JPH11262970A - 透明バリア性フィルムおよびその製造法 - Google Patents

透明バリア性フィルムおよびその製造法

Info

Publication number
JPH11262970A
JPH11262970A JP10088291A JP8829198A JPH11262970A JP H11262970 A JPH11262970 A JP H11262970A JP 10088291 A JP10088291 A JP 10088291A JP 8829198 A JP8829198 A JP 8829198A JP H11262970 A JPH11262970 A JP H11262970A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
gas
plasma
aluminum oxide
polyethylene terephthalate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10088291A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4121609B2 (ja
Inventor
Shigeki Matsui
茂樹 松井
Yoshihiro Kishimoto
好弘 岸本
Takashi Kakizaki
俊 柿崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP08829198A priority Critical patent/JP4121609B2/ja
Publication of JPH11262970A publication Critical patent/JPH11262970A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4121609B2 publication Critical patent/JP4121609B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Wrappers (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素ガスあるいは水蒸気等に対するハイバリ
ア性を有し、かつ、透明性に優れ、更に、印刷加工適
性、ラミネ−ト加工適性、製袋加工適性等の後処理加工
適性に優れ、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学
品、電子部品、その他等の種々の物品を充填包装するに
有用な透明ガスバリア性フィルムを提供することであ
る。 【解決手段】 2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフ
ィルムの表面に、酸素ガスによるプラズマ処理面、また
は、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスによるプラズ
マ処理面を設け、更に、該プラズマ処理面に、酸化アル
ミニウムの蒸着膜を設けてなることを特徴とする透明バ
リア性フィルムおよびその製造法に関するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明バリア性フィ
ルムおよびその製造法に関し、更に詳しくは、透明性、
酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア性等に優れ、
更に、ラミネ−ト適性を有し、飲食品、医薬品、化粧
品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品を充填包
装する包装材料として有用な透明バリア性フィルムおよ
びその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、飲食品、医薬品、化粧品、その他
等の種々の物品を充填包装するために、種々の包装用素
材が開発され、提案されているが、近年、酸素ガスある
いは水蒸気等に対するバリア性素材として、プラスチッ
ク基材の表面に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化
マグネシウム、その他等の無機酸化物を使用し、真空蒸
着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の
物理気相成長法(PVD法)、あるいは、プラズマ化学
気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の
化学気相成長法(CVD法)等を利用して、その無機酸
化物の蒸着膜を形成してなる透明ガスバリア性フィルム
が開発され、提案されている。而して、上記の透明ガス
バリア性フィルムの一つとして、蒸着用基材として、2
軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用した
透明ガスバリア性フィルムがある。このものは、2軸延
伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムが、機械的、熱
的、化学的、電気的、その他等の諸特性に優れているこ
とから、この表面に無機酸化物の蒸着膜を良好に形成
し、かつ、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性を有す
る包装用素材として、その有用性が期待されているもの
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
蒸着用基材として、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−
トフィルムを使用した透明ガスバリア性フィルムにおい
ては、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア性が優
れているとは言うものの、アルミニウム箔等の従来のバ
リア性素材と比較して劣るものであり、例えば、酸素透
過度、水蒸気透過度は、約10cc/m2 /day、あ
るいは、10g/m2 /day位しか有しないものであ
る。このため、上記の透明ガスバリア性フィルムにおい
て、そのバリア性を向上させるために、種々の方法が試
みられており、例えば、無機酸化物の蒸着膜の膜厚をあ
る程度の厚さにすること等が試みられている。しかしな
がら、上記のように無機酸化物の蒸着膜の膜厚を厚くす
ると、該無機酸化物の蒸着膜は、ガラス質であって、可
撓性に欠けることから、例えば、フィルムの巻き取り、
印刷加工、ラミネ−ト加工、あるいは、製袋加工等の後
処理加工において、該無機酸化物の蒸着膜にクラック等
を発生し、それに伴って、酸素ガスあるいは水蒸気等に
対するバリア性を著しく低下させるという問題点がある
ものである。更に、上記の透明ガスバリア性フィルムに
おいて、そのバリア性を向上させるために、2軸延伸ポ
リエチレンテレフタレ−トフィルムの表面に、予め、前
処理を行う方法、あるいは、上記のプラスチック基材の
表面に、予め、アンカ−コ−ト剤層を形成する方法、更
に、上記の酸化ケイ素の蒸着膜面に過酸化水素をコ−テ
ィングしてバリア性を向上させる方法等も提案されてい
るが、それによる効果は、それなりに期待し得るもので
あるが、未だ、十分に満足し得るハイバリア性を有する
透明ガスバリア性フィルムを製造することは困難である
というのが実状であり、更に、付言すれば、そのような
操作を行うこと自体、その製造工程が増えることからそ
