JPH11218146A - 調節要素を有する等速固定継手 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 作動時の損失を相応に低減した低摩擦等速固
定継手を提供すること。 【解決手段】 本発明は、外側部１と、内側部９と、保
持器１８と、外側部１の外側走行溝５と内側部９の内側
走行溝１４とにおいて保持器１８により案内される複数
の球体２３と、を備えた等速固定継手に関する。内側部
９は、外側部１に対して、複数の球体２３により半径方
向に完全に保持されると共に、一方では球体２３により
他方では調節要素２４により保持されている。調節要素
２４は、内側部９に支持されると同時に、外側部１に関
係した支持要素３５に支持されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、外側部と、内側部
と、保持器と、複数の球体と、調節要素とを有する等速
固定継手に関する。前記外側部は、長手方向の第１の軸
線と、該軸線上に中心決めされた空洞とを備え、前記外
側部の内面には前記第１の軸線を中心に円周方向に分布
した複数の外側走行溝が形成されている。前記内側部
は、長手方向の第２の軸線を備えると共に、その外面上
に、前記第２の軸線を中心に分布した複数の内側走行溝
を備えている。前記内側走行溝の数は、前記外側走行溝
の数に対応し、前記内側走行溝はそれぞれ前記外側走行
溝と対向している。更に、前記内側部には、外側球面が
形成されている。前記外側走行溝と前記内側走行溝と
は、対を成して互いに対向して位置決めされると共に、
関係する長手方向の軸線に対する各子午平面に配設さ
れ、第１の継手端部からアンダーカット無しで延びてい
る。前記保持器は、中空の部分球面を備え、該球面を介
して前記保持器は、内側部の外側球面上で案内される。
前記保持器は、前記外側走行溝と前記内側走行溝に対応
して円周方向に分布した複数の窓を備えている。前記窓
の各々は、トルクを伝達する目的で対向する走行溝に係
合する複数の前記球体を収容する。前記トルクを伝達す
るために、前記球体の各々は、前記保持器から半径方向
外側及び内側に突出している。前記調節要素は、一方で
は前記内側部に、他方では支持要素に支持されている。

【０００２】

【従来の技術】ドイツ連邦共和国特許第４２０８７８６
号公報は、かかる等速固定継手において、調節要素が内
側部の空洞と係合する球状の調節面を備え、前記空洞が
長手方向の第２の軸線上に中心決めされた等速固定継手
を記載している。前記空洞は、前記調節面が当接する中
空の球状接触面を形成している。更に、前記調節要素
は、長手方向の第１の軸線に対して直角に延びる面を有
する。前記面は、前記第１の軸線に対して半径方向に調
節可能であるように、前記調節要素を外側部の対応して
延びる面に対して支持する。保持器の外面と外側部の空
洞の内面との間には、接触領域は存しない。このよう
に、球体がトルクを伝達している間に内側部に導入され
る熱は、僅かな距離を移動するだけで前記調節要素と前
記内側部との間の摺動領域に達する。

【０００３】米国特許第５４５３０５２号公報は、外側
部および内側部が複数のトルク伝達球体を収容するため
の複数の走行溝を備えると共に該走行溝が一方の開口端
部からアンダーカット無しで延びている等速固定継手を
記載している。保持器は、一方の方向で、その球状の外
面を介して、開口端部の領域で前記外側部に固定された
支持要素に対して支持されている。前記支持要素は、円
周方向に隣接した２本の外側走行溝の間の領域に配設さ
れている。前記支持要素は、前記外側部の空洞の内面の
円筒部と前記保持器の球状外面との間の間隙に楔状に延
びている。前記内側部は、前述した方向と反対の方向で
は、前記外側部の空洞のソケット形の球状外面に当接し
た球状の皿形の保持要素に対して支持されている。ま
た、前記保持器の外面と前記外側部との間には接触部は
存在しない。接触は、前記外側部に固定された各支持要
素に対してのみ行われる。前記保持器と前記内側部の外
面との間にも接触部は存在しない。従って、トルク作用
時には、前記外側部と前記内側部とが離間する反対方向
に負荷されるので、前記保持器は、前記外側部の長手方
向軸線の方向では前記内側部には支持されず、小さな各
支持要素と前記保持要素を介した前記外側部とに支持さ
れるだけである。この構成は、高負荷を招来し、また、
前記支持要素の構成のために相当な摩擦が生じる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、作動
時の損失を相応に低減した低摩擦等速固定継手を提供す
ることである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記目
的は、複数の外側軌道と複数の内側軌道とがアンダーカ
ット無しで共通の第１の継手端部から複数の子午平面内
を延び、複数の窓の第１の継手端部の近傍に在る窓面で
それぞれ球体を支持した等速固定継手を提供することに
より達成される。保持器の外面は、外側部の空洞の内面
に対して、全屈曲範囲に亘り一定の間隔が存在するよう
に、配設される。

