JPH1148949A - 負圧式倍力装置 - Google Patents

負圧式倍力装置

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JPH1148949A
JPH1148949A JP9212254A JP21225497A JPH1148949A JP H1148949 A JPH1148949 A JP H1148949A JP 9212254 A JP9212254 A JP 9212254A JP 21225497 A JP21225497 A JP 21225497A JP H1148949 A JPH1148949 A JP H1148949A
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JP
Japan
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valve seat
input member
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power piston
input
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JP9212254A
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English (en)
Inventor
Kaoru Tsubouchi
内 薫 坪
Akihiko Miwa
輪 昭 彦 三
Yoichi Terasaki
崎 陽 一 寺
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Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型化可能な負圧式倍力装置を提供するこ
と。 【解決手段】 通常作動時における装置の入出力比は、
リアクションディスク54からの反力を受ける第1当接
部301及び第2当接部302の面積とリアクションデ
ィスク54と出力ロッド55との当接面積との比に依存
させ、自動作動機構48の作動時における装置の入出力
比は、リアクションディスク54からの反力を受ける第
2当接部302の面積とリアクションディスク54と出
力ロッド55との当接面積との比に依存させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は負圧式倍力装置に関
し、特に、自動車に適用される負圧式倍力装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、車両において、制動時の操作力を
低減するためのブレーキブースタとして、負圧式倍力装
置が採用されている。
【0003】この負圧式倍力装置は、エンジンの吸入負
圧又はバキュームポンプの負圧を倍力源とし、この負圧
と大気圧との差圧を利用して車両の運転者の制動ペダル
踏力以上の力を油圧を介してブレーキ装置に加えるもの
であり、ブレーキブースタとして最も一般的なシステム
である。
【0004】例えば、特開平9−2246号公報には、
運転者の入力以外に、運転又はブレーキ操作条件に対応
して、例えば、車両の運転者の制動ペダル操作速度が限
界を超えたとき(急制動時)、倍力装置内のソレノイド
を励磁して入力による助勢力以外の出力を付加し発生さ
せる自動機構を備えた負圧式倍力装置が提案されてい
る。
【0005】この特開平9−2246号公報に開示され
る負圧式倍力装置は、内部に圧力室を形成するハウジン
グと、前記ハウジング内に設置され、前記圧力室を、負
圧源に連通される定圧室と前記負圧源および大気に選択
的に連通される変圧室とに分割する可動壁と、前記可動
壁に結合されたパワーピストンと、前記パワーピストン
の内部に前記パワーピストンに対して前進及び後退可能
に設置され、ブレーキ操作によって移動可能な入力部材
と、後方に向いている大気流入制御用環状弁座を有する
とともに通常は前記入力部材の移動に伴って前記入力部
材と一体的に前進及び後退可能な弁座部材と、前記パワ
ーピストンに一体化されており且つ後方に向いている大
気流出制御用環状弁座と、前記大気流入制御用環状弁座
及び前記大気流出制御用環状弁座に対向する可動部と前
記パワーピストンに気密的に固定される固定部とを有し
ており且つ前記可動部が付勢部材によって前方へ付勢さ
れている弁部材とを備え、前記入力部材の移動に応じ
て、前記変圧室を前記定圧室に連通すると共に大気から
遮断する出力減少作用状態と前記変圧室を前記定圧室及
び大気から遮断する出力保持作用状態及び前記変圧室を
前記定圧室から遮断して大気に連通する出力増加作用状
態に切り換える弁機構と、前記ブレーキ操作による前記
可動壁の移動に伴った前記パワーピストンの第1の推進
力を主出力として装置外に出力する出力部材と、前記パ
ワーピストンに固定されたソレノイドコイル及びヨーク
と、前記ソレノイドコイルへの通電により発生する電磁
吸引力によって前方へ移動されることにより前記弁座部
材を前記入力部材に対して前方に移動し、前記可動部を
前記大気流入制御用環状弁座から離脱させると共に前記
大気流出制御用環状弁座に係合させるプランジャとを備
え、前記パワーピストンに第2の推進力を生じさせるこ
とにより前記出力部材に補助出力を付加する自動作動機
構と、前記入力部材と前記出力部材との間に配設され、
前記定圧室と前記変圧室との圧力差により前記可動壁お
よび前記パワーピストンに発生する前記第1及び第2の
推進力に応じた反力を前記入力部材に印加することによ
り前記入力部材を後方へ移動させて前記弁機構を前記出
力増加作用状態から前記出力保持作用状態へと常に移行
させる反力部材と、前記弁座部材及び前記入力部材に配
設され、前記自動作動機構が作動されることにより前記
弁座部材が前記入力部材に対して前方に所定量移動され
た際に互いに当接し、前記弁座部材の前記入力部材に対
する前方への移動を規制するとともに、前記反力による
前記入力部材の後方への移動によって常に前記弁座部材
と前記入力部材とを一体的に後方に移動可能とする係合
部と、前記入力部材内に配設され、前記ブレーキ操作に
伴う入力の増減に応じて弾性変形することにより前記所
定量を増減させる弾性部材と、を備えるものである。
【0006】この従来の負圧式倍力装置は、ブレーキ操
作に伴う入力が増減されることによって弾性部材の変形
量が増減されることにより、弁座部材の当接部と入力部
材の当接部との所定量が増減されることになる。この当
接部間における所定量が増減されることによって弁座部
材の入力部材に対する移動量が増減され、ひいては、負
圧式倍力装置の入力と、主出力と補助出力との和との比
が変化されることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した
従来の負圧式倍力装置は、弁座部材と入力部材との当接
部間における所定量を増大する場合には、弁座部材及び
プランジャの移動量も増大されるものであり、ソレノイ
ド、ヨーク、及びプランジャを備える自動作動機構の大
型化の必要性が生じてくる。更に、弾性部材を入力部材
内に配設していることから、入力部材の大型化を招く虞
が有る。自動作動機構及び入力部材の大型化は、ひいて
は負圧式倍力装置自身の大型化をも招く虞が有る。
【0008】本発明は、小型化を可能とする負圧式倍力
装置を提供することを、その技術的課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
るために、内部に圧力室を形成するハウジングと、前記
ハウジング内に前記ハウジングに対して前進及び後退可
能に設置され、前記圧力室を、負圧源に連通される前室
と前記負圧源および大気に選択的に連通される後室とに
分割する可動壁と、前記可動壁に結合されたパワーピス
トンと、前記パワーピストンの内部に前記パワーピスト
ンに対して前進及び後退可能に設置され、ブレーキ操作
によって移動可能な入力部材と、前記パワーピストン内
に配設され、前記入力部材の移動に応じて、前記後室を
前記前室に連通すると共に大気から遮断する出力減少作
用状態と前記後室を前記前室及び大気から遮断する出力
保持作用状態及び前記後室を前記前室から遮断して大気
に連通する出力増加作用状態に切り換える弁機構と、前
記ブレーキ操作による前記可動壁の移動に伴った前記パ
ワーピストンの第1の推進力を主出力として装置外に出
力する出力部材と、前記入力部材の移動とは独立して前
記弁機構を前記出力増加作用状態とし、前記パワーピス
トンに第2の推進力を生じさせて前記出力部材に補助出
力を付加する自動作動機構と、前記入力部材と前記出力
部材との間に配設され、前記パワーピストンに前記第1
の推進力が生じた際に前記第1の推進力に応じた反力を
前記入力部材に印加することにより前記入力部材を後方
へ移動させて前記弁機構を前記出力増加作用状態から前
記出力保持作用状態へと移行させるとともに、前記パワ
ーピストンに前記第2の推進力が生じた際に前記第2の
推進力に応じた反力を前記入力部材に印加することによ
り前記入力部材を後方へ移動させて前記弁機構を前記出
力増加作用状態から前記出力保持作用状態へと移行さ
せ、その後方側で前記入力部材に当接しその前方側で前
記出力部材に当接し、前記入力部材における前記反力が
作用する面積と前記出力部材との当接面積との比で前記
ブレーキ操作に伴う入力と前記出力部材が出力する前記
主出力と前記補助出力との和との比を決定する反力部材
と、前記自動作動機構の作動に伴って、前記入力部材に
おける前記反力が作用する面積と前記反力部材と前記出
力部材との当接面積との比を変化させる変化機構とを備
えた負圧式倍力装置を構成した。
【0010】好ましくは、前記変化機構は、前記入力部
材における前記反力が作用する面積を変化させる負圧式
倍力装置が望ましい。
【0011】より好ましくは、前記入力部材は、前記反
力部材に第1の面積で当接する第1当接部及び第2の面
積で前記反力部材に当接する第2当接部を備えるととも
に、通常状態では前記反力部材から前記反力を記第1当
接部及び前記第2当接部で受け、前記変化機構は、前記
自動作動機構の作動に伴って、前記入力部材を前記反力
部材に前記第2当接部で当接させることにより前記反力
を前記第2当接部で受けさせる負圧式倍力装置が望まし
い。
【0012】より好ましくは、前記第1当接部は環状を
呈し、前記第2当接部は前記第1当接部の中心穴に前記
中心穴の軸方向に摺動可能に挿入される円柱状を呈し、
前記入力部材は前記第1当接部の前記第2当接部に対す
る後方への移動を規制する第1規制部を有し、前記変化
機構は前記自動作動機構の作動に伴う前記反力部材によ
る前記入力部材の後方への移動の際に前記第1当接部の
前記パワーピストンに対する後方への移動を規制する第
2規制部を備えている負圧式倍力装置が望ましい。
【0013】より好ましくは、前記弁機構は、前記入力
部材に一体化されており且つ後方に向いている大気流入
制御用環状弁座と、前記パワーピストンに一体化されて
おり且つ後方に向いている大気流出制御用環状弁座と、
前記大気流入制御用環状弁座及び前記大気流出制御用環
状弁座に対向する可動部と前記パワーピストンに気密的
に固定される固定部とを有しており且つ前記可動部が付
勢部材によって前方へ付勢されている弁部材とを備えて
おり、前記自動作動機構は、電力源に選択的に接続さ
れ、電気の供給を受けることによって前記弁機構を前記
出力増加作用状態とするものであり、前記パワーピスト
ンに固定されたソレノイドコイル及びヨークと、前記ソ
レノイドコイルへの通電により発生する電磁吸引力によ
り後方へ移動されるプランジャと、前記大気流出制御用
環状弁座の内径側に前記パワーピストンに対し前進及び
後退可能に配設され、前記プランジャの移動により後方
に移動されて前記可動部を前記大気流入制御用環状弁座
及び前記大気流出制御用環状弁座から離間させる弁座部
材とを有している負圧式倍力装置が望ましい。
【0014】より好ましくは、前記弁機構は、後方に向
いている大気流入制御用環状弁座を有するとともに通常
は前記入力部材の移動に伴って前記入力部材と一体的に
前進及び後退可能な弁座部材と、前記パワーピストンに
一体化されており且つ後方に向いている大気流出制御用
環状弁座と、前記大気流入制御用環状弁座及び前記大気
流出制御用環状弁座に対向する可動部と前記パワーピス
トンに気密的に固定される固定部とを有しており且つ前
記可動部が付勢部材によって前方へ付勢されている弁部
材とを備えており、前記自動作動機構は、電力源に選択
的に接続され、電気の供給を受けることによって前記弁
機構を前記出力増加作用状態とするものであり、前記パ
ワーピストンに固定されたソレノイドコイル及びヨーク
と、前記ソレノイドコイルへの通電により発生する電磁
吸引力によって前方へ移動されることにより前記弁座部
材を前記入力部材に対して前方に移動し、前記可動部を
前記大気流入制御用環状弁座から離脱させると共に前記
大気流出制御用環状弁座に係合させるプランジャとを備
え、前記弁部材は前記反力による前記入力部材の後方へ
の移動によって常に前記入力部材と一体的に後方に移動
される負圧式倍力装置が望ましい。
【0015】より好ましくは、前記弁座部材と前記入力
部材とは、前記自動作動機構が作動されることにより前
記弁座部材が前記入力部材に対して前方に所定量移動さ
れた際に互いに当接し、前記弁座部材の前記入力部材に
対する前方への移動を規制する係合部をそれぞれ備えて
いる負圧式倍力装置が望ましい。
【0016】より好ましくは、前記弁機構は、後方に向
いている大気流入制御用環状弁座を有するとともに通常
は前記入力部材の移動に伴って前記入力部材と一体的に
前進及び後退可能な弁座部材と、前記パワーピストンに
一体化されており且つ後方に向いている大気流出制御用
環状弁座と、前記大気流入制御用環状弁座及び前記大気
流出制御用環状弁座と対向する可動部と前記パワーピス
トンに気密的に固定される固定部とを有しており且つ可
動部が付勢部材によって前方へ付勢されている筒状弁部
材とを備えており、前記自動作動機構は、電力源に選択
的に接続され、電気の供給を受けることによって前記弁
機構を前記出力増加作用状態とするものであり、前記パ
ワーピストンに対して前進及び後退可能に配設されると
共に前記入力部材の移動に伴って前記入力部材と一体的
