JP2003095273A - プラスチック製容器 - Google Patents

プラスチック製容器

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JP2003095273A
JP2003095273A JP2001282490A JP2001282490A JP2003095273A JP 2003095273 A JP2003095273 A JP 2003095273A JP 2001282490 A JP2001282490 A JP 2001282490A JP 2001282490 A JP2001282490 A JP 2001282490A JP 2003095273 A JP2003095273 A JP 2003095273A
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plastic container
gas
gas barrier
barrier thin
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JP2001282490A
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English (en)
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Kazuhisa Nakai
和久 中井
Koichi Mikami
浩一 三上
Mie Ota
美恵 太田
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチック製容器本体の内面の全面に、無
菌性に優れていると共に酸化珪素等の無機酸化物を主体
とするガスバリア性薄膜を形成するも、そのガスバリア
性薄膜にクラック等の発生はなく、酸素ガス、水蒸気、
炭酸ガス等の透過を阻止するガスバリア性に極めて優れ
たプラスチック製容器を提供することである。 【解決手段】 プラスチック製容器本体の内面の全面
に、ブラズマ処理による殺菌面を設け、更に、該殺菌面
を含む全面に、無機酸化物を主体とするガスバリア性薄
膜またはダイヤモンド状炭素膜を主体とするガスバリア
性薄膜を設けたことを特徴とするプラスチック製容器に
関するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック製容
器に関し、更に詳しくは、容器本体の内面の全面に、プ
ラズマ処理による殺菌面とガスバリア性薄膜とを有し、
無菌性と共に酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するガス
バリア性に優れたプラスチック製容器に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、種々の物品を充填包装する包装用
容器の一つとして、射出成形、押出成形、ブロ−成形等
の成形法によって成形される種々の形態からなるプラス
チック製容器がある。このものは、ガラス製容器と比較
して、軽量である、割れにくい、安価である、製造が容
易であり、かつ、大量生産が可能である、取扱が簡便で
ある、その他等の種々の利点を有し、今日、種々の物品
を充填包装する包装用容器として、必要不可欠なものと
して、多方面に使用されているものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
プラスチック製容器においては、種々の利点を有するも
のの、いくつかの欠点があり、その一つとして、無菌性
に劣ると共に酸素ガス、水蒸気、炭酸ガス等のガス透過
性が高いという問題点がある。例えば、ポリエステル系
樹脂、あるいは、ポリオレフィン系樹脂による延伸ブロ
−成形容器は、成形工程における熱等によりある程度の
無菌性を保持し得るが、それだけでは不充分であり、ま
た、大気中のガスが成形容器内に浸入、更に、内容物中
の成分が容器外に放出され、内容物の品質等に大きな影
響を与え、その品質を変質、改質し、あるいは、劣化さ
せ、また、そのシェルフライフの低下等を引き起こすと
いう問題点がある。また、上記のプラスチック製容器に
おいては、プラスチック組成中に含まれる可塑剤、安定
剤、その他の添加剤、あるいは、残留モノマ−等が溶出
し、上記と同様に、これが、内容物の品質等に影響を与
え、その品質を変質、改質させ、もはや、その用をなさ
ないということになり兼ねないものである。
【0004】ところで、プラスチック製容器における上
記のような問題点を改良するものとして、例えば、無菌
性を保持するために、過酸化水素等による噴霧ガスを容
器内面に施す等の殺菌処理が行われ、また、ガスバリア
性を付与するために、プラスチック製容器の表面に、ポ
リ塩化ビニリデン系樹脂、あるいは、エチレン−ビニル
アルコ−ル共重合体樹脂等のガスバリア性樹脂を含むバ
リア性樹脂組成物をコ−ティングしてガスバリア性樹脂
膜を形成したプラスチック製容器、あるいは、プラスチ
ック製容器本体の表面及び/又は内面に、酸化珪素薄膜
をプラズマCVD法により形成してなることを特徴とす
るプラスチック製容器(実開平5−35660号公報、
特開2000−43875号公報、特開2000−11
7881号公報等)等が提案されている。しかしなが
ら、上記の過酸化水素ガス等による殺菌処理において
は、その容器内面に過酸化水素ガスを施す操作が煩雑で
あり、更に、適量の過酸化水素ガスを施すことが困難で
あり、しばしば、容器内に過酸化水素ガスが残留し、人
体に影響を与え兼ねないという問題点がある。また、上
記のガスバリア性樹脂膜を形成したプラスチック製容器
においては、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂による
ガスバリア性樹脂膜を形成したプラスチック製容器の場