【０００６】更に、調節要素は、球状の調節面と案内面
とを有する。提案される支持要素は、前記調節要素をそ
の前記調節面を介して支持する中空の球状接触面を有す
る。更に、前記調節要素は、内側部の支持面上にその案
内面を介して支持されている。前記支持面は、内側部の
長手方向の第２の軸線に対して垂直となるように配設さ
れる。前記支持要素は、外側部に固定され、あるいは、
該外側部に接続された部材に固定される。前記調節要素
および前記支持要素は、第１の継手端部の側に配設さ
れ、該端部からは、複数の外側走行溝と複数の内側走行
溝とがアンダーカット無しで延びている。

【０００７】かかる構成の利点は、トルクの伝達から生
じる力が、全屈曲角度に亘り、前記調節要素と前記支持
要素とを介して良好に維持されることである。更に、前
記調節要素を内側部の中空球面に当接支持させた組立体
と比較べ、内側部上で最も正確に形成されなければなら
ない面の数を減少させることができる、という別の利点
もある。更に、かかる低摩擦継手と比較して、摩擦量が
一層低減される。また、支持が一方向のみに付与され、
かつ拡張作用も生じないので、良好な案内状態が得ら
れ、固着の恐れがない。従って、生じ得る製造許容差を
考慮して、各部材を半径方向に互いに好適に位置決めす
ることができる。前記外側走行溝および前記内側走行溝
の形状、特にそれらの溝が前記第１の継手端部から第２
の継手端部に向けて延びる態様は、球体がトルク作用時
に全ての継手角度状態で前記第１の継手端部の近傍の球
体支持窓面に負荷を加えるべく、常に前記保持器に力を
印加するように、選定される。これにより、前記保持器
は、その中空の球面を介して、常に前記内側部の外側球
面と接触して保持される。半径方向における前記外側部
に対する中心決めは、球体により完全に行われ、軸線方
向でも前記外側部に対する前記内側部と前記調節要素の
ユニットの位置決めは、前記外側部に固定された前記支
持要素上に該ユニットを支持することにより達成され
る。理論関節中心に対して各部材を分類し寸法決めする
ことにより、全部材は、前記理論継手関節中心に対する
それらの作用面の最適整列にできるだけ近づくように互
いに整合することができる。

【０００８】本発明の別の実施形態によれば、調節要素
を皿形とすることが提案される。これにより、高度の反
復精度を有する非チップ形成法により低コストで製造可
能な部材を得ることができる。

【０００９】支持要素もまた、板金成形部品として提供
することができる。該支持要素は、好ましくは外側部に
堅固に接続されており、予め組み付けられたユニットが
得られる。

【００１０】達成し得る有利な支持状態に加えて、調節
面と接触面との間に摩擦低減手段を設けることも可能で
ある。

【００１１】第１の実施形態の場合、複数の潤滑内孔を
介して潤滑油溜に接続された複数からなる環状の潤滑溝
から摩擦低減手段を構成することが提案される。前記潤
滑油溜としては、調節要素の皿形のチャンバを使用する
ことができる。

【００１２】この実施形態の利点は、継手が関節式に屈
曲した状態で回転する際に前記調節面と接触面との間で
高摺動速度を達成し得ることである。前記外側部と前記
内側部とが互いに対して整列状態にあるときに前記調節
面と前記接触面の間に生じる接触表面積と、潤滑溝表面
積との比を適切に選定することにより、前記高速摺動を
流体力学的潤滑状態で行うことができる。すなわち、摩
擦量は無視し得る程度に小さくなり、長い実用寿命を達
成すると同時に伝達損失を最小にすることができる。こ
れは、また熱生成が少ない高効率を保証し、例えば転が
り接触軸受で使用されるような安価なグリースで等速固
定継手を潤滑することが可能である。

