JPH11268998A - GaAs単結晶インゴットおよびその製造方法ならびにそれを用いたGaAs単結晶ウエハ - Google Patents

GaAs単結晶インゴットおよびその製造方法ならびにそれを用いたGaAs単結晶ウエハ

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JPH11268998A
JPH11268998A JP7408998A JP7408998A JPH11268998A JP H11268998 A JPH11268998 A JP H11268998A JP 7408998 A JP7408998 A JP 7408998A JP 7408998 A JP7408998 A JP 7408998A JP H11268998 A JPH11268998 A JP H11268998A
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gaas
ingot
gaas single
concentration
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JP7408998A
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Masashi Yamashita
正史 山下
Makoto Kiyama
誠 木山
Hiroaki Yoshida
浩章 吉田
Tomohiro Kawase
智博 川瀬
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 デバイス特性の不良の原因の1つとなり得る
EL2濃度が低く、かつ、頭部から尾部にわたって均一
であることにより、高い歩留りでイオン注入に適したウ
エハを得ることができる、GaAs単結晶インゴットお
よびその製造方法ならびにそれを用いたGaAs単結晶
ウエハを提供する。 【解決手段】 GaAs単結晶からなるインゴットであ
って、インゴットの頭部から尾部までの全領域におい
て、EL2濃度が0.8〜1.4×1016cm-3の範囲
であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、GaAs単結晶イ
ンゴットおよびその製造方法ならびにそれを用いたGa
As単結晶ウエハに関するものであり、特に、集積回路
やマイクロ波素子に用いられるGaAs単結晶ウエハお
よび該ウエハを採取するためのGaAs単結晶インゴッ
トならびにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、GaAs単結晶の育成方法として
は、主として液体封止引上げ法(liquid encapsulated
Czochralski method:LEC法)が用いられていた。
【0003】しかしながら、LEC法により育成された
GaAs結晶基板を集積回路やマイクロ波素子に用いた
場合、周波数分散や低周波数発振等のデバイス特性不良
が生じるという問題があった。これは、LEC法により
育成されたGaAs結晶は、EL2濃度が約1.5×1
16cm-3と高いことが原因の1つではないかと考えら
れていた。
【0004】また、「化合物半導体の結晶成長と評価
その3(西澤潤一編,半導体研究29,pp.3〜p
p.29)1.GaAsIC用引上結晶の量産化技術の
開発」(文献1)には、LEC法により育成されたGa
As結晶における原料融液組成とEL2濃度との関係が
開示されている。
【0005】文献1によれば、原料融液のヒ素比率(A
s/(Ga+As))が0.501の場合には、EL2
濃度は得られたインゴットの全長にわたってほぼ一定で
ある。しかしながら、ヒ素比率がこれより高いとインゴ
ットの尾部に向かってEL2濃度が次第に高くなり、一
方、ヒ素比率がこれより低いとインゴットの尾部に向か
ってEL2濃度が次第に低くなってしまい、インゴット
の頭部と尾部との間でEL2濃度が大きく変化してしま
うことが示されている。
【0006】また、特開平9−8048号公報(文献
2)には、GaAsウエハをウエハアニールして表面近
傍をGaリッチとすることにより、素子に用いた場合に
周波数分散を抑制する効果があることが開示されてい
る。
【0007】一方、「Growth and properties of semi
insulating VGF-GaAs; E. Buhrig et al; Materials Sc
