JPH11240102A - 透明バリア性フィルム - Google Patents

透明バリア性フィルム

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JPH11240102A
JPH11240102A JP6030898A JP6030898A JPH11240102A JP H11240102 A JPH11240102 A JP H11240102A JP 6030898 A JP6030898 A JP 6030898A JP 6030898 A JP6030898 A JP 6030898A JP H11240102 A JPH11240102 A JP H11240102A
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thin film
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材フィルムとして、2軸延伸ポリプロピレ
ンフィルムを使用するも、優れた透明性を有すると共に
酸素ガス、水蒸気等に対するガスバリア性に優れた透明
バリア性フィルムを提供するものである。 【解決手段】 2軸延伸ポリプロピレンフィルムの一方
の面に、プラズマ化学蒸着法による酸化ケイ素の蒸着薄
膜を設けたことを特徴とする透明バリア性フィルムに関
し、更には、上記の酸化ケイ素の蒸着薄膜が、少なくと
も、酸素ガス、不活性ガス、および、蒸着モノマ−ガス
を含む蒸着用混合ガス組成物を、その蒸着用混合ガス組
成物の組成において酸素ガス量を65%以上の範囲内で
含有させて供給して、プラズマ化学蒸着法による酸化ケ
イ素の蒸着連続薄膜からなることを特徴とする透明バリ
ア性フィルムに関するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明バリア性フィ
ルムに関し、更に詳しくは、優れた透明性を有すると共
に酸素ガス、水蒸気等に対するガスバリア性に優れた透
明バリア性フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア
性等に優れた包装用材料として、種々のものが開発さ
れ、提案されているが、それらの一つとして、近年、プ
ラスチックフィルム等の基材フィルムの一方の面に、物
理気相成長法、あるいは、化学気相成長法等を用いて、
例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物
の蒸着膜を設けた蒸着フィルムが提案されている。この
ものは、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等に優れ、
かつ、透明性を有し、更に、環境対応に適う包装用材料
として注目され、近年、他のプラスチックフィルム、あ
るいは、紙基材等の包装用材料と積層し、例えば、飲食
品、医薬品、化粧品、洗剤、その他等の種々の物品の充
填包装に適し、その需要の拡大が期待されているもので
ある。
【0003】
【発明が解決しよとする課題】ところで、上記のプラス
チックフィルム等の基材フィルムの一方の面に、物理気
相成長法を用いて、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニ
ウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた蒸着フィルムは、
確かに、酸素ガスバリア性等は向上するが、このこと
は、プラスチックフィルム等の全ての種類の基材フィル
ムに適合するものではないものである。例えば、プラス
チックフィルム等の基材フィルムとして、2軸延伸ポリ
プロピレンフィルムを使用し、その一方の面に、物理気
相成長法を用いて、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニ
ウム等の無機酸化物の蒸着膜を設ける場合、該基材フィ
ルムとしての2軸延伸ポリプロピレンフィルムは、耐熱
性に劣ることから、蒸着時の加熱等の影響を受け、基材
フィルムとしての2軸延伸ポリプロピレンフィルム自身
が、劣化あるいは収縮し、その上に望ましい蒸着膜を形
成することは極めて困難になり、結果的に、酸素ガスバ
リア性等を向上させることは期待し得ないものである。
このため、基材フィルムとして、2軸延伸ポリプロピレ
ンフィルムを使用する場合には、比較的に低温で蒸着処
理できるプラズマ化学蒸着法(CVD法)を利用するこ
とにより、酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着膜を設けた
蒸着フィルムを製造することが提案され、これにより酸
素ガスバリア性等を向上させた蒸着フィルムを製造可能
とするものである。しかしながら、上記で製造した蒸着
フィルムにおいては、しばしば、黄変した蒸着フィルム
を製造し勝ちであり、その原因は、2軸延伸ポリプロピ
レンフィルム自身が、プラズマの作用により黄変化する
こと、あるいは、蒸着膜の着色による黄変化によるもの
であると推定されるものである。一般に、2軸延伸ポリ
プロピレンフィルム自身は、酸素ガスバリア性が非常に
悪く(約1000cc/m2 /day以上である)、そ
のために、2軸延伸ポリプロピレンフィルムの上に、酸
化ケイ素等の無機酸化物の蒸着膜を設けた蒸着フィルム
においては、その酸素ガスバリア性等は、膜質状態の影
響を敏感に受け、例えば、蒸着膜に少しの欠陥がある
と、酸素ガスバリア性は、著しく低下し、十分な酸素ガ
スバリア性等を期待し得ないものである。また、例え
ば、基材フィルムとして、2軸延伸ポリエチレンテレフ
タレ−トフィルム、あるいは、ナイロンフィルム等を使
用し、酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着膜を設けた蒸着
フィルムを製造する場合には、その蒸着フィルムが、最
良の酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等を現出するた
めの最適の製造条件を、そのまま2軸延伸ポリプロピレ
ンフィルムに適用して、酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸
着膜を設けた蒸着フィルムを製造したとしても、前述の
ように、2軸延伸ポリプロピレンフィルム自身が、酸素
