JP2023038485A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】パワーローラを回転可能に支持する支持軸に潤滑油分配部材を強固に固定でき、運転時に潤滑油分配部材の支持軸に対する所定の位置からの移動を防止できるトロイダル型無段変速機を提供する。【解決手段】パワーローラ11を支持する支持軸23bとスラスト軸受24との間に配設され、潤滑油をスラスト軸受24の方へ分配して送る複数の分配路100aを有するリング形状の潤滑油分配部材100とを備え、支持軸23bと潤滑油分配部材100との双方は、金属製であり、支持軸23bの所定の位置から潤滑油分配部材100が移動するのを防止する移動防止構造を有する。移動防止構造は、潤滑油分配部材100を支持軸23bに焼き嵌め固定した構造等とする。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車、航空機の発電機または各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図9および図10に示すように構成されている。図9に示すように、ケーシング50の内側には入力軸1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車(伝達歯車)4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図9中左側に位置する入力側ディスク2とカム板(ローディングカム)7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図9中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図9中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1とともに回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面;トラクション面とも言う)2a,2aと出力ディスク3,3の内側面(凹面;トラクション面とも言う)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図10参照)が回転自在に挟持されている。
図9中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図9の右面)は、入力軸1の外周面に形成されたネジ部に螺合されたローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力(予圧)を付与する。
図10は、図9のA-A線に沿う断面図である。図10に示すように、ケーシング50の内側には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図10においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、支持板部16の長手方向(図10の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部23bの周囲には、各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
また、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図10の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。各ヨーク23A,23Bは鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、ヨーク23A,23Bの幅方向(図10の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は円筒面として、球面ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ31の上側シリンダボディ56によって揺動自在に支持されている。
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図10で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受(スラスト軸受)24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉(以下、転動体という)26,26と、これら各転動体26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図10の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(トラニオン軸)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ56と下側シリンダボディ57とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、入力軸1の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、さらにこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図10の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。
