JPH11268632A - 負圧式倍力装置 - Google Patents

負圧式倍力装置

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Publication number
JPH11268632A
JPH11268632A JP10071722A JP7172298A JPH11268632A JP H11268632 A JPH11268632 A JP H11268632A JP 10071722 A JP10071722 A JP 10071722A JP 7172298 A JP7172298 A JP 7172298A JP H11268632 A JPH11268632 A JP H11268632A
Authority
JP
Japan
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power piston
input member
negative pressure
valve seat
atmosphere
Prior art date
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Pending
Application number
JP10071722A
Other languages
English (en)
Inventor
Kaoru Tsubouchi
坪内  薫
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Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクチュエータの作動に伴う出力を最大出力
以下に規制可能な負圧式倍力装置を提供すること。 【解決手段】 ハウジング14と、可動壁17、20
と、パワーピストン22と、入力部材28と、大気弁座
28aと、負圧弁座22aと、大気シール部36aと負
圧シール部36bとを備えたコントロールバルブ36
と、出力ロッド53と、リアクションディスク52と、
スライダバルブ42と、アクチュエータ45とを備えた
負圧式倍力装置10において、入力部材28の非操作時
におけるアクチュエータ45の作動に伴ってパワーピス
トン22と入力部材28とを一体的に移動させるととも
にリアクションディスク52による入力部材28の後退
を抑制するキー部材29を配設した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は負圧式倍力装置に関
し、特に、自動車に適用される負圧式倍力装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の負圧式倍力装置は、特開平7−2
51733号公報に開示されるように、少なくとも1つ
の圧力空間を内部に形成するハウジングと、前記ハウジ
ング内に前記ハウジングに対して前進及び後退できるよ
うに設置されていて前記圧力空間を負圧源に連通される
前室と前記前室および大気に選択的に連通される後室と
に分割する可動壁と、前記可動壁に結合されているパワ
ーピストンと、前記パワーピストンの内部に前記パワー
ピストンに対して前進及び後退可能に配設される入力部
材と、前記パワーピストン内に配設され、前記入力部材
と一体的に前進及び後退可能なバルブプランジャ部材
と、前記バルブプランジャ部材に配設される大気弁座
と、前記パワーピストン内に配設される負圧弁座と、前
記大気弁座に当接及び離脱可能で前記大気弁座に当接す
ることによって前記後室と大気との連通を遮断するとと
もに前記大気弁座から離間することによって前記後室を
大気に連通する大気シール部と、前記負圧弁座に当接及
び離脱可能で前記負圧弁座に当接することによって前記
前室と前記後室との連通を遮断すると共に前記負圧弁座
から離間することによって前記後室を前記前室に連通す
る負圧シール部とを備えたコントロールバルブと、前記
可動壁の移動に伴った前記パワーピストンの前進力を装
置外に出力する出力部材と、前記パワーピストンの前進
力及び前記入力部材に加えられた入力を前記出力部材に
伝達すると共に前記出力部材からの出力に対応した大き
さの反力を前記入力部材に後退させるように付与する反
力部材と、前記バルブプランジャ部材を前方に移動させ
ることによって前記大気弁座を前記大気シール部から離
間させ、前記後室と大気とを連通可能とするアクチュエ
ータとを備えたものである。
【0003】この従来の負圧式倍力装置は、入力部材の
操作とは別にアクチュエータを作動させることによりバ
ルブプランジャ部材を移動させて大気弁座を大気シール
部から離間させ、後室と大気とを連通させて前室と後室
とに差圧を生じさせるものである。アクチュエータの作
動によって前室と後室との間に差圧が生じると、可動壁
及びパワーピストンに前進力が生じ、このパワーピスト
ンの前進力を出力部材が装置外へと出力することにな
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の負圧式倍力装置は、アクチュエータの作動によ
る後室への大気の流入は後室が大気圧となるまで継続さ
れるものであり、従って、アクチュエータの作動に伴っ
て出力部材から出力される負圧式倍力装置の出力は最大
の出力が発揮されることになる。
【0005】このような、入力部材の操作とは別にアク
チュエータの作動により出力を発生する負圧式倍力装置
の用途として、例えば、車間距離を所定の距離に維持す
るための自動ブレーキ装置に用いられることが考えられ
る。
【0006】この自動ブレーキ装置は、例えば、車両の
走行中に前方車両との車間距離が所定の距離よりも短く
なる場合に、自動ブレーキ装置を作動させることによっ
て運転者がブレーキ操作をすること無しに車両において
ブレーキ作動が行われ、前方車両との車間距離を所定の
距離に維持しようとするものである。このような自動ブ
レーキ装置における自動ブレーキ作動には、さほど大き
な制動力が必要とはされない傾向にある。
【0007】このような自動ブレーキ装置に前述した従
来の負圧式倍力装置を適用した場合、車間距離が所定の
距離よりも短くなることによりアクチュエータが作動さ
れ、運転者のブレーキ操作、即ち、入力部材の操作無し
に、負圧式倍力装置において出力が発生されて自動ブレ
ーキ作動が行われることになる。
【0008】しかしながら、この時発生されるブレーキ
力は負圧力倍力装置において生じた最大出力に基づいた
ものであり、従って、強大なブレーキ力であることか
ら、自動ブレーキ装置における自動ブレーキ作動として
は相応しくないものであった。即ち、負圧式倍力装置に
おける最大出力の発生を必要としないブレーキ装置にお
いては、従来の負圧式倍力装置は相応しくないものであ
った。
【0009】本発明は、アクチュエータの作動に伴う出
力を最大出力以下に規制可能な負圧式倍力装置を提供す
ることを、その技術的課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
るために、少なくとも1つの圧力空間を内部に形成する
ハウジングと、前記ハウジング内に前記ハウジングに対
して前進及び後退できるように設置されていて前記圧力
空間を負圧源に連通される前室と前記前室および大気に
選択的に連通される後室とに分割する可動壁と、前記可
動壁に結合されているパワーピストンと、前記パワーピ
ストンの内部に前記パワーピストンに対して前進及び後
退可能に配設される入力部材と、前記パワーピストン内
に配設され、前記入力部材と一体的に前進及び後退可能
な大気弁座と、前記パワーピストン内に配設される負圧
弁座と、前記大気弁座に当接及び離脱可能で前記大気弁
座に当接することによって前記後室と大気との連通を遮
断するとともに前記大気弁座から離間することによって
前記後室を大気に連通する大気シール部と、前記負圧弁
座に当接及び離脱可能で前記負圧弁座に当接することに
よって前記前室と前記後室との連通を遮断すると共に前
記負圧弁座から離間することによって前記後室を前記前
室に連通する負圧シール部とを備えたコントロールバル
ブと、前記可動壁の移動に伴った前記パワーピストンの
前進力を装置外に出力する出力部材と、前記パワーピス
トンの前進力及び前記入力部材に加えられた入力を前記
出力部材に伝達すると共に前記出力部材からの出力に対
応した大きさの反力を前記入力部材に後退させるように
付与する反力部材と、前記大気弁座と前記大気シール部
とを離間させて前記後室と大気とを連通させるアクチュ
エータとを備えた負圧式倍力装置において、前記アクチ
ュエータの作動による前記パワーピストンの前記入力部
材に対する前方への移動に伴って前記入力部材に係合し
て前記入力部材及び前記大気弁座を前記パワーピストン
と一体的に移動可能とすると共に、前記アクチュエータ
の作動に伴って前記入力部材が前記反力部材から反力を
受けて後退される際に弾性変形されることにより前記入
力部材の後退を許容する係合部材を備え、前記アクチュ
エータの作動に伴って前記入力部材が前記反力部材から
反力を受けて後退されることにより、前記大気弁座と前
記大気シール部とが当接して前記後室と大気との連通が
遮断可能とされることを特徴とする負圧式倍力装置を構
成した。
【0011】又、少なくとも1つの圧力空間を内部に形
成するハウジングと、前記ハウジング内に前記ハウジン
グに対して前進及び後退できるように設置されていて前
記圧力空間を負圧源に連通される前室と前記前室および
大気に選択的に連通される後室とに分割する可動壁と、
前記可動壁に結合されているパワーピストンと、前記パ
ワーピストンの内部に前記パワーピストンに対して前進
及び後退可能に配設される入力部材と、前記入力部材に
配設され、前記入力部材と一体的に前進及び後退する大
気弁座と、前記パワーピストン内に配設される負圧弁座
と、前記大気弁座に当接及び離脱可能で前記大気弁座に
当接することによって前記後室と大気との連通を遮断す
るとともに前記大気弁座から離間することによって前記
後室を大気に連通する大気シール部と、前記負圧弁座に
当接及び離脱可能で前記負圧弁座に当接することによっ
て前記前室と前記後室との連通を遮断すると共に前記負
圧弁座から離間することによって前記後室を前記前室に
連通する負圧シール部とを一体的に備えたコントロール
バルブと、前記可動壁の移動に伴った前記パワーピスト
ンの前進力を装置外に出力する出力部材と、前記パワー
ピストンの前進力及び前記入力部材に加えられた入力を
前記出力部材に伝達すると共に前記出力部材からの出力
に対応した大きさの反力を前記入力部材に後退させるよ
うに付与する反力部材と、前記パワーピストンに対して
前進及び後退可能に配設されるとともに前記入力部材の
移動とは独立して前進及び後退可能とされ、前記コント
ロールバルブの前記負圧シール部に当接することによっ
て前記前室と前記後室との連通を遮断する弁座部材と、
前記弁座部材を後方へ移動させることによって前記弁座
部材を前記負圧シール部に当接させ且つ前記負圧シール
部を後方に移動させて前記大気シール部を前記大気弁座
から離間させ、前記後室と大気とを連通可能とするアク
チュエータとを備えた負圧式倍力装置において、前記ア
クチュエータの作動による前記パワーピストンの前記入
力部材に対する前方への移動に伴って前記入力部材に係
合して前記入力部材を前記パワーピストンと一体的に移
動可能とすると共に、前記アクチュエータの作動に伴っ
て前記入力部材が前記反力部材から反力を受けて後退さ
れる際に弾性変形されることにより前記入力部材の後退
を許容する係合部材を備え、前記アクチュエータの作動
に伴って前記入力部材が前記反力部材から反力を受けて
後退されることにより、前記大気弁座と前記大気シール
部とが当接して前記後室と大気との連通が遮断可能とさ
れることを特徴とする負圧式倍力装置を構成した。
【0012】又、少なくとも1つの圧力空間を内部に形
成するハウジングと、前記ハウジング内に前記ハウジン
グに対して前進及び後退できるように設置されていて前
記圧力空間を負圧源に連通される前室と前記前室および
大気に選択的に連通される後室とに分割する可動壁と、
前記可動壁に結合されているパワーピストンと、前記パ
ワーピストンの内部に前記パワーピストンに対して前進
及び後退可能に配設される入力部材と、前記パワーピス
トン内に配設され、前記入力部材と一体的に前進及び後
退可能なバルブプランジャ部材と、前記バルブプランジ
ャ部材に配設される大気弁座と、前記パワーピストン内
に配設される負圧弁座と、前記大気弁座に当接及び離脱
可能で前記大気弁座に当接することによって前記後室と
大気との連通を遮断するとともに前記大気弁座から離間
することによって前記後室を大気に連通する大気シール
部と、前記負圧弁座に当接及び離脱可能で前記負圧弁座
に当接することによって前記前室と前記後室との連通を
遮断すると共に前記負圧弁座から離間することによって
前記後室を前記前室に連通する負圧シール部とを一体的
に備えたコントロールバルブと、前記可動壁の移動に伴
った前記パワーピストンの前進力を装置外に出力する出
力部材と、前記パワーピストンの前進力及び前記入力部
材に加えられた入力を前記出力部材に伝達すると共に前
記出力部材からの出力に対応した大きさの反力を前記入
力部材に後退させるように付与する反力部材と、前記バ
ルブプランジャ部材を前方へ移動させることによって前
記大気弁座を前記大気シール部から離間させ、前記後室
と大気とを連通可能とするアクチュエータとを備えた負
圧式倍力装置において、前記アクチュエータの作動によ
る前記パワーピストンの前記入力部材に対する前方への
移動に伴って前記入力部材に係合して前記入力部材及び
前記バルブプランジャ部材を前記パワーピストンと一体
的に移動可能とすると共に、前記アクチュエータの作動
に伴って前記入力部材が前記反力部材から反力を受けて
後退される際に弾性変形されることにより前記入力部材
の後退を許容する係合部材を備え、前記アクチュエータ
の作動に伴って前記入力部材が前記反力部材から反力を
受けて後退されることにより前記バルブプランジャ部材
も後退されて前記大気弁座と前記大気シール部とが当接
し前記後室と大気との連通が遮断可能とされることを特
徴とする負圧式倍力装置を構成した。
【0013】好ましくは、前記係合部材は、前記入力部
材の非操作時に前記アクチュエータが作動されることに
よって前記パワーピストンが前記入力部材に対して前方
に移動する際に前記入力部材に係合し、前記入力部材の
非操作時における前記アクチュエータの作動に伴って前
記入力部材が前記反力部材から反力を受けて前記係合部
材の弾性変形に伴う復元力に抗して後退されることによ
り、前記大気弁座と前記大気シール部とが当接して前記
後室と大気との連通が遮断可能とされることを特徴とす
る負圧式倍力装置が望ましい。
【0014】好ましくは、前記係合部材は、前記パワー
ピストンに前記パワーピストンに対して第1の所定量で
前後方向に移動可能に係合されるとともに前記入力部材
に前記入力部材に対して第2の所定量で前後方向に移動
可能に係合される弾性を有するキー部材であり、前記ハ
ウジングは前記キー部材の後面に対向すると共に当接可
能な第1対向部を有し、前記パワーピストンは前記キー
部材の前面に対向するとともに当接可能な第2対向部と
前記キー部材の後面に対向するとともに当接可能な第3
対向部とを有し、前記入力部材は前記キー部材の前面に
対向するとともに当接可能な第4対向部と前記キー部材
の後面に対向するとともに当接可能な第5対向部とを有
していることを特徴とする負圧式倍力装置が望ましい。
【0015】好ましくは、前記アクチュエータは前記パ
ワーピストンに対し前進及び後退可能に設置されてお
り、前記アクチュエータの非作動時に前記バルブプラン
ジャ部材を前記入力部材に対する後退位置へ位置させ且
つこの後退位置で両者を一体的に前進及び後退するよう
に連結する第1の連結機構と、前記アクチュエータの作
動時に前記バルブプランジャ部材を前記入力部材に対す
る前進位置へ位置させ且つこの前進位置で両者を一体的
に前進及び後退するように連結する第2の連結機構とが
設置されていることを特徴とする負圧式倍力装置が望ま
しい。
【0016】好ましくは、前記第1の連結機構は前記入
力部材に対する前記バルブプランジャ部材の前記後退位
置を規定する第1の対向当接部及び前記バルブプランジ
ャ部材を前記入力部材に対して後方へ付勢する第1の付
勢部材を備えており、前記第2の連結機構は前記入力部
材に対する前記バルブプランジャ部材の前記前進位置を
規定する第2の対向当接部と前記入力部材に対する前記
アクチュエータの前進位置を規定する第3の対向当接部
及び前記アクチュエータを前記入力部材に対する前記前
進位置に付勢する第2の付勢部材を備えていることを特
徴とする負圧式倍力装置が望ましい。
【0017】好ましくは、前記アクチュエータが、前記
パワーピストンに対し前進及び後退でき且つ前記第1及
び前記第2の付勢部材と前記第3の対向当接部とによっ
て前記入力部材と一体的に前進及び後退されるように設
置されたソレノイドコイル及びヨークと、前記ソレノイ
ドコイルへの通電により発生する電磁吸引力により前記