【００１３】また、前記摩擦低減手段は、前記調節面と
前記接触面との間で転動自在に保持された複数の軸受球
体を案内するための軸受保持器を備えた転がり接触軸受
から構成してもよい。これにより、転がり軸受の場合と
同様の支持状態と摩擦状態とを達成することができる。

【００１４】前記軸受保持器を前記保持器に接続した場
合は、特に有利な状態を達成することができ、前記保持
器により調節される前記軸受保持器は必然的に前記保持
器の動作に追従する。

【００１５】

【発明の実施の形態】図面には、本発明の２つの好適な
実施形態が模式的に示されている。図１に示されるの
は、本発明の第１の実施形態にかかる等速軸継手であ
り、該等速軸継手は、板金成形部品として構成された外
側部１を有する。外側部１は、第１の継手端部７の方向
に最大開口幅を設けた空洞２を有する。空洞２は、内面
３と、第１の継手端部７から始まり円周方向に分布した
複数の外側走行溝５とにより画定されている。第１の継
手端部７から始まる外側走行溝５は、アンダーカット無
しで延び、継手外側部１の長手方向の第１の軸線４に対
する子午平面内に配設されている。更に、継手外側部１
は、第１の継手端部７の側に、外側に向けて延びるフラ
ンジ６を備えている。継手外側部１は、第２の継手端部
８の側に小断面部を有する。小断面部の外面は、包旋状
ブーツの大径部を固定するための座面１１を備えてい
る。包旋状ブーツの小径部は、第２の継手端部８から延
びて破線により示された軸１２上に固定される。

【００１６】外側部１の空洞８は、内側部９を収容す
る。図面では、内側部９の長手方向の第２の軸線１０
は、長手方向の第１の軸線４と一致した状態で示されて
いる。継手は、整列状態にある。すなわち、屈曲角は、
０度である。内側部９は、第１の継手端部７の側に、支
持面１３として機能する端面を有する。支持面１３は、
長手方向の第２の軸線１０が支持面１３により形成され
る面上に垂直に位置決めされるように、配設される。内
側部９の外面には、円周方向に分布した複数の内側走行
溝１４が配設されており、各内側走行溝１４は、各外側
走行溝５と対向して対を形成するように位置決めされて
いる。内側走行溝１４もまた、子午平面内に配設されて
おり、それらの軌道基部は、第１の継手端部７からアン
ダーカット無しで始まるように設計されている。更に、
内側部９は、第２の継手端部８の方向に延びるその外面
上に、理論継手関節中心Ｏ上に中心決めされた外側球面
１５を備えている。内側部９は、また、対応する歯付き
軸１２を収容するために長手方向の第２の軸線１０上に
中心決めされた歯付き内孔１６を有する。更に、外側球
面１５の潤滑を必要するのにな潤滑油を貯留するための
係止要素１７が、設けられている。

【００１７】係止要素１７は、保持器１８と一部重なり
合う。また、保持器１８を外側球面１５上で案内するた
めに、保持器１８はその内側面に中空の部分球面２１を
備えている。更に、保持器１８は、内側走行溝１４と外
側走行溝５の各対に対応して円周方向に分布した複数の
窓１９を有する。各窓１９は、半径方向内側及び外側に
対して保持器１８を越えて突出し、外側走行溝５及び内
側走行溝１４に係合する球体２３を収容する。球体２３
がトルクを伝達するとき、各球体２３は第１の継手端部
７の近傍に存在する各窓１９の窓面２０上に支持される
ので、保持器１８は、その中空の部分球面２１を介して
内側部９の外側球面１５に接触して保持される。更に、
第１の継手端部７から始まるアンダーカットの無い軌道
形状の故に、各球体２３は、第１の継手端部の方向、す
なわち右側に保持器１８を付勢する。内側部９と外側部
１の間で互いに取り得る全屈曲範囲、すなわち全屈曲位
置に亘り、保持器１８の外面２２と外側部１の内面３と
の間には一定の距離が存在する。すなわち、内側部９と
保持器１８とから成るユニットは、複数の球体２３を介
して外側部１に対して半径方向に中心決めされる。内側
部９は、その支持面１３を介して、球状ソケット部２５
と円筒部２６とを有する皿形調節要素２４の環状案内面
２７上に支持される。内側部９と調節要素２４の間で
は、相互に互いに支持する面上で、すなわち、支持面１
３と案内面２７上で、半径方向の調節が可能である。