その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動(傾転)する。
その結果、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
ところで、上記構成のトロイダル型無段変速機においては、パワーローラ11を支持するスラスト玉軸受24に大きなスラスト方向の荷重がかかることから、このスラスト玉軸受24の転動体26,26の周囲に潤滑油を供給する構造を備えている。
従来、このスラスト玉軸受(スラスト軸受)24への潤滑油の供給は、スラスト玉軸受24の中央を通るシャフト(支持軸)23bに油孔を形成し、この油孔を介してスラスト玉軸受24の内側から潤滑油を吐出して行われている。
しかしながら、シャフトの油孔から潤滑油を吐出してスラスト軸受に適切な割合で振り分けるには、油孔の開口部を適切な位置に高精度に形成する必要があるため、シャフトの加工コストが増大するという問題がある。このため、油孔の開口部を高精度に形成しないとすると、スラスト軸受に油孔から潤滑油が適切な量および方向、位置や割合で供給され難いため、例えば特許文献1に記載されるように、シャフト(支持軸)とスラスト軸受との間にリング形状の潤滑油分配部材を設け、この潤滑油分配部材に前記油孔から供給される潤滑油をスラスト転がり軸受の方へ分配して送る複数の分配路を設けることで、スラスト軸受の内輪(パワーローラ)側と外輪側に適切な量を適切な割合で振り分けて潤滑油を供給するようにしている。
特開2012-225479号公報
しかしながら、特許文献1に記載の従来のトロイダル型無段変速機では、潤滑油分配部材が樹脂(例えばフッ素樹脂)製である一方、支持軸は焼入れ鋼等の金属製であり、さらに、潤滑油分配部材の固定は、当該潤滑油分配部材を支持軸に圧入しているだけであるので、樹脂製の潤滑油分配部材の締め付け力は低く、潤滑油分配部材が樹脂製であるがために、運転時の高温および振動において変形なども生じる。また、潤滑油分配部材が樹脂製である一方、支持軸は金属製であるため、潤滑油分配部材と支持軸との熱膨張係数(又は線熱膨張係数)の差が大きくなる。このため、運転時に高温となると、支持軸より潤滑油分配部材が大きく膨張してしまう。以上の結果、支持軸と潤滑油分配部材との間に隙間が生じ、潤滑油分配部材が支持軸の軸方向に移動してしまうおそがある。潤滑油分配部材が支持軸の軸方向でパワーローラ側に移動すると、回転するパワーローラとの接触が発生し、動力伝達効率の低下や接触部の摩耗の進行、摩耗粉の発生によるパワーローラ軸受の剥離に至るおそれがある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、パワーローラを回転可能に支持する支持軸に潤滑油分配部材を強固に固定でき、運転時に潤滑油分配部材の支持軸に対する所定の位置からの移動を防止できるトロイダル型無段変速機を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明のトロイダル型無段変速機は、それぞれの内側面どうしを互いに対向させた状態で互いに同心的にかつ回転自在に設けられた第1ディスクおよび第2ディスクと、
前記第1ディスクと前記第2ディスクとの間に挟持されるパワーローラと、
前記第1ディスクおよび前記第2ディスクの中心軸に対して捻れの位置にある枢軸を中心に傾転し、かつ支持軸を中心に前記パワーローラを回転可能に支持するトラニオンと、
前記パワーローラに加わるスラスト荷重を受けつつ前記パワーローラを回転可能に支持するスラスト軸受と、
前記支持軸の外周面に開口し前記スラスト軸受に向けて潤滑油を送る油孔と、
前記支持軸に通されて前記支持軸と前記スラスト軸受との間に配設され、かつ前記油孔から供給される潤滑油を前記スラスト軸受の方へ分配して送る複数の分配路を有するリング形状の潤滑油分配部材とを備えたトロイダル型無段変速機において、
前記支持軸と前記潤滑油分配部材との双方は、金属製であり、
さらに、前記支持軸の所定の位置から前記潤滑油分配部材が移動するのを防止する移動防止構造を有することを特徴とする。
ここで「所定の位置」とは、潤滑油分配部材が支持軸に設計とおりに固定される部位のことである。
本発明においては、支持軸と前記潤滑油分配部材との双方が金属製であり、前記支持軸の所定の位置からの潤滑油分配部材の移動を防止する移動防止構造を有するので、支持軸に潤滑油分配部材を強固に固定でき、高温高回転および高い振動が発生する運転時に潤滑油分配部材が支持軸の所定の位置から移動するのを防止できる。