バルブプランジャ部材を前記第1の付勢部材に抗して前
記前進位置へ転移させるプランジャとを備えていること
を特徴とする負圧式倍力装置が望ましい。
【0018】好ましくは、前記アクチュエータは、電力
源に接続されるとともに電力の供給を受けることによっ
て前記弁座部材を後方へ吸引移動させるソレノイドを有
していることを特徴とする負圧式倍力装置が望ましい。
【0019】請求項1の負圧式倍力装置は、アクチュエ
ータが作動されることによってパワーピストンが入力部
材に対して前方に移動する際に、係合部材が入力部材に
係合して入力部材をパワーピストンと一体的に移動させ
る。アクチュエータの作動に伴って入力部材が反力部材
から反力を受けて係合部材の弾性変形に伴う復元力に抗
して後退されることにより、大気弁座と大気シール部と
が当接して後室と大気との連通が遮断可能とされる。
【0020】請求項2の負圧式倍力装置は、アクチュエ
ータが作動されることによってパワーピストンが入力部
材に対して前方に移動する際に、係合部材が入力部材に
係合して入力部材をパワーピストンと一体的に移動させ
る。アクチュエータの作動に伴って入力部材が反力部材
から反力を受けて係合部材の弾性変形に伴う復元力に抗
して後退されることにより、入力部材に配設された大気
弁座と大気シール部とが当接して後室と大気との連通が
遮断可能とされる。
【0021】請求項3の負圧式倍力装置は、アクチュエ
ータが作動されることによってパワーピストンが入力部
材に対して前方に移動する際に、係合部材が入力部材に
係合して入力部材ひいてはバルブプランジャ部材をパワ
ーピストンと一体的に移動させる。アクチュエータの作
動に伴って入力部材ひいてはバルブプランジャ部材が反
力部材から反力を受けて係合部材の弾性変形に伴う復元
力に抗して後退されることにより、大気弁座と大気シー
ル部とが当接して後室と大気との連通が遮断可能とされ
る。
【0022】請求項4の負圧式倍力装置は、請求項1〜
3の何れか一に記載の作用に加えて、係合部材は、入力
部材の非操作時にアクチュエータが作動されることによ
ってパワーピストンが入力部材に対して前方に移動する
際に入力部材に係合する。
【0023】入力部材の非操作時におけるアクチュエー
タの作動に伴って入力部材が反力部材から反力を受けて
係合部材の弾性変形に伴う復元力に抗して後退されるこ
とにより、大気弁座と大気シール部とが当接して後室と
大気との連通が遮断可能とされる。
【0024】請求項5の負圧式倍力装置は、請求項1〜
4の何れか一に記載の作用に加えて、キー部材が、入力
部材の非操作時にアクチュエータが作動されることによ
ってパワーピストンが入力部材に対して前方に移動する
際に入力部材に係合する。
【0025】入力部材の非操作時におけるアクチュエー
タの作動に伴って入力部材が反力部材から反力を受けて
キー部材の弾性変形に伴う復元力に抗して後退されるこ
とにより、大気弁座と大気シール部とが当接して後室と
大気との連通が遮断可能とされる。
【0026】請求項6の負圧式倍力装置は、請求項3の
作用に加えて、アクチュエータがパワーピストンに対し
て前進及び後退可能に配設されている。バルブプランジ
ャ部材は、第1の連結機構によってアクチュエータの非
作動時に入力部材に対する後退位置へ位置され且つこの
後退位置で入力部材と一体的に前進及び後退可能とさ
れ、第2の連結機構によってアクチュエータの作動時に
入力部材に対する前進位置へ位置され且つこの前進位置
で入力部材と一体的に前進及び後退可能とされる。
【0027】請求項7の負圧式倍力装置は、請求項6の
作用に加えて、第1の連結機構は、入力部材に対するバ
ルブプランジャ部材の後退位置を規定する第1の対向当
接部及びバルブプランジャ部材を入力部材に対して後方
へ付勢する第1の付勢部材を備えている。
【0028】第2の連結機構は、入力部材に対するバル
ブプランジャ部材の前進位置を規定する第2の対向当接
部と、入力部材に対するアクチュエータの前進位置を規
定する第3の対向当接部と、アクチュエータを入力部材
に対する前進位置に付勢する第2の付勢部材とを備えて
いる。
【0029】請求項8の負圧式倍力装置は、請求項7の
作用に加えて、アクチュエータは、パワーピストンに対
し前進及び後退でき且つ第1及び第2の付勢部材と第3
の対向当接部とによって入力部材と一体的に前進及び後
退されるように設置されたソレノイドコイル及びヨーク
と、ソレノイドコイルへの通電により発生する電磁吸引
力によりバルブプランジャ部材を第1の付勢部材に抗し
て前進位置へ転移させるプランジャとを備えている。
【0030】請求項9の負圧式倍力装置は、請求項2の
作用に加えて、アクチュエータは、ソレノイドによって
弁座部材を後方に移動させることにより、大気弁座と大
気シール部とを離間させる。
【0031】
【実施の形態】以下、本発明を実施の形態により具体的
に説明する。
【0032】(実施の形態1)図1は、本発明の一実施
の形態であるタンデム型の車両用負圧式倍力装置10の
断面図であり、図2は図1の入力部材28部分の拡大図
である。
【0033】図1において、車両用負圧式倍力装置10
は、フロントシェル11とリアシェル12及び両シェル
間の隔壁部材13とから構成されるとともにその内部に
前側圧力室及び後側圧力室を形成するハウジング14を
備える。ハウジング14内の前側圧力室には、金属製の
前側プレート15とゴム製の前側ダイアフラム16から
なる前側可動壁17が前進および後退可能に設置され、
また後側圧力室には金属製の後側プレート18とゴム製
の後側ダイアフラム19からなる後側可動壁20が前進
および後退可能に設置されている。
【0034】前側プレート15は、その中心部に、隔壁
部材13の中心部を気密的に且つ摺動可能に貫通されて
いる円筒部21を一体に有している。前側ダイアフラム
16の内周縁のビード部は前側プレート15の円筒部2
1の前端部の外周面に気密的に固定されており、前側ダ
イアフラム16の外周縁のビード部は隔壁部材13の外
周縁部と一緒にシェル11、12の外周部により気密的
に挟持されている。
【0035】後側ダイアフラム19の外周縁のビード部
は隔壁部材13の外周縁の内径側に設けられた折り返し
部とリアシェル12とにより気密的に挟持されている。
リアシェル12の中心部を気密的に且つ摺動可能に貫通
されているパワーピストン22の前方寄り部分の外周に
は、前側プレート15の円筒部21の後端と後側プレー
ト18の内周縁部が固定されると共に後側ダイアフラム
19の内周縁のビード部が気密的に固定されている。
【0036】これにより、ハウジング14内の前側圧力
室が第1前室23と第1後室24とに分割され、またハ
ウジング14内の後側圧力室が第2前室25と第2後室
26とに分割される。第1前室23は負圧源であるエン
ジンインテークマニホールド(図示省略)に連通され、
常時、負圧に保たれる。第2前室25は前側プレート1
5の円筒部21に形成された孔21aとパワーピストン
22の前端部の外周に形成された溝221とによって第
1前室23に連通され、従って第2前室25も、常時、
負圧に保たれる。
【0037】第1後室24は前側ダイヤフラム16の外
周縁のビード部の内周面に形成された溝16aと隔壁部
材13に形成された孔13a及び後側ダイアフラム19
の外周縁のビード部の外周面に形成された溝19aによ
って第2後室26に連通されている。
【0038】図1、図2に示されるように、パワーピス
トン22の内部には、入力ロッド27がパワーピストン
22に対して前進及び後退できるように設置されてい
る。この入力ロッド27はその前端のボール継手によ
り、パワーピストン22により前後方向(図2中左右方
向)に摺動自在に案内されている入力部材28に連結さ
れており、その後端でブレーキペダル31に連結されて
いる。
【0039】パワーピストン22には、パワーピストン
22に対する入力部材28の前進限位置及び後退限位置
を規定するためのキー部材29が設置されている。キー
部材22は弾性部材から形成されて可撓性を有してお
り、パワーピストン22の径方向(図2中上下方向)で
の断面が略ストレート状を呈している。このキー部材2
9はパワーピストン22に形成された半径方向孔30に
挿通されており、パワーピストン22から脱落しないよ
うにパワーピストン22に係止されている。
【0040】図3は図2のキー部材29部分の拡大図で
あり、図4は図3のパワーピストン22の一部分の側面
図であり、図5は図4のパワーピストン22の径方向の
断面図である。図1〜図5に示すように、キー部材29
は、パワーピストン22の径方向(図4、5中上下方
向)に延在する平板状のプレート部29aと、プレート
部29aの一側端部に接続される半円弧状の弧状部29
bとを一体的に有している。プレート部29aにはパワ
ーピストン22の径方向に延在するスリット29cが形
成されており、プレート部29aは弧状部29bの内部
から弧状部29bの開口側に向かって延在されている。
【0041】キー部材29の前後方向の肉圧寸法は半径
方向孔30の前後方向の寸法よりも小さくされている。
キー部材29は、プレート部29aの前面29cでもっ
て半径方向孔30を区画する周壁の一部をなすとともに
前面29cに対向する前壁223(第2対向部)に当接
可能とされ、プレート部29aの後面29dでもって半
径方向孔30を区画する周壁の一部をなすとともに後面
29dに対向する後壁224に当接可能とされ、弧状部
29bの後面29eでもってパワーピストン22の外周
部に後面29eに対向して配設された係合部222(第
3対向部)に当接可能とされている。
【0042】半径方向孔30の前後方向(図3中左右方
向)の寸法とキー部材29の前後方向の肉厚寸法との
差、即ち、図3中の距離Bは、半径方向孔30の前壁2
23と係合部222との前後方向寸法とキー部材29の
前後方向の肉厚寸法との差、即ち、図3中の距離Aより
も大きくされている。従って、キー部材29は、パワー
ピストン22に対して図3中に示した距離A(第1の所
定量)を前後方向へ移動可能とされている。
【0043】キー部材29は、パワーピストン22の外
周側に位置する弧状部29bの後面29eにてダンパ部
材32を介してリアシェル12(第1対向部)に当接可
能とされている。ハウジング14に対するパワーピスト
ン22の後退限位置は、半径方向孔30の前壁223が
キー部材29のプレート部29aの前面29cに当接し
且つキー部材29の弧状部29bの後面29eがリアシ
ェル12に当接した位置となる。
【0044】キー部材29のスリット29cに、スリッ
ト29cの延在方向と入力部材28の軸方向とが垂直と
なるように入力部材28が組付けられており、プレート
部29aが入力部材28の外周に形成された一対の外向
フランジ部33(第4対向部)、34(第5対向部)間
に位置される。従って、キー部材29は、両フランジ3
3、34間の距離とキー部材29の前後方向肉厚寸法と
の差の距離分(第2の所定量)を、入力部材28に対し
て前後方向に移動可能に係合されている。
【0045】パワーピストン22に対する入力部材28
の第1後退限位置は、前方フランジ部33の後面がキー
部材29のプレート部29aの前面29cに当接し且つ
キー部材29の弧状部29bの後面29eがパワーピス
トン22の係合部222に当接した位置となる。また、
パワーピストン22に対する入力部材28の前進限位置
は、後方フランジ部34の前面がキー部材29のプレー
ト部29aの後面29dに当接し且つキー部材29のプ
レート部29aの前面29cが半径方向孔30の前壁2
23に当接した位置となる。
【0046】パワーピストン22の内部には、パワーピ
ストン22に対する入力部材28の前後方向位置に応じ
て、第2後室26を第1前室23に連通すると共に大気
から遮断する出力減少作用状態と第2後室26を第1前
室23及び大気から遮断する出力保持作用状態及び第2
後室26を第1前室23から遮断すると共に大気に連通
する出力増加作用状態に切り換える弁機構35が設置さ
れている。
【0047】この弁機構35は、入力部材28の後方部
に一体的に形成されており且つ後方に向いている略環状
の大気弁座28aと、パワーピストン22に一体に形成
されており且つ後方に向いている略環状の負圧弁座22
aと、大気弁座28aに対向すると共に当接及び離脱可
能な略環状の大気シール部36aと負圧弁座22aに対
向すると共に当接及び離脱可能な略環状の負圧シール部
36bとを一体的に備えたコントロールバルブ36とか
ら構成されている。
【0048】コントロールバルブ36は、大気シール部
36aと負圧シール部36bとを一体的に備える可動部
36cと、リテーナー37によりパワーピストン22に
気密的に固定される固定部36dと、可動部36cを前
方へ付勢するバルブスプリング36eとを主たる構成部
材としている。
【0049】パワーピストン22には、弁機構35と第
1前室23とを連絡するバキューム通路38と、弁機構
35と第2後室26とを連絡するエア通路39が形成さ
れている。パワーピストン22内でコントロールバルブ
36の固定部36dの内周側空間部は、パワーピストン
22の後部開口を介して大気に連通されている。
【0050】弁機構35においては、大気弁座28aが
大気シール部36aに当接することによって第2後室2
6が大気から遮断され、大気弁座28aが大気シール部
36aから離間することによって第2後室26が大気と
連通され、負圧弁座22aが負圧シール部36bに当接
することによって第1前室23と第2後室26との連通が
遮断され、負圧弁座22aが負圧シール部から離間する
ことによって第1前室23と第2後室26とが連通され
る。
【0051】入力ロッド27に係止されたリテーナー4
0とリテーナー37との間に設置されたスプリング41
は、入力ロッド27ひいては入力部材28を後方へ付勢
し、ブレーキペダル31が踏まれていない場合、即ち、
図3に示す初期状態においては、大気弁座28aを大気
シール部36aに当接させ且つ負圧シール部36bを負
圧弁座22aから距離D分で離間させた状態に保持す
る。
【0052】パワーピストン22内で負圧弁座22aの
内周側には、略段付き筒状を呈するスライダバルブ42
(弁座部材)がパワーピストン22に対して前後方向移動
可能に配設されている。スライダバルブ42はその略環
状の後端部に形成された補助負圧弁座42aでコントロ
ールバルブ36の負圧シール部36bに当接及び離脱可
能とされており、補助負圧弁座42aと負圧シール部3
6bとが当接することによって第1前室23と第2後室
26との連通が遮断される。
【0053】スライダバルブ42と入力部材28の間に
は、スライダバルブ42を前方に付勢するコイルスプリ
ング43が配設されている。コイルスプリング43は、
スライダバルブ42の前方端部に配設された内向フラン
ジ部と入力部材28の前方フランジ部33との間に配設
されている。
【0054】パワーピストン22の前方部分の内部に
は、スライダバルブ42をコイルスプリング43に抗し
て後退させるアクチュエータ45が設置されている。こ
のアクチュエータ45は、ソレノイドコイル46と、磁
性体よりなるヨーク47と、磁性体よりなるヨーク兼反
動部材収容用部材48と、磁性体よりなるプランジャ4
9とによって構成されている。
【0055】ソレノイドコイル46とヨーク47、ヨー
ク兼反動部材収容用部材48はパワーピストン22に固
定されており、プランジャ49はその後面においてスラ
イダバルブ42の前端面と当接する。ソレノイドコイル
46は、リード線46aによりハウジング14の外部の
電子制御装置50と電気的に接続される。
【0056】ソレノイドコイル46が通電されない場合
(アクチュエータ45の非作動時)、コイルスプリング
43によってスライダバルブ42はその前端面がプラン
ジャ49に当接しており、プランジャ49の前端面は、
ヨーク兼反動部材収容用部材48に対して固定の関係に
あり且つ入力部材28の前方部を摺動可能に案内する案
内部材51に当接した図2の位置に保持される。スライ
ダバルブ42の補助負圧弁座42aはパワーピストン2
2の負圧弁座22aよりも図3中の距離G分前側に位置
する。
【0057】ソレノイドコイル46が通電された場合
(アクチュエータ45の作動時)、ヨーク47とプラン
ジャ49との間に電磁吸引力が発生し、この電磁吸引力
によりプランジャ49が後方へ移動される。プランジャ
49の後方への移動に伴ってスライダバルブ42がコイ
ルスプリング43の付勢力に抗して後退される。
【0058】スライダバルブ42の最大後退量は図3中
におけるヨーク48とプランジャ49との間の距離Eに
対応し、スライダバルブ42が後退された状態ではスラ
イダバルブ42の補助負圧弁座42aがパワーピストン
22の負圧弁座22aよりも後側に位置する。
【0059】ヨーク兼反動部材収容用部材48の内部に
おいて、案内部材51の前側にはゴムよりなる円盤状の
リアクションディスク52が設置され、このリアクショ
ンディスク52の前側にはハウジング14のフロントシ
ェル11の中心部を気密的に且つ摺動可能に貫通してい
る出力ロッド53の後端部が摺動可能に設置されてい
る。リアクションディスク52は、周知のように、パワ
