JP3356856B2 - ろう付用防食アルミニウム材料及びその製造方法 - Google Patents

ろう付用防食アルミニウム材料及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばろう付仕様に
よって製作される熱交換器の構成部材等として用いられ
るろう付用アルミニウム材料、特に耐食性を要求される
部材に好適に用いられるろう付用防食アルミニウム材料
及びその製造方法に関する。
【0002】なお、この明細書において、アルミニウム
の語はその合金を含む意味で用いられる。
【0003】
【従来の技術】アルミニウム材の表面に、溶射によりA
l−Si系合金からなるろう材層を被覆形成してろう付
用材料となす技術は既に知られている。しかし、ろう材
層を形成しただけではろう付後に耐食性を付与すること
はできない。
【0004】そこで、耐食性を付与できるろう付用アル
ミニウム材料の製造方法として、ろう材層の溶射形成に
先立ってまずZnまたはZn合金をアルミニウム材の表
面に溶射して防食層を形成し、その後にろう材を溶射す
る方法が提案されている(例えば特開平1−15779
4号、特開平2−46969号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法では、防食層とろう材層を順次別々に形成するため
に、溶射装置を前後2段に配置しなければならず、製造
ラインが長くなるとか、コスト高につくというような欠
点があった。
【0006】しかも、ろう材層が防食層の上に形成され
るため、ろう材層の表面が広く大気と接触して強固な酸
化皮膜が形成されやすく、この酸化皮膜がろう付性を阻
害して良好なろう付を行うことができないという欠点も
あった。このため、このようなろう付用の防食アルミニ
ウム材料は実用化されていないのが現状である。
【0007】この発明の目的は、耐食性を付与できるろ
う付用アルミニウム材料を溶射法により製造するもので
ありながら、製造ラインの長尺化等を派生することがな
く、しかもろう付性にも優れたろう付用防食アルミニウ
ム材料を提供することにある。
【0008】この発明の他の目的は、上記のようなろう
付用アルミニウム材料の製造方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、アルミニ
ウム材の表面に、AlとSiとの混合体及び/又はAl
−Si系合金からなるろう付用金属とZn又はZn合金
との混淆した溶射層が形成されるとともに、前記ろう付
用金属は多数の粒子状非溶融組織からなり、これら粒子
状のろう付用金属が、溶融凝固した前記Zn又はZn合
金中に分散していることを特徴とするろう付用防食アル
ミニウム材料によって達成される。さらにまた、Alと
Siとの混合粉末及び/又はAl−Si系合金粉末を含
むろう付用金属からなる第1粉末と、Znを含む防食用
の第2粉末を混合して混合粉末とし、この混合粉末をア
ルミニウム材の表面に溶射するに際し、第2粉末を溶融
させる一方、第1粉末は固体状態のままか表面部のみを
溶融させて溶射を行うことにより、アルミニウム材の表
面に、Zn又はZn合金中に多数の粒子状組織からなる
ろう付用金属が分散した溶射層を形成することを特徴と
するろう付用防食アルミニウム材料の製造方法によって
達成される。
【0010】この発明に用いるアルミニウム材の組成は
特に限定されることはなく、用途との関連で要求される
種々の材質のものを用いれば良い。また、アルミニウム
材の加工方法も特に限定されることはなく、押出材、圧
延材、鋳造材その他各種の材料を用いることができる。
また、アルミニウム材の断面形状も限定されることはな
く、用途との関係で決定される任意の形状に製作すれば
良い。
【0011】アルミニウム材の表面の溶射層において、
ろう付用金属はろう材として機能するものである。かか
るろう付用金属としては、代表的にはAl−Si系合金
を挙げ得る。この場合Al−Si系合金としては、Al
とSiのみを含有するAl−Si合金だけを意味するの
ではなく、Al、Siの他第3成分が添加された例えば
Al−Si−Zn合金であっても良いし、Al−Si合
金とAl−Si−Zn合金の混合体であっても良い。ま
た、ろう付用金属は、ろう材としての機能を有すれば良
