JPH11224824A - 点火コイル - Google Patents

点火コイル

Info

Publication number
JPH11224824A
JPH11224824A JP10026058A JP2605898A JPH11224824A JP H11224824 A JPH11224824 A JP H11224824A JP 10026058 A JP10026058 A JP 10026058A JP 2605898 A JP2605898 A JP 2605898A JP H11224824 A JPH11224824 A JP H11224824A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
winding
layer
film
ignition coil
winding body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10026058A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4045632B2 (ja
Inventor
Shigeyuki Nozawa
成行 野澤
Hisao Asai
尚雄 浅井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP02605898A priority Critical patent/JP4045632B2/ja
Publication of JPH11224824A publication Critical patent/JPH11224824A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4045632B2 publication Critical patent/JP4045632B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Insulating Of Coils (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 絶縁樹脂の熱収縮或いは熱硬化収縮に起因し
た同樹脂における部分欠陥の発生を抑制して、点火コイ
ルの耐久性及び信頼性を向上させる。 【解決手段】 点火コイル10はケース11、同ケース
11内に収容されたインナコア12、2次コイル13、
1次コイル14、及びアウタコア15等を備える。ケー
ス11内に収容された各部材間の隙間はエポキシ樹脂か
らなる絶縁層16によって封止される。1次コイル14
は巻線体35と同巻線体35の両端部に配置されたスリ
ーブ37,38とからなる。巻線体35の内周面はフィ
ルム40によって被覆される。フィルム40はガラスク
ロスからなる基層41と、シリコン材からなり絶縁層1
6に接触する剥離層42と、巻線体35の内周面に接触
する粘着層43とからなる三層構造を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は点火コイルに係
り、詳しくは、筒状のケース内にインナコア、内側巻線
体及び外側巻線体が同心円状に収容されるとともに絶縁
樹脂が充填されてなる点火コイルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の点火コイルとしては、図16に示
すように、ケース101の中心部にインナコア102が
配設され、更にこのインナコア102の外周を囲むよう
にして順に1次コイル103及び2次コイル104が同
心円状に配設されたものが知られている(例えば、特開
平8−293418号公報、特開平9−167709号
公報に記載された「内燃機関用点火装置」)。
【0003】また、このような点火コイル100では点
火用の高電圧が発生するため、ケース101内に絶縁樹
脂を充填して硬化させることにより絶縁層105を形成
し、この絶縁層105によって各部材間の絶縁性を確保
するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記点火コ
イルではケース101内に配設される各部材が金属、樹
脂等の異種材料によって形成されており、これら個々の
熱膨張係数が異なっているため、周囲温度に応じて点火
コイルが温度低下した場合に熱収縮差に起因した熱応力
が絶縁層105に発生し、同層105に微少な亀裂、即
ち部分欠陥が発生することがある。また、このような部
分欠陥は熱収縮差に起因した熱応力以外に、ケース10
1内に絶縁樹脂が充填された後、その絶縁樹脂が硬化収
縮する際に生じた残留応力によっても同様に発生する。
【0005】そして、このような部分欠陥が1次コイル
103と2次コイル104との間にある絶縁層105に
発生すると、その欠陥が生じた部分の誘電率が上昇して
同部分における電位勾配が局所的に増大する。その結
果、この欠陥部分が放電によって焼損することがあり、
点火コイルにおける耐久性及び信頼性の低下を招くおそ
れがあった。
【0006】また、2次コイル104の外周側に位置す
る絶縁層105にも上記熱応力や残留応力に起因して亀
裂が発生することがあり、この亀裂が点火コイル100
の内部側にまで徐々に進展して両コイル104,105
間における部分欠陥となった場合にも同様に、点火コイ
ルの耐久性及び信頼性を低下させてしまうおそれがあっ
た。
【0007】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
ものであり、その目的は絶縁樹脂の熱収縮或いは熱硬化
収縮に起因した同樹脂における部分欠陥の発生を抑制し
て、点火コイルの耐久性及び信頼性を向上させることに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載した発明では、筒状のケース内にイ
ンナコア、巻線を積層して巻回してなる内側巻線体及び
外側巻線体が同心円状に収容され、両巻線体の間及び外
側巻線体の外周側に絶縁樹脂が充填硬化されてなる点火
コイルにおいて、外側巻線体の外周部を被覆するフィル
ムを備えるようにしている。
【0009】上記構成によれば、フィルムによって外側
巻線体の外周部が被覆されているため、ケース内に充填
された絶縁樹脂は外側巻線体における巻線各層の隙間に
浸入し難くなる。このため、外側巻線体の巻線各層は絶
縁樹脂によって接着されないか、或いは接着されても部
分的なものとなり、外側巻線体の巻線層間の隙間は拡大
可能となる。そして、この隙間が拡大することにより絶
縁樹脂の熱収縮及び硬化収縮は吸収され、絶縁樹脂に発
生する熱応力や残留応力が緩和される。
【0010】請求項2に記載した発明は、請求項1記載
の点火コイルにおいて、フィルムの少なくとも片面は同
面に対して接触する外側巻線体或いは絶縁樹脂に対し剥
離性を有している。
【0011】上記構成によれば、剥離性を有するフィル
ムの一面と外側巻線体或いは絶縁樹脂とが接着しなくな
り、同フィルムと外側巻線体或いは絶縁樹脂との間には
拡大可能な隙間が存在するようになる。従って、この隙
間が拡大することにより絶縁樹脂に発生する熱収縮及び
硬化収縮は吸収されるようになる。このため、仮に外側
巻線体における巻線各層の隙間に絶縁樹脂が浸入して巻
線各層が絶縁樹脂により接着されることがあっても、絶
縁樹脂に生じる熱応力や残留応力は確実に低減される。
【0012】請求項3に記載した発明では、筒状のケー
ス内にインナコア、巻線を積層して巻回してなる内側巻