ーピストン22の前進力及び入力部材28の前進力を出
力ロッド53に伝達すると共に出力ロッド53からの出
力に対応した大きさの反力を入力部材28に後退させる
ように付与するものである。
【0060】第1前室23の中心部には、パワーピスト
ン22とこれに結合された両可動壁17、20をハウジ
ング14に対して後退させるためのリターンスプリング
54が設置されている。
【0061】出力ロッド53はマスタシリンダ58のピ
ストン(図示省略)と作用的に連結されている。マスタ
シリンダ58はリザーバタンク55を備えており、マス
タシリンダ58には液圧管路を介してABS(アンチロ
ックブレーキシステム)、TRC(トラクションコント
ロール)及び制動操舵制御のアクチュエータ部56が接
続されている。
【0062】アクチュエータ部56には液圧管路を介し
て各車輪に配設されたホイールシリンダ57が夫々接続
されている。マスタシリンダ58とアクチュエータ部5
6との間の液圧管路には、液圧管路内、ひいてはマスタ
シリンダ58の圧力を検出する液圧センサ51が配設さ
れている。
【0063】図3に示す初期状態においては、スライダ
バルブ42の内周側段差部と入力部材28の前方側フラ
ンジ部33の前面との間には距離Fのクリアランスが設
けられている。図3における各クリアランスは、G+D
+A<E<Fとして設定されている。
【0064】次に作動を説明する。図1〜図3に示す状
態は、ブレーキペダル31が踏まれておらず且つアクチ
ュエータ45が作動されていない状態であり、弁機構3
5が第2後室26を第1前室23に連通すると共に大気
から遮断する出力減少作用状態を採っている。即ち大気
弁座28aが大気シール部36aに当接し且つ負圧弁座
22a及びスライドバルブ42の補助負圧弁座42aが
負圧シール部36bから離間した状態となり、第1後室
24と第2後室26の圧力は第1前室23の圧力と同じ
圧力に低下している。
【0065】従って、両可動壁17、20とパワーピス
トン22には前進力が作用せず、パワーピストン22と
これに結合された両可動壁17、20は、リターンスプ
リング54によってハウジング14に対する後退限位
置、即ちパワーピストン22の半径方向孔30の前壁2
23がキー部材29のプレート部29aの前面29cに
当接し且つキー部材29の弧状部29bの後面29eが
リアシェル12に当接した位置に保持される。
【0066】図6は、縦軸は出力を表し、横軸は入力を
表した本実施の形態の負圧式倍力装置10の特性線図で
ある。図1〜図6に示すように、通常ブレーキ作用のた
めに運転者がブレーキペダル31を入力Fi1で踏み込
むと、入力ロッド27、ひいては入力部材28がパワー
ピストン22に対して前進される。
【0067】入力部材28の移動に伴ってコントロール
バルブ36の可動部36cがバルブスプリング36eに
より前方に付勢されて入力部材28と一体的に前進さ
れ、コントロールバルブ36の負圧シール部36bがパ
ワーピストン22の負圧弁座22aに当接してバキュー
ム通路38とエア通路39との連通を遮断し、第2後室
26を第1前室23から遮断する。つまり、弁機構35
が出力減少作用状態から出力保持作用状態に切り換わ
る。
【0068】この時、入力部材28の前端面とリアクシ
ョンディスク52の後面との間には隙間が残存してい
る。入力ロッド27及び入力部材28が更に前進される
と、入力部材28の大気弁座28aがコントロールバル
ブ36の大気シール部36aから離間されてエア通路3
9が大気弁座28aと大気シール部36aとの間のクリ
アランスを介して大気と連通されることにより、第2後
室26が大気と連通されて弁機構35が出力増加作用状
態に切り換わる。
【0069】従って、大気が第2後室26に流入し、更
に第2後室26から第1後室24に流入して両後室2
4、26の圧力が上がり、第1可動壁17には第1前室
23と第1後室24との差圧により前進力が発生し、第
2可動壁20には第2前室25と第2後室26との差圧
により前進力が発生して、パワーピストン22には第1
前室23と第2後室26との間の差圧により前進力が発
生する。
【0070】これらの前進力がパワーピストン22から
アクチュエータ45のヨーク兼反動部材収容用部材4
8、案内部材51及びリアクションディスク52を介し
て出力ロッド53の伝達され、両可動壁17、20、パ
ワーピストン22及び出力ロッド53がハウジング14
に対し一体的に前進を開始し、マスタシリンダ58の作
動が開始される。
【0071】その際、パワーピストン22は入力部材2
8に対しても前進し、コントロールバルブ36の大気シ
ール部36aが大気弁座28aに接近する。また、リア
クションディスク52がパワーピストン22と出力ロッ
ド53とによって圧縮変形され、その中心部の後面と入
力部材28の前端面との間の隙間を減少するように案内
部材51の内部に進入し、入力部材28の前端面に当接
してリアクションディスク52がパワーピストン22の
前進力及び入力部材28の前進力を出力ロッド53に伝
達すると共に出力ロッド53からの出力に対応した反力
を、入力部材28に、入力部材28をパワーピストン2
2に対して後退させるよう付与するようになる。
【0072】パワーピストン22が入力部材28に対し
て前進すること及び入力部材28がリアクションディス
ク52から反力を付与されて後退されることにより、や
がて、コントロールバルブ36の大気シール部36aが
再び大気弁座28aに当接してエア通路39と大気との
連通が遮断され、両後室24、26への大気の流入が停
止される(弁機構35が出力保持作用状態に切り換わ
る)。
【0073】このときにおいて、ブレーキペダル31か
ら入力部材28に加えられている入力は図6中に示した
値Fi1であり、出力ロッド53からマスタシリンダ5
8に付与される出力は図6に示した値Fo1である。
【0074】この出力Fo1を発生して弁機構35が出
力保持作用状態を採る際に、ブレーキペダル31から入
力部材28に加えられる入力が図6の値Fi2未満の値
に増加されると、入力部材28がパワーピストン22に
対して前進し、大気弁座28aが再びコントロールバル
ブ36の大気シール部36aから離間し(弁機構35が
出力増加作用状態に切り換わる)、大気が両後室24、
26に流入して後室24、26の圧力が上昇し、可動壁
17、20とパワーピストン22の前進力が増加し、両
可動壁17、20、パワーピストン22及び出力ロッド
53がハウジング14に対して更に前進する。
【0075】また、パワーピストン22が入力部材28
に対して前進すること、及びパワーピストン22の前進
に伴ってリアクションディスク52が入力部材28に反
力を付与して入力部材28を後方に移動させることによ
り、コントロールバルブ36の大気シール部36aが大
気弁座28aに接近し、やがてコントロールバルブ36
の大気シール部36aに大気弁座28aが再び当接して
両後室24、26への大気流入が停止され(弁機構35
が出力保持作用状態に切り換わる)、両可動壁17、2
0とパワーピストン22の前進力が増加が停止する。
【0076】この弁機構35が出力保持作用状態を採る
状態において、ブレーキペダル31から入力部材28に
加えられる入力が図6の値Fi1よりも大きい値まで減
少されると、入力部材28がパワーピストン22に対し
て後退され、入力部材28の後退に伴ってコントロール
バルブ36の可動部36cがパワーピストン22に対し
て後退されて負圧シール部36bが負圧弁座22aから
離間する(弁機構35が出力減少作用状態に切り換わ
る)。
【0077】負圧弁座22aが負圧シール部36bから
離間することによってバキューム通路38が負圧弁座2
2aと負圧シール部36bとの間のクリアランス及び補
助負圧弁座42aと負圧シール部36bとの間のクリア
ランスを介してエア通路39に連通され、両後室24、
26が第1前室23に連通されて両後室24、26内の
大気が負圧源により第1前室23を介して排出され、両
後室24、26の圧力が低下する。
【0078】従って、両可動壁17、20とパワーピス
トン22との前進力が減少し、可動壁17、20、パワ
ーピストン22及び出力ロッド53がハウジング14に
対して後退する。その際、パワーピストン22は入力部
材28に対しても後退し、負圧弁座22aがコントロー
ルバルブ36の負圧シール部36bに接近し、やがて負
圧弁座22aが負圧シール部36bに当接して両後室2
4、26からの第1前室23への大気流出が停止され
(弁機構35が出力保持作用状態に切り換わる)、両可
動壁17、20とパワーピストン22の前進力の減少が
停止される。
【0079】図6に示した入力の値Fi2は、両後室2
4、26の圧力が大気圧になる入力値を示す。入力が値
Fi1から値Fi2の範囲においては、出力ロッド53
からマスタシリンダ58に加えられる出力の変化量は入
力部材28に加えられる入力の変化量より大きい。入力
に対する出力の比率は、リアクションディスク52の後
面と入力部材28の前端面との当接面積に対するリアク
ションディスク52の後面の面積の比率に一致する。
【0080】図6において、入力が値Fi2のときの出
力は値Fo2である。入力が値Fi2から更に増加され
た場合、出力が入力の増加分だけ増加する。尚、図6に
おいて、縦軸の単位長さあたりの力の変化量は横軸の単
位長さあたりの力の変化量より大きいものである。縦軸
の単位長さあたりの力の変化量と横軸の単位長さあたり
の力の変化量を一致させて描いたならば、入力が値Fi
2より大きい場合の入力−出力の相関を示す線が45度
の勾配となる。
【0081】ブレーキペダル31が踏み込まれて入力部
材28、可動壁17、20、パワーピストン22及び出
力ロッド53がハウジング14に対して前進している状
態では、キー部材29の弧状部29bの後面29eがリ
アシェル12から離間している。弁機構35が出力保持
作用状態を採る際には、キー部材29の弧状部29bの
後面29eとパワーピストン22の係合部222との間
の距離は(A+D)分に等しく、入力部材28は第1の
後退限位置に関し、パワーピストン22に対して(A+
D)分を後方に移動可能となる。
【0082】例えば負圧式倍力装置10が出力Fo4を
出力して弁機構35が出力保持作用状態を採る状態にお
いて、通常ブレーキ作用を解除するために運転者がブレ
ーキペダル31への入力を徐々に減少して踏み込み操作
を解除すると、入力部材28がリアクションディスク5
2から付与される反力とスプリング41の付勢力とによ
って、パワーピストン22に対してパワーピストン22
に対する第1の後退限位置、即ち、前方フランジ部33
の後面がキー部材29のプレート部29aの前面29c
に当接し且つキー部材29の弧状部29bの後面29e
がパワーピストン22の係合部222に当接した位置に
後退される。
【0083】これにより、コントロールバルブ36の可
動部36cがパワーピストン22に対して後退され、負
圧シール部36bが負圧弁座22aから距離(A+D)
分で離間され(弁機構35が出力減少作用状態に切り換
わる)、両後室24、26内の大気が負圧源により第1
前室23を介して排出され、両後室24、26の圧力低
下に応じて、両可動壁17、20、パワーピストン22
及び出力ロッド53がハウジング14に対して後退され
る。
【0084】このとき、ブレーキぺダル31ひいては入
力部材28への入力が徐々に減少されることから入力部
材28は徐々に後退し、パワーピストン22と入力部材
28とは略同じ速さで後退することになる。従って、パ
ワーピストン22の後退に伴い、入力部材28がパワー
ピストン22に対して第1後退限位置を維持した状態で
パワーピストン22と一体的に後退されることになる。
【0085】入力部材28、両可動壁17、20、パワ
ーピストン22及び出力ロッド53のハウジング14に
対する後退により、やがてキー部材29の弧状部29b
の後面29eがリアシェル12に当接し、入力部材28
のハウジング14に対する後退が停止される。
【0086】これに対し、両可動壁17、20、パワー
ピストン22及び出力ロッド53のハウジング14に対
する後退は、パワーピストン22のハウジング14に対
する後退限位置、即ちパワーピストン22の半径方向孔
30の前壁223がキー部材29のプレート部29aの
前面29cに当接し且つキー部材29の弧状部29bの
後面29eがリアシェル12に当接した位置まで継続さ
れる。
【0087】これにより、パワーピストン22の負圧弁
座22aがコントロールバルブ36の負圧シール部36
bに接近し、負圧弁座22aと負圧シール部36bとの
間に小さな隙間が存在する非作動状態になる。
【0088】負圧弁座22aと負圧シール部36bとの
間の隙間が小さいことにより、次回の作動時に弁機構3
5が出力減少作用状態から出力保持作用状態を経て出力
増加作用状態に切り換わるのに必要とされる入力部材2
8の前進量は小さく、従ってブレーキペダル31の踏み
込み時の遊びが小さく応答性が良い。
【0089】尚、リアクションディスク52は、パワー
ピストン22と出力ロッド53との間で伝達する力が減
少することにより、自己の弾性により図2に示す状態に
復元する。
【0090】通常ブレーキ作用の解除の際に運転者がブ
レーキペダル31への入力を急激に減少して踏み込み操
作を解除する場合、入力部材28がリアクションディス
ク52から付与される反力と入力ロッド27を介したス
プリング41の付勢力とによって、先ずパワーピストン
22に対してパワーピストン22に対する第1の後退限
位置、即ち、前方フランジ部33の後面がキー部材29
のプレート部29aの前面29cに当接し且つキー部材
29の弧状部29bの後面29eがパワーピストン22
の係合部222に当接する位置に後退される。
【0091】従って、上述したように負圧弁座22aと
負圧大気シール部36bとが距離(A+D)分で離間さ
れ、両後室24、26内の大気が負圧源により第1前室
23を介して排出され、両後室24、26の圧力低下に
応じて、両可動壁17、20、パワーピストン22及び
出力ロッド53がハウジング14に対して後退される。
【0092】このとき、ブレーキぺダル31ひいては入
力部材28への入力は急激に減少されていることから、
パワーピストン22の後退に比して入力部材28の後退
は急速に行われることになる。従って、第1の後退限位
置にある状態から、リアクションディスク52の反力と
スプリング41の付勢力とによって入力部材28はパワ
ーピストン22の係合部222を支点としてキー部材2
9の弧状部29bに比してプレート部29aを後方に撓
ませつつ第1の後退限位置よりも後方へ後退することに
なる。
【0093】従って、入力部材28が第1後退限位置か
ら更に後退されることにより、距離(A+D)分で離間
されていた負圧弁座22aと負圧シール部36bとが更
に離間されることになる。負圧弁座22aと負圧シール
部36bとの離間量が増大されることにより、両後室2
4、26内の大気が負圧源により第1前室23を介して
迅速に排出され、両後室24、26の迅速な圧力低下に
応じて入力部材28、両可動壁17、20、パワーピス
トン22及び出力ロッド53がハウジング14に対して
迅速に後退される。
【0094】入力部材28、両可動壁17、20、パワ
ーピストン22及び出力ロッド53のハウジング14に
対する後退により、やがてキー部材29の弧状部29b
の後面29eがリアシェル12に当接し、入力部材28
のハウジング14に対する後退が停止される。
【0095】これに対し、両可動壁17、20、パワー
ピストン22及び出力ロッド53のハウジング14に対
する後退は、パワーピストン22のハウジング14に対
する後退限位置、即ちパワーピストン22の半径方向孔
30の前壁223がキー部材29のプレート部29aの
前面29cに当接し且つキー部材29の弧状部29bの
後面29eがリアシェル12に当接した位置まで継続さ
れる。
【0096】両可動壁17、20、及びパワーピストン
22の初期位置への復帰に伴ってパワーピストン22と
出力ロッド53との間で伝達する力が減少することによ
り、リアクションディスク52は自己の弾性により図2
に示す状態に復元する。リアクションディスク52によ
る入力部材28への反力付与が減少されるのに伴って、
入力部材28がキー部材29のプレート部29aの復元
力によって前方に移動される。
【0097】キー部材29のプレート部29aの初期状
態への復元及び両可動壁17、20、パワーピストン2
2、と出力ロッド53の後退に伴い、プレート部29a
の前面29cとパワーピストン22の半径方向孔30の
前壁223とが当接してパワーピストン22、ひいては
両可動壁17、20及び出力ロッド53が初期位置へと
復帰し、パワーピストン22の負圧弁座22aとコント
ロールバルブ36の負圧シール部36bとが接近して負
圧弁座22aと負圧シール部36bとの間に小さな隙間
が存在する非作動状態になる。
【0098】入力部材28の第1後退限位置からの更な
る後退に際して、キー部材29の弧状部29bに対する
プレート部29aの後方への撓み量が増大すると、プレ
ート部29aの後面29dがパワーピストン22の半径
