WO2007010688A1 - 遠心式クラッチ装置 - Google Patents

Abstract

　入力側軸２から出力側軸７５への動力の伝達・遮断を行う遠心式のクラッチ装置１であって、出力側軸７５に連結されるクラッチハウジング６と、入力側軸２に連結されるクラッチキャリア４と、遠心クラッチ部５と、ヒステリシス発生機構７とを有する。遠心クラッチ部５はクラッチキャリア４に移動自在に設けられ外周側への移動によってクラッチハウジング６の内周側に当接する。ヒステリシス発生機構７は遠心クラッチ部５がクラッチハウジング６側へ移動することに伴ってヒステリシスを発生する。また、ヒステリシス発生機構７は、遠心クラッチ部５をクラッチキャリア４に移動自在に支持する支持部材２０と、遠心クラッチ部５の移動時に抵抗を与えるための摩擦部材２４と、摩擦部材２４と遠心クラッチ部５とを互いに押圧するための押圧機構とを有する。  

Description

明 細 書

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技術分野

[0001] 本発明は、遠心式クラッチ装置、特に、エンジンからの動力が入力される駆動軸に 設けられ、駆動軸と変速機との間で動力の伝達'遮断を行う遠心式クラッチ装置に関 する。

背景技術

[0002] 遠心式クラッチ装置は、入力側軸に連結されたクラッチキャリアと、出力側軸に連結 されたクラッチハウジングと、遠心クラッチ部とを有する（特許文献 1参照。）。この遠心 式クラッチ装置では、入力軸の動力はクラッチキャリアを介して遠心クラッチ部に動力 が伝達される。遠心クラッチ部に動力が伝達されると遠心クラッチ部に遠心力が作用 し、遠心クラッチ部が外周側に移動する。遠心クラッチ部が移動すると遠心クラッチ部 とクラッチハウジングとが摩擦係合し、遠心クラッチ部の動力がクラッチハウジングに 伝達され変速機側の部材に動力が伝達される。

特許文献 1 :特開平 6— 280901号公報

発明の開示

[0003] この遠心式クラッチ装置では、遠心クラッチ部に遠心力が作動し遠心クラッチ部とク ラッチハウジングとが摩擦係合する際に、急激にクラッチが接続されるために異音や 衝撃が発生する可能性がある。

[0004] 本発明の課題は、クラッチ接続の際に発生する異音や衝撃を抑えることにある。

[0005] 請求項 1に係る遠心式クラッチ装置は、入力側軸から出力側軸への動力の伝達 · 遮断を行う遠心式のクラッチ装置であって、クラッチキャリアと、クラッチハウジングと、 遠心クラッチ部と、ヒステリシス発生機構とを有する。クラッチキャリアは入力側軸に連 結される。クラッチハウジングは出力側軸に連結される。遠心クラッチ部は、クラッチキ ャリアの外周側に移動自在に設けられ、外周側への移動によってクラッチハウジング の内周側に当接する。ヒステリシストルク発生機構は、遠心クラッチ部がクラッチハウ ジング側へ移動することに伴ってヒステリシスを発生する機構である。そして、ヒステリ シス発生機構は、遠心クラッチ部をクラッチキャリアに移動自在に支持するための支 持部材と、遠心クラッチ部の移動時に遠心クラッチ部に抵抗を与えるための摩擦部 材と、摩擦部材と遠心クラッチ部とを互いに押圧するための押圧機構と、を有する。

[0006] この遠心式クラッチ装置では、押圧機構によって遠心クラッチ部と摩擦部材とが互 いに押圧されており、入力側軸から遠心クラッチ部へ動力が伝達されると、遠心クラッ チ部がクラッチハウジングの内周壁と当接して摩擦係合する。これによつて、遠心クラ ツチ部とクラッチハウジングとの間で動力が伝達される。ここで、入力側軸から遠心式 クラッチ装置に動力が伝達され遠心クラッチ部が外周側に移動する際に、摩擦部材 と遠心クラッチ部との間でヒステリシスが発生する。

[0007] ここでは、クラッチ接続の際にヒステリシスが発生するために、遠心クラッチ部が外周 側に移動する際に抵抗を受けることになり、クラッチが急激に接続されるのを抑えるこ とができる。このため、クラッチ接続時の異音や衝撃を抑えることができる。

[0008] 請求項 2に係る遠心式クラッチ装置は、請求項 1の装置において、クラッチハウジン グは、内部に遠心クラッチ部が配置された筒状部を有している。また、遠心クラッチ部 は、一端が支持部材によってクラッチキャリアに回転自在に支持された複数のクラッ チウエイトと、各クラッチウェイトの外周部に設けられクラッチウェイトの回転時にクラッ チハウジングの筒状部内壁に圧接可能なクラッチシユーと、複数のクラッチウェイトの 他端側を内周側に付勢する付勢部材と、を有している。

[0009] この遠心式クラッチ装置では、クラッチキャリアに動力が伝達されるとクラッチキヤリ ァに支持されている端部を中心としてクラッチウェイトが回転し、クラッチウェイトに設 けられたクラッチシュートとクラッチハウジングと接触して動力伝達状態となる。

[0010] 請求項 3に係る遠心式クラッチ装置は、請求項 2の装置において、支持部材は、ク ラッチウェイトを支持する支柱部と、クラッチウェイトとクラッチキャリアとの間に設けら れた円板部と、を有している。そして、摩擦部材はクラッチウェイトと円板部との間に設 けられている。

[0011] 請求項 4に係る遠心式クラッチ装置は、請求項 3の装置において、押圧機構は、支 持部材の支柱部に設けられ、クラッチウェイトを摩擦部材側に押圧するウェーブスプリ ングである。 図面の簡単な説明

[0012] [図 1]本発明の実施形態における断面図。

[図 2]本発明の遠心式クラッチ装置の平面図。

符号の説明

[0013] 1 遠心式クラッチ装置

3 クラッチハブ

4 クラッチキャリア

5 遠心式クラッチ部

6 クラッチハウジング

7 ヒステリシス発生機構

10 供給路

20 支持部材

30 クラッチウェイト

31 クラッチシユー

35 コイルスプリング

発明を実施するための最良の形態

[0014] [構成]

図 1に本発明の一実施形態に係る遠心式クラッチ装置 1の断面図を示す。この実施 形態の遠心式クラッチ装置 1は、エンジンに連結される入力側軸 2に配置され、入力 側軸 2から出力側軸 75への動力の伝達'遮断を行う装置である。この遠心式クラッチ 装置 1は、クラッチボス 3と、クラッチキャリア 4と、遠心クラッチ部 5と、クラッチハウジン グ 6と、ヒステリシス発生機構 7とを有する。ここで、図 1の右側を軸方向外側とし、図 1 の左側を軸方向内側として以下説明する。

[0015] クラッチボス 3は、環状の部材であって、内周面にスプライン 11が形成されている。

このスプライン 11が、入力側軸 2の外周に形成されたスプラインに係合可能である。 また、クラッチボス 3の一側面、すなわちクラッチキャリア 4側の面には、内周側から外 周側に貫通する潤滑剤供給路 10が形成されている。この潤滑剤供給路 10は、入力 側軸 2内部に設けられた潤滑剤供給路 9を通して供給される潤滑剤を遠心クラッチ部 5に供給するための通路であって、入力側軸 2側から遠心クラッチ部 5側の間に鍛造 又は機械加工によって直線上に形成されている。

[0016] クラッチキャリア 4は、クラッチボス 3の軸方向外側の端面に内周部が接触して設け られたプレート状の部材である。このクラッチキャリア 4は、クラッチボス 3の端面に接 触する第 1円板部 14と、第 1円板部 14の外周側に形成された円筒部 13と、円筒部 1 3の外周側であり第 1円板部 14よりも軸方向外側に配置された第 2円板部 15とを有 する。第 1円板部 14は内周側にスプラインが形成され、このスプラインが入力側軸 2 に係合するようになつている。

[0017] 遠心クラッチ部 5は、図 1及び図 2に示すように、クラッチボス 3の外周側に配置され た部分であって、 3つの円弧状のクラッチウェイト 30と、クラッチウェイト 30の外周側に 固定されたクラッチシユー 31と、クラッチウェイト 30の一端を支持する支持部材 20と、 隣接する 2つのクラッチウェイト 30を連結するコイルスプリング 35とを有する。

[0018] クラッチウェイト 30は、円周方向の一端部が支持部材 20を介してクラッチキャリア 4 に回転自在に支持されている。そして、クラッチウェイト 30の円周方向の他端部が、 支持部材 20を中心として回転することで外周側に移動し、クラッチシユー 31がクラッ チハウジング 6の内周側壁面と接触する。

[0019] クラッチシユー 31は、クラッチウェイト 30が支持部材 20を中心に回転することでクラ ツチハウジング 6の内周側に押圧される部分であって、外周側に円周方向に沿って 延びる複数の第 2溝 34が形成されてレ、る。

[0020] 支持部材 20は、クラッチキャリア 4の外周側に配置されており、力 め部 21と、プレ ート部 22と、支柱部 23とを有する。力 め部 21は、支持部材 20をクラチキャリア 4に 取り付けるために、支持部材 20の軸方向外側端部を力、しめることで形成された部分 である。プレート部 22は、力、しめ部 21よりも厚さの厚い円板状の部材であって、第 2 円板部 15の軸方向内側の側面に接触して配置されている。支柱部 23は、クラッチゥ エイト 30を支持する部分であって、円柱状の部材である。

[0021] コイルスプリング 35は、隣り合う 2つのクラッチウェイト 30を連結する部材であって、 クラッチウェイト 30を内周側に付勢するために設けられている。コイルスプリング 35の 一端は、 P 接する 2つのクラッチウェイト 30のうちの一方の基端側（支持部材 20で支 持された側）に係止され、他端は、 2つのクラッチウェイト 30のうちの他方の先端側に 係止されている。このような構成により、クラッチウェイト 30に遠心力が作用していない 場合は、クラッチウェイト 30はコイルスプリング 35により内周側に付勢され、クラッチシ ユー 31はクラッチハウジングから離されてレ、る。

[0022] クラッチハウジング 6は、出力側軸 75に固定され、遠心クラッチ部 5が内周面に押圧 される部材であって、円板状部 40と、筒状部 41とを有している。円板状部 40の内周 部は出力側軸 75に固定されている。筒状部 41は、円板状部 40の外周側から軸方 向外側にほぼクラッチキャリア 4の位置まで延びて形成されている。この筒状部 41の 内周側に遠心クラッチ部 5が配置されている。また、円板状部 40と筒状部 41との境 界部には、円周方向に等角度間隔で 4つの孔 42が形成されている。この孔 42は潤 滑剤供給路 10から遠心クラッチ部に供給された潤滑剤をクラッチハウジング 6の外部 に放出するためのものである。

[0023] ヒステリシス発生機構 7は、クラッチウェイト 30の軸方向外側であってプレート部 22 の軸方向内側に装着された摩擦材 24と、クラッチウェイト 30の軸方向内側に配置さ れたウェーブスプリング 25と、ウェーブスプリング 25の軸方向内側に配置されたストツ パープレート 60とを備える。摩擦材 24は、クラッチウェイト 30と支持部材 20のプレー ト部 22とに狭持された環状の部材であって、ヒステリシスを発生させるための部材で ある。ウェーブスプリング 25は、環状のプレート部材をウェーブ状に変形させた部材 であって、クラッチウェイト 30を摩擦材 24側に付勢する部材である。このウェーブスプ リング 25は、平板状に弾性変形させられてクラッチウェイト 30の軸方向内側に配置さ れている。ストッパープレート 60は、内周部において径方向内側に突出する複数の 突出部 61を有する環状のプレート部材であって、支持部材 20の溝 65に突出部 61 が係止している。

[0024] [動作]

エンジンからの動力は、クラッチキャリア 4、支持部材 20、遠心クラッチ部 5の順に伝 達される。このように遠心クラッチ部 5に動力が伝達されると、クラッチウェイト 30がクラ ツチキャリア 4とともに回転し、クラッチウェイト 30に遠心力が作用してクラッチウェイト 3 0が外周側に移動しょうとする。このときクラッチウェイト 30の一端は支持部材 20によ つて支持されているために、支持部材 20を中心として他端が回転する。この回転によ つて、クラッチハウジング 6の内周部に遠心クラッチ部 5のクラッチシユー 31が摩擦係 合し、遠心クラッチ部 5に伝達された動力はクラッチハウジング 6に伝達される。クラッ チハウジング 6に伝達された動力は出力側軸 75に伝達される。

[0025] ここで、クラッチウェイト 30が支持部材 20を中心として回転する際に、支持部材 20 に装着された摩擦材 24とクラッチウェイト 30との間または摩擦材 24と支持部材 20の プレート部 22との間でヒステリシスが発生する。このように、ヒステリシス発生機構 7に よってヒステリシスが発生するために、クラッチウェイト 30が回転する際に抵抗を受け 、このためにクラッチの接続が滑らかになり、クラッチ接続持の異音や衝撃を抑えるこ とができる。

[0026] 一方、遠心クラッチ部 5の回転速度が小さくなると、クラッチウェイト 30に作用する遠 心力よりもコイルスプリング 35の付勢力の方が大きくなる。この場合には、クラッチハ ウジング 6と遠心クラッチ部 5との摩擦係合が外れ、遠心クラッチ部 5の動力がクラッチ ハウジング 6に伝達されずに動力が遮断される。

[0027] [他の実施形態]

本発明の一実施形態にはクラッチウェイト 30として一つの部材カ 構成されている ものを用いたが、複数の板状部材カ 構成されたクラッチウェイトを用いることもできる 産業上の利用可能性

[0028] 本発明では、遠心クラッチ部に作用するヒステリシスによってクラッチ接続時に発生 する可能性のある異音や衝撃を抑えることができる。

Claims

請求の範囲

[1] 入力側軸から出力側軸への動力の伝達 ·遮断を行う遠心式のクラッチ装置であつ て、

前記入力側軸に連結されるクラッチキャリアと、

前記出力側軸に連結されるクラッチハウジングと、

前記クラッチキャリアの外周側に移動自在に設けられ外周側への移動によって前 記クラッチハウジングの内周側に当接する遠心クラッチ部と、

前記遠心クラッチ部が前記クラッチハウジング側へ移動することに伴ってヒステリシ スを発生するヒステリシス発生機構と、を備え、

前記ヒステリシス発生機構は、

前記遠心クラッチ部を前記クラッチキャリアに移動自在に支持するための支持部材 と、

前記遠心クラッチ部の移動時に前記遠心クラッチ部に抵抗を与えるための摩擦部 材と、

前記摩擦部材と前記遠心クラッチ部とを互いに押圧するための押圧機構と、を有す る、

遠心式クラッチ装置。

[2] 前記クラッチハウジングは、内部に前記遠心クラッチ部が配置された筒状部を有し 前記遠心クラッチ部は、一端が前記支持部材によって前記クラッチキャリアに回転 自在に支持された複数のクラッチウェイトと、前記各クラッチウェイトの外周部に設けら れ前記クラッチウェイトの回転時に前記クラッチハウジングの筒状部内壁に圧接可能 なクラッチシユーと、前記複数のクラッチウェイトの他端側を内周側に付勢する付勢部 材と、を有している、

請求項 1に記載の遠心式クラッチ装置。

[3] 前記支持部材は、前記クラッチウェイトを支持する支柱部と、前記クラッチウェイトと 前記クラッチキャリアとの間に設けられた円板部と、を有し、

前記摩擦部材は前記クラッチウェイトと前記円板部との間に設けられている、 請求項 2に記載の遠心式クラッチ装置。

前記押圧機構は、前記支持部材の支柱部に設けられ、前記クラッチウェイトを前記 摩擦部材側に押圧するウェーブスプリングである、請求項 3に記載の遠心式クラッチ 装置。