ガスバリア性に非常に劣ることから、蒸着薄膜を形成後
も十分な酸素ガスバリア性を有する蒸着フィルムを製造
することは極めて困難である。更に、2軸延伸ポリプロ
ピレンフィルムは、その表面が極めて不活性であって、
その表面濡れ性に劣り、比較的に低温で処理できるプラ
ズマ化学蒸着法(CVD法)を利用して、酸化ケイ素等
の無機酸化物の蒸着膜を形成しても、その蒸着膜との密
着性が悪く、その結果、十分に満足し得る酸素ガスバリ
ア性等を得られないという問題点もある。そこで本発明
は、基材フィルムとして、2軸延伸ポリプロピレンフィ
ルムを使用するも、優れた透明性を有すると共に酸素ガ
ス、水蒸気等に対するガスバリア性に優れた透明バリア
性フィルムを提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な問題点を解決すべく種々研究の結果、基材フィルムと
して、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、該2
軸延伸ポリプロピレンフィルムの一方の面に、プラズマ
化学蒸着法を利用して酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着
薄膜を形成するに際し、少なくとも、蒸着用モノマ−ガ
ス、酸素ガス、および、不活性ガスを含む蒸着用混合ガ
ス組成物を、その蒸着用混合ガス組成物の組成において
酸素ガス量を65%以上の範囲内で含有させて供給し
て、プラズマ化学蒸着を行うと、プラズマパワ−の電流
値が大きくなり、逆に、その電圧値が減少してプラズマ
化学蒸着を行うことができ、これにより、酸素ガスバリ
ア性、水蒸気バリア性等が向上し、かつ、透明性に優れ
た酸化ケイ素の蒸着連続薄膜を形成し得ることを見出し
て本発明を完成したものである。
【0005】すなわち、本発明は、2軸延伸ポリプロピ
レンフィルムの一方の面に、プラズマ化学蒸着法による
酸化ケイ素の蒸着薄膜を設けたことを特徴とする透明バ
リア性フィルムに関し、更には、上記の酸化ケイ素の蒸
着薄膜が、少なくとも、蒸着用モノマ−ガス、酸素ガ
ス、および、不活性ガスを含む蒸着用混合ガス組成物
を、その蒸着用混合ガス組成物の組成において酸素ガス
量を65%以上の範囲内で含有させて供給して、プラズ
マ化学蒸着法により形成した酸化ケイ素の蒸着連続薄膜
からなることを特徴とする透明バリア性フィルムに関す
るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】上記の本発明について以下に更に
詳しく説明する。まず、本発明において、本発明にかか
る透明バリア性フィルムは、2軸延伸ポリプロピレフィ
ルムの一方の面に、有機珪素化合物を原料とし、低温プ
ラズマ発生装置等を利用するプラズマ化学蒸着法(CV
D法)を用いて酸化ケイ素の蒸着薄膜を形成する方法に
より製造することができる。上記において、低温プラズ
マ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス
波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用す
ることがてき、而して、本発明においては、高活性の安
定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式に
よる発生装置を使用することが望ましい。具体的に、本
発明にかかる透明バリア性フィルムの製造法についてそ
の一例を例示して説明すると、図1は、本発明にかかる
透明バリア性フィルムの製造法についてその概要を示す
プラズマ化学蒸着装置の概略的構成図である。上記の図
1に示すように、本発明においては、プラズマ化学蒸着
装置1の真空チャンバ−2内に配置された巻き出しロ−
ル3から2軸延伸ポリプロピレンフィルム4を繰り出
し、更に、該2軸延伸ポリプロピレンフィルムを、補助
ロ−ル5を介して所定の速度で冷却・電極ドラム6周面
上に搬送する。而して、本発明においては、ガス供給装
置7、8、および、原料揮発供給装置9等から酸素ガ
ス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガ
ス、その他等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス
組成物を調整しなから原料供給ノズル10を通して真空
チャンバ−2内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そ
して、上記の冷却・電極ドラム6周面上に搬送された2
軸延伸ポリプロピレンフィルム4の上に、グロ−放電プ
ラズマ11によってプラズマを発生させて、これを照射
して、酸化ケイ素の蒸着薄膜を形成し、製膜化する。本
発明においては、その際に、冷却・電極ドラム6は、チ
ャンバ−外に配置されている電源12から所定の電力が
印加されており、また、冷却・電極ドラム6の近傍に
は、マグネット13を配置してプラズマの発生が促進さ
れており、次いで、上記で酸化ケイ素の蒸着薄膜を形成
した2軸延伸ポリプロピレンフィルム4は、補助ロ−ル
14を介して巻き取りロ−ル15に巻き取って、本発明
にかかる透明バリア性フィルムを製造することができる
ものである。なお、図中、16は、真空ポンプを表す。
上記の例示は、本発明にかかる透明バリア性フィルムの
製造法の一例を例示するものであり、これによって本発
明は限定されるものではないことは言うまでもないこと
である。
【0007】本発明においては、2軸延伸ポリプロピレ
ンフィルムが、耐熱性に劣ることから、物理気相成長法
(PVD法)で酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着薄膜を
形成すると、該2軸延伸ポリプロピレンフィルムが、熱
劣化あるいは熱収縮等の現象が生じ、十分に満足し得る
蒸着薄膜を形成することが困難であるので、低温で蒸着
薄膜の形成が可能なプラズマ化学蒸着法(CVD法)を
利用して蒸着薄膜を形成するものである。而して、本発
明においては、上記のプラズマ化学蒸着法(CVD法)
において、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、酸
素ガス、不活性ガス、その他等からなる蒸着用混合ガス
組成物を原料供給ノズルを通して真空チャンバ−内に導
入する際に、その蒸着用混合ガス組成物の組成におい