合には、酸素ガス、水蒸気、炭酸ガス等の透過を阻止す
るガスバリア性において、所期の効果を有するものでは
あるが、包装用容器として使用後、これをゴミとして廃
棄処理する場合、例えば、焼却処理等により廃棄処理す
ると、塩素原子を含有していることから、焼却廃棄時
に、例えば、ダイオキシン等の有毒ガス等を発生する原
因となり、人体等への影響が懸念されるために、廃棄処
理適性に欠けると共に環境破壊等の問題を引き起し、環
境適性等にも欠けるという問題点がある。また、上記の
ガスバリア性樹脂膜を形成したプラスチック製容器にお
いて、例えば、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体に
よるガスバリア性樹脂膜を形成したプラスチック製容器
の場合には、絶乾状態においては、酸素ガス、水蒸気、
炭酸ガス等の透過を阻止するガスバリア性において、所
期の効果を有するものの、湿潤状態においては、酸素ガ
ス、水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性は、著しく
低下し、もはや、その使用に耐え得ないものであるとい
う問題点がある。更に、上記のプラスチック製容器本体
の表面及び/又は内面に、酸化珪素薄膜をプラズマCV
D法により形成してなることを特徴とするプラスチック
製容器においては、プラスチック製容器本体自身は、例
えば、成形時、あるいは、内容物の充填時等において膨
張および収縮性を有するものであり、他方、酸化珪素薄
膜自体は、無機質で、ガラス質のものであり、更に、柔
軟性、可撓性等に欠けるものであることから、上記のプ
ラスチック製容器本体の膨張および収縮等の変化に対し
酸化珪素薄膜がその追随性に欠け、酸化珪素薄膜に極め
て簡単にクラック等を発生し、而して、酸化珪素薄膜に
クラック等が発生すると、もはや、ガスバリア性の機能
は喪失し、包装用容器として使用することができないも
のである。また、上記のプラスチック製容器本体の表面
側に、酸化珪素薄膜をプラズマCVD法により形成して
なるプラスチック製容器においては、その内面側に酸化
珪素薄膜を有していないことから、依然として、プラス
チック製容器において、プラスチック組成中に含まれる
可塑剤、安定剤、その他の添加剤、あるいは、残留モノ
マ−等が溶出し、これが、内容物の品質等に影響を与
え、その品質を変質、改質させ、もはや、その用をなさ
ないということになり兼ねないものであるという問題点
を何ら解決し得ていないものである。そこで本発明は、
プラスチック製容器本体の内面の全面に、無菌性に優れ
ていると共に酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガス
バリア性薄膜を形成するも、そのガスバリア性薄膜にク
ラック等の発生はなく、酸素ガス、水蒸気、炭酸ガス等
の透過を阻止するガスバリア性に極めて優れたプラスチ
ック製容器を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、プラスチッ
ク製容器における上記のような問題点を解決すべく種々
研究の結果、プラズマ処理による殺菌処理と共に無機酸
化物を主体とするガスバリア性薄膜あるいはダイヤモン
ド状炭素膜を主体とするガスバリア性薄膜に着目し、ま
ず、プラスチック製容器本体の内面の全面に、殺菌用ガ
スを用いたプラズマ処理による殺菌面を設け、更に、そ
の殺菌面を含む全面に、例えば、低温プラズマ化学気相
成長法等を用いて酸化珪素等の無機酸化物を主体とする
ガスバリア性薄膜あるいはダイヤモンド状炭素膜を主体
とするガスバリア性薄膜を形成してプラスチック製容器
を製造し、次いで、該プラスチック製容器の中に、飲食
品、その他等の種々の物品を充填包装して包装製品を製
造したところ、容器としての強度等を有し、かつ、耐熱
性、透明性、その他等の諸物性に優れていることは勿論
のこと、無菌性に優れていると共にプラスチック製容器
本体の膨張および収縮等の変化に対し酸化珪素等の無機
酸化物を主体とするガスバリア性薄膜あるいはダイヤモ
ンド状炭素膜を主体とするガスバリア性薄膜が、その追
随性を有し、該酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガ
スバリア性薄膜あるいはダイヤモンド状炭素膜を主体と
するガスバリア性薄膜にクラック等の発生は認められ
ず、特に、酸素ガス、水蒸気、炭酸ガス等の透過を阻止
するガスバリア性に極めて優れて、内容物の充填包装適
性、保存適性等を有し、更にまた、使用後に焼却廃棄処
理する際に有害物質等を発生することなく、廃棄処理適
性、環境適性等に極めて優れたプラスチック製容器を製
造し得ることを見出して本発明を完成したものである。
【0006】すなわち、本発明は、プラスチック製容器
本体の内面の全面に、ブラズマ処理による殺菌面を設
け、更に、該殺菌面を含む全面に、無機酸化物を主体と
するガスバリア性薄膜またはダイヤモンド状炭素膜を主
体とするガスバリア性薄膜を設けたことを特徴とするプ
ラスチック製容器に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】上記の本発明にかかるプラスチッ
ク製容器について、その構成、製造法等を以下に図面等
を用いて更に詳しく説明する。まず、図1は、本発明に
かかるプラスチック製容器についてそれを製造するため
の製造装置の1例を例示する概略的構成図であり、図2
は、図1に示す製造装置を使用して製造した本発明にか
かるプラスチック製容器についてその層構成の1例を例
示する概略的断面図である。
【0008】まず、本発明にかかるプラスチック製容器
について、それを製造するための製造装置を例示する
と、図1は、製造装置の1例を例示する概略的構成図で
ある。上記の製造装置は、図1に示すように、基盤10
