JP2023012100A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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健 西村
Takeshi Nishimura
昌大 喜多
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Abstract

【課題】ディスクを回転可能に支持する軸とディスクとの間に設けられる軸受の保持器の焼き付きや摩耗を防止できるトロイダル型無段変速機を提供する。【解決手段】出力軸1Aと入力側ディスク2(第2ディスク)との間に軸受70が設けられ、軸受70は、出力軸1Aと入力側ディスク2との間で転動可能な複数のころ71と、これら複数のころ71を転動可能に保持し、かつ出力軸1Aに装着される円筒状の保持器72を備え、保持器72は保持器内径案内またはころ案内である。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車、航空機の発電機または各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図10および図11に示すように構成されている。図10に示すように、ケーシング50の内側には入力軸1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車(伝達歯車)4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図10中左側に位置する入力側ディスク2とカム板(ローディングカム)7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図10中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図10中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1とともに回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面;トラクション面とも言う)2a,2aと出力ディスク3,3の内側面(凹面;トラクション面とも言う)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図11参照)が回転自在に挟持されている。
図10中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図10の右面)は、入力軸1の外周面に形成されたネジ部に螺合されたローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力(予圧)を付与する。
図11は、図10のA-A線に沿う断面図である。図11に示すように、ケーシング50の内側には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図11においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、支持板部16の長手方向(図11の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部23bの周囲には、各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
また、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図11の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。各ヨーク23A,23Bは鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、ヨーク23A,23Bの幅方向(図11の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は円筒面として、球面ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ31の上側シリンダボディ56によって揺動自在に支持されている。
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図11で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受(スラスト軸受)24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉(以下、転動体という)26,26と、これら各転動体26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図11の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(トラニオン軸)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ56と下側シリンダボディ57とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、入力軸1の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、さらにこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図11の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。