て、酸素ガスの含有量を上げることにより、プラズマパ
ワ−の電流値が大きくなり、他方、その電圧値が減少
し、これにより、酸素ガスバリア性に富む蒸着薄膜を形
成することができ、他方、水蒸気バリア性が、若干劣る
蒸着薄膜を形成することができるものである。ところ
で、2軸延伸ポリプロピレンフィルム自身は、水蒸気バ
リア性が、約5〜6g/m2 /day位で極めて優れて
いるものであり、従って、蒸着薄膜によって 水蒸気バ
リア性が、若干劣る場合でも、2軸延伸ポリプロピレン
フィルム自身でそれを補うことができ、これにより、蒸
着薄膜により酸素ガスバリア性を向上させ、かつ、2軸
延伸ポリプロピレンフィルム自身が有する水蒸気バリア
性により、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等に優れ
ている酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着薄膜を有する2
軸延伸ポリプロピレンフィルムからなる透明バリア性フ
ィルムを製造可能とするものである。
【0008】また、本発明においては、上記のプラズマ
化学蒸着法(CVD法)において、有機珪素化合物等の
蒸着用モノマ−ガス、酸素ガス、不活性ガス、その他等
からなる蒸着用混合ガス組成物を原料供給ノズルを通し
て真空チャンバ−内に導入する際に、その蒸着用混合ガ
ス組成物の組成において、酸素ガスの含有量を上げる
と、形成される蒸着薄膜の極性部分の割合が増加し、そ
の結果、基材フィルムと蒸着薄膜、すなわち、2軸延伸
ポリプロピレンフィルムと酸化ケイ素等の無機酸化物の
蒸着薄膜との密着性が向上し、而して、そのように両者
の密着性が向上することにより、酸素ガスバリア性も向
上するものである。更に、本発明において、上記のよう
に酸素ガスの含有量を上げてプラズマ化学蒸着を行う
と、酸化ケイ素の蒸着薄膜の場合には、該酸化ケイ素の
蒸着薄膜が、式SiOX で表される酸化ケイ素の蒸着連
続薄膜からなり、更に、Xの値を増加させることがで
き、極めて透明性に優れた蒸着薄膜を形成することがで
きるものである。更にまた、本発明において、上記のよ
うに酸素ガスの含有量を上げてプラズマ化学蒸着を行
う、蒸着膜を形成する際に、酸素プラズマガスが多くな
ることから、基材フィルムとしての2軸延伸プラスチッ
クフィルムの黄変が抑制され、その結果、酸化ケイ素等
の無機酸化物の蒸着薄膜を有する2軸延伸ポリプロピレ
ンフィルムからなる透明バリア性フィルムの透明性を向
上させることが可能となるものである。
【0009】上記の本発明において、プラズマ化学蒸着
を行う際に、少なくとも、蒸着用モノマ−ガス、酸素ガ
ス、および、不活性ガスを含む蒸着用混合ガス組成物に
おいて、酸素ガスの含有量としては、具体的には、該蒸
着用混合ガス組成物の組成において、約65%以上の範
囲内で含有させることが好ましいものである。上記にお
いて、65%未満であると、酸素ガスバリア性に優れた
蒸着薄膜質を得ることが困難になり、更に、酸素ガス量
が減少すると、2軸延伸プラスチックフィルムを黄変さ
せる傾向にあり、特に、酸素ガス量が減少するにつれ
て、逆に、蒸着用モノマ−ガス、あるいは、不活性ガス
等の含有割合が増加することになり、これにより、2軸
延伸プラスチックフィルムの黄変等が著しく増加する傾
向にあることから好ましくないものである。ちなみに、
上記のような酸素ガスの含有量は、例えば、蒸着用基材
フィルムとして、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−ト
フィルムまたは2軸延伸ナイロンフィルムを使用して、
プラズマ化学蒸着を行う最適条件の場合と比較すると、
約2倍量位に多く含有する量である。なお、本発明にお
いては、蒸着用混合ガス組成物において、その組成とし
ては、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスは、約1
5%以下位が好ましく、また、不活性ガス、その他等と
しては、約20%以下位の配合割合が好ましい。なお、
本発明において、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガ
スの含有量の下限値としては、約4%以上、また、酸素
ガスの含有量の上限値としては、約91%以下、更に、
不活性ガスの下限値としては、5%以上位が好ましい。
上記の%の単位は、体積比に基づくものである。
【0010】上記において、蒸着用混合ガス組成物にお
ける酸素ガスの含有量としては、具体的には、該蒸着用
混合ガス組成物の組成において、約75%以上の範囲内
で含有させて、該蒸着用混合ガス組成物を原料供給ノズ
ルを通して真空チャンバ−内に導入し、グロ−放電プラ
ズマによって、酸化ケイ素の蒸着薄膜を、2軸延伸ポリ
プロピレンフィルムの上に形成し製膜化することが好ま
しいものであるが、その際に、冷却・電極ドラムに、チ
ャンバ−外に配置されている電源から、電圧値、450
V未満の範囲で電流を流して電圧を印加してプラズマ化
学蒸着を行い、無機酸化物の蒸着連続薄膜を有する透明
バリア性フィルムを製造することが望ましいものであ
る。上記において、電圧値が450Vを越えると、プラ
ズマが不安定となり、ア−キング現象が非常に起こり易
くなるため、耐プラズマ性に劣る2軸延伸ポリプロピレ
ンフィルムに多数の穴を生じやすくなり、更に、酸素ガ
スバリア性に優れた蒸着薄膜質を形成することが困難に
なる傾向があることから好ましくないものである。
【0011】本発明において、上記のような酸素ガス
量、電圧値等の条件において、蒸着用基材フィルムとし
て、2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)を使用
して、プラズマ化学蒸着を行い、酸化ケイ素の蒸着薄膜
を形成し、他方、蒸着用基材フィルムとして、2軸延伸
ポリエチレンテレフタレ−トフィルム(PET)を使用
し、該フィルムを使用するときの最適条件において、プ
ラズマ化学蒸着(CVD)を行い、酸化ケイ素の蒸着薄
膜を形成して、それぞれ、透明バリア性フィルムを製造
し、而して、その各透明バリア性フィルムについて、そ
の表面自由エネルギ−、および、式SiOx で表される
蒸着薄膜のXの値等を測定し、その結果を、それぞれ、
下記の表1、および、表2に表す。上記の表面自由エネ
ルギ−は、協和界面科学株式会社製のぬれ試験機にて測