いことから、Al単体とSi単体との混合体であっても
良いし、Al−Si系合金と、Al単体及びSi単体の
混合体であっても良い。
【0012】前記ZnまたはZn合金は、ろう付後のア
ルミニウム材に耐食性を付与するものである。具体的に
は、Zn単体でも良いし、あるいはZn−Al系合金で
も良いし、さらにはZnとZn−Al系合金の混合体で
も良い。また、Zn−Al系の合金は、ZnとAlのみ
を含むZn−Al合金だけを意味するものではなく、Z
n、Alの他第3成分が添加された例えばZn−Al−
Si合金であっても良い。
【0013】上記のようなアルミニウム材料の製造方法
について説明すると、次のとおりである。
【0014】即ち、まず、ろう付用金属からなる第1粉
末と、Znを含む防食用の第2粉末を用意する。第1粉
末としては、上記のとおりAl−Si系合金粉末でも良
いし、Al粉末とSi粉末との混合粉末でも良いし、A
l粉末とSi粉末との混合粉末にさらにAl−Si系合
金粉末を混合したものでも良い。
【0015】第1粉末としてAl−Si系合金粉末及び
/又はAl粉末とSi粉末との混合粉末を用いる場合、
粉末中のSi量は、溶射によるAl、Si量の変動を考
慮しつつ、溶射後のろう材に占めるSi量が5〜40w
t%となるように設定するのが良い。5wt%未満の場
合あるいは40wt%を越える場合には、液相線温度が
高くなりろう付が困難となる。特に好ましくは、溶射後
のろう材中のSi量が8〜13wt%となるように第1
粉末中のSi量を設定しておくのが良い。
【0016】一方、Znを含有する防食用の第2粉末と
しては、Zn単体の粉末でも良いし、あるいはZn−A
l系の合金粉末でも良いし、さらにはZn粉末とZn−
Al系合金粉末の混合粉末でも良い。かかる第2粉末に
おけるZn含有量は40wt%以上確保するのが望まし
い。40wt%未満では、Zn量が不足して十分なZn
拡散層を形成することができないため、ろう付後の耐食
性が低下するおそれがあるのみならず、融点の上昇を招
いて後述する「のり状効果」が低下する危険がある。特
に好ましくは第2粉末のZn量を85wt%以上確保す
るのが良い。
【0017】上記の第1粉末と第2粉末とは、これらを
混合して混合粉末とするが、第1粉末と第2粉末の混合
比率は重量比で30:70〜95:5に設定するのが良
い。第1粉末が95wt%を越えて多くなると溶射時に
アルミニウム材との密着性が悪化する危険がある。一
方、第1粉末が30wt%を下回って少なくなると、ろ
う材成分が減少し、ろう付不良を起こす危険がある。第
1粉末と第2粉末の特に好ましい混合比率は、重量比で
65:35〜90:10である。
【0018】上記第1粉末と第2粉末との混合粉末の溶
射により、アルミニウム材の表面には、ろう付用金属と
ZnまたはZn合金とが混交錯綜した溶射層が形成され
る。溶射層の厚さは、良好なろう付性とろう付後の良好
な耐食性を確保するために、10μm以上とするのが良
い。また、溶射後のZn付着量は6〜20g/mに設
定するのが良い。Zn付着量が6g/m未満では、所
期する良好な皮膜密着性、耐食性を得ることができない
虞れがある。一方20g/mを越えると初期腐食が速
くなる危険がある。特に好ましいZn付着量は8〜12
g/mである。
【0019】また、溶射の条件は特に限定されることは
ないが、望ましくは防食用の第2粉末については溶融さ
せる(完全溶融が望ましい)一方、ろう付用の第1粉末
については、溶融を抑制して、固体状態のままかあるい
は表面のみを溶融させて行うのが良い。この理由は次の
とおりである。
【0020】即ち、第1粉末を溶融させないのが望まし
い理由は、完全溶融するような高温状態では、表面に強
固な酸化皮膜が生成され易くなり、ろう付性を阻害する
からである。また完全溶融してしまうと、溶射後の凝固
時には粒子の内部に至るまで既にろう付を行ったのと同
じ組織状態となってしまい、その後のろう付時において
もはや十分なろう付機能を発揮できなくなるからでもあ
る。一方、防食用の第2粉末を溶融させるのが良い理由
は、この第2粉末を溶融液状化して、固体状態あるいは
表面のみが溶融した前記第1粉末粒子の周囲に密着し、
あるいは第1粉末粒子間に充填することにより「のり状
