JPH11116295A - セメント系無機質材補強用炭素繊維およびその製造方法 - Google Patents

セメント系無機質材補強用炭素繊維およびその製造方法

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JPH11116295A
JPH11116295A JP9272690A JP27269097A JPH11116295A JP H11116295 A JPH11116295 A JP H11116295A JP 9272690 A JP9272690 A JP 9272690A JP 27269097 A JP27269097 A JP 27269097A JP H11116295 A JPH11116295 A JP H11116295A
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cement
fiber
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哲幸 京野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】セメント系無機質材中で繊維束の分散性を向上
させ、かつ、セメント系無機質材との接着性に優れたセ
メント系無機質材補強用炭素繊維およびそれを使った炭
素繊維補強セメント系無機質材成形物を提供し、さら
に、吹き付け成形時、カットされた繊維束がより小さい
繊維束に分離、分散でき、成形物の補強効果が上がり、
曲げ強度が向上するセメント系無機質材補強用炭素繊維
の製造方法を提供する。 【解決手段】繊維束の扁平度が3以上500以下で、そ
の交絡度が1以上25以下であることを特徴とするセメ
ント系無機質材補強用炭素繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セメント系無機質
材補強用炭素繊維と炭素繊維補強セメント系無機質材成
形物およびその製造方法に関するものである。さらに詳
しくは、セメント系無機質材中での繊維の分散性が優
れ、力学的特性に優れたセメント系無機質材成形物を提
供するセメント系無機質材補強用炭素繊維とその製造方
法および該炭素繊維によって補強されたセメント系無機
質材製部材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、炭素繊維はそのすぐれた力学的性
質、特にすぐれた比強度および比弾性率を利用した複合
材料の補強繊維として工業的に広く利用され、セメント
類を用いた建築構造物、土木材料などにも広く利用され
つつある。
【0003】一般的に炭素繊維は、エポキシ樹脂に代表
される熱硬化性樹脂の補強用に処理されているのでセメ
ント系無機質材中での分散性が悪く、セメント系無機質
材をマトリックスとしたものでは炭素繊維の優れた特徴
である高強度、高弾性率という性質が十分発揮されてい
ない。
【0004】すなわち、炭素繊維の多くはエポキシ系サ
イジング剤が付与され、十分な集束性を有するためにセ
メント系無機質材中での繊維の分散性が良くない。
【0005】そこで、炭素繊維のセメント系無機質材の
補強効果を高めるための手段として特開平6−1665
54号公報には、メソフェーズピッチ系炭素繊維のモノ
フィラメント100〜1000本の集合体からなるスト
ランドにサイジング剤を付与し、このストランド5〜1
00本を一つの集合体としたコンクリート補強用炭素繊
維が提案されている。
【0006】ピッチ系炭素繊維の場合、通常の製造プロ
セスによって、単繊維本数が100〜1000本の集合
体を製造できるが、モルタルに投入して混合するとき
に、剪断応力により繊維が脆いため破断して短くなり、
成形物の曲げ強度はポリアクリロニトリル系炭素繊維に
比べると低い。
【0007】また、特開平6−166553号公報、特
開平6−166554号公報では、炭素繊維表面にポリ
エーテルエステル系、ポリオキシアルキレンビスフェノ
ールエーテルからなるサイジング剤を付与することによ
り、解舒性が良好となり、セメントとの接着性に優れ、
かつダイレクトスプレーガンに対する工程通過性がよい
上、曲げ強度の高いセメント複合体を提供するものが開
示されている。
【0008】しかし、ポリエーテルエステル系、ポリオ
キシアルキレンビスフェノールエーテルを付与した炭素
繊維は、ダイレクトスプレーガンに対する工程通過性は
良いが、繊維の集束性が良すぎて、より細かい繊維束に
分散しにくく、炭素繊維による十分な補強効果を発揮で
きないという欠点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、従
来の上述した問題点を解決し、セメント系無機質材中で
繊維束の分散性を向上させ、かつ、セメント系無機質材
との接着性に優れたセメント系無機質材補強用炭素繊維
およびそれを使った炭素繊維補強セメント系無機質材成
形物を提供するにある。
【0010】また、この発明の他の目的は、吹き付け成
形時、カットされた繊維束がより小さい繊維束に分離、
分散でき、成形物の補強効果が上がり、曲げ強度が向上
するセメント系無機質材補強用炭素繊維の製造方法を提
供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成
するために、この発明は、次の構成からなる。すなわ
ち、繊維束の扁平度が3以上500以下で、その交絡度
が1以上25以下であることを特徴とするセメント系無
機質材補強用炭素繊維である。