方向孔30の後壁224に当接することになる。プレー
ト部29aが後壁224に当接するとプレート部29a
が弧状部29bに対してそれ以上後方に撓むことができ
なくなり、ひいては、入力部材28の後退が規制される
ことになる。
【0099】即ち、キー部材29の弧状部29bの後面
29eがパワーピストン22の係合部222に当接し、
前方フランジ部33の後面がキー部材29のプレート部
29aの前面29cに当接し、且つプレート部29aの
後面29dがパワーピストン22の半径方向孔30の後
壁224に当接する位置は、入力部材28のパワーピス
トン22に対する第2の後退限位置となる。
【0100】例えば、車両の走行中において、前方の車
両との車間距離が所定の距離よりも短くなったことを図
示しない車間距離センサが検出すると、車間距離センサ
の検出結果に基づいて電子制御装置50がアクチュエー
タ45を作動させる自動ブレーキ作動が行われる。即
ち、運転者によるブレーキペダル31、入力ロッド27
及び入力部材28への操作が無い、換言すれば入力が無
い状態でアクチュエータ45が作動されることになる。
【0101】車間距離センサからの検出結果に基づいて
電子制御装置50がソレノイドコイル46に通電する
と、プランジャ49とヨーク47との間に電磁吸引力が
発生し、プランジャ49がスライダバルブ42を介した
コイルスプリング43の付勢力に抗してパワーピストン
22に対し距離E分後退され、プランジャ49とヨーク
47とが当接する。プランジャ49の後退に伴ってスラ
イダバルブ42も距離Eだけパワーピストン22に対し
て後退される。
【0102】スライダバルブ42の後退により、スライ
ダバルブ42の補助負圧弁座42aがコントロールバル
ブ36の負圧シール部36bに当接し、バキューム通路
38とエア通路39との連通が遮断されることにより、
第1前室23と第2後室26との連通が遮断され、更
に、スライダバルブ42はコントロールバルブ36の可
動部36cをバルブスプリング36eの付勢力に抗して
後方へ移動させ、大気弁座28aを大気シール部36a
から離間させる。この時の大気弁座28aと大気シール
部36aとの離間量は(E−D−G)に等しい。
【0103】従って、大気が大気弁座28aと大気シー
ル部36aとのクリアランスとエア通路39とを介して
両後室24、26に流入し、両後室24、26の圧力が
上昇して両可動壁17、20、パワーピストン22及び
出力ロッド53がハウジング14に対して前進する。
【0104】大気弁座28aと大気シール部36aとの
離間量(E−D−G)は、キー部材29の弧状部29b
の後面29eとパワーピストン22の係合部222との
距離Aよりも大きいことから、パワーピストン22が、
ハウジング14、入力部材28、及びキー部材29に対
して前進することによって、パワーピストン22の係合
部222がキー部材29の弧状部29bの後面29eに
当接することになる。
【0105】パワーピストン22が、ハウジング14、
入力部材28、キー部材29に対して距離A分前進して
係合部222がキー部材29の後面29eに当接する際
において、パワーピストン22の前進に伴ってコントロ
ールバルブ36の大気シール部36aが入力部材の大気
弁座28aに接近する。しかしながら、前述したよう
に、大気弁座28aと大気シール部36aとの離間量
(E−D−G)は、キー部材29の弧状部29bの後面
29eとパワーピストン22の係合部222との距離A
よりも大きいことから、大気弁座28aと大気シール部
36aとは依然として(E−D−G−A)の距離でもっ
て離間している。
【0106】従って、大気が第2後室26ひいては第1
後室24に流入し続けることから、両前室23、25と
両後室24、26との圧力差が増加し、両可動壁17、
20及びパワーピストン22は更に前進する。パワーピ
ストン22の係合部222とキー部材29の弧状部29
bの後面29eとの当接後におけるパワーピストン22
の更なる前進により、キー部材29のプレート部29a
の前面29cと入力部材28の前方フランジ部33の後
面とが当接していることから、キー部材29を介して入
力部材28がパワーピストン22と一体的に前進され、
入力ロッド27もまた入力部材28の前進によって前進
される。
【0107】パワーピストン22と入力部材28とが一
体的に前進することから、入力部材28に形成されてい
る大気弁座28aとパワーピストン22と一体的に前進
しているコントロールバルブ36の大気シール部36a
とは非当接状態を維持することになる。
【0108】両可動壁17、20及びパワーピストン2
2の前進力がパワーピストン22からアクチュエータ4
5のヨーク兼反動部材収容用部材48、案内部材51及
びリアクションディスク52を介して出力ロッド53に
伝達され、両可動壁17、20、パワーピストン22及
び出力ロッド53がハウジング14に対し一体的に前進
を開始し、マスタシリンダ58の作動が開始される。
【0109】その際、リアクションディスク52がその
中心部の後面と入力部材28の前端面との間の隙間を減
少するように案内部材51の内部に進入し、入力部材2
8の前端面に当接して、出力ロッド53からの出力に対
応した反力を入力部材28に、入力部材28をパワーピ
ストン22に対して後退させるよう付与するようにな
る。
【0110】この時、入力部材28の前方フランジ部3
3の後面がキー部材29のプレート部29aの前面29
cに当接し、キー部材29の弧状部29bの後面29e
がパワーピストン22の係合部222に当接しているこ
とから、リアクションディスク52は、キー部材29を
弾性変形させつつ入力部材28を後方に移動させること
になる。
【0111】リアクションディスク52は、パワーピス
トン22の係合部222を支点としてキー部材29の弧
状部29bに比してプレート部29aを後方に撓ませ、
入力部材28を後方に移動させる。即ち、リアクション
ディスク52は、キー部材29のプレート部29aの復
元力に抗して入力部材28を後方に移動させることにな
る。
【0112】入力部材28がリアクションディスク52
から反力を付与されて後退されることにより、やがて、
コントロールバルブ36の大気シール部36aが再び大
気弁座28aに当接して両後室24、26への大気の流
入が停止される。即ち、弁機構36が出力保持作用状態
に切り換わる。
【0113】この時において、ブレーキペダル31から
入力部材28に加えられている入力は図6中に示すよう
に0であり、出力ロッド53からマスタシリンダ58に
付与される出力は図6に示した値Fo3となる。
【0114】図6に示す自動ブレーキ時の出力Fo3は
キー部材29の弾性変形に伴う復元力に依存することに
なる。即ち、キー部材29の復元力が増大されれば出力
Fo3は増大され、キー部材29の復元力が減少されれ
ば出力Fo3もまた減少される。出力値Fo3の範囲と
しては、Fo1よりも大きく、両後室24、26が大気
圧に達したことを示す出力値Fo6以下の範囲となる。
【0115】電子制御装置50はソレノイドコイル46
を非通電とする条件が成立したとき、例えば、負圧式倍
力装置10が弁機構35の出力保持作用状態において出
力Fo3を出力している状態で、車間距離センサが前方
車両との距離が所定値まで復帰したことを検出すると、
この車間距離センサの検出結果に基づいて電子制御装置
50はソレノイドコイル46を非通電とする。
【0116】これにより、スライダバルブ42とプラン
ジャ49とがコイルスプリング43によって図2に示す
位置へと復帰される。プランジャ49及びスライダバル
ブ42の初期位置への復帰に伴い、スライダバルブ42
の補助負圧弁座42aが負圧シール部36bから離間
し、第1前室23と第2後室26とがバキューム通路3
8、負圧弁座22aと負圧シール部36bとのクリアラ
ンス、補助負圧弁座42aと負圧シール部36bとのク
リアランス、及びエア通路39を介して連通される。
【0117】従って、両後室24、26内の大気が第1
後室23を介して負圧源へと流入し、両前室23、25
と両後室24、26との差圧が減少する。両前室23、
25と両後室24、26との差圧が減少することによ
り、両可動壁17、20及びパワーピストン22はリタ
ンスプリング54によって後方に付勢され、初期位置に
復帰する。
【0118】パワーピストン22の後退に伴って、スプ
リング41の付勢力により、キー部材29、入力部材2
8及び入力ロッド27もパワーピストン22と一体的に
後退される。パワーピストン22及び入力部材28の後
退は、弁機構35が出力減少作用状態を維持した状態で
行われ、キー部材29の復元及びキー部材29の復元に
伴う入力部材28及び入力ロッド29のパワーピストン
22に対する前進作動を経て、最終的に図2に示す初期
状態に復帰する。
【0119】例えば、緊急ブレーキ作用のために運転者
がブレーキペダル31を入力Fi3で急速に踏み込む
と、入力部材28がパワーピストン22に対して前進さ
れ、通常ブレーキ作用の説明において述べたようにし
て、弁機構35が出力減少作用状態から出力保持作用状
態を経て出力増加作用状態へと切り換わり、両後室2
4、26に大気が流入することによって両可動壁17、
20、パワーピストン22及び出力ロッド53がハウジ
ング14に対して前進を開始し、やがて入力部材28へ
の入力Fi3とリアクションディスク52からの反力が
バランスして弁機構35が出力保持作用状態を採り、出
力Fo4を出力する。
【0120】この弁機構35が出力保持作用状態を採る
際のキー部材29の弧状部29bの後面29eとパワー
ピストン22の係合部222との間の距離は(A+D)
分に等しい。即ち、入力部材28は第1の後退限位置に
関し、パワーピストン22に対して距離(A+D)分を
後方に移動可能な状態とされている。
【0121】この入力Fi3によるブレーキペダル31
の踏み込みが図示しないブレーキペダル31の踏み込み
速度検出手段によって急ブレーキ操作であることが検出
されると、急ブレーキ作動として弁機構35が出力保持
作用状態を採っている状態から電子制御装置50により
ソレノイドコイル46に通電される。
【0122】これにより、プランジャ49とヨーク47
との間に電磁吸引力が発生し、プランジャ49がパワー
ピストン22に対して距離E分後退される。プランジャ
49の後退に伴ってスライダバルブ42も距離Eだけパ
ワーピストン22に対して後退される。
【0123】スライダバルブ42の後退により、スライ
ダバルブ42の補助負圧弁座42aがコントロールバル
ブ36の負圧シール部36bに当接して第1前室23と
第2後室26との連通が遮断され、更に、スライダバル
ブ42はコントロールバルブ36の可動部36cをバル
ブスプリング36eの付勢力に抗して後方へ移動させ、
負圧弁座22aを負圧シール部36bから離間させると
ともに大気弁座28aを大気シール部36aから距離
(E−G)分離間させる。
【0124】このような作動により、コントロールバル
ブ36の負圧シール部36bがパワーピストン22の負
圧弁座22aから離間されるが、スライダバルブ42の
補助負圧弁座42aが負圧シール部36bに当接してい
ることにより、両後室24、26と両前室23、25と
の遮断状態が維持されたまま大気弁座28aとコントロ
ールバルブ36の大気シール部36aとが離間される。
【0125】従って、大気が両後室24、26に更に流
入し、両後室24、26の圧力が更に上昇し、両可動壁
17、20、パワーピストン22及び出力ロッド53が
ハウジング14に対して更に前進する。
【0126】パワーピストン22が入力部材28及びキ
ー部材29に対して前進することにより、コントロール
バルブ36の大気シール部36aが大気弁座28aに接
近し、パワーピストン22の係合部222がキー部材2
9の弧状部29bの後面29eに接近する。また、リア
クションディスク52が案内部材53の内部に進入して
入力部材28の前端面に当接して入力部材28に反力を
付与し、入力部材28を後退させようとする。
【0127】この時、距離(E−G)は距離(A+D)
よりも大きいことから、パワーピストン22の入力部材
28及びキー部材29に対する前進とリアクションディ
スク53による入力部材28の後退に際して、大気弁座
28aの大気シール部36aへの当接以前において、キ
ー部材29の弧状部29bの後面29eがパワーピスト
ン22の係合部222に当接することになる。
【0128】従って、入力部材28の前方フランジ部3
3の後面がキー部材29のプレート部29aの前面29
cに当接し、キー部材29の弧状部29bの後面29e
がパワーピストン22の係合部222に当接することか
ら、リアクションディスク52はキー部材29を弾性変
形させつつ入力部材28を後方に移動させることにな
る。
【0129】リアクションディスク52は、パワーピス
トン22の係合部222を支点としてキー部材29の弧
状部29bに比してプレート部29aを後方に撓ませ、
入力部材28を後方に移動させる。即ち、リアクション
ディスク52は、キー部材29のプレート部29aの復
元力に抗して入力部材28を後方に移動させることにな
る。
【0130】パワーピストン22の前進に伴って大気シ
ール部36aが大気弁座28に対して前進すること、及
び入力部材28がリアクションディスク52から反力を
付与されて後退されることにより、やがて、コントロー
ルバルブ36の大気シール部36aが再び大気弁座28
aに当接して両後室24、26への大気の流入が停止さ
れる。即ち、弁機構35が出力保持作用状態に切り換わ
る。
【0131】この弁機構35が出力保持作用状態を採る
ときの入力部材28のパワーピストン22に対する前後
方向位置は、通常ブレーキ作用での入力Fi3で弁機構
35が出力保持作用状態を採るときの前後方向位置に対
して(E−G)の距離だけ後方に転移しており、リアク
ションディスク52の案内部材53の内部への進入量が
通常ブレーキ作用時の進入量よりも大きくなっている。
【0132】この時において、ブレーキペダル31から
入力部材28に加えられている入力は図6中に示すよう
にFi3であり、出力ロッド53からマスタシリンダ5
8に付与される出力は図6に示した値Fo5となる。換
言すれば、通常ブレーキにおいて出力Fo4に対応する
入力Fi3で、出力Fo4以上の出力Fo5を出力する
ことになる。
【0133】例えば、ソレノイドコイル46が通電され
ており、負圧式倍力装置10が出力Fo5を発生し、弁
機構35が出力保持作用状態を採っている状態におい
て、ブレーキ作動の必要がなくなり、運転者がブレーキ
ペダル31の踏み込みを解除すると、通常ブレーキ作用
においてブレーキペダル31の踏み込みが解除されたと
きと略同様に、入力ロッド27ひいては入力部材28が
リアクションディスク52から付与される反力とスプリ
ング41によってパワーピストン22に対して後退され
る。
【0134】この入力部材28の後退により、スライダ
バルブ42の補助負圧弁座42aがコントロールバルブ
36の負圧シール部36bから離間されて弁機構35が
出力減少作用状態に切り換わり、両後室24、26の圧
力が低下して出力が減少する。これにより、入力部材2
8、両可動壁17、20、パワーピストン22及び出力
ロッド53がハウジング14に対して後退され、最終的
には図1〜図3に示す非作動状態に戻る。
【0135】電子制御装置50はソレノイドコイル46
を非通電とする条件が成立したとき、ソレノイドコイル
46を非通電とする。これにより、スライダバルブ42
とプランジャ49がコイルスプリング43により図2に
示す位置に復帰される。
【0136】以上説明したように、本実施の形態の負圧
式倍力装置10によれば、ブレーキペダル31、ひいて
は入力部材28への操作が行われていない状態における
アクチュエータ45の作動時、換言すれば、自動ブレー
キ作動時において、入力部材28に対するパワーピスト
ン22の前進及びリアクションディスク52によるパワ
ーピストン22に対する入力部材28の後退により、弁
機構35が出力保持作用状態を採ることによって両後室
24、26が大気圧となることを規制可能とし、リアク
ションディスク52によるパワーピストン22に対する
入力部材28の後退をキー部材29が抑制することによ
り、キー部材29の復元力を適宜設定することによって
自動ブレーキ時の出力を容易に設定可能としている。
【0137】従って、アクチュエータ45の作動に伴う
出力を最大出力以下に規制可能な負圧式倍力装置10を
提供することを可能としている。
【0138】更に、アクチュエータ45の作動に伴って
リアクションディスク52が入力部材28を後退させる
際に弾性変形されることにより入力部材28の後退を許
容する係合部材を、キー部材29で構成したことによ
り、負圧式倍力装置10を簡素な構成とすることができ
る。
【0139】更に、通常ブレーキ作用におけるブレーキ
ペダル31及び入力部材28への入力が急激に減少され
る場合には、負圧式倍力装置10のより迅速な出力の減
少、ひいては復帰作動を可能としている。
【0140】本実施の形態においては、キー部材29は
プレート部29aと弧状部29bとから構成されている