【００１８】調節要素２４の球状調節面２８には、環状
の潤滑溝３２，３３が形成されている。潤滑溝３２，３
３は、円周方向に分布した潤滑孔３０，３１を介して、
調節要素２４内にソケット状に形成されて潤滑油を充填
した潤滑油溜２９に接続されている。図示実施形態の場
合、球状の調節面２８には２本の潤滑溝３２および３３
が加圧成形されている。調節要素２４は、中央開口部３
４を有する。継手の整列状態では、該開口部３４に対向
して、支持要素３５の球状キャップ形接触面３６の対応
する凹部３７が配設される。接触面３６の他の部分に
は、調節要素２４の球状調節面２８が接触する。支持要
素３５は、そのフランジ３８を介して、外側部１のフラ
ンジ６に固定される。球状調節面２８及び支持要素３５
の中空の球状接触面３６の各中心もまた、等速固定継手
の理論関節中心Ｏ上に位置決めされる。環状の潤滑溝３
２，３３の表面積の比、及び調節面２８と接触面３６の
半径の相対比を適切に選定することにより、且つ、継手
が関節式に屈曲して回動するとき調節要素２４が支持要
素３５に対して全屈曲範囲に亘り通過するので高摺動速
度が達成可能であるという事実に鑑みて、流体力学的潤
滑状態を達成することができる。更に、凹部３７と開口
部３４とを設けることにより、調節面２８と接触面３６
の間の接触領域で自己抑止が生じないようにしている。

【００１９】図２は、内面３′を備えた空洞２′が形成
された外側部１′を有する、本発明の第２実施形態にか
かる等速固定継手の縦断面図である。外側部１′は、長
手方向の第１の軸線４′を有し、該軸線４′を中心とし
て、空洞２′の内面３′には外側走行溝５′が分布して
いる。外側走行溝５′は、第１の継手端部７′からアン
ダーカット無しで延びている。更に、外側部１′は、第
１の継手端部７′に、外側部１′を駆動又は被動部材に
接続するフランジ６′を備えている。図１の実施形態の
場合と同様、外側部１′は、板金成形部品として構成さ
れている。外側部１′も、包旋状ブーツを固定するため
の座面１１′を有する。第２の継手端部８′には、破線
で示した軸１２′が挿入される。内側部９′は、空洞
２′内に収容され、長手方向の第２の軸線１０′を有す
る。外側部１′と内側部９′は、それぞれの長手方向軸
線４′と１０′が互いに一致した状態で図示されてい
る。内側部９′は、第１の継手端部７′の側に、長手方
向の第２の軸線１０′に対して垂直な面を形成する支持
面１３′を有する。支持面１３′から、すなわち第１の
継手端部７′からは、内側部９′の外面に形成された内
側走行溝１４′が延びている。外側走行溝５′及び内側
走行溝１４′は、それぞれ関係する長手方向軸線４′及
び１０′に対して子午平面内に延びている。アンダーカ
ットが無いということは、内側走行溝１４′の軌道基部
が支持面１３′から第２の継手端部８′に向けて関係し
た長手方向軸線１０′から離れる方向に延びることを意
味する。これに対して、外側走行溝５′の軌道基部は、
第１の継手端部７′から関係した長手方向軸線４′の第
２の継手端部８′に向けて延びている。

【００２０】外側部１′は、板金成形部品として構成さ
れているが、内側部９′は、非チップ形成法によっても
製造可能な中実部品である。内側部９′は、その外面上
に、第２の継手端部８′の方向に配設された外側球面１
５′を備えている。更に、内側部９′は、その長手方向
軸線１０′上に中心決めされて軸１２′を回転可能な固
定状態に接続する歯付き内孔１６′を備えている。更
に、外側球面１５′の近傍に潤滑油溜を集中させて該球
面１５′の十分な潤滑を確保するための係止要素１７′
が設けられている。分割された係止要素１７′は、軸１
２′に固定されている。係止要素１７′は、中空の部分
球面２１′を介して外側球面１５′上で摺動案内される
保持器１８′の外面２２′上に延びている。