ience & Engineering B44(1997)pp.248
〜pp.251)(文献3)には、縦型温度傾斜法(Ve
rtical Gradient Freezing method:VGF法)により育
成されたGaAs単結晶において、EL2濃度が1.3
×1016cm-3と低濃度であったという記載がある。ま
た、特開平3−122097号公報(文献4)にも、縦
型ブリッジマン法(Vertical Bridgman method: VB
法)により育成されたGaAs単結晶においてEL2濃
度が0.85〜1.1×1016cm-3であり、VGF法
により育成されたGaAs単結晶においてEL2濃度が
0.4〜0.66×1016cm-3であった、という記載
がある。
【0008】しかしながら、文献3および文献4におい
ては、単結晶インゴットの全長にわたってそのようなE
L2濃度の低い値が得られているか否かについては、何
ら記載されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、デ
バイス特性の不良の原因の1つとなり得るEL2濃度
が、低く、かつ、インゴットの頭部から尾部にわたって
均一であることにより、高い歩留りでイオン注入に適し
たウエハを得ることができる、GaAs単結晶インゴッ
トおよびその製造方法ならびにそれを用いたGaAs単
結晶ウエハを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明によるG
aAs単結晶インゴットは、GaAs単結晶からなるイ
ンゴットであって、インゴットの頭部から尾部までの全
領域において、EL2濃度が0.8〜1.4×1016
-3の範囲であることを特徴としている。
【0011】なお、本願明細書において、「インゴット
の頭部」とは、図1に示すように、GaAs単結晶イン
ゴット1の全長をL(cm)、GaAs単結晶インゴッ
ト1の種結晶3側端部からの長さをx(cm)としたと
き、x/L=0.1で表わされる位置をいうものとす
る。ここで、このx/L=0.1で表わされる位置は、
GaAs単結晶インゴット1の種結晶3側端部の固化率
gを0としたとき、固化率g=0.1として表わすこと
もできる。
【0012】また、本願明細書において、「インゴット
の尾部」とは、x/L=0.8で表わされる位置をいう
ものとする。ここで、このx/L=0.8で表わされる
位置は、固化率g=0.8として表わすこともできる。
【0013】請求項2の発明によるGaAs単結晶イン
ゴットは、請求項1の発明の構成において、インゴット
の頭部におけるEL2濃度と、インゴットの尾部におけ
るEL2濃度との変化の割合が、10%未満であること
を特徴としている。
【0014】請求項3の発明によるGaAs単結晶イン
ゴットは、請求項1または請求項2の発明の構成におい
て、GaAs単結晶の平均転位密度は10,000cm
-2未満であり、GaAs単結晶の平均残留歪み(|Sr
−St|)は1×10-5未満であり、インゴットの直径
は3インチ以上であることを特徴としている。
【0015】請求項4の発明によるGaAs単結晶ウエ
ハは、GaAs単結晶からなるインゴットから採取した
ウエハであって、インゴットの頭部から尾部までの全領
域において、EL2濃度が0.8〜1.4×1016cm
-3の範囲であることを特徴としている。
【0016】請求項5の発明によるGaAs単結晶ウエ
ハは、請求項4の発明の構成において、インゴットの頭
部におけるEL2濃度と、インゴットの尾部におけるE
L2濃度との変化の割合が、10%未満であることを特
徴としている。
【0017】請求項6の発明によるGaAs単結晶ウエ
ハは、GaAs単結晶からなるインゴットから採取した
複数のウエハであって、複数のウエハの各々のEL2濃
度は0.8〜1.4×1016cm-3の範囲であり、複数
のウエハの互いに隣接するウエハ間でのEL2濃度の変
化の割合の平均が、0.1%未満であることを特徴とし
ている。
【0018】請求項7の発明によるGaAs単結晶ウエ
ハは、請求項4〜請求項6のいずれかの発明の構成にお
いて、GaAs単結晶の平均転位密度は10,000c
-2未満であり、GaAs単結晶の平均残留歪みは1×
10-5未満であり、ウエハの直径は3インチ以上である
ことを特徴としている。
【0019】請求項8の発明によるGaAs単結晶イン
ゴットの製造方法は、頭部から尾部までの全領域におい
てEL2濃度が0.8〜1.4×1016cm-3の範囲で
あるGaAs単結晶インゴットの製造方法であって、垂