定し、また、Xの値は、英国、VGサイエンティフィッ
ク社製のX線光電子分光分析測定機(機種名、XPS)
を使用し、蒸着面の元素分析を行うことより測定した。
【0012】
【表1】 表面自由エネルギ− 上記の表1において、CVDは、プラズマ化学蒸着法を
意味し、OPPは、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを
意味し、PETは、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−
トフィルムを意味する。
【0013】
【表2】 SiOx のXの値 上記の表2において、CVDは、プラズマ化学蒸着法を
意味し、OPPは、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを
意味し、PETは、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−
トフィルムを意味する。
【0014】上記の表1および表2より明らかなよう
に、本発明にかかる透明バリア性フィルムは、酸化ケイ
素の蒸着薄膜が、約30dyn以上40dyn以下の表
面張力を有し、かつ、その表面を構成する極性成分が、
約2dyn以上10dyn未満の表面張力を有するもの
である。すなわち、本発明にかかる透明バリア性フィル
ムは、形成される蒸着薄膜の極性部分の割合が増加し、
その結果、基材フィルムと蒸着薄膜、すなわち、2軸延
伸ポリプロピレンフィルムと酸化ケイ素等の無機酸化物
の蒸着薄膜との密着性が向上し、而して、そのように両
者の密着性が向上することにより、酸素ガスバリア性も
向上するものである。また、本発明にかかる透明バリア
性フィルムは、式SiOx で表される蒸着薄膜のXの値
等が増加し、その透明性を向上させることができるもの
である。
【0015】次にまた、本発明において、2軸延伸ポリ
プロピレンフィルムについてプラズマエッチング装置を
使用しプラズマガスによるフィルムの黄変性を実験し
た。すなわち、プラズマエッチング装置を使用し、2軸
延伸ポリプロピレンフィルムに、通常のプラズマガス、
酸素プラズマガス、および、ヘリウムプラズマガスを照
射して黄変性を測定した。なお、黄変性の測定は、スガ
試験機株式会社製のカラ−コンピュ−タ−を用いてYi
(黄色度)を測定した。上記のカラ−コンピュ−タ−に
よる測定は、フィルム10枚で測定し、また、その測定
条件は、光源・C2度、測定モ−ド・透過モ−ド、評価
値・黄変度(Yi:値が大きい程黄色い)で評価した。
その結果を下記の表3に示す
【0016】
【表3】 上記の表3において、OPPは、2軸延伸ポリプロピレ
ンフィルムを意味する。
【0017】上記の表3より明らかなように、2軸延伸
ポリプロピレンフィルムは、酸素プラズマガスにより、
黄変が抑制され、その透明性が向上するものである。従
って、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、プラ
ズマ化学蒸着を行う際に、酸素ガスの含有量を多くする
と、酸素プラズマガスが多くなることから、2軸延伸ポ
リプロピレンフィルムの黄変が抑制され、透明性に優れ
た透明バリア性フィルムの製造を可能とするものであ
る。
【0018】次にまた、上記の本発明にかかる透明バリ
ア性フィルムの製造法において、2軸延伸ポリプロピレ
ンフィルムとしては、例えば、プロピレンの単独重合
体、または、該プロピレンとエチレン、プテン−1等の
α−オレフィン等の他のモノマ−との共重合体等からな
るポリプロピレン系樹脂のフィルムないしシ−トであっ
て、テンタ−方式あるいはチュ−ブ方式等を使用して2
軸延伸してなるフィルムないしシ−トを使用することが
できる。而して、上記の2軸延伸ポリプロピレンフィル
ムとしては、単層、あるいは、例えば、ポリエチレン系
樹脂等を使用し、その2層以上の共押し出し法等で製膜
し、ついで、2軸延伸してなるポリプロピレンフィルム
等も使用することができる。また、上記の2軸延伸ポリ
プロピレンフィルムの厚さとしては、フィルムないしシ
−トの製造時の安定性等から適宜に設定することが可能
であるが、約10〜100μm位、好ましくは、15〜
50μm位が望ましい。なお、本発明において、上記の
2軸延伸ポリプロピレンフィルムは、その耐熱性および
酸化ケイ素の蒸着薄膜との密着性を高めるために、必要
に応じて、その表面に、予め、プライマ−コ−ト剤層等
を設けることもできる。また、上記の2軸延伸ポリプロ
ピレンフィルムは、その表面に、必要ならば、例えば、
コロナ処理、プラズマ処理、フレ−ム処理、その他等の
表面活性処理を任意に施すことができる。更に、本発明
においては、用途に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外
線吸収剤、可塑剤、滑剤、充填剤、その他等の所望の添
加剤を、その透明性に影響しない範囲内で任意に添加
し、それらを含有する2軸延伸ポリプロピレンフィルム
等も使用することができる。
【0019】次にまた、上記の本発明にかかる透明バリ
ア性フィルムの製造法において、蒸着用混合ガス組成物
を構成する蒸着用モノマ−ガスとしての有機珪素化合物
等としては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジ
シロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメ
チルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジ
シラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシ
ラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、
フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を
使用することができる。本発明において、上記のような
有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチ
ルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを
原料として使用することが、その取り扱い性、形成され
た蒸着膜の特性等から、特に、好ましい原料である。