本発明の前記構成において、前記移動防止構造は、前記潤滑油分配部材を前記支持軸に焼き嵌め固定した構造、または前記支持軸を前記潤滑油分配部材に冷やし嵌め固定した構造であってもよい。
ここで、焼き嵌め固定した構造とは、焼き嵌めする前(常温時)の潤滑油分配部材の内径寸法を、支持軸の外径仕上げ加工寸法に対し小さい値とし、そして、潤滑油分配部材を温め内径寸法が支持軸の仕上げ加工寸法より大きくなるよう膨張させて、支持軸へ嵌めこんだ後、冷却することによって、潤滑油分配部材を支持軸に固定する構造のことを言う。
また、冷やし嵌め固定した構造とは、冷やし嵌めする前(常温時)の支持軸の外径仕上げ加工寸法を、潤滑油分配部材の内径寸法に対し大きい値とし、そして、支持軸を冷やして、支持軸の外径寸法が潤滑油分配部材の内径寸法より小さくなるように収縮させて、当該支持軸を潤滑油分配部材に嵌め込んだ後、常温に戻すことによって、潤滑油分配部材を支持軸に固定する構造のことを言う。
また、本発明に前記構成において、前記支持軸が当該支持軸の先端側ほど大径となるようなテーパ構造を有していてもよい。
ここで、テーパ構造としては、例えば、支持軸の上側(内輪軸受け支持用ニードル軸受け側(パワーローラ側))の外径寸法を支持軸の下側(基端部側)の外径寸法より少々(数μm)大きくし、潤滑油分配部材の上側の締付力を下側より大きくすることで潤滑油分配部材の移動防止(支持軸の軸方向への移動防止)を行えばよい。
また、本発明の前記構成において、前記支持軸の外周部に、前記潤滑油分配部材のパワーローラ側の端面に当接する段付き部が形成されていてもよい。
ここで、支持軸の外周部に段付き部を形成する場合、支持軸外径部に潤滑油分配部材が嵌る幅分の径を小さくするように周溝を形成してもよいし、支持軸の上側(内輪軸受け支持用ニードル軸受け側(パワーローラ側))の径を広げように環状のフランジ部を形成してもよい。
また、前記潤滑油分配部材を前記支持軸に焼き嵌め固定するが、温め膨張した潤滑油分配部材の内径寸法は、段付き部の径より大きくなり、支持軸の段付き部より小径側でも締め代は保たれる。そして運転時に高温になり潤滑油分配部材の内径は膨張するが、支持軸も膨張するため段付き部の径よりは大きくならない。したがって潤滑油分配部材が支持軸の所定の位置から移動するのを防止できる。
また、本発明の前記構成において、前記移動防止構造は、前記潤滑油分配部材を前記支持軸に加締め固定した構造であってもよい。
ここで、潤滑油分配部材の上側(内輪軸受け支持用ニードル軸受け側(パワーローラ側))に加締め部(段差)を設けるのが好ましい。これは、潤滑油分配部材を外径部で加締めると潤滑油分配部材が薄肉リング状であるため、変形するおそれがあるからである。
また、潤滑油分配部材の内径寸法は、支持軸に段付き部を形成した場合に、当該段付き部の外径寸法よりわずかに大きくすることで、常温においても潤滑油分配部材を支持軸に嵌めることができる。また、潤滑油分配部材の内径寸法を支持軸の外径より小さくし、焼き嵌めにて潤滑油分配部材を支持軸に固定することもできる。
その後、潤滑油分配部材の上側に設けた加締め部を加締めて固定する。
支持軸に段付き部を形成した場合、当該段付き部に加締め部がかみ合い、潤滑油分配部材が支持軸の所定の位置から移動するのを防止できる。
また、本発明の前記構成において、前記移動防止構造は、前記支持軸に段差溝が周方向に沿って形成され、前記段差溝に前記潤滑油分配部材を加締め固定した構造であってもよい。
ここで、段差溝の溝幅を潤滑油分配部材の幅(潤滑油分配部材の軸方向の幅)とほぼ等しく設定するのが好ましい。このようにすると、段差溝に潤滑油分配部材がかみ合って加締め固定される。
また、本発明の前記構成において、前記加締め固定した構造では、前記潤滑油分配部材が前記支持軸に焼き嵌め固定されるか、または前記支持軸が前記潤滑油分配部材に冷やし嵌め固定されていてもよい。
また、本発明の前記構成において、前記移動防止構造は、前記支持軸の外周部に形成された凹部に前記外周部から突出するように嵌め込まれた突出部材が、前記潤滑油分配部材のパワーローラ側の端面に当接した構造であってもよい。
ここで、凹部は支持軸の外周部に周方向に所定間隔で形成された孔や溝であってもよいし、周方向に沿って連続的に形成された周溝であってもよい。
また、本発明の前記構成において、前記凹部が前記支持軸の外周方向に沿って連続的に形成された周溝であり、前記突出部材が前記周溝に嵌め込まれた止め輪であってもよい。
また、本発明の前記構成において、前記潤滑油分配部材が前記支持軸に焼き嵌め固定されるか、または前記支持軸が前記潤滑油分配部材に冷やし嵌め固定されていてもよい。
また、本発明の前記構成において、前記潤滑油分配部材は、前記支持軸と熱膨張係数が等しいか、近い値の金属で形成されていてもよい。
ここで、熱膨張係数が近い値とは、支持軸と潤滑油分配部材を形成する金属の熱膨張係数の差が25(10-6/K(m))以内であると規定する。
この場合、支持軸を形成する金属の方が潤滑油分配部材を形成する金属より熱膨張係数が大きいのが好ましい。
