JP2018111632A - セメント補強用繊維材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】集束性が高く、補強効果に優れたセメント補強用繊維材料を提供することを目的とし、特に粘性の高いコンクリートまたはモルタルに対し補強効果に優れるセメント補強用繊維材料を提供すること。【解決手段】芳香族ポリアミド繊維からなる繊維束であって、芳香族ポリアミド繊維がエポキシ前処理糸であり、繊維束が撚糸されているとともに、その表面がイソシアネート化合物を主成分とする樹脂で被覆されていることを特徴とするセメント補強用繊維材料。さらには、樹脂がイソシアネート化合物に加えて、ポリオールまたはエポキシ化合物を構成成分とする樹脂であることが好ましい。または、あらかじめエポキシ化合物で処理された芳香族ポリアミド繊維に、撚りを施したのち、イソシアネート化合物を主成分とする樹脂で被覆処理することを特徴とするセメント補強用繊維材料の製造方法。また本発明は、上記材料を含有するコンクリートまたはモルタル成形体を包含する。【選択図】なし

Description

本発明は、セメント補強用に適した繊維材料に関し、さらに詳しくはコンクリートやモルタル等の製造に最適なセメント補強用繊維材料に関する。
コンクリートまたはモルタル成形物は、その圧縮強度、耐久性、不燃性などの優れた特性に加え安価であることから、建築、土木分野で大量に使用されている。しかしながら、これらの成形物は脆性物質であり、引張り、曲げ、屈曲などの応力が加わると容易にクラックが入ったり、破損するなどの欠点がある。
この欠点を補うために、アラミド繊維等の有機高分子重合体を用いた補強が有効である。これらの繊維で補強することにより、セメントペースト、モルタルまたはコンクリート等のセメント成形体の曲げ強度、曲げ靱性等の機械的特性を向上させることが可能になるが、補強効果を充分に発現させるためには、コンクリート成形物中で繊維の1本1本が均一に分散し、周囲のコンクリートと強固に結合することが重要である。
しかしこれらの補強用の繊維を用いた場合であっても、コンクリート中の繊維の分散性や、攪拌中における繊維同士の絡み合いによる繊維のダマの発生等の問題があった。
例えば特許文献1では、多数の細いフィラメントからなる繊維(マルチフィラメント)を樹脂で集束し、切断した繊維束を補強材として使用する方法として、さらに樹脂で集束された繊維に不揮発性の油を付着させて、繊維の集束性を高める技術が開示されている。しかし、繊維表面には油が付着しているために、集束性こそ優れるものの、セメントモルタルまたはコンクリートと繊維との界面付着力は、逆に低下するという問題があった。
特開2007−131464号公報
本発明は、集束性が高く、補強効果に優れたセメント補強用繊維材料を提供することを目的とし、特に粘性の高いコンクリートまたはモルタルに対し補強効果に優れるセメント補強用繊維材料を提供することにある。
本発明のセメント補強用繊維材料は、芳香族ポリアミド繊維からなる繊維束であって、芳香族ポリアミド繊維がエポキシ前処理糸であり、繊維束が撚糸されているとともに、その表面がイソシアネート化合物を主成分とする樹脂で被覆されていることを特徴とする。
さらには、樹脂がイソシアネート化合物に加えて、ポリオールまたはエポキシ化合物を構成成分とする樹脂であることが好ましい。
もう一つの本発明のセメント補強用繊維材料の製造方法は、あらかじめエポキシ化合物で処理された芳香族ポリアミド繊維に、撚りを施したのち、イソシアネート化合物を主成分とする樹脂で被覆処理することを特徴とする。
また本発明は、上記の本発明のセメント補強用繊維材料を含有するコンクリートまたはモルタル成形体を包含する。
本発明によれば、集束性が高く、補強効果に優れたセメント補強用繊維材料、特には粘性の高いコンクリートまたはモルタルに対し補強効果に優れるセメント補強用繊維材料が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のセメント補強用繊維材料は、芳香族ポリアミド繊維からなる繊維束であって、芳香族ポリアミド繊維がエポキシ前処理糸であり、繊維束が撚糸されているとともに、その表面がイソシアネート化合物を主成分とする樹脂で被覆されている繊維材料である。