【0012】また、炭素繊維にサイジング剤として水を
付着せしめた後、温度70〜250℃に加熱したローラ
の表面に接触通過させることによって水分の一部を除去
しながら繊維形態をテープ状に扁平化して芯材に巻き上
げること、またはサイジング剤として下記一般式〔1〕
で示される化合物を付着せしめた後、温度70〜250
℃に加熱したローラの表面に接触通過させることによっ
て水分の一部を除去しながら繊維形態をテープ状に扁平
化し、次いで温度70〜250℃の乾燥機内を通過させ
て残水分を除去し繊維形態を固定した後、芯材に巻き上
げることによって製造できる。
【0013】R1 O−POA−R2 …〔1〕 (ここで、POA:炭素数2〜4の少なくとも1種類以
上のアルキレンオキサイドからなるポリオキシアルキレ
ン、R1 :アルキル基、アリール基、アルキルアリール
基、アルケニル基のいずれか1種、R2 :アルキル基、
アリール基、アルキルアリール基、アルケニル基のいず
れか1種または水素原子)。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の炭素繊維は、繊維束の扁
平度が3以上500以下で、その交絡度が1以上25以
下であることを特徴とするセメント系無機質材補強用炭
素繊維である。
【0015】本発明の炭素繊維は、モルタルと同時に吹
き付け成形する際、繊維の分散性が良くなり、モルタル
の補強効果を向上させる。
【0016】繊維束の扁平度が3より小さくなると圧縮
空気の抵抗を受けにくくなり、繊維束がより小さい繊維
束に分離しにくく、分散性が悪くなる。また、扁平度が
500を超えると、ボビンからの解舒性が悪く、繊維の
集束性が悪い上に圧縮空気の抵抗を大きく受けすぎて吹
き付け時ファイバーボール状になり、分散斑が原因でモ
ルタルの補強効果が低下する。繊維束のより好ましい扁
平度は、5〜100である。繊維束の扁平度は、次式で
求められる。
【0017】扁平度=W/T ただし、T:繊維束の厚み、W:繊維束の幅 さらに、その繊維束の交絡度は1以上25以下である。
1より低いと繊維の集束性が悪く開繊しやすくなり、ボ
ビンからの解舒性が悪く、糸切れ、吹き付け時のファイ
バーボール、ガン内での詰まりの原因となる。逆に、繊
維の交絡度が25を超えると集束性が強すぎて吹き付け
た際、繊維束がより小さい繊維束に分離しにくく、分散
性が低下し、モルタルの補強効果が低下するため成形物
の曲げ強度が低下する。繊維束のより好ましい交絡度
は、1以上10以下である。
【0018】繊維束の交絡度は、JIS−L1013化
学繊維フィラメント糸試験方法の交絡度測定方法に準じ
て測定した。その測定方法は、試料の一端を適当な性能
を有する垂下装置の上部つかみ部に取り付け、つかみ部
より1m下方の位置に荷重(100gf)を吊り下げ、
試料を垂直に垂らす。試料の上部つかみ部より1cm下
部の点に糸束を2分割するようにフック(直径1mmの
針金状)を挿入する。フックの他端には所定の荷重(1
0gf)を取り付け、約2cm/秒の速度でフックを下
降させる。フックが糸の絡みにより停止した点までのフ
ックの下降距離を求め、次式により求める。試験回数は
50回とし、その平均値で表す。
【0019】交絡度=L/1000 L:フックが下降した距離(mm) 本発明の炭素繊維は、繊維の水中沈降時間が1秒以上3
0秒以下であることが好ましい。詳しくは、深さ10c
m、温度25℃の水の表面に長さ25cmの繊維束を置
いた時点から自然沈降で底に着くまでの時間を測定し、
沈降時間が1秒以上30秒以下であるセメント系無機質
材補強用炭素繊維である。水中沈降時間が30秒を超え
ると水との馴染みが悪く、結果的にモルタルとの馴染み
が悪くなり、繊維束の中にセメント粒子が入りにくく、
モルタルとの接触面積が小さくなり、補強効果が低下す
る。より好ましくは水中沈降時間が4秒以上15秒以下
が良い。
【0020】さらに本発明の炭素繊維は、繊維束を圧力
0.1MPa以上1MPa以下、好ましくは圧力0.1
MPa以上0.3MPa以下の圧縮空気で型枠に吹き付
けたとき繊維の拡散面積が50cm2 以上400cm2
以下であることが好ましい。圧縮空気の圧力が1MPa
を超えると吹き付けた繊維が不規則に分離分散し、型枠
からはみ出る繊維束が発生するため正確な評価ができな
い。また、圧力が0.1MPaより低いと吹き付けるす
べての繊維が分離しないため、分散性の正確な評価がで
きない。
【0021】また、繊維束を圧力0.1MPa以上1M
Pa以下の圧縮空気で型枠に吹き付けたとき繊維の拡散
面積が50cm2 より低いと繊維の集束性が強いため、
繊維は分離分散しにくく、モルタルとの接触面積が小さ
くなり、繊維束の中にセメント粒子が入り込みにくくな
り、補強効果が低下する。逆に繊維の拡散面積が500
cm2 を超えると繊維束の分散斑が発生し、均等に分散
させることが難しく、成形物の強度が低下する。
【0022】繊維の拡散面積とは、固定したダイレクト
スプレー装置で1辺が100cmの鉄板の周囲を高さ2
cmの角材で囲んだ鉄製型枠(容器)に0.1MPa以
上1MPa以下の圧縮空気で繊維束とモルタルを同時に
円形ノズルで50cmの高さから垂直真下の鉄製型枠面
中央部に吹き付けると繊維とモルタルが一緒に円状に拡
散付着するが、その時の最外周に存在する繊維間距離
(直径)を測定し、円の面積(πr2 )として計算した
ものである。
【0023】本発明の炭素繊維束に付着させるサイジン
グ剤は、水および/または分子量が100〜600のポ
リエチレングリコールであることが好ましい。付着させ
