JPH11174169A - 時クロノグラフの発停構造およびスリップ用バネ - Google Patents

時クロノグラフの発停構造およびスリップ用バネ

Info

Publication number
JPH11174169A
JPH11174169A JP34041097A JP34041097A JPH11174169A JP H11174169 A JPH11174169 A JP H11174169A JP 34041097 A JP34041097 A JP 34041097A JP 34041097 A JP34041097 A JP 34041097A JP H11174169 A JPH11174169 A JP H11174169A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chronograph
wheel
hour
rotating member
spring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP34041097A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuyoshi Takizawa
勝由 滝澤
Takeshi Tanaka
毅 田中
Mamoru Watanabe
守 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Instruments Inc
Original Assignee
Seiko Instruments Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Instruments Inc filed Critical Seiko Instruments Inc
Priority to JP34041097A priority Critical patent/JPH11174169A/ja
Publication of JPH11174169A publication Critical patent/JPH11174169A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measurement Of Unknown Time Intervals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ムーブメントを薄形化すること。 【解決手段】 香箱車1の周囲に第一時クロノグラフ中
間車2を設け、この第一時クロノグラフ中間車2に対向
配置した第二時クロノグラフ中間車4とを摩擦バネ3に
よる摩擦力で連結した。クロノグラフ停止時は、ハンマ
64によりハートカム63が固定されるので第二時クロ
ノグラフ中間車4までの輪列が固定状態になる。香箱車
1からの回転は第一時クロノグラフ中間車2に伝わって
いるので、この回転力が摩擦力に打ち勝って、摩擦バネ
3がスリップする。このように、香箱車1の周囲に第一
時クロノグラフ中間車2などのスリップ機構を設けれ
ば、ムーブメントを薄形化できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、時クロノグラフ
の発停構造に関し、更に詳しくは、香箱車トルクの損失
を抑制し、ムーブメントを薄形化できる時クロノグラフ
の発停構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図6は、従来の時クロノグラフ車のスリ
ップ構造を示す断面図である。なお、クロノグラフ時計
のその他の部分は、当業者に良く知られているのでここ
では説明および図示を省略する。符号501は、時クロ
ノグラフ中間車である。このクロノグラフ中間車501
は、地板550によって回転可能に軸支されている。時
クロノグラフ中間車501には、香箱車(図示省略)か
らの回転が伝達される。時クロノグラフ中間車501
は、時クロノグラフ車502のクロノグラフ歯車502
1と噛み合っている。この時クロノグラフ歯車5021
は、時クロノグラフ車502の時クロノグラフ軸502
2に対して回転可能に取り付けてある。
【0003】また、時クロノグラフ軸5022には、皿
状の摩擦バネ503が固定されている(スリップ構
造)。時クロノグラフ歯車5021には、前記摩擦バネ
503が押し当てられるので、当該摩擦バネ503との
間で摩擦力が生じる。さらに、時クロノグラフ軸502
2の一端には、ハートカム5023が取り付けてある。
符号5024は、ハートカム5023に当接するハンマ
である。ハンマ5024は、復針レバー(図示省略)の
端部に設けてある。また、時クロノグラフ軸5022の