本発明の補強用繊維材料に用いられる芳香族ポリアミド繊維とは、一般的にアラミド繊維と呼称される繊維であって、パラ系アラミド繊維やメタ系アラミド繊維などを挙げることができる。なかでもポリパラフェニレンテレフタラミドやコポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド等のパラ型アラミドからなる繊維が他の繊維に比べて補強効果が大きいので好ましく、特にコポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維は、高温高圧下強アルカリ性の雰囲気中に長時間保持してもその機械的特性の劣化が小さいので、高温高圧下での蒸気養生、例えば180℃、圧力約10Kg/cmの飽和水蒸気による条件下においても高い強力保持率を有するので好ましい。
上記繊維の単糸繊度は0.5〜100dtexであることが望ましい。その単糸の繊度が0.5dtex未満であると、単糸を引き揃えることが困難になり、引き揃えが不十分であると繊維の有する機械的性能が十分に活用できなくなる。また、単糸間で集束剤となる樹脂の付着斑が生じやすく、所定の集束性が得られないことがあり、特に、単糸の本数を多くすると、この傾向は顕著になる。一方、単糸繊度が100dtexを超える場合は、単糸同士の接着面積が少なくなり、集束剤による集束が維持しにくくなり、本発明の目的が達成されなくなる。より好ましくは、集束された繊維の単糸繊度は、0.6〜80dtex、さらに好ましくは0.7〜60dtexであることが好ましい。
本発明に用いられる繊維材料は、上記のような単糸が集合した繊維束からなるものであり、さらにはその繊維束が撚糸されたものである。この繊維束の構成単糸数としては、50本〜5000本の単繊維から構成されたものであることが好ましい。さらには繊維束が100本〜2500本の単繊維から構成されたものであることが好ましい。さらには複数本の繊維束を合糸したものであることや、さらに合糸後に撚糸したものであることも好ましい。
また本発明で用いる芳香族ポリアミド繊維は、エポキシ前処理糸であることが必要である。このエポキシ前処理糸は撚糸前の紡糸の段階にてエポキシ化合物を含有する処理液に含浸、乾燥を行うなどして、繊維表面にエポキシ化合物が付与された繊維である。
本発明のエポキシ前処理糸に好ましく用いられるエポキシ化合物としては、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する化合物であることが好ましい。より具体的には、エチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類とエピクロルヒドリンのごときハロゲン含有エポキシド類との反応生成物、レゾルシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルメタン、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂等の多価フェノール類と前記ハロゲン含有エポキシド類との反応生成物、過酢酸、又は、過酸化水素等で不飽和化合物を酸化して得られるポリエポキシド化合物、すなわち、3,4−エポキシシクロヘキセンエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシルメチル)アジペート等を挙げることができる。これらのうち、特に多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応生成物、すなわち、グリセロール等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル化合物が優れた性能を発現することができるので好ましく例示される。
かかるポリエポキシド化合物は、通常は水溶液、若しくは、乳化液として使用するものがよい。乳化液、又は、溶液にするには、例えば、かかるポリエポキシド化合物をそのまま、あるいは、必要に応じて少量の溶剤に溶解したものを、公知の乳化剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物等を用いて乳化、又は溶解することができる。
本発明にて用いられる前処理糸は、上記のような組成の処理液で繊維を処理したものであるが、処理液の固形分濃度は1〜30重量%であることが好ましい。そして処理剤の繊維への付着量は0.1〜10重量%の範囲であることが好ましい。