その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動(傾転)する。
その結果、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
特開2003-4114号公報
ところで、トロイダル型無段変速機では、ディスク(入力側ディスクまたは出力側ディスク)と軸との間にころ軸受またはケージ&ローラを介在させることによって、軸によってディスクが回転可能に支持されている。ディスクと軸の回転の向きは反対であり、両者の間にある軸受は相対回転を支持する必要がある。高速回転で用いられる航空機向けのトロイダル型無段変速機では、当該軸受の相対回転数は最大3万rpm程度となり、保持器と案内面が接触すると焼き付きや保持器間摩耗が懸念され、最終的には保持器破損に至る可能性がある。
保持器が破損すると、ディスクや軸の振れが大きくなり、トロイダル型無段変速機の非同期が発生し動力伝達不可となる可能性がある。また、保持器破損時に周辺部品に衝撃を与えディスクや軸の割れが発生する可能性がある。
図12に示すように、従来の航空機(の発電機)向けのトロイダル型無段変速機では、ニードル軸受(軸受)70の保持器72の保持器外径面がディスク2のディスク内径面2cと接触(案内)する構成(保持器外径案内)となっているが、ディスク内径面2cはパワーローラ11からの法線力の影響により内側に変形する。航空機向けの入力側ディスク2は約2万rpm(300Hz以上)で回転し、かつ前記変形はディスク1回転あたり2回発生する。このため保持器案内面であるディスク内径面2cが非常に高振動数で変形するため、保持器外径面の焼き付きや摩耗の懸念が高まる。
なお、航空機向けのトロイダル型無段変速機では、符号1Aで示す軸は出力軸であり、この出力軸1Aによって入力側ディスク2が軸受70を介して回転可能に支持されている。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、軸とディスクとの間に設けられて、ディスクを回転可能に支持する軸受の保持器の焼き付きや摩耗を防止できるトロイダル型無段変速機を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明のトロイダル型無段変速機は、軸と、この軸にそれぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的にかつ前記軸と一体的に回転可能に設けられた第1ディスクおよび前記軸に対して回転可能に設けられた第2ディスクと、これら両ディスクの間に挟持されるパワーローラと、前記軸と前記第2ディスクとの間に設けられた軸受とを備えたトロイダル型無段変速機において、
前記軸受は、前記軸と前記第2ディスクとの間で転動可能な複数のころと、これら複数のコロを転動可能に保持し、かつ前記軸に装着される円筒状の保持器を備え、
前記保持器は保持器内径案内またはころ案内であることを特徴とする。
ここで、保持器内径案内とは、保持器の内径面が軸(の外径面)に接触することによって保持器が支持される保持器案内構造のことを言い、ころ案内とは、保持器が円筒ころに接触することにより支持される保持器案内構造をいう(例えば特許文献1参照)。また、軌道輪案内とは、保持器が転動輪に接触することにより支持される保持器案内構造をいう(例えば特許文献2参照)。ころ案内とは、保持器が円筒ころに接触することにより支持される保持器案内構造をいう(例えば特許文献1参照)。また、軌道輪案内とは、保持器が転動輪に接触することにより支持される保持器案内構造をいう(例えば特許文献2参照)。ころ案内とは、保持器が円筒ころに接触することにより支持される保持器案内構造をいう(例えば特許文献1参照)。ころ案内とは、「ころがディスクの内径面または軸(の外径面)に接触することにより保持器が支持される」ころの外周面によって保持器が支持される保持器案内構造のことを言う。
本発明においては、保持器が従来の保持器外径案内ではなく、保持器内径案内またはころ案内であるので、ディスク内径面(保持器案内面)がパワーローラからの法線力の影響により内側に高振動数で変形しても、保持器外径面はディスク内径面に接触せず、さらに、保持器内径面が接触する場合(保持器内径案内の場合)の軸には、径方向の寸法変化に寄与する荷重が作用しないため、保持器の焼き付きや摩耗を防止できる。
また、回転中心(軸の回転中心)からの半径がディスク内径面よりも軸の外径面の方が小さいため、案内面(軸の外径面)における周速が小さくなり、仮に保持器内径面が出力軸に接触したとしてもその相対速度は小さくなるので、この点においても、保持器の焼き付きや摩耗を防止できる。
また、本発明の前記構成において、前記保持器が保持器内径案内である場合に、
前記保持器の外径をD1、内径をD2、前記第2ディスクの内径をD3、前記軸の外径をD4とすると、
D3-D1>D2-D4に設定されていてもよい。
また、本発明の前記構成において、前記保持器がころ案内である場合に、
前記保持器の外径をD1、内径をD2、前記第2ディスクの内径をD3、前記軸の外径をD4、
前記ころに対する前記保持器の半径方向移動量をΔS(保持器が軸と同軸に配置されている位置からころに対して半径方向(保持器の半径方向)に移動する移動量)とすると、