効果」を発揮させ、バインダーとして第1粉末粒子を保
持するとともに、アルミニウム材に密着させるためであ
る。このように、第2粉末を溶融させるとともに、第1
粉末の溶融を抑制して溶射を行った場合には、アルミニ
ウム材の表面に形成される溶射層は、ほぼ第1粉末のま
まの多数のろう付用金属粒子が、第2粉末の溶融凝固し
たZnまたはZn合金中に分散し、かつZn又はZn合
金を介してアルミニウム材表面に保持された状態となっ
ている。なお、第1粉末の一部に完全溶融しているもの
が含まれていても良いし、第2粉末の一部に溶融してい
ないものが含まれていても良い。
【0021】このように、第1粉末の溶融を抑制しかつ
第2粉末を溶融させて溶射を行うための具体的な溶射条
件としては、プラズマアーク溶射のような高温度溶射で
はなく、溶射温度1000〜3000℃程度(好ましく
は2300〜2900℃程度)が良い。溶射温度が10
00℃未満では粉末表面の溶融が不充分となってアルミ
ニウム材との密着性が劣る危険がある。逆に3000℃
を越えると、第1粉末の内部まで完全溶融する虞れがあ
る。この様な溶射温度域を実現する溶射法として、フレ
ーム溶射法を挙げることができる。
【0022】溶射距離は50〜500mmが望ましい。
50mm未満では粉末が溶け過ぎてろう付用金属粒子が
酸化するのみならず、アルミニウム材そのものが熱によ
り形状変化や組織変化を生じる虞れがある。一方、50
0mmを越えると粉末が再凝固して付着量が低下し、そ
のためろう付性が低下する虞れがある。特に好ましい溶
射距離は150〜300mmである。また、混合粉末の
供給量は30〜180g/分に設定するのが良い。30
g/分未満では第1粉末に対応するろう材の絶対量が不
足してろう付性が低下する恐れがあり、180g/分を
越えると溶射層が厚膜化し、冷却の際の収縮差によって
密着性が低下すると共に、経済性も悪くなる恐れがあ
る。特に好ましくは、90〜150g/分に設定するの
が良い。
【0023】また、第1粉末の粒径は溶融を防止すべ
く、アトマイズ粉のような偏平なものより真球粉又はこ
れに近い形状であることが好ましい。また、第1粉末の
粒径が小さすぎると完全溶融しやすいことから、粉末粒
径は平均で10μm以上確保するのが良い。一方粒径が
平均で200μmを越えると、隣接する第1粉末同志の
間に隙間が生じ易く、ろう材金属粒子が少なくなってし
まう虞れがあるため、10〜200μmの範囲とするの
が良い。第1粉末の特に好ましい粒径は50〜150μ
mである。
【0024】一方、第2粉末の粒径は、「のり状効果」
に基く良好なバインダー作用と密着性を確保すべく10
〜200μmの範囲とするのが良い。10μm未満では
延べ表面積が多くなり酸化物層も多くなるため密着性が
悪化する。また、200μmを越えると、溶融しにくく
なるため、「のり状効果」が低下する。第2粉末の特に
好ましい粒径は10〜150μmである。
【0025】また、上記第1、第2粉末は、溶射ガンの
細いノズル内をスムーズに通過させるために、粉末の1
0wt%以上、好適には50wt%以上が球状粒子であ
ることが望ましい。
【0026】上記の溶射は粉末粒子の酸化を防止するた
め、N雰囲気等の非酸化性雰囲気で行うのが良い。加
えて、第1、第2粉末としても、酸素濃度が0.05w
t%以下の酸化度の少ない粒子を用いるのが良い。酸素
濃度が0.05wt%を越えると、溶射時に密着性が悪
化するとともに、ろう付性も悪くなる。
【0027】なお、溶射は、コイル状のアルミニウム材
を巻きほどきながら、あるいはアルミニウム材が特に押
出材の場合には、アルミニウム材を押出機から押出しな
がら、連続的に溶射するのが生産効率上好ましい。
【0028】上記により、混合粉末の溶射層を形成した
この発明に係るアルミニウム材料は、その後、ろう付品
の構成部材としてろう付に供され、600℃前後の温度
に加熱される。この加熱による温度上昇の過程で、溶射
層中のZnまたはZn合金が400℃程度でろう材表面
の酸化膜を破壊しながら溶融し始めるとともに、アルミ
ニウム材表面に拡散して防食層が形成される。さらに温
度が上昇するとろう付用金属が溶融し、ろう付接合が達
成される。
【0029】
【作用】ろう付用金属からなる第1粉末と防食用の第2