る水は安価でモルタルの水と馴染みやすいため、モルタ
ル中で繊維の分散性が良くなる。また、ポリエチレング
リコールも安価で水との馴染みが良いことから、モルタ
ルとの馴染みが良く、繊維の集束性が良いことから扁平
糸の形態保持性が良い。
【0024】ポリエチレングリコールは、単独または水
で希釈して用いても良い。サイジング剤としての水は、
通常の飲料水、地下水、イオン交換水、フィルター濾過
水等いずれでも良い。サイジング剤の付着量は、0.1
〜20重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好
ましい。0.1重量%未満になるとダイレクトスプレー
法での工程通過性が悪くなり、スプレーガン内で繊維束
が開繊するため詰まりが発生する。また、吹き付けても
繊維束の集束性が弱いためファイバーボール状になり、
繊維の分散性が悪く、成形物の強度が低下する。付着量
が20重量%を越えると繊維の水分率が高いため、集束
性が強くなり、スプレーガンで吹き付けた時、繊維束が
より小さい繊維束に分離せず元の繊維束の状態でモルタ
ル中に存在し、繊維束の分散性が著しく悪くなり、成形
物の強度が低下するため好ましくない。水には他に平滑
剤、柔軟剤、希釈剤等の添加剤を加えるとより好まし
い。
【0025】ポリエチレングリコールは、100〜40
0の分子量が好ましい。分子量が100より小さいと繊
維の集束性が不足し、繊維束が開繊してスプレーガン内
での詰まりが発生する。また、400より大きいと繊維
の集束性が強くなりすぎて繊維の分散性が低下し、セメ
ント補強効果が悪くなる。ポリエチレングリコールの付
着量は0.1〜20重量%であることが好ましい。より
好ましい付着量は、0.5〜10重量%である。付着量
が0.1重量%未満になるとダイレクトスプレー法での
工程通過性が悪くなり、スプレーガン内で繊維束が開繊
するため詰まりが発生する。また、吹き付けても繊維束
の集束性が弱いためファイバーボール状になり、繊維の
分散性が悪く、成形物の強度が低下する。付着量が20
重量%を越えると集束性が強くなり、スプレーガンで吹
き付けた時、繊維束がより小さい繊維束に分離せず元の
繊維束の状態でモルタル中に存在し、繊維束の分散性が
著しく悪くなり、成形物の強度が低下するため好ましく
ない。
【0026】本発明の炭素繊維束は、下記一般式〔1〕
で示される化合物であることを特徴とするサイジング剤
が付着しているセメント系無機質材補強用炭素繊維であ
る。 R1 O−POA−R2 …〔1〕 (ここで、POA:炭素数2〜4の少なくとも1種類以
上のアルキレンオキサイドからなるポリオキシアルキレ
ン、R1 :アルキル基、アリール基、アルキルアリール
基、アルケニル基のいずれか1種、R2 :アルキル基、
アリール基、アルキルアリール基、アルケニル基のいず
れか1種または水素原子)。
【0027】上記した一般式〔1〕で示した化合物から
なるサイジング剤を付着させた炭素繊維は、セメントと
の親和性、分散性、集束性にすぐれている。一般式
〔1〕に示す化合物の基本構造は、ポリオキシアルキレ
ン構造であり繊維の集束性、分散性、セメントとの親和
性を向上させる。一般式〔1〕においてPOAは、炭素
数2〜4のアルキレンオキサイドが単独で繰り返してな
るポリオキシアルキレンでも良く、炭素数2〜4のアル
キレンオキサイドが少なくとも1種類以上のアルキレン
オキサイドが共重合されてなるポリオキシアルキレンで
も良い。
【0028】一般式〔1〕においてPOAが単独のアル
キレンオキサイドからなる場合、エチレンオキサイド
(以下、「EO」と略記する場合がある。)またはプロ
ピレンオキサイド(以下、「PO」と略記する場合があ
る。)が好ましく、EO単独がより好ましい。その繰り
返し数は、4〜100の範囲が好ましく、より好ましく
は4〜50が良い。nが2より小さいと、親水性が悪く
モルタルとの馴染みが悪くなる。また、100より大き
いと繊維の集束性が良すぎて吹き付け成形時、繊維の分
散性が悪くなり補強効果が低下する。
【0029】一般式〔1〕においてPOAが単独のアル
キレンオキサイドからなる場合、一般式〔1〕のR1
アルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはア
ルケニル基のいずれか1種を用いることができるが、ア
ルキル基としては、炭素数8〜20のアルキル基が好ま
しく代表的なものとしてオクチル基、デシル基、ドデシ
ル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基などを挙げ
ることができ、中でもブチル基がサイジング剤の溶解
性、繊維の分散性、平滑性が良好であるため好ましい。
アリール基の代表的なものとしてフェニル基、ナフチル
基が挙げられる。さらに、アルキルアリール基として
は、炭素数6〜20のアルキル基を有するものが好まし
く、代表的なものとしてノニルフェニル基、ドデシルフ
ェニル基、ラウリルフェニル基、オクチルフェニル基な
どを挙げられる。中でもノニルフエニル基が繊維の分散
性および平滑性が良好であるため好ましい。
【0030】さらに、アルケニル基としては炭素数6〜
20のものが好ましく、代表的なものとしてオレイル基
が好ましい。また、一般式〔1〕のR2 はアルキル基、
アリール基、アルキルアリール基もしくはアルケニル基
のいずれか1種または水素原子であるが水素原子が好ま
しく用いられる。なお、アルキル基としては、炭素数8
〜20のアルキル基が好ましい。また、アリール基の代