の製造コストを高めるという問題点がある。例えば、ポ
リウレタン系の有機系アンカ−コ−ト剤を使用し、予
め、これを2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィル
ムの表面にコ−ティングしてアンカ−コ−ト剤層を形成
し、次いで、該アンカ−コ−ト剤層を介して、無機酸化
物の蒸着膜を形成すると、ア−カ−コ−ト剤層中に含ま
れる残留溶剤等のために、蒸着中の真空度が低下し、更
には、アンカ−コ−ト剤層自体が、柔らかいために、ア
ンカ−コ−ト剤層表面において、蒸着膜がうまく成長せ
ず、所望どおりの蒸着膜を形成することが極めて困難で
あり、その結果、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバ
リア性に優れた透明ガスバリア性フィルムを製造するこ
と困難であるというのが実状である。なおまた、上記の
ような透明ガスバリア性フィルムにおいて、酸化ケイ素
の蒸着膜の場合には、フィルムの色が褐色を帯びてお
り、透明性が不十分であるという問題点もある。更に、
上記の蒸着用基材として、2軸延伸ポリエチレンテレフ
タレ−トフィルムを使用した透明ガスバリア性フィルム
においては、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィ
ルムと無機酸化物の蒸着膜との密着性に問題点があり、
例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム
の表面に無機酸化物の蒸着膜を設けた透明バリア性フィ
ルムと、他の樹脂のフィルムないしシ−ト等とラミネ−
トして積層体を製造し、これを使用して種々の物品を充
填包装する包装用容器を製造したとしても、包装用容
器、あるいは、これを構成する積層体において、その包
装用容器を構成するシ−ル強度、あるいは、積層体を構
成するラミネ−ト強度等が、不十分であり、しばしば、
包装用容器を構成するシ−ル間、或いは、積層体を構成
するラミネ−ト層間等において層間剥離等の現象を発生
し、その用をなさないとうい問題点がある。そこで本発
明は、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するハイバリア性
を有し、かつ、透明性に優れ、更に、印刷加工適性、ラ
ミネ−ト加工適性、製袋加工適性等の後処理加工適性に
優れ、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子
部品、その他等の種々の物品を充填包装するに有用な透
明ガスバリア性フィルムを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な問題点を解決すべく種々研究の結果、蒸着膜形成直前
の2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの表面
に、酸素ガスによるプラズマ処理、または、酸素ガスと
アルゴンガスとの混合ガスによるプラズマ処理を行い、
次いで、そのプラズマ処理面に、酸化アルミニウムの蒸
着膜を形成したところ、緻密な酸化アルミニウムの蒸着
膜を形成することができ、かつ、従来品と比較して、よ
り薄い膜厚でも十分にハイバリア性を有し、更に、2軸
延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの表面と酸化
アルミニウムの蒸着膜との密着性に優れ、その結果、酸
素ガスあるいは水蒸気等に対する極めて高いバリア性を
有し、かつ、透明性に優れ、更に、印刷加工適性、ラミ
ネ−ト加工適性、製袋加工適性等の後処理加工適性に優
れ、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部
品、その他等の種々の物品を充填包装するに有用な透明
ガスバリア性フィルムを製造し得ることを見出して本発
明を完成したものである。
【0005】すなわち、本発明は、2軸延伸ポリエチレ
ンテレフタレ−トフィルムの表面に、酸素ガスによるプ
ラズマ処理面、または、酸素ガスとアルゴンガスとの混
合ガスによるプラズマ処理面を設け、更に、該プラズマ
処理面に、酸化アルミニウムの蒸着膜を設けてなること
を特徴とする透明バリア性フィルムおよびその製造法に
関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】上記の本発明について以下に更に
詳しく説明する。まず、本発明にかかる透明バリア性フ
ィルムの構成について、その一例を例示して図面を用い
て説明すると、図1は、本発明にかかる透明バリア性フ
ィルムについてその一例の層構成を示す模式的断面図で
ある。
【0007】すなわち、本発明にかかる透明バリア性フ
ィルム1は、図1に示すように、2軸延伸ポリエチレン
テレフタレ−トフィルム2の表面に、酸化アルミニウム
の蒸着膜形成直前に、酸素ガスによるプラズマ処理面3
a、または、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスによ
るプラズマ処理面3bを形成し、更に、該プラズマ処理
面3a(3b)に、酸化アルミニウムの蒸着膜4を設け
た構成からなるものである。
【0008】上記の本発明において、本発明にかかる透
明バリア性フィルムを構成する2軸延伸ポリエチレンテ
レフタレ−トフィルムとしては、例えば、テレフタル酸
若しくはその誘導体とエチレングリコ−ルとの縮合反応
によって得られるポリエステル系樹脂のフィルムないし
シ−トであって、例えば、テンタ−方式あるいはチュ−
ブラ−方式等によって2方向に延伸されているものを使
用することができる。而して、本発明において、上記の
2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの厚さと
しては、製造時の安定性等から適宜に設定することが可
能であるが、約6μmないし100μm位が好ましく
は、更には、12μmないし50μm位が望ましい。更
に、本発明においては、2軸延伸ポリエチレンナフタレ
−トフィルムでも使用することができる。なお、本発明
において、用途に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線
吸収剤、可塑剤、滑剤、充填剤、その他等の所望の添加
剤を、その透明性に影響しない範囲内で任意に添加し、
それらを含有する2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−フ
ィルムを使用することができる。
【0009】また、上記の本発明において、本発明にか
かる透明バリア性フィルムを構成するプラズマ処理面に
ついて説明すると、かかるプラズマ処理面は、気体をア
−ク放電により電離させることにより生じるプラズマガ
スを利用して表面改質を行なうプラズマ表面処理法等を
利用してプラズマ処理面を形成することができるもので
ある。すなわは、本発明においては、酸素ガス、窒素ガ
ス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の無機ガスをプラズ
マガスとして使用する方法でプラズマ処理を行って、プ
ラズマ処理面を形成することができる。而して、本発明
において、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィル
ムの表面に行うプラズマ処理としては、プラズマ放電処
理の際に、酸素ガス、または、酸素ガスとアルゴンガス
との混合ガスを使用してプラズマ処理を行なうことが好
ましく、このようなプラズマ処理により、より低い電圧
でプラズマ処理を行なうことが可能であり、これによ