線体及び外側巻線体が同心円状に収容され、両巻線体の
間及び外側巻線体の外周側に絶縁樹脂が充填硬化されて
なる点火コイルにおいて、少なくともその片面に外側巻
線体及び絶縁樹脂に対し剥離性を有するフィルムを外側
巻線体の巻線層間に介在させるようにしている。
【0013】上記構成によれば、剥離性を有するフィル
ムの一面は外側巻線体と接着せず、また、外側巻線体の
内部に浸入した絶縁樹脂とも接着しない。従って、絶縁
樹脂に発生する熱収縮及び硬化収縮はフィルムと外側巻
線体或いは絶縁樹脂との間の隙間が拡大することにより
吸収されるため、同樹脂の熱応力や残留応力は確実に低
減されるようになる。更に、フィルムは外側巻線体の層
間に介在されているため、同外側巻線体の内周部及び外
周部はいずれも絶縁樹脂によって被覆されるようにな
る。
【0014】請求項4に記載した発明では、筒状のケー
ス内にインナコア、巻線を積層して巻回してなる内側巻
線体及び外側巻線体が同心円状に収容され、両巻線体の
間及び外側巻線体の外周側に絶縁樹脂が充填硬化されて
なる点火コイルにおいて、少なくともその片面に同面に
対して接触する外側巻線体或いは絶縁樹脂に対し剥離性
を有するフィルムによって外側巻線体の内周部を被覆す
るようにしている。
【0015】上記構成によれば、剥離性を有するフィル
ムの一面と外側巻線体或いは絶縁樹脂とが接着しなくな
る。従って、絶縁樹脂に発生する熱収縮及び硬化収縮は
フィルムと外側巻線体或いは絶縁樹脂との間の隙間が拡
大することにより吸収されるため、同樹脂の熱応力や残
留応力は低減されるようになる。
【0016】請求項5に記載した発明では、筒状のケー
ス内にインナコア、巻線を積層して巻回してなる内側巻
線体及び外側巻線体、筒状のアウタコアが同心円状に収
容され、両巻線体の間及び外側巻線体の外周側に絶縁樹
脂が充填硬化されてなる点火コイルにおいて、少なくと
もその片面に同面に対して接触するアウタコア或いは外
側巻線体に対し剥離性を有するフィルムによってアウタ
コアの内周部を被覆するようにしている。
【0017】上記構成によれば、剥離性を有するフィル
ムの一面とアウタコア或いは絶縁樹脂とが接着しなくな
り、同フィルムとアウタコア或いは絶縁樹脂との間には
拡大可能な隙間が存在するようになる。従って、この隙
間が拡大することによって絶縁樹脂に発生する熱収縮及
び硬化収縮は吸収されるため、同樹脂の熱応力や残留応
力は低減されるようになる。
【0018】請求項6に記載した発明では、筒状のケー
ス内にインナコア、巻線を積層して巻回してなる内側巻
線体及び外側巻線体が同心円状に収容され、両巻線体の
間及び外側巻線体の外周側に絶縁樹脂が充填硬化されて
なる点火コイルにおいて、両巻線体の間に位置する絶縁
樹脂及び外側巻線体の外周側に位置する絶縁樹脂の少な
くとも一方の内部に少なくともその片面に絶縁樹脂に対
し剥離性を有するフィルムを同心円状に配置するように
している。
【0019】上記構成によれば、剥離性を有するフィル
ムの一面と絶縁樹脂とが接着しなくなり、同フィルムと
アウタコア或いは絶縁樹脂との間には拡大可能な隙間が
存在するようになる。従って、この隙間が拡大すること
によって絶縁樹脂に発生する熱収縮及び硬化収縮は吸収
されるため、同樹脂の熱応力や残留応力は低減されるよ
うになる。
【0020】
【発明の実施の形態】[第1の実施形態]以下、本発明
を具体化した第1の実施形態について図1〜5を参照し
て説明する。この点火コイルはディストリビュータを不
要とした、いわゆるDLI点火方式(Distributor Less
Ignition system)を採用するエンジンに適用されるも
のである。
【0021】図1に示すように、点火コイル10はケー
ス11、同ケース11内に収容されたインナコア12、
2次コイル13、1次コイル14、及びアウタコア15
等を備えている。また、ケース11には1次コイル14
に流れる1次電流を断続制御するためのイグナイタ20
が内蔵されている。
【0022】上記のようにケース11内に収容された各
部材間の隙間は絶縁層16によって封止されている。こ
の絶縁層16は液状のエポキシ樹脂をケース11内に充
填し所定温度で加熱して硬化させることにより形成され
ている。この絶縁層16によってケース11内の各部材
間における絶縁性が確保されている。
【0023】前記ケース11はPBT(ポリブチレンテ
レフタレート)樹脂等の樹脂材料によって略円筒状に形
成されている。このケース11の上端部にはエンジンの
制御装置(いずれも図示略)からのハーネス(図示略)
が接続される接続部11aや、点火コイル10をエンジ
ンのシリンダヘッド(図示略)にボルト固定するための
取付部11bが一体形成され、更にその下端部にはPB
T樹脂等の樹脂材料からなる円筒部材18が内嵌されて
いる。この円筒部材18の内部には金属製の高圧部材2
1が固定されており、この高圧部材21には点火プラグ
(図示略)と電気的に接続されるスプリング22の上端
部が固定されている。また、円筒部材18の下端部には
シリコンゴムからなる円筒状のゴムブーツ23が外嵌さ
れている。
【0024】前記インナコア12は複数の珪素鋼板を積
層することにより円柱状に形成されており、上下方向に
延びるようにしてケース11内の中心部に配置されてい
る。インナコア12の上下両端部には磁石25,26が
固着されており、この磁石25,26及びインナコア1
2はゴム層27によってその全体が被覆されている。
【0025】上記のようにゴム層27によって被覆され
た磁石25,26及びインナコア12には略円筒状をな
す2次ボビン30が外嵌されている。この2次ボビン3
0は熱可塑性樹脂であるPPE(ポリフェニレンエーテ
ル)樹脂からなり、その外周には軸方向に所定間隔を隔
てて複数のリブ31が形成されている。これら各リブ3
1間には線径が0.03〜0.1mmのエナメル線からな
る2次巻線32が積層して巻回されている。2次ボビン
30の下端部には前記高圧部材21と接触するターミナ
ル33が固定されており、2次巻線32の高電圧側端末
(図示略)はにこのターミナル33に接続されている。
上記2次巻線32及び2次ボビン30によって点火用高
電圧を発生する2次コイル13が構成されている。
【0026】2次コイル13の外周側にはその径方向に
所定間隔を隔てて円筒状の1次コイル14が外嵌されて
いる。この1次コイル14は前記2次コイル13と異な
り、ボビンを有しないボビンレス構造のコイルであり、
線径が0.3〜1.0mmのエナメル線からなる1次巻線
34を円筒状をなすように二層に巻回してなる巻線体3
5と、同巻線体35の両端部に配置された一対のスリー
ブ37,38とによって構成されている。これら各スリ
ーブ37,38は巻線体35を所定形状に保持する機能
を有するものであり、同巻線体35の上下端部が接触す
るフランジ37a,38aがその外周に形成されてい
る。
【0027】更に、図2に示すように、巻線体35の内
周面は帯状のフィルム40によって略全体にわたって被
覆されている。そして、このフィルム40と2次コイル
13との間には絶縁層16が形成されている。
【0028】図5に示すように、フィルム40はガラス
クロスからなる基層41と、同基層41の内周面に積層
された剥離層42と、同基層41の外周面に積層された
粘着層43とからなる三層構造を有している。剥離層4
2は離型材として周知のシリコン材(シリコンオイル)
を基層41の一面に塗布することによって形成されてお
り、前記絶縁層16に接触している。このシリコン材は
絶縁層16を形成するエポキシ樹脂に対して親和力が弱