に絶縁板11が取り付けられている。更に、上記の絶縁
板11に外部電極12が取り付けられている。而して、
上記の外部電極12は、プラズマ処理による殺菌面を形
成すると共にガスバリア性薄膜を形成するための真空チ
ャンバ−を兼ねているものであり、プラスチック製容器
本体20を収容するために、該プラスチック製容器本体
1よりやや大きめの相似形の空間からなる反応槽が形成
されている。而して、上記の外部電極12は、本体部1
2aと、矢印Pで示す横方向に移動可能であり、更に、
上記の本体部12aに着脱自在に取り付けられ、かつ、
本体部12aを密閉する機能を有する蓋体12bとから
構成されるものである。更に、上記の外部電極12に
は、整合器13を介して高周波電源14が接続されてい
る。なお、上記の外部電極12には、排気管15が連設
され、更に、図示しないが、該排気管15に真空ポンプ
が連設され、矢印P1 に示すように、その真空ポンプに
よって外部電極12の空間からなる反応槽あるいは容器
本体1の内空間の空気が排気されるようになっている。
【0009】他方、内部電極16が、上記の外部電極1
2の空間からなる反応槽の中心部に位置するように配置
されている。而して、上記の内部電極16は、その外形
がプラスチック製容器本体1の口部1aから挿入可能で
あり、かつ、該プラスチック製容器本体1の内部形状と
ほぼ相似形に形成されているものである。また、上記の
内部電極16と外部電極12との間隔は、殺菌面とガス
バリア性薄膜をプラスチック製容器本体1の内面の全面
に均一に形成させるために、あらゆる位置において、ほ
ぼ等間隔で均一に保たれるよう配置されていることが望
ましいものである。更に、上記の内部電極16には、殺
菌面を形成する殺菌用ガスおよびガスバリア性薄膜を形
成する原料ガスを供給する原料ガス供給管17が連設さ
れ、更に、該原料ガス供給管17には、矢印P2 に示
すように、プラズマ処理による殺菌面を形成する殺菌用
ガス、あるいは有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガ
ス、酸素ガス、不活性ガス、その他等を使用して調製し
た蒸着用原料ガス組成物または芳香族炭化水素化合物等
の蒸着用モノマ−ガス、不活性ガス、その他等を使用し
て調製した蒸着用原料ガス組成物が供給されるものであ
る。更にまた、上記の内部電極16には、殺菌面を形成
する殺菌用ガスおよびガスバリア性薄膜を形成する蒸着
用原料ガス組成物を吹き出す原料ガス吹き出し孔16a
が配設され、而して、その原料ガス供給管17から殺菌
用ガスあるいは蒸着用原料ガス組成物が供給されると、
内部電極16に配設されている原料ガス吹き出し孔16
aから殺菌用ガスあるいは蒸着用原料ガス組成物が吹き
出される。なお、上記の原料ガス吹き出し孔16aは、
吹き出した殺菌用ガスあるいは蒸着用原料ガス組成物を
均一に拡散させるために、内部電極16に複数個形成さ
れていることが望ましいものであり、また、上記の内部
電極16は、原料ガス供給管17を介してア−スされて
いるものである。
【0010】次に、上記の図1に示す製造装置を使用し
て、本発明にかかるプラスチック製容器を製造する方法
についてその一例を説明すると、まず、 外部電極12
を構成する蓋体12bを矢印Pで示す方向にスライドさ
せ、空間からなる反応槽内に、プラスチック製容器本体
1を挿入し、次いで、蓋体12bを矢印Pで示す方向と
逆にスライドさせて空間からなる反応槽内にプラスチッ
ク製容器本体1を装着する。次に、図示しないが、排気
管15に連設している真空ポンプにより、反応槽内をプ
ラズマ発生可能な圧力になるまで排気し、真空度を上昇
させる。次いで、プラスチック製容器本体1内に、殺菌
面を形成する殺菌用ガスを原料ガス供給管17から供給
し、更に、外部電極12と内部電極16との電極間に高
周波電力を印加しプラズマを発生させ、そのプラズマに
よりプラズマ化した上記の殺菌用ガスを原料ガス吹き出
し孔16aから吹き出させることにより、プラスチック
製容器本体1の内面の全面にプラズマ処理を施して、プ
ラズマ処理による殺菌面を形成する。上記のプラズマ処
理による殺菌面は、プラスチック製容器本体1の内面の
全面にプラズマ処理による微細な凹凸を形成し、その表
面積を多くしたプラズマ処理面を形成すると共にプラズ
マ処理による殺菌面を形成しているものである。
【0011】次に、再度、排気管15に連設している真
空ポンプにより、反応槽内をプラズマ発生可能な圧力に
なるまで、排気して、上記と同様に真空度を上昇させ
る。次いで、プラスチック製容器本体1内に、原料ガス
供給管17から、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガ
ス、酸素ガス、不活性ガス、その他等を使用して調製し
た蒸着用原料ガス組成物を適当な流量で供給し、更に、
外部電極12と内部電極16との電極間に高周波電力を
印加しプラズマを発生させ、そのプラズマによりプラズ
マ化した上記の蒸着用原料ガス組成物からなる原料ガス
を吹き出し孔16aから吹き出させてプラスチック製容
器本体1の内面の全面に反応蒸着させて、酸化珪素等の
無機酸化物を主体とするガスバリア製薄膜を蒸着させて
形成する。上記のガスバリア性薄膜を形成するに十分な
時間を保持した後、原料ガス供給管17から蒸着用原料
ガス組成物の供給を停止し、次いで、反応槽に大気を導
入し、しかる後、図2に示すように、プラスチック製容
器本体1の内面の全面に、反応蒸着させて、プラズマ処
理による殺菌面2と酸化珪素等の無機酸化物を主体とす
るガスバリア性薄膜3を形成したプラスチック製容器を
取り出して、本発明にかかるプラスチック製容器Aを製
造することができるものである。上記において、図示し
ないが、殺菌面を形成したプラスチック製容器本体内
に、原料ガス供給管から、有機珪素化合物等の蒸着用モ