また、本発明のセメント補強用繊維材料は、繊維材料が上記のエポキシ前処理糸から構成された繊維束に撚りを掛けたものであるが、その撚り係数としては、0〜3の範囲内で撚り掛けされていることが好ましい。さらには撚り係数が0〜2の範囲内であることが好ましい。撚り係数が大きくなりすぎると、引張ったときに単糸同士による繊維軸方向に垂直な力がよりかかるようになり、屈曲に弱い繊維では強度が低下する傾向にある。また、集束剤となる樹脂の均一な含浸性が損なわれたり、撚り縮みによって伸度が増加し、セメントモルタルまたはコンクリートの補強性が損なわれる傾向にある。適切な撚り係数の範囲内で撚り掛けされていることにより、樹脂で集束されたとき補強材としての一体化が高まり、セメントモルタルまたはコンクリート中で混練されても集束を維持し、材料の流動性、施工性を確保することができる。
なおここで、本発明における撚り係数とは、単位長さ当りの撚り数と繊維繊度の平方根の積で示されるものであり、ASTM D885に記載されている次式;撚り係数={撚り数(回/m)×√繊維繊度(tex)}/1055で規定された値である。
また複数の単糸が集合した繊維束からなる本発明のセメント補強用繊維材料は、その直径が0.05〜5.0mmの範囲であることが好ましい。また短繊維であることが好ましく、その長さは1〜50mmの範囲であることが好ましい。特にこのような範囲であることにより、繊維混入による補強効果、即ちヒビ割れ抑制、高曲げ強度・高曲げ靱性付与の観点から好ましい。集束された繊維補強材料の直径が小さすぎたり、繊維長が長すぎたりすると、セメントモルタルまたはコンクリート中で混練された際に、繊維材料に剪断力がかかりやすくなり、樹脂による集束を維持できず、集束が解けて単繊維にばらけてしまい材料の流動性を損ってしまう傾向にある。一方、集束された繊維の繊維長が短すぎると、繊維とセメントモルタルまたはコンクリートとの接触面積が小さく、または直径が大きすぎると繊維と単位体積当たりのセメントモルタルまたはコンクリートとの接触総表面積が小さくなり、十分な補強効果が得られない傾向にある。より好ましい形状としては、集束された繊維補強材料の直径は0.1〜3mmであることが好ましい。また繊維長としては5〜40mmであることが好ましい。
また本発明に用いる繊維は高強度であることが好ましく、より具体的には、繊維の引張強度が7cN/dtex以上であることが好ましい。さらには10〜40cN/dtexの範囲であることが好ましい。ここで繊維の引張強度が低すぎる場合には、セメントモルタルまたはコンクリートに荷重がかかった場合に、その成形物の曲げ強度が小さかったり、繊維が破断してその衝撃を十分に吸収できない傾向にある。
そして本発明のセメント補強用繊維材料は、上記の撚糸されたエポキシ前処理糸からなる繊維束の表面が、イソシアネート化合物を主成分とする樹脂で被覆されているものである。
繊維材料を被覆するイソシアネート化合物を主成分とする樹脂としては、例えば、イソシアネート樹脂、ポリウレタン樹脂、イソシアネートとエポキシの架橋体等が挙げられる。さらには樹脂がイソシアネート化合物に加えて、ポリオールまたはエポキシ化合物を構成成分とする樹脂であることが好ましい。
ここで好ましく用いられるブロックドイソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物とブロック化剤との付加化合物であり、加熱によりブロック成分が遊離して活性なポリイソシアネート化合物を生じるものであることが好ましい。ポリイソシアネート化合物としては、例えばトリレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフエニルイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のポリイソシアネート、あるいは末端イソシアネート基含有のポリオールアダクトポリイソシアネート等が挙げられる。ブロックドイソシアネート化合物のブロック化剤としては、例えばジメチルピラゾール等を用いることが好ましい。
より具体的なイソシアネート化合物としては、芳香族系のジフェニルメタンジイソシアネートや、トルエンジイソシアネート、脂肪族系のヘキサメチレンジイソシアネート等から選択すれば良い。好ましくは、繊維束内部への浸透性に優れる脂肪族系のイソシアネートの使用が好ましい。さらにはブロックイソシアネートとエポキシ化合物から構成された剤であることが好ましい。またエポキシ化合物と共にイソシアネート処理、特にはブロックイソシアネート化合物を含む処理液で処理することが好ましい。