表的なものとしてフエニル基、ナフチル基等が挙げられ
る。さらに、アルキルアリール基としては炭素数6〜2
0のアルキル基を有するものが好ましく、代表的なもの
としてノニルフェニル基ドデシルフェニル基、ラウリル
フェニル基、オクチルフェニル基等が挙げられる。さら
にアルケニル基としては炭素数6〜20のものが好まし
く、代表的なものとしてオレイル基が好ましい。
【0031】一方、一般式〔1〕のPOAが共重合物か
らなる場合、その結合形態としては、ブロツクまたはラ
ンダム配列が好ましく、より好ましくはランダム配列が
良い。ランダム配列させると水溶解性が向上する他、モ
ルタル成形時泡立ちが少ないため成形物中の気泡量が少
なく、かつ親水性が向上するため単繊維の間にセメント
粒子が入り込み成形物の曲げ強度が向上するので特に好
ましい。好ましくは、一般式〔1〕において、POA
が、C2 〜C4 のアルキレンオキサイド単独からなるポ
リオキシアルキレンまたはエチレンオキサイド(EO)
とプロピレンオキサイド(PO)とのブロック共重合物
若しくはランダム共重合物が好ましい。EO/POの好
ましい共重合比は、モル比が90:10〜10:90の
範囲、好ましくはEO/POのモル比が40:60〜6
0:40の範囲である。EO/PO共重合物の場合は、
POの成分が上記の範囲より多いと疎水性が大きくなり
すぎ炭素繊維とセメントとの親和性が低下し、炭素繊維
とセメント粒子との馴染みが悪いため単繊維の間にセメ
ント粒子が入りにくくなることがある。上記範囲の共重
合比をとることにより水溶性が高くなりモルタル成形時
泡立ちが少ないため成形物中の気泡量が少なく、かつ親
水性が向上するため単繊維の間にセメント粒子が入り込
み成形物の曲げ強度が向上するので好ましい。
【0032】一般式〔1〕のPOAが共重合物からなる
場合、アルキレンオキサイドの繰り返し数は共重合成分
のそれぞれを合計して4〜100であることが好まし
く、4〜50がより好ましい。nが4より小さい場合、
親水性が悪くモルタルとの馴染みが低下する。また、1
00より大きい場合は繊維の集束性が良すぎて吹き付け
成形時繊維の分散性が悪くなり補強効果が低下する。
【0033】一般式〔1〕のPOAが共重合物からなる
場合、R1 はアルキル基、アリール基、アルキルアリー
ル基またはアルケニル基のいずれか1種を用いることが
できる。アルキル基としては、炭素数2〜20のものが
好ましく、代表的なものとしてエチル基、ブチル基、ヘ
キシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ラウリ
ル基、セチル基、ステアリル基などを挙げることがで
き、中でもブチル基がサイジング剤の溶解性、繊維の分
散性、平滑性が良好であるためより好ましい。アリール
基の代表的なものとしてフェニル基、ナフチル基が挙げ
られる。
【0034】さらに、アルキルアリール基としては、炭
素数6〜20のアルキル基を有するものが好ましく、代
表的なものとしてノニルフェニル基、ドデシルフェニル
基、ラウリルフェニル基、オクチルフェニル基などを挙
げられる。中でもノニルフエニル基が繊維の分散性およ
び平滑性が良好であるため、より好ましい。
【0035】アルケニル基としては炭素数6〜20のア
ルキル基を有するものが好ましく、代表的なものとして
オレイル基が挙げられる。次にR2 はアルキル基、アリ
ール基、アルキルアリール基若しくはアルケニル基のい
ずれか1種または水素原子であるが、炭素数2〜20の
アルキル基または水素原子が好ましく用いられる。炭素
数2〜20のアルキル基の代表的なものとしてエチル
基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ド
デシル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基が挙げ
られる。
【0036】一般式〔1〕で示される化合物は単独でも
よいが他の化合物と混合させても良い。混合させる場合
は、一般式〔1〕で示される化合物が少なくとも10〜
100%の範囲で、より好ましくは75〜100%の範
囲で含むサイジング剤を炭素繊維に付着させることが好
ましい。一般式〔1〕で示される化合物が10%より少
ないサイジング剤では繊維の集束性が悪く、セメントと
の親和性が大きく低下し、炭素繊維による十分な補強効
果が発揮出来ない。
【0037】一般式〔1〕で示される化合物と混合させ
るものは、例えばエポキシ、不飽和ポリエステル、平滑
剤、柔軟剤、希釈剤、界面活性剤等の添加剤を加えるこ
とができる。
【0038】サイジング剤の付着量は、繊維の集束性と
ダイレクトスプレー法での工程通過性を良好なものと
し、スプレーガン内での繊維の開繊による詰まりを防止
する観点から0.1〜20重量%が好ましく、0.1〜
10重量%がより好ましい。0.1%以下になると、ダ
イレクトスプレー法での工程通過性が悪くなり、スプレ
ーガン内で繊維束が開繊するため詰まりが発生する。ま
た、吹き付けても繊維束の集束性が弱いためファイバー
ボール状になり、繊維の分散性が悪く、成形物の強度が
低下する。付着量が20%を越えると集束性が強くな
り、スプレーガンで吹き付けた時、単繊維本数100〜
3000本程度の繊維束に分離せず、元の繊維束のまま
でモルタル中に存在し、繊維束の分散性が著しく悪くな
り、成形物の強度が低下するため好ましくない。
【0039】本発明の炭素繊維は、ポリアクリロニトリ
ル系炭素繊維であることが好ましい。ポリアクリロニト
リル系炭素繊維は、アクリロニトリルを溶媒DMSO中