り、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの表
面の変色等を防止して、2軸延伸ポリエチレンテレフタ
レ−トフィルムの表面に、良好にプラズマ処理面を設け
ることができるものである。
【0010】ところで、本発明において、上記のプラズ
マ処理としては、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガス
を使用してプラズマ処理を行うことが最も望ましく、ま
た、そのプラズマ処理は、2軸延伸ポリエチレンテレフ
タレ−トフィルムの表面に酸化アルミニウムの蒸着膜を
形成する直前にインラインで行うことが望ましいもので
ある。すなわち、本発明においては、2軸延伸ポリエチ
レンテレフタレ−トフィルムの表面に、酸化アルミニウ
ムの蒸着膜を形成する直前に、インラインでプラズマ処
理を行うことにより、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ
−トフィルムの表面に付着している水分や塵等を除去す
ると共に、更に、プラズマ中で活性化された酸素分子が
2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの表面と
化学反応を起こすことによって、その処理面に薄くて平
滑性の高い酸化被膜を形成したプラズマ処理面を設ける
ことができものである。更に、本発明においては、2軸
延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの表面に、酸
化アルミニウムの蒸着膜を形成する直前に、インライン
でプラズマ処理を行うことにより、2軸延伸ポリエチレ
ンテレフタレ−トフィルムの表面に、例えば、水酸基
(−OH基)等が形成されているプラズマ処理面を設け
ることもできるものである。而して、本発明において
は、上記のようなプラズマ処理により、2軸延伸ポリエ
チレンテレフタレ−トフィルムの表面に酸化被膜、ある
いは、水酸基(−OH基)等が形成されているプラズマ
処理面上に、後述するように、蒸着により、酸化アルミ
ニウムの蒸着膜を形成すると、非常に緻密な酸化アルミ
ニウムの蒸着膜を形成することができ、しかも、2軸延
伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムと酸化アルミニ
ウムの蒸着膜との密着性に優れ、その結果、酸化アルミ
ニウムの蒸着膜の膜厚は、従来のそれと比較して、より
薄い膜厚で、十分に、酸素ガスあるいは水蒸気等に対す
る極めて高いバリア性薄膜を形成することができるもの
である。しかも、本発明においては、上記のように酸化
アルミニウムの蒸着膜を、従来のそれと比較して、より
薄い膜厚で形成して、十分に酸素ガスあるいは水蒸気等
に対するハイバリア性薄膜とすることができることか
ら、例えば、フィルムの巻き取り、印刷加工、ラミネ−
ト加工、あるいは、製袋加工等の後処理加工において、
上記の酸化アルミニウムの蒸着膜にクラック等の発生等
を防止することができ、いわゆる、後加工適性を向上さ
せることができるという利点も有するものである。更
に、本発明においては、上記のように、2軸延伸ポリエ
チレンテレフタレ−トフィルムと酸化アルミニウムの蒸
着膜との密着性が優れていることから、他の樹脂のフィ
ルムないしシ−ト等のラミネ−ト適性も向上するもので
ある。また、本発明においては、2軸延伸ポリエチレン
テレフタレ−トフィルムの表面に、その酸化アルミニウ
ムの蒸着膜形成直前にインラインでプラズマ処理を行う
ことから、透明バリア性フィルムの製造コスト面におい
ても、他の方法等と比較して極めて優れているものであ
る。
【0011】なお、本発明において、上記のプラズマ処
理においては、プラズマ処理条件が極めて重要であり、
その条件によって得られる効果は、全く異なる。而し
て、本発明において、プラズマ処理と化学反応に影響す
る要因としては、プラズマ出力、ガスの種類、ガスの供
給量、および、処理時間等を挙げることができる。本発
明において、プラズマ処理としては、具体的には、酸素
ガスとアルゴンガスとの混合ガスを使用することが望ま
しく、そして、その酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガ
スのガス圧としては、1×10-1〜1×10-10 Tor
r位、より好ましくは、1×10-4〜1×10-8Tor
r位が望ましく、また、酸素ガスとアルゴンガスとの比
率としては、分圧比で酸素ガス:アルゴンガス=10
0:0〜30:70位、より好ましくは、90:10〜
70:30位が望ましく、更に、そのプラズマ出力とし
ては、5〜70kW位、より好ましくは、10〜50k
W位が望ましく、更にまた、その処理速度としては、5
0〜800m/min位、より好ましくは、200〜6
00m/min位が望ましい。上記の酸素ガスとアルゴ
ンガスとの分圧比において、アルゴンガス分圧が高くな
ると、プラズマで活性化される酸素分子が少なくなり、
アルゴンガスが還元性ガスとして2軸延伸ポリエチレン
テレフタレ−トフィルムと反応し、2軸延伸ポリエチレ
ンテレフタレ−トフィルムの表面の酸化による酸化被
膜、あるいは、水酸基等の導入が阻害されることから好
ましくないものである。また、上記のプラズマ出力が、
5kW未満、更には、10kW未満の場合には、酸素ガ
スの活性化が低下し、高活性の酸素原子が生成しにくい
ことから好ましくなく、また、70kWを越えると、更
には、50kWを越えると、プラズマ出力が高すぎるの
で、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの劣
化により透明バリア性フィルムそのものの物性が低下す
るという問題を引き起こすことから好ましくないもので
ある。更に、上記の処理速度が、50m/min未満、
更には、200m/min未満であると、2軸延伸ポリ
エチレンテレフタレ−トフィルムに対する酸素プラズマ
量が少なく、また、800m/minを越えると、更に
は、600m/minを越えると、2軸延伸ポリエチレ
ンテレフタレ−トフィルムが多孔質状になり、バリア性
が低下して好ましくないものである。
【0012】ところで、本発明において、プラズマ処理
において、プラズマを発生させる方法としては、例え
ば、直流グロ−放電、高周波(Audio Frequ
ency:AF、Radio Frequency:R
F)放電、マイクロ波放電等の3通りの装置を利用して
行うことができる。而して、本発明においては、通常
は、13.56MHzの高周波(AF)放電装置を利用
して行うことができる。
【0013】なお、本発明において、酸化アルミニウム
の蒸着膜形成直前の2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−
トフィルムの表面に、上記のようなプラズマ処理により
形成されるプラズマ処理面について、英国、VGサイエ
ンティフィック社製のX線光電子分光分析測定機(機種
名、XPS)を使用し、処理面の元素分析を行うことよ
り、前述のように、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−
トフィルムの表面に付着している水分や塵等を除去され
ると共に、更に、プラズマ中で活性化された酸素分子が
2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの表面と
化学反応を起こすことによって、その処理面に薄くて平
滑性の高い酸化被膜を形成したプラズマ処理面であるこ