に移動されるソレノイドコイル及びヨークと、前記ソレ
ノイドコイルへの通電により発生する電磁吸引力によっ
て前方へ移動されることにより前記弁座部材を前方に移
動し、前記可動部を前記大気流入制御用環状弁座から離
脱させると共に前記大気流出制御用環状弁座に係合させ
るプランジャとを備え、前記弁部材は前記反力による前
記入力部材の後方への移動によって常に前記入力部材と
一体的に後方に移動される負圧式倍力装置が望ましい。
【0017】より好ましくは、前記弁座部材と前記入力
部材とは、前記自動作動機構が作動されることにより前
記弁座部材が前記入力部材に対して前方に所定量移動さ
れた際に互いに当接し、前記弁座部材の前記入力部材に
対する前方への移動を規制する係合部をそれぞれ備えて
いる負圧式倍力装置が望ましい。
【0018】請求項1の負圧式倍力装置は、自動作動機
構が作動されると、変化機構により入力部材における反
力部材からの反力が作用する面積と反力部材と出力部材
との当接面積との比が変化され、負圧式倍力装置の通常
作動時における入力と主出力との比に対して、自動作動
機構の作動時における入力と主出力と補助出力との和と
の比が変化される。
【0019】請求項2の負圧式倍力装置は、請求項1の
作用に加えて、自動作動機構が作動されると、変化機構
は、入力部材における反力部材からの反力が作用する面
積を変化させることにより、入力部材における反力部材
からの反力が作用する面積と反力部材と出力部材との当
接面積との比を変化させる。
【0020】請求項3の負圧式倍力装置は、請求項2の
作用に加えて、自動作動機構が作動されると、変化機構
は、入力部材における反力部材からの反力が作用する面
積を通常時において反力が作用していた第1及び第2当
接部の面積から第2当接部の面積へと切り換え、入力部
材における反力部材からの反力が作用する面積と反力部
材と出力部材との当接面積との比を変化させる。
【0021】請求項4の負圧式倍力装置は、請求項3の
作用に加えて、入力部材が前進されると、第1当接部と
第1規制部とが当接することにより、入力部材の前進に
伴って第1及び第2当接部は一体的に前進する。
【0022】一方、自動作動機構が作動されてパワーピ
ストンに第2の推進力が生じると、反力部材がこの第2
の推進力に応じた反力を入力部材に印加して入力部材を
後方へ移動させ、入力部材が後方に移動されることによ
って弁機構が出力増加作用状態から出力保持作用状態へ
と移行される。この入力部材の後方への移動に際して、
第1当接部が第2規制部に当接することにより、第1当
接部のパワーピストンに対する後方への移動が規制され
て入力部材の後方への移動に伴う第1当接部と第2当接
部との一体的な後方への移動が不能とされ、入力部材に
おける反力部材からの反力が作用する部分は第2当接部
となる。従って、通常時においては入力部材において反
力部材からの反力が第1及び第2当接部から第2当接部
に作用していたが、自動作動機構が作動されるのに伴っ
て、入力部材においては反力部材からの反力が第2当接
部に作用することになり、入力部材における反力部材か
らの反力が作用する面積と反力部材と出力部材との当接
面積との比が変化される。請求項5の負圧式倍力装置
は、請求項1〜4の何れか一に記載の作用に加えて、負
圧式倍力装置の初期状態において、弁座部材の大気流入
制御用環状弁座と弁部材の可動部とは当接しており、後
室と大気との連通は遮断されている。又、大気流出制御
用環状弁座と弁部材の可動部とは離間しており、前室と
後室とは連通されている。
【0023】初期状態から入力部材が前進されることに
よって弁座部材も前方に移動され、弁座部材の前進によ
り、大気流出制御用環状弁座と弁部材の可動部とが当接
し、前室と後室との連通が遮断されて、後室が前室及び
大気とから遮断される出力保持作用状態を採る。
【0024】この出力保持作用状態から入力部材が前進
されることによって弁座部材も前方に移動され、弁座部
材の前進により、大気流入制御用環状弁座が可動部から
離間して後室が大気と連通されて、後室が前室と遮断さ
れるとともに大気に連通される出力増加作用状態を採
る。
【0025】この出力増加作用状態から入力部材が後退
されることによって弁座部材も後方に移動され、弁座部
材の後退により、大気流出制御用環状弁座と弁部材の可
動部とが当接し、前室と後室との連通が遮断されて、後
室が前室及び大気とから遮断される出力保持作用状態を
採る。
【0026】この出力保持作用状態から入力部材が後退
されることによって弁座部材も後方に移動され、弁座部
材の後退により、大気流出制御用環状弁座と弁部材の可
動部とが離間し、前室と後室とが連通されて、後室が大
気から遮断されるとともに前室と後室とが連通される初
期状態を採る。
【0027】ソレノイドコイルに通電されることによっ
て自動作動機構が作動されると、プランジャが後方へ移
動され、このプランジャの後方への移動に伴って弁座部
材も後方へと移動される。弁座部材が後方へ移動するこ
とにより、弁座部材は可動部に当接して前室と後室との
連通を遮断するとともに、更なる弁座部材の後方への移
動によって可動部を後方へ移動させ、可動部を大気流入
制御用環状弁座から離間させて後室と大気とを連通させ
る。従って、出力増加作用状態を採る。
【0028】通常作動時或は自動作動機構の作動時にお
ける出力増加作用状態に、反力部材から反力を受けて入
力部材が後方へ移動されると、入力部材が後退されるこ
とによって大気流入制御用環状弁座と可動部とが当接
し、後室と大気との連通が遮断されて、後室が前室及び
大気とから遮断される出力保持作用状態を採る。
【0029】請求項6の負圧式倍力装置は、請求項1〜
4の何れか一に記載の作用に加えて、負圧式倍力装置の
初期状態において、弁座部材の大気流入制御用環状弁座
と弁部材の可動部とは当接しており、後室と大気との連
通は遮断されている。又、大気流出制御用環状弁座と弁
部材の可動部とは離間しており、前室と後室とは連通さ
れている。
【0030】初期状態から入力部材が前進されることに
よって弁座部材も前方に移動され、弁座部材の前進によ
り、大気流出制御用環状弁座と弁部材の可動部とが当接
し、前室と後室との連通が遮断されて、後室が前室及び
大気とから遮断される出力保持作用状態を採る。
【0031】この出力保持作用状態から入力部材が前進
されることによって弁座部材も前方に移動され、弁座部
材の前進により、大気流入制御用環状弁座が可動部から
離間して後室が大気と連通されて、後室が前室と遮断さ
れるとともに大気に連通される出力増加作用状態を採
る。
【0032】この出力増加作用状態から入力部材が後退
されることによって弁座部材も後方に移動され、弁座部
材の後退により、大気流出制御用環状弁座と弁部材の可
動部とが当接し、前室と後室との連通が遮断されて、後
室が前室及び大気とから遮断される出力保持作用状態を
採る。
【0033】この出力保持作用状態から入力部材が後退
されることによって弁座部材も後方に移動され、弁座部
材の後退により、大気流出制御用環状弁座と弁部材の可
動部とが離間し、前室と後室とが連通されて、後室が大
気から遮断されるとともに前室と後室とが連通される初
期状態を採る。
【0034】ソレノイドコイルに通電されることによっ
て自動作動機構が作動されると、プランジャが前方へ移
動され、このプランジャの前方への移動に伴って弁座部
材も前方へと移動される。弁座部材が前方へ移動するこ
とにより、大気流出制御用環状弁座と可動部とが当接し
て前室と後室との連通が遮断されるとともに、大気流入
環状弁座が可動部から離間して後室と大気とが連通され
る。従って、出力増加作用状態となる。
【0035】通常作動時或は自動作動機構の作動時にお
ける出力増加作用状態に、反力部材から反力を受けて入
力部材が後方へ移動されると、入力部材が後退されるこ
とによって弁座部材も後方に移動され、弁座部材の後退
により、大気流入制御用環状弁座と弁部材の可動部とが
当接し、後室と大気との連通が遮断されて、後室が前室
及び大気とから遮断される出力保持作用状態を採る。
【0036】請求項7の負圧式倍力装置は、請求項6の
作用に加えて、ソレノイドコイルに通電されることによ
って自動作動機構が作動されると、プランジャが前方へ
移動され、このプランジャの前方への移動に伴って弁座
部材も前方へと移動される。プランジャの前方への移動
量が所定量に達すると、入力部材の係合部とプランジャ
の係合部とが互いに当接し、プランジャの入力部材に対
する前方への移動を規制する。
【0037】自動作動機構の作動時における出力増加作
用状態に、反力部材から反力を受けて入力部材が後方へ
移動されると、入力部材と弁座部材とが互いの係合部に
より当接していることから、入力部材が後退されること
によって弁座部材も後方に移動される。
【0038】請求項8の負圧式倍力装置は、請求項1〜
4の何れか一に記載の作用に加えて、負圧式倍力装置の
初期状態において、弁座部材の大気流入制御用環状弁座
と弁部材の可動部とは当接しており、後室と大気との連
通は遮断されている。又、大気流出制御用環状弁座と弁
部材の可動部とは離間しており、前室と後室とは連通さ
れている。
【0039】初期状態から入力部材が前進されることに
よって弁座部材も前方に移動され、弁座部材の前進によ
り、大気流出制御用環状弁座と弁部材の可動部とが当接
し、前室と後室との連通が遮断されて、後室が前室及び
大気とから遮断される出力保持作用状態を採る。
【0040】この出力保持作用状態から入力部材が前進
されることによって弁座部材も前方に移動され、弁座部
材の前進により、大気流入制御用環状弁座が可動部から
離間して後室が大気と連通されて、後室が前室と遮断さ
れるとともに大気に連通される出力増加作用状態を採
る。
【0041】この出力増加作用状態から入力部材が後退
されることによって弁座部材も後方に移動され、弁座部
材の後退により、大気流出制御用環状弁座と弁部材の可
動部とが当接し、前室と後室との連通が遮断されて、後
室が前室及び大気とから遮断される出力保持作用状態を
採る。
【0042】この出力保持作用状態から入力部材が後退
されることによって弁座部材も後方に移動され、弁座部
材の後退により、大気流出制御用環状弁座と弁部材の可
動部とが離間し、前室と後室とが連通されて、後室が大
気から遮断されるとともに前室と後室とが連通される初
期状態を採る。
【0043】この入力部材の前進及び後退に伴って、自
動作動機構もパワーピストンに対して前進及び後退す
る。
【0044】ソレノイドコイルに通電されることによっ
て自動作動機構が作動されると、プランジャが前方へ移
動され、このプランジャの前方への移動に伴って弁座部
材も前方へと移動される。弁座部材が前方へ移動するこ
とにより、大気流出制御用環状弁座と可動部とが当接し
て前室と後室との連通が遮断されるとともに、大気流入
環状弁座が可動部から離間して後室と大気とが連通され
る。従って、出力増加作用状態となる。
【0045】通常作動時或は自動作動機構の作動時にお
ける出力増加作用状態に、反力部材から反力を受けて入
力部材が後方へ移動されると、入力部材が後退されるこ
とによって弁座部材も後方に移動され、弁座部材の後退
により、大気流入制御用環状弁座と弁部材の可動部とが
当接し、後室と大気との連通が遮断されて、後室が前室
及び大気とから遮断される出力保持作用状態を採る。
【0046】請求項9の負圧式倍力装置は、請求項8の
作用に加えて、ソレノイドコイルに通電されることによ
って自動作動機構が作動されると、プランジャが前方へ
移動され、このプランジャの前方への移動に伴って弁座
部材も前方へと移動される。プランジャの前方への移動
量が所定量に達すると、入力部材の係合部とプランジャ
の係合部とが互いに当接し、プランジャの入力部材に対
する前方への移動を規制する。
【0047】自動作動機構の作動時における出力増加状
態に、反力部材から反力を受けて入力部材が後方へ移動
されると、入力部材と弁座部材とが互いの係合部により
当接していることから、入力部材が後退されることによ
って弁座部材も後方に移動される。
【0048】
【実施の形態】以下、本発明を実施の形態により具体的
に説明する。
【0049】(実施の形態1)図1は、本発明の一実施
形態であるタンデム型の車両用負圧式ブレーキブースタ
の断面図であり、図2は図1の一部の拡大図であり、図
3は図1及び図2に示す車両用負圧式ブレーキブースタ
の入力−出力特性線図である。
【0050】図1において、車両用負圧式ブレーキブー
スタ10は、前側シェル11と後側シェル12及び両シ
ェル間の隔壁部材13とから構成され、内部に前側圧力
室及び後側圧力室を形成するハウジング14を備える。
【0051】ハウジング14内の前側圧力室には、金属
製の前側プレート15とゴム製の前側ダイアフラム16
からなる前側可動壁17が前進および後退可能に設置さ
れ、また後側圧力室には金属製の後側プレート18とゴ
ム製の後側ダイアフラム19からなる後側可動壁20が
前進および後退可能に設置されている。
【0052】前側プレート15は、その中心部に、隔壁
部材13の中心部を気密的に且つ摺動可能に貫通されて
いる円筒部21を一体に有している。前側ダイアフラム
16の内周縁のビード部は前側プレート15の円筒部2
1の前端部の外周面に気密的に固定されており、前側ダ
イアフラム16の外周縁のビード部は隔壁部材13の外
周縁部と一緒にシェル11,12の外周部により気密的
に挟持されている。後側ダイアフラム19の外周縁のビ
ード部は隔壁部材13の外周縁の内径側に設けられた折
り返し部とシェル12とにより気密的に挟持されてい
る。後側シェル12の中心部を気密的に且つ摺動可能に
貫通されているパワーピストン22の前方寄り部分の外
周には、前側プレート15の円筒部21の後端と後側プ
レート18の内周縁部が固定されると共に後側ダイアフ
ラム19の内周縁のビード部が気密的に固定されてい
る。これにより、ハウジング14内の前側圧力室が前室
としてのフロント定圧室23と後室としてのフロント変
圧室24とに分割され、またハウジング14内の後側圧
力室が前室としてのリア定圧室25と後室としてのリア
変圧室26とに分割される。
【0053】フロント定圧室23は負圧源であるエンジ
ンインテークマニホールド(図示省略)に連通され、常
時、負圧に保たれる。リア定圧室25は前側プレート1
5の円筒部21に形成された孔とパワーピストン22の