が、この形状に限定されるものでないことは言うまでも
なく、アクチュエータ45の作動に伴ってリアクション
ディスク52によって入力部材28が後退される際に入
力部材28を前方に付勢することが可能な形状であれば
良い。
【0141】又、本実施の形態においては、負圧式倍力
装置10はタンデム型の構成を採っているが、特にこの
構成に限定されるものではなく、例えば、シングル型の
構成をとる本発明の負圧式倍力装置においても同様の作
用効果が得られる。
【0142】又、本実施の形態においては、急ブレーキ
作動の説明において弁機構35が出力保持作用状態を採
った後にアクチュエータ45が作動されるものとした
が、特にこの作動に限定されるものではなく、例えば、
ブレーキペダル31の踏み込み操作と略同時にアクチュ
エータ45が作動される本発明の負圧式倍力装置におい
ても同様の作用効果が得られる。
【0143】又、本実施の形態においては、負圧式倍力
装置10を車間距離制御用及び急ブレーキ補助用のブレ
ーキ装置に適用したが、特にこの構成に限定されるもの
ではなく、負圧式倍力装置における最大出力の発生を必
要としないブレーキ装置において本発明の負圧式倍力装
置を適用すれば同様の作用効果が得られる。
【0144】(実施の形態2)図7は、本発明の一実施
の形態であるタンデム型の車両用負圧式倍力装置10の
断面図であり、図8は、図7の弁機構35部分の拡大断
面図である。実施の形態1と同様の部材には同符号が付
してある。入力部材28、弁機構35及びアクチュエー
タ45の構成以外は実施の形態1と略同様であるので説
明は省略する。
【0145】図7、図8に示されるように、パワーピス
トン22の内部には、入力ロッド27がパワーピストン
22に対して前進及び後退できるように設置されてい
る。この入力ロッド27はその前端のボール継手によ
り、パワーピストン22により前後方向(図7中左右方
向)に摺動自在に案内されている入力部材28に連結さ
れており、その後端で図示しないブレーキペダルに連結
されている。
【0146】入力部材28は、後端を入力ロッド27の
前端のボール継手により連結されており且つパワーピス
トン22の中間部により摺動可能に直接支持された第1
部材281と、後端を第1部材281の前端に螺合され
固定された第2部材282と、この第2部材282の前
側(図7中左側)に位置していてリアクションディスク
52と第2部材282との間で前後方向の力を伝達する
第3部材283とから成る。
【0147】パワーピストン22の前方部分にリアクシ
ョンディスク52を収容するリアクションディスク収容
部材66が配設されている。入力部材28の第3部材2
83は、リアクションディスク収容用部材66により摺
動自在に案内されている。
【0148】パワーピストン22には、パワーピストン
22に対する入力部材28の前進限位置及び後退限位置
を規定するためのキー部材29が設置されている。キー
部材22は弾性部材から形成されて可撓性を有してお
り、パワーピストン22の径方向(図8中上下方向)で
の断面が略ストレート状を呈している。このキー部材2
9はパワーピストン22に形成された半径方向孔30に
挿通されており、パワーピストン22から脱落しないよ
うにパワーピストン22に係止されている。
【0149】キー部材29は、パワーピストン22の径
方向に延在する平板状のプレート部29aと、半円弧状
の弧状部29bとを一体的に有している。プレート部2
9aにはパワーピストン22の径方向に延在するスリッ
トが形成されている。
【0150】キー部材29の前後方向の肉圧寸法は半径
方向孔30の前後方向の寸法よりも小さくされている。
キー部材29は、プレート部29aの前面29cでもっ
て半径方向孔30を区画する周壁の一部をなすとともに
前面29cに対向する前壁223(第2対向部)に当接
可能とされ、プレート部29aの後面29dでもって半
径方向孔30を区画する周壁の一部をなすとともに後面
29dに対向する後壁224に当接可能とされ、弧状部
29bの後面29eでもってパワーピストン22の外周
部に後面29eに対向して配設された係合部222(第
3対向部)に当接可能とされている。
【0151】半径方向孔30の前後方向(図8中左右方
向)の寸法とキー部材29の前後方向の肉厚寸法との
差、即ち、図8中の距離Bは、半径方向孔30の前壁2
23と係合部222との前後方向寸法とキー部材29の
前後方向の肉厚寸法との差、即ち、図8中の距離Aより
も大きくされている。従って、キー部材29は、パワー
ピストン22に対して図8中に示した距離A(第1の所
定量)を前後方向へ移動可能とされている。
【0152】キー部材29は、パワーピストン22の外
周側に位置する弧状部29bの後面29eにてダンパ部
材32を介してリアシェル12(第1対向部)に当接可
能とされている。ハウジング14に対するパワーピスト
ン22の後退限位置は、半径方向孔30の前壁223が
キー部材29のプレート部29aの前面29cに当接し
且つキー部材29の弧状部29bの後面29eがリアシ
ェル12に当接した位置となる。
【0153】キー部材29のスリットに、スリットの延
在方向と入力部材28の軸方向とが垂直となるように入
力部材28が組付けられており、プレート部29aが入
力部材28の第2部材282の外向フランジ部282a
の後面(第4対向部)と、第1部材281の前端面(第
5対向部)との間に位置される。従って、キー部材29
は、外向フランジ部282aと第1部材281の前端面
との間の距離とキー部材29の前後方向肉厚寸法との差
の距離分(第2の所定量)を、入力部材28に対して前
後方向に移動可能に係合されている。
【0154】パワーピストン22に対する入力部材28
の第1後退限位置は、外向フランジ部282aの後面が
キー部材29のプレート部29aの前面29cに当接し
且つキー部材29の弧状部29bの後面29eがパワー
ピストン22の係合部222に当接した位置となる。ま
た、パワーピストン22に対する入力部材28の前進限
位置は、第1部材281の前面がキー部材29のプレー
ト部29aの後面29dに当接し且つキー部材29のプ
レート部29aの前面29cが半径方向孔30の前壁2
23に当接した位置となる。
【0155】バルブプランジャ60が、負圧弁座22a
の内径側で入力部材28の第1部材281を支持してい
る中間部分と第1部材281との間に、入力部材28及
びパワーピストン22に対して前進及び後退可能に設置
されている。バルブプランジャ60の後方部分には後方
に向いている大気弁座60aが配設されており、入力部
材28の第1部材281の外周には、第1部材281と
バルブプランジャ60との間の気密を保つシール部材6
5が配設されている。
【0156】パワーピストン22の内部には、パワーピ
ストン22に対する入力部材28の前後方向位置に応じ
て、第2後室26を第1前室23に連通すると共に大気
から遮断する出力減少作用状態と第2後室26を第1前
室23及び大気から遮断する出力保持作用状態及び第2
後室26を第1前室23から遮断すると共に大気に連通
する出力増加作用状態に切り換える弁機構35が設置さ
れている。
【0157】この弁機構35は、バルブプランジャ60
に形成された大気弁座60aと、パワーピストン22に
一体に形成されており且つ後方に向いている略環状の負
圧弁座22aと、大気弁座60aに対向すると共に当接
及び離脱可能な略環状の大気シール部36aと負圧弁座
22aに対向すると共に当接及び離脱可能な略環状の負
圧シール部36bとを一体的に備えたコントロールバル
ブ36とから構成されている。
【0158】コントロールバルブ36は、大気シール部
36aと負圧シール部36bとを一体的に備える可動部
36cと、リテーナー37によりパワーピストン22に
気密的に固定される固定部36dと、可動部36cを前
方へ付勢するバルブスプリング36eとを主たる構成部
材としている。
【0159】パワーピストン22には、弁機構35と第
1前室23とを連絡するバキューム通路38と、弁機構
35と第2後室26とを連絡するエア通路39が形成さ
れている。パワーピストン22内でコントロールバルブ
36の固定部36dの内周側空間部は、パワーピストン
22の後部開口を介して大気に連通されている。
【0160】弁機構35においては、大気弁座60aが
大気シール部36aに当接することによって第2後室2
6が大気から遮断され、大気弁座60aが大気シール部
36aから離間することによって第2後室26が大気と
連通され、負圧弁座22aが負圧シール部36bに当接
することによって第1前室23と第2後室26との連通が
遮断され、負圧弁座22aが負圧シール部に当接するこ
とによって第1前室23と第2後室26とが連通され
る。
【0161】パワーピストン22の前方部内にはアクチ
ュエータ45が設置されている。このアクチュエータ4
5は、パワーピストン22及び入力部材28に対し前進
及び後退ができるように設置されたソレノイドコイル4
6と、パワーピストン22及び入力部材28に対し前進
及び後退ができるように設置された磁性体よりなるヨー
ク61、62と、磁性体からなるプランジャ49とから
なる。
【0162】ソレノイドコイル46はリード線によりハ
ウジング14の外部の図示しない電子制御装置と電気的
に接続される。プランジャ49の後端はバルブプランジ
ャ60の前端と結合されている。ソレノイドコイル46
が通電される、即ちアクチュエータ45が作動される
と、ヨーク62とプランジャ49との間に電磁吸引力が
発生する。
【0163】アクチュエータ45の非作動時にバルブプ
ランジャ60を入力部材28に対する後退位置に位置さ
せ且つこの後退位置で両者を一体的に前進及び後退する
ように連結するため、バルブプランジャ60を入力部材
28に対して後方へ付勢するスプリング63(第1の付
勢部材)が入力部材28の第1部材281とバルブプラ
ンジャ60との間に設置されると共に、プランジャ49
の内周部後端49aと入力部材28のフランジ部282
aの前面とで第1の対向当接部が構成されている。
【0164】アクチュエータ45の作動時にバルブプラ
ンジャ60を入力部材28に対する前進位置に位置させ
且つこの前進位置で両者を一体的に前進及び後退するよ
うに連結するため、プランジャ49の前端49bとヨー
ク62の内周部後端62bとで第2の対向当接部が構成
されている。入力部材28に対してヨーク62を前方へ
付勢するスプリング64(第2の付勢部材)が入力部材
28のフランジ部282aとヨーク62との間に設置さ
れ、入力部材28の第2部材282の外周に固定された
ストッパ282bとヨーク62の内周部前端62aとで
第3の対向当接部が構成されている。
【0165】スプリング64の付勢力はスプリング63
の付勢力よりも大きく且つアクチュエータ45のパワー
ピストン22及び入力部材28に対する摺動抵抗よりも
大きく、またスプリング63の付勢力はスプリング36
eの付勢力よりも大きくされている。
【0166】入力ロッド27に係止されたリテーナ40
とリテーナ37との間に設置されたスプリング41は、
入力ロッド27ひいては入力部材28及びバルブプラン
ジャ60を後方へ付勢し、ブレーキペダルが踏まれてい
ない場合、即ち、図7、8に示す初期状態においては、
大気弁座60aを大気シール部36aに当接させ且つ負
圧シール部36bを負圧弁座22aから距離D分で離間
させた状態に保持する。
【0167】出力ロッド53はマスタシリンダのピスト
ン(図示省略)と作用的に連結されている。マスタシリ
ンダはリザーバタンクを備えており、マスタシリンダに
は液圧管路を介してABS(アンチロックブレーキシス
テム)、TRC(トラクションコントロール)及び制動
操舵制御のアクチュエータ部が接続されている。
【0168】アクチュエータ部には液圧管路を介して各
車輪に配設されたホイールシリンダが夫々接続されてい
る。マスタシリンダとアクチュエータ部との間の液圧管
路には、液圧管路内、ひいてはマスタシリンダの圧力を
検出する液圧センサが配設されている。
【0169】アクチュエータ部は、その内部に、ブレー
キ液が流動する液圧管路と、液圧管路においてブレーキ
液の流動を遮断する電磁弁装置と、ブレーキ液が貯溜さ
れるリザーバと、ブレーキ液を吸引吐出するポンプユニ
ットと、電磁弁装置やポンプユニット等を制御する電子
制御装置(ECU)等を備えている。
【0170】図8に示す初期状態においては、距離H、
Iは距離Dよりも大きく、距離Jは距離Bよりも大き
く、距離Kは、入力部材28の第3部材283とリアク
ションディスク53との隙間よりも大きい。更に、各ク
リアランスは、H>I、A<(H−D)として設定され
ている。
【0171】次に作動を説明する。図7、8に示す状態
は、ブレーキペダルが踏まれておらず且つアクチュエー
タ45が作動されていない状態であり、弁機構35が第
2後室26を第1前室23に連通すると共に大気から遮
断する出力減少作用状態を採っている。即ち、大気弁座
60aが大気シール部36aに当接し且つ負圧弁座22
aが負圧シール部36bから離間した状態となり、第1
後室24と第2後室26の圧力は第1前室23の圧力と
同じ圧力に低下している。
【0172】従って、両可動壁17、20とパワーピス
トン22には前進力が作用せず、パワーピストン22と
これに結合された両可動壁17、20は、リターンスプ
リング54によってハウジング14に対する後退限位
置、即ちパワーピストン22の半径方向孔30の前壁2
23がキー部材29のプレート部29aの前面29cに
当接し且つキー部材29の弧状部29bの後面29eが
リアシェル12に当接した位置に保持される。
【0173】本実施の形態の負圧式倍力装置10の入出
力特性は実施の形態1のものと同様であるので、図6を
用いて説明することにする。図6〜図8に示すように、
通常ブレーキ作用のために運転者がブレーキペダルを入
力Fi1で踏み込むと、入力ロッド27と入力部材28
が一体的にパワーピストン22に対して前進される。
【0174】入力部材28のフランジ部282aの前面
とプランジャ49の内周面49aとが当接しており、且
つ、プランジャ49とバルブプランジャ60とが一体的
に係合されていることから、入力部材28の前進に伴っ
て、プランジャ49及びバルブプランジャ60もパワー
ピストン22に対して入力部材28と一体的に前進され
る。
【0175】更に、入力部材28の前進に伴ってヨーク
62がスプリング64によって前方に付勢されることか
ら、ヨーク62、ひいてはヨーク61及びソレノイド4
6も入力部材28と一体的に前進する。即ち、アクチュ
エータ45は入力部材28と一体的に前進することにな
る。
【0176】入力部材28、バルブプランジャ60及び
アクチュエータ45の移動に伴って、コントロールバル
ブ36の可動部36cがバルブスプリング36eにより
前方に付勢されて入力部材28及びバルブプランジャ6
0と一体的に前進され、コントロールバルブ36の負圧
シール部36bがパワーピストン22の負圧弁座22a
に当接してバキュウーム通路38とエア通路39との連
通を遮断し、第2後室26を第1前室23から遮断す
る。つまり、弁機構35が出力保持作用状態に切り換わ
る。
【0177】このとき、入力部材28の第3部材283
の前端面とリアクションディスク52の後面との間には
隙間が残存している。入力部材28及びバルブプランジ
ャ60が更に前進されると、バルブプランジャ60の大
気弁座60aがコントロールバルブ36の大気シール部
36aから離間されてエア通路39が大気弁座60aと
大気シール部36aとの間のクリアランスを介して大気
と連通されることにより、弁機構35が出力増加作用状
態に切り換わる。
【0178】従って、大気が第2後室26に流入し、更
に第2後室26から第1後室24に流入して両後室2
4、26の圧力が上がり、第1可動壁17には第1前室
23と第1後室24との差圧により前進力が発生し、第
2可動壁20には第2前室25と第2後室26との差圧
により前進力が発生して、パワーピストン22には第1
前室23と第2後室26との間の差圧により前進力が発
生する。
【0179】これらの前進力がパワーピストン22から
リアクションディスク収容部材66、リアクションディ
スク52を介して出力ロッド53に伝達され、両可動壁
17、20、パワーピストン22及び出力ロッド53が
ハウジング14に対し一体的に前進を開始し、マスタシ
リンダの作動が開始される。
【0180】その際、パワーピストン22は入力部材2
8、バルブプランジャ60及びアクチュエータ45に対
しても前進し、コントロールバルブ36の大気シール部
36aが大気弁座60aに接近する。また、リアクショ
ンディスク52がパワーピストン22と出力ロッド53
とによって圧縮変形され、その中心部の後面と入力部材
28の第3部材283の前端面との間の隙間を減少する
ようにリアクションディスク収容部材66の内部に進入
し、第3部材283の前端面に当接してリアクションデ
ィスク52がパワーピストン22の前進力及び入力部材
28の前進力を出力ロッド53に伝達すると共に出力ロ
ッド53からの出力に対応した反力を、入力部材28に
入力部材28をパワーピストン22に対して後退させる
よう付与するようになる。