と、更に、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィル
ムの表面に、例えば、水酸基(−OH基)等の官能基が
形成されているプラズマ処理面であることを確認するこ
とができるものである。具体的には、X線源として、M
gKα1.2、X線出力として15Kv、20mAの測
定条件で表面〜100ÅのXPS分析を行い、而して、
酸化被膜の形成状態は、表面のO/C(酸素と炭素)の
組成比を測定して確認することができ、また、水酸基
(−OH基)等の形成状態は、O1Sの532eV位置に
得られるピ−クを測定して確認することができるもので
ある。
【0014】次に、本発明において、本発明にかかる透
明バリア性フィルムを構成する酸化アルミニウムの蒸着
膜としては、透明性に優れ、非結晶性の酸化アルミニウ
ムの蒸着膜が好ましく、具体的には、式AlOX (ただ
し、式中、Xは、1〜1.5の数を表す。)で表される
酸化アルミニウムの蒸着膜が好ましいものである。ま
た、本発明において、上記の酸化アルミニウムの蒸着膜
の膜厚としては、100〜2000Å位、より好ましく
は、100〜1000Å位が望ましく、而して、上記に
おいて、2000Å、更には、1000Åより厚くなる
と、その膜の可撓性が低下し、膜にクラック等が発生し
易くなるので好ましくなく、また、100Å未満である
と、そのバリア性等の効果を奏することが困難になるこ
とから好ましくないものである。而して、本発明におい
て、上記の酸化アルミニウムの蒸着膜は、具体的には、
例えば、上記のようなアルミニウム等の金属、あるい
は、酸化アルミニウム等の金属酸化物等を使用し、酸素
ガス等を供給しながら、真空蒸着法、スパッタリング
法、イオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(物理
気相成長法、Physical Vapor Depo
sition法、PVD法)によって、酸化アルミニウ
ムの蒸着膜を形成し、これを使用することができる。上
記において、蒸着原料の加熱方式としては、例えば、エ
レクトロンビ−ム(EB)方式、高周波誘導加熱方式、
抵抗加熱方式等を用いられる。
【0015】次に、本発明において、上記のようなプラ
ズマ処理面、および、酸化アルミニウムの蒸着膜の形成
等からなる本発明にかかる透明バリア性フィルムの製造
法について具体的に説明すると、図2は、本発明にかか
る透明バリア性フィルムの製造法についてその一例を例
示する巻き取り式真空蒸着装置の概略的構成図である。
【0016】本発明において、本発明にかかる透明バリ
ア性フィルムの製造法は、具体的には、図2に示すよう
に、まず、巻き取り式真空蒸着装置11の真空チャンバ
−12の中で、巻き出しロ−ル13から2軸延伸ポリエ
チレンテレフタレ−トフィルム14を繰り出し、更に、
該2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム14を
ガイドロ−ル15、16を介して、冷却したコ−ティン
グドラム17に案内する。而して、本発明においては、
上記のガイドロ−ル16と冷却したコ−ティングドラム
17との間にプラズマ発生口18を配置し、ここで、2
軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム14の表面
に、上記のプラズマ発生口18を利用して、該プラズマ
発生口18から酸素ガスプラズマ、または、酸素ガスと
アルゴンガスとの混合ガスプラズマを発生させてプラズ
マ処理を行って、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタ
レ−トフィルム14の表面に、プラズマ処理面を形成す
る。次いで、本発明においては、上記でプラズマ処理面
を設けた2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム
14を冷却したコ−ティングドラム17の上に案内し、
次いで、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム
14のプラズマ処理面に、蒸着源19として、アルミニ
ウム(金属)あるいは酸化アルミニウム等を使用し、こ
れらをるつぼ20の中に入れ、該るつぼ20中で熱せら
れたアルミニウム(金属)、あるいは、酸化アルミニウ
ムを蒸発させ、その際に、酸素吹き出し口21より酸素
ガス等を噴出させながら、マスク22、22を介して酸
化アルミニウムの蒸着膜を成膜化し、次いで、該酸化ア
ルミニウムの蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテ
レフタレ−トフィルム14を、ガイドロ−ル15´、1
6´を介して、巻き取りロ−ル23に巻き取って、本発
明にかかる透明バリア性フィルムを製造することができ
るものである。上記の例示は、その製造法の一例であ
り、本発明は、この例示により限定されるものではな
い。
【0017】上記のように、本発明において、酸化アル
ミニウムの蒸着膜形成直前の2軸延伸ポリエチレンテレ
フタレ−トフィルムの表面に、酸素ガスによるプラズマ
処理面、または、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガス
によるプラズマ処理面を設け、次いで、該プラズマ処理
面に酸化アルミニウムの蒸着膜を形成して、本発明にか
かる透明バリア性フィルムを製造するものである。而し
て、上記の本発明にかかる透明バリア性フィルムは、前
述のように、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィ
ルムの表面に、酸化アルミニウムの蒸着膜を形成する直
前に、インラインでプラズマ処理を行うことにより、2
軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの表面に付
着している水分や塵等を除去すると共に、更に、プラズ
マ中で活性化された酸素分子が2軸延伸ポリエチレンテ
レフタレ−トフィルムの表面と化学反応を起こすことに
よって、その処理面に薄くて平滑性の高い酸化被膜を形
成したプラズマ処理面を設けることができものであり、
更に、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの
表面に、例えば、水酸基(−OH基)等が形成されてい
るプラズマ処理面を設けることもできるものである。而
して、本発明においては、2軸延伸ポリエチレンテレフ
タレ−トフィルムの表面に酸化被膜、あるいは、水酸基
(−OH基)等が形成されているプラズマ処理面上に、
酸化アルミニウムの蒸着膜を蒸着すると、非常に緻密な
酸化アルミニウムの蒸着膜を形成することができ、しか
も、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムと酸
化アルミニウムの蒸着膜との密着性に優れ、その結果、
酸化アルミニウムの蒸着膜の膜厚は、従来のそれと比較
して、より薄い膜厚で、十分に、酸素ガスあるいは水蒸
気等に対する極めて高いバリア性薄膜を形成することが
できるものである。しかも、本発明においては、上記の
ように酸化アルミニウムの蒸着膜を、従来のそれと比較
して、より薄い膜厚で形成して、十分に酸素ガスあるい
は水蒸気等に対するハイバリア性薄膜とすることができ
ることから、例えば、フィルムの巻き取り、印刷加工、
ラミネ−ト加工、あるいは、製袋加工等の後処理加工に
おいて、上記の酸化アルミニウムの蒸着膜にクラック等
の発生等を防止することができ、いわゆる、後加工適性
を向上させることができるという利点も有するものであ
る。更に、本発明においては、上記のように、2軸延伸