ノマ−ガス、酸素ガス、不活性ガス、その他等を使用し
て調製した蒸着用原料ガス組成物を適当な流量で供給す
る代りに、芳香族炭化水素化合物等の蒸着用モノマ−ガ
ス、不活性ガス、その他等を使用して調製した蒸着用原
料ガス組成物を適当な流量で供給して、上記と同様に行
って、ダイヤモンド状炭素膜を主体とするガスバリア性
薄膜を形成することができるものである。
【0012】上記において、真空チャンバ−を構成する
反応槽内を真空ポンプにより減圧し、真空度1×10-1
〜1×10-8Torr位、好ましくは、真空度1×10
-3〜1×10-7Torr位に調製することが望ましいも
のである。また、原料である殺菌用ガス、有機珪素化合
物等の蒸着用モノマ−ガスあるいは芳香族炭化水素化合
物等の蒸着用モノマ−ガスを原料揮発供給装置等を用い
て揮発させ、また、他のガス供給装置から供給される酸
素ガス、不活性ガス、その他等と混合して、殺菌用ガス
あるいは蒸着用原料ガス組成物を調製し、而して、この
殺菌用ガスあるいは蒸着用原料ガス組成物が、原料ガス
供給管を介して真空チャンバ−を構成する反応槽内に導
入されるものである。一方、外部電極と内部電極との間
には、電源から所定の電圧が印加されているため、真空
チャンバ−を構成する反応槽内の内部電極に設けた原料
ガス吹き出し孔16aの開口部の近傍でグロ−放電プラ
ズマが生成され、このグロ−放電プラズマは、殺菌用ガ
スあるいは蒸着用原料ガス組成物中の1つ以上のガス成
分から導出されるものであり、この状態において、グロ
−放電プラブマによって、プラスチック製容器本体の内
面の全面に、殺菌面あるいは酸化珪素等の無機酸化物を
主体とするガスバリア性薄膜等を形成することができる
ものである。なお、このときの真空チャンバ−を構成す
る反応槽内の真空度は、1×10-1〜1×10-4Tor
r位、好ましくは、真空度1×10-1〜1×10-2To
rr位に調製することが望ましく、また、プラズマ処理
による殺菌面を形成する処理時間あるいはガスバリア性
薄膜を形成する処理時間としては、1〜300秒間位、
好ましくは、3〜20秒間位に調製することが望ましい
ものである。
【0013】なお、上記の製造装置において、酸化珪素
等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜の形成に
ついて更に詳述すると、該ガスバリア性薄膜は、プラス
チック製容器本体の内面の全面に、プラズマ化した原料
ガスを酸素ガスで酸化しながらSiOX の形で薄膜状に
形成されるので、当該形成される酸化珪素等の無機酸化
物を主体とするガスバリア製薄膜は、緻密で、隙間の少
ない、可撓性に富む連続層となるものであり、従って、
酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜
のバリア性は、従来の真空蒸着法等によって形成される
酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア製薄膜
と比較してはるかに高いものとなり、薄い膜厚で十分な
バリア性を得ることができるものである。また、本発明
においては、SiOX プラズマによりプラスチック製容
器本体の内面の殺菌面が、清浄化され、プラスチック製
容器本体の内面の殺菌面に、極性基やフリ−ラジカル等
が発生するので、形成される酸化珪素等の無機酸化物を
主体とするガスバリア性薄膜とプラスチック製容器本体
の内面の殺菌面との密接着性が高いものとなるという利
点を有するものである。更に、上記のように酸化珪素等
の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜の形成時の
真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好まし
くは、1×10 -1〜1×10-3Torr位に調製するこ
とから、従来の真空蒸着法により酸化珪素等の無機酸化
物を主体とするガスバリア性薄膜を形成する時の真空
度、1×10-4〜1×10-5Torr位に比較して低真
空度であることから、プラスチック製容器本体の交換時
の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度を安
定しやすく、製膜プロセスが安定するものである。
【0014】本発明において、有機珪素化合物等の蒸着
モノマ−ガスを使用して形成される酸化珪素等の無機酸
化物を主体とするガスバリア性薄膜は、有機珪素化合物
等の蒸着モノマ−ガスと酸素ガス等とが化学反応し、そ
の反応生成物が、プラスチック製容器本体の内面の殺菌
面の全面に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形
成するものであり、通常、一般式SiOX (ただし、X
は、0〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とす
る連続状の薄膜である。而して、上記の酸化珪素を主体
とするガスバリア性薄膜としては、透明性、バリア性等
の点から、一般式SiOX (ただし、Xは、1.3〜
1.9の数を表す。)で表される酸化珪素の蒸着膜を主
体とする薄膜であることが好ましいものである。上記に
おいて、Xの値は、蒸着モノマ−ガスと酸素ガスのモル
比、プラズマのエネルギ−等により変化するが、一般的
に、Xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、
膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
【0015】また、上記の酸化珪素を主体とするガスバ
リア性薄膜は、少なくとも、珪素原子、酸素原子、およ
び、炭素原子が、化学結合して含有する酸化珪素を主体
とするガスバリア性薄膜からなるものである。更に詳し