(D3-D1)/2>ΔS、かつ
(D2-D4)/2>ΔS
に設定されていてもよい。
また、本発明の前記構成において、前記保持器の少なくとも案内面に、摺動性を向上させる被膜が形成されていてもよい。
ここで、被膜としては、例えば銅メッキ等が挙げられるがこれに限るものではない。
このような構成によれば、保持器の少なくとも案内面に、摺動性を向上させる被膜が形成されているので、保持器の焼き付きや摩耗をより効果的に防止できる。
また、本発明の前記構成において、前記保持器の少なくも案内面に、油溜り用の微細凹部が形成されていてもよい。
このような構成によれば、保持器の少なくも案内面に、油溜り用の微細凹部が形成されているので、案内面に油膜を形成することができ、保持器の焼き付きや摩耗をより効果的に防止できる。
本発明によれば、軸とディスクとの間に設けられて、ディスクを回転可能に支持する軸受の保持器の焼き付きや摩耗を防止できる。
本発明の第1の実施形態に係るトロイダル型無段変速機を示すもので、要部の断面図である。 同、拡大断面図である。 同、軸受の斜視図である。 同、要部を模式的に示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るトロイダル型無段変速機を示すもので、要部の拡大断面図である。 同、要部を模式的に示す図である。 本発明の第3の実施形態に係るトロイダル型無段変速機を示すもので、軸受の斜視図である。 本発明の第4の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の第1例を示すもので、軸受の斜視図と要部を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の第2例を示すもので、軸受の斜視図と要部を示す図である。 従来のトロイダル型無段変速機の一例を示す断面図である。 図10におけるA-A線に沿う断面図である。 従来の航空機向けのトロイダル型無段変速機の一例を示す要部の拡大断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部を示す断面図、図2は同拡大断面図である。なお、図10および図11に示す従来技術では、出力側ディスク3を軸受5を介して入力軸1によって回転可能に支持した場合を例にとって説明したが、本実施形態では、入力側ディスク2を軸受70を介して出力軸1Aによって回転可能に支持した場合を例にとって説明する。但し、本実施形態のトロイダル型無段変速機と従来のトロイダル型無段変速機では、入力側ディスク2と出力側ディスク3との間に挟持されるパワーローラ11、入力側ディスク2と出力側ディスク3とのうちの一方のディスク2(3)を他方のディスク3(2)に向けて押圧する押圧装置12等の他の構成は共通するので、その説明を省略する。また、図1においてハッチングは省略している。
本実施形態のトロイダル型無段変速機は、航空機(の発電機)向けのダブルキャビティ型のハーフトロイダル型無段変速機であり、入力側ディスク(第2ディスク)2と、出力側ディスク(第1ディスク)3とが、出力軸(軸)1Aの周りに取り付けられて構成されている。
出力側ディスク3は出力軸1Aと一体的に回転可能に設けられ、入力側ディスク2は出力軸Aに対して軸受70を介して回転可能に設けられている。入力側ディスク2と出力側ディスク3との間にはパワーローラ11が設けられ、当該パワーローラ11は両ディスク2,3の間に挟持されている。
また、本実施形態では、出力側ディスク3を押圧装置12によって入力側ディスク2に向けて押圧するようになっている。
図2および図3に示すように、前記軸受70は、出力軸1Aと入力側ディスク2との間で転動可能な複数の円筒状のころ71と、これら複数のころ71を転動可能に保持し、かつ出力軸1Aに装着される円筒状の保持器72を備えている。
保持器72の外周面(外径面)72aには、所定の等しい角度間隔をもって複数の保持穴72dが保持器72の径方向に開口して形成されている。各保持穴72dは、出力軸1Aと入力側ディスク2との間で転動するころ71を転動自在に保持できるようになっている。
このような軸受70は出力軸1Aと入力側ディスク2との間に設けられている。軸受70の保持器72は規制部材75,76によって軸方向において挟み付けられており、これによって、出力軸1Aの軸方向への移動が規制されている。また、規制部材75は、入力側ディスク2の内径面2cに固定された止め輪77によって軸方向左方への移動が規制され、規制部材76は入力側ディスク2の内径側に挿入された部材78によって軸方向右方への移動が規制されている。
前記保持器72は保持器内径案内となっている。保持器内径案内とは、保持器72の内径面72cが出力軸1Aの外径面(外周面)1aに接触することによって保持器72が支持される保持器案内構造のことを言いう。
具体的には、図4に模式的に示すように、保持器72の外径をD1、内径をD2、入力側ディスク2の内径をD3、出力軸1Aの外径をD4とすると、
D3-D1>D2-D4に設定されている。つまり、保持器72の外径面72aと入力側ディスク2の内径面2cとの間の距離が、保持器72の内径面72cと出力軸1Aの外径面1aとの間の距離より長くなっている。