粉末の混合粉末を溶射するから、防食層とろう材層を順
次別々に形成する必要がなくなり、1台の溶射装置で済
み、複数の溶射装置の設置に起因する製造ラインの長尺
化やコスト高を派生することはない。しかも、溶射層中
に第2粉末に対応する防食用のZnまたはZn合金と、
第1粉末に対応するろう付用金属とが混淆状態に存在す
るから、ろう材が大気と接する面積が抑制され、酸化皮
膜の形成が抑制され、ろう付性が阻害される不都合が軽
減される。
【0030】また、本発明に係るアルミニウム材料を用
いてろう付を行うと、加熱による温度上昇にともない、
融点の低いZnまたはZn合金が先に溶融してろう材表
面の酸化膜を除去するから、酸化膜に起因するろう付不
良がさらに抑制される。
【0031】また、第2粉末を溶融させる一方、第1粉
末は溶融を抑制して溶射を行った場合には、第2粉末の
溶融による「のり状効果」により、第1粉末としてのろ
う材金属粒子がアルミニウム材の表面に密着性良く保持
される。かつ、第1粉末が完全溶融するほどの高温状態
になるのが防止され、粒子の酸化が抑制されるととも
に、第1粉末粒子の少なくとも芯部は溶融しておらず、
溶射前の組織状態がそのまま維持され、第1粉末粒子の
全体がすでにろう付を行ったのと同じ凝固組織になるの
が防止される。
【0032】
【実施例】JIS1070Al合金からなる幅16mm
×高さ3mm×肉厚0.5mmの多孔偏平押出材を、図
1及び図2に示すように、押出機(10)から押出した
のち冷却用水槽(30)で冷却し、その後コイル(6
0)に連続的に巻き取った。そして、冷却用水槽(3
0)の出側において、押出材(20)の上下に溶射ガン
(40)(40)をコイル方向に傾斜させた状態で配置
した。溶射ガン(40)としては、図3に示すようなノ
ズル部を有するフレーム式のものを用いた。この溶射ガ
ンでは、燃料送給管(41)を介して供給される燃焼ガ
スおよび酸素の混合燃料ガスがノズル部先端から噴出し
て点火され円柱状のフレームを形成し、粉末送給管(4
2)を介してキャリアガスとともにフレーム中に送給さ
れる原料粉末(43)を加熱する。そして、加熱された
粉末を圧縮空気送給管(44)から送給される圧縮空気
のジェットにより霧状にして前方に飛ばし、押出材(2
0)の表面に付着させるものとなされている。図3中
(45)は空気流を示す。なお、本実施例の溶射ガンで
は、燃料ガスとしてO:700リットル/分、プロピ
レン:68リットル/分の混合ガスを用い、圧縮空気量
は800リットル/分とした。またフレーム温度(溶射
温度)は約2700℃であった。
【0033】上記の構成において、溶射すべき粉末の種
類、Si量、Zn量、溶射条件を表1及び表2のように
各種に変え、第1粉末の溶融を抑制するとともに第2粉
末は溶融させて溶射を行い、押出材(20)の上下両面
に溶射層(50)(50)を被覆形成した。
【0034】そして、得られたろう付用アルミニウム材
料について、溶射層の膜厚を測定した。その結果を表2
に示す。また、これらろう付用アルミニウム材料の溶射
層を目視観察したところ、No10、12の各試料につ
いては、一部にわずかな剥離が認められたが、実用上問
題なかった。また、No17の試料については、溶射時
に溶射材の息つぎが認められた。
【0035】次に、上記により製作した各ろう付用アル
ミニウム材料を熱交換チューブに用いて、図4および図
5に示すいわゆるマルチフロー形のアルミニウム製熱交
換器にそれぞれ組み立てた。なお、図4および図5に示
す熱交換器は、水平状態で上下に平行に配置された上記
ろう付用アルミニウム材料からなる多数本のチューブ
(71)と、隣接するチューブ(71)間に介在配置さ
れたコルゲートフィン(72)と、各チューブの両端が
連通接続された左右1対の中空筒状ヘッダー(73)
(74)とを備え、かつ左ヘッダー(73)の上下周面
には冷媒入口管(75)と同出口管(76)が接続され
ると共に、左右ヘッダーには冷媒回路を蛇行回路に仕切
る仕切板(77)が設けられている。また、コルゲート
フィン(72)としては、JIS3003Al合金から
なる厚さ0.15mmのものを用いた。
【0036】次に、上記の各熱交換器組立物に、フラッ
クス懸濁液を塗布し乾燥した後、N雰囲気中にて60