【００２１】保持器１８′は、トルク伝達球体２３′を
収容する外側走行溝５′と内側走行溝１４′の各対に対
応して円周方向に分布した複数の窓１９′を備えてい
る。各球体２３′は、外側走行溝５′と内側走行溝１
４′とに係合し、全屈曲位置で、保持器１８′をその中
空の部分球面２１′により内側部９′の外側球面１５′
と接触して保持するために第１の継手端部７′の側に配
設された窓面２０′に当接して支持されている。保持器
１８′の外面２２′と外側部１′の内面３′との間には
空間が設けられているので、継手の屈曲状態に拘わら
ず、外側部１′と保持器１８′の間では接触が生じな
い。内側部９′は、その支持面１３′を介して、調節要
素２４′の円筒部２６′の環状面として構成された案内
面２７′に当接して支持されている。

【００２２】板金から形成された皿形の調節要素２４′
は、更に、理論継手関節中心Ｏ′上に中心決めされた球
面を構成する調節面２８′を有するソケット形の球状皿
部２５′を備えている。保持器１８′の各窓１９′及び
各窓面２０′は、各球体２３′の中心も理論関節中心
Ｏ′を含む面内に位置決めされるように配設される。調
節面２８′は、軸受保持器３９内に保持される複数の軸
受球体４０のための走行面として機能する。軸受保持器
３９は、中心決め突起４１を有する。該突起４１を介し
て、軸受保持器３９は、第１の継手端部７′の側に延び
る領域で保持器１８′の中心決め面４２上に保持され
る。これにより、外側部１′と内側部９′とが互いに対
して関節式に屈曲するとき、軸受保持器３９は、保持器
１８′が行う屈曲角を半減する。軸受球体４０は、支持
要素３５′のソケット形の球状接触面３６′に当接して
支持される。支持要素３５′は、フランジ３８′を介し
て外側部１′のフランジ６′に接続されている。中空球
面の形の接触面３６′の中心も、また、理論関節中心
Ｏ′上に中心決めされている。

【００２３】組み立て時、組み付け部品とそれぞれの作
用面は、理論関節中心Ｏ′にできるだけ近い中心の周り
の等速固定継手の屈曲を球体２３′が許容し得るような
組み合わせを、保証するように選定することができる。
転がり接触軸受手段を選定することにより、トルク伝達
から生じて調節要素２４′を介して支持要素３５′に導
入される力も転がり接触軸受により支持しつつ伝達可能
なので、摩擦力を相当減少させることができる。

【００２４】上述した継手は、好ましくは、自動車の動
力伝達装置に使用される。すなわち、上述した継手は、
前駆動装置と後車軸との間の推進軸にも、差動装置から
被動車輪まで続く側軸にも使用することができる。前記
継手は、長い寿命と低摩擦損失を特徴とする。