いため、剥離層42及び絶縁層16間における接着力は
極めて弱くなっている。また、前記粘着層43は周知の
シリコン系粘着剤によって形成されており、巻線体35
における内周側の巻線層(以下、「内周層」と略記す
る)35aに接触している。
【0029】巻線体35の外周側にはその径方向(図2
の左右方向)に所定間隔を隔てて円筒状のアウタコア1
5が外嵌されている。このアウタコア15は珪素鋼板か
らなる円筒管を重合させた二重管構造を有しており、そ
の外周面はケース11の内周面に対して接触している。
また、このアウタコア15と巻線体35における外周側
の巻線層(以下、「外周層」と略記する)35bとの間
にもエポキシ樹脂が充填されることによって絶縁層16
が形成されており、同アウタコア15の内周面はこの絶
縁層16に接触している。
【0030】以上のように構成された点火コイル10は
エンジンのシリンダヘッド(図示略)に形成されたプラ
グホール内に挿入され、前記取付部11bにおいてシリ
ンダヘッドに対しボルト固定される。このように点火コ
イル10がシリンダヘッドに固定されると、前記スプリ
ング22は点火プラグの上部端子(図示略)に接触する
とともに、同点火プラグの上端部外周はゴムブーツ23
によって覆われる。そして、前記2次コイル13に発生
する点火用高電圧は高圧部材21及びスプリング22を
介して点火プラグに供給される。
【0031】次に、前述した巻線体35の形成する際の
手順について図3を参照して説明する。まず、図3
(a)に示すように、前記各フランジ37a,38aの
間隔が巻線体35の軸方向における長さと等しくなるよ
うに、各スリーブ37,38を巻線機の回転軸C1に対
して一体回転可能に固定する。次に、図3(b)に示す
ように、回転軸C1を回転させながら、各フランジ37
a,38a間における回転軸C1に対してフィルム40
を螺旋状に巻回する。この際、フィルム40の粘着層4
3が外周面となるようにする。更に、図3(c)に示す
ように、フィルム40の外周面上、即ち、粘着層43上
に1次巻線34を各フランジ37a,38a間に整列巻
き、即ち各線同士が密に接触した状態で二層巻回して巻
線体35を形成する。
【0032】以上説明したように、本実施形態における
点火コイル10では、巻線体35の内周面をフィルム4
0によって被覆し、両コイル13,14間に位置する絶
縁層16に対して同フィルム40の剥離層42を接触さ
せるようにしている。前述したように、この剥離層42
を形成するシリコン材は絶縁層16を形成するエポキシ
樹脂に対して親和力が弱いため、フィルム40及び絶縁
層16間における接着力は極めて弱いものとなる。
【0033】従って、両コイル13,14の間や1次コ
イル14とアウタコア15との間に位置する絶縁層16
に熱収縮や硬化収縮が発生し、絶縁層16及びフィルム
40の接触部分に両者16,40を引き離そうとする応
力が作用すると、図4に示すように両者16,40の間
に隙間Gが形成されるようになる。そして、この隙間G
が形成されることにより、絶縁層16の熱応力及び残留
応力が解放されて確実に低減される。
【0034】尚、上記隙間Gは誘電率の大きな部位が形
成されるという点では亀裂と同じであるものの、点火コ
イル10の軸方向及び周方向に関して全体にわたり略均
等に形成されるという点で異なっている。即ち、亀裂の
ように電位勾配が局所的に増大してしまうことはないた
め、この隙間Gは部分放電の発生を招く部分欠陥とはな
り得ない。
【0035】このように本実施形態によれば、絶縁層1
6の熱応力及び残留応力が隙間Gの形成によって解放さ
れ確実に低減されるため、同層16における部分欠陥の
発生を確実に抑制して点火コイル10の耐久性及び信頼
性を向上させることができる。
【0036】また、上記点火コイル10はプラグホール
内に収容されるものであるため、ボビンレス構造の1次
コイル14を採用して小径化を図るようにしているが、
このようにボビンレス構造の1次コイル14を採用した
場合には1次巻線34の巻崩れが発生して、巻線体35
の形状を所定形状に保持することが困難になることが懸
念される。
【0037】この点、本実施形態では粘着層43を有す
るフィルム40を用い、この粘着層43上に1次巻線3
4を巻回するようにしている。従って、粘着層43にお
ける粘着力によって1次巻線34の巻崩れが抑制される
ようになり、巻線体35における形状の安定化及びその
巻線密度の安定化を図ることができる。
【0038】また、本実施形態ではフィルム40の外周
面にシリコン系接着剤からなる粘着層43を積層するよ
うにしている。このため、この粘着層43が弾性変形す
ることにより絶縁層16に発生する熱収縮や硬化収縮を
吸収することができる。従って、絶縁層16の熱応力及
び残留応力が低減されるため、同層16における部分欠
陥の発生を確実に抑制することができる。
【0039】更に、本実施形態では巻線機の回転軸C1
に対してフィルム40を巻回した後、同フィルム40上
に1次巻線34を巻回して巻線体35を製造するように
している。従って、回転軸C1から巻線体35を抜き取
る際にはその内周面がフィルム40によって保護される
ようになるため、同回転軸C1と1次巻線34とが擦れ
ることによる同巻線34の損傷を回避して、点火コイル
10の信頼性を更に向上させることができる。
【0040】また、本実施形態では上記剥離層42及び
粘着層43を耐熱性に優れたシリコン系の材料によって
形成するようにしているため、熱による上記各層42,
43の変質が殆どない。従って、点火コイル10が高温
下で長時間使用された場合であっても上記各層42,4
3における剥離性或いは粘着性が維持され、前述した剥
離性及び粘着性に基づく作用を確実に奏することができ
る。
【0041】更に、本実施形態のようにプラグホール内
に収容される点火コイル10は、その形状が制限されケ
ース11内における電位勾配が極めて大きくなっている
ため、部分欠陥が発生した場合にはその耐久性及び信頼
性が大きく低下する傾向がある。この点、本実施形態に
係る構成は熱応力や残留応力に起因した絶縁層16にお
ける部分欠陥の発生を抑制することができるため、上記
のような傾向にある点火コイルに対して好適である。
【0042】[第2の実施形態]次に、第2の実施形態
について上記第1の実施形態との相違点を中心に説明す
る。尚、上記第1の実施形態と同様の構成については同
一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0043】図6は本実施形態における点火コイル10
の断面を拡大して示している。同図に示すように、この
点火コイル10はケース11内におけるフィルム40の
配置位置及び同フィルム40の構造が上記第1の実施形
態と相違している。即ち、本実施形態では巻線体35の
外周面がフィルム40により略全体にわたって被覆され
ており、このフィルム40とアウタコア15との間には
エポキシ樹脂が充填されることによって絶縁層16が形
成されている。
【0044】フィルム40は基層41と、同基層41の
内周面に積層された粘着層43とからなり、前記剥離層
42が省略された二層構造を有している。基層41はポ
リフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリエチレン
テレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレ
ート(PEN)樹脂等の樹脂材料からなり、アウタコア