他端には、クロノグラフ用時針5025が取り付けてあ
る。
【0004】クロノグラフ作動時には、復針レバー端部
のハンマ5024が離れてハートカム5023が開放さ
れる。このため、香箱車の回転が、時クロノグラフ中間
車501を含む中間車輪列において減速され、時クロノ
グラフ歯車5021に伝達される。時クロノグラフ歯車
5021の回転は、前記摩擦バネ503による摩擦力に
よって時クロノグラフ軸5022に伝わる。時クロノグ
ラフ軸5022が回転すると、これに伴いクロノグラフ
用時針5025が回転する。
【0005】一方、クロノグラフ停止時には、復針レバ
ーが作動してハンマ5024がハートカム5023に当
たる。すると、ハートカム5023に回転力が与えられ
る。ハートカム5023と時クロノグラフ軸5022は
一体であり、この時クロノグラフ軸5022と前記時ク
ロノグラフ歯車5021とは、摩擦バネ503による摩
擦力によって連結されている。このため、ハートカム5
023の回転力が前記摩擦力を超えると、時クロノグラ
フ軸5022のみが回転し、時クロノグラフ歯車502
1は回転しない(正しくは香箱車から回転力を得てゆっ
くり回転しているのみである)。前記ハートカム502
3は、ハンマ5024が当該ハートカム上側の双山に接
するまで回転する。この回転により、前記クロノグラフ
用時針5025が零点復帰する。
【0006】このように、クロノグラフ停止時には、ハ
ンマ5024によりハートカム5023が強制的に固定
されているため、香箱車の回転力が時クロノグラフ歯車
5021に伝わっても、上記スリップ機構においてスリ
ップしてしまう。このため、香箱車の回転が時クロノグ
ラフ軸5022に伝わらないので、クロノグラフ用時針
5025は回転しない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の時クロノグラフ車のスリップ構造では、摩擦バネ5
03による摩擦力で前記時クロノグラフ軸5022と時
クロノグラフ歯車5021とを連結しているため、クロ
ノグラフ用時針5025に大きな慣性力が働く場合(例
えば時計を落したような場合)、当該クロノグラフ用時
針5025が回転してしまうという問題点があった。
【0008】このような問題に対して、摩擦バネ503
の付勢力を上げることが考えられる。しかし、摩擦バネ
503による押圧力を上げると、香箱車のトルク損失が
大きくなるという問題点がある。また、クロノグラフ用
時針5025と釣り合うバランサを設けることが考えら
れる。しかし、係るバランサを組み込むとムーブメント
が厚くなるという問題点がある。
【0009】また、上記従来の時クロノグラフ車のスリ
ップ構造では、前記摩擦バネとして、図7の(a)に示
すような皿状のものや、同図(b)に示すような径方向
に複数の足を出したものを用いていた。しかしながら、
前記皿状の摩擦バネ703では、押圧力の調節が困難で
安定したスリップを行うことができないという問題点が
あった。また、前記径方向に複数の足を出した摩擦バネ
803では、足長が短いため摩擦力が強くなりすぎるう
え、その調整が困難な問題点があった。
【0010】そこで、この発明は、上記に鑑みてなされ
たものであって、第1に、香箱車のトルク損失を抑制で
き且つムーブメントを薄形化できる時クロノグラフの発
停構造を提供することを目的とする。また、第2に、安
定したスリップを行うことができ、かつ、摩擦力の調整
が容易なスリップ用バネを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、請求項1に係る時クロノグラフの発停構造は、動
力源となるぜんまいを収容する香箱車と、クロノグラフ
用時針が取り付けられる時クロノグラフ車と、前記香箱
車の回転を前記時クロノグラフ車に伝えると共に、前記
香箱車の周囲に設けた第一時クロノグラフ中間車と当該
第一時クロノグラフ中間車と同軸かつ独立に回転する第
二時クロノグラフ中間車とを含む時クロノグラフ中間車
輪列と、クロノグラフ作動時には前記第一時クロノグラ
フ中間車と第二時クロノグラフ中間車とをバネ部材によ
る摩擦力で連結し、クロノグラフ停止時には前記バネ部
材がスリップして第一時クロノグラフ中間車と第二時ク
ロノグラフ中間車との間の回転伝達が遮断されるスリッ
プ機構と、を備えたものである。
【0012】時クロノグラフ中間車輪列により香箱車か
らの回転を時クロノグラフ車に伝達するが、この時クロ
ノグラフ中間車輪列、特に香箱車周囲に設けた第一時ク
ロノグラフ中間車と当該第一時クロノグラフ中間車と同
軸かつ独立に回転する第二時クロノグラフ中間車との間
にスリップ機構を設けておけば、クロノグラフ作動時に
は香箱車の回転を伝達し、クロノグラフ停止時にはスリ
ップして香箱車からの回転伝達を遮断することができ