【0020】次に、本発明において、上記のような製造
法によって製造される本発明にかかる透明バリア性フィ
ルムAは、図2の層構成の概略を示す概略的断面図に示
すように、2軸延伸ポリプロピレンフィルム4の一方の
面に、プラズマ化学蒸着法による酸化ケイ素の蒸着薄膜
21を設けた構成からなるものである。而して、上記の
プラズマ化学蒸着法による酸化ケイ素の蒸着薄膜として
は、式SiOX (ただし、Xは、0〜2の数を表す)で
表される酸化ケイ素を主体とする連続状の蒸着薄膜であ
り、更に、透明性、バリア性等の点から、式SiO
X (ただし、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表
される酸化ケイ素の蒸着膜を主体とする薄膜であること
が好ましいものである。また、上記の酸化ケイ素の蒸着
薄膜は、珪素および酸素を構成元素とする珪素酸化物か
らなり、かつ、炭素、水素、珪素、または、酸素からな
る微量構成元素の1種ないし2種以上からなる化合物の
少なくとも1種以上を含有する酸化ケイ素の蒸着連続薄
膜からなるものである。更に、上記の酸化ケイ素の蒸着
薄膜は、炭素からなる化合物を含有する場合には、その
膜厚の深さ方向において炭素の含有量が減少しているこ
とを特徴とするものである。更にまた、上記の酸化ケイ
素の蒸着薄膜は、珪素原子の含有割合を100としたと
きに、炭素原子の含有割合を85以下とすることを特徴
とするものである。なお、本発明において、酸化ケイ素
の蒸着膜の膜厚としては、膜厚400Å以下であること
が望ましく、具体的には、その膜厚としては、50〜4
00Å位、より好ましくは、100〜300Å位が望ま
しく、而して、上記において、300Å、更には、40
0Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易く
なるので好ましくなく、また、100Å、更には、50
Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難に
なることから好ましくないものである。
【0021】本発明にかかる透明バリア性フィルムは、
上記のように、2軸延伸ポリプロピレンフィルムの一方
の面に、プラズマ化学気相成長法による酸化ケイ素の蒸
着薄膜を設けて、透明性と基材との密着性に優れたハイ
バリア性を有する透明バリア性フィルムを製造可能とす
るものである。すなわち、本発明においては、2軸延伸
ポリプロピレンフィルムが、耐熱性に劣ることから、物
理気相成長法(PVD法)で酸化ケイ素等の無機酸化物
の蒸着薄膜を形成すると、該2軸延伸ポリプロピレンフ
ィルムが、熱劣化あるいは熱収縮等の現象が生じ、十分
に満足し得る蒸着薄膜を形成することが困難であるの
で、低温で蒸着薄膜の形成が可能なプラズマ化学蒸着法
(CVD法)を利用し、かつ、その蒸着に際し、酸素ガ
スの含有量を多くしてて蒸着薄膜を形成するものであ
る。本発明においては、2軸延伸ポリプロピレンフィル
ムの表面の黄変、あるいは、褐変、更には、化学的ない
し熱的な劣化等を防止し、更に、2軸延伸ポリプロピレ
ンフィルムの表面に対する酸化ケイ素の蒸着薄膜の密着
強度を向上させ、終極的には、バリア層としてのプラズ
マ化学気相成長法による酸化ケイ素の蒸着薄膜が有する
バリア性等の機能を損なうことなく、これにより、透明
性に優れ、更に、酸素ガスあるいは水蒸気等に対する極
めてハイバリア性を有する透明バリア性フィルムを製造
することができるものである。而して、本発明におい
て、本発明にかかる透明バリア性フィルムは、酸素透過
度が、20cc/m2 /day(23℃/90%RH)
以下であることを特徴とするものである。
【0022】上記のようにして製造した本発明にかかる
透明バリア性フィルムは、例えば、樹脂のフィルム、紙
基材、金属素材、合成紙、セロハン、その他等の包装用
容器を構成する包装用素材等と任意に組み合わせて、例
えば、ラミネ−トして種々の複合フィルムを製造し、種
々の物品を充填包装するに適した包装材料を製造可能と
するものである。上記の樹脂のフィルムとしては、具体
的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチ
レン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレ
ン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸
またはメタクリル酸共重合体、酸変性ポリオレフィン系
樹脂、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポ
リ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化
ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合
体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリ
ル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ス
チレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブ
タジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエ
ステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系
樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹
脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニト
ロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないし
シ−トから任意に選択して使用することができる。本発
明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、
一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのもの
でも使用することができる。また、その厚さは、任意で
あるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使