また、上記のイソシアネート化合物等の樹脂は繊維の集束に寄与するものであるが、その表面にコンクリートやセメントモルタルとの付着性能を向上させる目的でその他の樹脂でさらに被覆してもよい。
このような樹脂の付着量は全繊維重量に対して3〜15重量%付与されていることが好ましい。付着量が少なすぎる場合には、集束が解けて単繊維がばらけて材料の流動性を損ってしまう傾向にある。コンクリートまたはモルタルとの混練で、繊維に剪断力がかかったときに、集束剤による繊維の集束を維持できないためである。一方、付着量が多すぎる場合には、繊維の強度が十分に利用されない傾向にある。付着量を増やしすぎた場合には、その集束性自体もあまり向上しない。また樹脂の付着量が多くなると、繊維集束体の見掛け繊度の増大により、重量当たりの集束繊維の引張強度も低下するからである。
本発明のセメント補強用繊維材料は、上記のような樹脂に加えて、さらにその繊維の表面に、エポキシ樹脂を構成成分とする樹脂が存在することも好ましい。さらには、凝集力や、界面接着力の観点からは、アクリル変性エポキシ樹脂やビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましく、高い性能が発揮される。特には、アクリル変性のビスフェノールA型エポキシ樹脂からなる樹脂であることが好ましい。エポキシ樹脂の付着量としては、全繊維重量に対して0.1〜10重量%付与されていることが望ましい。
そしてこのような本発明のセメント補強用繊維材料は、次のような製造方法により得ることができる。すなわち、あらかじめエポキシ化合物で処理された芳香族ポリアミド繊維に、撚りを施したのち、イソシアネート化合物を主成分とする樹脂で被覆処理する方法である。
ここで、あらかじめエポキシ化合物で処理された芳香族ポリアミド繊維としては、前に記した前処理芳香族ポリアミド繊維を用いることができる。そして本発明で集束剤として用いられるイソシアネート化合物を主成分とする樹脂を付着させる方法としては、そのような繊維材料をボビンやビームクリールから連続的に送繊されるようにして、該集束剤の入った漕の中で含浸させる方法やローラータッチ法によって付着させる方法、スプレー方式により該集束剤を噴霧して付着させる方法などが挙げられる。中でも繊維に均一に付着させるためには樹脂の入った漕の中で含浸させる方法が好ましく、絞りロールで一定の付着量に調整することが容易である。また、集束剤となる樹脂をより繊維束内部に含浸、浸透させるためには、集束剤を水系マルション、または有機溶剤に分散、または溶解させ、希釈して使用することも好ましい。また、安全性や作業環境負荷の問題から水系の剤を用いることが好ましい。また繊維束内部への浸透性を確保するために、水溶性を高めた比較的低分子量の化合物を使用することが好ましい。
このように集束剤となる樹脂を付与した後には引き続き熱処理を施し、集束剤の分散媒を乾燥、時には熱処理により架橋させることが好ましい。処理装置としては特に限定されるものではなく、接触型のホットローラー等を用いることができ、さらには非接触型の熱風乾燥炉を用いると該集束剤による装置への付着や汚れがなく作業しやすい。
剤の付着後、繊維は熱処理によって水を乾燥を行うが、乾燥のために70℃〜180℃で0.5〜3.0分間熱処理することが好ましい。また処理液中には架橋剤を含むことが好ましく、架橋のためには180℃〜250℃で熱処理を行うことが好ましい。乾燥温度が低すぎたり、乾燥時間が短かすぎる場合、乾燥が不十分で、繊維内部に水が残った状態でより高温の架橋処理が行われるため、同時に急激な蒸発が起こり、製膜性が悪化するため好ましくない。乾燥温度が180℃より高い場合、乾燥段階で急激な水の蒸発と架橋が同時に起こり、製膜性が悪化するため好ましくない。
特に繊維束内部への浸透性に優れる脂肪族ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)構造を有するブロックドイソシアネートと、水溶性の高いソルビトールポリグリシジルエーテル構造を有するエポキシ化合物の水分散体を使用することが、特に好ましい。より具体的にはブロックドイソシアネートとして、ジメチルピラゾールブロックヘキサメチレンジイソシアネートやカプロラクタムブロックジフェニルメタンジイソシアネートを用い、エポキシ化合物としてソルビトールポリグリシジルエーテル系エポキシ化合物を組み合わせて用いることが好ましい。