で重合開始剤により重合反応させた高分子ポリマーを湿
式または乾式または乾湿式紡糸により製造することがで
きる。
【0040】このポリアクリロニトリル繊維を200〜
300℃の温度で耐炎化処理し、次いで温度850〜1
300℃で炭化焼成し炭素繊維を得る。このポリアクリ
ロニトリル系炭素繊維は、繊維が緻密で高強度、高弾性
率、耐薬品性が高いことからセメント等の補強にも他の
繊維を使うより高性能な成形物ができる。
【0041】本発明のセメント系無機質材補強用炭素繊
維の製造方法は、単繊維本数が1000本以上2400
0本以下の撚りの無いポリアクリロニトリル系繊維を上
述の方法で撚りが入らないように平溝ローラを用いて耐
炎化処理し、次いで繊維束を3〜10mmの幅に広げた
状態にしながら850〜1300℃の温度で炭化焼成す
ることにより交絡度が1〜25の繊維が得られる。この
繊維にサイジング剤として水およびポリエチレングリコ
ールをディップ方式で付着せしめた後、温度70〜25
0℃に加熱したホツトローラの表面に接触通過させるこ
とによって余分な水分を蒸発させ、水分率を0.1〜2
0重量%に、好ましくは1 〜10重量%にすることによ
り、扁平度を好ましくは3〜500に、より好ましくは
5〜100に扁平化した後、芯材に巻き上げることによ
って製造できる。
【0042】ホットローラの温度が70℃未満になると
水分の蒸発が少ないため水分が多くなり、繊維形態をテ
ープ状に扁平化することができなくなる。さらに、ボビ
ンに巻き上げる際、水分が多くなりすぎると巻き形状が
悪くなり、解舒性も悪くなる他、繊維の分散が悪くな
り、セメントの補強効果が低下する。また、ホットロー
ラの温度が250℃を越えると水分の蒸発が多くなりす
ぎて、繊維の集束性が低下し、ボビンからの解舒性、吹
き付け時の工程通過性が悪く、繊維がファイバーボール
状になり、モルタルの補強効果が低下する。ホットロー
ラの温度は100〜160℃が繊維束をテープ状に扁平
化させやすい水分率になるため、より好ましい。なお、
サイジング剤として分子量が100〜400のポリエチ
レングリコールを単独で用いる場合はホットローラで扁
平化した後、芯材に巻き上げる。
【0043】上記サイジング剤に水または平滑剤、柔軟
剤、希釈剤、界面活性剤等の添加剤を加えて希釈した場
合は、ディップ方式で付着させた後、温度70〜250
℃のホットローラに接触させ余分な水分を蒸発させて扁
平化した後、繊維の残水分を除去するため温度70〜2
50℃の乾燥炉を通過させて芯材に巻き上げても良い。
【0044】本発明のセメント系無機質材補強用炭素繊
維の製造方法は、上記ポリアクリロニトリル系炭素繊維
に次式R1 O−POA−R2 (ここで、POA:炭素数
2〜4の少なくとも1種類以上のアルキレンオキサイド
からなるポリオキシアルキレン、R1 :アルキル基、ア
リール基、アルキルアリール基、アルケニル基のいずれ
か1種、R2 :アルキル基、アリール基、アルキルアリ
ール基、アルケニル基のいずれか1種または水素原子)
のサイジング剤をディップ方式で付着せしめた後、温度
70〜250℃に加熱したホットローラの表面に接触通
過させることによって余分な水分を蒸発させ、サイジン
グ剤付着量を0.1〜10重量%に、好ましくは1〜5
重量%にすることにより、扁平度を3〜500に、好ま
しくは5〜100に扁平化した後、次いで温度70〜2
50℃の乾燥機内を通過させて残水分を除去し繊維形態
を固定した後、芯材に巻き上げることによって製造でき
る。
【0045】ホットローラの温度が70℃以下になると
水分の蒸発が少ないため水分が多くなり、繊維形態をテ
ープ状に扁平化することができなくなる。ホットローラ
の温度が250℃以上になると水分の蒸発が多くなりす
ぎて、繊維の集束性が低下し、ボビンからの解舒性、吹
き付け時の工程通過性が悪く、繊維がファイバーボール
状になり、モルタルの補強効果が低下する。ホットロー
ラの温度は100〜160℃が繊維束をテープ状に扁平
化させやすい水分率になるため、より好ましい。繊維の
水分を除去し、繊維形態を固定するための乾燥機の温度
は70〜250℃であるが、温度が70℃より低いとサ
イジング剤の乾燥不足から繊維の目付けが不安定となる
他、乾燥時間がかかり製造コストが高くなる。温度が2
50℃より高いとサイジング剤の成分が揮散し、繊維の
性能が低下し、CFRCの曲げ強度が低下するため好ま
しくない。より好ましい乾燥温度は、100〜230℃
である。
【0046】本発明のセメント系無機質材製部材は、繊
維束の扁平度が3以上500以下で、その交絡度が1以
上25以下であるセメント系無機質材補強用炭素繊維で
補強したものである。セメント系無機質材製部材とは、
たとえば壁材、型枠、板材などが挙げられる。
【0047】壁材としては、間仕切り壁、間仕切り材、
壁下地材、壁パネル、など壁構成物が挙げられる。ま
た、型枠としては、柱型枠、型枠壁、梁型枠、基礎型
枠、永久型枠などの枠状物が挙げられる。さらに板材と
しては、内壁、外壁、間仕切り、屋根、天井、庇、床な
どの板状物が挙げられる。
【0048】本発明のダイレクトスプレー法で成形する
炭素繊維補強セメント系無機質材成形物の製造方法は、
請求項1〜7のいずれかに記載の炭素繊維をボビンから
引き出し、ダイレクトスプレーガンで連続的に切断し、
セメント系無機質材と同時に型枠に吹き付けることによ
り成形できる。
【0049】炭素繊維をボビンから引き出す方法は、ボ
ビンの外から解舒する方法、ボビンの内側から解舒する
(インサイドプル)方法があり、どちらでもよいがボビ