前端部の外周に形成された溝とによってフロント定圧室
23に連通され、従ってリア定圧室25も、常時、負圧
に保たれる。フロント変圧室24は前側ダイヤフラム1
6の外周縁のビード部の内周面に形成された溝と隔壁部
材13に形成された孔及び後側ダイアフラム19の外周
縁のビード部の外周面に形成された溝によってリア変圧
室26に連通されている。
【0054】図1及び図2に示されるように、パワーピ
ストン22の内部には、入力部材27がパワーピストン
22に対して前進及び後退可能に設置されている。この
入力部材27は、前端がパワーピストン22の内部に位
置し且つ後端がパワーピストン22の外部に位置する後
方部材28と、この後方部材28の前端のボール継手に
連結されていてパワーピストン22により前後方向(図
2中左右方向)に摺動自在に案内されている中央部材2
9と、この中央部材29の前端にその後端をねじ結合さ
れた前方部材30とで構成されており、後方部材28の
後端でブレーキペダル31に連結される。
【0055】前方部材30は、その前端部に後述するリ
アクションディスク54に当接可能な環状の第1当接部
301と円柱状の第2当接部302とを有し、第1当接
部301と、第2当接部302及びフランジ部34、3
5を備える本体部30aとから構成されている。第2当
接部302は、第1当接部301の中心穴301a内に
中心穴301aの軸方向(図2中左右方向)に摺動可能
に挿入されている。
【0056】又、前方部材30の本体部30aには、第
2当接部302の後方側に連続して配設される第2当接
部302の径よりも大きな径を有する第1規制部として
の肩部303が形成されている。肩部303は、その前
部が第1当接部301の後面に当接することによって第
1当接部301の第2当接部302に対する、ひいては
本体部30aに対する後退限位置を規定している。
【0057】パワーピストン22に対する入力部材27
の前進限位置及び後退限位置を規定するためのキー部材
32が設置されている。このキー部材32はパワーピス
トン22に形成された半径方向孔33に挿通されてお
り、パワーピストン22から脱落しないようにパワーピ
ストン22に係止されている。キー部材32の前後方向
の肉圧寸法は半径方向孔33の前後方向の寸法よりも小
さくされており、キー部材32はパワーピストン22に
対して図2中に示した距離δだけ前後方向へ移動でき
る。キー部材32は、パワーピストン22の外周側に突
出した両端部の後面にて後側シェル12に当接可能であ
り、ハウジング14に対するパワーピストン22の後退
限位置は、図2に示すように、半径方向孔33の前側壁
がキー部材32の前面に当接し且つキー部材32の両端
部の後面が後側シェル12に当接した位置である。
【0058】キー部材32の中央部は入力部材27の前
方部材30の後端部の外周に形成された一対のフランジ
部34,35間に位置されており、パワーピストン22
に対する入力部材27の後退限位置は、フランジ部34
の後面がキー部材32の前面に当接し且つキー部材32
の後面が半径方向孔33の後壁に当接した位置である。
また、パワーピストン22に対する入力部材27の前進
限位置は、フランジ部35の前面がキー部材32の後面
に当接し且つキー部材32の前面が半径方向孔33の前
壁に当接した位置である。
【0059】パワーピストン22の内部には、パワーピ
ストン22に対する入力部材27の前後方向(図2中左
右方向)移動に応じて、リア変圧室26をフロント定圧
室23に連通すると共に大気から遮断する出力減少作用
状態とリア変圧室26をフロント定圧室23及び大気か
ら遮断する出力保持作用状態及びリア変圧26をフロン
ト定圧室23から遮断すると共に大気に連通する出力増
加作用状態に切り換える弁機構36が設置されている。
【0060】この弁機構36は、入力部材27の中央部
材29に一体に形成されており且つ後方に向いている大
気流入制御用環状弁座37と、パワーピストン22に一
体に形成されており且つ後方に向いている大気流出制御
用環状弁座38と、これら大気流入制御用環状弁座37
及び大気流出制御用環状弁座38と対向する可動部41
とリテーナー42によりパワーピストン22に気密的に
固定される固定部43とを有しており且つ可動部41が
スプリング44によって前方へ付勢されている筒状弁部
材45を主たる構成部材としている。
【0061】入力部材27の後方部材28に係止された
リテーナ58とリテーナ42との間に設置されたスプリ
ング59は、入力部材27を後方へ付勢し、ブレーキペ
ダル31が踏まれていない場合、即ち、図2に示す初期
状態においては、大気流入制御用環状弁座37を弁部材
45の可動部41に当接させ且つ可動部41を第1の大
気流出制御用環状弁座38から所定量gの距離分離間さ
せた状態に保持する。パワーピストン22には、弁機構
36とフロント定圧室23とを連絡する通路60と、弁
機構36とリア変圧室26とを連絡する通路61が形成
されている。パワーピストン22の前方部分の内部に
は、自動作動機構48が設置されている。この自動作動
機構48は、弁座部材40及びスプリング47、案内部
材53、ソレノイドコイル49と磁性体よりなるヨーク
50,磁性体よりなるヨーク兼リアクションディスク収
容用部材51及び磁性体よりなるプランジャ52によっ
て構成されている。
【0062】弁座部材40は、大気流出制御用環状弁座
38の内径側にパワーピストン22に対し前進及び後退
できるように設置されており且つ後方に向いている補助
大気流出制御用環状弁座39を有している。
【0063】弁座部材40の後端部の外周には弁座部材
40の後端部とパワーピストン22との間の気密を保つ
環状シール部材46が取付けられている。また、弁座部
材40はフランジ部34との間に設置されたスプリング
47により前方へ付勢されている。
【0064】ソレノイドコイル49とヨーク50,ヨー
ク兼リアクションディスク収容用部材51はパワーピス
トン22に固定されており、プランジャ52は弁座部材
40の前端面と当接する。ソレノイドコイル49は、リ
ード線によりハウジング14の外部の電子制御装置(図
示省略)と電気的に接続される。ソレノイドコイル49
が通電されない場合(自動作動機構48の非作動時)、
スプリング47によって弁座部材40は、その前端面が
プランジャ52に当接し且つプランジャ52の前端面が
ヨーク兼リアクションディスク収容用部材51に対して
固定の関係にあり且つ入力部材27の前方部材30の前
端部、即ち、第1当接部301及び第2当接部302を
摺動可能に案内する案内部材53に当接した図2の位置
に保持され、弁座部材40の補助大気流出制御用環状弁
座39はパワーピストン22の大気流出制御用環状弁座
38よりもi分の距離だけ前側に位置する。
【0065】ソレノイドコイル49が通電された場合
(自動作動機構48の作動時)、ヨーク50とプランジ
ャ52との間に電磁吸引力が発生し、この電磁吸引力に
よりプランジャ52が弁座部材40をスプリング47に
抗して後退させる。弁座部材40の後退量はヨーク50
とプランジャー52との間の距離fに対応し、弁座部材
40が後退された状態では弁座部材40の補助大気流出
制御用環状弁座39がパワーピストン22の大気流出制
御用環状弁座38よりも後側に位置する。
【0066】ヨーク兼リアクションディスク収容用部材
51の内部において、案内部材53の前側にはゴムより
なる円盤状の反動部材としてのリアクションディスク5
4が設置され、このリアクションディスク54の前側に
はハウジング14の前壁の中心部を気密的に且つ摺動可
能に貫通している出力ロッド55の後端部56が摺動可
能に設置されている。リアクションディスク54は、周
知のように、パワーピストン22の推進力及び入力部材
27の前進力を出力ロッド55に伝達すると共にパワー
ピストン22の推進力に対応した大きさの反力を入力部
材27に後退させるように付与するものである。
【0067】案内部材53には、初期状態において第1
当接部301の後面と所定量eの距離で離間する第2規
制部としての当接面531が配設されている。当接面5
31は、後述する自動作動機構48が作動された際の入
力部材27の後方への移動の際に第1当接部301と当
接することにより、第1当接部301のパワーピストン
22に対する後方への移動を規制する。
【0068】図2に示す初期状態における各所定量e、
f、g、iの関係は、e+g+i≦fとなるように設定
されている。
【0069】フロント定圧室23の中心部には、パワー
ピストン22とこれに結合された可動壁17,20をハ
ウジング14に対して後退させるためのリターンスプリ
ング57が設置されている。
【0070】出力ロッド55は、マスターシリンダ(図
示省略)のピストン(図示省略)と作用的に連結されて
いる。
【0071】第1当接部301は図2から明らかなよう
に、その前面はπc2 −πb2 の面積(第1の面積)を
有しており、第1当接部301はこの前面でリアクショ
ンディスク54の後面に当接可能とされ、第2当接部3
02は図2から明らかなように、その前面はπb2 の面
積(第2の面積)を有しており、第2当接部302はこ
の前面でリアクションディスク54の後面に当接可能と
されている。入力部材27の前端部、即ち、第1当接部
301及び第2当接部302の前面とリアクションディ
スク54の後面とは、図2に示す初期状態において、所
定量aの距離で離間している。
【0072】出力ロッド55の後端部56は図2に示す
ように、その後面はπd2 の面積を有しており、出力ロ
ッド55はこの後端部56の後面でリアクションディス
ク54の前面と当接している。
【0073】次に作動を説明する。図1及び図2に示す
状態は、ブレーキペダル31が踏まれておらず且つ自動
作動機構48が作動されていない状態であり、弁機構3
6がリア変圧室26をフロント定圧室23に連通すると
共に大気から遮断する出力減少作用状態、即ち大気流入
制御用環状弁座37が弁部材45の可動部41に当接し
且つ可動部41が第1の大気流出制御用環状弁座38か
ら離間した状態となり、フロント変圧室24とリア変圧
室26の圧力はフロント定圧室23の圧力と同じ圧力に
低下しており、可動壁17,20とパワーピストン22
には前進力が作用せず、パワーピストン22とこれに結
合された可動壁17,20は、リターンスプリング57
によってハウジング14に対する後退限位置、即ちパワ
ーピストン22の半径方向孔33の前側壁がキー部材3
2の前面に当接し且つキー部材32の両端部の後面が後
側シェル12に当接した位置に保持される。
【0074】図1〜3に示すように、通常ブレーキ作用
のために運転者がブレーキペダル31を踏み込むと、入
力部材27がパワーピストン22に対して前進し、弁部
材45の可動部41がパワーピストン22の大気流出制
御用環状弁座38に当接してリア変圧室26をフロント
定圧室23から遮断する。つまり、弁機構36が出力減
少作用状態から出力保持作用状態に切り換わる。この入
力部材27の前進時において、第1当接部301の後面
が肩部303の前面に当接していることから、第1当接
部301と本体部30a、換言すれば、第1当接部30
1と第2当接部302とは一体的に前方に移動する。
【0075】この入力部材27の前進時には、入力部材
27の前端面、即ち、第1、第2当接部301、302
の前面とリアクションディスク54の後面との間には隙
間が残存しており、この隙間はa−g分に略等しい。
又、第1当接部301の後面と当接面531とは略e+
gの距離で離間している。
【0076】次いで、出力保持作用状態から入力部材2
7がαの距離分を更に前進すると、大気流入制御用環状
弁座37が弁部材45の可動部41から離間してリア変
圧室26を大気と連通し、弁機構36が出力増加作用状
態に切り換わる。従って、大気がリア変圧室26に流入
し、更にリア変圧室26からフロント変圧室24に流入
し、両変圧室24,26の圧力が上がり、フロント可動
壁17にはフロント定圧室23とフロント変圧室24と
の差圧により前進力が発生し、リア可動壁20にはリア
定圧室25とリア変圧室26との差圧により前進力が発
生し、パワーピストン22にはフロント定圧室23とリ
ア変圧室26との間の差圧により前進力が発生し、これ
らの前進力がパワーピストン22から自動作動機構48
のヨーク兼リアクションディスク収容用部材51,案内
部材53及びリアクションディスク54を介して出力ロ
ッド55に伝達され、可動壁17,20、パワーピスト
ン22及び出力ロッド55がハウジング14に対し一体
的に前進を開始し、マスターシリンダの作動が開始され
る。
【0077】その際、パワーピストン22は入力部材2
7に対しても前進し、弁部材45の可動部41が大気流
入制御用環状弁座37に接近する。また、リアクション
ディスク54がその中心部の後面と入力部材27の前端
面、即ち、第1、第2当接部301、302との間の略
a−g−α分ある隙間を減少するように案内部材53の
内部に進入し、第1、第2当接部301、302の前面
に当接してリアクションディスク54がパワーピストン
22の前進力及び入力部材27の前進力を出力ロッド5
5に伝達すると共にパワーピストン22からの推進力に
対応した反力を、入力部材27に同入力部材27をパワ
ーピストン22に対して後退させるように付与するよう
になる。この入力部材27がリアクションディスク54
から反力を受けてパワーピストン22に対して後方に移
動されようとする状態において、第1当接部301の後
面と当接面531との間には、略e+g+α分の隙間が
存在している。
【0078】パワーピストン22のハウジング14に対
する前進及び入力部材27のリアクションディスク54
によるパワーピストン22に対する後退により、パワー
ピストン22が入力部材27に対して前進することによ
り、やがて、弁部材45の可動部41が再び大気流入制
御用環状弁座37に当接し、変圧室24、26への大気
の流入が停止される(弁機構36が出力保持作用状態に
切り換わる)。このとき、入力部材27は、リアクショ
ンディスク22からの反力を受けることによってパワー
ピストン22に対して略e+g+α未満、言い換えれば
略αの後方への移動を行っており、従って、第1当接部
301が当接面531に当接することはない。即ち、入
力部材27の後方への移動において、第1当接部301
と第2当接部302とは一体的に後方へ移動する。