繊維束に付着する樹脂の量は繊維重量に対して5〜15wt%が好ましい。集束剤として用いられる樹脂成分は、繊維束内部に浸透しやすく、且つ繊維束内で単糸と単糸を接着させやすく、高靱性を有する樹脂が好ましい。これらの条件を満たす樹脂として、イソシアネート樹脂、ポリウレタン樹脂、イソシアネートとエポキシの架橋体が考えられる。イソシアネート樹脂で集束される方法は特に限定されるものではないが、イソシアネート化合物をトルエン等の有機溶剤に溶解した液に、繊維を浸漬後、熱処理によりイソシアネート化合物の自己架橋により得る方法や、水系ブロックドイソシアネートの水分散体に繊維を浸漬後、熱処理によりブロック剤が解離したイソシアネート化合物の自己架橋により得る方法等が挙げられる。ここで水系の場合ブロックドイソシアネートを使用するのは、水分を揮発させる際に、水とイソシアネートが反応し、官能基が失活するのを抑制するためである。イソシアネート化合物としては、芳香族系のジフェニルメタンジイソシアネートや、トルエンジイソシアネート、脂肪族系のヘキサメチレンジイソシアネート等から選択すれば良い。好ましくは、繊維束内部への浸透性に優れる脂肪族系のイソシアネートの使用が好ましい。また、上記のイソシアネート化合物は繊維の集束に寄与するものであるが、その表面にコンクリートやセメントモルタルとの付着性能を向上させる目的でその他の樹脂でさらに被覆してもよい。
また、本発明の補強用繊維材料を構成する繊維のセメントモルタルまたはコンクリートへの混入率は目的に応じて選定することができるが、通常は0.01〜10.0容積%の範囲で使用することが好ましい。
本発明の補強用繊維材料はコンクリートやモルタル用の結合材であるセメントに対し特に有効であって、コンクリート補強用やモルタル補強用に好ましく用いられる。このコンクリートまたはモルタル用の結合材となるセメントは、現場の施工条件等を考慮して選定されるものであるが、本発明のセメント補強用繊維材料は各種セメントと組み合わせることが可能である。より具体的には、例えば普通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメントや、これらの各種ポルトランドセメントにフライアッシュや高炉スラグなどを混合した高炉セメント等の各種混合セメント、速硬セメント等を、単独または2種以上混合して用いることができる。
さて本発明のセメント補強用繊維材料は、上記のようなセメント(結合材)と共に、コンクリートやモルタルの材料として好ましく用いられ、セメント補強用繊維材料を含有するコンクリートまたはモルタル成形体となる。
この時、本発明の補強用繊維材料と共に、被補強物のセメントには、高炉スラグ粉末、フライアッシュ、シリカヒューム、石灰石粉末、石英粉末、二水石膏、半水石膏、無水石膏、生石灰系膨張材、カルシウムサルフォアルミネート系膨張材などの公知の混和材(結合材)を添加することが好ましい。その配合割合は特に限定されず、様々な設計を行うことが可能である。
特に本発明のセメント補強用繊維材料は、セメントの混練等の工程においても、繊維の集束性が高く、例え水/結合材比率の低いコンクリートまたはモルタル等の高せん断力を生じる混練においても折損が生じにくく、材料の流動性、施工性を阻害しないものであった。さらに本発明のセメント補強用繊維材料で補強されたコンクリートまたはモルタル成形物は、作用応力が増加しても急激な繊維の破断が生じないために、成形物の曲げ破壊エネルギーを大きく向上させるものであった。
このような本発明のセメント補強用繊維材料を含有するコンクリートまたはモルタル成形体の用途は特に限定されるものではなく、一般の土木、建築用途に広く適用できる。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお、実施例における各種の評価は、次のようにして測定した。
(1)繊維長、繊度
JIS−L−1015に準拠して測定した。
(2)繊維引張強度
ASTM D885に準拠して測定した。
(3)集束された繊維束の繊維束径と繊維束長
樹脂で処理した後、切断した処理繊維束(処理糸)をデジタルノギス(エー・アンド・ディー株式会社製)でその繊維束径と繊維束長を測定した。
(4)セメント混練後の集束性
下記の実施例及び比較例において、セメント混練後、セメントモルタルまたはコンクリート中の補強材料の撚り解けを目視で確認し、以下のように評価した。特に短繊維の中央で撚が解けやすいが、中央部分で撚が解けることにより、短繊維の端から中央にかけてふくらみが生じることを、撚り解けと定義した。