る。このように、スリップ機構を香箱車の周囲に設けれ
ば、ムーブメントの厚さ増大を抑制できる。
【0013】また、請求項2に係る時クロノグラフの発
停構造は、動力源となるぜんまいを収容する香箱車と、
クロノグラフ用時針が取り付けられる時クロノグラフ車
と、前記香箱車の回転を前記時クロノグラフ車に伝える
と共に、前記香箱車の周囲に設けた第一時クロノグラフ
中間車と当該第一時クロノグラフ中間車と同軸かつ独立
に回転する第二時クロノグラフ中間車とを含む時クロノ
グラフ中間車輪列と、前記第二時クロノグラフ中間車に
バネ部材を固定して当該バネ部材を前記第一時クロノグ
ラフ中間車に押し当て、クロノグラフ作動時には前記バ
ネ部材による摩擦力で前記第一時クロノグラフ中間車と
第二時クロノグラフ中間車とを連結し、クロノグラフ停
止時には前記バネ部材と第二時クロノグラフ中間車との
間でスリップが生じ回転伝達を遮断するスリップ機構
と、を備えたものである。
【0014】このスリップ機構では、第二時クロノグラ
フ中間車にバネ部材を固定し、このバネ部材を香箱車周
囲に設けた第一時クロノグラフ中間車に付勢し、その摩
擦力により回転を伝達するようにしている。摩擦力を超
える回転力が与えられると、バネ部材と第一時クロノグ
ラフ中間車とがスリップするので回転伝達が遮断され
る。このように、香箱車周囲にスリップ機構を設けれ
ば、ムーブメントの厚さ増大を抑制できる。
【0015】また、請求項3に係るスリップ用バネは、
少なくともそり部を持った複数の足部が回転中心部から
放射状に設けられ、当該足部が略回転軸方向に曲げられ
ているものである。
【0016】前記足部が少なくともそり部を持つことに
より、バネ外周に至るまで足部を長くとることができ
る。このため、適度な摩擦力が得られ、その調節も簡単
になる。この結果、安定したスリップを得ることができ
るようになる。
【0017】また、請求項4に係るスリップ用バネは、
第一回転部材に固定されて回転中心となる中心部から複
数の足部を回転放射状に設け、当該足部の端部近傍に逆
椀状部を成形すると共に、この足部を略軸方向に曲げて
前記逆椀状部を前記第一回転部材と対向する第二回転部
材に押し当て、その摩擦力によって前記第一回転部材か
ら第二回転部材に回転を伝え、前記摩擦力以上の回転力
が加わることによって前記第一回転部材と第二回転部材
との間でスリップを生じさせるものである。
【0018】まず、回転放射状に足部を設けることで、
バネ外周に至るまでに足部を長くとることができる。つ
ぎに、足部の端部近傍に逆椀状部を形成することで、第
二回転部材との接触状態を良好に保つことができる。こ
のため、適度な摩擦力が得られ、その調節も簡単にな
る。また、第二回転部材との接触状態も良いことから、
安定したスリップを得ることができるようになる。
【0019】また、請求項5に係るスリップ用バネは、
第一回転部材に固定されて回転中心となる中心部からそ
の径方向に複数の足部を設け、前記複数の足部から円周
方向にそれぞれ枝足部を設け、前記枝足部の端部近傍に
逆椀状部を成形すると共に、この枝足部を略軸方向に曲
げて前記逆椀状部を前記第一回転部材と対向する第二回
転部材に押し当て、その摩擦力によって前記第一回転部
材から第二回転部材に回転を伝え、前記摩擦力以上の回
転力が加わることによって前記第一回転部材と第二回転
部材との間でスリップを生じさせるものである。
【0020】径方向に足部を設け、この足部の略端部か
ら円周方向に枝足部を設けることで、小径であっても足
長を長くできる。また、枝足部の端部近傍に逆椀状部を
形成することで、第二回転部材との接触状態を良好に保
つことができる。このため、適度な摩擦力が得られ、そ
の調節も簡単になる。また、逆椀状部により第二回転部
材との接触状態が良くなるので、安定したスリップを得
ることができるようになる。
【0021】また、請求項6に係る時クロノグラフの発
停構造は、上記時クロノグラフの発停構造において、前
記バネ部材として、上記のスリップ用バネ(請求項3〜
5)を用いたものである。
【0022】上記スリップ用バネを前記バネ部材に用い
れば、摩擦力の微調節が可能となり、スリップトルクの
バラツキが減少するため、香箱車から時クロノグラフ車
までのトルク損失を抑制できる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、この発明につき図面を参照
しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこ
の発明が限定されるものではない。図1は、この発明の
時クロノグラフの発停構造を示す断面図である。図2
は、図1に示した時クロノグラフの発停構造を示す上面
図である。