【００２５】以下に、本発明の実施形態を要約列挙す
る。

【００２６】＜１＞ 外側部１，１′と、内側部９，
９′と、保持器１８，１８′と、複数の球体２３，２
３′と、調節要素２４，２４′と、支持要素３５，３
５′とを含む等速固定継手であって、前記外側部１，
１′が、長手方向の第１の軸線４，４′と、複数の外側
走行溝５，５′を有する空洞２，２′とを備え、前記内
側部９，９′が、前記空洞２，２′内に配設されて長手
方向の第２の軸線１０，１０′をう有すると共に、複数
の内側走行溝１４，１４′を有する外面を備え、前記外
側走行溝５，５′と前記内側走行溝１４，１４′とが複
数の子午平面内で対を成して互いに対向して配設される
と共に、第１の継手端部７，７′からアンダーカット無
しで延び、前記保持器１８，１８′が、中空の部分球面
２１，２１′を介して、内側部９，９′の対応する外側
球面１５，１５′上に支持されると共に、前記外側走行
溝５，５′と内側走行溝１４，１４′とから成る各対に
対応して分布した複数の窓１９，１９′を備え、前記球
体２３，２３′が、それぞれ前記窓１９，１９′内で案
内されると共に、それぞれ前記第１の継手端部７，７′
の近傍に配設された窓面２０，２０′上に支持され、前
記保持器１８，１８′の外面２２，２２′が、前記外側
部１，１′に対する前記内側部９，９′の全屈曲範囲に
亘り、前記空洞２，２′の内面３，３′から一定距離を
置いて配設され、前記調節要素２４，２４′が、球状の
調節面２８，２８′と、案内面２７，２７′とを備え、
前記支持要素３５，３５′が、中空の球状接触面３６，
３６′を備え、前記調節要素２４，２４′が、その案内
面２７，２７′を介して、前記長手方向の第２の軸線１
０，１０′に直交する前記内側部９，９′の支持面１
３，１３′上に支持されると共に、その調節面２８，２
８′を介して、前記接触面３６，３６′上に支持され、
前記支持要素３５，３５′が、更に、前記外側部１，
１′に固定されるか、あるいは該外側部１，１′に接続
された部材に固定され、前記調節要素２４，２４′と前
記支持要素３５，３５′とが前記第１の継手端部７，
７′の側に配設されている、等速固定継手。

【００２７】＜２＞ 前記調節要素２４，２４′が、皿
形である、前記＜１＞に記載の等速固定継手。

【００２８】＜３＞ 前記支持要素３５，３５′が、板
金成形部品として構成されると共に、前記外側部１，
１′に接続される、前記＜１＞に記載の等速固定継手。

【００２９】＜４＞ 前記調節面２８，２８′と前記接
続面３６，３６′との間で摩擦低減手段が有効である、
前記＜１＞に記載の等速固定継手。

【００３０】＜５＞ 前記摩擦低減手段が、複数の潤滑
溝３２，３３から成り、複数の潤滑内孔３０，３１を介
して潤滑油溜２９に接続されている、前記＜４＞に記載
の等速固定継手。

【００３１】＜６＞ 前記潤滑油溜２９として皿形の空
洞を使用する、前記＜２＞に記載の等速固定継手。

【００３２】＜７＞ 前記摩擦低減手段が、前記調節面
２８′と接触面３６′との間で転動可能に保持された複
数の球体４０を案内する軸受保持器３９を備えた転がり
接触軸受として構成されている、前記＜４＞に記載の等
速固定継手。

【００３３】＜８＞ 前記軸受保持器３９が、前記保持
器１８′に接続されている、前記＜７＞に記載の等速固
定継手。

【００３４】

【発明の効果】本発明の等速固定軸継手は、複数の外側
軌道と複数の内側軌道とがアンダーカット無しで共通の
第１の継手端部から複数の子午平面内を延び、複数の窓
の第１の継手端部の近傍に在る窓面でそれぞれ球体を支
持し、保持器の外面は、外側部の空洞の内面に対して、
全屈曲範囲に亘り一定の間隔が存在するように、配設さ
れることを構成的特徴とする。

【００３５】更に、調節要素は、球状の調節面と案内面
とを有する。提案される支持要素は、前記調節要素をそ
の前記調節面を介して支持する中空の球状接触面を有す
る。更に、前記調節要素は、内側部の支持面上にその前
記案内面を介して支持されている。該支持面は、前記内
側部の長手方向の第２の軸線に対して垂直となるように
配設される。前記支持要素は、前記外側部に固定され、
あるいは、前記外側部に接続された部材に固定される。
前記調節要素および前記支持要素は、第１の継手端部の
側に配設され、該端部からは、複数の外側走行溝と複数
の内側走行溝がアンダーカット無しで延びている。

【００３６】本発明によれば、前記外側部と前記内側部
とが互いに対して整列状態にあるときに前記調節面と前
記接触面の間に生じる接触表面積と、潤滑溝表面積との
比を適切に選定することにより、高速摺動を流体力学的
潤滑状態で行うことができる。すなわち、摩擦量は無視
し得る程度に小さくなり、長い実用寿命を達成すると同
時に伝達損失を最小にすることができる。したがって、
作動時の損失を相応に低減した低摩擦等速固定継手を提
供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】調節要素と支持要素の間に摩擦軸受手段を備え
た、整列位置にある本発明の第１の実施形態にかかる等
速固定継手の縦断面図。