用することができる。更に、本発明においては、フィル
ムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−シ
ョン成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよ
い。また、上記において、紙基材としては、例えば、強
サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ−ル
紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を
使用することができる。上記において、紙層を構成する
紙基材としては、坪量約80〜600g/m2位のも
の、好ましくは、坪量約100〜450g/m2 位のも
のを使用することが望ましい。また、上記にといて、金
属素材としては、例えば、アルミニウム箔、あるいは、
アルミニウム蒸着膜を有する樹脂のフィルム等を使用す
ることができる。
【0023】次に、上記の本発明において、上記のよう
な材料を使用して複合フィルムを製造する方法について
説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラ
ミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション
法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−
ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出し
成形法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ショ
ン法、共押し出しインフレ−ション法、その他等で行う
ことができる。而して、本発明においては、上記の積層
を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン
処理、フレ−ム処理、その他等の前処理をフィルムに施
すことができ、また、例えば、ポリエステル系、イソシ
アネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポ
リブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティン
グ剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリ
エステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−
ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ
−コ−ト剤、接着剤等を使用することができる。
【0024】次に、本発明において、上記のような複合
フィルムを使用して製袋ないし製函する方法について説
明すると、例えば、包装用容器がプラスチックフィルム
等からなる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造し
た複合フィルムを使用し、その内層のヒ−トシ−ル性樹
脂層の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはそ
の二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ル
してシ−ル部を設けて袋体を構成することができる。而
して、その製袋方法としては、上記の複合フィルムを、
その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその
二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例え
ば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方
シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ
−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ
−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−
ルして、本発明にかかる種々の形態の包装用容器を製造
することができる。その他、例えば、自立性包装袋(ス
タンディングパウチ)等も製造することが可能であり、
更に、本発明においては、上記の複合フィルムを使用し
てチュ−ブ容器等も製造することができる。上記におい
て、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−
ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−
ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行う
ことができる。なお、本発明においては、上記のような
包装用容器には、例えば、ワンピ−スタイプ、ツウ−ピ
−スタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパ
−等を任意に取り付けることができる。
【0025】次にまた、包装用容器として、紙基材を含
む液体充填用紙容器の場合、例えば、積層材として、紙
基材を積層した複合フィルムを製造し、これから所望の
紙容器を製造するブランク板を製造し、しかる後該ブラ
ンク板を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例え
ば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベル
トップタイプの液体用紙容器等を製造することができ
る。また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙
缶等のいずれのものでも製造することができる。
【0026】本発明において、上記のようにして製造し
た包装用容器は、透明性、酸素、水蒸気等に対するガス
バリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネ−ト加工、
