〜24、比較例No.25〜28)。なお、
高速ガス炎溶射の条件は、実施例1と同様である。
【0033】また、表3の比較例No.28は、表3の
ろう合金線材(直径1.5mm)を、チューブ表面にア
ーク溶射して製造した。これらのチューブの溶射後のろ
う材の量は、35〜45g/m2であった。
【0034】得られた多穴扁平チーブを長さ100mm
に切断し、実施例1と同様に板厚0.07mmのコルゲ
ート加工したAl-0.5%Si-1%Fe-0.5%Ni-2%Zn合金フィンと
組み合わせ、図2に示す1段のコアを各2つ作製した。
得られたコアにフッ化物系のフラックスを塗布し、窒素
雰囲気中で595℃×3.5分の加熱条件でろう付し
た。得られたコアについて、実施例1と同様に、フィン
の接着率とチューブの耐食性について試験、評価し、こ
の結果を表4に示した。
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】表3、4から明らかなように、本発明のろ
う合金粉末を使用した本発明例は、いずれも接着率、耐
食性が従来例より優れている。また、本発明と組成が異
なる比較例では、接着率や耐食性が本発明例と比較して
劣っている。なお、比較例No.28は、発明の範囲の
合金組成であるが、ろう材を線材として溶射しているた
め、ろう付性が劣っている。
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の溶射用A
l合金粉末ろう材は、熱交換器等の耐食性が必要なAl
部材に溶射するのに適しており、また、溶射したAl合
金部材は、ろう付性にも優れている。また、本発明の溶
射方法は、耐蝕性とろう付性に優れたろう付け用Al合
金部材を容易に得ることができる。更に、本発明のろう
材被覆押出多穴偏平チューブは、ベアのコルゲートフィ
ンと組み合わせてろう付けできるため、フィン材の薄肉
化が実現できる等工業上顕著な効果を有するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンデンサーの一例を示す斜視図である。
【図2】実施例に用いた1段コアの形状を示す説明図で
ある。
【図3】図2のコアをろう付けした後に、フィンを剥が
したチューブ(2本)1の表面に形成された接着良好な
フィレット部4のパターンを示す。
【図4】図2のコアをろう付けした後に、フィンを剥が
したチューブ(2本)1の表面に形成された接着不良の
フィレット部5のパターンを示す。。
【符号の説明】
1:押出多穴扁平チューブ 2:フィン 3:ニップル 4:チューブ材からフィンを剥がした際の接着良好なフ
ィレット部 5:チューブ材からフィンを剥がした際の接着不良のフ
ィレット部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F28F 21/08 F28F 21/08 A (72)発明者 木下 義治 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 外山 猛敏 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 阪根 高明 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 長谷川 恵津夫 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 野平 智 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:6.0〜20.0wt%(以下単に% と記す) を
    含有し、Fe:0.10 〜1.8%とNi:0.10 〜1.8%の1 種または
    2 種を含有し、更にZn:0.5〜40.0% を含有し、残部がA
    lと不可避的不純物からなることを特徴とする溶射用A
    l合金粉末ろう材。
  2. 【請求項2】 Si:6.0〜20.0wt% を含有し、Fe:0.10 〜
    1.8%とNi:0.10 〜1.8%の1 種または2 種を含有し、更に
    In:0.0005 〜0.3%、Sn:0.0005 〜0.3%の1種または2種
    を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなることを
    特徴とする溶射用Al合金粉末ろう材。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のAl合金粉末ろう材
    に、更にZn:0.5〜40.0% を含有したことを特徴とする溶
    射用Al合金粉末ろう材。
  4. 【請求項4】 請求項1、2、3のいずれかに記載の溶
    射用Al合金粉末ろう材を使用して高速ガス炎溶射を行
    うことにより、Al合金材の表面にろう材を被覆して、
    耐蝕性とろう付け性に優れたろう付け用Al合金材を得
    ることを特徴とするAl合金粉末ろう材の溶射方法。
  5. 【請求項5】 前記Al合金材が、Al若しくはAl合
    金からなる押出多穴偏平チューブであることを特徴とす
    る請求項4に記載のAl合金粉末ろう材の溶射方法。
  6. 【請求項6】 請求項4、5に記載の溶射方法によって
    得られる、ろう材被覆押出多穴偏平チューブ。
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