直に配置したるつぼの底部に、単結晶のGaAs化合物
からなる種結晶を配置するステップと、るつぼの残部
に、多結晶のGaAs化合物原料を配置するステップ
と、るつぼを加熱手段中に配置するステップと、加熱手
段により、るつぼの底部の温度に対してるつぼの上部の
温度が5℃以上高くなるように設定して加熱することに
より、GaAs化合物原料を溶融した後、るつぼの底部
より溶融したGaAs化合物原料を固化して、GaAs
単結晶を成長するステップと、を備えている。
【0020】
【発明の実施の形態】図2は、本発明によるGaAs単
結晶インゴットの製造に用いられる、VB法によるGa
As単結晶育成装置の一例を示す断面図である。
【0021】図2を参照して、このGaAs単結晶育成
装置100は、気密容器10と、支持台8と、ヒータ6
と、断熱材7とを備えている。支持台8の下部には下軸
19が取付けられ、結晶成長の際に支持台8を矢印の方
向へ移動させることができる。また、支持台8内には、
るつぼ5が設置される。
【0022】次に、このように構成されるGaAs単結
晶育成装置を用いて、GaAs単結晶インゴットを製造
する方法について説明する。
【0023】まず、るつぼ5の下部に、GaAs単結晶
からなる種結晶3を配置し、続いてるつぼ5の残部にG
aAs多結晶原料を収容する。次に、GaAs多結晶原
料の上に、封止剤4としてたとえばB2 3 を収容す
る。
【0024】次に、気密容器10内に、Ar等の不活性
ガス、またはN2 ガス等を導入し、気密容器10内を所
定の圧力に調整する。
【0025】続いて、GaAs多結晶原料が収容された
るつぼ5を、ヒータ6により加熱する。このようにし
て、GaAs多結晶原料を溶融し、原料融液2を作製す
る。
【0026】次に、下軸19を矢印に示すように下方へ
移動させることにより、るつぼ5の底部より原料融液2
を固化して、GaAs単結晶1を成長する。
【0027】ここで、GaAs多結晶原料の溶融からG
aAs単結晶成長までを通じてのヒータ6による加熱の
際には、図3に示すように、るつぼ5の底部の温度は、
GaAs単結晶の融点1238℃よりもやや高いT
1 (℃)に設定され、一方、るつぼ5の上部の温度は、
1 (℃)よりもさらに高いT2 (℃)に設定される。
この実施の形態によれば、るつぼ5の上部の温度T
2 (℃)は、るつぼ5の底部の温度T1 (℃)よりも5
℃以上高く設定される。
【0028】なお、上述した例では、VB法を用いたG
aAs単結晶の成長について説明したが、本発明による
GaAs単結晶インゴットは、VGF法等の他の縦型ボ
ート法を用いても製造することができる。
【0029】このようにして得られたGaAs単結晶イ
ンゴットは、直径が3インチ以上の場合にも、平均転位
密度が10,000cm-2未満であり、平均残留歪みが
1×10-5未満となる。
【0030】また、GaAs単結晶インゴットの頭部か
ら尾部までの全領域において、EL2濃度が0.8〜
1.4×1016cm-3の範囲内となる。さらに、GaA
s単結晶インゴットの頭部におけるEL2濃度と、イン
ゴットの尾部におけるEL2濃度との変化の割合は10
%未満となり、EL2濃度はインゴットの全長にわたっ
て均一となる。
【0031】このようなGaAs単結晶インゴットか
ら、本発明によるGaAs単結晶ウエハが得られる。
【0032】以上説明したように、本願発明によるGa
As単結晶インゴットは、全長にわたってEL2濃度が
均一であり、かつ、EL2濃度が低くなる。また、本発
明によるGaAs単結晶インゴットは、結晶中のストイ
キオメトリー(GaAs中のAsの組成割合)が安定で
ある。その結果、高い歩留りでイオン注入に適した高特
性のGaAs単結晶ウエハを製造することができる。
【0033】上述したように、全長にわたりEL2濃度
が均一で、かつ、ストイキオメトリーの安定した結晶が
得られるのは、本実施の形態によれば、結晶成長におい
てVB法またはVGF法等の縦型ボート法が用いられる
ためであると考えられる。すなわち、図2に示したよう
に、結晶成長中、GaAs単結晶1が原料融液2に保護
された状態となるため、結晶からAsが飛散することが
ない。さらに、縦型ボート法においては、結晶成長中、
原料融液2が攪拌されることがないため、ストイキオメ
トリーの攪乱要因が極めて小さくなる。また、B2 3
からなる封止剤と原料融液2とが反応して酸化ガリウム
が生成した場合にも、B2 3 からなる封止剤4と原料
融液2との界面がGaAs単結晶1から距離が離れてい