【0024】この時クロノグラフの発停構造100にお
いて、符号1は、動力となるぜんまいを収容した香箱車
である。香箱車1の香箱歯車11は、第一時クロノグラ
フ中間車2と噛み合っている。第一時クロノグラフ中間
車2は、香箱車1の周囲に位置し、第一ピン21に回転
可能に取り付けてある。摩擦バネ3は、第一ピン21を
第二ピン41に螺合することにより挟持される。摩擦バ
ネ3は、第一時クロノグラフ中間車2に押し当てられ
る。第二時クロノグラフ中間車4は第二ピン41に固定
されている。第二ピン41は、地板101に回転可能に
軸支されている。第二時クロノグラフ中間車4は、第三
時クロノグラフ中間車5と噛み合っている。第三時クロ
ノグラフ中間車5は、第三ピン51を軸として回転す
る。第三ピン51は地板101に固定されている。
【0025】符号6は、時クロノグラフ車である。時ク
ロノグラフ車6は、地板101とクロノグラフ受け10
2とにより回転可能に軸支されている。時クロノグラフ
車6のクロノグラフ歯車61と前記第三時クロノグラフ
中間車5とは噛み合っている。また、時クロノグラフ車
6の軸62の一端には、ハートカム63が取り付けられ
ている。符号64は、ハートカム63に当接するハンマ
である。ハンマ64は、復針レバー65の端部に相当す
る。また、時クロノグラフ車6の軸62の他端には、ク
ロノグラフ用時針66が取り付けてある。なお、文字板
やケースは説明の便宜のため省略する。
【0026】図3は、摩擦バネ3を示す上面図である。
図4は、図3に示した摩擦バネ3を示す斜視図である。
摩擦バネ3の中心部31には前記第一ピン21のネジ部
22が挿通される穴32が設けてあり、この中心部31
からは3本の足部33が径方向に延出されている。それ
ぞれの足部33には、円周方向に枝足部34が設けられ
ている。この枝足部34はその途中で略回転軸方向に曲
げ加工が施されている。また、枝足部34の端部には逆
椀状部35が形成されている。この摩擦バネ3は、薄板
をプレス加工して成形する。
【0027】摩擦バネ3は、中心部31の穴32に第一
ピン21のネジ部22を通し、第一ピン21を第二ピン
41に螺合することで、穴32の周縁を挟持固定する。
この固定状態で、第一時クロノグラフ中間車2の下面に
前記逆椀状部35が接触する。枝足部34は曲げ加工さ
れているから、この枝足部34の弾性により押圧力が発
生する。また、摩擦バネ3は、図3および図4に示す形
状に限られない。例えば図5の(a)に示すように、回
転放射状に3本の足36を設け、その端部に逆椀状部3
5を設けてもよい。この摩擦バネの足部36は途中から
又は根元から略軸方向に曲げられている。また、同図
(b)に示すように、2カ所で湾曲した3本の足部37
を設けて、その端部に逆椀状部35を設けてもよい。こ
の場合にも、足部37の途中から又は根元から略軸方向
に曲げられている。
【0028】つぎに、このクロノグラフの発停構造10
0の動作について説明する。 [クロノグラフ作動時]図2および図1に示すように、
クロノグラフ作動時には、復針レバー65がハートカム
63から離れるから、ハートカム63が強制的な固定状
態から開放されている。一方、香箱車1の回転は、第一
時クロノグラフ中間車2に伝わっている。第一時クロノ
グラフ中間車2と第二時クロノグラフ中間車4とは摩擦
バネ3により連結されている。すなわち、摩擦バネ3に
設けた逆椀状部35の頂部が前記枝足部34の弾性によ
り第一時クロノグラフ中間車2の下面に押し当てられて
いるため、これにより生じる摩擦力で第一時クロノグラ
フ中間車2と第二時クロノグラフ中間車4とが連結され
る。このため、第一時クロノグラフ中間車2の回転が第
二時クロノグラフ中間車4に伝わる。
【0029】第二時クロノグラフ中間車4が回転する
と、これと噛み合う第三時クロノグラフ中間車5に伝わ
る。第三時クロノグラフ中間車5は時クロノグラフ車6
の時クロノグラフ歯車61と噛み合っているから、第三
時クロノグラフ中間車5の回転が時クロノグラフ車6に
伝わる。時クロノグラフ車6の軸62に取り付けてある
ハートカム63は上記のように開放状態にあるから、前
記時クロノグラフ車6の回転が可能となる。時クロノグ
ラフ車6が回転すると、この軸に取り付けてあるクロノ
グラフ用時針66が回転する。
【0030】[クロノグラフ停止時]クロノグラフ停止
時には、復針レバー65が図2中矢印方向に作動してハ
ンマ64がハートカム63に当たる。これにより、ハー
トカム63に回転力が与えられる。ハートカム63と時
クロノグラフ車6の軸62とは一体であるから、ハート
カム63が回転すると時クロノグラフ車6も回転する。
回転方向は、ハートカム63とハンマ64との相対位置
関係により定まる。ハートカム63を強制的に回転させ