0℃×3分加熱し、チューブ(71)とコルゲートフィ
ン(72)、およびチューブ(71)とヘッダー(7
3)(74)、その他各構成部材をろう付した。ここ
に、チューブ(71)とコルゲートフィン(72)との
接合はチューブ表面の前記溶射層により行い、チューブ
(71)とヘッダー(73)(74)との接合は、ヘッ
ダーの内外面にクラッドされたろう材により行った。
【0037】そして、各熱交換器のチューブ(71)に
ついて、コルゲートフィン(72)との接合率を求める
ことにより、ろう付性を評価した。接合率は、コルゲー
トフィン(72)の山部を残してフィンを切除し、フィ
ンが残っている部分の数の全山部に対する接合割合をい
い、一部残っているものは山部を4等分して計算した。
【0038】一方、比較例(試料No21)として、J
IS1070Al合金製の押出チューブ材の表面にZn
皮膜(膜厚1.6μm)をDCアーク溶射により被覆形
成した。また、コルゲートフィンとして、JIS300
3Al合金芯材の両面にAl−Si系ろう材をクラッド
したブレージングシート(ろう材の片面厚さ20μm)
の成形体を用いた。そして、これらチューブとコルゲー
トフィンを用いて、図4及び5に示す熱交換器に組み立
て、上記と同一条件でろう付を行い、フィン接合率を調
べた。
【0039】以上の結果を表2に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】また、試料No2及び3の供試品につい
て、熱交換器への組み立てに先立って、押出チューブ表
面の溶射層の断面の金属組織を顕微鏡にて拡大観察し
た。そのときの顕微鏡写真を図6、図7(試料No
2)、図9、10(試料No3)に示す。これらの写真
において、(a)は溶射層全体を顕出させたもの、
(b)はZn成分のみを顕出させたもの、(c)は溶射
層のうちのSi成分のみを顕出させたもの、(d)はA
l成分のみを顕出させたものである。また図6の写真を
模式的に示した図を図8に、図9の写真を模式的に示し
た図を図11にそれぞれ示す。
【0043】図6、図7、図9、10の金属組織写真に
代表されるように、本発明実施品は、溶射層(50)に
おいてろう材粒子(51)(図8、図11に示す)の球
形状が保持されており、従って溶射によって粒子の表面
のみが溶融して芯部は非溶融状態のまま、あるいは全く
溶融することなく固体状態のまま存在していることがわ
かる。そして、このろう材粒子表面に、溶融したZn
(52)が付着していることがわかる。また、表2の結
果から、このような本発明実施品は接合部に十分なフィ
レットが形成され、ブレージングシートを用いた比較品
(試料No21)と同等あるいはそれ以上に、ろう付性
に優れていることもわかる。
【0044】また、試料No1に示す本発明実施品及び
試料No21の比較品に係る熱交換器をCCT腐食試験
(複合腐食試験)に供して、120サイクル後のチュー
ブの腐食深さを調べたところ、表2に示すように、実施
品が130μm、比較品が140μmであった。従っ
て、本発明によれば、優れた耐食性をも付与し得ること
を確認し得た。
【0045】
【発明の効果】この発明によれば、ろう付用金属からな
る第1粉末と防食用の第2粉末の混合粉末を溶射するか
ら、防食層とろう材層を順次別々に形成する必要がなく
なり、1台の溶射装置で済み、複数の溶射装置の設置に
起因する製造ラインの長尺化やコスト高を防止できる。
しかも、この発明に係るアルミニウム材料は、溶射層中
に第2粉末に対応する防食用のZnまたはZn合金と、
第1粉末に対応するろう付用金属とが混淆状態に存在す
るから、ろう材が大気と接する面積を抑制でき、酸化皮
膜の形成を抑制でき、ろう付性が阻害される不都合を軽
減できる。
【0046】しかもまた、本発明に係るアルミニウム材
料を用いてろう付を行うと、加熱による温度上昇にとも
ない、融点の低いZnまたはZn合金が先に溶融してろ
う材表面の酸化膜を除去するから、酸化膜に起因するろ
う付不良をさらに抑制することができ、ますます良好な
ろう付を行うことができる。
【0047】また、第2粉末を溶融させる一方、第1粉
末は固体状態のままか表面部のみを溶融させて溶射を行
うから、第2粉末の溶融による「のり状効果」により、
第1粉末としてのろう材金属粒子をアルミニウム材の表