ンの内側から解舒する(インサイドプル)方法が解舒抵
抗が小さいため好ましい。
【0050】ダイレクトスプレーガンに供給された炭素
繊維は、長さ3〜50mmに切断され、定量ポンプで移
送されてくるモルタルと同時に型枠に吹き付けられる。
繊維の長さが3mmより短いとモルタル補強効果が小さ
くなり成形物の強度が低下する。また、50mmより長
いと繊維の絡みが強くなり、分散性が低下し、成形物の
強度が低下する。
【0051】吹き付ける繊維の量は、モルタルとの重量
比で好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは1
〜5重量%となるようにダイレクトスプレーガンへ連続
的に供給するのがよい。供給する繊維量が0.1重量%
より少なくなると断面積当りのマトリックス強度より繊
維強度が小さいため繊維の破断により成形物の補強効果
が低下することがある。また、繊維量が10重量%を越
えると繊維混入率が大きくなるとともに空気混入率が大
きくなり、マトリックス強度が低下するため成形物の曲
げ強度が低下することがある。
【0052】切断された繊維と同時に吹き付けるモルタ
ルは、セメント、水、骨材との混合物が適用できる。
【0053】セメントとしては、普通ポルトランドセメ
ント、早強セメント、低収縮セメント、混合セメント、
特殊セメント等が挙げられるが、通常用いられる普通ポ
ルトランドセメントが安価であるため好ましい。骨剤と
しては、砂、ケイ砂、フライアッシュ、シラスバルー
ン、シリカなどの細骨材などが挙げられる。また、混和
剤として減水剤、遅延剤、促進剤、急結剤、増粘剤など
が挙げられ、必要に応じて使用することができる。
【0054】また、本発明のスプレー脱水法で成形する
炭素繊維補強セメント系無機質材成形物の製造方法は、
請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維を巻き上げた
ボビンより引き出し、セメント系無機質材との重量比で
好ましくは2〜5%となるようにスプレーガンへ連続的
に供給し、スプレーガン内のカッターで切断しながらポ
ンプで移送されてくるモルタル、水、骨材、と混合させ
たセメント系無機質材と同時に型枠または微細孔を有す
るベルトの上にトラバースしながら吹き付け、真空装置
により余分な水を除去し、水/セメント比を調整するこ
とにより製造できる。
【0055】炭素繊維をボビンから引き出す方法、ダイ
レクトスプレーガンに供給された炭素繊維の長さ、吹き
付ける繊維の量は、前記したダイレクトスプレー法で成
形する炭素繊維補強セメント系無機質材成形物の製造方
法が適用できる。
【0056】カットされた繊維とモルタルは、同一のノ
ズルから吹き付けられ、連続的に一定速度で移動するベ
ルトの上に幅方向にトラバースしながら吹き付ける。ベ
ルトの上に吹き付けられたモルタルは、真空装置により
モルタルの水分を吸引し、水分率を調整しながら成形す
る。
【0057】切断された繊維と同時に吹き付けるモルタ
ルも前記したダイレクトスプレー法で成形する炭素繊維
補強セメント系無機質材成形物の製造方法が適用でき
る。
【0058】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0059】実施例1 単繊維の太さが1デニール、単繊維本数が12000本
の撚りの無いアクリル系繊維を250℃の空気中で加熱
し、延伸倍率1.05で延伸しながら水分率が4.0%
の酸化繊維を得た。この酸化繊維を1400℃の窒素雰
囲気中で炭素化することによって炭素繊維を得た。サイ
ジング剤として、水をディップ方式で付着させ、次いで
温度150℃の加熱ローラに接触通過させて、扁平度1
5、交絡度1.2、サイジング剤付着量が10%の炭素
繊維を得た。この炭素繊維の水中沈降時間は6秒であっ
た。生産性は安定しローラ表面への毛羽の付着もなくボ
ビンへの巻き揚げ性は良好であった。この炭素繊維の引
張強度は5000MPa、弾性率は230GPa、伸度
2.2%で、水中沈降時間は6秒であった。
【0060】この炭素繊維をダイレクトスプレー法によ
り成形するためのモルタルは、普通ポルトランドセメン
ト1082gに対して水を512g添加して水/セメン
ト比を47.3重量%とし、細骨剤として粉末硅石をセ
メントに対して25.3重量%投入し、混和剤としてA
E減水剤をセメントに対して2.0重量%添加混合して
製造した。
【0061】該炭素繊維をボビンから引き出し、ダイレ
クトスプレーガンのローターでガン内に給糸し、カッタ
ーで連続的にカットしてポンプで移送されてきたモルタ
ルとのトータル重量比で3%となるように圧縮空気で型
枠に吹き付けた。吹き付ける際、繊維束の工程通過性が
良好で大きな繊維束はさらに小さな繊維束に分離した。
【0062】圧力0.2MPaの圧縮空気で繊維束を吹
き付け繊維の拡散面積を測定すると250cm2 で型枠
面へ均一に繊維束が分離分散していた。
【0063】吹き付け成形物は厚さ10mm、縦400
mm、横400mmの板状にして、温度25℃湿度65
%で3時間気中養生した。ついで室温で28日間自然養
生して、厚さ10mm、幅40mm、長さ160mmの
測定サンプルを製作した。成形物の横断面を切断し、顕
微鏡で観察すると単繊維間にセメント粒子が入っている
ことから、セメントとの馴染みが良好であった。この成
形物の曲げ強度について測定した結果を表1に示した。
【0064】実施例2 実施例1と同様の炭素繊維にサイジング剤として、分子
量400のポリエチレングリコールをディップ方式で