このような構成によれば、潤滑油分配部材が支持軸と熱膨張係数が等しいか、近い値の金属製であるので、運転時に高温となって潤滑油分配部材の内径が膨張しても、支持軸も同様に膨張するため両者の嵌合態様(固定状態)は維持される。このため、より確実に潤滑油分配部材が支持軸の所定の位置から移動するのを防止できる。
本発明によれば、パワーローラを回転可能に支持する支持軸に潤滑油分配部材を強固に固定でき、運転時に潤滑油分配部材の支持軸に対する所定の位置からの移動を防止できる。
本発明の第1の実施形態を示すもので、パワーローラを備えたトラニオンを示す断面図である。 同、パワーローラを備えたパワーローラユニットを示す断面図である。 同、(a)は潤滑油分配部材の正面図、(b)は潤滑油分配部材平面図である。 同、パワーローラの支持軸を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態を示すもので、パワーローラの支持軸を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態を示すもので、パワーローラの支持軸を示す断面図である。 本発明の第4の実施形態を示すもので、パワーローラの支持軸を示す断面図である。 本発明の第5の実施形態を示すもので、パワーローラの支持軸を示す断面図である。 従来のトロイダル型無段変速機の一例を示す断面図である。 図9におけるA-A線に沿う断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
なお、本発明の特徴は、パワーローラ11のスラスト軸受24に適切な量を適切な割合で振り分けて潤滑油を供給する潤滑油分配部材の材質および移動防止構造にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様である。そのため、以下においては、本発明の特徴部分について説明し、従来と同一構成には同一符号を付してその説明を省略することもある。
(第1の実施形態)
図1~図3は、第1の実施形態を示すもので、図1はパワーローラ11を備えたトラニオン15を示す断面図、図2はパワーローラ11を備えたパワーローラユニットPUを示す断面図、図3は潤滑油分配部材を示す図、図4は外輪11bを含む変位軸23の断面図である。
図1に示すように、トラニオン15は、上下に長尺な支持板部16と、この支持板部16の両端部(上下端部)に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。この折れ曲がり壁部20,20によって、トラニオン15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成されている。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
図1および図2に示すように、パワーローラ11は、スラスト軸受24の内輪11cによって構成されている。内輪11cの外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、内輪11cの外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受(スラスト軸受)24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。
このうち、スラスト玉軸受24は、パワーローラ11(内輪11c)に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、パワーローラ11(内輪11c)の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24は複数の玉(以下、転動体という)26と、これら転動体26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、パワーローラ11である内輪11cと、円環状の外輪11bとから構成されている。また、スラスト玉軸受24の内輪軌道は内輪11cの外側面(大端面)に、外輪軌道は外輪11bの内側面にそれぞれ形成されている。
また、支持板部16の中央部には円孔が形成され、この円孔には変位軸23の基端部23aが軸回りに回転可能に挿入されている。この変位軸23の先端部は支持軸23bとなっており、この支持軸23bには、パワーローラ11が回転可能支持されている。すなわち、パワーローラ11には孔11dが形成され、この孔11dにラジアルニードル軸受23gが挿入され、このラジアルニードル軸受23gに支持軸23bが回転可能に支持されている。
スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪11bの外側面との間に挟持されており、トラニオン15の支持板部16の内側面に添って配置された平板状のレース25aと、ポケット穴を周方向に所定間隔をあけて形成した円盤形状の保持器25bと、ポケット穴に収納されている複数のニードル25cとを備えている。