印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有し、
また、バリア性膜としての蒸着薄膜の剥離を防止し、か
つ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止
して、バリア性膜として優れた耐性を発揮し、例えば、
飲食品、医薬品、洗剤、シャンプ−、オイル、歯磨き、
接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他等の種
々の物品の充填包装適性、保存適性等に優れているもの
である。
【0027】
【実施例】実施例1 (1).厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィル
ムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出
しロ−ルに装着し、下記の条件で厚さ120Åの酸化ケ
イ素の蒸着薄膜を上記の2軸延伸ポリプロピレンフィル
ムの上に形成して、本発明にかかる透明バリア性フィル
ムを製造した。 反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガ
ス:ヘリウム=1:20:2(単位:slm) 真空チャンバ−内の真空度:5.0×10-6mbar 蒸着チャンバ−内の真空度:6.0×10-2mbar 冷却・電極ドラム供給電力:12kW 電圧値:360V 蒸着膜の厚さ:250Å(蛍光X線分析法) 蒸着面:コロナ処理面 (2).次に、上記で製造した透明バリア性フィルムの
酸化ケイ素の蒸着薄膜の面を、下記の条件でプラズマ処
理した。その結果、酸化ケイ素の蒸着薄膜表面の表面張
力は、35dynから62dynに向上した。 出力:3kw プラズマガス:ヘリウム(He)と酸素(O2 )との混
合ガス (3).次に、上記でプラズマ処理した透明バリア性フ
ィルムを使用し、これをドライラミネ−トコ−タ−機の
一方の送り出しロ−ルに装着し、その酸化ケイ素の蒸着
薄膜面に接着剤層を形成し、他方、シ−ラントフィルム
である厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを
使用し、これを他方の送り出しロ−ルに装着し、しかる
後その両者を下記の条件でドライラミネ−トして、複合
フィルムを製造した。 接着剤層:ウレタン系接着剤を使用 (主剤)ウレタン系(武田薬品工業株式会社製、商品
名、タケネ−トA−515) (硬化剤)イソシアネ−ト系(武田薬品工業株式会社
製、商品名、A−50) (混合比)主剤:硬化剤=10:1 (溶剤)酢酸エチル (塗布量)4.0g/m2 (ドライ)
【0028】比較例1 (1).厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィル
ムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出
しロ−ルに装着し、下記の条件で厚さ128Åの酸化ケ
イ素の蒸着薄膜を上記の2軸延伸ポリプロピレンフィル
ムの上に形成して、透明バリア性フィルムを製造した。 反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガ
ス:ヘリウム=1:3:3(単位:slm、 基材フィ
ルムとして、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィ
ルム、または、ナイロンフィルムを使用する場合の最適
条件) 真空チャンバ−内の真空度:5.0×10-6mbar 蒸着チャンバ−内の真空度:6.0×10-4mbar 冷却・電極ドラム供給電力:10kW 蒸着膜の厚さ:145Å(蛍光X線分析法) 蒸着面:コロナ処理面 (2).次に、上記で製造した透明バリア性フィルムの
酸化ケイ素の蒸着薄膜の面を、下記の条件でプラズマ処
理した。その結果、酸化ケイ素の蒸着薄膜表面の表面張
力は、32dynから60dynに向上した。 出力:3kw プラズマガス:ヘリウム(He)と酸素(O2 )との混
合ガス (3).次に、上記でコロナ処理した透明バリア性フィ
ルムを使用し、これをドライラミネ−トコ−タ−機の一
方の送り出しロ−ルに装着し、その酸化ケイ素の蒸着薄
膜面に接着剤層を形成し、他方、シ−ラントフィルムで
ある厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを使
用し、これを他方の送り出しロ−ルに装着し、しかる後
その両者を下記の条件でドライラミネ−トして、複合フ
ィルムを製造した。 接着剤層:ウレタン系接着剤を使用 (主剤)ウレタン系(武田薬品工業株式会社製、商品
名、タケネ−トA−515) (硬化剤)イソシアネ−ト系(武田薬品工業株式会社
製、商品名、A−50) (混合比)主剤:硬化剤=10:1 (溶剤)酢酸エチル (塗布量)4.0g/m2 (ドライ)
【0029】実験例1 上記の実施例1、および、比較例1で製造した各透明バ
リア性フィルムおよび複合フィルムについて、下記のデ
−タを測定した。 (1).酸素透過度の測定 これは、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、
モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクスト
ラン(OXTRAN)〕にて測定した。 (2).水蒸気透過度の測定 これは、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、
モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パ−マト
ラン(PERMATRAN)〕にて測定した。 (3).透明性評価 これは、スガ試験機株式会社製のカラ−コンピュ−タ−
を用いてYi(黄色度)を測定した。 ・カラ−コンピュ−タ−による測定は、フィルム10枚
で測定した。 測定条件:(光源)C2度 (測定モ−ド)透過モ−ド (評価値)黄色度(Yi:値が大きい程黄色い) ・マクベス濃度計による測定は、フィルム1枚につい
て、波長が500nmの全光線透過率で測定した。上記
の(1)と(2)と(3)の測定結果については、下記
の表4、表5、および、表6に示す。
【0030】
【表4】 透明バリア性フィルムの酸素透過度および水
蒸気透過度 上記の表4において、酸素透過度は、cc/m2 /da