【0181】入力部材28がリアクションディスク53
から反力を受けてけ後退されることにより、バルブプラ
ンジャ60がスプリング63を介して入力部材28によ
り後方に付勢されることになる。従って、入力部材28
とバルブプランジャ60とがパワーピストン22に対し
て一体的に後退することになる。
【0182】更に、入力部材28のストッパ282bと
ヨーク62の内周部前端62aとが係合されていること
から、入力部材28の後退に伴ってヨーク62、ヨーク
61及びソレノイド46も後退される。即ち、アクチュ
エータ45が入力部材28と一体的に後退されることに
なる。
【0183】パワーピストン22が入力部材28、バル
ブプランジャ60及びアクチュエータ45に対して前進
することと、入力部材28、バルブプランジャ60及び
アクチュエータ45がリアクションディスク52から反
力を付与されて後退されることとにより、やがて、コン
トロールバルブ36の大気シール部36aが再び大気弁
座60aに当接してエア通路39と大気との連通が遮断
され、両後室24、26への大気の流入が停止される
(弁機構35が出力保持作用状態に切り換わる)。
【0184】このときにおいて、ブレーキペダルから入
力部材28に加えられている入力は図6中に示した値F
i1であり、出力ロッド53からマスタシリンダに付与
される出力は図6に示した値Fo1である。
【0185】この出力Fo1を発生して弁機構35が出
力保持作用状態を採る際に、ブレーキペダルから入力部
材28に加えられる入力が図6の値Fi2未満の値に増
加されると、入力部材28、バルブプランジャ60及び
アクチュエータ45がパワーピストン22に対して前進
し、大気弁座60aが再びコントロールバルブ36の大
気シール部36aから離間し(弁機構35が出力増加作
用状態に切り換わる)、大気が両後室24、26に流入
して後室24、26の圧力が上昇し、可動壁17、20
とパワーピストン22の前進力が増加し、両可動壁1
7、20、パワーピストン22及び出力ロッド53がハ
ウジング14に対して更に前進する。
【0186】また、パワーピストン22が入力部材2
8、バルブプランジャ60及びアクチュエータ45に対
して前進すること、及びパワーピストン22の前進に伴
ってリアクションディスク52が入力部材28に反力を
付与して入力部材28及びバルブプランジャ60を後方
に移動させることにより、コントロールバルブ36の大
気シール部36aが大気弁座60aに接近し、やがてコ
ントロールバルブ36の大気シール部36aに大気弁座
60aが再び当接して両後室24、26への大気流入が
停止され(弁機構35が出力保持作用状態に切り換わ
る)、両可動壁17、20とパワーピストン22の前進
力が増加が停止する。
【0187】この弁機構35が出力保持作用状態を採る
状態において、ブレーキペダルから入力部材28に加え
られる入力が図6の値Fi1よりも大きい値まで減少さ
れると、入力部材28がパワーピストン22に対して後
退され、入力部材28の後退によりスプリング63を介
してバルブプランジャ60が入力部材28により後方に
付勢されて後退される。又、アクチュエータ45も入力
部材28と一体的に後退される。
【0188】入力部材28、バルブプランジャ60及び
アクチュエータ45の後退に伴ってコントロールバルブ
36の可動部36cがパワーピストン22に対して後退
されて負圧シール部36bが負圧弁座22aから離間す
る(弁機構35が出力減少作用状態に切り換わる)。
【0189】負圧弁座22aが負圧シール部36bから
離間することによってバキューム通路38が負圧弁座2
2aと負圧シール部36bとの間のクリアランスを介し
てエア通路39に連通され、両後室24、26が第1前
室23に連通されて両後室24、26内の大気が負圧源
により第1前室23を介して排出され、両後室24、2
6の圧力が低下する。
【0190】従って、両可動壁17、20とパワーピス
トン22との前進力が減少し、可動壁17、20、パワ
ーピストン22及び出力ロッド53がハウジング14に
対して後退する。その際、パワーピストン22は入力部
材28、バルブプランジャ60及びアクチュエータ45
に対しても後退し、負圧弁座22aがコントロールバル
ブ36の負圧シール部36bに接近し、やがて負圧弁座
22aが負圧シール部36bに当接して両後室24、2
6からの第1前室23への大気流出が停止され(弁機構
35が出力保持作用状態に切り換わる)、両可動壁1
7、20とパワーピストン22の前進力の減少が停止さ
れる。
【0191】図6に示した入力の値Fi2は、両後室2
4、26の圧力が大気圧になる入力値を示す。入力が値
Fi1から値Fi2の範囲においては、出力ロッド53
からマスタシリンダに加えられる出力の変化量は入力部
材28に加えられる入力の変化量より大きい。入力に対
する出力の比率は、リアクションディスク52の後面と
入力部材28の第3部材283の前端面との当接面積に
対するリアクションディスク52の後面の面積の比率に
一致する。
【0192】図6において、入力が値Fi2のときの出
力は値Fo2である。入力が値Fi2から更に増加され
た場合、出力が入力の増加分だけ増加する。尚、図6に
おいて、縦軸の単位長さあたりの力の変化量は横軸の単
位長さあたりの力の変化量より大きいものである。縦軸
の単位長さあたりの力の変化量と横軸の単位長さあたり
の力の変化量を一致させて描いたならば、入力が値Fi
2より大きい場合の入力−出力の相関を示す線が45度
の勾配となる。
【0193】ブレーキペダルが踏み込まれて入力部材2
8、バルブプランジャ60、アクチュエータ45、可動
壁17、20、パワーピストン22及び出力ロッド53
がハウジング14に対して前進している状態では、キー
部材29の弧状部29bの後面29eがリアシェル12
から離間している。弁機構35が出力保持作用状態を採
る際には、キー部材29の弧状部29bの後面29eと
パワーピストン22の係合部222との間の距離は(A
+D)分に等しく、入力部材28は第1の後退限位置に
関し、パワーピストン22に対して(A+D)分を後方
に移動可能となる。
【0194】例えば負圧式倍力装置10が出力Fo4を
出力して弁機構35が出力保持作用状態を採る状態にお
いて、通常ブレーキ作用を解除するために運転者がブレ
ーキペダルへの入力を徐々に減少して踏み込み操作を解
除すると、入力部材28がリアクションディスク52か
ら付与される反力とスプリング41の付勢力とによっ
て、パワーピストン22に対してパワーピストン22に
対する第1の後退限位置、即ち、外向フランジ部282
aの後面がキー部材29のプレート部29aの前面29
cに当接し且つキー部材29の弧状部29bの後面29
eがパワーピストン22の係合部222に当接した位置
に後退される。
【0195】入力部材28が後退されることによりバル
ブプランジャ60及びアクチュエータ45も入力部材2
8と一体的に後退され、これにより、コントロールバル
ブ36の可動部36cがパワーピストン22に対して後
退され、負圧シール部36bが負圧弁座22aから距離
(A+D)分で離間され(弁機構35が出力減少作用状
態に切り換わる)、両後室24、26内の大気が負圧源
により第1前室23を介して排出され、両後室24、2
6の圧力低下に応じて、両可動壁17、20、パワーピ
ストン22及び出力ロッド53がハウジング14に対し
て後退される。
【0196】このとき、ブレーキぺダルひいては入力部
材28への入力が徐々に減少されることから入力部材2
8、バルブプランジャ60及びアクチュエータ45は徐
々に後退し、パワーピストン22と入力部材28、バル
ブプランジャ60及びアクチュエータ45とは略同じ速
さで後退することになる。従って、パワーピストン22
の後退に伴い、入力部材28がパワーピストン22に対
して第1後退限位置を維持した状態でパワーピストン2
2と一体的に後退され、ひいてはバルブプランジャ60
及びアクチュエータ45も又パワーピストン22と一体
的に後退されることになる。
【0197】入力部材28、バルブプランジャ60、ア
クチュエータ45、両可動壁17、20、パワーピスト
ン22及び出力ロッド53のハウジング14に対する後
退により、やがてキー部材29の弧状部29bの後面2
9eがリアシェル12に当接し、入力部材28のハウジ
ング14に対する後退が停止される。入力部材28の後
退が停止されることにより、バルブプランジャ60及び
アクチュエータ45のハウジング14に対する後退も停
止される。
【0198】これに対し、両可動壁17、20、パワー
ピストン22及び出力ロッド53のハウジング14に対
する後退は、パワーピストン22のハウジング14に対
する後退限位置、即ち、パワーピストン22の半径方向
孔30の前壁223がキー部材29のプレート部29a
の前面29cに当接し且つキー部材29の弧状部29b
の後面29eがリアシェル12に当接した位置まで継続
される。
【0199】これにより、パワーピストン22の負圧弁
座22aがコントロールバルブ36の負圧シール部36
bに接近し、負圧弁座22aと負圧シール部36bとの
間に小さな隙間が存在する非作動状態になる。
【0200】負圧弁座22aと負圧シール部36bとの
間の隙間が小さいことにより、次回の作動時に弁機構3
5が出力減少作用状態から出力保持作用状態を経て出力
増加作用状態に切り換わるのに必要とされる入力部材2
8の前進量は小さく、従ってブレーキペダルの踏み込み
時の遊びが小さく応答性が良い。
【0201】尚、リアクションディスク52は、パワー
ピストン22と出力ロッド53との間で伝達する力が減
少することにより、自己の弾性により図7に示す状態に
復元する。
【0202】通常ブレーキ作用の解除の際に運転者がブ
レーキペダルへの入力を急激に減少して踏み込み操作を
解除する場合、入力部材28がリアクションディスク5
2から付与される反力と入力ロッド27を介したスプリ
ング41の付勢力とによって、先ずパワーピストン22
に対してパワーピストン22に対する第1の後退限位
置、即ち、外向フランジ部282aの後面がキー部材2
9のプレート部29aの前面29cに当接し且つキー部
材29の弧状部29bの後面29eがパワーピストン2
2の係合部222に当接する位置に後退される。
【0203】従って、上述したようにバルブプランジャ
60及びアクチュエータ45も入力部材28と一体的に
後退されて負圧弁座22aと負圧シール部36bとが距
離(A+D)分で離間され、両後室24、26内の大気
が負圧源により第1前室23を介して排出され、両後室
24、26の圧力低下に応じて、両可動壁17、20、
パワーピストン22及び出力ロッド53がハウジング1
4に対して後退される。
【0204】このとき、ブレーキぺダルひいては入力部
材28への入力は急激に減少されていることから、パワ
ーピストン22の後退に比して入力部材28、バルブプ
ランジャ60及びアクチュエータ45の後退は急速に行
われることになる。従って、第1の後退限位置にある状
態から、リアクションディスク52の反力とスプリング
41の付勢力とによって入力部材28はパワーピストン
22の係合部222を支点としてキー部材29の弧状部
29bに比してプレート部29aを後方に撓ませつつ第
1の後退限位置よりも後方へ後退することになる。
【0205】従って、入力部材28が第1後退限位置か
ら更に後退されることによってバルブプランジャ60及
びアクチュエータ45もまた更に後退され、距離(A+
D)分で離間されていた負圧弁座22aと負圧シール部
36bとが更に離間されることになる。負圧弁座22a
と負圧シール部36bとの離間量が増大されることによ
り、両後室24、26内の大気が負圧源により第1前室
23を介して迅速に排出され、両後室24、26の迅速
な圧力低下に応じて入力部材28、バルブプランジャ6
0、アクチュエータ45、両可動壁17、20、パワー
ピストン22及び出力ロッド53がハウジング14に対
して迅速に後退される。
【0206】入力部材28、バルブプランジャ60、ア
クチュエータ45、両可動壁17、20、パワーピスト
ン22及び出力ロッド53のハウジング14に対する後
退により、やがてキー部材29の弧状部29bの後面2
9eがリアシェル12に当接し、入力部材28、バルブ
プランジャ60及びアクチュエータ45のハウジング1
4に対する後退が停止される。
【0207】これに対し、両可動壁17、20、パワー
ピストン22及び出力ロッド53のハウジング14に対
する後退は、パワーピストン22のハウジング14に対
する後退限位置、即ちパワーピストン22の半径方向孔
30の前壁223がキー部材29のプレート部29aの
前面29cに当接し且つキー部材29の弧状部29bの
後面29eがリアシェル12に当接した位置まで継続さ
れる。
【0208】両可動壁17、20、及びパワーピストン
22の初期位置への復帰に伴ってパワーピストン22と
出力ロッド53との間で伝達する力が減少することによ
り、リアクションディスク52は自己の弾性により図2
に示す状態に復元する。リアクションディスク52によ
る入力部材28への反力付与が減少されるのに伴って、
入力部材28、バルブプランジャ60及びアクチュエー
タ45がキー部材29のプレート部29aの復元力によ
って前方に移動される。
【0209】キー部材29のプレート部29aの初期状
態への復元及び両可動壁17、20、パワーピストン2
2、と出力ロッド53の後退に伴い、プレート部29a
の前面29cとパワーピストン22の半径方向孔30の
前壁223とが当接してパワーピストン22、ひいては
両可動壁17、20及び出力ロッド53が初期位置へと
復帰し、パワーピストン22の負圧弁座22aとコント
ロールバルブ36の負圧シール部36bとが接近して負
圧弁座22aと負圧シール部36bとの間に小さな隙間
が存在する非作動状態になる。
【0210】入力部材28の第1後退限位置からの更な
る後退に際して、キー部材29の弧状部29bに対する
プレート部29aの後方への撓み量が増大すると、プレ
ート部29aの後面29dがパワーピストン22の半径
方向孔30の後壁224に当接することになる。プレー
ト部29aが後壁224に当接するとプレート部29a
が弧状部29bに対してそれ以上後方に撓むことができ
なくなり、ひいては、入力部材28の後退が規制される
ことになる。
【0211】即ち、キー部材29の弧状部29bの後面
29eがパワーピストン22の係合部222に当接し、
外向フランジ部282aの後面がキー部材29のプレー
ト部29aの前面29cに当接し、且つプレート部29
aの後面29dがパワーピストン22の半径方向孔30
の後壁224に当接する位置は、入力部材28のパワー
ピストン22に対する第2の後退限位置となる。
【0212】例えば、車両の左旋回時に車両がオーバー
ステアの状態となったことをアクチュエータ部のECU
が検知すると、運転者のブレーキ操作無しに、アクチュ
エータ部のポンプユニットから旋回外側前輪、即ち、右
側前輪にブレーキ液圧を付与する周知の制動操舵制御
(オーバーステア抑制制御)の作動が開始される。
【0213】アクチュエータ部において制動操舵制御の
作動が開始される一方で、電子制御装置がアクチュエー
タ45を作動させる。即ち、運転者によるブレーキペダ
ル、入力ロッド27及び入力部材28への操作が無い、
換言すれば入力が無い状態でアクチュエータ45が作動
されることになる。
【0214】電子制御装置がソレノイド46に通電する
と、プランジャ49とヨーク62との間に電磁吸引力が
発生し、プランジャ49がバルブプランジャ60を介し
たスプリング63の付勢力に抗して入力部材28及びパ
ワーピストン22に対し距離H分前進される。
【0215】このときプランジャ49は距離H分前進す
ることによりプランジャ49の前端49bとヨーク62
の内周部後端62bとが当接し、プランジャ49の入力
部材28に対する前進が所定量Hで規制される。プラン
ジャ49の前進に伴ってバルブプランジャ60も距離H
だけ入力部材28及びパワーピストン22に対して前進
される。
【0216】バルブプランジャ60の前進により、コン
トロールバルブ36の負圧シール部36bが負圧弁座2
2aに当接し、バキューム通路38とエア通路39との
連通が遮断されることによって第1前室23と第2後室
26との連通が遮断され、更に、バルブプランジャ60
の大気弁座60aがコントロールバルブ36の大気シー
ル部36aから離間することになる。このときの大気弁
座60aと大気シール部36aとの離間量は(H−D)
に等しい。
【0217】従って、大気が大気弁座60と大気シール
部36aとの間のクリアランスとエア通路39とを介し
て両後室24、26に流入し、両後室24、26の圧力
が上昇して両可動壁17、20、パワーピストン22及
び出力ロッド53がハウジング14に対して前進する。
【0218】大気弁座60aと大気シール部36aとの
離間量(H−D)は、キー部材29の弧状部29bの後
面29eとパワーピストン22の係合部222との距離
Aよりも大きいことから、パワーピストン22が、ハウ
ジング14、入力部材28、バルブプランジャ60、ア
クチュエータ45及びキー部材29に対して前進するこ