くは、上記の酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜
は、酸化珪素を主体とし、これに、更に、炭素、水素、
珪素または酸素の1種類、または、その2種類以上の元
素からなる化合物を少なくとも1種類を化学結合等によ
り含有する連続薄膜からなることを特徴とするものであ
る。例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合
を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、
ダイヤモンド状、フラ−レン状等になっている場合、更
に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合
等によって含有する場合があるものである。具体例を挙
げると、CH3 部位を持つハイドロカ−ボン、SiH3
シリル、SiH2 シリレン等のハイドロシリカ、SiH
2 OHシラノ−ル等の水酸基誘導体等を挙げることがで
きる。上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させるこ
とにより、酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜中に
含有される化合物の種類、量等を変化させることができ
る。而して、上記の化合物が、酸化珪素を主体とするガ
スバリア性薄膜中に含有する含有量としては、0.1〜
50%位、好ましくは、5〜20%位が望ましいもので
ある。上記において、含有率が、0.1%未満である
と、酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜の耐衝撃
性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げなとによ
り、擦り傷、クラック等が発生し易く、高いガスバリア
性を安定して維持することが困難になり、また、50%
を越えると、バリア性が低下して好ましくないものであ
る。
【0016】更に、本発6においては、酸化珪素を主体
とするガスバリア性薄膜において、上記の化合物の含有
量が、酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜の表面か
ら深さ方向に向かって減少させることが好ましく、これ
により、酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜の表面
においては、上記の化合物等により耐衝撃性等を高めら
れ、他方、プラスチック性容器本体の内面の殺菌面との
界面においては、上記の化合物の含有量が少ないため
に、プラスチック性容器本体の内面の殺菌面と酸化珪素
を主体とするガスバリア性薄膜との密接着性が強固なも
のとなるという利点を有するものである。また、本発明
において、上記の無機酸化物を主体とするガスバリア性
薄膜は、少なくとも、珪素原子、酸素原子、および、炭
素原子が、化学結合し、更に、炭素原子量が、珪素原子
量100に対し80〜130%の割合で含有する酸化珪
素を主体とするガスバリア性薄膜からなるものである。
更には、本発明において、上記の無機酸化物を主体とす
るガスバリア性薄膜は、少なくとも、珪素原子、酸素原
子、および、炭素原子が、化学結合し、更に、炭素原子
量が、珪素原子量100に対し80〜130%の割合で
含有し、かつ、プラスチック製容器本体の成形直後の容
器本体表面積の収縮率3%から該容器本体内に内容物充
填直後の容器本体表面積の膨張率5%の膨張および収縮
に追随し得る酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜か
らなるものである。
【0017】而して、本発明において、上記の酸化珪素
を主体とするガスバリア性薄膜について、例えば、X線
光電子分光装置(Xray Photoelectro
nSpectroscopy、XPS)、二次イオン質
量分析装置(Secondary Ion Mass
Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装
置を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析
する方法を利用して、酸化珪素を主体とするガスバリア
性薄膜の元素分析を行うことより、上記のような物性を
確認することができる。また、本発明において、上記の
酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜の膜厚として
は、膜厚50Å〜4000Å位であることが望ましく、
具体的には、その膜厚としては、100〜1000Å位
が望ましく、而して、上記において、1000Å、更に
は、4000Åより厚くなると、その膜にクラック等が
発生し易くなるので好ましくなく、また、100Å、更
には、50Å未満であると、バリア性の効果を奏するこ
とが困難になることから好ましくないものである。上記
のおいて、その膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光
X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、
ファンダメンタルパラメ−タ−法で測定することができ
る。また、上記において、上記の酸化珪素を主体とする
ガスバリア性薄膜の膜厚を変更する手段としては、酸化
珪素を主体とするガスバリア性薄膜の体積速度を大きく
すること、すなわち、モノマ−ガスと酸素ガス量を多く
する方法や蒸着する時間を多くする方法等によって行う
ことができる。
【0018】次に、上記において、酸化珪素等の無機酸
化物を主体とするガスバリア性薄膜を形成する有機珪素
化合物等の蒸着用モノマ−ガスとしては、例えば、1.