また、支持軸23bには油路74が設けられている。この油路74は支持軸23bの内部にその軸方向に沿って延びて設けられており、この油路74には、支持軸23bの軸方向と直交する方向に延び、かつ周方向に所定間隔で設けられた複数の油路75の基端部が接続されている。油路75の先端部は支持軸23bの外周面に開口した油孔75aとなっており、この油孔75aからスラスト軸受24に向けて潤滑油を吐出して送るようになっている。
また、支持軸23bの油路74には、トラニオン15の油路76が油路77,78を介して連結され、この油路76に油路79が連結されている。また、油路79には油路80が連結されている。そして、油路80に油孔80aから潤滑油が供給され、油路79,76,77,78を介して油路74に供給される。
なお、支持軸23bの油路74まで潤滑油を供給する構成は、上記の構成に制限されるものではなく、様々な構成を適用可能である。
前記支持軸23bとスラスト軸受24の保持器27との間には、リング状の潤滑油分配部材100が支持軸23bに通されて設けられている。この潤滑油分配部材100は、前記油孔75aから供給される潤滑油をスラスト軸受24の方へ分配して送るためものものであり、複数の分配路100aを有している。これら分配路100aは潤滑油分配部材100の軸に対して傾斜している。潤滑油分配部材100の内径側には、凹所100fが周方向に沿って形成され、この凹所100fの底面に分配路100aの基端部が開口している。
潤滑油分配部材100は、図3に示すように、円形リング状に形成されており、外周面は、潤滑油分配部材100の軸方向に対して傾斜する円錐台状の2つの傾斜面100b,100cと、当該傾斜面100b,100cを繋ぎ、かつ潤滑油分配部材100の軸方向と平行な円筒状の平行面100dとから構成されている。傾斜面100bは潤滑油分配部材100の上面側に形成され、傾斜面100cは潤滑油分配部材100の下面側に形成されている。
複数の分配路100aの先端部は傾斜面100b,100cに開口しており、傾斜面100bに開口する分配路100aからスラスト軸受24の内輪11c(パワーローラ11)側に潤滑油が吐出され、傾斜面100cに開口する分配路100aから外輪11b側に潤滑油が吐出される。
また、潤滑油分配部材100は「鉄鋼(鋼、ステンレスなど)、非鉄金属(アルミ、銅、チタンなど)」等の金属で形成されており、このような金属製の潤滑油分配部材100は、移動防止構造によって支持軸23bの所定の位置からの移動が防止されている。
ここで「所定の位置」とは、潤滑油分配部材100が支持軸23bに設計とおりに固定される部位のことであり、例えば図4に示すように、支持軸23bの後述する大径軸部23dの部位である。
また、潤滑油分配部材100は、支持軸23bと熱膨張係数(又は線熱膨張係数)が等しいか、近い値の金属で形成されており、例えば潤滑油分配部材100が炭素鋼である場合、支持軸23bも炭素鋼とするのが好ましい。また、潤滑油分配部材100と支持軸23bとを異なる金属で形成してもよいが、熱膨張係数は等しいか近い値(例えば熱膨張係数の差が25(10-6/K(m))以内)の方が好ましい。この場合、支持軸23bを形成する金属の方が潤滑油分配部材100を形成する金属より熱膨張係係数が大きいのが好ましい。
なお、後述する第2~5の実施形態でも、潤滑油分配部材100は、支持軸23bと熱膨張係数(又は線熱膨張係数)が等しいか、近い値の金属で形成されている。
また、支持軸23bは変位軸23の先端部を構成しているが、当該支持軸23bは外輪11bおよび変位軸23の基端部23aと一体的に形成されているので、外輪11bおよび基端部23aも支持部23bと同じ金属で形成されている。
第1の実施形態の移動防止構造は、図4に示すように、潤滑油分配部材100を支持軸23bに焼き嵌め固定した構造(焼き嵌め固定構造)、または支持軸23bを潤滑油分配部材100に冷やし嵌め固定した構造(冷やし嵌め固定構造)である。支持軸23bは、外輪11bに一体的に形成された大径軸部23dと、この大径軸部23dより小径でかつ大径軸部23dと同軸に一体形成された小径軸部23eとから構成され、小径軸部23eによってパワーローラ11(内輪11c)がラジアルニードル軸受23gを介して回転可能に支持されている(図2参照)。
また、支持軸23bの大径軸部23dに潤滑油分配部材100が焼き嵌め固定されている。この焼き嵌め固定した構造では、焼き嵌めする前(常温時)の潤滑油分配部材100の内径寸法を、支持軸23bの大径軸部23dの外径仕上げ加工寸法に対し小さい値とし、そして、潤滑油分配部材100を温め内径寸法が大径軸部23dの仕上げ加工寸法より大きくなるよう膨張させて、大径軸部23dへ嵌めこんだ後、冷却することによって、潤滑油分配部材100を大径軸部23dに固定する。
また、大径軸部23dの外輪11bの上面(支持軸23bが設けられる上面)11eからの高さ寸法h1は、潤滑油分配部材100の軸方向の高さ寸法h2より長くなっており、潤滑油分配部材100の下端面が上面11eに当接されている。したがって、潤滑油分配部材100の上端面は大径軸部23dの上面より低くなるので、潤滑油分配部材100の内径面全体が大径軸部23dの外径面に焼き嵌め固定されている。