とによって、パワーピストン22の係合部222がキー
部材29の弧状部29bの後面29eに当接することに
なる。
【0219】パワーピストン22が、ハウジング14、
入力部材28、バルブプランジャ60、アクチュエータ
45及びキー部材29に対して距離A分前進して係合部
222がキー部材29の後面29eに当接する際におい
て、パワーピストン22の前進に伴ってコントロールバ
ルブ36の大気シール部36aがバルブプランジャ60
の大気弁座60aに接近する。しかしながら、前述した
ように、大気弁座60aと大気シール部36aとの離間
量(H−D)は、キー部材29の弧状部29bの後面2
9eとパワーピストン22の係合部222との距離Aよ
りも大きいことから、大気弁座60aと大気シール部3
6aとは依然として(H−D−A)の距離でもって離間
している。
【0220】従って、大気が第2後室26ひいては第1
後室24に流入し続けることから、両前室23、25と
両後室24、26との圧力差が増加し、両可動壁17、
20及びパワーピストン22は更に前進する。パワーピ
ストン22の係合部222とキー部材29の弧状部29
bの後面29eとの当接後におけるパワーピストン22
の更なる前進により、キー部材29のプレート部29a
の前面29cと入力部材28の外向フランジ部282a
の後面とが当接していることから、キー部材29を介し
て入力部材28がパワーピストン22と一体的に前進さ
れ、バルブプランジャ60、アクチュエータ45及び入
力ロッド27もまた入力部材28の前進によって前進さ
れる。
【0221】パワーピストン22と入力部材28、バル
ブプランジャ60及びアクチュエータ45とが一体的に
前進することから、バルブプランジャ60に形成されて
いる大気弁座60aとパワーピストン22と一体的に前
進しているコントロールバルブ36の大気シール部36
aとは非当接状態を維持することになる。
【0222】両可動壁17、20及びパワーピストン2
2の前進力がパワーピストン22からリアクションディ
スク収容部材66及びリアクションディスク52を介し
て出力ロッド53に伝達され、両可動壁17、20、パ
ワーピストン22及び出力ロッド53がハウジング14
に対し一体的に前進を開始し、マスタシリンダの作動が
開始される。
【0223】出力ロッド53の移動によって加圧された
ブレーキ液がマスタシリンダからアクチュエータ部のポ
ンプユニット及び非制動操舵制御車輪の各ホイールシリ
ンダに向けて付与される。アクチュエータ部のポンプユ
ニットは、この出力ロッド53の移動によって加圧され
たブレーキ液を吸引すると共に右側前輪のホイールシリ
ンダに向けてブレーキ液を吐出する。従って、右側前輪
に制動力が付与されることになる。
【0224】出力ロッド53の前進によりマスタシリン
ダの作動が開始される際に、リアクションディスク52
がその中心部の後面と入力部材28の第3部材283の
前端面との間の隙間を減少するようにリアクションディ
スク収容部材66の内部に進入し、第3部材283の前
端面に当接して、出力ロッド53からの出力に対応した
反力を入力部材28に、入力部材28をパワーピストン
22に対して後退させるよう付与するようになる。
【0225】この時、入力部材28の外向フランジ部2
82aの後面がキー部材29のプレート部29aの前面
29cに当接し、キー部材29の弧状部29bの後面2
9eがパワーピストン22の係合部222に当接してい
ることから、リアクションディスク52は、キー部材2
9を弾性変形させつつ入力部材28を後方に移動させる
ことになる。
【0226】リアクションディスク52は、パワーピス
トン22の係合部222を支点としてキー部材29の弧
状部29bに比してプレート部29aを後方に撓ませ、
入力部材28を後方に移動させる。即ち、リアクション
ディスク52は、キー部材29のプレート部29aの弾
性変形に伴う復元力に抗して入力部材28を後方に移動
させることになる。
【0227】入力部材28がリアクションディスク52
から反力を付与されて後退されることにより、入力部材
28のストッパ282bとヨーク62の内周部前端部6
2aとの当接により入力部材28に係合されているアク
チュエータ45、ひいては、ヨーク62の内周部後端6
2bとプランジャ49の前端49bとの当接によりヨー
ク62に係合しているプランジャ49及びバルブプラン
ジャ60が後退され、やがて、コントロールバルブ36
の大気シール部36aが再び大気弁座60aに当接して
両後室24、26への大気の流入が停止される。即ち、
弁機構36が出力保持作用状態に切り換わる。
【0228】この時において、ブレーキペダルから入力
部材28に加えられている入力は図6中に示すように0
であり、出力ロッド53からマスタシリンダに付与され
る出力は図6に示した値Fo3となる。
【0229】図6に示す出力Fo3はキー部材29の弾
性変形に伴う復元力に依存することになる。即ち、キー
部材29の復元力が増大されれば出力Fo3は増大さ
れ、キー部材29の復元力が減少されれば出力Fo3も
また減少される。出力値Fo3の範囲としては、Fo1
よりも大きく、両後室24、26が大気圧に達したこと
を示す出力値Fo6以下の範囲となる。
【0230】出力ロッド53の移動量は、好ましくは、
制動操舵制御でアクチュエータ部のポンプユニットがブ
レーキ系への加圧供給に必要なブレーキフルード供給量
から決定される。又、ABS機能を有するブレーキ装置
を流用して制動操舵制御を付加し、且つ、制動操舵制御
の際にポンプユニットがマスタシリンダからブレーキ液
を吸引して制御対象車輪に向けてブレーキ液を吐出する
構成において、このポンプユニットの前段加圧機能とし
て必要な圧力から決定される。
【0231】本発明においては、キー部材29の弾性変
形に伴う復元力を適宜設定することにより、これらの必
要圧力を供給し得るものであり、図6における点Fo3
での出力は制動操舵制御のポンプ作動に対して前段加圧
機能に相応しい出力値となる。
【0232】従って、制動操舵制御の作動開始時におい
ては、出力ロッド53により加圧されたブレーキ液がマ
スタシリンダからアクチュエータ部のポンプユニットへ
吸入されることによって、ポンプユニットの吸入吐出作
動をよりスムーズにでき、ひいては、旋回外側前輪のブ
レーキ液圧をスムーズに増圧することができる。又、非
制御車輪に付与される液圧は小さなものであることか
ら、制動操舵制御に関して何ら支障を与えるものではな
い。
【0233】制動操舵制御の作動の結果、旋回外側前輪
のブレーキ液圧を一時的に増圧することにより、車両の
オーバーステア状態を回避することができる。
【0234】この制動操舵制御の作動の際には、出力ロ
ッド53によるマスタシリンダのピストンの押圧作動は
制動操舵制御において前段加圧機能を行っていることに
なるものである。
【0235】電子制御装置はソレノイドコイル46を非
通電とする条件が成立したとき、例えば、制動操舵制御
が解除されたことをアクチュエータ部のマイクロコンピ
ュータが検知すると、電子制御装置はソレノイドコイル
46を非通電とする。
【0236】これにより、プランジャ49とバルブプラ
ンジャ60とがスプリング63によって後方に付勢さ
れ、図8に示す位置へと復帰される。プランジャ49及
びバルブプランジャ60の初期位置への復帰に伴い、コ
ントロールバルブ36の可動部36cが後方に付勢され
ることにより負圧シール部36bが負圧弁座22aから
離間され、第1前室23と第2後室26とがバキューム
通路38、負圧弁座22aと負圧シール部36bとのク
リアランス、及びエア通路39を介して連通される。
【0237】従って、両後室24、26内の大気が第1
後室23を介して負圧源へと流入し、両前室23、25
と両後室24、26との差圧が減少する。両前室23、
25と両後室24、26との差圧が減少することによ
り、両可動壁17、20及びパワーピストン22はリタ
ンスプリング54によって後方に付勢され、初期位置に
復帰する。
【0238】パワーピストン22の後退に伴って、スプ
リング41の付勢力により、キー部材29、入力部材2
8、バルブプランジャ60、アクチュエータ45、及び
入力ロッド27もパワーピストン22と一体的に後退さ
れる。パワーピストン22、入力部材28、バルブプラ
ンジャ60、及びアクチュエータ45の後退は、弁機構
35が出力減少作用状態を維持した状態で行われ、キー
部材29の復元及びキー部材29の復元に伴う入力部材
28、バルブプランジャ60、アクチュエータ45、及
び入力ロッド27のパワーピストン22に対する前進作
動を経て、最終的に図7に示す初期状態に復帰する。
【0239】例えば、緊急ブレーキ作用のために運転者
がブレーキペダルを入力Fi3で急速に踏み込むと、入
力部材28、バルブプランジャ60及びアクチュエータ
45がパワーピストン22に対して前進され、通常ブレ
ーキ作用の説明において述べたようにして、弁機構35
が出力減少作用状態から出力保持作用状態を経て出力増
加作用状態へと切り換わり、両後室24、26に大気が
流入することによって両可動壁17、20、パワーピス
トン22及び出力ロッド53がハウジング14に対して
前進を開始し、やがて入力部材28への入力Fi3とリ
アクションディスク52からの反力がバランスして弁機
構35が出力保持作用状態を採り、出力Fo4を出力す
る。
【0240】この弁機構35が出力保持作用状態を採る
際のキー部材29の弧状部29bの後面29eとパワー
ピストン22の係合部222との間の距離は(A+D)
分に等しい。即ち、入力部材28は第1の後退限位置に
関し、パワーピストン22に対して距離(A+D)分を
後方に移動可能な状態とされている。
【0241】この入力Fi3によるブレーキペダルの踏
み込みが図示しないブレーキペダルの踏み込み速度検出
手段によって急ブレーキ操作であることが検出される
と、急ブレーキ作動として弁機構35が出力保持作用状
態を採っている状態から電子制御装置によりソレノイド
コイル46に通電される。
【0242】これにより、プランジャ49とヨーク62
との間に電磁吸引力が発生し、プランジャ49がパワー
ピストン22に対して距離H分前進される。プランジャ
49の前進に伴ってバルブプランジャ60も距離Hだけ
パワーピストン22に対して前進される。
【0243】バルブプランジャ60が前進することによ
り、バルブプランジャ60の大気弁座60aがコントロ
ールバルブ36の大気シール部36aから距離H分で離
間されることになる。従って、大気が両後室24、26
に更に流入し、両後室24、26の圧力が更に上昇し、
両可動壁17、20、パワーピストン22及び出力ロッ
ド53がハウジング14に対して更に前進する。
【0244】パワーピストン22が入力部材28、バル
ブプランジャ60、アクチュエータ45及びキー部材2
9に対して前進することにより、コントロールバルブ3
6の大気シール部36aが大気弁座60aに接近し、パ
ワーピストン22の係合部222がキー部材29の弧状
部29bの後面29eに接近する。また、リアクション
ディスク52がリアクションディスク収容部材66の内
部に進入して入力部材28の第3部材283の前端面に
当接して入力部材28に反力を付与し、入力部材28を
後退させようとする。
【0245】この時、距離Hは距離(A+D)よりも大
きいことから、パワーピストン22の入力部材28、バ
ルブプランジャ60、アクチュエータ45及びキー部材
29に対する前進とリアクションディスク52による入
力部材28、バルブプランジャ60、及びアクチュエー
タ45の後退に際して、大気弁座60aの大気シール部
36aへの当接以前において、キー部材29の弧状部2
9bの後面29eがパワーピストン22の係合部222
に当接することになる。
【0246】従って、入力部材28の外向フランジ部2
82aの後面がキー部材29のプレート部29aの前面
29cに当接し、キー部材29の弧状部29bの後面2
9eがパワーピストン22の係合部222に当接するこ
とから、リアクションディスク52はキー部材29を弾
性変形させつつ入力部材28を後方に移動させることに
なる。
【0247】リアクションディスク52は、パワーピス
トン22の係合部222を支点としてキー部材29の弧
状部29bに比してプレート部29aを後方に撓ませ、
入力部材28を後方に移動させる。即ち、リアクション
ディスク52は、キー部材29のプレート部29aの復
元力に抗して入力部材28を後方に移動させることにな
る。
【0248】パワーピストン22の前進に伴って大気シ
ール部36aが大気弁座60aに対して前進すること、
及び入力部材28がリアクションディスク52から反力
を付与されて入力部材28、バルブプランジャ60及び
アクチュエータ45が後退されることにより、やがて、
コントロールバルブ36の大気シール部36aが再び大
気弁座60aに当して両後室24、26への大気の流入
が停止される。即ち、弁機構35が出力保持作用状態に
切り換わる。
【0249】この弁機構35が出力保持作用状態を採る
ときの入力部材28及びバルブプランジャ60のパワー
ピストン22に対する前後方向位置は、通常ブレーキ作
用での入力Fi3で弁機構35が出力保持作用状態を採
るときの前後方向位置に対してHの距離だけ後方に転移
しており、リアクションディスク52のリアクションデ
ィスク収容部材66の内部への進入量が通常ブレーキ作
用時の進入量よりも大きくなっている。
【0250】この時において、ブレーキペダルから入力
部材28に加えられている入力は図6中に示すようにF
i3であり、出力ロッド53からマスターシリンダに付
与される出力は図6に示した値Fo5となる。換言すれ
ば、通常ブレーキにおいて出力Fo4に対応する入力F
i3で、出力Fo4以上の出力Fo5を出力することに
なる。
【0251】例えば、ソレノイドコイル46が通電され
ており、負圧式倍力装置10が出力Fo5を発生し、弁
機構35が出力保持作用状態を採っている状態におい
て、ブレーキ作動の必要がなくなり、運転者がブレーキ
ペダルの踏み込みを解除すると、通常ブレーキ作用にお
いてブレーキペダルの踏み込みが解除されたときと略同
様に、入力ロッド27ひいては入力部材28、バルブプ
ランジャ60及びアクチュエータ45がリアクションデ
ィスク52から付与される反力とスプリング41によっ
てパワーピストン22に対して後退される。
【0252】この入力部材28、バルブプランジャ60
及びアクチュエータ45の後退により、コントロールバ
ルブ36の可動部36cが後退されると共に負圧弁座2
2aがコントロールバルブ36の負圧シール部36bか
ら離間されて弁機構35が出力減少作用状態に切り換わ
り、両後室24、26の圧力が低下して出力が減少す
る。これにより、入力部材28、バルブプランジャ6
0、アクチュエータ45、両可動壁17、20、パワー
ピストン22及び出力ロッド53がハウジング14に対
して後退され、最終的には図1〜図3に示す非作動状態
に戻る。
【0253】電子制御装置はソレノイドコイル46を非
通電とする条件が成立したとき、ソレノイドコイル46
を非通電とする。これにより、バルブプランジャ60と
プランジャ49がスプリング63により図8に示す位置
に復帰される。
【0254】以上説明したように、本実施の形態の負圧
式倍力装置10によれば、ブレーキペダル、ひいては入
力部材28への操作が行われていない状態におけるアク
チュエータ45の作動時、換言すれば、前段加圧時にお
いて、入力部材28に対するパワーピストン22の前進
及びリアクションディスク52によるパワーピストン2
2に対する入力部材28の後退により、弁機構35が出
力保持作用状態を採ることによって両後室24、26が
大気圧となることを規制可能とし、リアクションディス
ク52によるパワーピストン22に対する入力部材28
の後退をキー部材29が抑制することにより、キー部材
29の復元力を適宜設定することによって前段加圧時の
出力を容易に設定可能としている。
【0255】本実施の形態においては、負圧式倍力装置
10はタンデム型の構成を採っているが、特にこの構成
に限定されるものではなく、例えば、シングル型の構成
をとる本発明の負圧式倍力装置においても同様の作用効
果が得られる。
【0256】又、本実施の形態においては、急ブレーキ
作動の説明において弁機構35が出力保持作用状態を採
った後にアクチュエータ45が作動されるものとした
が、特にこの作動に限定されるものではなく、例えば、
ブレーキペダルの踏み込み操作と略同時にアクチュエー
タ45が作動される本発明の負圧式倍力装置においても
同様の作用効果が得られる。
【0257】又、本実施の形態においては、負圧式倍力
装置10を前段加圧用及び急ブレーキ補助用のブレーキ
装置に適用したが、特にこの構成に限定されるものでは
なく、負圧式倍力装置における最大出力の発生を必要と
しないブレーキ装置において本発明の負圧式倍力装置を
適用すれば同様の作用効果が得られる。
【0258】又、本実施の形態においては、入力部材2
8は、第1部材281、第2部材282、第3部材28
3とから構成されているが、特にこの構成に限定される