るため、GaAs単結晶1に影響を及ぼすことが少な
い。
【0034】さらに、この実施の形態によれば、るつぼ
の底部の温度に対してるつぼの上部の温度が5℃以上高
くなるように設定して加熱しているため、原料融液2に
おける自然対流が一層抑制される。そのため、インゴッ
トの全長にわたって、EL2濃度が均一になるものと考
えられる。
【0035】次に、比較のため、従来のLEC法を用い
たGaAs単結晶の育成方法について説明する。
【0036】図4は、従来のLEC法によるGaAs単
結晶育成装置の一例を示す断面図である。
【0037】図4を参照して、このGaAs単結晶育成
装置200は、気密容器20と、支持台8と、引上げ軸
39と、ヒータ6と、断熱材7とを備えている。支持台
8の下部には、下軸19が取付けられている。下軸19
および引上げ軸39はいずれも、矢印に示すように回転
しながら上下方向へ自由に駆動させることができる。ま
た、支持台8内には、るつぼ5が設置される。
【0038】次に、このように構成されるGaAs単結
晶育成装置を用いて、GaAs単結晶インゴットを製造
する方法について説明する。
【0039】まず、るつぼ5内に、GaAs多結晶原料
を収容する。GaAs多結晶原料としては、GaAs多
結晶の他に、少なくともGaおよびAsの一つを含んで
もよい。次に、GaAs多結晶原料の上に、液体封止剤
として、たとえばB2 3 を収容する。
【0040】次に、気密容器20内に、Ar等の不活性
ガス、またはN2 ガス等を導入し、気密容器20内を所
定の圧力に調整する。
【0041】続いて、GaAs多結晶原料が収容された
るつぼ5をヒータ6により加熱し、GaAs多結晶原料
を溶融して、原料融液2を作製する。
【0042】次に、下方先端部にGaAs単結晶からな
る種結晶3が取付けられた引上げ軸39を、原料融液2
に浸漬する。続いて、引上げ軸39を矢印に示すように
回転させながら上方へ引上げることにより、種結晶3側
から原料融液2を固化して、GaAs単結晶1を成長す
る。なお、結晶成長中は、下軸29を矢印に示すように
回転させることにより、原料融液2を攪拌させる。
【0043】このようにして得られたGaAs単結晶イ
ンゴットは、直径が3インチ以上の場合、平均転位密度
が10,000cm-2以上、典型的には40,000〜
80,000cm-2であり、平均残留歪みが1.0×1
-5以上、典型的には、1.0〜2.0×10-5とな
る。
【0044】また、GaAs単結晶インゴットの頭部か
ら尾部にわたって均一なEL2濃度が得られる条件で結
晶成長を行なうと、結果的にEL2濃度は1.5×10
16cm-3近辺に制約されてしまう。すなわち、EL2濃
度が1.5×1016cm-3より高くなる条件で結晶成長
を行なった場合には、GaAs単結晶インゴットの頭部
から尾部に向かってEL2濃度が次第に高くなってしま
う。一方、EL2濃度が1.5×1016cm-3より低く
なる条件で結晶成長を行なった場合には、GaAs単結
晶インゴットの頭部から尾部に向かってEL2濃度が低
くなってしまう。
【0045】このように、従来のLEC法を用いた場合
には、GaAs単結晶インゴットの頭部と尾部との間で
EL2濃度の変化の割合が大きくなってしまうととも
に、結晶中のストイキオメトリーも不安定となりやす
い。これは、LEC法を用いた場合、図4に示したよう
に、成長したGaAs単結晶1はB2 3 4より上方に
出てしまうため、不活性ガス雰囲気下においてこの部分
から解離圧の高いAsが抜けてしまうためと考えられ
る。また、LEC法においては、上述したように結晶成
長中に原料融液2が攪拌されるため、ストイキオメトリ
ーの攪乱要因が大きくなる。さらに、封止剤としてのB
2 3 4と原料融液2とが反応して酸化ガリウムが生成
した場合、B2 3 4と原料融液2との界面がGaAs
単結晶1と比較的近い位置にあるため、GaAs単結晶
1に影響を及ぼしやすいと考えられる。
【0046】
【実施例】(実施例1)図2に示すVB法によるGaA
s単結晶育成装置を用いて、以下のように直径3インチ
のGaAs単結晶インゴットを作製した。
【0047】まず、pBN(熱分解窒化ホウ素)製るつ
ぼの下部に、GaAs単結晶からなる種結晶を配置し
た。続いて、るつぼ中に、GaAs原料として、As/
(Ga+As)の組成比割合を0.500の条件として
予め合成したGaAs多結晶と、封止剤として、B2
3 を充填した。したがって、この例において、GaAs
原料全体のAs/(Ga+As)の組成比割合は、0.