2.0重量%付着させ、次いで温度150℃の加熱ロー
ラに接触通過させて、扁平度18、交絡度1.3の炭素
繊維を得た。生産性は安定しローラ表面への毛羽の付着
もなくボビンへの巻き揚げ性は良好であった。この炭素
繊維の引張強度は4900MPa、弾性率は230GP
a、伸度2.1%で、水中沈降時間は7秒であった。こ
の炭素繊維をダイレクトスプレー法で吹き付けた繊維拡
散面積は240cm2 で成形物は厚さ10mm、縦40
0mm、横400mmの板状にして、温度25℃湿度6
5%で3時間気中養生した。ついで室温で28日間自然
養生して、厚さ10mm、幅40mm、長さ160mm
の測定サンプルを製作した。成形物の横断面を切断し、
顕微鏡で観察すると単繊維間にセメント粒子が入ってい
ることから、セメントとの馴染みが良好であった。この
成形物の曲げ強度について測定した結果を表1に示し
た。
【0065】実施例3 実施例1と同様の炭素繊維にサイジング剤として、次式
の化合物(オレイルエーテル)C1835O−(EO)8-
Hを用い、濃度4%水溶液が入っている槽の中に上記炭
素繊維をディップ方式で2.0重量%付着させ、次いで
温度150℃の加熱ローラに接触通過させた後、150
℃の乾燥機を通過させ残水分を除去した後ボビンに巻き
取り、扁平度20、交絡度1.4の炭素繊維を得た。生
産性は安定しローラ表面への毛羽の付着もなくボビンへ
の巻き揚げ性は良好であった。この炭素繊維の引張強度
は5100MPa、弾性率は229GPa、伸度2.3
%で、水中沈降時間は6.2秒であった。
【0066】この炭素繊維を実施例1と同様の方法で吹
き付け成形した繊維の拡散面積は260cm2 で型枠面
へ均一に繊維束が分離分散していた。この成形物の曲げ
強度について測定した結果を表1に示した。
【0067】実施例4 実施例1と同様の炭素繊維にサイジング剤として、次式
の化合物(オレイルエーテル)C1835O−(EO)8-
Hを用い、このサイジング剤の濃度4%水溶液が入って
いる槽の中に上記炭素繊維をディップ方式で2.0重量
%付着させ、次いで温度150℃の加熱ローラに接触通
過させた後、150℃の乾燥機を通過させ残水分を除去
した後ボビンに巻き取り、扁平度19、交絡度1.5の
炭素繊維を得た。生産性は安定しローラ表面への毛羽の
付着もなくボビンへの巻き揚げ性は良好であった。この
炭素繊維の引張強度は4950MPa、弾性率は232
GPa、伸度2.2%で、水中沈降時間は6秒であっ
た。
【0068】実施例1と同様の炭素繊維とモルタルを用
いて繊維の添加量がモルタルに対する重量比で2.0%
になるようにスプレーガンへ連続的に供給し、スプレー
ガン内のカッターで切断しながらポンプで移送されてく
るセメント、水、骨材と混合させたセメント系無機質材
と同時に型枠または微細孔を有するベルトの上にトラバ
ースしながら吹き付け、真空装置により余分な水を除去
し、水/セメント比を調整しながら成形した。圧縮空気
で吹き付けた繊維の拡散面積は240cm2 であった。
成形物は厚さ10mm、縦400mm、横400mmの
板状にして、温度25℃湿度65%で3時間気中養生し
た。ついで室温で28日間自然養生して、厚さ10m
m、幅40mm、長さ160mmの測定サンプルを製作
した。この成形物の曲げ強度について測定した結果を表
1に示した。
【0069】比較例1 実施例1の連続炭素繊維をビスフェノールA型エポキシ
樹脂(“エピコート”1004(油化シェルエポキシ
製))にエチレンオキサイド30モルを付加させた化合
物の水分散液で濃度4%の水溶液中に通過させディップ
方式で2.0%付着させ、200℃の温度で乾燥した。
この繊維の扁平度は2.5、交絡度は35であった。圧
縮空気で吹き付けた時の繊維拡散面積は40cm2 であ
った。
【0070】実施例1と同様のモルタルおよび成形方法
により型枠に吹き付け成形しサンプルを製作した。吹き
付け時、繊維の集束性が強いため繊維束がさらに小さい
繊維束に分散しなかった。また、顕微鏡による断面観察
では単繊維間に入ったセメント粒子が少なかった。繊維
束のモーメントおよび成形物の曲げ強度について測定し
た結果を表1に示した。
【0071】比較例2 実施例1の連続炭素繊維にビスフェノールA型エポキシ
樹脂(“エピコート”828(油化シェルエポキシ
製))濃度4%水分散液の中に炭素化した繊維を通過さ
せディップ方式で付着量を2.0重量%とした。この繊
維の扁平度は2.1、交絡度は31であった。
【0072】プリミックス法で成形するため、普通ポル
トランドセメント1082gをオムニミキサーに投入
し、細骨剤として粉末硅石をセメントに対して25.3
重量%投入し、長さ6mmに切断した炭素繊維をモルタ
ルに対して重量比で2.0%添加した。この状態で一端
撹拌混合させた。次いで、水を512g添加して水/セ
メント比を47.3重量%とし、混和剤としてAE減水
剤をセメントに対して2.0重量%添加混合してモルタ
ルを製造した。
【0073】このモルタルを厚さ10mm、縦400m
m、横さ400mmの板状になる型枠に流し込み、温度
25℃湿度65%で3時間気中養生した。ついで室温で
28日間自然養生して、厚さ10mm、幅40mm、長
さ160mmの曲げ強度測定サンプルを製作した。
【0074】成形物の曲げ強度について測定した結果を
表1に示した。
【0075】比較例3 市販のピッチ系炭素繊維を用いて、実施例1と同様のモ
ルタルおよびダイレクトスプレー法により成形したサン
プルを製作した。ピッチ系炭素繊維の扁平度は2.3、
交絡度は28で、吹き付け時の繊維拡散面積は45cm