また、冷やし嵌め固定した構造では、冷やし嵌めする前(常温時)の支持軸23bの大径軸部23dの外径仕上げ加工寸法を、潤滑油分配部材100の内径寸法に対し大きい値とし、そして、大径軸部23dを冷やして、大径軸部23dの外径寸法が潤滑油分配部材100の内径寸法より小さくなるように収縮させて、当該大径軸部23dを潤滑油分配部材100に嵌め込んだ後、常温に戻すことによって、潤滑油分配部材100を大径軸部23dに固定する。
なお、大径軸部23dを冷やす場合、外輪11bを含む変位軸23の全体を冷やしてもよいし、大径軸部23dを含む支持軸23bを冷やしてもよいし、大径軸部23dだけを冷やしてもよい。
第1の実施形態によれば、支持軸23bと潤滑油分配部材100との双方が金属製であり、支持軸23bの大径軸部23dからの潤滑油分配部材100の移動を防止する移動防止構造(焼き嵌め固定構造または冷やし嵌め固定構造)を有するので、支持軸23bに潤滑油分配部材100を強固に固定でき、高温高回転および高い振動が発生する運転時に潤滑油分配部材100が支持軸23の所定の位置(大径軸部23d)から移動することがない。
また、潤滑油分配部材100が支持軸23bと熱膨張係数が等しいか、近い値の金属で形成されているので、運転時に高温となって潤滑油分配部材100の内径が膨張しても、支持軸23bも同様に膨張するため両者の嵌合態様(固定状態)は維持される。このため、より確実に潤滑油分配部材200が支持軸23bの所定の位置から移動するのを防止できる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態の移動防止構造は、図5に示すように、前記支持軸23bの大径軸部23dが、支持軸23bの先端側ほど大径となるようなテーパ構造を有している。なお、第2の実施形態から第5の実施形態において、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付してその説明を省略する。
テーパ構造としては、例えば、支持軸23bの大径軸部23dの上側(小径軸部23e側)の外径寸法d1を大径軸部23d支持軸の下側(基端部側)の外径寸法d2より少々(数μm)大きくするとともに、大径軸部23dの外周面を軸方向と交差するテーパ面に形成する。このように、大径軸部23dの外周面をテーパ面とすることによって、潤滑油分配部材100の上側の締付力を下側より大きくすることで、潤滑油分配部材100の移動を防止する移動防止構造としている。
なお、第2の実施形態の移動防止構造においても、第1の実施形態と同様に、焼き嵌め固定構造または冷やし嵌め固定構造を有している。
第2の実施形態によれば、焼き嵌め固定構造または冷やし嵌め固定構造に加えて、潤滑油分配部材100の上側の締付力が下側より大きくなるので、第1の実施形態よりも潤滑油分配部材100の固定強度を高めることができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態の移動防止構造では、図6に示すように、前記支持軸23bの大径軸部23dの外周部に、潤滑油分配部材100のパワーローラ側の端面に当接する段付き部110が形成されている。
大径軸部23dの外周部に段付き部110を形成する場合、大径軸部23dの外径部に潤滑油分配部材が嵌る幅分の径を小さくするように周溝111を形成してもよいし、大径軸部23dの上側(小径軸部23e側)の径を広げるように環状のフランジ部112を形成してもよい。周溝111を形成する場合、図4に示す第1の実施形態の大径軸部23dの外径寸法より、周溝111が形成された部分の外径寸法が小さいので、その分、潤滑油分配部材100の内径寸法を小さくする。また、フランジ部112を形成する場合、潤滑油分配部材100の内径寸法を若干大きくする。
また、第1の実施形態と同様に、潤滑油分配部材100を支持軸23bの大径軸部23dに焼き嵌め固定するが、温め膨張した潤滑油分配部材100の内径寸法は、段付き部110の径より大きくなり、大径軸部23dの段付き部110より小径側でも締め代は保たれる。
そして運転時に高温になり潤滑油分配部材100の内径は膨張するが、支持軸23bの大径軸部23dも同様に膨張するため両者の嵌合態様(固定状態)は維持され、また潤滑油分配部材100の内径は段付き部110の径よりは大きくならない。したがって潤滑油分配部材100が支持軸23bの所定の位置(大径軸部23d)から移動するのを防止防止できる。
つまり、潤滑油分配部材100の焼き嵌め時は、潤滑油分配部材100の内径寸法が段付き部110の外径寸法より大きく、冷却時は潤滑油分配部材100の内径寸法が段付き部110の外径寸法より小さくなるので、潤滑油分配部材100が支持軸23bの所定の位置(大径軸部23d)から移動するのを防止でき、さらに、運転時には潤滑油分配部材100の内径は膨張するが、支持軸23bの大径軸部23dも膨張するため潤滑油分配部材100の内径は、段付き部110の径よりは大きくならない。したがって潤滑油分配部材100が支持軸23bの大径軸部23dから移動するのを防止できる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態の移動防止構造は、図7に示すように、潤滑油分配部材100を支持軸23bの大径軸部23dに加締め固定した構造となっている。