したがって、本実施形態では、入力側ディスク2の内径面(保持器案内面)2cがパワーローラ11(図1および図2参照)からの法線力の影響により内側に高振動数で変形しても、保持器72の外径面72aは入力側ディスク2の内径面2cに接触せず、さらに、保持器72の内径面72cが接触する出力軸1Aには、径方向の寸法変化に寄与する荷重が作用しないため、保持器72の焼き付きや摩耗を防止できる。
また、回転中心(出力軸1Aの回転中心)からの半径が入力側ディスク2の内径面2cよりも出力軸1Aの外径面1aの方が小さいため、案内面(外径面1a)における周速が小さくなり、仮に保持器72の内径面72cが出力軸1Aの外径面1aに接触したとしてもその相対速度は小さくなるので、この点においても、保持器72の焼き付きや摩耗を防止できる。
(第2の実施形態)
図5は第2の実施形態を示す要部の拡大図である。
図5に示す第2の実施形態が、図2等に示す第1の実施形態と異なる点は、保持器72がころ案内である点であるので、以下ではこの点について説明し、図5において、図2に示す構成と同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。
保持器72はころ案内となっている。ころ案内とは、図6に示すように、ころ71が入力側ディスク2の内径面2cまたは出力軸1Aの外径面1aに接触することにより保持器72が支持される保持器案内構造のことを言う。
具体的には、保持器72の外径をD1、内径をD2、入力側ディスク2の内径をD3、出力軸1Aの外径をD4、ころ71に対する保持器72の半径方向移動量をΔSとすると、ΔSは、保持器72が出力軸1Aと同軸に配置されている位置からころ71に対して半径方向(保持器72の半径方向)に移動する移動量のことであり、以下のように設定されている。
(D3-D1)/2>ΔS、かつ(D2-D4)/2>ΔSに設定されている。
つまり、保持器72の外径面72aと入力側ディスク2の内径面2cとの間の距離および保持器72の内径面72cと出力軸1Aの外径面1aとの間の距離がそれぞれころ71に対する保持器72の半径方向移動量ΔSより長くなっている。
このため、保持器72の外径面72aおよび内径面72cは、それぞれ入力側ディスク2の内径面2cおよび入力軸1Aの外径面1aに接触しない。
なお、図6において、出力軸1Aと同軸に配置されている保持器72には、ハッチングを施してあり、半径方向に移動した保持器72を二点鎖線で示している。
したがって、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、入力側ディスク2の内径面(保持器案内面)2cがパワーローラ11(図1および図2参照)からの法線力の影響により内側に高振動数で変形しても、保持器72の外径面72aは入力側ディスク2の内径面2cに接触せず、さらに、保持器72の内径面72cが出力軸1Aに保持器72の組付け誤差等によって接触したとして、当該出力軸1Aは、径方向の寸法変化に寄与する荷重が作用しないため、保持器72の焼き付きや摩耗を防止できる。
また、回転中心(出力軸1Aの回転中心)からの半径が入力側ディスク2の内径面2cよりも出力軸1Aの外径面1aの方が小さいため、案内面(外径面1a)における周速が小さくなり、仮に保持器72の内径面72cが出力軸1Aの外径面1aに接触したとしてもその相対速度は小さくなるので、この点においても、保持器72の焼き付きや摩耗を防止できる。
(第3の実施形態)
図7は第3の実施形態を示すもので、軸受70の斜視図である。
本実施形態では、軸受70の保持器72の少なくとも案内面に、摺動性を向上させる被膜80が形成されている。
例えば、第1の実施形態の場合、保持器72は保持器内径案内なので、内径面72cが案内面となっている。したがって、少なくもこの案内面(内径面72c)に、摺動性を向上させる被膜80が形成されている。被膜80としては、例えば銅メッキ等が挙げられるがこれに限るものではない。
また、被膜80は保持器72の内径面72cに加えて、外径面72aに形成してもよいし、さらに、保持器72の外側面72eに形成してもよい。
また、本実施形態では、保持器72が保持器内径案内の場合について説明したが、保持器72が従来と同様、保持器外径案内の場合、外径面72aが案内面となるので、少なくともこの外径面72aに被膜80を形成してもよく、さらに、被膜80は外径面72aに加えて、内径面72cや外側面72eに形成してもよい。
また、第2の実施形態の場合、保持器72はころ案内であるが、この場合においても、保持器72の外径面72a、内径面72cおよび外側面72eに適宜被膜80を形成してもよい。
本実施形態によれば、保持器72の少なくとも案内面に、摺動性を向上させる被膜80が形成されているので、保持器72の焼き付きや摩耗をより効果的に防止できる。
(第4の実施形態)
図8および図9は第4の実施形態を示すもので、それぞれ軸受70の斜視図と要部を示す図である。
本実施形態では、保持器72の少なくも案内面に、油溜り用の微細凹部81が形成されている。
例えば、第1の実施形態の場合、保持器72は保持器内径案内なので、内径面72cが案内面となっている。したがって、少なくもこの案内面(内径面72c)に、油溜り用の微細凹部81が形成されている。
微細凹部81は、内径面72cの全域に亘って均一に多数形成されている。微細凹部81は、図8に示すように、表面形状が楕円形状や円形状であってもよく、また、三角形、四角形を含む多角形状であってもよい。また、微細凹部81の断面形状は三角形状であってもよく、また、四角形を含む多角形状や半円形状、半楕円形状であってもよい。