【0079】この通常ブレーキ作用において、ブレーキ
ペダル31から入力部材27に加えられている入力は図
3中に示した値Fi1であり、出力ロッド27からマス
ターシリンダに付与される出力は図3に示した値Fo1
である。即ち、入力Fi1でのブレーキ操作によって生
じるパワーピストン22の第1の推進力は、出力ロッド
55を介して主出力Fo1として装置外に出力される。
【0080】ブレーキペダル31から入力部材27に加
えられる入力が図3の値Fi3未満の値に増加される
と、入力部材27がパワーピストン22に対して前進
し、大気流入制御用環状弁座37が再び弁部材45の可
動部41から離間し(弁機構36が出力増加作用状態に
切り換わる)、大気が変圧室24,26に流入して変圧
室24,26の圧力が上昇し、可動壁17,20とパワ
ーピストン22の前進力が増加し、可動壁17,20、
パワーピストン22及び出力ロッド55がハウジング1
4に対して更に前進する。また、パワーピストン22が
入力部材27に対し前進することにより弁部材45の可
動部41が大気流入制御用環状弁座37に接近し、やが
て弁部材45の可動部41が大気流入制御用環状弁座3
7に再び当接して変圧室24,26への大気流入が停止
され(弁機構36が出力保持作用状態に切り換わる)、
可動壁17,20とパワーピストン22の前進力が増加
が停止する。
【0081】ブレーキペダル31から入力部材27に加
えられる入力が図3の値Fi1よりも大きい値まで減少
されると、入力部材27がパワーピストン22に対して
後退され、弁部材45の可動部41がパワーピストン2
2に対して後退されて可動部41が第1の大気流出制御
用環状弁座38から離間し(弁機構36が出力減少作用
状態に切り換わる)、変圧室24,26がフロント定圧
室23に連通されて変圧室24,26内の大気が負圧源
により定圧室23を介して排出され、変圧室24,26
の圧力が低下して可動壁17,20とパワーピストン2
2の前進力が減少し、可動壁17,20、パワーピスト
ン22及び出力ロッド55がハウジング14に対して後
退する。その際、パワーピストン22は入力部材27に
対しても後退し、大気流出制御用環状弁座38が弁部材
45の可動部41に接近し、やがて大気流出制御用環状
弁座38が弁部材45の可動部41に当接して変圧室2
4,26からの大気流出が停止され(弁機構36が出力
保持作用状態に切り換わる)、可動壁17,20とパワ
ーピストン22の前進力の減少が停止される。
【0082】図3に示した入力の値Fi3は、変圧室2
4,26の圧力が大気圧になる入力値を示す。入力が値
Fi1から値Fi3の範囲においては、出力ロッド55
からマスタシリンダに加えられる出力の変化量は入力部
材27に加えられる入力の変化量より大きい。入力に対
する出力の比率、換言すれば、入力部材27に加えられ
る入力の変化量とこの入力の変化量に応じた出力ロッド
55が出力する主出力の変化量との比、即ち、図3に示
す通常ブレーキ作用時の特性線における入力Fi1から
Fi3での傾きは、リアクションディスク54からの反
力が作用する入力部材27における第1、第2当接部3
01、302の前面の面積に対する出力ロッド55の後
端部56の後面とリアクションディスク54の前面との
当接面積の比率に一致する。
【0083】図3において、入力が値Fi3のときの出
力は値Fo4である。入力が値Fi3から更に増加され
た場合、出力が入力の増加分だけ増加する。尚、図3に
おいて、縦軸の単位長さあたりの力の変化量は横軸の単
位長さあたりの力の変化量より大きいものである。縦軸
の単位長さあたりの力の変化量と横軸の単位長さあたり
の力の変化量を一致させて描いたならば、入力が値Fi
3より大きい場合の入力−出力の相関を示す線が45度
の勾配となる。
【0084】ブレーキペダル31が踏み込まれて入力部
材27、可動壁17,20、パワーピストン22及び出
力ロッド55がハウジング14に対して前進している状
態では、キー部材32が後側シェル12から離間してい
る。通常ブレーキ作用を解除するために運転者がブレー
キペダル31の踏み込みを解除すると、入力部材27が
リアクションディスク54から付与される反力とスプリ
ング59によってパワーピストン22に対して、フラン
ジ部34の後面がキー部材32の前面に当接した位置に
後退される。これにより、弁部材45の可動部41がパ
ワーピストン22に対して後退され、可動部41が大気
流出制御用環状弁座38から離間され(弁機構36が出
力減少作用状態に切り換わる)、変圧室24,26内の
大気が負圧源により定圧室23を介して迅速に排出さ
れ、変圧室24,26の迅速な圧力低下に応じて入力部
材27、可動壁17,20、パワーピストン22及び出
力ロッド55がハウジング14に対して迅速に後退され
る。
【0085】入力部材27、可動壁17,20、パワー
ピストン22及び出力ロッド55のハウジング14に対
する後退により、やがてキー部材32が後側シェル12
に当接し、入力部材27のハウジング14に対する後退
が停止される。これに対し、可動壁17,20、パワー
ピストン22及び出力ロッド55のハウジング14に対
する後退は、パワーピストン22のハウジング14に対
する後退限位置、即ちパワーピストン22の半径方向孔
33の前側壁がキー部材32の前面に当接し且つキー部
材32の両端部の後面が後側シェル12に当接した位置
まで継続される。これにより、パワーピストン22の大
気流出制御用環状弁座38が弁部材45の可動部41に
接近し、大気流出制御用環状弁座38と可動部41との
間にg分の小さな隙間が存在する非作動状態になる。大
気流出制御用環状弁座38と可動部41との間の隙間が
小さいことにより、次回の作動時に弁機構36が出力減
少作用状態から出力保持作用状態を経て出力増加作用状
態に切り換わるのに必要とされる入力部材27の前進量
は小さく、従ってブレーキペダル31の踏み込み時の遊
びが小さく応答性が良い。
【0086】尚、リアクションディスク54は、パワー
ピストン22と出力ロッド55との間で伝達する力が減
少することにより、自己の弾性により図2に示す状態に
復元する。
【0087】次に、緊急ブレーキ作用のために運転者が
ブレーキペダル31を入力Fi1で急速に踏み込むと、
入力部材27がパワーピストン22に対して前進し、弁
部材45の可動部41がパワーピストン22の第1の大
気流出制御用環状弁座38に当接してリア変圧室26を
フロント定圧室23から遮断する。つまり、弁機構36
が出力減少作用状態から出力保持作用状態に切り換わ
る。
【0088】この入力部材27の前進時には、入力部材
27の前端面、即ち、第1、第2当接部301、302
の前面とリアクションディスク54の後面との間には隙
間が残存しており、この隙間はa−g分に略等しい。
又、第1当接部301の後面と当接部531とは略e+
gの距離で離間している。
【0089】次いで、更なる入力部材27の距離α分の
前進により、大気流入制御用環状弁座37が弁部材45
の可動部41から離間してリア変圧室26を大気と連通
し、弁機構36が出力増加作用状態に切り換わる。この
ブレーキペダル31の操作と併行して、電子制御装置が
ソレノイドコイル49に通電することにより、自動作動
機構48が作動される。
【0090】ソレノイドコイル49に通電されると、プ
ランジャ52とヨーク50との間に電磁吸引力が発生
し、プランジャ52がパワーピストン22に対して後退
されて弁座部材40を距離fだけ後退させ、弁座部材4
0の大気流出制御用環状弁座39が弁部材45の可動部
41に当接し且つ弁座部材40が可動部41をパワーピ
ストン22に対して後退させる。このような作動によ
り、弁部材45の可動部41がパワーピストン22の大
気流出制御用環状弁座38から離間されるが、弁座部材
40の補助大気流出制御用環状弁座39が可動部41に
当接していることにより変圧室24,26と定圧室23
との遮断状態が維持されたまま大気流入制御用環状弁座
37と弁部材45の可動部41との間の隙間がαからα
+f−iの距離分に増大される。
【0091】従って、ブレーキペダル31の操作及び自
動作動機構48の作動により、大気が迅速に変圧室2
4,26に流入し、変圧室24,26の圧力が迅速に上
昇して可動壁17,20、パワーピストン22及び出力
ロッド55がハウジング14に対して迅速に前進する。
【0092】パワーピストン22のハウジング14に対
する前進により、パワーピストン22は入力部材27に
対しても前進することにより、弁部材45の可動部41
が大気流入制御用環状弁座37に接近する。又、パワー
ピストン22の前進により、リアクションディスク54
がその中心部の後面と入力部材27の前端面、即ち、第
1、第2当接部301、302との間の略a−g−α分
ある隙間を減少するように案内部材53の内部に進入
し、第1、第2当接部301、302の前面に当接して
リアクションディスク54がパワーピストン22の前進
力及び入力部材27の前進力を出力ロッド55に伝達す
ると共に出力ロッド55からの出力に対応した反力を、
入力部材27に同入力部材27をパワーピストン22に
対して後退させるように付与するようになる。この入力
部材27がリアクションディスク54から反力を受けて
パワーピストン22に対して後方に移動されようとする
状態において、第1当接部301の後面と当接面531
との間には、略e+g+α分の隙間が存在している。
【0093】リアクションディスク54から反力を付与
されることによって入力部材27はパワーピストン22
に対して後方に略α+f−iの距離分移動され、この入
力部材27の後方への移動に際して、第1当接部301
の後面と当接面531との間の略e+g+α分の隙間
は、初期状態においてe+g≦fとして設定されている
ことからわかるように0となる。即ち、第1当接部30
1の後面と当接面531とが当接することになる。
【0094】第1当接部301の後面が当接面531に
当接することから、第1当接部301は本体部30aひ
いては第2当接部302との一体的な後方への移動、即
ち、パワーピストン22に対する後方への移動が規制さ
れる。第1当接部301の後方への移動が規制されるこ
とによって、リアクションディスク54はもはや第1当
接部301を後方へ移動させることができなくなり、入
力部材27においてリアクションディスク54からの反
力が作用する当接面は、第2当接部302の前面のみと
なる。リアクションディスク54は第1当接部301の
中心穴301a内に進入して第2当接部302の前面に
のみ作用し、第1当接部301を除く入力部材27を後
方側へ移動させる。
【0095】パワーピストン22のハウジング14に対
する前進及び入力部材27のパワーピストン22に対す
る後退によってパワーピストン22が入力部材27に対
して前進することにより、やがて可動部41が大気流入
制御用環状弁座37に当接して弁機構36が出力保持作
用状態となる。このときの入力部材27のパワーピスト
ン22に対する前後方向位置は、通常ブレーキ作用での
同じときの前後方向位置に対して変位量fから図2にお
いて大気流出制御用環状弁座38と補助大気流出制御用
環状弁座39との間の距離量iを差し引いた距離だけ後
方に転移しており、リアクションディスク54の案内部
材53の内部への進入量が通常ブレーキ作用時の進入量
よりも大きい。つまり、パワーピストン22からリアク
ションディスク54を介して出力ロッド55に伝達され
ている前進力(出力ロッド55からマスターシリンダに
付与されている出力)が通常ブレーキ作用時よりも大き
いものであり、図3中の値Fo2である。言い換えれ
ば、入力Fi1でのブレーキ操作によって生じるパワー
ピストン22の第1の推進力は、出力ロッド55を介し
て出力Fo1として発揮されるが、自動作動機構48が
作動されることにより、パワーピストン22に第2の推
進力が生じ、出力ロッド55には[Fo2−Fo1]の
補助出力が付加されることになり、ブレーキブースタ1
0として、主出力Fo1と補助出力[Fo2−Fo1]
の和であるFo2を出力することになる。
【0096】出力が図3の値Fo2のときの変圧室2
4,26の圧力は大気圧よりも低い。従って、入力部材
27に加えられる入力が図3の値Fi2未満の値増加さ
れると、第1当接部301を除いた入力部材27がパワ
ーピストン22に対して前進されて弁機構36が出力保
持作用状態から出力増加作用状態に切り換わり、変圧室
24,26の圧力が上昇して出力が増加する。そして、
パワーピストン22が第1当接部301以外の入力部材
27に対して前進することにより弁機構36が出力増加
作用状態から出力保持作用状態に切り換わり、出力の増
加が停止する。
【0097】また、入力部材27の入力が減少される
と、第1当接部301を除いた入力部材27がリアクシ
ョンディスク54からの反力によりパワーピストン22
に対して後退され、弁機構36出力減少作用状態に切り
換わり、変圧室24,26の圧力が低下して出力が減少
する。そして、パワーピストン22が入力部材27に対
して後退することにより弁機構36が出力減少作用状態
から出力保持作用状態に切り換わり、出力の減少が停止
する。
【0098】図3の出力値Fo3は変圧室24,26の
圧力が大気圧にまで上昇したときの値を示しており、こ
のときの入力は値Fi2である。入力が値Fi1と値F
i2との間で変化される場合、入力に対する出力の比
率、換言すれば、入力部材27に加えられる入力の変化
量と、この入力の変化量に応じた出力ロッド55が出力
する主出力と補助出力との和である総出力の変化量との
比、即ち、図3に示す緊急ブレーキ作用時の特性線にお
ける入力Fi1からFi2での傾きは、リアクションデ
ィスク54からの反力が作用する入力部材27の第2当
接部302の前面の面積に対する出力ロッド55の後端
部56の後面とリアクションディスク54の前面の面積
の比率に一致する。入力が値Fi2より大きい範囲で
は、入力の変化分だけ出力が変化する。
【0099】ソレノイドコイル49が通電されている状
態において、運転者がブレーキペダル31の踏み込みを
解除すると、通常ブレーキ作用においてブレーキペダル
31の踏み込みが解除されたときと同様に、入力部材2
7がリアクションディスク54から付与される反力とス
プリング59によってパワーピストン22に対して後退
される。これにより弁機構36が出力減少作用状態に切