面に密着性良く保持することができる。かつまた、第1
粉末が完全溶融するほどの高温状態になるのを防止で
き、粒子の酸化を抑制でき、ろう付不良の発生を益々防
止できる。しかも、第1粉末粒子の少なくとも芯部は溶
融しておらず、溶射前の組織状態をそのまま維持してい
るから、第1粉末粒子の全体がすでにろう付を行ったの
と同じ凝固組織になるのを防止でき、ひいては芯部を利
用して良好なろう付接合を達成できる。従って、益々良
好なろう付接合を達成し得て、高品質のろう付品の提供
が可能となる。
【0048】しかも、溶射時に溶融したZnまたはZn
合金が第1粉末粒子の周囲に付着し、あるいは第1粉末
粒子間に充填して該粒子を保持するバインダーとして作
用するとともに、アルミニウム材の表面に密着性良く付
着するため、第1粉末が溶融しなくても、溶射層の剥離
等を生じることなく第1粉末粒子としてのろう付用金属
粒子をアルミニウム材の表面に安定的に保持することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における溶射工程の概略構成図である。
【図2】図1の要部拡大断面図である。
【図3】実施例で用いた溶射ガンの拡大断面図である。
【図4】実施例で製作したマルチフロー型アルミニウム
熱交換器の正面図である。
【図5】図4の熱交換器のチューブとコルゲートフィン
とを分離して示す斜視図である。
【図6】実施例1における試料No2のろう付用アルミ
ニウム材料の溶射層の金属組織を示す写真であり、
(a)は溶射層全体を顕出させたもの、(b)はZn成
分のみを顕出させたものである。
【図7】同じく試料No2のろう付用アルミニウム材料
の溶射層の金属組織を示す写真であって、(c)は溶射
層のうちのSi成分のみを顕出させたもの、(d)はA
l成分のみを顕出させたものである。
【図8】図6の写真を模式的に示した図である。
【図9】実施例1における試料No3のろう付用アルミ
ニウム材料の溶射層の金属組織を示す写真であり、
(a)は溶射層全体を顕出させたもの、(b)はZn成
分のみを顕出させたものである。
【図10】同じく試料No3のろう付用アルミニウム材
料の溶射層の金属組織を示す写真であって、(c)は溶
射層のうちのSi成分のみを顕出させたもの、(d)は
Al成分のみを顕出させたものである。
【図11】図9の写真を模式的に示した図である。
【符号の説明】
20…アルミニウム基材(アルミニウム押出材) 50…溶射層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C23F 11/18 C23F 11/18 (56)参考文献 特開 平1−157794(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 4/06 B23K 1/19 B23K 1/20 B23K 35/22 310 B32B 15/01 C23F 11/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム材の表面に、AlとSiと
    の混合体及び/又はAl−Si系合金からなるろう付用
    属とZn又はZn合金との混淆した溶射層が形成され
    るとともに、前記ろう付用金属は多数の粒子状非溶融組
    織からなり、これら粒子状のろう付用金属が、溶融凝固
    した前記Zn又はZn合金中に分散していることを特徴
    とするろう付用防食アルミニウム材料。
  2. 【請求項2】 AlとSiとの混合粉末及び/又はAl
    −Si系合金粉末を含むろう付用金属からなる第1粉末
    と、Znを含む防食用の第2粉末を混合して混合粉末と
    し、この混合粉末をアルミニウム材の表面に溶射する
    際し、第2粉末を溶融させる一方、第1粉末は固体状態
    のままか表面部のみを溶融させて溶射を行うことによ
    り、アルミニウム材の表面に、Zn又はZn合金中に多
    数の粒子状組織からなるろう付用金属が分散した溶射層
    を形成することを特徴とするろう付用防食アルミニウム
    材料の製造方法。
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