ることにより、時クロノグラフ車6の回転が第三時クロ
ノグラフ中間車5を介して第二時クロノグラフ中間車4
に伝わる。一方、第一時クロノグラフ中間車2には香箱
車1からの回転が伝わっている。
【0031】第二時クロノグラフ中間車4と第一時クロ
ノグラフ中間車2とは、摩擦バネ3によって連結されて
いる。ハートカム63を回転させる力は、前記摩擦力よ
りも大きいので、摩擦バネ3と第一時クロノグラフ中間
車2との間でスリップが生じる。このため、第二時クロ
ノグラフ中間車4は第一時クロノグラフ中間車2に拘束
されず独自に回転する。前記ハートカム63は、ハンマ
64が当該ハートカム上側の双山に接するまで回転す
る。これにより、クロノグラフ用時針66が零点復帰す
る。
【0032】また、クロノグラフ停止時には、復針レバ
ー65のハンマ64がハートカム63に当接している。
このため、ハートカム63が固定されるから、同軸とな
る時クロノグラフ車6も固定され、回転しない。時クロ
ノグラフ歯車61は第三時クロノグラフ中間車5と噛み
合っており、第三時クロノグラフ中間車5は第二時クロ
ノグラフ中間車4と噛み合っているから、時クロノグラ
フ車6が回転しなければ第二時クロノグラフ中間車4も
回転しない。
【0033】一方、香箱車1の回転は、香箱歯車11と
噛み合い状態にある第一時クロノグラフ中間車2に伝わ
っている。しかし、上記の通り、摩擦バネ3により連結
している第二時クロノグラフ中間車4が固定されている
ため、第一時クロノグラフ中間車2の回転力が摩擦力を
超えたところで、摩擦バネ3との間でスリップを起こ
す。クロノグラフ停止時には、当該スリップが継続され
る。
【0034】以上、この発明の時クロノグラフの発停構
造100によれば、香箱車1の周囲に第一時クロノグラ
フ中間車2を配置し、この第一時クロノグラフ中間車2
と第二時クロノグラフ中間車4との間に摩擦バネ3を設
けた。すなわち、香箱車1の周囲にスリップ機構を設け
たので時クロノグラフ車6にスリップ機構を設ける場合
と比較してムーブメントを薄型化することができる。
【0035】また、枝足部34の弾性により逆椀状部3
5の頂部を第一時クロノグラフ中間車2の下側に接触さ
せて摩擦力を得るようにしているので、第一時クロノグ
ラフ中間車2との接触状態が良くなり、バラツキの少な
い適度な摩擦力が得られる。また、摩擦力の調節が簡単
になる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の時クロ
ノグラフの発停構造(請求項1)によれば、香箱車周囲
に配置した第一時クロノグラフ中間車と当該第一時クロ
ノグラフ中間車と同軸かつ独立に回転する第二時クロノ
グラフ中間車との間にスリップ機構を設けたので、ムー
ブメントを薄型化することができる。
【0037】つぎの発明の時クロノグラフの発停構造
(請求項2)では、香箱車周囲に設けた時クロノグラフ
中間車輪列にスリップ機構を設け、第二時クロノグラフ
中間車にバネ部材を固定し、このバネ部材を前記第一時
クロノグラフ中間車に付勢し、その摩擦力により回転を
伝達している。このように、香箱車周囲にスリップ機構
を設ければ、ムーブメントを薄型化することができる。
【0038】つぎの発明のスリップ用バネ(請求項3)
によれば、少なくともそり部を持った複数の足部が回転
中心部分から放射状に設けられ、当該足部が略回転軸方
向に曲げられているので、バネ外周に至るまで足部を長
くとることができる。このため、適度な摩擦力が得られ
且つその調節も簡単になり、安定したスリップが得られ
るようになる。
【0039】つぎの発明のスリップ用バネ(請求項4)
では、回転放射状に足部を設けてバネ外周に至るまでに
足部を長くとっている。また、足部の端部近傍に逆椀状
部を形成して第二回転部材との接触状態を良好に保って
いる。このようにすれば、適度な摩擦力が得られ且つそ
の調節も簡単になる。また、第二回転部材との接触状態
が良くなるので、安定したスリップを得ることができ
る。
【0040】つぎの発明のスリップ用バネ(請求項5)
によれば、径方向に足部を設け、この足部の略端部から
円周方向に枝足部を設け、枝足部の端部近傍に逆椀状部
を形成したので、小径であっても足長を長くでき、第二
回転部材との接触状態を良好に保つことができる。この
ため、適度な摩擦力が得られ、その調節も簡単になる。
また、逆椀状部により第二回転部材との接触状態が良く
なるので、安定したスリップを得ることができる。
【0041】つぎの発明の時クロノグラフの発停構造
(請求項6)によれば、バネ部材に上記スリップ用バネ
を用いたので、摩擦力の微調節が可能となり、スリップ
トルクのバラツキを低減できる。このため、香箱車から