り換わり、変圧室24,26の圧力が低下して出力が減
少する。これにより、入力部材27、可動壁17、2
0、パワーピストン22及び出力ロッド55がハウジン
グ14に対して後退され、最終的には図1及び図2に示
す非作動状態に戻る。
【0100】電子制御装置はソレノイドコイル49を非
通電とする条件が成立したとき、ソレノイドコイル49
を非通電とする。これにより、弁座部材40とプランジ
ャ52が付勢スプリング47により図2に示す位置に復
帰され、自動作動機構48の作動が終了される。
【0101】以上説明したように、本実施の形態の負圧
式倍力装置10によれば、図3に示す通常ブレーキ作用
時における入出力比は、第1当接部301と第2当接部
302との前面とリアクションディスク54の後面との
当接面積πc2 と出力ロッド54の後端部56の後面と
リアクションディスク54の前面との当接面積πd2
の比により決定されており、自動作動機構48が作動さ
れる緊急ブレーキ作動時における入出力比は、第2当接
部302の前面とリアクションディスク54の後面との
当接面積πb2 と出力ロッド54の後端部56の後面と
リアクションディスク54の前面との当接面積πd2
の比により決定されている。本実施の形態における自動
作動機構48の作動時での入出力比は、通常作動時の入
出力比よりも大きくされている。
【0102】緊急ブレーキ作動時の入出力比は、第2当
接部302の前面の面積を適宜設定することにより変更
可能となる。
【0103】更に、通常ブレーキ作用時における入出力
比に比べて緊急ブレーキ作動時における入出力比を大き
くする場合に、本実施の形態の負圧式ブースタ10にお
いては、プランジャ52の移動量fを増大する必要がな
いことから、自動作動機構48を大型化する必要もな
い。
【0104】更に、従来の負圧式倍力装置においては、
入力部材に弾性部材を配設することにより入力部材が大
型化する虞が有ったが、本実施の形態の負圧式ブレーキ
ブースタ10においては、入力部材27に弾性部材等を
配設する必要がないことから、入力部材27が大型化す
る虞もない。
【0105】従って、小型化を可能とした負圧式ブレー
キブースタ10を提供することを可能としている。
【0106】(実施の形態2)図4は、本発明の一実施
の形態のタンデム型の車両用ブレーキブースタの弁機構
及び自動作動機構近辺の断面図である。実施の形態1と
同様の部材には同符号が付してある。入力部材27、弁
機構36及び自動作動機構48以外は実施の形態1と略
同様であるので説明は省略する。
【0107】入力部材27は、後方部材28と、後端を
後方部材28の前端のボール継手により連結されており
且つパワーピストン22により摺動可能に直接支持され
た中央部材29と、後端を中央部材29の前端に螺合さ
れ固定された前方部材30とから構成されており、後方
部材28の後端で図示しないブレーキペダルに連結され
る。
【0108】前方部材30は、その前端部に後述するリ
アクションディスク54に当接可能な環状の第1当接部
301と円柱状の第2当接部302とを有し、第1当接
部301と、第2当接部302及びフランジ部34を備
える本体部30aとから構成されている。第2当接部3
02は、第1当接部301の中心穴301a内に中心穴
301aの軸方向(図4中左右方向)に摺動可能に挿入
されている。
【0109】又、前方部材30の本体部30aには、第
2当接部302の後方側に連続して配設される第2当接
部302の径よりも大きい径を有する第1規制部として
の肩部303が形成されている。肩部303は、その前
部が第1当接部301の後面に当接することによって第
1当接部301の第2当接部302に対する、ひいては
本体部30aに対する後退限位置を規定している。
【0110】パワーピストン22に対する入力部材27
の前進限位置及び後退限位置を規定するためのキー部材
32が設置されている。キー部材32の中央部は前方部
材30のフランジ部34と中央部材29の前端との間に
位置している。パワーピストン22に対する入力部材2
7の前進限位置及び後退限位置とハウジング14に対す
る入力部材27の後退限位置は、実施の形態1のものと
同じである。パワーピストン22には、通路60,61
が形成されている。
【0111】弁機構36は、入力部材27及びパワーピ
ストン22に対して前進及び後退可能に設置されており
且つ後方に向いている大気流入制御用環状弁座37を有
した弁座部材40と、パワーピストン22に一体に形成
されており且つ後方に向いている大気流出制御用環状弁
座38と、大気流入制御用環状弁座37及び大気流出制
御用環状弁座38と対向する可動部41とリテーナー4
2によってパワーピストン22に気密的に固定される固
定部43とを有しており且つ可動部41がスプリング4
4によって前方に付勢されている筒状弁部材45とから
なる。入力部材27の中央部材29の外周には、中央部
材29と弁座部材40との間の気密を保つシール部材7
0が取付けられている。
【0112】パワーピストン22の前方部分の内部に
は、自動作動機構48が設置されている。この自動作動
機構48は、パワーピストン22に固定されたソレノイ
ドコイル49及び磁性体よりなるヨーク50とヨーク兼
リアクションディスク収容部材51と、磁性体からなる
プランジャ52とからなる。
【0113】ソレノイドコイル49はリード線によりハ
ウジング14の外部の電子制御装置と電気的に接続され
る。プランジャ52の後端は弁座部材40の前端と結合
されている。ソレノイドコイル49が通電される、即ち
自動作動機構48が作動されると、ヨーク兼リアクショ
ンディスク収容部材51とプランジャ52との間に電磁
吸引力が発生する。
【0114】自動作動機構48の非作動時に弁座部材4
0を入力部材27に対する後退限位置に位置させ且つこ
の後退限位置で両者を一体的に前進及び後退するように
連結するため、弁座部材40を入力部材27に対して後
方へ付勢するスプリング72が入力部材27の中央部材
29と弁座部材40との間に設置されると共に、プラン
ジャ52の内周部後端52aと入力部材27のフランジ
部34の前面とで対向当接部が構成されている。
【0115】自動作動機構48の作動時に弁座部材40
を入力部材27に対する前進位置に位置させ且つこの前
進位置で両者を一体的に後退可能となるように連結する
ため、弁座部材40及び中央部材29は自動作動機構4
8が作動された際に互いに当接する係合部40a、29
aを夫々備えている。
【0116】プランジャ52の前端52bとヨーク51
の後端51bとで対向当接部が構成されている。
【0117】ヨーク兼リアクションディスク収容部材5
1は、その前方側にリアクションディスク54を収容
し、その後方側部分で本体部30a、第1、第2当接部
301、302を摺動可能に案内している。ヨーク兼リ
アクションディスク収容部材51には、初期状態におい
て第1当接部301の後面と所定量eの距離で離間する
第2規制部としての当接面51aが配設されている。当
接面51aは、後述する自動作動機構48が作動された
際の入力部材27の後方への移動の際に第1当接部30
1と当接することにより、第1当接部301のパワーピ
ストン22に対する後方への移動を規制する。
【0118】ヨーク兼リアクションディスク収容部材5
1の後端51bとプランジャ52の前端52bとは、自
動作動機構48の非作動時、即ち、図4の状態において
所定量fの距離で離間している。又、係合部40a、2
9aは、自動作動機構48の非作動時、即ち、図4の状
態において、所定量fの距離で離間している。
【0119】図4に示す初期状態においては、大気流入
制御用環状弁座37を弁部材45の可動部41に当接さ
せ、且つ可動部41を第1の大気流出制御用環状弁座3
8から所定量gの距離分離間させた状態としている。
【0120】図4に示す初期状態における各所定量e、
f、gの関係は、e+g≦fとなるように設定されてい
る。
【0121】スプリング72の付勢力はスプリング44
の付勢力よりも大きい。そして、図4に示した距離f、
hは距離gよりも大きい。
【0122】この図4の実施形態の入力−出力特性は図
3の特性と同じであり、図3及び図4を用いて作動を説
明する。図4の状態は、通常ブレーキ作用及び緊急ブレ
ーキ作用を行っていない非作動状態を示しており、入力
部材27はハウジング14に対する後退限位置に位置
し、可動壁17、20とパワーピストン22及び出力ロ
ッド55はハウジング14に対する後退限位置に位置
し、弁機構36は、入力部材27に対して後退限位置に
位置する弁座部材40の大気流入制御用環状弁座37が
弁部材45の可動部41に当接して可動部41をパワー
ピストン22の大気流出制御用環状弁座38から離間さ
せた状態、つまり出力減少作用状態にあり、変圧室2
4,26の圧力が定圧室23,24の圧力に等しくなっ
ている。
【0123】通常ブレーキ作用のために運転者がブレー
キペダルを踏み込んで入力部材27に入力が加えられる
と、入力部材27のフランジ部34とプランジャ52の
内周後端部52aとが係合していることから、入力部材
27とプランジャ52及び弁座部材40が一体的にパワ
ーピストン22に対して前進され、弁部材45の可動部
41がパワーピストン22の大気流出制御用環状弁座3
8に当接し、弁機構36が出力保持作用状態に切り換わ
る。このときには第1当接部301及び第2当接部30
2とリアクションディスク54との間に隙間が残存して
おり、この隙間はa−g分に略等しい。又、第1当接部
301の後面と当接面51aとは略e+gの距離で離間
している。
【0124】次いで、出力保持作用状態から入力部材2
7がαの距離分で更に前進すると、大気流入制御用環状
弁座37が可動部41から離間し、弁機構36が出力増
加作用状態に切り換わり、大気が変圧室24、26に流
入して変圧室24、26の圧力が上昇し、可動壁17、
20とパワーピストン22及び出力ロッド55が一体的
にハウジング14に対して前進を開始する。
【0125】その際、パワーピストン22は入力部材2
7に対しても前進し、弁部材45の可動部41が大気流
入制御用環状弁座37に接近する。また、リアクション
ディスク54がその中心部の後面と入力部材27の前端
面、即ち、第1、第2当接部301、302との間の略
a−g−α分ある隙間を減少するように案内部材51の
内部に進入し、第1、第2当接部301、302の前面
に当接してリアクションディスク54がパワーピストン
22の前進力及び入力部材27の前進力を出力ロッド5
5に伝達すると共にパワーピストン22の推進力に対応
した反力を、入力部材27に同入力部材27をパワーピ
ストン22に対して後退させるように付与するようにな
る。この入力部材27がリアクションディスク54から
反力を受けてパワーピストン22に対して後方に移動さ
れようとする状態において、第1当接部301の後面と
当接面51aとの間には、略e+g+α分の隙間が存在
している。
【0126】パワーピストン22が入力部材27に対し
て前進することにより、やがて、弁部材45の可動部4
1が再び大気流入制御用環状弁座37に当接し変圧室2
4,26への大気の流入が停止される(弁機構36が出
力保持作用状態に切り換わる)。このとき、入力部材は
27は、パワーピストン22に対して略e+g+α未満
の、言い換えれば、略αの後方への移動を行っており、
従って、第1当接部301が当接面51aに当接するこ
とはない。即ち、入力部材27の後方への移動におい
て、第1当接部301と第2当接部302とは一体的に
後方へ移動する。この通常ブレーキ作用において、ブレ
ーキペダルから入力部材27に加えられている入力は図
3中に示した値Fi1であり、出力ロッド27からマス
ターシリンダに付与される出力は図3に示した値Fo1
である。即ち、入力Fi1でのブレーキ操作によって生
じるパワーピストン22の第1の推進力は、出力ロッド
55を介して主出力Fo1として装置外に出力される。
【0127】この後、入力部材27に加えられる入力が
図3の値Fi1と値Fi3との間で増減されることによ
り弁機構36が出力増加作用状態と出力保持作用状態及
び出力減少状態の間を切り換わることにより、入力値F
i1〜Fi3に対応した大きさの出力値Fo1〜Fo4
が出力ロッド55から出力される。また、入力がFi3
以上に増加されたときには入力の増加分だけ出力が増加
する。
【0128】入力部材27に加えられる入力が値Fi1
以上のときは、図1及び図2の実施形態と同様に、リア
クションディスク54から反力が第1、第2当接部30
1、302を介して入力部材27に付与される。
【0129】入力部材27に加えられていた入力が除去
されたときには、リアクションディスク54から入力部
材27に付与される反力及びスプリング59によって入
力部材27がパワーピストン22に対して後退され、弁
機構36が出力減少作用状態に切り換わるので、変圧室
24、26の大気が排出されて変圧室24、26の圧力
が低下し、可動壁17、20とパワーピストン22、入
力部材27及び出力ロッド55が一体的にハウジング1
4に対して後退を開始し、最終的に図4の位置に復帰さ
れる。
【0130】入力がFi1〜Fi3における入力に対す
る出力の比率、換言すれば、入力部材27に加えられる
入力の変化量とこの入力の変化量に応じた出力ロッド5
5が出力する主出力の変化量との比、即ち、図3に示す
通常ブレーキ作用時の特性線における入力Fi1からF
i3での傾きは、リアクションディスク54からの反力
が作用する入力部材27の第1、第2当接部301、3
02の前面の面積に対する出力ロッド55の後端部56
の後面とリアクションディスク54の前面との当接面積
の比率に一致する。
【0131】次に、緊急ブレーキ作用のために運転者が
ブレーキペダルを入力Fi1(図3中)で急速に踏み込
むと、入力部材27がパワーピストン22に対して前進
し、弁部材45の可動部41がパワーピストン22の第
1の大気流出制御用環状弁座38に当接してリア変圧室
26をフロント定圧室23から遮断する。つまり、弁機
構36が出力減少作用状態から出力保持作用状態に切り
換わる。
【0132】この入力部材27の前進時には、入力部材
27の前端面、即ち、第1、第2当接部301、302
の前面とリアクションディスク54の後面との間には隙
間が残存しており、この隙間はa−g分に略等しい。
又、第1当接部301の後面と当接面51aとは略e+
gの距離で離間している。