15の内周側に位置する絶縁層16に接触している。粘
着層43は第1の実施形態と同様、シリコン系粘着剤か
らなり、前記外周層35aの外周部分に接触している。
【0045】また、本実施形態では、巻線機によって1
次巻線34を二層に巻回して巻線体35を形成した後、
この巻線体35の外周層35bに第1の実施形態と同
様、帯状のフィルム40を巻回するようにしている。
【0046】上記構成を備えた本実施形態における点火
コイル10では巻線体35の外周面をフィルム40によ
って被覆するようにしているため、ケース11内に充填
された液状のエポキシ樹脂が巻線体35の外周側から巻
線層35a,35b間に浸入することがない。また、1
次巻線34を整列巻きして巻線体35を形成するように
しているため、その内周側から巻線体35の巻線層35
a,35b間にエポキシ樹脂が浸入することも殆どな
い。その結果、エポキシ樹脂は巻線体35の巻線層35
a,35b間に殆ど浸入しなくなり、内周層35aと外
周層35bとはエポキシ樹脂によって接着されないか、
或いは接着されても部分的なものとなる。このため、巻
線体35の巻線層35a,35b間における接着力は極
めて弱いものとなる。
【0047】従って、両コイル13,14の間やフィル
ム40とアウタコア15との間に位置する絶縁層16に
熱収縮や硬化収縮が発生し、巻線体35の内周層35a
及び外周層35bを引き離そうとする応力が作用する
と、図7に示すように両巻線層35a,35bの間には
隙間Gが形成されるようになる。そして、このような隙
間Gが形成されることによって、絶縁層16の熱応力や
残留応力が解放されて低減される。このため、本実施形
態においても、絶縁層16における部分欠陥の発生を抑
制して点火コイル10の耐久性及び信頼性を向上させる
ことができる。
【0048】また、本実施形態ではフィルム40によっ
て巻線体35の外周を覆うとともに、同フィルム40の
粘着層43を巻線体35の外周層35bに接触させるよ
うにしている。従って、粘着層43における粘着力によ
って1次巻線34の巻崩れが抑制されるようになり、巻
線体35における形状の安定化を図ることができる。
【0049】[第3の実施形態]次に、第3の実施形態
について上記第2の実施形態との相違点を中心に説明す
る。尚、上記第2の実施形態と同様の構成については同
一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0050】図8は本実施形態における点火コイル10
の断面を拡大して示している。同図に示すように、この
点火コイル10は巻線体35の外周を被覆するフィルム
40の構造が上記第2の実施形態と相違している。即
ち、本実施形態では樹脂材料からなる基層41の外周面
上に剥離層42が積層された三層構造を有するフィルム
40を用いるようにしており、同フィルム40の剥離層
42をアウタコア15の内周側に位置する絶縁層16に
対して接触させるようにしている。この剥離層42は第
2の実施形態と同様、シリコンオイルを基層41の一面
に塗布することによって形成されている。
【0051】上記のように構成された本実施形態によれ
ば、絶縁層16に接触する剥離層42は同絶縁層16に
対する親和力が弱いため、同フィルム40と絶縁層16
との間における接着力は極めて弱いものとなる。
【0052】従って、両コイル13,14の間やフィル
ム40とアウタコア15との間に位置する絶縁層16に
熱収縮や硬化収縮が発生し、絶縁層16及びフィルム4
0の接触部分に両者16,40を引き離そうとする応力
が作用すると、図9に示すように、両者16,40の間
には隙間Gが形成されるようになる。その結果、仮に巻
線体35の内周層35aと外周層35bとの間にエポキ
シ樹脂が浸入して同樹脂によって両層35a,35bと
が接着され、第2の実施形態において説明したように、
両層35a,35bの間に隙間Gが形成され難くなって
いる場合であっても、上記のようにフィルム40と絶縁
層16との間に隙間Gが形成されることによって、エポ
キシ樹脂に生じる熱応力や残留応力は解放され確実に低
減される。また、巻線体35の内周層35aと外周層3
5bとの間にも隙間が形成されれば、上記熱応力等の更
なる低減を図ることも可能になる。このため、本実施形
態によれば、絶縁層16における部分欠陥の発生をより
確実に抑制して点火コイル10の耐久性及び信頼性を向
上させることができる。
【0053】[第4の実施形態]次に、第4の実施形態
について上記第1の実施形態との相違点を中心に説明す
る。尚、上記第1の実施形態と同様の構成については同
一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0054】図10は本実施形態における点火コイル1
0の断面を拡大して示している。同図に示すように、こ
の点火コイル10はケース11内におけるフィルム40
の配置位置が上記第1の実施形態と相違している。即
ち、本実施形態では巻線体35の内周層35aと外周層
35bとの間に全周にわたってフィルム40を介在させ
るようにしている。従って、内周層35aの内周面及び
外周層35bの外周面はいずれも絶縁層16によって被
覆されている。
【0055】フィルム40は第1の実施形態と同様、ガ
ラスクロスからなる基層41と、同基層41の内周面に
積層された剥離層42と、同基層41の外周面に積層さ
れた粘着層43とからなる三層構造を有している。そし
て、剥離層42は内周層35aの外周面に、粘着層43
は外周層35bの内周面にそれぞれ接触している。
【0056】また、本実施形態において巻線体35を形
成する際には、まず、巻線機の回転軸C1(図3に示
す)に1次巻線34を一層だけ巻回して巻線体35の内
周層35aを形成する。そして、この内周層35aの外
周に第1の実施形態と同様、帯状のフィルム40を巻回
する。この際、フィルム40の粘着層43が外周面とな
るようにする。その後、このフィルム40の外周面上、
即ち、粘着層43上に1次巻線34を更に巻回して巻線
体35の外周層35bを形成するようにしている。
【0057】このように本実施形態では巻線体35の巻
線層35a,35b間にフィルム40を介在させ、その
剥離層42を巻線体35の内周層35aに接触させるよ
うにしているため、フィルム40と内周層35aとは接
着しなくなる。また、エポキシ樹脂が巻線体35の内周
部から巻線層35a,35b間にまで浸入するようなこ
とがあっても、同樹脂はフィルム40の剥離層42に接
触することになり、やはり同樹脂とフィルム40とが接
着されてしまうことはない。
【0058】従って、両コイル13,14の間や1次コ
イル14とアウタコア15との間に位置する絶縁層16
に熱収縮や硬化収縮が発生し、巻線体35の内周層35
a及び外周層35bを引き離そうとする応力が作用する
と、図11に示すようにフィルム40と巻線体35の内
周層35aとの間に隙間Gが形成されるようになる。そ
して、このような隙間Gが形成されることにより絶縁層
16の熱応力や残留応力が解放されて低減される。その
結果、本実施形態においても、絶縁層16における部分
欠陥の発生を抑制して点火コイル10の耐久性及び信頼
性を向上させることができる。
【0059】更に、本実施形態では巻線体35の内周面
や外周面をフィルム40によって覆うのではなく、同巻
線体35の巻線層35a,35b間にフィルム40を介
在させるようにしているため、内周層35aの内周面及
び外周層35bの外周面はいずれも絶縁層16によって
被覆されるようになる。従って、巻線体35の機械的強