500であった。
【0048】次に、GaAs原料とB2 3 とが充填さ
れたるつぼを、石英アンプル内に真空封入した。るつぼ
をヒータにより加熱することにより、GaAs多結晶原
料を溶融して原料融液を作製し、原料融液の表面をB2
3 からなる液体封止剤により液封した。
【0049】続いて、下軸を下方へ移動させることによ
り、るつぼの底部より原料融液を固化して、GaAs単
結晶を成長した。
【0050】なお、原料融液の作製からGaAs単結晶
成長までを通じてのヒータによる加熱の際には、るつぼ
の上部の温度がるつぼの底部の温度よりも10℃高くな
るような条件に設定した。
【0051】(実施例2)GaAs原料として、実施例
1において予め合成したGaAs多結晶(As/(Ga
+As)=0.500)に加えて、過剰のGaを用い
た。したがって、この例において、GaAs原料全体の
As/(Ga+As)の組成比割合は、0.480であ
った。原料が充填されたるつぼを高圧チャンバ内に配置
してN2 ガス圧力10気圧の下でカーボンヒータの温度
を調整し、るつぼの上部の温度がるつぼの底部の温度よ
りも40℃高くなるような条件に設定して、GaAs単
結晶を成長した。このようにして、実施例1と同様に、
直径3インチのGaAs単結晶インゴットを作製した。
【0052】なお、他の製造条件については、実施例1
と全く同様であるので、その説明は省略する。
【0053】(比較例)図4に示すLEC法によるGa
As単結晶育成装置を用いて、直径3インチのGaAs
単結晶インゴットを作製した。
【0054】本比較例では、GaとAsとをるつぼに収
容し、チャンバ内でのGaとAsとの反応によりGaA
s原料を作製し、溶融後に引き続き、単結晶成長を開始
する方式を採った。GaAs原料全体のAs/(Ga+
As)の組成比割合が0.488、0.501、0.5
12の3条件で、それぞれインゴットの作製を実施し
た。
【0055】(評価)上述のようにして得られたGaA
s単結晶インゴットについて、EL2濃度、平均転位密
度、平均残留歪み、および比抵抗を測定した。
【0056】以下の表1に、実施例1、実施例2、およ
び比較例のGaAs単結晶インゴットについて測定し
た、インゴット頭部(固化率g=0.1)におけるEL
2濃度(cm-3)、インゴット尾部(固化率g=0.