【0133】次いで、更なる入力部材27の距離α分の
前進により、大気流入制御用環状弁座37が弁部材45
の可動部41から離間してリア変圧室26を大気と連通
し、弁機構36が出力増加作用状態に切り換わる。この
ブレーキペダル31の操作と併行して、電子制御装置が
ソレノイドコイル49に通電することにより、自動作動
機構48が作動される。
【0134】ソレノイドコイル49に通電されると、プ
ランジャ52とヨーク兼リアクションディスク収容部材
51との間に電磁吸引力が発生し、プランジャ52がパ
ワーピストン22に対して前進されて弁座部材40を距
離fだけ前進させ、弁座部材40の大気流出制御用環状
弁座37を弁部材45の可動部41から、離間量αから
α+fへと更に離間させる。プランジャ52及び弁座部
材40が前進することにより、プランジャ52の前端部
52bはヨーク兼リアクションディスク収容部材51の
後端部51bに当接し、弁座部材40の係合部40aは
中央部材29の係合部29aに当接し、弁座部材40の
入力部材27に対する前方への移動を規制することにな
る。このような作動により大気流入制御用環状弁座37
と弁部材45の可動部41との間の隙間が最大量に増大
される。従って、ブレーキペダルの操作及び自動作動機
構48の作動により、大気が迅速に変圧室24,26に
流入し、変圧室24,26の圧力が迅速に上昇し、可動
壁17,20、パワーピストン22及び出力ロッド55
がハウジング14に対して迅速に前進する。
【0135】ハウジング14に対する可動壁17、20
及びパワーピストン22の前進により、パワーピストン
22が入力部材27に対しても前進することにより、弁
部材45の可動部41が大気流入制御用環状弁座37に
接近する。又、パワーピストン22の前進により、リア
クションディスク54がその中心部の後面と入力部材2
7の前端面、即ち、第1、第2当接部301、302と
の間の略a−g−α分ある隙間を減少するように案内部
材53の内部に進入し、第1、第2当接部301、30
2の前面に当接してリアクションディスク54がパワー
ピストン22の前進力及び入力部材27の前進力を出力
ロッド55に伝達すると共に出力ロッド55からの出力
に対応した反力を、入力部材27に同入力部材27をパ
ワーピストン22に対して後退させるように付与するよ
うになる。この入力部材27がリアクションディスク5
4から反力を受けてパワーピストン22に対して後方に
移動されようとする状態において、第1当接部301の
後面と当接面51aとの間には、略e+g+α分の隙間
が存在している。
【0136】リアクションディスク54から反力を付与
されることによって入力部材27、入力部材27に係合
している弁座部材40はパワーピストン22に対して後
方に略f+αの距離分移動され、この入力部材27の後
方への移動に際して、第1当接部301の後面と当接面
51aとの間の略e+g+α分の隙間は、初期状態にお
いてe+g≦fとして設定されていることからわかるよ
うに0となる。即ち、第1当接部301の後面と当接面
51aとが当接することになる。
【0137】第1当接部301の後面が当接面51aに
当接することから、第1当接部301は本体部30aひ
いては第2当接部302との一体的な後方への移動、即
ち、パワーピストン22に対する後方への移動が規制さ
れる。第1当接部301の後方への移動が規制されるこ
とによって、リアクションディスク54はもはや第1当
接部301を後方へ移動させることができなくなり、入
力部材27においてリアクションディスク54からの反
力が作用する当接面は、第2当接部302の前面のみと
なる。リアクションディスク54は第1当接部301の
中心穴301a内に進入して第2当接部302の前面に
のみ作用し、第1当接部301を除く入力部材27を後
方側へ移動させる。
【0138】パワーピストン22が入力部材27に対し
て前進することにより、やがては可動部41が大気流入
制御用環状弁座37に当接して弁機構36が出力保持作
用状態となる。このときの入力部材27のパワーピスト
ン22に対する前後方向位置は、通常ブレーキ作用での
同じときの前後方向位置に対して変位量fだけ後方に転
移しており、リアクションディスク54のヨーク兼リア
クションディスク収容部材51の内部への進入量が通常
ブレーキ作用時の進入量よりも大きい。つまり、パワー
ピストン22からリアクションディスク54を介して出
力ロッド55に伝達されている前進力(出力ロッド55
からマスターシリンダに付与されている出力)が通常ブ
レーキ作用時よりも大きいものであり、図3中の値Fo
2である。言い換えれば、入力Fi1でのブレーキ操作
によって生じるパワーピストン22の第1の推進力は、
出力ロッド55を介して出力Fo1として発揮される
が、自動作動機構48が作動されることにより、パワー
ピストン22に第2の推進力が生じ、出力ロッド55に
は[Fo2−Fo1]の補助出力が付加されることにな
り、ブレーキブースタ10として、主出力Fo1と補助
出力[Fo2−Fo1]の和であるFo2を出力するこ
とになる。
【0139】出力が図3の値Fo2のときの変圧室2
4,26の圧力は大気圧よりも低い。従って、入力部材
27に加えられる入力が図3の値Fi2未満の値増加さ
れると、入力部材27がパワーピストン22に対して前
進されて弁機構36が出力保持作用状態から出力増加作
用状態に切り換わり、変圧室24,26の圧力が上昇し
て出力が増加する。そして、パワーピストン22が第1
当接部301以外の入力部材27に対して前進すること
により弁機構36が出力増加作用状態から出力保持作用
状態に切り換わり、出力の増加が停止する。
【0140】また、入力部材27の入力が減少される
と、第1当接部301を除いた入力部材27がリアクシ
ョンディスク54からの反力によりパワーピストン22
に対して後退され、弁機構36が出力減少作用状態に切
り換わり、変圧室24,26の圧力が低下して出力が減
少する。そして、パワーピストン22が入力部材27に
対して後退することにより弁機構36が出力減少作用状
態から出力保持作用状態に切り換わり、出力の減少が停
止する。
【0141】図3の出力値Fo3は変圧室24,26の
圧力が大気圧にまで上昇したときの値を示しており、こ
のときの入力は値Fi2である。入力が値Fi1と値F
i2との間で変化される場合、入力に対する出力の比
率、換言すれば、入力部材27に加えられる入力の変化
量と、この入力の変化量に応じた出力ロッド55が出力
する主出力と補助出力との和である総出力の変化量との
比、即ち、図3に示す緊急ブレーキ作用時の特性線にお
ける入力Fi1からFi2での傾きは、リアクションデ
ィスク54からの反力が作用する入力部材27の第2当
接部302の前面の面積とリアクションディスク54の
前面の面積の比率に一致する。入力が値Fi2より大き
い範囲では、入力の変化分だけ出力が変化する。
【0142】ソレノイドコイル49が通電されている状
態において、運転者がブレーキペダルの踏み込みを解除
すると、通常ブレーキ作用においてブレーキペダルの踏
み込みが解除されたときと同様に、入力部材27、入力
部材27に係合している弁部材40がリアクションディ
スク54から付与される反力とスプリング59によって
パワーピストン22に対して後退される。これにより弁
機構36が出力減少作用状態に切り換わり、変圧室2
4,26の圧力が低下して出力が減少する。これによ
り、入力部材27、可動壁17,20、パワーピストン
22及び出力ロッド55がハウジング14に対して後退
され、最終的には図4に示す非作動状態に戻る。
【0143】電子制御装置はソレノイドコイル49を非
通電とする条件が成立したとき、ソレノイドコイル49
を非通電とする。これにより、弁座部材40とプランジ
ャ52が付勢スプリング72により後退されて図4に示
す位置に復帰され、自動作動機構48の作動が終了され
る。
【0144】その他の作用効果は、実施の形態1と同様
であるので説明は省略する。
【0145】(実施の形態3)図5は、本発明の一実施
の形態のタンデム型の車両用ブレーキブースタの弁機構
及び自動作動機構近辺の断面図である。実施の形態1と
同様の部材には同符号が付してある。入力部材27、弁
機構36及び自動作動機構48以外は実施の形態1と略
同様であるので説明は省略する。
【0146】入力部材27は、後方部材28と、後端を
後方部材28の前端のボール継手により連結されており
且つパワーピストン22により摺動可能に直接支持され
た中央部材29と、後端を中央部材29の前端に螺合さ
れ固定された前方部材30とから構成されており、後方
部材28の後端で図示しないブレーキペダルに連結され
る。
【0147】前方部材30は、その前端部に後述するリ
アクションディスク54に当接可能な環状の第1当接部
301と円柱状の第2当接部302とを有し、第1当接
部301と、第2当接部302及びフランジ部34を備
える本体部30aとから構成されている。第2当接部3
02は、第1当接部301の中心穴301a内に中心穴
301aの軸方向(図5中左右方向)に摺動可能に挿入
されている。
【0148】又、前方部材30の本体部30aには、第
2当接部302の後方側に連続して配設される第2当接
部302の径よりも大きな径を有する第1規制部として
の肩部303が形成されている。肩部303は、その前
部が第1当接部301の後面に当接することによって第
1当接部301の第2当接部302、ひいては本体部3
0aに対する後退限位置を規定している。
【0149】パワーピストン22に対する入力部材27
の前進限位置及び後退限位置を規定するためのキー部材
32が設置されている。キー部材32の中央部は前方部
材30のフランジ部34と中央部材29の前端との間に
位置している。パワーピストン22に対する入力部材2
7の前進限位置及び後退限位置とハウジング14に対す
る入力部材27の後退限位置は、実施の形態1のものと
同じである。パワーピストン22には、通路60,61
が形成されている。
【0150】弁機構36は、入力部材27及びパワーピ
ストン22に対して前進及び後退可能に設置されており
且つ後方に向いている大気流入制御用環状弁座37を有
した弁座部材40と、パワーピストン22に一体に形成
されており且つ後方に向いている大気流出制御用環状弁
座38と、大気流入制御用環状弁座37及び大気流出制
御用環状弁座38と対向する可動部41とリテーナー4
2によってパワーピストン22に気密的に固定される固
定部43とを有しており且つ可動部41がスプリング4
4によって前方に付勢されている筒状弁部材45とから
なる。入力部材27の中央部材29の外周には、中央部
材29と弁座部材40との間の気密を保つシール部材7
0が取付けられている。
【0151】パワーピストン22の前方部分の内部に
は、自動作動機構48が設置されている。この自動作動
機構48は、パワーピストン22に対し前進及び後退が
できるように設置されたソレノイドコイル49と、パワ
ーピストン22に対し前進及び後退ができるように設置
された磁性体よりなるヨーク50,71と、磁性体から
なるプランジャ52とからなる。
【0152】ソレノイドコイル49はリード線によりハ
ウジング14の外部の電子制御装置と電気的に接続され
る。プランジャ52の後端は弁座部材40の前端と結合
されている。ソレノイドコイル49が通電される、即ち
自動作動機構48が作動されると、ヨーク71とプラン
ジャ52との間に電磁吸引力が発生する。
【0153】自動作動機構48の非作動時に弁座部材4
0を入力部材27に対する後退限位置に位置させ且つこ
の後退限位置で両者を一体的に前進及び後退するように
連結するため、弁座部材40を入力部材27に対して後
方へ付勢するスプリング72が入力部材27の中央部材
29と弁座部材40との間に設置されると共に、プラン
ジャ52の内周部後端52aと入力部材27のフランジ
部34の前面とで対向当接部が構成されている。
【0154】自動作動機構48の作動時に弁座部材40
を入力部材27に対する前進位置に位置させ且つこの前
進位置で両者を一体的に後退可能となるように連結する
ため、弁座部材40及び中央部材29は自動作動機構4
8が作動された際に互いに当接する係合部40a、29
aを夫々備えている。
【0155】更に、入力部材27の前進及び後退に伴っ
て自動作動機構48が入力部材27と一体的に移動可能
となるように、入力部材27の前方部材30の外周に固
定されたストッパ73とヨーク71の内周部前端71a
とで対向当接部が構成され、入力部材27に対してヨー
ク71を前方へ付勢するスプリング74が入力部材27
のフランジ部34とヨーク71との間に設置されてい
る。
【0156】プランジャ52の前端52bとヨーク71
の内周部後端71bとで対向当接部が構成されている。
【0157】リアクションディスク収容部材51は、そ
の前方側にリアクションディスク54を収容し、その後
方側部分で本体部30a、第1、第2当接部301、3
02を摺動可能に案内している。リアクションディスク
収容部材51には、初期状態において第1当接部301
の後面と所定量eの距離で離間する第2規制部としての
当接面51aが配設されている。当接面51aは、後述
する自動作動機構48が作動された際の入力部材27の
後方への移動の際に第1当接部301と当接することに
より、第1当接部301のパワーピストン22に対する
後方への移動を規制する。
【0158】ヨーク71の後端71bとプランジャ52
の前端52bとは、自動作動機構48の非作動時、即
ち、図5の状態において所定量fの距離で離間してい
る。又、係合部40a、29aは、自動作動機構48の
非作動時、即ち、図5の状態において、所定量fの距離
で離間している。
【0159】図5に示す初期状態においては、大気流入
制御用環状弁座37を弁部材45の可動部41に当接さ
せ、且つ可動部41を第1の大気流出制御用環状弁座3
8から所定量gの距離分離間させた状態としている。
【0160】図5に示す初期状態における各所定量e、
f、gの関係は、e+g≦fとなるように設定されてい
る。
【0161】スプリング74の付勢力はスプリング72
の付勢力よりも大きく且つ自動作動機構48のパワーピ
ストン22及び入力部材27に対する摺動抵抗よりも大
きく、またスプリング72の付勢力はスプリング44の
付勢力よりも大きい。そして、図5に示した距離f、h