度を実質的に増大させることができ、1次巻線34の巻
崩れを防止して巻線体35の形状をケース11内におい
て安定して維持することができる。
【0060】また、本実施形態ではフィルム40の粘着
層43上に1次巻線34を巻回して巻線体35の外周層
35bを形成するようにしているため、第1の実施形態
と同様、粘着層43における粘着力によって1次巻線3
4の巻崩れが抑制されるようになり、巻線体35におけ
る形状の安定化及びその巻線密度の安定化を図ることが
できる。
【0061】[第5の実施形態]次に、第5の実施形態
について上記第1の実施形態との相違点を中心に説明す
る。尚、上記第1の実施形態と同様の構成については同
一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0062】図12は本実施形態における点火コイル1
0の断面を拡大して示している。同図に示すように、こ
の点火コイル10はケース11内におけるフィルム40
の配置位置及び同フィルム40の構造が上記第1の実施
形態と相違している。即ち、本実施形態ではアウタコア
15の内周面がフィルム40によって略全体にわたり被
覆されており、同フィルム40と巻線体35との間には
エポキシ樹脂が充填されることによって絶縁層16が形
成されている。
【0063】フィルム40は基層41と、同基層41の
外周面に積層された剥離層42とからなり、前記粘着層
43が省略された二層構造を有している。また、第1の
実施形態とは異なり、円筒状に形成したフィルム40を
アウタコア15に内嵌させることにより、同コア15の
内周面にフィルム40の剥離層42を接触させるように
している。基層41は上記のように円筒状に形成する際
の形状安定性を考慮してガラスクロスよりも剛性の大き
いPPS樹脂、PET樹脂、PEN樹脂等の樹脂材料に
よって形成され、1次コイル14の外周側に位置した絶
縁層16に接触している。また、剥離層42は、第1の
実施形態と同様、シリコンオイルを基層41の一面に塗
布することによって形成されている。
【0064】以上説明したように本実施形態ではアウタ
コア15の内周面をフィルム40によって被覆し、同フ
ィルム40の剥離層42をアウタコア15の内周面に接
触させるようにしている。
【0065】従って、両コイル13,14の間や1次コ
イル14とアウタコア15との間に位置する絶縁層16
に熱収縮や硬化収縮が発生し、アウタコア15及びフィ
ルム40を引き離そうとする応力が作用すると、図13
に示すように両者15,40の間に隙間Gが形成される
ようになる。そして、このような隙間Gが形成されるこ
とにより絶縁層16の熱応力及び残留応力が解放されて
確実に低減される。その結果、本実施形態においても絶
縁層16における部分欠陥の発生を確実に抑制して点火
コイル10の耐久性及び信頼性を向上させることができ
る。
【0066】特に、鉄系材料からなるアウタコア15は
その弾性係数が極めて大きく変形し難いため、同アウタ
コア15近傍の絶縁層16には過大な熱応力や残留応力
が発生する傾向がある。本実施形態によればアウタコア
15の内周面に接触するようにフィルム40を配置する
ようにしているため、上記のような過大になり易い絶縁
層16の熱応力や残留応力を確実に低減することがで
き、同層16における部分欠陥の発生をより確実に抑制
することができる。
【0067】[第6の実施形態]次に、第6の実施形態
について上記第1の実施形態との相違点を中心に説明す
る。尚、上記第1の実施形態と同様の構成については同
一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0068】図14は本実施形態における点火コイル1
0の断面を拡大して示している。同図に示すように、こ
の点火コイル10はケース11内におけるフィルム40
の配置位置及び同フィルム40の構造が上記第1の実施
形態と相違している。即ち、本実施形態では2次コイル
13と1次コイル14との間に位置する絶縁層16の内
部に円筒状のフィルム40が各コイル13,14ととも
に同心円状をなすように配置されている。
【0069】また、フィルム40は基層41と同基層4
1の内周面に積層された剥離層42とからなり、上記粘
着層43が省略された二層構造を有している。このフィ
ルム40はケース11内に2次コイル13及び1次コイ
ル14が収容された後、これら両コイル13,14間の
隙間に挿入して配置される。フィルム40の基層41は
形状安定性を考慮してガラスクロスよりも剛性の大きい
PPS樹脂、PET樹脂、PEN樹脂等の樹脂材料によ
って形成されており、両コイル13,14の間に位置す
る絶縁層16に接触している。また、剥離層42は、第
1の実施形態と同様、シリコンオイルを基層41の一面
に塗布することによって形成されており、基層41と同
様、両コイル13,14の間に位置する絶縁層16に接
触している。
【0070】以上説明したように本実施形態における点
火コイル10では、1次コイル14と2次コイル13と
の間に位置する絶縁層16の内部にフィルム40を配置
し、同フィルム40の内外周面をいずれも絶縁層16に
接触させるようにしている。
【0071】従って、両コイル13,14の間や1次コ
イル14とアウタコア15との間に位置する絶縁層16
に熱収縮や硬化収縮が発生すると、図15に示すように
フィルム40と絶縁層16との間に隙間Gが形成される
ようになる。そして、このような隙間Gが形成されるこ
とにより絶縁層16の熱応力及び残留応力が解放されて
確実に低減される。その結果、本実施形態においても絶
縁層16における部分欠陥の発生を確実に抑制して点火
コイル10の耐久性及び信頼性を向上させることができ
る。
【0072】以上説明した実施形態は以下のように構成
を変更して実施することもできる。 ・上記第1及び第4の実施形態において、剥離層42を
省略することによりフィルム40を基層41及び粘着層
43によって構成するようにしてもよい。このように剥
離層42を省略しても基層41を形成するガラスクロス
はエナメル線やエポキシ樹脂に対する親和力が弱いた
め、フィルム40と絶縁層16との接着力を極めて弱く
することができる。従って、フィルム40と絶縁層16
或いは内周層35aとの間に形成される隙間によって絶
縁層16の熱応力及び残留応力を低減することができる
ことに加え、剥離層42を省略することによって製造コ
ストの低減を図ることができる。
【0073】・上記第1の実施形態ではフィルム40の
内周面に積層された剥離層42を絶縁層16に接触させ
るようにしたが、前記粘着層43を省略するとともに、
同層43が形成されていたフィルム40の外周面に剥離
層42を積層し、この剥離層42を巻線体35の内周層
35aに接触させる構成としてもよい。このような構成
によれば、シリコン材からなる剥離層42は巻線体35
のエナメル線に対しても親和力が弱いため、フィルム4
0及び巻線体35間における接着力は極めて弱いものと
なる。従って、絶縁層16に熱収縮や硬化収縮が発生し
た場合には、フィルム40と巻線体35との間に隙間が
形成され、この隙間の形成によって絶縁層16の熱応力
や残留応力が解放され確実に低減され、同層16におけ
る部分欠陥の発生を確実に抑制することができる。
【0074】・上記第1及び第4の実施形態ではフィル
ム40の基層41をガラスクロスによって形成するよう
にしたが、この基層41をPPS樹脂、PET樹脂、P
EN樹脂等の樹脂材料によって形成するようにしてもよ
い。
【0075】・上記第2,3,5,6の実施形態ではフ