1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチル
ジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメ
チルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジ
メチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プ
ロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテ
トラシロキサン、その他等を使用することができる。本
発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、
1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、
ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用すること
が、その取り扱い性、形成された連続膜の特性等から、
特に、好ましい原料である。また、上記において、不活
性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガ
ス、キセノンガス等を使用することができる。この場
合、蒸着用原料ガス組成物中の有機珪素化合物等の蒸着
用モノマ−ガスの含有量は、1〜40%位、酸素ガスの
含有量は、10〜70%位、不活性ガスの含有量は、1
0〜60%位の範囲とすることが望ましく、例えば、有
機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスと酸素ガスと不活
性ガスとの混合比を1:6:5〜1:17:14程度と
することが望ましいものである。更に、本発明におい
て、上記のような有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガ
ス、酸素ガス、不活性ガス等を使用して調製した蒸着用
原料ガス組成物においては、その他、例えば、炭素原子
を供給する供給源として、例えば、メタンガス、プロパ
ンガス、二酸化炭素、アセチレンガス、その他等の炭素
ガスを添加することもできるものであり、而して、これ
らのガスを添加することにより、無機酸化物を主体とす
るガスバリア製薄膜に柔軟性を付与することができると
いう利点を有するものである。
【0019】次に、本発明において、殺菌面を形成する
殺菌用ガスとしては、例えば、窒素酸化物、窒素酸化物
と酸素とを混合したもの、窒素酸化物とオゾンを混合し
たもの、酸素、グルタルアルデヒド、フレオン、過酸化
水素、亜酸化窒素、三フッ化窒素、飽和または不飽和パ
ラアルカノイック酸、飽和または不飽和パラアルカノイ
ック酸のハロゲン化誘導体、ハロゲン化過酢酸、過酸化
ハロゲン、過ギ酸、過プロピオン酸、過ブタン酸とその
ハロゲン化誘導体、イリ吉草酸とそのハロゲン化誘導
体、過カプロン酸とそのハロゲン化誘導体、カルトン
酸、モノペルコハク酸、モノペルグルタル酸、過安息香
酸、その他等の殺菌用化合物を使用することができる。
上記の殺菌用化合物は、単独ないし2種以上の混合物で
使用することができ、また、アルゴン、ヘリウム、キセ
ノン、窒素等の不活性ガスで希釈して使用することが好
ましいものである。而して、本発明においては、上記の
ような殺菌用化合物の1種ないし2種以上の混合物を使
用し、これを揮発させてガス化して殺菌用ガスを調製
し、該殺菌用ガスを、前述のように、プラスチック製容
器本体内に、原料ガス供給管から供給し、更に、外部電
極と内部電極との電極間に高周波電力を印加しプラズマ
を発生させ、そのプラズマによりプラズマ化した上記の
殺菌用ガスを原料ガス吹き出し孔から吹き出させること
により、プラスチック製容器本体の内面の全面にプラズ
マ処理を施して、プラズマ処理による殺菌面を形成する
ものである。
【0020】次にまた、本発明において、炭化水素化合
物等によるダイヤモンド状炭素膜を主体とするガスバリ
ア性薄膜を形成する炭化水素化合物等の蒸着用モノマ−
ガスとしては、常温で気体または液体である脂肪族炭化
水素化合物、芳香族炭化水素化合物、含酸素炭化水素化
合物、含窒素炭化水素化合物、その他等の炭化水素化合
物を使用することができる。而して、本発明において、
上記の炭化水素化合物としては、特に、メタン、エタ
ン、プロパン、アセチレン、炭素数が6以上のベンゼ
ン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシ
レン、シクロヘキサン等を使用することが望ましいもの
である。上記の炭化水素化合物は、単独ないし2種以上
の混合物で使用することができ、また、アルゴン、ヘリ
ウム、キセノン等の不活性ガスで希釈して使用すること
が好ましいものである。
【0021】ところで、上記のような図1に示す製造装
置を使用して製造した本発明にかかるプラスチック製容
器Aは、図2に示すように、プラスチック製容器本体1
の内面の全面に、プラズマ処理による殺菌面2を設け、
更に、該殺菌面2を含む全面に、無機酸化物を主体とす
るガスバリア性薄膜3あるいは炭化水素化合物によるダ
イヤモンド状炭素膜を主体とするガスバリア性薄膜3a
を設けた層構成からなるものである。
【0022】次にまた、本発明にかかるプラスチック製
容器を構成するプラスチック製容器本体としては、例え
ば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ
塩化ビニル系樹脂、ポリアクリルまたはポリメタクリル
系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリスチレン系
樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン
−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリカ−ボ
ネ−ト系樹脂、ポリエステル系樹脂またはリサイクルポ
リエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタ−ル
系樹脂、その他等の樹脂の1種ないし2種以上を成形樹
脂原料として使用し、これを、例えば、押出成形、射出
成形、ブロ−成形、キャスト成形、熱成形、その他等の
成形法を用いて成形してなるカップ状、ボトル状、碗
状、その他等の形態からなる成形容器を使用することが
できる。而して、本発明においては、本発明にかかるプ
ラスチック製容器を構成するプラスチック製容器本体と
しては、液体飲料、調味料、酒、ビ−ル、その他等の液
状物を充填包装するに適しているポリエステル系樹脂に