8)におけるEL2濃度(cm-3)、インゴット頭部に
おけるEL2濃度とインゴット尾部におけるEL2濃度
との変化の割合(尾部のEL2濃度/頭部のEL2濃
度)、平均転位密度(cm-2)、および平均残留歪みを
示す。なお、いずれのインゴットについても、室温での
比抵抗は1.0×107 (Ω・cm)以上となり、半絶
縁性を示した。
【0057】また、各インゴットについて、切断、研磨
により、インゴットの頭部(固化率g=0.1)から尾
部(固化率g=0.8)の間で、合計80枚の鏡面研磨
ウエハを採取した。
【0058】インゴットの頭部および尾部で測定したE
L2濃度から、一続きのウエハの中の互いに隣接するウ
エハ間でのEL2濃度の変化の割合の平均は、以下の式
(1)で見積ることができる。
【0059】 ([EL2]B /[EL2]F 1/n …(1) ここで、nは1つのインゴットから採取したウエハの枚
数を、[EL2]F はインゴットの頭部(固化率g=
0.1)でのEL2濃度(cm-3)を、[EL2]B
インゴットの尾部(固化率g=0.8)でのEL2濃度
(cm-3)を、それぞれ示している。
【0060】上記式(1)に従い、実施例1、実施例
2、および比較例のインゴットの各々から得られた80
枚のウエハについて、互いに隣接するウエハ間でのEL
2濃度の変化の割合の平均を求めた。その値を、表1に
併せて示す。
【0061】
【表1】
【0062】なお、上記表1には示していないが、実施
例2のGaAs単結晶インゴットにおいて、固化率g≧
0.9(x/L≧0.9)で表わされる部分については
EL2濃度の低下が見られ、固化率g=0.92(x/
L=0.92)で表わされる位置におけるEL2濃度
は、0.6×1016cm-3まで低下していた。
【0063】また、図5は、実施例1、実施例2および
比較例のGaAs単結晶インゴットについて、インゴッ
トの位置とEL2濃度との関係を示す図である。図5に
おいて、横軸は固化率gを示し、縦軸はEL2濃度(c
-3)を示している。
【0064】次に、実施例1、実施例2および比較例の
GaAs単結晶インゴットからGaAs単結晶ウエハを
採取し、これを用いてMES−FET(metal-semicond
uctor FET)を作製した。
【0065】MES−FETは、埋め込みp型層を有す
る自己整合型LDD構造であり、ゲート長は0.8μm
とした。
【0066】図6および図7は、それぞれ実施例1およ
び比較例のGaAs単結晶インゴットから採取したGa
As単結晶ウエハを用いたMES−FETにおけるドレ
インコンダクタンス(gd)周波数分散を示す図であ
る。
【0067】ゲート電圧(Vgs)が0Vの状態でドレ
イン直流電圧(Vds)2.0V上に交流成分(ΔVd
s)0.2Vを載せたときの負荷抵抗(RL )に発生す
る交流電圧ΔVoutを縦軸に、印加周波数を横軸に示
している。周波数は、10〜20kHzの範囲で測定し
た。gdは、以下の式(2)で表わされる。
【0068】 gd=(1/RL )(ΔVout/ΔVds) …(2) 周波数分散の度合いを、低周波平坦部gd(10Hz,
373K)と高周波平坦部gd(10kHz,298
K)との比であるgd(10kHz,298K)/gd
(10kHz,373K)で定義する。
【0069】図6および図7から明らかなように、比較
例のGaAs単結晶インゴットから採取したGaAs単
結晶ウエハを用いた場合、周波数分散の度合いは1.8
0であったのに対し、実施例1のGaAs単結晶インゴ
ットから採取したGaAs単結晶ウエハを用いた場合、
周波数分散の度合いは1.66と小さかった。これは、
実施例1のGaAs単結晶インゴットにおいて、EL2
濃度が小さいことの効果であると考えられる。
【0070】また、実施例2のGaAs単結晶インゴッ
トから採取したGaAs単結晶ウエハを用いた場合の周
波数分散の度合いは、1.50となり、さらに小さな値
となることがわかった。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、本願発明によれ
ば、デバイス特性の不良の原因の1つとなり得るEL2
濃度が、低く、かつ、頭部から尾部にわたって均一であ
ることを特徴とするGaAs単結晶インゴットが得られ
る。そのため、高い歩留りでイオン注入に適したGaA
s単結晶ウエハを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】GaAs単結晶インゴットの頭部および尾部の
位置を説明するための図である。