ィルム40の基層41をPPS樹脂、PET樹脂、PE
N樹脂等の樹脂材料によって形成するようにしたが、例
えば第1の実施形態と同様、基層41をガラスクロスに
よって形成することもできる。また、上記第3,5,6
の実施形態において基層41をガラスクロスにより形成
するようにした場合、同ガラスクロスは1次巻線34や
エポキシ樹脂に対する親和性が低いことから、剥離層4
2を省略することもできる。
【0076】・第3の実施形態において基層41の内周
面に積層された粘着層43を省略し、同層43に換えて
剥離層42を積層して同剥離層42を巻線体35の外周
層35bに接触させるようにしてもよい。
【0077】・上記第3,5,6の実施形態において、
特に、基層41をPPS樹脂により形成するようにした
構成にあっては、同PPS樹脂はガラスクロスと同様、
エポキシ樹脂に対する親和力が弱いため、剥離層42を
省略することも可能である。
【0078】・上記1,3〜6の実施形態では剥離層4
2をシリコン材によって形成するようにしたが、この剥
離層42は例えばフッ素樹脂をコーティングすることに
よって形成することもできる。また、剥離層42を別途
形成しなくても例えばシリコン材が添加された樹脂材料
や同シリコン材が含浸されたガラスクロスによってフィ
ルム40を形成するようにすれば剥離層42を有するフ
ィルム40と略同等の作用効果を奏することができる。
【0079】・上記第4の実施形態において剥離層42
と粘着層43との配置位置を逆にして、剥離層42を基
層41の外周面に、粘着層43を基層41の内周面にそ
れぞれ積層するようにしてもよい。
【0080】・上記第5の実施形態において基層41の
外周面に剥離層42を積層するようにしたが、この剥離
層42を基層41の内周面に積層するようにしてもよ
い。 ・第6の実施形態において基層41の内周面に剥離層4
2を積層するようにしたが、剥離層42を基層41の外
周面に積層するようにしてもよい。また、1次コイル1
4の外周側に位置する絶縁層16の内部にこのフィルム
40を配置するようにしてもよい。更に、アウタコア1
5の内周面にシリコン材からなる剥離層を形成したりす
るようにしてもよい。
【0081】・上記第2〜4の実施形態において粘着層
43を省略するようにしてもよい。 ・上記各実施形態では1次巻線34を二層巻回して巻線
体35を構成するようにしたが、同巻線体35は三層以
上のものであってもよい。
【0082】・上記各実施形態において基層41の両面
に剥離層42が積層されたフィルム40を採用すること
もできる。 ・上記各実施形態ではケース11内において2次コイル
13を内周側に、1次コイル14を外周側に配置するよ
うにしたが、これら各コイル13,14の配置位置を逆
にするようにしてもよい。
【0083】・上記各実施形態では点火コイル10のケ
ース11内にイグナイタ20を内蔵するようにしたが、
同イグナイタ20は点火コイル10の外部に設けられる
ものであってもよい。
【0084】・上記各実施形態における点火コイルでは
いずれも1次コイル14をボビンレス構造としたが、同
1次コイル14はボビンを有するものであってもよい。 ・上記第1〜4,6の実施形態において、アウタコア1
5をケース11内に収容せず同ケース11に外嵌する構
成としてもよい。
【0085】・上記各実施形態では本発明をプラグホー
ル内に収容される点火コイル10に対して適用するよう
にしたが、プラグホール内に収容されず、例えば、シリ
ンダヘッド上に配設される点火コイル10に対して本発
明を適用することもできる。
【0086】上記各実施形態から把握される技術的思想
について以下にその効果とともに記載する。 (1)請求項1乃至4記載の点火コイルにおいて、前記
外側巻線体はボビンを有しないボビンレス構造であり、
前記フィルムは前記外側巻線体と接触する面において粘
着層を有することを特徴とする。
【0087】上記構成によれば、粘着層の粘着力により
外側巻線体における巻崩れを防止することができ、同外
側巻線体における形状の安定化を図ることができる。 (2)上記(1)に記載した点火コイルにおいて、前記
粘着層はシリコン系材料からなることを特徴とする。
【0088】上記構成によれば、シリコン系材料は耐熱
性に優れているため、熱による粘着層の変質が抑制さ
れ、点火コイルが高温下で長時間使用された場合でも同
層における粘着性を維持することができる。
【0089】(3)上記(1)に記載した点火コイルに
おいて、前記粘着層は弾性材料によって形成されている
ことを特徴とする。上記構成によれば、粘着層における
弾性変形によって絶縁樹脂に発生する熱応力や残留応力
を緩和することができる。
【0090】(4)請求項2乃至6記載の点火コイルに
おいて、前記フィルムはシリコン系材料からなる剥離層
を有してなることを特徴とする。上記構成によれば、シ
リコン材は耐熱性に優れているため、熱による剥離層の
変質が抑制され、点火コイルが高温下で長時間使用され
た場合でも同層における剥離性を維持することができ
る。
【0091】(5)請求項1乃至6記載の点火コイルに
おいて、同点火コイルはエンジンのプラグホール内に収
容されるものであることを特徴とする。プラグホール内
に収容される点火コイルでは、その形状が制限され内部
の電位勾配が極めて大きくなるため、部分欠陥が発生し
た場合には耐久性及び信頼性が大きく低下する傾向にあ
る。上記構成によれば、このような点火コイルにおいて
熱応力や残留応力に起因した絶縁樹脂における部分欠陥
の発生が抑制され、点火コイルの耐久性及び信頼性を向
上させることができる。
【0092】
【発明の効果】請求項1に記載した発明では、フィルム
によって外側巻線体の外周部を被覆するようにしたた
め、ケース内に充填された絶縁樹脂は外側巻線体におけ
る巻線各層の隙間に浸入し難くなる。このため、外側巻
線体の巻線各層は絶縁樹脂によって接着されないか、或
いは接着されても部分的なものとなり、外側巻線体の巻
線層間の隙間は拡大可能となる。そして、この隙間が拡
大することにより熱収縮及び硬化収縮は吸収され、絶縁
樹脂に発生する熱応力や残留応力が緩和される。その結
果、過大な熱応力や残留応力に起因した絶縁樹脂におけ
る部分欠陥の発生が抑制され、点火コイルの耐久性及び
信頼性を向上させることができる。
【0093】請求項2に記載した発明では、少なくとも
片面は同面に対して接触する外側巻線体或いは絶縁樹脂
に対し剥離性を有するフィルムを用いるようにしてい
る。従って、剥離性を有するフィルムの一面と外側巻線
体或いは絶縁樹脂とが接着しなくなり、同フィルムと外
側巻線体或いは絶縁樹脂との間の隙間が拡大することに
より絶縁樹脂に発生する熱収縮及び硬化収縮は吸収され
るようになる。このため、仮に外側巻線体における巻線
各層の隙間に絶縁樹脂が浸入して巻線各層が絶縁樹脂に
より接着されることがあっても、絶縁樹脂に生じる熱応
力や残留応力は確実に低減されるようになる。その結
果、過大な熱応力や残留応力に起因した絶絶縁樹脂にお
ける部分欠陥の発生が確実に抑制され、点火コイルの耐
久性及び信頼性を向上させることができる。
【0094】請求項3に記載した発明では、少なくとも
その片面に外側巻線体及び絶縁樹脂に対し剥離性を有す
るフィルムを外側巻線体の巻線層間に介在させるように
している。従って、剥離性を有するフィルムの一面は外
側巻線体や絶縁樹脂に対して接着しなくなり、絶縁樹脂
に発生する熱収縮及び硬化収縮はフィルムと外側巻線体
との間の隙間が拡大することによって吸収されるため、
同樹脂の熱応力や残留応力は低減されるようになる。更