ポリエチレンテレフタレ−トフィルムと酸化アルミニウ
ムの蒸着膜との密着性が優れていることから、他の樹脂
のフィルムないしシ−ト等のラミネ−ト適性も向上する
ものである。また、本発明においては、酸化アルミニウ
ムの蒸着膜を形成するインラインでプラズマ処理を行う
ことができることから、その製造コストを著しく低減す
ることが可能であり、他の方法とコスト面において極め
て優れているものである。
【0018】上記のようにして製造した本発明にかかる
透明バリア性フィルムは、例えば、樹脂のフィルム、紙
基材、金属素材、合成紙、セロハン、その他等の包装用
容器を構成する包装用素材等と任意に組み合わせて、例
えば、ラミネ−トして種々の積層体を製造し、種々の物
品を充填包装する適した包装材料を製造可能とするもの
である。上記の樹脂のフィルムとしては、具体的には、
例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高
密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アク
リル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメ
タクリル酸共重合体、酸変性ポリオレフィン系樹脂、メ
チルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビ
ニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデ
ン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ
(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹
脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン
共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェ
ン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル
系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、
ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共
重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリ
アセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ
−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トか
ら任意に選択して使用することができる。本発明におい
て、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ない
し二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用
することができる。また、その厚さは、任意であるが、
数μmから300μm位の範囲から選択して使用するこ
とができる。更に、本発明においては、フィルムないし
シ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成
膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。ま
た、上記において、紙基材としては、例えば、強サイズ
性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ−ル紙、ク
ラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用す
ることができる。上記において、紙層を構成する紙基材
としては、坪量約80〜600g/m2位のもの、好ま
しくは、坪量約100〜450g/m2 位のものを使用
することが望ましい。また、上記にといて、金属素材と
しては、例えば、アルミニウム箔、あるいは、アルミニ
ウム蒸着膜を有する樹脂のフィルム等を使用することが
できる。
【0019】次に、上記の本発明において、上記のよう
な材料を使用して積層体を製造する方法について説明す
ると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネ−
トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドラ
イラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション
法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出し成形
法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ション
法、共押し出しインフレ−ション法、その他等で行うこ
とができる。而して、本発明においては、上記の積層を
行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処
理、フレ−ム処理、その他等の前処理をフィルムに施す
ことができ、また、例えば、ポリエステル系、イソシア
ネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリ
ブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティング
剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエ
ステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス
系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ−
コ−ト剤、接着剤等を使用することができる。
【0020】次に、本発明において、上記のような積層
体を使用して製袋ないし製函する方法について説明する
と、例えば、包装用容器がプラスチックフィルム等から
なる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造した積層
体を使用し、その内層のヒ−トシ−ル性樹脂層の面を対
向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね
合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部
を設けて袋体を構成することができる。而して、その製
袋方法としては、上記の積層体を、その内層の面を対向
させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、
更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二
方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ
−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付
シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、その他等のヒ
−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかか
る種々の形態の包装用容器を製造することができる。そ
の他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)
等も製造することが可能であり、更に、本発明において
は、上記の積層材を使用してチュ−ブ容器等も製造する
ことができる。上記において、ヒ−トシ−ルの方法とし
ては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルト
シ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−
ル等の公知の方法で行うことができる。なお、本発明に
おいては、上記のような包装用容器には、例えば、ワン
ピ−スタイプ、ツウ−ピ−スタイプ、その他等の注出
口、あるいは開閉用ジッパ−等を任意に取り付けること
ができる。
【0021】次にまた、包装用容器として、紙基材を含
む液体充填用紙容器の場合、例えば、積層材として、紙
基材を積層した積層材を製造し、これから所望の紙容器
を製造するブランク板を製造し、しかる後該ブランク板
を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例えば、ブ
リックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップ
タイプの液体用紙容器等を製造することができる。ま
た、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等の
いずれのものでも製造することができる。
【0022】本発明において、上記のようにして製造し
た包装用容器は、透明性、酸素ガス、水蒸気等に対する
ガスバリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネ−ト加
工、印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有
し、また、バリア性膜としての蒸着薄膜の剥離を防止
し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化
を防止して、バリア性膜として優れた耐性を発揮し、例
えば、飲食品、医薬品、洗剤、シャンプ−、オイル、歯
磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他
等の種々の物品の充填包装適性、保存適性等に優れてい
るものである。
【0023】
【実施例】実施例1 巻き取り式の真空蒸着装置を使用し、厚さ12μmの2
軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを基材と
し、その片面に、放電プラズマ発生装置を用いて、プラ
ズマ出力20kW、酸素(O2 ):アルゴン(Ar)=
19:1からなる混合ガスを使用し、その混合ガス圧6
×10-5Torr、処理速度600mm/minで酸素
/アルゴン混合ガスプラズマ処理を蒸着前にインライン
で行い、次いで、アルミニウムを蒸着源に用いてエレク
トロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法によ
り、膜厚150Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し
て、本発明にかかる透明バリア性フィルムを製造した。
【0024】実施例2 上記の実施例1と同様に、巻き取り式の真空蒸着装置を
使用し、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタ
レ−トフィルムを基材とし、その片面に、放電プラズマ
発生装置を用いて、プラズマ出力35kW、酸素
(O2 ):アルゴン(Ar)=19:1からなる混合ガ
スを使用し、その混合ガス圧6×10-5Torr、処理
速度600mm/minで酸素/アルゴン混合ガスプラ
ズマ処理を蒸着前にインラインで行い、次いで、アルミ
ニウムを蒸着源に用いてエレクトロンビ−ム(EB)加
熱方式による真空蒸着法により、膜厚200Åの酸化ア
ルミニウムの蒸着膜を形成して、本発明にかかる透明バ
リア性フィルムを製造した。
【0025】比較例1 上記の実施例1と同様に、厚さ12μmの2軸延伸ポリ
エチレンテレフタレ−トフィルムを基材とし、その片面
に、アルミニウムを蒸着源に用いてエレクトロンビ−ム
(EB)加熱方式による真空蒸着法により、蒸着速度6
00m/sで、膜厚200Åの酸化アルミニウムの蒸着
膜を形成して、酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造し
た(酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを使用してプ
ラズマ処理を行わなかった。)。
【0026】比較例2 上記の実施例1と同様に、巻き取り式の真空蒸着装置を
使用し、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタ
レ−トフィルムを基材とし、その片面に、放電プラズマ
発生装置を用いて、プラズマ出力20kW、ガス圧6×
10-5Torr、処理速度600mm/minでアルゴ
ンガスだけを用いたプラズマ処理を蒸着前にインライン
で行い、次いで、アルミニウムを蒸着源に用いてエレク
トロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法によ
り、膜厚200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し
て、酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造した(アルゴ
ンガスのみによるプラズマ前処理)。
【0027】実験例1 上記の実施例1〜2、および、比較例1〜2で製造した
各蒸着フィルムを使用し、下記に示す評価項目について
試験を行い、そのデ−タを測定した。 (1).酸素透過度の測定 上記で製造した各蒸着フィルムを使用し、温度25℃、
湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)
社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN
2/20)〕を使用して測定した。 (2).水蒸気透過度の測定 上記で製造した各蒸着フィルムを使用し、温度37.8
℃、湿度100%RHの条件で、米国、モコン(MOC
ON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン(PERM
ATRAN 3/31)〕を使用して測定した。 (3).透明性の測定 上記で製造した各蒸着フィルムを使用し、全光線透過率
をJIS K−7613の方法を用いて測定した。 (4).ラミネ−ト適性評価 上記で製造した各蒸着フィルムを使用し、まず、その蒸
着フィルムの蒸着膜面に、厚さ20μmの無延伸ポリプ
ロピレンフィルムを重ね合わせ、その両者を2液硬化型
のポリウレタン系接着剤(武田薬品工業株式会社製、製
品名、タケラック A−515/タケネ−ト A−5
0)を用いて、塗工量4g/m2 (dry)でドライラ
ミネ−トし、しかる後、24時間エ−ジング処理して、
積層体を製造した。次いで、上記で製造した積層体につ
いて、ラミネ−ト強度、酸素透過度および水蒸気透過度
等のバリア性評価、および、ゲルボテストを実施した。
ラミネ−ト強度の測定法は、ラミネートフィルムを15
mm幅短冊状に切ったサンプルを低速引張試験機によ
り、引張速度300mm/min、180度剥離にてラ