は距離gよりも大きく、距離iは距離δよりも大きい。
更に、図5に示した距離jは図5において距離aよりも
大きい。
【0162】この図5の実施形態の入力−出力特性は図
3の特性と同じであり、図3及び図5を用いて作動を説
明する。図5の状態は、通常ブレーキ作用及び緊急ブレ
ーキ作用を行っていない非作動状態を示しており、入力
部材27はハウジング14に対する後退限位置に位置
し、可動壁17、20とパワーピストン22及び出力ロ
ッド55はハウジング14に対する後退限位置に位置
し、弁機構36は、入力部材27に対して後退限位置に
位置する弁座部材40の大気流入制御用環状弁座37が
弁部材45の可動部41に当接して可動部41をパワー
ピストン22の大気流出制御用環状弁座38から離間さ
せた状態、つまり出力減少作用状態にあり、変圧室2
4,26の圧力が定圧室23,24の圧力に等しくなっ
ている。
【0163】通常ブレーキ作用のために運転者がブレー
キペダルを踏み込んで入力部材27に入力が加えられる
と、入力部材27のフランジ部34とプランジャ52の
内周後端部52aとが係合していることから、入力部材
27とプランジャ52及び弁座部材40が一体的にパワ
ーピストン22に対して前進され、弁部材45の可動部
41がパワーピストン22の大気流出制御用環状弁座3
8に当接し、弁機構36が出力保持作用状態に切り換わ
る。又、入力部材27の前進に伴ってスプリング74に
付勢されることにより、ヨーク71、50、及びソレノ
イド49も入力部材27と一体的に前進する。このとき
には第1当接部301及び第2当接部302とリアクシ
ョンディスク54との間に隙間が残存しており、この隙
間はa−g分に略等しい。又、第1当接部301の後面
と当接面51aとは略e+gの距離で離間している。加
えて、リアクションディスク収容部材51とヨーク71
との間にも依然として隙間が残存しており、この隙間は
j−g分に略等しい。
【0164】次いで、出力保持作用状態から入力部材2
7がαの距離分で更に前進すると、大気流入制御用環状
弁座37が可動部41から離間し、弁機構36が出力増
加作用状態に切り換わり、大気が変圧室24、26に流
入して変圧室24、26の圧力が上昇し、可動壁17、
20とパワーピストン2及び出力ロッド55が一体的に
ハウジング14に対して前進を開始する。
【0165】その際、パワーピストン22は入力部材2
7に対しても前進し、弁部材45の可動部41が大気流
入制御用環状弁座37に接近する。また、リアクション
ディスク54がその中心部の後面と入力部材27の前端
面、即ち、第1、第2当接部301、302との間の略
a−g−α分ある隙間を減少するようにリアクションデ
ィスク収容部材51の内部に進入し、第1、第2当接部
301、302の前面に当接してリアクションディスク
54がパワーピストン22の前進力及び入力部材27の
前進力を出力ロッド55に伝達すると共に出力ロッド5
5からの出力に対応した反力を、入力部材27に同入力
部材27をパワーピストン22に対して後退させるよう
に付与するようになる。この入力部材27がリアクショ
ンディスク54から反力を受けてパワーピストン22に
対して後方に移動されようとする状態において、第1当
接部301の後面と当接面51aとの間には、略e+g
+α分の隙間が存在している。
【0166】パワーピストン22が入力部材27に対し
て前進することにより、やがて、弁部材45の可動部4
1が再び大気流入制御用環状弁座37に当接し変圧室2
4,26への大気の流入が停止される(弁機構36が出
力保持作用状態に切り換わる)。このとき、入力部材は
27は、パワーピストン22に対して略e+g+α未
満、言い換えれば、略α分の後方への移動を行ってお
り、従って、第1当接部301が当接面51aに当接す
ることはない。即ち、入力部材27の後方への移動にお
いて、第1当接部301と第2当接部302とは一体的
に後方へ移動する。この通常ブレーキ作用において、ブ
レーキペダル31から入力部材27に加えられている入
力は図3中に示した値Fi1であり、出力ロッド27か
らマスターシリンダに付与される出力は図3に示した値
Fo1である。即ち、入力Fi1でのブレーキ操作によ
って生じるパワーピストン22の第1の推進力は、出力
ロッド55を介して主出力Fo1として装置外に出力さ
れる。
【0167】この後、入力部材27に加えられる入力が
図3の値Fi1と値Fi3との間で増減されることによ
り弁機構36が出力増加作用状態と出力保持作用状態及
び出力減少状態の間を切り換わることにより、入力値F
i1〜Fi3に対応した大きさの出力値Fo1〜Fo4
が出力ロッド55から出力される。また、入力がFi3
以上に増加されたときには入力の増加分だけ出力が増加
する。
【0168】入力部材27に加えられる入力が値Fi1
以上のときは、図1及び図2の実施形態と同様に、リア
クションディスク54から反力が第1、第2当接部30
1、302を介して入力部材27に付与される。
【0169】入力部材27に加えられていた入力が除去
されたときには、リアクションディスク54から入力部
材27に付与される反力及びスプリング59によって入
力部材27がパワーピストン22に対して後退され、弁
機構36が出力減少作用状態に切り換わるので、変圧室
24、26の大気が排出されて変圧室24、26の圧力
が低下し、可動壁17、20とパワーピストン22、入
力部材27及び出力ロッド55が一体的にハウジング1
4に対して後退を開始し、最終的に図5の位置に復帰さ
れる。入力部材27に配設されているストッパ73がヨ
ーク71に係合することから、入力部材27の後退に伴
ってヨーク50、71及びソレノイド49も入力部材2
7と一体的に後退することになる。
【0170】入力がFi1〜Fi3における入力に対す
る出力の比率、換言すれば、入力部材27に加えられる
入力の変化量とこの入力の変化量に応じた出力ロッド5
5が出力する主出力の変化量との比、即ち、図3に示す
通常ブレーキ作用時の特性線における入力Fi1からF
i3での傾きは、リアクションディスク54からの反力
が作用する入力部材27の第1、第2当接部301、3
02の前面の面積に対する出力ロッド55の後端部56
の後面とリアクションディスク54の前面との当接面積
の比率に一致する。
【0171】次に、緊急ブレーキ作用のために運転者が
ブレーキペダルを入力Fi1(図3中)で急速に踏み込
むと、入力部材27、弁座部材40、及び自動作動機構
48がパワーピストン22に対して前進され、通常ブレ
ーキ作用の説明において述べたようにして、弁機構36
が出力減少作用状態から出力保持作用状態に切り換わ
る。
【0172】この入力部材27の前進時には、入力部材
27の前端面、即ち、第1、第2当接部301、302
の前面とリアクションディスク54の後面との間には隙
間が残存しており、この隙間はa−g分に略等しい。
又、第1当接部301の後面と当接面51aとは略e+
gの距離で離間している。
【0173】次いで、更なる入力部材27の距離α分の
前進により、大気流入制御用環状弁座37が弁部材45
の可動部41から離間してリア変圧室26を大気と連通
し、弁機構36が出力増加作用状態に切り換わる。この
ブレーキペダル31の操作と併行して、電子制御装置が
ソレノイドコイル49に通電することにより、自動作動
機構48が作動される。
【0174】ソレノイドコイル49に通電されると、プ
ランジャ52とヨーク71との間に電磁吸引力が発生
し、プランジャ52がパワーピストン22に対して前進
されて弁座部材40を距離fだけ前進させ、弁座部材4
0の大気流出制御用環状弁座37を弁部材45の可動部
41から、離間量αからα+fへと更に離間させる。プ
ランジャ52及び弁座部材40が前進することにより、
プランジャ52の前端部52bはヨーク71の後端部7
1bに当接し、弁座部材40の係合部40aは中央部材
29の係合部29aに当接し、弁座部材40の入力部材
27に対する前方への移動を規制することになる。この
ような作動により大気流入制御用環状弁座37と弁部材
45の可動部41との間の隙間が最大量に増大される。
従って、ブレーキペダルの操作及び自動作動機構48の
作動により、大気が迅速に変圧室24,26に流入し、
変圧室24,26の圧力が迅速に上昇し、可動壁17,
20、パワーピストン22及び出力ロッド55がハウジ
ング14に対して迅速に前進する。
【0175】ハウジング14に対する可動壁17、20
及びパワーピストン22の前進により、パワーピストン
22が入力部材27に対しても前進することにより、弁
部材45の可動部41が大気流入制御用環状弁座37に
接近する。又、パワーピストン22の前進により、リア
クションディスク54がリアクションディスク54がそ
の中心部の後面と入力部材27の前端面、即ち、第1、
第2当接部301、302との間の略a−g−α分ある
隙間を減少するように案内部材53の内部に進入し、第
1、第2当接部301、302の前面に当接してリアク
ションディスク54がパワーピストン22の前進力及び
入力部材27の前進力を出力ロッド55に伝達すると共
に出力ロッド55からの出力に対応した反力を、入力部
材27に同入力部材27をパワーピストン22に対して
後退させるように付与するようになる。この入力部材2
7がリアクションディスク54から反力を受けてパワー
ピストン22に対して後方に移動されようとする状態に
おいて、第1当接部301の後面と当接面51aとの間
には、略e+g+α分の隙間が存在している。
【0176】リアクションディスク54から反力を付与
されることによって入力部材27、入力部材27に係合
している弁座部材40及び自動作動機構48はパワーピ
ストン22に対して後方に略f+αの距離分移動され、
この入力部材27の後方への移動に際して、第1当接部
301の後面と当接面51aとの間の略e+g+α分の
隙間は、初期状態においてe+g≦fとして設定されて
いることからわかるように0となる。即ち、第1当接部
301の後面と当接面51aとが当接することになる。
【0177】第1当接部301の後面が当接面51aに
当接することから、第1当接部301は本体部30aひ
いては第2当接部302との一体的な後方への移動、即
ち、パワーピストン22に対する後方への移動が規制さ
れる。第1当接部301の後方への移動が規制されるこ
とによって、リアクションディスク54はもはや第1当
接部301を後方へ移動させることができなくなり、入
力部材27においてリアクションディスク54からの反
力が作用する当接面は、第2当接部302の前面のみと
なる。リアクションディスク54は第1当接部301の
中心穴301a内に進入して第2当接部302の前面に
のみ作用し、第1当接部301を除く入力部材27と、
入力部材27に係合している弁座部材40及び自動作動
機構48を後方側へ移動させる。
【0178】パワーピストン22が入力部材27に対し
て前進することにより、やがては可動部41が大気流入
制御用環状弁座37に当接して弁機構36が出力保持作
用状態となる。このときの入力部材27のパワーピスト
ン22に対する前後方向位置は、通常ブレーキ作用での
同じときの前後方向位置に対して変位量fの距離だけ後
方に転移しており、リアクションディスク54のリアク
ションディスク収容部材51の内部への進入量が通常ブ
レーキ作用時の進入量よりも大きい。つまり、パワーピ
ストン22からリアクションディスク54を介して出力
ロッド55に伝達されている前進力(出力ロッド55か
らマスターシリンダに付与されている出力)が通常ブレ
ーキ作用時よりも大きいものであり、図3中の値Fo2
である。言い換えれば、入力Fi1でのブレーキ操作に
よって生じるパワーピストン22の第1の推進力は、出
力ロッド55を介して出力Fo1として発揮されるが、
自動作動機構48が作動されることにより、パワーピス
トン22に第2の推進力が生じ、出力ロッド55には
[Fo2−Fo1]の補助出力が付加されることにな
り、ブレーキブースタ10として、主出力Fo1と補助
出力[Fo2−Fo1]の和であるFo2を出力するこ
とになる。
【0179】出力が図3の値Fo2のときの変圧室2
4,26の圧力は大気圧よりも低い。従って、入力部材
27に加えられる入力が図3の値Fi2未満の値増加さ
れると、入力部材27がパワーピストン22に対して前
進されて弁機構36が出力保持作用状態から出力増加作
用状態に切り換わり、変圧室24,26の圧力が上昇し
て出力が増加する。そして、パワーピストン22が第1
当接部301以外の入力部材27に対して前進すること
により弁機構36が出力増加作用状態から出力保持作用
状態に切り換わり、出力の増加が停止する。
【0180】また、入力部材27の入力が減少される
と、第1当接部301を除いた入力部材27がリアクシ
ョンディスク54からの反力によりパワーピストン22
に対して後退され、弁機構36が出力減少作用状態に切
り換わり、後室24,26の圧力が低下して出力が減少
する。そして、パワーピストン22が入力部材27に対
して後退することにより弁機構36が出力減少作用状態
から出力保持作用状態に切り換わり、出力の減少が停止
する。
【0181】図3の出力値Fo3は変圧室24,26の
圧力が大気圧にまで上昇したときの値を示しており、こ
のときの入力は値Fi2である。入力が値Fi1と値F
i2との間で変化される場合、入力に対する出力の比
率、換言すれば、入力部材27に加えられる入力の変化
量と、この入力の変化量に応じた出力ロッド55が出力
する主出力と補助出力との和である総出力の変化量との
比、即ち、図3に示す緊急ブレーキ作用時の特性線にお
ける入力Fi1からFi2での傾きは、リアクションデ
ィスク54の後面と入力部材27の第2当接部302の
前面との当接面積に対する出力ロッド55の後端部56
の後面とリアクションディスク54の前面の面積の比率
に一致する。入力が値Fi2より大きい範囲では、入力
の変化分だけ出力が変化する。
【0182】ソレノイドコイル49が通電されている状
態において、運転者がブレーキペダルの踏み込みを解除
すると、通常ブレーキ作用においてブレーキペダルの踏
み込みが解除されたときと同様に、入力部材27、入力
部材27に係合している弁部材40及び自動作動機構4
8がリアクションディスク54から付与される反力とス
プリング59によってパワーピストン22に対して後退
される。これにより弁機構36が出力減少作用状態に切