本実施形態では、潤滑油分配部材100の上側(小径軸部23e側)に加締め部(段差)100kが設けられている。この加締め部100kは潤滑油分配部材100の上側部分を断面L形に切り欠くことで段差を形成したものであり、これによって加締め部100kの外径寸法は、当該加締め部100kより下側(外輪11b側)の外径寸法より小さくなっている。したがって、加締め部100kは、径方向の肉厚が小さくなり、加締め易くなっている。これに対し、加締め部100kを設けずに、潤滑油分配部材100を外径部で加締めると潤滑油分配部材100が薄肉リング状であるため、変形するおそれや、この変形によって分配路100aが変形したり潰れたりするおそれがあるが、加締め部110kを設けることによって、このようなおそれがない。
また、潤滑油分配部材100の内径寸法は、支持軸23bの大径軸部23dに段付き部110を形成した場合に、当該段付き部110の外径寸法よりわずかに大きくすることで、常温においても潤滑油分配部材100を大径軸部23dに嵌めることができる。
また、大径軸部23dに段付き部110を形成することによって、当該段付き部110の下面と外輪11bの上面との間に段差溝115が周方向に沿って形成され、当該段差溝115に潤滑油分配部材100を加締め固定してもよい。この場合、段差溝115の上下幅寸法(支持軸23bの軸方向の幅寸法)と潤滑油分配部材100の軸方向の幅寸法とをほぼ等しくすることによって、常温においても潤滑油分配部材100を段差溝115に嵌めることができる。その後、潤滑油分配部材100を加締めることによって、段差溝115に潤滑油分配部材100がかみ合って強固に加締め固定される。
また、潤滑油分配部材100の内径寸法を大径軸部23dの外径より小さくし、焼き嵌めにて潤滑油分配部材100を大径軸部23dに固定することもできるし、支持軸23bの大径軸部23dの外径仕上げ加工寸法を、潤滑油分配部材100の内径寸法に対し大きい値とし、冷やし嵌めにて潤滑油分配部材100を大径軸部23dに固定することもできる。
その後、潤滑油分配部材100のリング上部に設けた加締め部100kを加締めて大径軸部23dに固定する。
大径軸部23dに段付き部110を形成した場合、当該段付き部110に加締め部100dがかみ合い、潤滑油分配部材100が大径軸部23dから抜けるのを防止できる。
なお、本実施形態では、支持軸23bの大径軸部23dに段付き部110を形成したが、段付き部110を形成することなく、大径軸部23dに潤滑油分配部材100を加締め固定してもよい。
(第5の実施形態)
第5の実施形態の移動防止構造では、図8に示すように、支持軸23bの大径軸部23dの外周部に形成された凹部116に外周部から突出するように嵌め込まれた突出部材117が、潤滑油分配部材100のパワーローラ側の端面に当接した構造となっている。
ここで、凹部116は大径軸部23dの外周部に周方向に所定間隔で形成された孔や溝であってもよいし、周方向に沿って連続的に形成された周溝であってもよいが、本実施形態では、凹部116が大径軸部23dの外周方向に沿って連続的に形成された周溝116となっており、突出部材117が周溝116に嵌め込まれた止め輪117となっている。
周溝116は断面コ字形に形成されており、この周溝116の下壁面116aと外輪11bの上面との間の上下方向の寸法は、潤滑油分配部材100の軸方向の幅寸法とほぼ等しくなっている。したがって、潤滑油分配部材100を大径軸部23dに嵌め込むとともに、潤滑油分配部材100の下端面を外輪11bの上面に当接すると、潤滑油分配部材100の上端面と周溝116の下壁面116aとがほぼ面一となる。
止め輪117はスチールやステンレス等の金属によって円形リング状に形成され、その内径側が周溝116に嵌め込まれている。止め輪117の外径側は大径軸部23dの外周面から径方向に突出しており、この突出した部分が潤滑油分配部材100の上端面に当接し、これによって、潤滑油分配部材100の支持軸23bの大径軸部23dの軸方向への移動が防止されている。
また、本実施形態において、止め輪117を設置する前に、潤滑油分配部材100を上述したような、焼き嵌めや冷やし嵌めによって、支持軸23bの大径軸部23dに固定してもよく、さらに隙間嵌めによって嵌め込んでもよい。
なお、本実施形態では、凹部としての周溝116に、突出部材としてのリング状の止め輪117を嵌め込んだが、凹部を大径軸部23dの周方向に所定間隔で形成し、各凹部に棒状や板状の突出部材を嵌め込んでもよい。この場合、凹部からの突出部材の抜け出を防止するために、突出部材を凹部に圧入したり、圧入と接着剤を併用することによって、突出部材を凹部に強固に嵌込み固定する。