y・23℃・90%RHの単位であり、また、水蒸気透
過度は、g/m2 /day・40℃・100%RHの単
位である。また、OPPは、2軸延伸ポリプロピレンフ
ィルムの意味である。
【0031】
【表5】 複合フィルムの酸素透過度および水蒸気透過
上記の表5において、酸素透過度は、cc/m2 /da
y・23℃・90%RHの単位であり、また、水蒸気透
過度は、g/m2 /day・40℃・100%RHの単
位である。
【0032】
【表6】 透明バリア性フィルムの透明性 上記の表6において、OPPは、2軸延伸ポリプロピレ
ンフィルムの意味である。
【0033】上記の測定結果から明らかなように、実施
例1にかかる透明バリア性フィルムは、酸素ガスバリア
性および透明性について、比較例1のそれよりもはるか
に優れいることが確認できた。また、実施例1にかかる
複合フィルムも、酸素ガスバリア性において、比較例1
のそれよりもはるかに優れていることが確認できた。
【0034】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明
は、基材フィルムとして、2軸延伸ポリプロピレンフィ
ルムを使用し、該2軸延伸ポリプロピレンフィルムの一
方の面に、プラズマ化学蒸着法を利用して酸化ケイ素等
の無機酸化物の蒸着薄膜を形成するに際し、少なくと
も、酸素ガス、不活性ガス、および、蒸着モノマ−ガス
を含む蒸着用混合ガス組成物を、その蒸着用混合ガス組
成物の組成において酸素ガス量を65%以上の範囲内で
含有させて供給して、プラズマ化学蒸着を行うと、プラ
ズマパワ−の電流値が大きくなり、逆に、その電圧値が
減少してプラズマ化学蒸着を行うことができ、これによ
り、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等が向上し、か
つ、透明性に優れた酸化ケイ素の蒸着連続薄膜を形成し
て、透明バリア性フィルムを製造することができるとい
うものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる透明バリア性フィルムの製造法
についてその概要を示すプラズマ化学蒸着装置の概略的
構成図である。
【図2】本発明にかかる透明バリア性フィルムの層構成
の概略を示す概略的断面図である。
【符号の説明】
1 プラズマ化学蒸着装置 2 真空チャンバ− 3 巻き出しロ−ル 4 2軸延伸ポリプロピレンフィルム 5 補助ロ−ル 6 冷却・電極ドラム 7 ガス供給装置 8 ガス供給装置 9 原料揮発供給装置 10 原料供給ノズル 11 グロ−放電プラズマ 12 電源 13 マグネット 14 補助ロ−ル 15 巻き取りロ−ル 16 真空ポンプ 21 酸化ケイ素の蒸着薄膜 A 透明バリア性フィルム
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08L 23/12 C08L 23/12

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2軸延伸ポリプロピレンフィルムの一方
    の面に、プラズマ化学蒸着法による酸化ケイ素の蒸着薄
    膜を設けたことを特徴とする透明バリア性フィルム。
  2. 【請求項2】 酸化ケイ素の蒸着薄膜が、少なくとも、
    蒸着用モノマ−ガス、酸素ガス、および、不活性ガスを
    含む蒸着用混合ガス組成物を、その蒸着用混合ガス組成
    物の組成において酸素ガス量を65%以上の範囲内で含
    有させて供給し、プラズマ化学蒸着法により形成した酸
    化ケイ素の蒸着連続薄膜からなることを特徴とする上記
    の請求項1に記載する透明バリア性フィルム。
  3. 【請求項3】 酸化ケイ素の蒸着薄膜が、電圧値、45
    0V未満の範囲からなるプラズマ発生条件でプラズマ照
    射してなるプラズマ化学蒸着法により形成した酸化ケイ
    素の蒸着連続薄膜からなることを特徴とする上記の請求
    項1または2に記載する透明バリア性フィルム。
  4. 【請求項4】 酸化ケイ素の蒸着薄膜が、珪素および酸
    素を構成元素とする珪素酸化物からなり、更に、炭素、
    水素、珪素、または、酸素からなる微量構成元素の1種
    ないし2種以上からなる化合物の少なくとも1種以上を
    含有する酸化ケイ素の蒸着連続薄膜からなることを特徴
    とする上記の請求項1、2または3に記載する透明バリ
    ア性フィルム。
  5. 【請求項5】 酸化ケイ素の蒸着薄膜が、炭素からなる
    化合物を含有する場合には、その膜厚の深さ方向におい
    て炭素の含有量が減少していることを特徴とする上記の
    請求項1、2、3または4に記載する透明バリア性フィ
    ルム。
  6. 【請求項6】 酸化ケイ素の蒸着薄膜が、珪素原子の含
    有割合を100としたときに、炭素原子の含有割合を8
    5以下とすることを特徴とする上記の請求項1、2、
    3、4または5に記載する透明バリア性フィルム。
  7. 【請求項7】 酸化ケイ素の蒸着薄膜が、400Å以下
    の膜厚からなることを特徴とする上記の請求項1、2、
    3、4、5または6に記載する透明バリア性フィルム。
  8. 【請求項8】 酸化ケイ素の蒸着薄膜が、式SiOX
    表される酸化ケイ素の蒸着連続薄膜からなり、更に、X
    の値が、1.3以上1.9以下の範囲内であることを特
    徴とする上記の請求項1、2、3、4、5、6または7
    に記載する透明バリア性フィルム。
  9. 【請求項9】 酸化ケイ素の蒸着薄膜が、20cc/m
    2 /day(23℃/90%RH)以下の酸素透過度を
    有することを特徴とする上記の請求項1、2、3、4、
    5、6、7または8に記載する透明バリア性フィルム。
  10. 【請求項10】 酸化ケイ素の蒸着薄膜が、30dyn
    以上40dyn以下の表面張力を有し、かつ、その表面
    を構成する極性成分が、2dyn以上10dyn未満の
    表面張力を有することを特徴とする上記の請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8または9に記載する透明バ
    リア性フィルム。
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