よるブロ−成形容器、あるいは、ポリエチレン系樹脂あ
るいはポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂
によるブロ−成形容器等を使用することが望ましいもの
である。
【0023】
【実施例】次に、上記の本発明について具体例を挙げて
更に詳しく説明する。 実施例1 ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂を成形原料として使用
し、まず、常法に従って、これを押出成形してパリソン
を成形し、次いで、該パリソンをブロ−成形して、大き
さ500mlのポリエチレンテレフタレ−ト樹脂製ブロ
−ボトルを製造した。次に、上記で製造したポリエチレ
ンテレフタレ−ト樹脂製ブロ−ボトルを図1に示す横型
の低温プラズマ化学気相成長装置に装着し、更に、高周
波電力13.56MHz 500Wで使用した。しかる
後、殺菌用ガスとして、過酢酸を使用し、また、不活性
ガスとしてアルゴンを使用し、先に、これらを真空ポン
プでポリエチレンテレフタレ−ト樹脂製ブロ−ボトル内
に供給し、更に、圧力が0.05torrとなるように
調節し、かつ、500Wの高周波を印加し、ブロ−ボト
ル内面の前処理として、プラズマを発生させながら殺菌
用ガスを供給して、約20秒間保持してプラズマ処理を
施して、ブロ−ボトル内面を殺菌して殺菌面を形成し
た。なお、この前処理を行うことにより、ブロ−ボトル
内面の表面が凹凸状を呈すると共に基材の水分含有率が
低下した。次に、再度、真空ポンプにより、反応槽とブ
ロ−ボトル内部を圧力0.05torrまで減圧させ、
かつ、電極に13.56MHz、500Wの高周波電力
を印加し、次いで、ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガ
ス:アルゴンガス=1:3:3(単位、slm)からな
る原料ガス組成物を、ガス流量を35ml/minに調
整しながら供給した。次いで、原料ガスのプラズマを発
生させながら、そのプラズマ発生の状態で約30秒間保
持して、ブロ−ボトルの内面に、厚さ500Åの酸化珪
素を主体とするガスバリア性薄膜を形成して、本発明に
かかるプラスチック製容器を製造することができた。
【0024】実施例2 ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂を成形原料として使用
し、まず、常法に従って、これを押出成形してパリソン
を成形し、次いで、該パリソンをブロ−成形して、大き
さ500mlのポリエチレンテレフタレ−ト樹脂製ブロ
−ボトルを製造した。次に、上記で製造したポリエチレ
ンテレフタレ−ト樹脂製ブロ−ボトルを図1に示す横型
の低温プラズマ化学気相成長装置に装着し、更に、高周
波電力13.56MHz 500Wで使用した。まず、
殺菌用ガスとして、過酸化水素を使用し、また、不活性
ガスとしてアルゴンを使用し、先に、これらを真空ポン
プでブロ−ボトル内に供給し、圧力が0.05torr
となるように調節し、更に、500Wの高周波を印加
し、ブロ−ボトル内面の前処理として、プラズマを発生
させて、約20秒間保持してブロ−ボトルの内面を殺菌
して殺菌面を形成した。なお、この前処理を行うことに
より、ブロ−ボトル内面の表面が凹凸状を呈すると共に
基材の水分含有率が低下した。次に、再度、真空ポンプ
により、反応槽とブロ−ボトル内部を圧力0.05to
rrまで減圧させ、かつ、電極に13.56MHz、5
00Wの高周波電力を印加し、次いで、ヘキサメチルジ
シロキサン:酸素ガス:アルゴンガス=1:3:3(単
位、slm)からなる原料ガス組成物を、ガス流量を3
5ml/minに調整しながら供給した。次いで、原料
ガスのプラズマを発生させながら、そのプラズマ発生の
状態で約30秒間保持して、ブロ−ボトルの内面に、厚
さ500Åの酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜を
形成して、本発明にかかるプラスチック製容器を製造す
ることができた。
【0025】比較例1 ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂を成形原料として使用
し、まず、常法に従って、これを押出成形してパリソン
を成形し、次いで、該パリソンをブロ−成形して、大き
さ500mlのポリエチレンテレフタレ−ト樹脂製ブロ
−ボトルを製造した。
【0026】実験例 上記の実施例1〜2、および、比較例1で製造したプラ
スチック製容器について、プラスチック製容器の酸素透
過度を測定し、更に、それに基づいてフィルムに換算し
た酸素透過度および透過係数を算出した。上記の酸素透
過度は、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、
モコン(M0CON)社製の測定機〔機種名、オクスト
ラン(OXTRAN)にて測定した。また、上記で測定
した酸素透過度を基にフィルムに換算した酸素透過度お
よび透過係数は、ボトルの表面積からフィルムに換算し
たときの値を算出し、ボトルの切片の平均肉厚からフィ
ルム透過係数を算出した。具体的には、500mlのボ
トルの酸素透過度をXcc/pkg・atm・dayと
すると、フィルムに換算した酸素透過度Ycc/m2
atm・dayは、Y=X(cc/pkg・atm・d
ay)/ボトル表面積(cm2 )×104となる。透過
係数Zcc・mm/m2 ・atm・dayは、ボトルの
平均肉厚dmmとすると、Z=Y×dとなり、透過係数
を算出した。上記の結果について、下記の表1に示す。
【0027】 上記の表1において、酸素透過度の単位は、〔cc/p
kg・atm・day〕であり、また、フィルムに換算
した酸素透過度の単位は、〔cc/m2 ・atm・da
y〕であり、透過係数の単位は、〔cc・mm/m2
atm・day〕である。
【0028】上記の表1に示す結果より明らかなよう
に、本発明にかかるプラスチック製容器は、容器の膨
張、収縮にも追従し、ガスバリア性薄膜のクラック等の
発生を抑え、ガスバリア性を損なわないものであるのに
対し、比較例にかかるそれは、ガスバリア性に劣るもの
であった。
【0029】次にまた、上記の実施例1〜2、および、
比較例1で製造したプラスチック製容器について、プラ
スチック製容器の無菌性を評価した。上記の無菌性は、
予め、菌付けしたボトルにこの無菌処理を行い、その
後、培養し、生成したコロニ−数をカウントした。無菌
処理を施さなかったものは、コロニ−の発生が見られる
のに対して、無菌処理を施したものについては、コロニ
−の発生は見られなかった。
【0030】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明