さらには、大径軸部23dに凹部に代えて貫通孔を形成し、当該貫通孔にスプリングピンを打ち込むことで、潤滑油分配部材100の軸部23bの軸方向への移動を防止してもよい。
なお、本実施形態では本発明を、ダブルキャビティ型のハーフトロイダル型無段変速機に適用する場合を例にとって説明したが、これに限ることなく、本発明はダブルキャビティ型のフルトロイダル型無段変速機にも適用でき、さらに、シングルキャビティ型のハーフトロイダル型無段変速機や、シングルキャビティ型のフルトロイダル型無段変速機にも適用できる。
また、本実施形態では、軸を入力軸1、第1ディスクを入力側ディスク2、第2ディスクを出力側ディスク3とした場合を例にとって説明したが、トロイダル型無段変速機では、入力側ディスクと出力側ディスクの入出力関係を逆にする場合もある。したがって、軸を出力軸、第1ディスクを出力側ディスク3、第2ディスクを入力側ディスク2とした場合にも適用できる。
1 入力軸(軸)
2 入力側ディスク(第1ディスク)
3 出力側ディスク(第2ディスク)
11(11c) パワーローラ(内輪)
15 トラニオン
23b 支持軸
24 スラスト軸受
75a 油孔
100 潤滑油分配部材
100a 分配路
116 周溝(凹部)
117 突出部材(止め輪)

Claims (11)

  1. それぞれの内側面どうしを互いに対向させた状態で互いに同心的にかつ回転自在に設けられた第1ディスクおよび第2ディスクと、
    前記第1ディスクと前記第2ディスクとの間に挟持されるパワーローラと、
    前記第1ディスクおよび前記第2ディスクの中心軸に対して捻れの位置にある枢軸を中心に傾転し、かつ支持軸を中心に前記パワーローラを回転可能に支持するトラニオンと、
    前記パワーローラに加わるスラスト荷重を受けつつ前記パワーローラを回転可能に支持するスラスト軸受と、
    前記支持軸の外周面に開口し前記スラスト軸受に向けて潤滑油を送る油孔と、
    前記支持軸に通されて前記支持軸と前記スラスト軸受との間に配設され、かつ前記油孔から供給される潤滑油を前記スラスト軸受の方へ分配して送る複数の分配路を有するリング形状の潤滑油分配部材とを備えたトロイダル型無段変速機において、
    前記支持軸と前記潤滑油分配部材との双方は、金属製であり、
    さらに、前記支持軸の所定の位置から前記潤滑油分配部材が移動するのを防止する移動防止構造を有することを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 前記移動防止構造は、前記潤滑油分配部材を前記支持軸に焼き嵌め固定した構造、または前記支持軸を前記潤滑油分配部材に冷やし嵌め固定した構造であることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
  3. 前記支持軸が当該支持軸の先端側ほど大径となるようなテーパ構造を有することを特徴とする請求項2に記載のトロイダル型無段変速機。
  4. 前記支持軸の外周部に、前記潤滑油分配部材のパワーローラ側の端面に当接する段付き部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のトロイダル型無段変速機。
  5. 前記移動防止構造は、前記潤滑油分配部材を前記支持軸に加締め固定した構造であることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
  6. 前記移動防止構造は、前記支持軸に段差溝が周方向に沿って形成され、前記段差溝に前記潤滑油分配部材を加締め固定した構造であることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
  7. 前記加締め固定した構造では、前記潤滑油分配部材が前記支持軸に焼き嵌め固定されるか、または前記支持軸が前記潤滑油分配部材に冷やし嵌め固定されていることを特徴とする請求項5または6に記載のトロイダル型無段変速機。
  8. 前記移動防止構造は、前記支持軸の外周部に形成された凹部に前記外周部から突出するように嵌め込まれた突出部材が、前記潤滑油分配部材のパワーローラ側の端面に当接した構造であることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
  9. 前記凹部が前記支持軸の外周方向に沿って連続的に形成された周溝であり、前記突出部材が前記周溝に嵌め込まれた止め輪であることを特徴とする請求項8に記載のトロイダル型無段変速機。
  10. 前記潤滑油分配部材が前記支持軸に焼き嵌め固定されるか、または前記支持軸が前記潤滑油分配部材に冷やし嵌め固定されていることを特徴とする請求項8または9に記載のトロイダル型無段変速機。
  11. 前記潤滑油分配部材は、前記支持軸と熱膨張係数が等しいか、近い値の金属で形成されていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のトロイダル型無段変速機。
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