時クロノグラフ車までのトルク損失を抑制できる。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の時クロノグラフの発停構造を示す断
面図である。
【図2】図1に示した時クロノグラフの発停構造を示す
上面図である。
【図3】図1に示した摩擦バネを示す上面図である。
【図4】図3に示した摩擦バネを示す斜視図である。
【図5】摩擦バネの変形例を示す斜視図である。
【図6】従来の時クロノグラフ車のスリップ構造を示す
断面図である。
【図7】従来の摩擦バネの例を示す斜視図である。
【符号の説明】
100 時クロノグラフの発停構造 1 香箱車 2 第一時クロノグラフ中間車 3 摩擦バネ 33 足部 34 枝足部 35 逆椀状部 4 第二時クロノグラフ中間車 5 第三時クロノグラフ中間車 6 時クロノグラフ車 63 ハートカム 64 ハンマ 65 復針レバー 66 クロノグラフ用時針

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動力源となるぜんまいを収容する香箱車
    と、 クロノグラフ用時針が取り付けられる時クロノグラフ車
    と、 前記香箱車の回転を前記時クロノグラフ車に伝えると共
    に、前記香箱車の周囲に設けた第一時クロノグラフ中間
    車と当該第一時クロノグラフ中間車と同軸かつ独立に回
    転する第二時クロノグラフ中間車とを含む時クロノグラ
    フ中間車輪列と、 クロノグラフ作動時には前記第一時クロノグラフ中間車
    と第二時クロノグラフ中間車とをバネ部材による摩擦力
    で連結し、クロノグラフ停止時には前記バネ部材がスリ
    ップして第一時クロノグラフ中間車と第二時クロノグラ
    フ中間車との間の回転伝達が遮断されるスリップ機構
    と、を備えたことを特徴とする時クロノグラフの発停構
    造。
  2. 【請求項2】 動力源となるぜんまいを収容する香箱車
    と、 クロノグラフ用時針が取り付けられる時クロノグラフ車
    と、 前記香箱車の回転を前記時クロノグラフ車に伝えると共
    に、前記香箱車の周囲に設けた第一時クロノグラフ中間
    車と当該第一時クロノグラフ中間車と同軸かつ独立に回
    転する第二時クロノグラフ中間車とを含む時クロノグラ
    フ中間車輪列と、 前記第二時クロノグラフ中間車にバネ部材を固定して当
    該バネ部材を前記第一時クロノグラフ中間車に押し当
    て、クロノグラフ作動時には前記バネ部材による摩擦力
    で前記第一時クロノグラフ中間車と第二時クロノグラフ
    中間車とを連結し、クロノグラフ停止時には前記バネ部
    材と第二時クロノグラフ中間車との間でスリップが生じ
    回転伝達を遮断するスリップ機構と、を備えたことを特
    徴とする時クロノグラフの発停構造。
  3. 【請求項3】 少なくともそり部を持った複数の足部が
    回転中心部から放射状に設けられ、当該足部が略回転軸
    方向に曲げられていることを特徴とするスリップ用バ
    ネ。
  4. 【請求項4】 第一回転部材に固定されて回転中心とな
    る中心部から複数の足部を回転放射状に設け、当該足部
    の端部近傍に逆椀状部を成形すると共に、この足部を略
    軸方向に曲げて前記逆椀状部を前記第一回転部材と対向
    する第二回転部材に押し当て、その摩擦力によって前記
    第一回転部材から第二回転部材に回転を伝え、前記摩擦
    力以上の回転力が加わることによって前記第一回転部材
    と第二回転部材との間でスリップを生じさせることを特
    徴とするスリップ用バネ。
  5. 【請求項5】 第一回転部材に固定されて回転中心とな
    る中心部からその径方向に複数の足部を設け、前記複数
    の足部から円周方向にそれぞれ枝足部を設け、前記枝足
    部の端部近傍に逆椀状部を成形すると共に、この枝足部
    を略軸方向に曲げて前記逆椀状部を前記第一回転部材と
    対向する第二回転部材に押し当て、その摩擦力によって
    前記第一回転部材から第二回転部材に回転を伝え、前記
    摩擦力以上の回転力が加わることによって前記第一回転
    部材と第二回転部材との間でスリップを生じさせること
    を特徴とするスリップ用バネ。
  6. 【請求項6】 前記バネ部材として、上記請求項3〜5
    のいずれか1つに記載のスリップ用バネを用いたことを
    特徴とする請求項1または2に記載の時クロノグラフの
    発停構造。