ものではなく、例えば、一部材から構成される入力部材
を用いた本発明の負圧式倍力装置においても同様の作用
効果が得られる。
【0259】又、本実施の形態においては、第1の対向
当接部を外向フランジ部282aとプランジャ49の後
端49aとで構成しているが、特にこの構成に限定され
るものではなく、バルブプランジャ60の入力部材28
に対する後退位置を規定可能なものであれば良い。
【0260】又、本実施の形態においては、第2の対向
当接部が、ヨーク62の内周部後端62bとプランジャ
49の前端49bとから構成されているが、特にこの構
成に限定さえるものではなく、バルブプランジャ60の
入力部材28に対する前進位置を規定可能なものであれ
ば良い。
【0261】又、本実施の形態においては、第3の対向
当接部が、ストッパ282bとヨーク62の内周部前端
62aとから構成されているが、特にこの構成に限定さ
れるものではなく、入力部材28に対するアクチュエー
タ45の前進位置を規定可能なものであれば良い。
【0262】その他の作用効果は、実施の形態1と同様
であるので説明は省略する。
【0263】以上、本発明を上記実施の形態に則して説
明したが、本発明は上記態様にのみ限定されるものでは
なく、本発明の原理に準ずる各種態様を含むものであ
る。
【0264】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜請求項
3の発明によれば、アクチュエータの作動に際して、後
室が大気圧に達するのを規制可能としている。
【0265】更に、係合部材の復元力を適宜設定するこ
とによって、アクチュエータの作動に伴う負圧式倍力装
置の出力を容易に設定可能とできる。
【0266】従って、アクチュエータの作動に伴う出力
を最大出力以下に規制可能な負圧式倍力装置を提供する
ことを可能としている。
【0267】請求項4の発明によれば、請求項1〜3の
発明の効果に加えて、入力部材の非操作時におけるアク
チュエータの作動に際して、後室が大気圧に達するのを
規制可能としている。
【0268】請求項5の発明によれば、請求項1〜4の
何れか一に記載の発明の効果に加えて、係合部材のより
よい形態を示しており、負圧式倍力装置を簡素な構成と
することを可能としている。
【0269】請求項6の発明によれば、請求項3の発明
の効果に加えて、アクチュエータのより良い配設形態を
示すとともに、バルブプランジャと入力部材とのより良
い係合形態を示している。
【0270】請求項7の発明によれば、請求項6の発明
の効果に加えて、第1の連結機構と第2の連結機構のよ
り良い形態を示している。
【0271】請求項8の発明によれば、請求項7の発明
に加えて、アクチュエータのより良い形態を示してい
る。
【0272】請求項9の発明によれば、請求項2の発明
の効果に加えて、アクチュエータのよりよい形態を示し
ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の負圧式倍力装置10の断面図。
【図2】図1の弁機構35の拡大図。
【図3】図2のキー部材29の部分拡大図。
【図4】図2のパワーピストン22の部分側面図。
【図5】図4のパワーピストン22の断面図。
【図6】実施の形態の負圧式倍力装置の入出力特性線
図。
【図7】実施の形態2の負圧式倍力装置10の断面図。
【図8】図7の弁機構35の拡大図。
【符号の説明】
10 負圧式倍力装置 12 リアシェル 14 ハウジング 17 第1可動壁 20 第2可動壁 22 パワーピストン 22a 負圧弁座 222 係合部 223 前壁 23 第1前室 24 第1後室 25 第2前室 26 第2後室 28 入力部材 28a 大気弁座 282a 外向フランジ部 282b ストッ
パ 29 キー部材 29c 前面 29d 後面 29e 後面 33 前方フランジ部 36 コントロールバルブ 36a 大気シール部 36b 負圧シー
ル部 42 スライダバルブ 43 コイルスプリング 45 アクチュエータ 46 ソレノイド 49 プランジャ 49a 後端 49b 前端 52 リアクションディスク 53 出力ロッド 60 バルブプランジャ 60a 大気弁座 61、62 ヨーク 62a 内周部前端 62b 内周部後
端 63 スプリング 64 スプリング

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1つの圧力空間を内部に形成
    するハウジングと、 前記ハウジング内に前記ハウジングに対して前進及び後
    退できるように設置されていて前記圧力空間を負圧源に
    連通される前室と前記前室および大気に選択的に連通さ
    れる後室とに分割する可動壁と、 前記可動壁に結合されているパワーピストンと、 前記パワーピストンの内部に前記パワーピストンに対し
    て前進及び後退可能に配設される入力部材と、 前記パワーピストン内に配設され、前記入力部材と一体
    的に前進及び後退可能な大気弁座と、 前記パワーピストン内に配設される負圧弁座と、 前記大気弁座に当接及び離脱可能で前記大気弁座に当接
    することによって前記後室と大気との連通を遮断すると
    ともに前記大気弁座から離間することによって前記後室
    を大気に連通する大気シール部と、前記負圧弁座に当接
    及び離脱可能で前記負圧弁座に当接することによって前
    記前室と前記後室との連通を遮断すると共に前記負圧弁
    座から離間することによって前記後室を前記前室に連通
    する負圧シール部とを備えたコントロールバルブと、 前記可動壁の移動に伴った前記パワーピストンの前進力
    を装置外に出力する出力部材と、 前記パワーピストンの前進力及び前記入力部材に加えら
    れた入力を前記出力部材に伝達すると共に前記出力部材
    からの出力に対応した大きさの反力を前記入力部材に後
    退させるように付与する反力部材と、 前記大気弁座と前記大気シール部とを離間させて前記後
    室と大気とを連通させるアクチュエータと、 を備えた負圧式倍力装置において、 前記アクチュエータの作動による前記パワーピストンの
    前記入力部材に対する前方への移動に伴って前記入力部
    材に係合して前記入力部材及び前記大気弁座を前記パワ
    ーピストンと一体的に移動可能とすると共に、前記アク
    チュエータの作動に伴って前記入力部材が前記反力部材
    から反力を受けて後退される際に弾性変形されることに
    より前記入力部材の後退を許容する係合部材を備え、前
    記アクチュエータの作動に伴って前記入力部材が前記反
    力部材から反力を受けて後退されることにより、前記大
    気弁座と前記大気シール部とが当接して前記後室と大気
    との連通が遮断可能とされることを特徴とする負圧式倍
    力装置。
  2. 【請求項2】 少なくとも1つの圧力空間を内部に形成
    するハウジングと、 前記ハウジング内に前記ハウジングに対して前進及び後
    退できるように設置されていて前記圧力空間を負圧源に
    連通される前室と前記前室および大気に選択的に連通さ
    れる後室とに分割する可動壁と、 前記可動壁に結合されているパワーピストンと、 前記パワーピストンの内部に前記パワーピストンに対し
    て前進及び後退可能に配設される入力部材と、 前記入力部材に配設され、前記入力部材と一体的に前進
    及び後退する大気弁座と、 前記パワーピストン内に配設される負圧弁座と、 前記大気弁座に当接及び離脱可能で前記大気弁座に当接
    することによって前記後室と大気との連通を遮断すると
    ともに前記大気弁座から離間することによって前記後室
    を大気に連通する大気シール部と、前記負圧弁座に当接
    及び離脱可能で前記負圧弁座に当接することによって前
    記前室と前記後室との連通を遮断すると共に前記負圧弁
    座から離間することによって前記後室を前記前室に連通
    する負圧シール部とを一体的に備えたコントロールバル
    ブと、 前記可動壁の移動に伴った前記パワーピストンの前進力
    を装置外に出力する出力部材と、 前記パワーピストンの前進力及び前記入力部材に加えら
    れた入力を前記出力部材に伝達すると共に前記出力部材
    からの出力に対応した大きさの反力を前記入力部材に後
    退させるように付与する反力部材と、 前記パワーピストンに対して前進及び後退可能に配設さ
    れるとともに前記入力部材の移動とは独立して前進及び
    後退可能とされ、前記コントロールバルブの前記負圧シ
    ール部に当接することによって前記前室と前記後室との
    連通を遮断する弁座部材と、 前記弁座部材を後方へ移動させることによって前記弁座
    部材を前記負圧シール部に当接させ且つ前記負圧シール
    部を後方に移動させて前記大気シール部を前記大気弁座
    から離間させ、前記後室と大気とを連通可能とするアク
    チュエータと、 を備えた負圧式倍力装置において、 前記アクチュエータの作動による前記パワーピストンの
    前記入力部材に対する前方への移動に伴って前記入力部
    材に係合して前記入力部材を前記パワーピストンと一体
    的に移動可能とすると共に、前記アクチュエータの作動
    に伴って前記入力部材が前記反力部材から反力を受けて
    後退される際に弾性変形されることにより前記入力部材
    の後退を許容する係合部材を備え、前記アクチュエータ
    の作動に伴って前記入力部材が前記反力部材から反力を
    受けて後退されることにより、前記大気弁座と前記大気
    シール部とが当接して前記後室と大気との連通が遮断可
    能とされることを特徴とする負圧式倍力装置。
  3. 【請求項3】 少なくとも1つの圧力空間を内部に形成
    するハウジングと、 前記ハウジング内に前記ハウジングに対して前進及び後
    退できるように設置されていて前記圧力空間を負圧源に
    連通される前室と前記前室および大気に選択的に連通さ
    れる後室とに分割する可動壁と、 前記可動壁に結合されているパワーピストンと、 前記パワーピストンの内部に前記パワーピストンに対し
    て前進及び後退可能に配設される入力部材と、 前記パワーピストン内に配設され、前記入力部材と一体
    的に前進及び後退可能なバルブプランジャ部材と、 前記バルブプランジャ部材に配設される大気弁座と、 前記パワーピストン内に配設される負圧弁座と、 前記大気弁座に当接及び離脱可能で前記大気弁座に当接
    することによって前記後室と大気との連通を遮断すると
    ともに前記大気弁座から離間することによって前記後室
    を大気に連通する大気シール部と、前記負圧弁座に当接
    及び離脱可能で前記負圧弁座に当接することによって前
    記前室と前記後室との連通を遮断すると共に前記負圧弁
    座から離間することによって前記後室を前記前室に連通
    する負圧シール部とを一体的に備えたコントロールバル
    ブと、 前記可動壁の移動に伴った前記パワーピストンの前進力
    を装置外に出力する出力部材と、 前記パワーピストンの前進力及び前記入力部材に加えら
    れた入力を前記出力部材に伝達すると共に前記出力部材
    からの出力に対応した大きさの反力を前記入力部材に後
    退させるように付与する反力部材と、 前記バルブプランジャ部材を前方へ移動させることによ
    って前記大気弁座を前記大気シール部から離間させ、前
    記後室と大気とを連通可能とするアクチュエータと、 を備えた負圧式倍力装置において、 前記アクチュエータの作動による前記パワーピストンの
    前記入力部材に対する前方への移動に伴って前記入力部
    材に係合して前記入力部材及び前記バルブプランジャ部
    材を前記パワーピストンと一体的に移動可能とすると共
    に、前記アクチュエータの作動に伴って前記入力部材が
    前記反力部材から反力を受けて後退される際に弾性変形
    されることにより前記入力部材の後退を許容する係合部
    材を備え、前記アクチュエータの作動に伴って前記入力
    部材が前記反力部材から反力を受けて後退されることに
    より前記バルブプランジャ部材も後退されて前記大気弁
    座と前記大気シール部とが当接し前記後室と大気との連
    通が遮断可能とされることを特徴とする負圧式倍力装
    置。
  4. 【請求項4】 前記係合部材は、前記入力部材の非操作
    時に前記アクチュエータが作動されることによって前記
    パワーピストンが前記入力部材に対して前方に移動する
    際に前記入力部材に係合し、前記入力部材の非操作時に
    おける前記アクチュエータの作動に伴って前記入力部材
    が前記反力部材から反力を受けて前記係合部材の弾性変
    形に伴う復元力に抗して後退されることにより、前記大
    気弁座と前記大気シール部とが当接して前記後室と大気
    との連通が遮断可能とされることを特徴とする請求項1
    〜3の何れか一に記載の負圧式倍力装置。
  5. 【請求項5】 前記係合部材は、前記パワーピストンに
    前記パワーピストンに対して第1の所定量で前後方向に
    移動可能に係合されるとともに前記入力部材に前記入力
    部材に対して第2の所定量で前後方向に移動可能に係合
    される弾性を有するキー部材であり、前記ハウジングは
    前記キー部材の後面に対向すると共に当接可能な第1対
    向部を有し、前記パワーピストンは前記キー部材の前面
    に対向するとともに当接可能な第2対向部と前記キー部
    材の後面に対向するとともに当接可能な第3対向部とを
    有し、前記入力部材は前記キー部材の前面に対向すると
    ともに当接可能な第4対向部と前記キー部材の後面に対
    向するとともに当接可能な第5対向部とを有しているこ
    とを特徴とする請求項1〜4の何れか一に記載の負圧式
    倍力装置。
  6. 【請求項6】 前記アクチュエータは前記パワーピスト
    ンに対し前進及び後退可能に設置されており、前記アク
    チュエータの非作動時に前記バルブプランジャ部材を前
    記入力部材に対する後退位置へ位置させ且つこの後退位
    置で両者を一体的に前進及び後退するように連結する第
    1の連結機構と、前記アクチュエータの作動時に前記バ
    ルブプランジャ部材を前記入力部材に対する前進位置へ
    位置させ且つこの前進位置で両者を一体的に前進及び後
    退するように連結する第2の連結機構とが設置されてい
    ることを特徴とする請求項3の負圧式倍力装置。
  7. 【請求項7】 前記第1の連結機構は前記入力部材に対
    する前記バルブプランジャ部材の前記後退位置を規定す
    る第1の対向当接部及び前記バルブプランジャ部材を前
    記入力部材に対して後方へ付勢する第1の付勢部材を備
    えており、前記第2の連結機構は前記入力部材に対する
    前記バルブプランジャ部材の前記前進位置を規定する第
    2の対向当接部と前記入力部材に対する前記アクチュエ
    ータの前進位置を規定する第3の対向当接部及び前記ア
    クチュエータを前記入力部材に対する前記前進位置に付
    勢する第2の付勢部材を備えていることを特徴とする請
    求項6の負圧式倍力装置。
  8. 【請求項8】 前記アクチュエータが、前記パワーピス
    トンに対し前進及び後退でき且つ前記第1及び前記第2
    の付勢部材と前記第3の対向当接部とによって前記入力
    部材と一体的に前進及び後退されるように設置されたソ
    レノイドコイル及びヨークと、前記ソレノイドコイルへ
    の通電により発生する電磁吸引力により前記バルブプラ
    ンジャ部材を前記第1の付勢部材に抗して前記前進位置
    へ転移させるプランジャとを備えていることを特徴とす
    る請求項7の負圧式倍力装置。
  9. 【請求項9】 前記アクチュエータは、電力源に接続さ
    れるとともに電力の供給を受けることによって前記弁座
    部材を後方へ吸引移動させるソレノイドを有しているこ
    とを特徴とする請求項2の負圧式倍力装置。
JP10071722A 1998-03-20 1998-03-20 負圧式倍力装置 Pending JPH11268632A (ja)

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JP10071722A JPH11268632A (ja) 1998-03-20 1998-03-20 負圧式倍力装置
DE19912493A DE19912493A1 (de) 1998-03-20 1999-03-19 Unterdruckverstärker
US09/273,533 US6170382B1 (en) 1998-03-20 1999-03-22 Negative-pressure booster

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