り換わり、変圧室24,26の圧力が低下して出力が減
少する。これにより、入力部材27、可動壁17,2
0、パワーピストン22及び出力ロッド55がハウジン
グ14に対して後退され、最終的には図5に示す非作動
状態に戻る。
【0183】電子制御装置はソレノイドコイル49を非
通電とする条件が成立したとき、ソレノイドコイル49
を非通電とする。これにより、弁座部材40とプランジ
ャ52が付勢スプリング72により後退されて図5に示
す位置に復帰され、自動作動機構48の作動が終了され
る。
【0184】その他の作用効果は、実施の形態1と同様
であるので説明は省略する。
【0185】以上、本発明を上記実施の形態に則して説
明したが、本発明は上記態様にのみ限定されるものでは
なく、本発明の原理に準ずる各種態様を含むものであ
る。
【0186】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、例えば通常ブレーキ作用時における入出力比に
比べて緊急ブレーキ作動時における入出力比を大きくす
る場合に、従来技術のもののように自動作動機構を大型
化する必要がない。或は、入力部材が大型化することも
ない。
【0187】従って、小型化を可能とした負圧式倍力装
置を提供することを可能としている。
【0188】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
の効果に加えて、変化機構のよりよい形態を示してい
る。請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に
加えて、入力部材及び変化機構のよりよい形態を示して
いる。
【0189】請求項4の発明によれば、請求項3の効果
に加えて、第1当接部及び第2当接部のよりよい形態を
示すと共に、変化機構のよりよい形態を示している。
【0190】請求項5の発明によれば、請求項1〜4の
いずれか一に記載の効果に加えて、弁機構及び自動作動
機構のよりよい形態を示している。
【0191】請求項6の発明によれば、請求項1〜4の
いずれか一に記載の効果に加えて、弁機構及び自動作動
機構のよりよい形態を示している。
【0192】請求項7の発明によれば、請求項6の効果
に加えて、弁座部材と入力部材とのよりよい形態を示し
ている。
【0193】請求項8の発明によれば、請求項1〜4の
いずれか一に記載の効果に加えて、弁機構及び自動作動
機構のよりよい形態を示している。
【0194】請求項9の発明によれば、請求項8の効果
に加えて、弁座部材と入力部材とのよりよい形態を示し
ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の負圧式倍力装置10の断面図。
【図2】図1の一部拡大断面図。
【図3】実施の形態の負圧式倍力装置10の性能線図。
【図4】実施の形態2の負圧式倍力装置の一部拡大断面
図。
【図5】実施の形態3の負圧式倍力装置の一部拡大断面
図。
【符号の説明】
10 負圧式ブレーキブースタ 14 ハウジング 17、20 可動壁 23、25 定圧室 24、26 変圧室 22 パワーピストン 27 入力部材 29a 係合部 301 第1当接部 302 第2当接部 303 肩部 36 弁機構 37 大気流入制御用環状弁座 38 大気流出制御用環状弁座 40 弁座部材 40a 係合部 41 可動部 43 固定部 44 スプリング 45 弁部材 48 自動作動機構 49 ソレノイドコイル 50 ヨーク 51 リアクションディスク収容部材 51a、531 当接面 54 リアクションディスク 55 出力ロッド

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に少なくとも一つの圧力室を形成す
    るハウジングと、 前記ハウジング内に前記ハウジングに対して前進及び後
    退可能に設置され、前記圧力室を、負圧源に連通される
    前室と前記負圧源および大気に選択的に連通される後室
    とに分割する可動壁と、 前記可動壁に結合されたパワーピストンと、 前記パワーピストンの内部に前記パワーピストンに対し
    て前進及び後退可能に設置され、ブレーキ操作によって
    移動可能な入力部材と、 前記パワーピストン内に配設され、前記入力部材の移動
    に応じて、前記後室を前記前室に連通すると共に大気か
    ら遮断する出力減少作用状態と前記後室を前記前室及び
    大気から遮断する出力保持作用状態及び前記後室を前記
    前室から遮断して大気に連通する出力増加作用状態に切
    り換える弁機構と、 前記ブレーキ操作による前記可動壁の移動に伴った前記
    パワーピストンの第1の推進力を主出力として装置外に
    出力する出力部材と、 前記入力部材の移動とは独立して前記弁機構を前記出力
    増加作用状態とし、前記パワーピストンに第2の推進力
    を生じさせて前記出力部材に補助出力を付加する自動作
    動機構と、 前記入力部材と前記出力部材との間に配設され、前記パ
    ワーピストンに前記第1の推進力が生じた際に前記第1
    の推進力に応じた反力を前記入力部材に印加することに
    より前記入力部材を後方へ移動させて前記弁機構を前記
    出力増加作用状態から前記出力保持作用状態へと移行さ
    せるとともに、前記パワーピストンに前記第2の推進力
    が生じた際に前記第2の推進力に応じた反力を前記入力
    部材に印加することにより前記入力部材を後方へ移動さ
    せて前記弁機構を前記出力増加作用状態から前記出力保
    持作用状態へと移行させ、その後方側で前記入力部材に
    当接しその前方側で前記出力部材に当接し、前記入力部
    材における前記反力が作用する面積と前記出力部材との
    当接面積との比で前記ブレーキ操作に伴う入力と前記出
    力部材が出力する前記主出力と前記補助出力との和との
    比を決定する反力部材と、 前記自動作動機構の作動に伴って、前記入力部材におけ
    る前記反力が作用する面積と前記反力部材と前記出力部
    材との当接面積との比を変化させる変化機構と、 を備えた負圧式倍力装置。
  2. 【請求項2】 前記変化機構は、前記入力部材における
    前記反力が作用する面積を変化させる請求項1の負圧式
    倍力装置。
  3. 【請求項3】 前記入力部材は、前記反力部材に第1の
    面積で当接する第1当接部及び第2の面積で前記反力部
    材に当接する第2当接部を備えるとともに、通常状態で
    は前記反力部材から前記反力を記第1当接部及び前記第
    2当接部で受け、前記変化機構は、前記自動作動機構の
    作動に伴って、前記入力部材を前記反力部材に前記第2
    当接部で当接させることにより前記反力を前記第2当接
    部で受けさせる請求項2の負圧式倍力装置。
  4. 【請求項4】 前記第1当接部は環状を呈し、前記第2
    当接部は前記第1当接部の中心穴に前記中心穴の軸方向
    に摺動可能に挿入される円柱状を呈し、前記入力部材は
    前記第1当接部の前記第2当接部に対する後方への移動
    を規制する第1規制部を有し、前記変化機構は前記自動
    作動機構の作動に伴う前記反力部材による前記入力部材
    の後方への移動の際に前記第1当接部の前記パワーピス
    トンに対する後方への移動を規制する第2規制部を備え
    ている請求項3の負圧式倍力装置。
  5. 【請求項5】 前記弁機構は、前記入力部材に一体化さ
    れており且つ後方に向いている大気流入制御用環状弁座
    と、前記パワーピストンに一体化されており且つ後方に
    向いている大気流出制御用環状弁座と、前記大気流入制
    御用環状弁座及び前記大気流出制御用環状弁座に対向す
    る可動部と前記パワーピストンに気密的に固定される固
    定部とを有しており且つ前記可動部が付勢部材によって
    前方へ付勢されている弁部材とを備えており、前記自動
    作動機構は、電力源に選択的に接続され、電気の供給を
    受けることによって前記弁機構を前記出力増加作用状態
    とするものであり、前記パワーピストンに固定されたソ
    レノイドコイル及びヨークと、前記ソレノイドコイルへ
    の通電により発生する電磁吸引力により後方へ移動され
    るプランジャと、前記大気流出制御用環状弁座の内径側
    に前記パワーピストンに対し前進及び後退可能に配設さ
    れ、前記プランジャの移動により後方に移動されて前記
    可動部を前記大気流入制御用環状弁座及び前記大気流出
    制御用環状弁座から離間させる弁座部材とを有している
    請求項1〜4のいずれか一に記載の負圧式倍力装置。
  6. 【請求項6】 前記弁機構は、後方に向いている大気流
    入制御用環状弁座を有するとともに通常は前記入力部材
    の移動に伴って前記入力部材と一体的に前進及び後退可
    能な弁座部材と、前記パワーピストンに一体化されてお
    り且つ後方に向いている大気流出制御用環状弁座と、前
    記大気流入制御用環状弁座及び前記大気流出制御用環状
    弁座に対向する可動部と前記パワーピストンに気密的に
    固定される固定部とを有しており且つ前記可動部が付勢
    部材によって前方へ付勢されている弁部材とを備えてお
    り、前記自動作動機構は、電力源に選択的に接続され、
    電気の供給を受けることによって前記弁機構を前記出力
    増加作用状態とするものであり、前記パワーピストンに
    固定されたソレノイドコイル及びヨークと、前記ソレノ
    イドコイルへの通電により発生する電磁吸引力によって
    前方へ移動されることにより前記弁座部材を前記入力部
    材に対して前方に移動し、前記可動部を前記大気流入制
    御用環状弁座から離脱させると共に前記大気流出制御用
    環状弁座に係合させるプランジャとを備え、前記弁座部
    材は前記反力による前記入力部材の後方への移動によっ
    て常に前記入力部材と一体的に後方に移動される請求項
    1〜4のいずれか一に記載の負圧式倍力装置。
  7. 【請求項7】 前記弁座部材と前記入力部材とは、前記
    自動作動機構が作動されることにより前記弁座部材が前
    記入力部材に対して前方に所定量移動された際に互いに
    当接し、前記弁座部材の前記入力部材に対する前方への
    移動を規制する係合部をそれぞれ備えている請求項6の
    負圧式倍力装置。
  8. 【請求項8】 前記弁機構は、後方に向いている大気流
    入制御用環状弁座を有するとともに通常は前記入力部材
    の移動に伴って前記入力部材と一体的に前進及び後退可
    能な弁座部材と、前記パワーピストンに一体化されてお
    り且つ後方に向いている大気流出制御用環状弁座と、前
    記大気流入制御用環状弁座及び前記大気流出制御用環状
    弁座と対向する可動部と前記パワーピストンに気密的に
    固定される固定部とを有しており且つ可動部が付勢部材
    によって前方へ付勢されている筒状弁部材とを備えてお
    り、前記自動作動機構は、電力源に選択的に接続され、
    電気の供給を受けることによって前記弁機構を前記出力
    増加作用状態とするものであり、前記パワーピストンに
    対して前進及び後退可能に配設されると共に前記入力部
    材の移動に伴って前記入力部材と一体的に移動されるソ
    レノイドコイル及びヨークと、前記ソレノイドコイルへ
    の通電により発生する電磁吸引力によって前方へ移動さ
    れることにより前記弁座部材を前方に移動し、前記可動
    部を前記大気流入制御用環状弁座から離脱させると共に
    前記大気流出制御用環状弁座に係合させるプランジャと
    を備え、前記弁部材は前記反力による前記入力部材の後
    方への移動によって常に前記入力部材と一体的に後方に
    移動される請求項1〜4のいずれか一に記載の負圧式倍
    力装置。
  9. 【請求項9】 前記弁座部材と前記入力部材とは、前記
    自動作動機構が作動されることにより前記弁座部材が前
    記入力部材に対して前方に所定量移動された際に互いに
    当接し、前記弁座部材の前記入力部材に対する前方への
    移動を規制する当接部をそれぞれ備えている請求項8の
    負圧式倍力装置。
JP9212254A 1997-04-18 1997-08-06 負圧式倍力装置 Pending JPH1148949A (ja)

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JP9212254A JPH1148949A (ja) 1997-08-06 1997-08-06 負圧式倍力装置
DE19817589A DE19817589A1 (de) 1997-04-18 1998-04-20 Unterdruckbremskraftverstärker für ein Fahrzeug
US09/062,737 US6065388A (en) 1997-04-18 1998-04-20 Vacuum type brake booster for vehicle
US09/535,224 US6212992B1 (en) 1997-04-18 2000-03-27 Vacuum type brake booster for vehicle

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003095085A (ja) * 2001-09-25 2003-04-03 Bosch Automotive Systems Corp ブレーキ倍力装置
KR100774131B1 (ko) * 2002-03-20 2007-11-08 주식회사 만도 차량용 브레이크 부스터

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JP2003095085A (ja) * 2001-09-25 2003-04-03 Bosch Automotive Systems Corp ブレーキ倍力装置
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