JP34041097A 1997-12-10 1997-12-10 時クロノグラフの発停構造およびスリップ用バネ Pending JPH11174169A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34041097A JPH11174169A (ja) 1997-12-10 1997-12-10 時クロノグラフの発停構造およびスリップ用バネ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34041097A JPH11174169A (ja) 1997-12-10 1997-12-10 時クロノグラフの発停構造およびスリップ用バネ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11174169A true JPH11174169A (ja) 1999-07-02

Family

ID=18336688

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34041097A Pending JPH11174169A (ja) 1997-12-10 1997-12-10 時クロノグラフの発停構造およびスリップ用バネ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11174169A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102200757A (zh) * 2010-03-25 2011-09-28 精工电子有限公司 开关结构体及采用该开关结构体的计时机构和电子钟表
JP2012107996A (ja) * 2010-11-17 2012-06-07 Morioka Seiko Instruments Inc クロノグラフ車、クロノグラフ車用組立治具、クロノグラフ車の組立方法
CN104635467A (zh) * 2013-11-06 2015-05-20 Eta瑞士钟表制造股份有限公司 具有单向轮的钟表轮副

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102200757A (zh) * 2010-03-25 2011-09-28 精工电子有限公司 开关结构体及采用该开关结构体的计时机构和电子钟表
CN102200757B (zh) * 2010-03-25 2015-04-01 精工电子有限公司 开关结构体及采用该开关结构体的计时机构和电子钟表
JP2012107996A (ja) * 2010-11-17 2012-06-07 Morioka Seiko Instruments Inc クロノグラフ車、クロノグラフ車用組立治具、クロノグラフ車の組立方法
CN104635467A (zh) * 2013-11-06 2015-05-20 Eta瑞士钟表制造股份有限公司 具有单向轮的钟表轮副

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH036372Y2 (ja)
JPH0313297U (ja)
JPH11174169A (ja) 時クロノグラフの発停構造およびスリップ用バネ
JP2006189166A (ja) クラッチ機構体
JPH0413176B2 (ja)
JP2000213598A (ja) トルク伝達装置
US6412719B1 (en) Dual-bearing reel having mechanism for inducing free rotation of spool
JP2017116546A (ja) 時計の調整装置
WO2007010688A1 (ja) 遠心式クラッチ装置
JP2002250781A (ja) 特にウォッチにおいて振動重錘により発電器を駆動するためのアンチショック伝達装置
JPH10313750A (ja) ドラッグ機構及び魚釣用リール
JPS5932751B2 (ja) 時計の表示修正装置
US20200004206A1 (en) Tourbillion with a zero reset mechanism
JPH0336024Y2 (ja)
JPH0248874B2 (ja) Tokeikiko
JPS5932938Y2 (ja) 時計
JPH11174168A (ja) 時クロノグラフの発停構造
JPS6329948Y2 (ja)
CN116158412A (zh) 双轴承绕线轮的卷筒制动装置
KR100405767B1 (ko) 클러치 릴리이스 보조장치
CA2221766A1 (en) Braking system for rotary coin mechanism
JPH0112748Y2 (ja)
JP2527300Y2 (ja) 回動軸付オルゴール
JPH11266758A (ja) 両軸受けリールの遠心制動装置
JP2002235516A (ja) カムシャフト