また、微細凹部81の径(微細凹部81が円形状である場合は直径、微細凹部81が楕円形状である場合は長径、微細凹部81が三角形状である場合は対向する角と辺との間の長さのうち最も長い長さ、微細凹部81が多角形状である場合は対向する角を結ぶ線のうち最も長い線の長さ)および深さ(最深部の深さ)は、例えば数μm~数mm程度であることが好ましい。
また、微細凹部81は、図9に示すように、溝形状であってもよい。この場合、溝形状の微細凹部81は、例えば、内径面72cの幅方向(保持器72の軸方向)に延びるように形成してもよいし、幅方向に対して傾斜する方向に延びるように形成してもよい。また、微細凹部81は内径面72cの周方向に所定間隔で多数形成するのが好ましい。
さらに、微細凹部81の断面形状は三角形状であってもよく、また、四角形を含む多角形状や半円形状、半楕円形状であってもよい。
また、微細凹部81の溝幅および深さ(最深部の深さ)は例えば数μm~数mm程度であることが好ましい。
また、本実施形態では、保持器72が保持器内径案内の場合について説明したが、保持器72が従来と同様、保持器外径案内の場合、外径面72aが案内面となるので、少なくともこの外径面72aに微細凹部81を形成してもよく、さらに、微細凹部81は外径面72aに加えて、内径面72cや外側面72eに形成してもよい。
また、第2の実施形態の場合、保持器72はころ案内であるが、この場合においても、保持器72の外径面72a、内径面72cおよび外側面72eに適宜微細凹部81を形成してもよい。
本実施形態によれば、保持器72の少なくも案内面に、油溜り用の微細凹部81が形成されているので、案内面に油膜を形成することができ、保持器72の焼き付きや摩耗をより効果的に防止できる。
また、本実施形態では、本発明を航空機向けのトロイダル型無段変速機を対象として説明したが、本発明はその他の用途(例えば自動車の変速機用)にも適用できる。
また、本実施形態では本発明を、ダブルキャビティ型のハーフトロイダル型無段変速機に適用する場合を例にとって説明したが、これに限ることなく、本発明はダブルキャビティ型のフルトロイダル型無段変速機にも適用でき、さらに、シングルキャビティ型のハーフトロイダル型無段変速機や、シングルキャビティ型のフルトロイダル型無段変速機にも適用できる。
さらに、本実施形態では、出力側ディスク3を押圧装置12によって押圧する場合を例にとって説明したが、トロイダル型無段変速機では、入力側ディスクと出力側ディスクの入出力関係を逆にする場合もある。したがって、本発明は入力側ディスク2を押圧装置12によって押圧する場合にも適用できる。つまり、図10および図11に示すように、入力軸1と、この入力軸1にボールスプラインによってスプライン結合されて入力軸1と一体で回転する入力側ディスク2と、入力側ディスク2に対向し、かつ入力軸1に対して回転可能に設けられた出力側ディスク3とを備えたトロイダル型無段変速機にも適用できる。
1A 出力軸(軸)
1a 外径面
2 入力側ディスク(第2ディスク)
3 出力側ディスク(第1ディスク)
11 パワーローラ
70 軸受
71 ころ
72 保持器
72a 外径面
72c 内径面(案内面)
80 被膜
81 微細凹部

Claims (5)

  1. 軸と、この軸にそれぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的にかつ前記軸と一体的に回転可能に設けられた第1ディスクおよび前記軸に対して回転可能に設けられた第2ディスクと、これら両ディスクの間に挟持されるパワーローラと、前記軸と前記第2ディスクとの間に設けられた軸受とを備えたトロイダル型無段変速機において、
    前記軸受は、前記軸と前記第2ディスクとの間で転動可能な複数のころと、これら複数のころを転動可能に保持し、かつ前記軸に装着される円筒状の保持器を備え、
    前記保持器は保持器内径案内またはころ案内であることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 前記保持器が保持器内径案内である場合に、
    前記保持器の外径をD1、内径をD2、前記第2ディスクの内径をD3、前記軸の外径をD4とすると、
    D3-D1>D2-D4に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
  3. 前記保持器がころ案内である場合に、
    前記保持器の外径をD1、内径をD2、前記第2ディスクの内径をD3、前記軸の外径をD4、
    前記ころに対する前記保持器の半径方向移動量(前記保持器が前記軸と同軸に配置されている位置から前記ころに対して半径方向(保持器の半径方向)に移動する移動量)をΔSとすると、
    (D3-D1)/2>ΔS、かつ
    (D2-D4)/2>ΔS
    に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
  4. 前記保持器の少なくとも案内面に、摺動性を向上させる被膜が形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のトロイダル型無段変速機。
  5. 前記保持器の少なくも案内面に、油溜り用の微細凹部が形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のトロイダル型無段変速機。
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