に、フィルムは外側巻線体の層間に介在されているた
め、同外側巻線体の内周部及び外周部はいずれも絶縁樹
脂によって被覆されるようになる。その結果、絶縁樹脂
における部分欠陥の発生が抑制され、点火コイルの耐久
性及び信頼性を向上させることができるとともに、外側
巻線体の機械的強度を実質的に増大させることができ
る。
【0095】請求項4に記載した発明では、少なくとも
その片面に同面に対して接触する外側巻線体或いは絶縁
樹脂に対して剥離性を有するフィルムによって外側巻線
体の内周部を被覆するようにしている。従って、剥離性
をフィルムの一面と外側巻線体或いは絶縁樹脂とが接着
しなくなり、同フィルムと外側巻線体或いは絶縁樹脂と
の間には拡大可能な隙間が存在するようになる。従っ
て、この隙間が拡大することによって絶縁樹脂に発生す
る熱収縮及び硬化収縮は吸収されるため、同樹脂の熱応
力や残留応力は低減されるようになる。その結果、絶縁
樹脂における部分欠陥の発生が抑制され、点火コイルの
耐久性及び信頼性を向上させることができる。
【0096】請求項5に記載した発明では、少なくとも
その片面に同面に対して接触するアウタコア或いは外側
巻線体に対し剥離性を有するフィルムによってアウタコ
アの内周部を被覆するようにしている。従って、剥離性
を有したフィルムの一面とアウタコア或いは絶縁樹脂と
が接着しなくなり、絶縁樹脂に発生する熱収縮及び硬化
収縮はフィルムとアウタコア或いは絶縁樹脂との間の隙
間が拡大することによって吸収されるため、同樹脂の熱
応力や残留応力は低減されるようになる。その結果、絶
縁樹脂における部分欠陥の発生が抑制され、点火コイル
の耐久性及び信頼性を向上させることができる。
【0097】請求項6に記載した発明では、両巻線体の
間に位置する絶縁樹脂及び外側巻線体の外周側に位置す
る絶縁樹脂の少なくとも一方の内部に少なくともその片
面に絶縁樹脂に対し剥離性を有するフィルムを同心円状
に配置するようにしている。従って、剥離性を有したフ
ィルムの一面と絶縁樹脂とが接着しなくなり、絶縁樹脂
に発生する熱収縮及び硬化収縮はフィルムと絶縁樹脂と
の間の隙間が拡大することによって吸収されるため、同
樹脂の熱応力や残留応力は低減されるようになる。その
結果、絶縁樹脂における部分欠陥の発生が抑制され、点
火コイルの耐久性及び信頼性を向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における点火コイルの断面図。
【図2】図1の部分拡大断面図。
【図3】巻線体を形成する際の手順を示す斜視図。
【図4】点火コイルの部分拡大断面図。
【図5】フィルムの断面図。
【図6】第2の実施形態における点火コイルの部分拡大
断面図。
【図7】点火コイルの部分拡大断面図。
【図8】第3の実施形態における点火コイルの部分拡大
断面図。
【図9】点火コイルの部分拡大断面図。
【図10】第4の実施形態における点火コイルの部分拡
大断面図。
【図11】点火コイルの部分拡大断面図。
【図12】第5の実施形態における点火コイルの部分拡
大断面図。
【図13】点火コイルの部分拡大断面図。
【図14】第6の実施形態における点火コイルの部分拡
大断面図。
【図15】点火コイルの部分拡大断面図。
【図16】従来における点火コイルの断面図。
【符号の説明】
10…点火コイル、11…ケース、12…インナコア、
13…2次コイル、14…1次コイル、15…アウタコ
ア、16…絶縁層、30…2次ボビン、32…2次巻
線、34…1次巻線、35…巻線体、35a…内周層、
35b…外周層、40…フィルム、41…基層、42…
剥離層、43…粘着層、G…隙間。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筒状のケース内にインナコア、巻線を積
    層して巻回してなる内側巻線体及び外側巻線体が同心円
    状に収容され、前記両巻線体の間及び前記外側巻線体の
    外周側に絶縁樹脂が充填硬化されてなる点火コイルにお
    いて、 前記外側巻線体の外周部を被覆するフィルムを備えたこ
    とを特徴とする点火コイル。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の点火コイルにおいて、前
    記フィルムの少なくとも片面は同面に対して接触する前
    記外側巻線体或いは前記絶縁樹脂に対し剥離性を有する
    ことを特徴とする点火コイル。
  3. 【請求項3】 筒状のケース内にインナコア、巻線を積
    層して巻回してなる内側巻線体及び外側巻線体が同心円
    状に収容され、前記両巻線体の間及び前記外側巻線体の
    外周側に絶縁樹脂が充填硬化されてなる点火コイルにお
    いて、 少なくともその片面に前記外側巻線体及び前記絶縁樹脂
    に対し剥離性を有するフィルムを前記外側巻線体の巻線
    層間に介在させたことを特徴とする点火コイル。
  4. 【請求項4】 筒状のケース内にインナコア、巻線を積
    層して巻回してなる内側巻線体及び外側巻線体が同心円
    状に収容され、前記両巻線体の間及び前記外側巻線体の
    外周側に絶縁樹脂が充填硬化されてなる点火コイルにお
    いて、 少なくともその片面に同面に対して接触する前記外側巻
    線体或いは前記絶縁樹脂に対し剥離性を有するフィルム
    によって外側巻線体の内周部を被覆したことを特徴とす
    る点火コイル。
  5. 【請求項5】 筒状のケース内にインナコア、巻線を積
    層して巻回してなる内側巻線体及び外側巻線体、筒状の
    アウタコアが同心円状に収容され、両巻線体の間及び外
    側巻線体の外周側に絶縁樹脂が充填硬化されてなる点火
    コイルにおいて、 少なくともその片面に同面に対して接触する前記アウタ
    コア或いは前記外側巻線体に対し剥離性を有するフィル
    ムによって前記アウタコアの内周部を被覆したことを特
    徴とする点火コイル。
  6. 【請求項6】 筒状のケース内にインナコア、巻線を積
    層して巻回してなる内側巻線体及び外側巻線体が同心円
    状に収容され、前記両巻線体の間及び前記外側巻線体の
    外周側に絶縁樹脂が充填硬化されてなる点火コイルにお
    いて、 前記両巻線体の間に位置する絶縁樹脂及び前記外側巻線
    体の外周側に位置する絶縁樹脂の少なくとも一方の内部
    に少なくともその片面に前記絶縁樹脂に対し剥離性を有
    するフィルムを同心円状に配置したことを特徴とする点
    火コイル。
JP02605898A 1998-02-06 1998-02-06 点火コイル Expired - Fee Related JP4045632B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02605898A JP4045632B2 (ja) 1998-02-06 1998-02-06 点火コイル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02605898A JP4045632B2 (ja) 1998-02-06 1998-02-06 点火コイル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11224824A true JPH11224824A (ja) 1999-08-17
JP4045632B2 JP4045632B2 (ja) 2008-02-13