【図2】本発明によるGaAs単結晶インゴットの製造
に用いられるVB法によるGaAs単結晶育成装置の一
例を示す断面図である。
【図3】本発明によるGaAs単結晶インゴットの製造
においてGaAs単結晶成長中の温度プロファイルを示
す図である。
【図4】従来のLEC法によるGaAs単結晶育成装置
の一例を示す断面図である。
【図5】実施例1、実施例2、および比較例のGaAs
単結晶インゴットについてインゴットの位置とEL2濃
度との関係を示す図である。
【図6】実施例1のGaAs単結晶インゴットから採取
したGaAs単結晶ウエハを用いたMES−FETにお
けるドレインコンダクタンス(gd)周波数分散を示す
図である。
【図7】比較例のGaAs単結晶インゴットから採取し
たGaAs単結晶ウエハを用いたMES−FETにおけ
るドレインコンダクタンス(gd)周波数分散を示す図
である。
【符号の説明】
1 GaAs単結晶 2 GaAs多結晶原料融液 3 種結晶 4 B2 3 (封止剤) 5 るつぼ 6 ヒータ 7 断熱材 8 支持台 10,20 気密容器 19,29 下軸 39 引上げ軸 100 VB法によるGaAs単結晶育成装置 200 LEC法によるGaAs単結晶育成装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川瀬 智博 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 GaAs単結晶からなるインゴットであ
    って、 前記インゴットの頭部から尾部までの全領域において、
    EL2濃度が0.8〜1.4×1016cm-3の範囲であ
    ることを特徴とする、GaAs単結晶インゴット。
  2. 【請求項2】 前記インゴットの頭部におけるEL2濃
    度と、前記インゴットの尾部におけるEL2濃度との変
    化の割合が、10%未満であることを特徴とする、請求
    項1記載のGaAs単結晶インゴット。
  3. 【請求項3】 前記GaAs単結晶の平均転位密度は1
    0,000cm-2未満であり、 前記GaAs単結晶の平均残留歪みは1×10-5未満で
    あり、 前記インゴットの直径は3インチ以上である、請求項1
    または請求項2に記載のGaAs単結晶インゴット。
  4. 【請求項4】 GaAs単結晶からなるインゴットから
    採取したウエハであって、 前記インゴットの頭部から尾部までの全領域において、
    EL2濃度が0.8〜1.4×1016cm-3の範囲であ
    ることを特徴とする、GaAs単結晶ウエハ。
  5. 【請求項5】 前記インゴットの頭部におけるEL2濃
    度と、前記インゴットの尾部におけるEL2濃度との変
    化の割合が、10%未満であることを特徴とする、請求
    項4記載のGaAs単結晶ウエハ。
  6. 【請求項6】 GaAs単結晶からなるインゴットから
    採取した複数のウエハであって、 前記複数のウエハの各々のEL2濃度は0.8〜1.4
    ×1016cm-3の範囲であり、 前記複数のウエハの互いに隣接するウエハ間でのEL2
    濃度の変化の割合の平均が、0.1%未満であることを
    特徴とする、GaAs単結晶ウエハ。
  7. 【請求項7】 前記GaAs単結晶の平均転位密度は1
    0,000cm-2未満であり、 前記GaAs単結晶の平均残留歪みは1×10-5未満で
    あり、 前記ウエハの直径は3インチ以上である、請求項4〜請
    求項6のいずれかに記載のGaAs単結晶ウエハ。
  8. 【請求項8】 頭部から尾部までの全領域においてEL
    2濃度が0.8〜1.4×1016cm-3の範囲である、
    GaAs単結晶インゴットの製造方法であって、 垂直に配置したるつぼの底部に、単結晶のGaAs化合
    物からなる種結晶を配置するステップと、 前記るつぼの残部に、多結晶のGaAs化合物原料を配
    置するステップと、 前記るつぼを加熱手段中に配置するステップと、 前記加熱手段により、前記るつぼの底部の温度に対して
    前記るつぼの上部の温度が5℃以上高くなるように設定
    して加熱することにより、前記GaAs化合物原料を溶
    融した後、前記るつぼの底部より前記溶融したGaAs
    化合物原料を固化して、GaAs単結晶を成長するステ
    ップと、 を備えた、GaAs単結晶インゴットの製造方法。
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