ミネート強度測定を行った。また、ゲルボテストは、ゲ
ルボテスタ−を使用し、ゲルボの回数、10回、25
回、および、50回でテストした。上記の測定結果につ
いて、下記の表1、表2、表3、および、表4に示す。
【0028】
【表1】 蒸着フィルムの酸素透過度、水蒸気透過度、
および、透明性
【0029】
【表2】 積層体のラミネ−ト強度
【0030】
【表3】 積層体の酸素透過度、および、水蒸気透過度
【0031】
【表4】 積層体のゲルボテスト後の酸素透過度、およ
び、水蒸気透過度
【0032】上記の結果より明らかなように、実施例1
〜2のものは、いずれの測定項目においても優れてい
た。
【0033】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明
は、蒸着膜形成直前の2軸延伸ポリエチレンテレフタレ
−トフィルムの表面に、酸素ガスによるプラズマ処理、
または、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスによるプ
ラズマ処理を行い、次いで、そのプラズマ処理面に、酸
化アルミニウムの蒸着膜を形成したところ、緻密な酸化
アルミニウムの蒸着膜を形成することができ、かつ、従
来品と比較して、より薄い膜厚でも十分にハイバリア性
を有し、更に、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフ
ィルムの表面と酸化アルミニウムの蒸着膜との密着性に
優れ、その結果、酸素ガスあるいは水蒸気等に対する極
めて高いバリア性を有し、かつ、透明性に優れ、更に、
印刷加工適性、ラミネ−ト加工適性、製袋加工適性等の
後処理加工適性に優れ、例えば、飲食品、医薬品、化粧
品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品を充填包
装するに有用な透明ガスバリア性フィルムを製造し得る
ことができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる透明バリア性フィルムについて
その一例の層構成を示す模式的断面図である。
【図2】本発明にかかる透明バリア性フィルムの製造法
についてその一例を例示する巻き取り式真空蒸着装置の
概略的構成図である。
【符号の説明】 1 透明バリア性フィルム 2 2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム 3a プラズマ処理面 3b プラズマ処理面 4 酸化アルミニウムの蒸着膜 11 巻き取り式真空蒸着装置 12 真空チャンバ− 13 巻き出しロ−ル 14 2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム 15、16 ガイドロ−ル 15´、16´ ガイドロ−ル 17 冷却したコ−ティングドラム 18 プラズマ発生口 19 蒸着源 20 るつぼ 21 酸素吹き出し口 22 マスク 23 巻き取りロ−ル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08J 7/00 306 C08J 7/00 306 7/04 CFD 7/04 CFDP 7/06 7/06 Z C23C 14/08 C23C 14/08 A // C08L 67:02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフ
    ィルムの表面に、酸素ガスによるプラズマ処理面、また
    は、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスによるプラズ
    マ処理面を設け、更に、該プラズマ処理面に、酸化アル
    ミニウムの蒸着膜を設けたことを特徴とする透明バリア
    性フィルム。
  2. 【請求項2】 酸化アルミニウムの蒸着膜を設ける直前
    の2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの表面
    に、インラインでプラズマ処理面を設けたことを特徴と
    する上記の請求項1に記載する透明バリア性フィルム。
  3. 【請求項3】 酸化アルミニウムの蒸着膜が、膜厚10
    0Å〜2000Åであることを特徴とする上記の請求項
    1または2に記載する透明バリア性フィルム。
  4. 【請求項4】 酸化アルミニウムの蒸着膜が、膜厚10
    0Å〜1000Åであることを特徴とする上記の請求項
    1、2または3に記載する透明バリア性フィルム。
  5. 【請求項5】 2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフ
    ィルムの表面に、酸素ガスによるプラズマ処理、また
    は、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスによるプラズ
    マ処理を行い、次いで、酸化アルミニウムの蒸着膜を形
    成することを特徴とする透明バリア性フィルムの製造
    法。
  6. 【請求項6】 酸化アルミニウムの蒸着膜を形成する直
    前の2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの表
    面に、インラインでプラズマ処理を行うことを特徴とす
    る上記の請求項5に記載する透明バリア性フィルムの製
    造法。
  7. 【請求項7】 酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガス
    が、そのガス圧が、1×10-1〜1×10-10 Torr
    であり、その比率が、分圧比で酸素ガス:アルゴンガス
    =100:0〜30:70であり、そのプラズマ出力
    が、5〜70kWであり、その処理速度が、50〜80
    0m/minであることを特徴とする上記の請求項5ま
    たは6に記載する透明バリア性フィルムの製造法。
  8. 【請求項8】 酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガス
    が、そのガス圧が、1×10-4〜1×10-8Torrで
    あり、その比率が、分圧比で酸素ガス:アルゴンガス=
    90:10〜70:30であり、そのプラズマ出力が、
    10〜50kWであり、その処理速度が、200〜60
    0m/minであることを特徴とする上記の請求項5、
    6または7に記載する透明バリア性フィルムの製造法。
JP08829198A 1998-03-18 1998-03-18 透明バリア性フィルムおよびその製造法 Expired - Lifetime JP4121609B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08829198A JP4121609B2 (ja) 1998-03-18 1998-03-18 透明バリア性フィルムおよびその製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08829198A JP4121609B2 (ja) 1998-03-18 1998-03-18 透明バリア性フィルムおよびその製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11262970A true JPH11262970A (ja) 1999-09-28
JP4121609B2 JP4121609B2 (ja) 2008-07-23