Family

ID=12183092

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP02605898A Expired - Fee Related JP4045632B2 (ja) 1998-02-06 1998-02-06 点火コイル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4045632B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000075936A1 (fr) * 1999-06-09 2000-12-14 Hitachi, Ltd. Bobine d'allumage pour moteur a combustion interne
JP2014072335A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Denso Corp 耐コロナ性絶縁部材及びそれを使用した物品

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2590863A1 (en) 2004-12-09 2006-06-15 Qualcomm Incorporated Method and apparatus for creation and transport of multimedia content flows to a distribution network

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000075936A1 (fr) * 1999-06-09 2000-12-14 Hitachi, Ltd. Bobine d'allumage pour moteur a combustion interne
US6763816B1 (en) 1999-06-09 2004-07-20 Hitachi, Ltd. Internal combustion engine ignition coil
JP2014072335A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Denso Corp 耐コロナ性絶縁部材及びそれを使用した物品

Also Published As

Publication number Publication date
JP4045632B2 (ja) 2008-02-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6525636B1 (en) Stick-type ignition coil having improved structure against crack or dielectric discharge
JP2000228322A (ja) 内燃機関用点火コイル
US6897755B2 (en) Ignition coil for internal combustion engine
US6995644B2 (en) Stick-type ignition coil having improved structure against crack or dielectric discharge
JP3684300B2 (ja) プラグホール内に装着される細形円筒形状のエンジン用点火コイル装置
JPH11224824A (ja) 点火コイル
JP2007335725A (ja) モールドコイル
JP3573250B2 (ja) 内燃機関用点火コイル
JP2014229684A (ja) 内燃機関用の点火コイル
JP4134578B2 (ja) 内燃機関用点火コイル
JP2006049820A (ja) スティック形点火コイル及びその1次コイルの組付け方法
JP2003178925A (ja) 内燃機関用点火コイル
JP2000208345A (ja) 応力緩和機能付き薄肉ボビン及びコイル装置及びコイル装置の製造方法
JPH07272568A (ja) コンデンサブッシング及びその製造方法
JP4926370B2 (ja) 内燃機関用点火コイル
JP4045631B2 (ja) 点火コイル及びその製造方法
JP2005183995A (ja) オットーエンジンに用いられる点火コイルおよび該点火コイルを製造するための方法
JP5361225B2 (ja) モールド変圧器のモールド処理方法
JP2000208346A (ja) 内燃機関用点火コイル及びその製造方法
JP2008028222A (ja) モールド変圧器
JP2000049024A (ja) 内燃機関用点火コイルおよびその製造方法
JP2003229319A (ja) 内燃機関用点火コイル
JP3959715B2 (ja) 点火コイル
JPH10112413A (ja) 点火コイル
US7293553B2 (en) Ignition coil for an internal combustion engine

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041021

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061010

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061017

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071030

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071112

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101130

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees