JPH111520A - 環境応答性含フッ素ポリマー - Google Patents

環境応答性含フッ素ポリマー

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JPH111520A
JPH111520A JP15710297A JP15710297A JPH111520A JP H111520 A JPH111520 A JP H111520A JP 15710297 A JP15710297 A JP 15710297A JP 15710297 A JP15710297 A JP 15710297A JP H111520 A JPH111520 A JP H111520A
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JP
Japan
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fluorine
environment
polymer
hydrophilic
hydrophobic
Prior art date
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Pending
Application number
JP15710297A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshito Tanaka
義人 田中
Takayuki Araki
孝之 荒木
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Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 包囲する環境に対して自分自身で可逆的に適
応する環境応答性を有し、防汚性や洗浄性だけでなく耐
熱性や耐候性を必要とする用途へも適用できる含フッ素
ポリマーを提供すること。 【解決手段】 1つの側鎖中に疎水性部分と親水性部分
とを併有してなる側鎖を有する含フッ素重合体におい
て、その重合体表面がさらされる環境が疎水性環境から
親水性環境に、または、親水性環境から疎水性環境に変
化することによって重合体表面の前記の側鎖が運動する
こと、その結果、含フッ素重合体表面が、疎水性環境に
おいては疎水性に、親水性環境においては、親水性に変
化することを特徴とする環境応答性含フッ素ポリマー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、包囲する環境に対
して、自分自身で可逆的に適応する性質、いわゆる環境
応答性を有する含フッ素ポリマーに関する。
【0002】
【従来の技術】上記のような環境応答性を示す含フッ素
重合体としては、疎水性のフルオロアルキル基を有する
アクリル系単量体などを重合して得た重合体ユニット
(疎水性セグメント)と、親水性部分または親水性側鎖
を含む重合体ユニット(親水性セグメント)とを有する
ブロックやグラフト共重合体からなる、いわゆる繊維製
品などの撥水撥油剤などが知られている(特公昭52−
43955号公報など)。これらの重合体の環境応答機
能は、水性条件下で親水性の重合ユニットが表面に分布
し、疎水性条件下においてはフルオロアルキル基を有す
る疎水性の重合ユニットが表面に分布することによって
起こる現象でありいわゆる重合体主鎖の運動性によって
えられるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そもそも重合体主鎖の
運動性によって環境応答をうるばあい、応答性がわるか
ったり、応答に時間や温度が必要であったりしやすい。
【0004】またこれら重合体主鎖の運動性は、各セグ
メントを構成するそれぞれの重合体のガラス転移温度に
左右されやすく、ガラス転移温度以下での使用では、主
鎖の運動性が特に低く、つまり、環境応答しにくい結果
となる。したがってこれらの構造のものに通常の使用温
度(例えば室温)で環境応答性を付与するためには、重
合体の主鎖の構造を運動性に富んだもの、つまりガラス
転移温度の低いものにする必要があり、重合体の構造が
制限され、使用目的、用途などが限定される。
【0005】また、これらの重合体は、アクリル重合体
を主成分とし繊維処理剤の用途に開発された防汚性や洗
浄性を目的としたもので、耐熱性や耐候性を必要とする
用途への応用は困難である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、1つの側
鎖中に疎水性部分と親水性部分とを共に有するような構
造を側鎖をもつ特定の含フッ素重合体が、その側鎖の運
動により優れた環境応答性を有することを見出した。ま
たこれらの重合体は主として疎水性部分と親水性部分を
共に有する単量体を共重合することにより得られるた
め、共重合するもう一方の単量体成分を選ぶことによっ
て種々の目的や用途に適応した重合体を得ることがで
き、種々の重合体に優れた環境応答性を付与しうるもの
である。さらにまた本発明者らは、上記側鎖を重合体全
体に対して比較的少量導入するだけで優れた環境応答性
を示すことを見出した。それによって含フッ素重合体が
もつ、耐熱性や耐候性、耐薬品性を低下させることなく
環境応答性を付与できるものである。
【0007】本発明は側鎖中に疎水性部分と親水性部分
とを併有してなる側鎖を有する含フッ素重合体におい
て、その重合体表面がさらされる環境に応じて、上記側
鎖が運動することを特徴とする環境応答性含フッ素ポリ
マーに関する。それによって含フッ素重合体表面が疎水
性環境においては疎水性に、親水性環境においては親水
性に変化する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明においては、1つの側鎖に
疎水性部分と親水性部分を併有することが重要であり、
その側鎖を含フッ素重合体に導入することによって、比
較的少量の導入で、優れた応答性(例えば、低温での応
答性、短時間での応答性)を示す環境応答性含フッ素ポ
リマーを得ることができる。なかでも現実の場面での環
境変化の代表的なものは、空気中に存在するかまたは水
にさらされているかであり、その場合、本発明の環境応
答性含フッ素ポリマーは、空気中では撥水性に水中にお
いては親水性に可逆的に変化、応答するものである。
【0009】図1に環境応答する挙動について示す。
【0010】つまり被験物1表面は空気中(A)では空
気との界面自由エネルギーが低くなるように親水性基2
(●)がマトリックスポリマー3中へもぐりこみ、疎水
性のRf鎖4が界面に出ている。これを水中(B)に沈
めると水との界面エネルギーが低くなるように親水性基
2(●)が界面に移動する。さらに空気中(C)に引き
上げると親水性基2がもぐり込み、疎水性のRf鎖4が
界面に移動する。
【0011】以上のように側鎖が疎水性部分と親水性部
分が併有しかつ環境に応じて可逆的に運動する能力をも
つため、優れた環境応答性を有すると考えられる。
【0012】本発明の環境応答性含フッ素ポリマーと
は、具体的には、重合性の不飽和基Xと親水性を与えう
る官能基Yとが疎水性の2価の含フッ素有機基−Rf
を介して結合した一般式(1) X−Rf−Y (1) の含フッ素化合物を不飽和基Xの部分で重合して得られ
るユニットを含む含フッ素重合体からなるものである。
【0013】さらに具体的には、 (A)(a):式(1)で示される含フッ素化合物と、 (b):(a)と共重合可能な少なくとも1種のエチレ
ン性不飽和単量体とを重合してなる含フッ素重合体から
なるものである。
【0014】環境応答性の有無あるいはその程度を評価
する一般的方法として、例えば日本接着学会誌30巻1
37ページ(1994年)に記載のWilhelmy法
による動的接触角測定がある。本測定において、平板状
の被験物を液体(例えば水)に沈める過程で得られる前
進接触角(Advancing Contact An
gle,θA)と引き上げる過程で得られる後退接触角
(RecedingContact Angle,
θR)を測定する。測定で得られた前進接触角(θA)と
後退接触角(θR)との差(Δθ=θA−θR)をヒステ
リシスと呼び、そのヒステリシスの大きさでその被験物
の環境応答性、つまり表面でのセグメントの運動性を評
価することができる。
【0015】一般には、どのような材料を測定しても、
θAとθRは等しくならず、多少なりともヒステシスを生
じる。しかしながら、環境応答性に示さないまたは小さ
な材料表面は、疎水性(例えば空気中)環境において疎
水性(例えば撥水性)が不充分(θAが小さい)であっ
たり、環境が親水性(例えば水中)に変化しても、充分
な親水性を示さない(θRが大きい)ものである。
【0016】本発明の環境応答性含フッ素ポリマーは、
前述の動的接触角測定において、大きなヒステリシスを
示すものであり、優れた環境応答性を有するものであ
る。具体的には、本発明の環境応答性を含フッ素ポリマ
ーは、前記1つの側鎖中に疎水性部分と親水性部分とを
併有してなる側鎖を有する含フッ素重合体(A)のヒス
テリシスと、前記含フッ素重合体(A)の単量体組成か
ら含フッ素化合物(a)を除いた組成で重合してえられ
た重合体(B)(単量体(b)の重合体)のヒステリシ
スの関係が、
【0017】
【数3】
【0018】を満たすものである。
【0019】さらに優れた環境応答性を示す含フッ素重
合体(A)は、含フッ素重合体(A)のヒステリシスと
重合体(B)のヒステリシスの関係が、
【0020】
【数4】
【0021】を満たすことが好ましい。
【0022】それによって疎水性環境(空気中)では優
れた疎水性(撥水性)を示し、さらに親水性環境(水
中)に変化した後は優れた親水性に変化しうる環境応答
性含フッ素ポリマーでありうる。
【0023】本発明の環境応答性含フッ素ポリマーは、
前述の通り一般式(1) X−Rf−Y (1) (X、Rf、Yは前記と同じ)の不飽和基Xの部分を重
合して得られる含まれる含フッ素重合体からなるものが
好ましい。
【0024】式(1)中の親水性官能基は親水性を重合
体に与えるものであれば特に限定されないが、その具体
例は、 −COOM1[M1:水素原子、金属、
【0025】
【化2】
【0026】(R1、R2、R3、R4は同一または互いに
異なる水素原子または炭化水素基)から選ばれるも
の]、−SO32(M2は水素原子または金属)または
−OHが好ましく選ばれる。式(1)における不飽和基
Xは、エチレン性不飽和基であることが好ましく、他の
エチレン性単量体、含フッ素エチレン性単量体と共重合
可能となる。
【0027】式(1)中の疎水性の2価の含フッ素有機
基−Rf−は、フッ素原子を有する効果により重合体に
疎水性(撥水性)を与える有機基であれば特に限定され
ないが、具体的には、含フッ素アルキレン基、含フッ素
オキシアルキレン基、エーテル結合を含む含フッ素アル
キレン基、エーテル結合を含む含フッ素オキシアルキレ
ン基から選ばれるものが好ましく、含フッ素重合体に疎
水性(撥水性)だけでなく、優れた耐熱性、耐薬品性を
与えうる。本発明の狙いである、疎水性部分と親水性部
分を併有する側鎖が運動して優れた環境応答を生ぜしめ
るためには、前記−Rf−は、炭素数が3以上、あるい
は炭素数と酸素数の合計が3以上であることが好まし
く、それによって前記側鎖の運動性が良好となり、重合
体に良好な環境応答性を与えうるものとなる。
【0028】またさらに−Rf−中には、酸素原子(エ
ーテル結合)を有することが好ましく、酸素原子を基点
に優れた運動性、回転性を有し、重合体により優れた環
境応答性を与えることができる。
【0029】PTFE、PFA、FEP、ETFE、P
VdFに代表される含フッ素重合体は、耐熱性、耐候
性、耐薬品性、低摩擦性、非粘着性、防汚性に優れてい
るため、種々の用途に用いられている。
【0030】これらの含フッ素重合体に、本発明の、疎
水性部分と親水性部分とを併有する側鎖を導入すること
によって前記含フッ素重合体自体の性能を著しく低下さ
せないで環境応答性を与えることができ、それによって
他素材との接着性やブレンド性といった新たな機能を付
与したり、防汚性や非粘着性、低摩擦性といった含フッ
素重合体の従来の機能をさらに向上させたりすることが
できる。
【0031】本発明の環境応答性含フッ素ポリマーの好
ましい具体例としては、 (a−1):CX1 2=CX2−Rf−Y (2) (式中、Rfは前記と同じ、X1、X2は同じかまたは異
なりいずれも水素原子またはフッ素原子) (b−1):前記(a−1)の親水性官能基を有さない
含フッ素エチレン性単量体を共重合してなる重合体から
なるものである。
【0032】また、含フッ素重合体に環境応答性を有す
る側鎖を与えうる親水性基含有含フッ素単量体(a−
1)の具体例としては、式(3): CF2=CF−Rf 1−Y (3) [式中、Yは前記と同じ、Rf 1は2価の含フッ素アルキ
レン基またはORf 2(Rf 2は2価の含フッ素アルキレン
基またはエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン
基)を表わす]、式(4): CF2=CFCF2−ORf 3−Y (4) [式中、Yは前記と同じ、Rf 3は2価の含フッ素アルキ
レン基またはエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキ
レン基を表わす]、式(5): CH2=CFCF2−Rf 4−Y (5) [式中、Yは前記と同じ、Rf 4は2価の含フッ素アルキ
レン基、またはORf 5(Rf 5は含フッ素アルキレン基ま
たはエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン基)
を表わす]または式(6): CH2=CH−Rf 6−Y (6) [式中、Yは前記と同じ、Rf 6は2価の含フッ素アルキ
レン基]で示されるものなどがあげられる。
【0033】また式(2)〜(6)の含フッ素単量体の
親水性基Yは前述と同様COOM1(M1は前述のM1
同じ)、−SO32(M2は前述のM2と同じ)、−OH
などが好ましく、さらにRf、Rf 1〜Rf 6は炭素数が3
以上、または炭素数と酸素数の合計が3以上のものが好
ましい。
【0034】式(3)〜式(6)の親水性基含有含フッ
素エチレン性単量体が、親水性基を有さない含フッ素エ
チレン性単量体(b)との共重合性が比較的良好な点
で、また、共重合してえられた重合体の耐熱性や耐候
性、耐薬品性などを著しく低下させない理由で好まし
い。
【0035】これらのなかでも、親水性基を有さない含
フッ素エチレン性単量体(b)との共重合性や、えられ
た重合体の耐熱性の面より式(3)、式(5)の化合物
が好ましく、とくに式(5)の化合物が好ましい。
【0036】式(3)で示される親水性基含有含フッ素
エチレン性単量体として、さらに詳しくは
【0037】
【化3】
【0038】などが例示される。
【0039】式(4)で示される親水性基含有含フッ素
単量体としては、
【0040】
【化4】
【0041】などが例示される。
【0042】式(5)で示される親水性基含有含フッ素
単量体としては、
【0043】
【化5】
【0044】などが例示される。
【0045】式(6)で示される親水性基含有含フッ素
単量体としては、
【0046】
【化6】
【0047】などが例示される。
【0048】親水性基含有含フッ素エチレン性単量体
(a−1)と共重合する親水性基を含有しない含フッ素
エチレン性単量体(b−1)は公知の単量体より適宜選
択することができ、耐候性、耐熱性、防汚性、非粘着
性、耐薬品性、低摩擦性を重合体に与える。
【0049】具体的な含フッ素エチレン性単量体(b)
としては、テトラフルオロエチレン、式(7):CF2
=CF−Rf 7[Rf 7はCF3またはORf 8(Rf 8は炭素
数1〜5のパーフルオロアルキル基)を表わす]、クロ
ロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、フ
ッ化ビニル、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオ
ロイソブテン、
【0050】
【化7】
【0051】(式中、X3は水素原子、塩素原子または
フッ素原子から選ばれる、nは1〜5の整数)などがあ
げられる。
【0052】また、親水性基含有含フッ素エチレン性単
量体(a−1)と前記親水性基を有さない含フッ素エチ
レン性単量体(b−1)に加えて、耐候性、耐熱性や、
防汚性、非粘着性を低下させない範囲でフッ素原子を有
さないエチレン性単量体を共重合してもよい。このばあ
いフッ素原子を有さないエチレン性単量体は、耐候性、
耐熱性を低下させないためにも炭素数5以下のエチレン
性単量体から選ぶことが好ましく、具体的にはエチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテンなどがあげら
れる。
【0053】前記環境応答性含フッ素ポリマーは前述の
親水性基含有含フッ素エチレン性単量体(a−1)と、
親水性基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b−
1)とを周知の重合方法で共重合することによって得る
ことができる。その中でも主としてラジカル共重合によ
る方法が用いられる。すなわち重合を開始するには、ラ
ジカル的に進行するものであれば手段は何ら制限されな
いが、たとえば有機、無機ラジカル重合開始剤、熱、光
あるいは電離放射線などによって開始される。重合の種
類も溶液重合、バルク重合、懸濁重合、乳化重合などを
用いることができる。また、分子量は、重合に用いるモ
ノマーの濃度、重合開始剤の濃度、連鎖移動剤の濃度、
温度によって制御される。生成する共重合体の組成は、
仕込みモノマーの組成によって制御可能である。それに
よって例えば、公知のPTFFやPFA、FEP、ET
FE、PVdF、VdF共重合体などのフッ素樹脂や、
VdF系、TFE系のフッ素ゴムにも本発明の環境応答
性を与えることができる。
【0054】以上に説明した環境応答性含フッ素ポリマ
ーは基材に適用するための材料として種々の形態をとり
うる。代表的には塗料用材料またはフィルム状材料の形
態があげられるが、成形品の形態としてもよい。それに
よって基材におよび基材を含む複合材に、または成形品
表面に優れた環境応答性を与えうるものである。
【0055】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明を説明するがこ
れらのみに制限されるものではない。
【0056】なお含フッ素重合体へ疎水性の含フッ素有
機基と親水性基とを併有する側鎖を導入する方法とし
て、以下の式(8)、(9)で示される単量体を共重合
する方法を代表例としてあげた。以下の製造例におい
て、下記単量体を用いての環境応答性含フッ素ポリマー
の合成例を示す。
【0057】式(8):パーフルオロ−(9,9−ジハ
イドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジ
オキサ−8−ノネイック酸)
【0058】
【化8】
【0059】式(9):パーフルオロ−(1,1,9,
9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル
−3,6−ジオキサ−8−ノネノール)
【0060】
【化9】
【0061】製造例1 (カルボキシル基を有するPVdFの合成とフィルムの
作製)撹拌機、バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた3
リットル、SUS製オートクレーブに純水1500m
l、パーフルオロクタン酸アンモニウム1.5gを入
れ、窒素ガスで充分置換した後真空に保った。
【0062】ついでパーフルオロ−(9,9−ジハイド
ロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキ
サ−8−ノネイック酸)(式(8)の化合物)の17.
8g、酢酸エチル3.0gを窒素ガスを用いて圧入し系
内の温度を60℃に保った。
【0063】撹拌を行いながらビニリデンフルオライド
ガス(VdF)を内圧が30kgf/cm2Gとなるよ
うに圧入した。
【0064】ついで過流酸アンモニウム0.6gを水
5.0gに溶かした溶液を窒素を用いて圧入して反応を
開始した。
【0065】重合反応の進行に伴って圧力が低下するの
で、29kgf/cm2Gまで低下した時点でビニリデ
ンフルオライドガスで30kgf/cm2Gまで再加圧
し、降圧、昇圧を繰り返した。
【0066】ビニリデンフルオライドガスの供給を続け
ながら、重合開始より、ビニリデンフルオライドガスが
約75g消費されるごとに、前記のカルボキシル基を有
する含フッ素エチレン性単量体(式(8)で示される化
合物)の8.5gを計6回(計51g)圧入して重合を
継続し、重合開始よりビニリデンフルオライドが450
g消費された時点で供給を止めオートクレーブを冷却
し、未反応モノマーを放出し、半透明の水性分散体20
06gを得た。えられた水性分散体中のポリマーの濃度
は23.3%、動的光散乱法で測定した粒子径は61.
5nmであった。
【0067】また、えられた分散体を凍結により凝析
し、析出したポリマーを洗浄、乾燥し白色固体440g
を得た。
【0068】えられた共重合体の組成は、19F−NMR
によりVdF/式(8)で示されるカルボキシル基を有
する含フッ素エチレン性単量体=98.7/1.3(モ
ル%)であった。
【0069】また赤外スペクトルは1775cm-1
【0070】
【化10】
【0071】の、2800〜3400cm-1に−OHの
特性吸収が観測された。
【0072】DSC分析により融点(Tm)=167℃
が、DTGAにより分解開始点=251℃が、1%熱分
解温度(Td)=317℃が観測された。DMFを溶媒
に用いたGPC分析によれば、数平均分子量(Mn)が
154000、重量平均分子量(Mw)が316000
であった。
【0073】上記でえた白色粉末を100mmφの金型
に入れ200℃に設定したプレス機にセットし予熱を3
0分間行ったのち45kgf/cm2で30秒間圧縮成
形を行い、厚さ0.5mmのカルボキシル基を有するP
VdFフィルムを作製した。
【0074】製造例2 (カルボキシル基を有するPVdFの合成とフィルムの
作製)撹拌機、バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた3
リットル、SUS製オートクレーブに純水1500m
l、パーフルオロオクタン酸アンモニウム1.5gを入
れ、窒素ガスで充分置換した後真空に保った。
【0075】ついでパーフルオロ−(9,9−ジハイド
ロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキ
サ−8−ノネイック酸)(式(8)の化合物)の51.
4g、酢酸エチル3.0gを窒素ガスを用いて圧入し系
内の温度を60℃に保った。撹拌を行いながらビニリデ
ンフルオライドガス(VdF)を内圧が30kgf/c
2Gとなるように圧入した。
【0076】ついで過流酸アンモニウム0.6gを水
5.0gに溶かした溶液を窒素を用いて圧入して反応を
開始した。
【0077】重合反応の進行に伴って圧力が低下するの
で、29kgf/cm2Gまで低下した時点でビニリデ
ンフルオライドガスで30kgf/cm2Gまで再加圧
し、降圧、昇圧を繰り返した。
【0078】ビニリデンフルオライドガスの供給を続け
ながら、重合開始より、ビニリデンフルオライドガスが
約75g消費されるごとに、前記のカルボキシル基を有
する含フッ素エチレン性単量体(式(8)で示される化
合物)の30gを計8回(計240g)圧入して重合を
継続し、重合開始よりビニリデンフルオライドが600
g消費された時点で供給を止め、オートクレーブを冷却
し、未反応モノマーを放出し、半透明の水性分散体24
07gを得た。えられた水性分散体中のポリマーの濃度
は35.1%、動的光散乱法で測定した粒子径は78.
2nmであった。
【0079】また、えられた分散体を凍結により凝析
し、析出したポリマーを洗浄、乾燥し白色固体830g
を得た。
【0080】えられた共重合体の組成は、19F−NMR
によりVdF/式(8)で示されるカルボキシル基を有
する含フッ素エチレン性単量体=93.7/6.3(モ
ル%)であった。
【0081】また赤外スペクトルは1775cm-1
【0082】
【化11】
【0083】の、2800〜3400cm-1に−OHの
特性吸収が観測された。
【0084】DSC分析によりTm=164℃が、DT
GAにより分解開始点=232℃、1%熱分解温度(T
d)=294℃が観測された。DMFを溶媒に用いたG
PC分析によれば、数平均分子量が183000、重量
平均分子量が419000であった。
【0085】製造例1で得た白色粉末に代えて上記で得
たカルボキシル基を有するPVdFを用いた以外は製造
例1と同様にして圧縮成形を行い、厚さ0.5mmのカ
ルボキシル基を有するPVdFフィルムを作製した。
【0086】製造例3 (カルボン酸亜鉛塩を有するPVdFの合成とフィルム
の作製)製造例2で得たカルボキシル基含有PVdFと
酢酸亜鉛を用いて以下のようにしてカルボン酸亜鉛塩を
有するPVdFを作製した。
【0087】製造例2で得たカルボキシル基含有PVd
F70gを230℃に設定したブラベンダーミキサーを
用いて回転数10rpmで1分間溶融させた後、酢酸亜
鉛(Zn(CH3COO)2・2H2O)を6.3g加え
回転数40rpmで3分間混練した後、混合物を取り出
した。亜鉛による中和度をIR分析により以下のように
して測定した。
【0088】カルボキシル基が亜鉛の塩となるとIRス
ペクトルのカルボニル基
【0089】
【化12】
【0090】の吸収が1775cm-1→1685cm-1
にシフトする。
【0091】1685cm-1における吸光度をA1685
1775cm-1における吸光度をA1775として
【0092】
【数5】
【0093】の式に代入して中和度を計算したところ9
4%であった。
【0094】製造例1で得た白色粉末に代えて上記で得
たカルボン酸の亜鉛塩を有するPVdFを用いた以外
は、製造例1と同様にして圧縮成形を行い、厚さ0.5
mmのカルボン酸亜鉛塩を有するPVdFフィルムを作
製した。
【0095】製造例4 (親水性官能基を含まないPVdFの合成とフィルムの
作製)製造例1と同じSUS製オートクレーブに、純水
1500ml、パーフルオロオクタン酸アンモニウム
1.5g、酢酸エチル1.5gを加え、同様に窒素置換
後、系内を真空にし、60℃に保った。撹拌を行いなが
らビニリデンフルオライドガス(VdF)を内圧が30
kgf/cm2Gとなるように圧入した。
【0096】ついで過流酸アンモニウム0.6gを水
5.0gに溶かした溶液を窒素を用いて圧入して反応を
開始した。
【0097】製造例1と同様にして反応に伴ってビニリ
デンフルオライドを供給し、重合開始よりビニリデンフ
ルオライドが150g消費された時点で、供給を止め、
オートクレーブを冷却し、未反応モノマーを放出し半透
明の水性分散体1640gを得た。ポリマー濃度は9.
4%、粒子径は196nmであった。
【0098】この水性分散体に製造例1と同様な処理を
行い、145gの白色固体を得た。また白色固体を同様
にして分析したところ Tm:173℃ 1%熱分解温度:370℃ であった。
【0099】製造例1で得た白色粉末に代えて上記で得
たPVdF粉末を用いた以外は製造例1と同様にして圧
縮成形を行い、厚さ0.5mmの親水性官能基を有さな
いPVdFフィルムを作製した。
【0100】製造例5 (カルボキシル基を有するETFEの合成とフィルムの
作製)撹拌機、バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた6
リットルのガラスライニング製オートクレーブに純水1
500mlを入れ、窒素ガスで充分置換したのち、真空
にし、オクタフルオロシクロブタン(C−318)15
00gを仕込んだ。
【0101】ついで、パーフルオロ−(9,9−ジハイ
ドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオ
キシサ−8−ノネノイック酸)(式(8)の化合物)の
3.0g、パーフルオロ−(1,1,5−トリハイドロ
−1−ペンテン)5.7gを窒素ガスを用いて圧入し、
系内の温度を35℃に保った。
【0102】撹拌を行いながら内圧が9.0kgf/c
2Gとなるようあらかじめ混合してえたテトラフルオ
ロエチレン/エチレン(97:3モル%)混合ガスを圧
入した。ついで、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボ
ネートの50%メタノール溶液16gを窒素を用いて圧
入して反応を開始した。
【0103】重合反応の進行に伴って圧力が低下するの
で、8.5kgf/cm2Gまで低下した時点で別にあ
らかじめ混合してえたテトラフルオロエチレン/エチレ
ン(67:33モル%)混合ガスで9.0kgf/cm
2まで再加圧し、降圧、昇圧を繰り返した。
【0104】テトラフルオロエチレン/エチレン(6
7:33モル%)混合ガスの供給を続けながら、重合開
始からテトラフルオロエチレン/エチレン混合ガスが約
25g消費されるごとに、前記のカルボキシル基を有す
る含フッ素エチレン性単量体(前記式(8)で示される
化合物)の1.1gとパーフルオロ−(1,1,5−ト
リハイドロ−1−ペンテン)の0.9gを計10回圧入
して重合を継続し、重合開始よりテトラフルオロエチレ
ン/エチレンが約250g消費された時点で供給を止め
オートクレーブを冷却し、未反応モノマーおよびC−3
18を放出した。
【0105】えられた重合体を水洗、メタノール洗浄を
行なったのち、真空乾燥することにより200gの白色
固体(粉末)をえた。えられた共重合体の組成は19F−
NMR分析より、TFE/エチレン/パーフルオロ−
(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)/式
(8)で示されるカルボキシル基を有する含フッ素エチ
レン性単量体=64.7/33.1/1.3/0.9
(モル%)であった。また、赤外スペクトルは1780
cm-1
【0106】
【化13】
【0107】の、2800〜3400cm-1、3532
cm-1に−OH基の特性吸収が観測された。DSC分析
によりTm=220℃が、DTGA分析により分解開始
点=246℃が、1%減熱分解温度(Td)=330℃
が観測された。高化式フローテスターを用いて直径2m
m、長さ8mmのノズルを用い230℃で予熱5分間、
荷重5kgf/cm2でメルトフローレートを測定した
ところ3.2g/10minであった。
【0108】上記でえた白色粉末を100mmφの金型
に入れ230℃に設定したプレス機にセットし予熱を4
0分間行なったのち、70kgf/cm2で30秒間圧
縮成形を行ない、厚さ0.5mmのカルボキシル基を有
するETFEフィルムをえた。
【0109】製造例6 (ヒドロキシル基を有するETFEの合成とフィルムの
作製)撹拌機、バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた6
リットルのガラスライニング製オートクレーブに純水1
500mlを入れ、窒素ガスで充分置換したのち、真空
にし、オクタフルオロシクロブタン(C−318)15
00gを仕込んだ。
【0110】ついで、パーフルオロ−(1,1,9,9
−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−
3,6−ジオキサ−8−ノネノール)(式(9)の化合
物)の2.7g、パーフルオロ−(1,1,5−トリハ
イドロ−1−ペンテン)5.7gを窒素ガスを用いて圧
入し、系内の温度を35℃に保った。
【0111】撹拌を行いながら内圧が9.0kgf/c
2Gとなるようあらかじめ混合してえたテトラフルオ
ロエチレン/エチレン(97:3モル%)混合ガスを圧
入した。ついで、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボ
ネートの50%メタノール溶液16gを窒素を用いて圧
入して反応を開始した。
【0112】重合反応の進行に伴って圧力が低下するの
で、8.5kgf/cm2Gまで低下した時点で別にあ
らかじめ混合してえたテトラフルオロエチレン/エチレ
ン(65:35モル%)混合ガスで9.0kgf/cm
2まで再加圧し、降圧、昇圧を繰り返した。
【0113】テトラフルオロエチレン/エチレン(6
5:35モル%)混合ガスの供給を続けながら、重合開
始からテトラフルオロエチレン/エチレン混合ガスが約
22g消費されるごとに、前記のヒドロキシル基を有す
る含フッ素エチレン性単量体(前記式(9)で示される
化合物)の1.0gとパーフルオロ−(1,1,5−ト
リハイドロ−1−ペンテン)の0.9gを計10回圧入
して重合を継続し、重合開始よりテトラフルオロエチレ
ン/エチレンが約210g消費された時点で供給を止め
オートクレーブを冷却し、未反応モノマーおよびC−3
18を放出した。
【0114】えられた重合体を水洗、メタノール洗浄を
行なったのち、真空乾燥することにより187gの白色
固体(粉末)をえた。えられた共重合体の組成は19F−
NMR分析より、TFE/エチレン/パーフルオロ−
(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)/式
(9)で示されるヒドロキシル基を有する含フッ素エチ
レン性単量体)=64.0/33.4/1.8/0.8
(モル%)であった。また、赤外スペクトルは3650
〜3400cm-1に−OHの特性吸収が観測された。D
SC分析によりTm=216℃が、DTGA分析により
分解開始点=293℃が、1%熱分解温度(Td)=3
56℃が観測された。高化式フローテスターを用いて直
径2mm、長さ8mmのノズルを用い297℃で予熱5
分間、荷重5kgf/cm2でメルトフローレートを測
定したところ74g/10minであった。
【0115】上記でえた白色粉末を100mmφの金型
に入れ270℃に設定したプレス機にセットし予熱を3
0分間行なったのち、70kgf/cm2で1分間圧縮
成形を行ない、厚さ0.5mmのヒドロキシル基を有す
るETFEフィルムをえた。
【0116】製造例7 (官能基を含まないETFEの合成とフィルムの作製)
製造例6において、パーフルオロ−(1,1,9,9−
テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−
3,6−ジオキサ−8−ノネノール)(式(9)で示さ
れる化合物)を用いないこと以外は、製造例6と同様に
して合成を行ない官能基を含まないETFEの白色粉末
166gをえた。
【0117】製造例6と同様にして、えられたETFE
を分析したところ、 TFE/エチレン/パーフルオロ−(1,1,5−トリ
ハイドロ−1−ペンテン)=64.7/33.5/1.
8(モル%) Tm=226℃ Td=368℃ メルトフローレート=14g/10min であった。
【0118】上記でえた白色粉末を用いたこと以外は製
造例6と同様にして圧縮成形により厚さ0.5mmの官
能基を有さないETFEフィルムをえた。
【0119】製造例8 (ヒドロキシル基を有するPFAの合成とフィルムの作
製)撹拌機、バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた6リ
ットルのガラスライニング製オートクレーブに純水15
00mlを入れ、窒素ガスで充分置換したのち、真空に
し、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオ
ロエタン(R−114)1500gを仕込んだ。
【0120】ついで、パーフルオロ−(1,1,9,9
−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−
3,6−ジオキサ−8−ノネノール)(式(9)の化合
物)2.5g、パーフルオロ−(プロピルビニルエーテ
ル)(PPVE)132g、メタノール230gを窒素
を用いて圧入し、系内の温度を35℃に保った。
【0121】撹拌を行ないながらテトラフルオロエチレ
ンエチレンガス(TFE)を内圧が8.0kgf/cm
2Gとなるように圧入した。ついで、ジ−n−プロピル
パーオキシジカーボネートの50%メタノール溶液0.
5gを窒素を用いて圧入して反応を開始した。
【0122】重合反応の進行に伴って圧力が低下するの
で、7.5kgf/cm2Gまで低下した時点でテトラ
フルオロエチレンガスで8.0kgf/cm2まで再加
圧し、降圧、昇圧を繰り返した。
【0123】さらに、重合開始からテトラフルオロエチ
レンガスが約60g消費されるごとに前記のヒドロキシ
ル基を有する含フッ素エチレン性単量体(前記式(9)
で示される化合物)を1.23gずつ、計9回(計1
1.10g)圧入して重合を継続し、重合開始よりテト
ラフルオロエチレンが約600g消費された時点で供給
を止めオートクレーブを冷却し、未反応モノマーおよび
R−114を放出した。
【0124】えられた共重合体を水洗、メタノール洗浄
を行なったのち、真空乾燥することにより680gのヒ
ドロキシル基を有するPFAの白色固体をえた。えられ
た共重合体の組成は19F−NMR分析、IR分析により
TFE/PPVE/式(9)で示されるヒドロキシル基
を有する含フッ素エチレン性単量体=97.6/2.0
/0.4(モル%)であった。また、赤外スペクトルは
3620〜3400cm-1に−OHの特性吸収が観測さ
れた。DSC分析によりTm=310℃が、DTGA分
析により分解開始温度=368℃が、1%熱分解温度
(Td)=375℃が観測された。高化式フローテスタ
ーを用いて直径2mm、長さ8mmのノズルを用い、3
72℃で予熱5分間、荷重7kgf/cm2でメルトフ
ローレートを測定したところ42g/10minであっ
た。
【0125】上記でえた白色固体8.0gを100mm
φの金型に入れ350℃に設定したプレス機にセットし
予熱を30分間行ったのち、70kg/cm2で1分間
圧縮成形を行ない、厚さ0.5mmのヒドロキシル基を
有するPFAフィルムをえた。
【0126】製造例9 (ヒドロキシル基を有するPFAの合成とフィルムの作
製)撹拌機、バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた6リ
ットルのガラスライニング製オートクレーブに純水15
00mlを入れ、窒素ガスで充分置換したのち、真空に
し、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオ
ロエタン(R−114)1500gを仕込んだ。
【0127】ついで、パーフルオロ−(1,1,9,9
−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−
3,6−ジオキサ−8−ノネノール)(式(9)で示さ
れる化合物)の5.0g、パーフルオロ−(プロピルビ
ニルエーテル)(PPVE)130g、メタノール18
0gを窒素ガスを用いて圧入し、系内の温度を35℃に
保った。
【0128】撹拌を行いながらテトラフルオロエチレン
ガス(TFE)を内圧が8.0kgf/cm2Gとなる
ように圧入した。ついで、ジ−n−プロピルパーオキシ
ジカーボネートの50%メタノール溶液0.5gを窒素
を用いて圧入して反応を開始した。
【0129】重合反応の進行に伴って圧力が低下するの
で、7.5kgf/cm2Gまで低下した時点でテトラ
フルオロエチレンガスで8.0kgf/cm2まで再加
圧し、降圧、昇圧を繰り返した。
【0130】テトラフルオロエチレンの供給を続けなが
ら、重合開始からテトラフルオロエチレンガスが約60
g消費されるごとに、前記のヒドロキシル基を有する含
フッ素エチレン性単量体(前記式(9)で示される化合
物)の2.5gを計9回(計22.5g)圧入して重合
を継続し、重合開始よりテトラフルオロエチレンが約6
00g消費された時点で供給を止めオートクレーブを冷
却し、未反応モノマーおよびR−114を放出した。
【0131】えられた共重合体を水洗、メタノール洗浄
を行なったのち、真空乾燥することにより710gのヒ
ドロキシル基を有するPFAの白色固体をえた。えられ
た共重合体の組成は19F−NMR分析、IR分析により
TFE/PPVE/式(9)で示されるヒドロキシル基
を有する含フッ素エチレン性単量体=97.0/2.0
/1.0(モル%)であった。また、赤外スペクトルは
3620〜3400cm-1に−OHの特性吸収が観測さ
れた。DSC分析によりTm=305℃が、DTGA分
析により1%熱分解温度(Td)=375℃が観測され
た。高化式フローテスターを用いて直径2mm、長さ8
mmのノズルを用い、372℃で予熱5分間、荷重7k
gf/cm2でメルトフローレートを測定したところ3
2g/10minであった。
【0132】上記でえた白色固体を用いたこと以外は製
造例8と同様にして厚さ0.5mmのヒドロキシル基を
有するPFAフィルムをえた。
【0133】製造例10 (ヒドロキシル基を有するPFAの合成とフォルム作
製)撹拌機、バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた6リ
ットルのガラスライニング製オートクレーブに純水15
00mlを入れ、窒素ガスで充分置換したのち、真空に
し、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオ
ロエタン(R−114)1500gを仕込んだ。
【0134】ついで、パーフルオロ−(1,1,9,9
−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−
3,6−ジオキサ−8−ノネノール)(式(9)の化合
物の10.2g、パーフルオロ−(プロピルビニルエー
テル)(PPVE)130g、メタノール180gを窒
素ガスを用いて圧入し、系内の温度を35℃に保った。
【0135】撹拌を行ないながらテトラフルオロエチレ
ンガス(TFE)を内圧が8.0kgf/cm2Gとな
るように圧入した。ついで、ジ−n−プロピルパーオキ
シジカーボネートの50%メタノール溶液0.5gを窒
素を用いて圧入して反応を開始した。
【0136】重合反応の進行に伴って圧力が低下するの
で、7.5kgf/cm2Gまで低下した時点でテトラ
フルオロエチレンガスで8.0kgf/cm2まで再加
圧し、降圧、昇圧を繰り返した。
【0137】テトラフルオロエチレンの供給を続けなが
ら、重合開始からテトラフルオロエチレンガスが約60
g消費されるごとに、前記のヒドロキシル基を有する含
フッ素エチレン性単量体(前記式(9)で示される化合
物)の5.14gを計9回(計46.3g)圧入して重
合を継続し、重合開始よりテトラフルオロエチレンが約
600g消費された時点で供給を止めオートクレーブを
冷却し、未反応モノマーおよびR−114を放出した。
【0138】えられた重合体を水洗、メタノール洗浄を
行なったのち、真空乾燥することにより721gのヒド
ロキシル基を有するPFAの白色固体(粉末)をえた。
えられた共重合体の組成は19F−NMR分析、IR分析
によりTFE/PPVE/式(9)で示されるヒドロキ
シル基を有する含フッ素エチレン性単量体=97.6/
2.0/1.8(モル%)であった。また、赤外スペク
トルは3620〜3400cm-1に−OHの特性吸収が
観測された。DSC分析によりTm=311℃が、DT
GA分析により分解開始温度=368℃が、1%熱分解
温度(Td)=362℃が観測された。高化式フローテ
スターを用いて直径2mm、長さ8mmのノズルを用
い、372℃で予熱5分間、荷重7kgf/cm2でメ
ルトフローレートを測定したところ85g/10min
であった。
【0139】上記で得た白色固体を用いた以外は製造例
8と同様にして厚さ0.5mmのヒドロキシル基を有す
るPFAフィルムを得た。
【0140】製造例11 (官能基を含まないPFAの合成とフィルムの作製)製
造例8において、パーフルオロ−(1,1,9,9−テ
トラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,
6−ジオキサ−8−ノネノール)(式(9)で示される
化合物)を用いないこと、さらにメタノールを240g
使用すること以外は、製造例8と同様にして合成を行
い、官能基を含まないPFA597gをえた。
【0141】製造例8と同様にして、えられたPFAを
分析したところ TFE/PPVE=98.2/1.8(モル%) Tm=310℃ Td=469℃ メルトフローレート=24g/10min であった。
【0142】上記で得た白色固体を用いた以外は、製造
例8と同様にして厚さ0.5mmの官能基を有さないフ
ィルムを得た。
【0143】実施例1〜8(環境応答性含フッ素ポリマ
ーの動的接触角測定)Wilhelmy法による動的接触角測定の原理 図2〜5にWilhelmy法の測定原理を示す。図2
において、ロードセル(図示されていない)から下げら
れたクリップ(図示されていない)に試料板5を取り付
けたときにロードセルにかかる荷重Fは式(I)で示さ
れる。
【0144】 F=Mg (I) ここで、Mは試料板の質量、gは重力加速度である。こ
のとき、下から表面張力が既知の液体6の入った容器
(図示されていない)を一定速度で上昇させて、液体6
が試料板5の下部に接触した瞬間(図3に示す)のFは
次式(II)で示される。
【0145】 F=Mg+PγLCOSθ (II) ここで、Pは試料板5の周囲長(P=2(t+w))
(図5参照)、γLは液体6の表面張力、θは液体6の
試料板5の表面に対する接触角である。さらに容器を上
昇させると試料板5の一部は液中に沈み浮力(F)が
作用したとき(図4に示す)、Fは式(III) F=Mg+PγLCOSθ−F (III) となる。試料板5を取り付けた状態でロードセルの零点
調整を行っておけば式(II)は、次式(IV) F=PγLCOSθ (IV) と表わせ、これより接触角(θ)が求められる。ここ
で、液体の試料板に対する濡れがよく、θが0の場合は
COSθ=1となり、γL=F/Pより液体の表面張力
が求まる。これがいわゆるWilhelmy法による表
面張力の測定法である。また試料板5を液体6に沈める
過程で得られる接触角は前進接触角(Advancin
g Contact Angle,θA)、引きあげる
過程で得られる接触角は後退接触角(Receding
Contact Angle,θR)と呼ばれる。こ
のとき、ヒステリシス(Δθ)は(θA−θR)で表わさ
れる。
【0146】(動的接触角の測定)測定は上記原理に基
づいた、動的漏れ性試験機((株)レスカ製WET−6
000を用いて測定した。製造例1〜3、5、6、8〜
10で得たそれぞれのフィルムを10mm×40mm×
0.5mmの形状に切り取り、n−ヘキサンで洗浄し
た。その前処理サンプルをサンプルホルダー(ロードセ
ルのクリップ)に取り付け、浸漬深さ18mm、浸漬速
度0.5mm/秒の条件でイオン交換水中、25℃の条
件で前進接触角(θA)、後退接触角(θR)およびヒス
テリシス(Δθ)を測定した。結果を表1に示す。
【0147】比較例1〜3 製造例4、7、11で作製した官能基を有さない含フッ
素重合体フィルムを用いた以外は実施例1と同様にして
動的接触角の測定を行った。結果を表1に示す。
【0148】
【表1】
【0149】以上の結果より、疎水性部分(−CF2
C−(CF3)FCF2OC−(CF3)F−)と親水性
部分(−COOH、−CH2OH)を併有する側鎖を導
入することによって、良好な環境応答性を有することが
わかる。
【0150】
【発明の効果】本発明の含フッ素ポリマーは優れた環境
応答性を有しさらに含フッ素ポリマー本来の優れた性能
を併せもつことができるため、繊維、皮革用汚れ離脱性
を有する撥水性撥油剤、内外装用の塗料、抗血栓性を有
する医用材料、耐水性、耐熱性などを有する接着剤、エ
ンプラなどのアロイ用の相溶化剤などに利用できる。
【0151】特にフッ素樹脂が本来もつ耐候性を利用し
て、外装用塗料として利用した場合、特に、雨などによ
って汚れが除去できるという優れた防汚性塗料として利
用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の環境応答性含フッ素ポリマーの環境応
答性の原理を説明する概略図である。
【図2】本発明において用いるWilhelmy法の測
定原理を説明するための概略図(空気中)である。
【図3】本発明において用いるWilhelmy法の測
定原理を説明するための概略図(液面に接したとき)で
ある。
【図4】本発明において用いるWilhelmy法の測
定原理を説明するための概略図(液→空気)である。
【図5】本発明において用いるWilhelmy法の試
料板の概略斜視図である。
【符号の説明】
1 被験物 2 親水性基 3 マトリックスポリマー 4 疎水性Rf基 5 試料板 6 液体

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1つの側鎖中に疎水性部分と親水性部分
    とを併有してなる側鎖を有する含フッ素重合体におい
    て、その重合体表面がさらされる環境が疎水性環境から
    親水性環境に、または、親水性環境から疎水性環境に変
    化することによって重合体表面の前記の側鎖が運動する
    こと、その結果、含フッ素重合体表面が、疎水性環境に
    おいては疎水性に、親水性環境においては、親水性に変
    化することを特徴とする環境応答性含フッ素ポリマー。
  2. 【請求項2】 含フッ素重合体表面が空気中においては
    撥水性に、水中においては親水性に変化する請求項1の
    環境応答性含フッ素ポリマー。
  3. 【請求項3】 1つの側鎖中に疎水性部分と親水性部分
    とを併有してなる側鎖を有する含フッ素重合体が、重合
    性の不飽和基Xと親水性を与えうる官能基Yとが疎水性
    の2価の含フッ素有機基−Rf−を介して結合した一般
    式(1) X−Rf−Y (1) の含フッ素化合物を不飽和基Xの部分で重合して得られ
    るユニットを含む含フッ素重合体である請求項1または
    2の環境応答性含フッ素ポリマー。
  4. 【請求項4】 1つの側鎖中に疎水性部分と親水性部分
    とを併有してなる側鎖を有する含フッ素重合体が、下記
    (A)で示される含フッ素重合体である請求項1〜3の
    いずれかに記載の環境応答性含フッ素ポリマー。 (A)(a):式(1)で示される含フッ素化合物と、 (b):(a)と共重合可能な少なくとも1種のエチレ
    ン性不飽和単量体とを重合してなる含フッ素重合体。
  5. 【請求項5】 前記含フッ素重合体(A)の単量体組成
    において、含フッ素化合物(a)を用いずに前記単量体
    (b)を重合してなる重合体を重合体(B)としたと
    き、前記1つの側鎖中に疎水性部分と親水性部分とを併
    有してなる側鎖を有する含フッ素重合体(A)のWil
    helmy平板法に基づく動的接触角測定でえられるヒ
    ステリシスと重合体(B)のヒステリシスの関係が、 【数1】 であることを特徴とする請求項4記載の環境応答性含フ
    ッ素ポリマー。
  6. 【請求項6】 1つの側鎖中に疎水性部分と親水性部分
    とを併有してなる側鎖を有する含フッ素重合体(A)の
    ヒステリシスと重合体(B)のヒステリシスの関係が、 【数2】 であることを特徴とする請求項5記載の環境応答性含フ
    ッ素ポリマー。
  7. 【請求項7】 式(1)で示される含フッ素化合物にお
    いて、親水性を与えうる官能基Yが、 −COOM1[M1:水素原子、金属、 【化1】 (R1、R2、R3、R4は同一または互いに異なる水素原
    子または炭化水素基)から選ばれるもの]、−SO32
    (M2は水素原子または金属)または−OHから選ばれ
    る請求項3〜6のいずれかに記載の環境応答性含フッ素
    ポリマー。
  8. 【請求項8】 式(1)で示される含フッ素化合物にお
    いて重合性の不飽和基Xがエチレン性不飽和基である請
    求項3〜6のいずれかに記載の環境応答性含フッ素ポリ
    マー。
  9. 【請求項9】 式(1)で示される含フッ素化合物にお
    いて疎水性の2価の含フッ素有機基−Rf−が含フッ素
    アルキレン基、含フッ素オキシアルキレン基、エーテル
    結合を含む含フッ素アルキレン基、エーテル結合を有す
    る含フッ素オキシアルキレン基から選ばれるものである
    請求項3〜6のいずれかに記載の環境応答性含フッ素ポ
    リマー。
  10. 【請求項10】 式(1)で示される含フッ素化合物に
    おいて、疎水性の2価の含フッ素有機基−Rf−が炭素
    数と酸素数の合計が3以上である請求項9記載の環境応
    答性含フッ素ポリマー。
  11. 【請求項11】 1つの側鎖中に疎水性部分と親水性部
    分とを併有してなる側鎖を有する含フッ素重合体(A)
    が、 (a−1):CX1 2=CX2−Rf−Y (2) (式中、RfとYは前記と同じ、X1、X2は同じかまた
    は異なりいずれも水素原子またはフッ素原子) (b−1):前記(a−1)の親水性官能基を有さない
    含フッ素エチレン性単量体を共重合してなる重合体から
    なる請求項4〜10のいずれかに記載の環境応答性含フ
    ッ素ポリマー。
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