は、プラズマ処理による殺菌処理と共に無機酸化物を主
体とするガスバリア性薄膜あるいはダイヤモンド状炭素
膜を主体とするガスバリア性薄膜に着目し、まず、プラ
スチック製容器本体の内面の全面に、殺菌用ガスを用い
たプラズマ処理による殺菌面を設け、更に、その殺菌面
を含む全面に、例えば、低温プラズマ化学気相成長法等
を用いて酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリ
ア性薄膜あるいはダイヤモンド状炭素膜を主体とするガ
スバリア性薄膜を形成してプラスチック製容器を製造
し、次いで、該プラスチック製容器の中に、飲食品、そ
の他等の種々の物品を充填包装して包装製品を製造し
て、容器としての強度等を有し、かつ、耐熱性、透明
性、その他等の諸物性に優れていることは勿論のこと、
無菌性に優れていると共にプラスチック製容器本体の膨
張および収縮等の変化に対し酸化珪素等の無機酸化物を
主体とするガスバリア性薄膜あるいはダイヤモンド状炭
素膜を主体とするガスバリア性薄膜が、その追随性を有
し、該酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア
性薄膜あるいはダイヤモンド状炭素膜を主体とするガス
バリア性薄膜にクラック等の発生は認められず、特に、
酸素ガス、水蒸気、炭酸ガス等の透過を阻止するガスバ
リア性に極めて優れて、内容物の充填包装適性、保存適
性等を有し、更にまた、使用後に焼却廃棄処理する際に
有害物質等を発生することなく、廃棄処理適性、環境適
性等に極めて優れたプラスチック製容器を製造し得るこ
とができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるプラスチック製容器についてそ
れを製造するための製造装置の1例を例示する概略的構
成図である。
【図2】図1に示す製造装置を使用して製造した本発明
にかかるプラスチック製容器についてその層構成の1例
を例示する概略的断面図である。
【符号の説明】
A プラスチック製容器 1 プラスチック製容器本体 2 殺菌面 3 ガスバリア性薄膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太田 美恵 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 3E062 AA09 AA10 AA20 AB02 AC02 JA07 JB24 JC04 JD01 4F006 AA12 AB72 AB73 BA05 4F100 AA01C AA20C AA37C AK01A AK41 AK41A AK42 AR00B BA03 BA07 BA10A BA10C DA01 EH17 EH171 EH61 EH612 EH66 EH662 GB16 JC00 JC00B JD02 JD02C JD03 JD04 JM02C

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック製容器本体の内面の全面
    に、プラズマ処理による殺菌面を設け、更に、該殺菌面
    を含む全面に、ガスバリア性薄膜を設けたことを特徴と
    するプラスチック製容器。
  2. 【請求項2】 プラスチック製容器本体が、ポリエステ
    ル系樹脂によるブロ−成形容器からなることを特徴とす
    る上記の請求項1に記載するプラスチック製容器。
  3. 【請求項3】 プラスチック製容器本体が、ポリオレフ
    ィン系樹脂によるブロ−成形容器からなることを特徴と
    する上記の請求項1に記載するプラスチック製容器。
  4. 【請求項4】 殺菌面が、殺菌用ガスを用いたプラズマ
    処理による殺菌面からなることを特徴とする上記の請求
    項1〜3のいずれか1項に記載するプラスチック製容
    器。
  5. 【請求項5】 ガスバリア性薄膜が、無機酸化物を主体
    とするガスバリア性薄膜またはダイヤモンド状炭素膜を
    主体とするガスバリア性薄膜からなることを特徴とする
    上記の請求項1〜4のいずれか1項に記載するプラスチ
    ック製容器。
  6. 【請求項6】 ガスバリア性薄膜が、化学気相成長法に
    よる無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜からなる
    ことを特徴とする上記の請求項1〜5のいずれか1項に
    記載するプラスチック製容器。
  7. 【請求項7】 ガスバリア性薄膜が、化学気相成長法に
    よる酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜からなるこ
    とを特徴とする上記の請求項1〜6のいずれか1項に記
    載するプラスチック製容器。
  8. 【請求項8】 ガスバリア性薄膜が、化学気相成長法に
    よる、少なくとも、珪素原子、酸素原子、および、炭素
    原子が、化学結合して含有する酸化珪素を主体とするガ
    スバリア性薄膜からなることを特徴とする上記の請求項
    1〜7のいずれか1項に記載するプラスチック製容器。
  9. 【請求項9】 ガスバリア性薄膜が、化学気相成長法に
    よる、少なくとも、珪素原子、酸素原子、および、炭素
    原子が、化学結合し、更に、炭素原子量が、珪素原子量
    100に対し80〜130%の割合で含有する酸化珪素
    を主体とするガスバリア性薄膜からなることを特徴とす
    る上記の請求項1〜8のいずれか1項に記載するプラス
    チック製容器。
  10. 【請求項10】 ガスバリア性薄膜が、化学気相成長法
    による、少なくとも、珪素原子、酸素原子、および、炭
    素原子が、化学結合し、更に、炭素原子量が、珪素原子
    量100に対し80〜130%の割合で含有し、かつ、
    プラスチック製容器本体の成形直後の容器本体表面積の
    収縮率3%から該容器本体内に内容物充填直後の容器本
    体表面積の膨張率5%の膨張および収縮に追随し得る酸
    化珪素を主体とするガスバリア性薄膜からなることを特
    徴とする上記の請求項1〜9のいずれか1項に記載する
    プラスチック製容器。
  11. 【請求項11】 ガスバリア性薄膜が、炭化水素化合物
    によるダイヤモンド状炭素膜を主体とするガスバリア性
    薄膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜5のい
    ずれか1項に記載するプラスチック製容器。
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