2 であった。繊維の集束性が強いためか繊維束がさらに
小さい繊維束に分散しなかった。成形物の曲げ強度につ
いて測定した結果を表1に示した。
【0076】
【表1】
【0077】
【発明の効果】本発明の炭素繊維は、扁平度3以上50
0以下で、その交絡度が1以上25以下であることによ
り、吹き付け成形すると繊維がより小さい繊維束に分
離、分散して繊維の拡散面積が大きくなる。すなわち、
繊維の分散性が向上し、セメント系無機質材との接触面
積が多くなりセメント成形物の補強効果が向上して、成
形物の力学的特性が優れたものとなる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D06M 13/18 13/52 (72)発明者 岡太 浩 東京都千代田区丸の内2丁目1番2号 旭 硝子株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維束の扁平度が3以上500以下で、そ
    の交絡度が1以上25以下であることを特徴とするセメ
    ント系無機質材補強用炭素繊維。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の炭素繊維であって水中沈
    降時間が1秒以上30秒以下であることを特徴とするセ
    メント系無機質材補強用炭素繊維。
  3. 【請求項3】請求項1〜2のいずれかに記載の炭素繊維
    であって圧力0.1MPa以上1MPa以下の圧縮空気
    で型枠に吹き付けたとき繊維の拡散面積が50cm2
    上400cm2 以下であることを特徴とするセメント系
    無機質材補強用炭素繊維。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維
    にサイジング剤が付着され、該サイジング剤が水および
    /または分子量100〜600のポリエチレングリコー
    ルであることを特徴とするセメント系無機質材補強用炭
    素繊維。
  5. 【請求項5】請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維
    にサイジング剤が付着され、該サイジング剤が下記一般
    式〔1〕で示される化合物であることを特徴とするセメ
    ント系無機質材補強用炭素繊維。 R1 O−POA−R2 …〔1〕 (ここで、POA:炭素数2〜4の少なくとも1種類以
    上のアルキレンオキサイドからなるポリオキシアルキレ
    ン、R1 :アルキル基、アリール基、アルキルアリール
    基、アルケニル基のいずれか1種、R2 :アルキル基、
    アリール基、アルキルアリール基、アルケニル基のいず
    れか1種または水素原子)
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の炭素繊維
    にサイジング剤が付着され、該サイジング剤の付着量が
    0.1〜20重量%であることを特徴とするセメント系
    無機質材補強用炭素繊維。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維
    がポリアクリロニトリル系炭素繊維であることを特徴と
    するセメント系無機質材補強用炭素繊維。
  8. 【請求項8】炭素繊維に請求項4に記載のサイジング剤
    を付着せしめた後、温度70〜250℃に加熱したロー
    ラの表面に接触通過させることによって水分の一部を除
    去しながら繊維形態をテープ状に扁平化した後、芯材に
    巻き上げることを特徴とするセメント系無機質材補強用
    炭素繊維の製造方法。
  9. 【請求項9】炭素繊維に請求項5に記載のサイジング剤
    を付着せしめた後、温度70〜250℃に加熱したロー
    ラの表面に接触通過させることによって水分の一部を除
    去しながら繊維形態をテープ状に扁平化し、次いで温度
    70〜250℃の乾燥機内を通過させて残水分を除去し
    繊維形態を固定した後、芯材に巻き上げることを特徴と
    するセメント系無機質材補強用炭素繊維の製造方法。
  10. 【請求項10】請求項1〜7のいずれかに記載の炭素繊
    維をモルタルに添加し、補強されてなることを特徴とす
    る炭素繊維補強セメント系無機質材製部材。
  11. 【請求項11】請求項1〜7のいずれかに記載の炭素繊
    維をボビンから引き出し、連続的に切断し、セメント系
    無機質材と同時に型枠に吹き付けるダイレクトスプレー
    法により成形することを特徴とする炭素繊維補強セメン
    ト系無機質材成形物の製造方法。
  12. 【請求項12】請求項1〜7のいずれかに記載の炭素繊
    維をボビンから引き出し、連続的に切断しながらセメン
    ト系無機質材と同時に型枠または微細孔を有するベルト
    の上に吹き付け、減圧下で水分を除去し、水/セメント
    比を調整するスプレー脱水法により成形することを特徴
    とする炭素繊維補強セメント系無機質材成形物の製造方
    法。
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WO2023002876A1 (ja) * 2021-07-19 2023-01-26 東レ株式会社 サイジング剤を含有する炭素繊維束およびその製造方法
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