【図２】調節要素と支持要素の間に転がり接触軸受手段
を備えた、整列位置にある本発明の第２の実施形態にか
かる等速固定継手の縦断面図。

【符号の説明】

１，１′ 外側部 ２，２′ 空洞 ３，３′ 内面 ４，４′ 第１の軸線 ５，５′ 外側走行溝 ６，６′ フランジ ７，７′ 第１の継手端部 ８，８′ 第２の継手端部 ９，９′ 内側部 １０，１０′ 第２の軸線 １１，１１′ 座面 １２，１２′ 軸 １３，１３′ 支持面 １４，１４′ 内側走行溝 １５，１５′ 外側球面 １６，１６′ 内孔 １７，１７′ 係止要素 １８，１８′ 保持器 １９，１９′ 窓 ２０，２０′ 窓面 ２１，２１′ 中空の部分球面 ２２，２２′ 外面 ２３，２３′ 球体 ２４，２４′ 調節要素 ２５，２５′ ソケット形部 ２６，２６′ 円筒部 ２７，２７′ 案内面 ２８，２８′ 調節面 ２９ 潤滑油溜 ３０，３１ 潤滑内孔 ３２，３３ 潤滑溝 ３４ 開口部 ３５，３５′ 支持要素 ３６，３６′ 接触面 ３７ 凹部 ３８ フランジ ３９ 軸受保持器 ４０ 軸受球体 ４１ 中心決め突起 ４２ 中心決め面 Ｏ，Ｏ′ 関節中心

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外側部（１，１′）と、内側部（９，
   ９′）と、保持器（１８，１８′）と、複数の球体（２
   ３，２３′）と、調節要素（２４，２４′）と、支持要
   素（３５，３５′）とを含む等速固定継手であって、 前記外側部（１，１′）が、長手方向の第１の軸線
   （４，４′）と、複数の外側走行溝（５，５′）を有す
   る空洞（２，２′）とを備え、 前記内側部（９，９′）が、前記空洞（２，２′）内に
   配設されて長手方向の第２の軸線（１０，１０′）を有
   すると共に、複数の内側走行溝（１４，１４′）を有す
   る外面を備え、 前記外側走行溝（５，５′）と前記内側走行溝（１４，
   １４′）とが複数の子午平面内で対を成して互いに対向
   して配設されると共に、第１の継手端部（７，７′）か
   らアンダーカット無しで延び、 前記保持器（１８，１８′）が、中空の部分球面（２
   １，２１′）を介して、内側部（９，９′）の対応する
   外側球面（１５，１５′）上に支持されると共に、前記
   外側走行溝（５，５′）と内側走行溝（１４，１４′）
   とから成る各対に対応して分布した複数の窓（１９，１
   ９′）を備え、 前記球体（２３，２３′）が、それぞれ前記窓（１９，
   １９′）内で案内されると共に、それぞれ前記第１の継
   手端部（７，７′）の近傍に配設された窓面（２０，２
   ０′）上に支持され、 前記保持器（１８，１８′）の外面（２２，２２′）
   が、前記外側部（１，１′）に対する前記内側部（９，
   ９′）の全屈曲範囲に亘り、前記空洞（２，２′）の内
   面（３，３′）から一定距離を置いて配設され、 前記調節要素（２４，２４′）が、球状の調節面（２
   ８，２８′）と、案内面（２７，２７′）とを備え、 前記支持要素（３５，３５′）が、中空の球状接触面
   （３６，３６′）を備え、 前記調節要素（２４，２４′）が、その案内面（２７，
   ２７′）を介して、前記長手方向の第２の軸線（１０，
   １０′）に直交する前記内側部（９，９′）の支持面
   （１３，１３′）上に支持されると共に、その調節面
   （２８，２８′）を介して、前記接触面（３６，３
   ６′）上に支持され、 前記支持要素（３５，３５′）が、更に、前記外側部
   （１，１′）に固定されるか、あるいは該外側部（１，
   １′）に接続された部材に固定され、 前記調節要素（２４，２４′）と前記支持要素（３５，
   ３５′）とが前記第１の継手端部（７，７′）の側に配
   設されている、 ことを特徴とする等速固定継手。