Family

ID=13938816

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP08829198A Expired - Lifetime JP4121609B2 (ja) 1998-03-18 1998-03-18 透明バリア性フィルムおよびその製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4121609B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001138430A (ja) * 1999-11-15 2001-05-22 Dainippon Printing Co Ltd ボイルないしレトルト処理用積層包装材
JP2004203023A (ja) * 2002-12-10 2004-07-22 Toppan Printing Co Ltd 高性能バリアフィルム
JP2007211320A (ja) * 2006-02-13 2007-08-23 Dainippon Printing Co Ltd 透明蒸着フィルム、およびその製造方法
JP2008049576A (ja) * 2006-08-24 2008-03-06 Toppan Printing Co Ltd ガスバリア性積層体
JP2019142091A (ja) * 2018-02-20 2019-08-29 大日本印刷株式会社 積層体およびそれを備える包装袋
JP2020185672A (ja) * 2019-05-10 2020-11-19 大日本印刷株式会社 バリアフィルム
US11680322B2 (en) 2011-12-28 2023-06-20 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Method for forming a laminated film on a substrate

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001138430A (ja) * 1999-11-15 2001-05-22 Dainippon Printing Co Ltd ボイルないしレトルト処理用積層包装材
JP2004203023A (ja) * 2002-12-10 2004-07-22 Toppan Printing Co Ltd 高性能バリアフィルム
JP2007211320A (ja) * 2006-02-13 2007-08-23 Dainippon Printing Co Ltd 透明蒸着フィルム、およびその製造方法
JP2008049576A (ja) * 2006-08-24 2008-03-06 Toppan Printing Co Ltd ガスバリア性積層体
US11680322B2 (en) 2011-12-28 2023-06-20 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Method for forming a laminated film on a substrate
JP2019142091A (ja) * 2018-02-20 2019-08-29 大日本印刷株式会社 積層体およびそれを備える包装袋
JP2020185672A (ja) * 2019-05-10 2020-11-19 大日本印刷株式会社 バリアフィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP4121609B2 (ja) 2008-07-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4478223B2 (ja) 酸化アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造法
JPH11151774A (ja) 透明ガスバリア−性フィルム
JP2000127286A (ja) バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材
JP4124293B2 (ja) 酸化アルミニウム蒸着フィルム
JP4121609B2 (ja) 透明バリア性フィルムおよびその製造法
JP4110884B2 (ja) 高ガスバリア性フィルムの製造方法
JP2001225409A (ja) 透明バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材
JP4028069B2 (ja) 透明バリア性フィルム
JP5084983B2 (ja) バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材
JP4090571B2 (ja) 透明バリア性フィルムおよびそれを使用した積層体
JP4240581B2 (ja) 透明バリア性フィルムおよびその製造法
JPH11229119A (ja) 透明バリア性フィルム
JP5214231B2 (ja) 酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造法
JP4060935B2 (ja) ガスバリア性フィルムおよびその製造法
JP4156056B2 (ja) 酸化アルミニウム蒸着複合フィルムおよびその製造法
JP2000355071A (ja) バリア性フィルム及びそれを使用した積層材、並びにバリア性フィルムの製造方法及び装置
JP4867906B2 (ja) 透明バリア性フィルム
JP4774577B2 (ja) バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材
JP5292992B2 (ja) ガスバリア性フィルムの製造方法
JP4372965B2 (ja) バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材
JPH11322981A (ja) 透明バリア性フィルム
JP4123807B2 (ja) 高ガスバリア性フィルム
JP4416056B2 (ja) 透明バリア性フィルム
JP4478255B2 (ja) 酸化アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造法
JP4108826B2 (ja) 透明バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050311

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070418

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070502

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070627

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080403

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080430

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110509

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120509

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120509

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130509

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140509

Year of fee payment: 6

EXPY Cancellation because of completion of term