○:10本中、解けた繊維束が2本以下。
△:10本中、解けた繊維束が3本以上8本以下。
×:10本中、解けた繊維束が9本以上。
(5)生セメントの流動性
下記の実施例及び比較例において、上記(4)の混練工程に引き続き、水平に配置した50cm角のアルミ板にスランプコーン(高さ15cm、下面内径10cm、上面内径5cmの内側がくり貫かれた円錐柱)に生セメントを摺り切りで注ぎ入れ、スランプコーンをゆっくり垂直に引き上げた。このとき生セメントはアルミ板上に円形に広がる。このときの広がった円形の直径、または円形が歪んでいる場合は最短径と最長径の相加平均をフロー値として計測した。このフロー値は生セメントの流動性を反映している。
(6)モルタル成形物の圧縮強度および曲げ破壊エネルギー
下記の実施例及び比較例において得られたセメントを用い、幅40mm×高さ40mm×長さ160mmの型枠に、生セメントを打設し、20℃、90%RHで材齢28日まで養生して、供試体を製造した。上記供試体を、「JIS−R−5201」に準拠して3点曲げ測定した。より詳しくは、10トン用引張圧縮試験機(TOYO BALDWIN社製、UNIVERSAL TESTING INSTRUMENT MODEL UTM 10t)を用い、支点間距離10cmの中心を2mm/分の速度で圧縮し、曲げ応力−歪みの関係から供試体が破壊する際の2次降伏点応力を算出した。
[実施例1]
紡糸用溶液として、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド(共重合モル比が1:1の全芳香族ポリアミド)の濃度6質量%N−メチルピロリドン(NMP)溶液を準備した。紡糸用溶液を、紡糸口金から吐出し、エアギャップを介して、NMP濃度30質量%の50℃の水溶液で満たされた凝固浴中に紡出し、凝固糸を得た後、水浴にて水洗し、乾燥を実施した。最後に、温度520℃下で11倍に延伸した後、デナコールEX−313(グリセロールポリグリシジルエーテル、ナガセケムテックス株式会社製)17.5gに界面活性剤としてネオコールSW−30(ジオクチルスルフォサクシネートナトリウム塩、第一工業製薬株式会社製)14.5g、ピペラジン4g、水656.2gから成る固形分濃度3.7%のエポキシ溶液で処理し、乾燥後、巻き取りを実施することにより、各単糸の表面にエポキシ化合物が処理されたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維を得た。得られた前処理アラミド繊維の物性は、1670dtex、1000本のフィラメントで、引張強度24.5cN/dtex、破断伸度4.5%、引張弾性率530cN/dtexであった。
次いで補強材料となる繊維として、この前処理アラミド繊維束(1670dtex、1000fill)を用い、撚糸機を用いて該繊維に撚り係数が1となるように撚りをかけ、集束剤樹脂成分としてソルビトールポリグリシジルエーテル系エポキシ化合物(ナガセケムテックス株式会社社製、「EX614B」)、ジメチルピラゾールブロックヘキサメチレンジイソシアネート(Baxenden社製、「Trixene aqua201」、ジメチルピラゾールブロック−HDIトリマー)をそれぞれ固形分で50重量%、50重量%の割合で混合した、総固形分量:10重量%の配合液に浸漬した後、温度200℃で乾燥させ、集束剤を10重量%付与した。その後引き続きコーティング剤としてカルボキシル基含有アクリル変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、「ディックファインEN」)を含む固形分重量10%の水分散液中に浸漬した後、温度200℃で乾燥させ、乾燥後の繊維に対するコーティング剤付着量が3重量%となるように剤処理し、最後にこの繊維材料を30mmに切断し補強用材料とした。得られた処理繊維束の直径は0.5mmであった。
得られたセメント補強用繊維材料13.9gを、低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製)951g、シリカフューム(エルケムAS社製)220g、細骨材(三栄シリカ株式会社製、「6号珪砂」)541g、細骨材(三栄シリカ株式会社製、「珪砂SP80」)437g、水193g、と共に、モルタルミキサー(マルイ製、MIC−362型、容量:5L)を用いて140rpmの撹拌速度で約3分間混練し、生セメント(モルタル)を得た。その生セメントを養生して得たモルタル成形体を評価した結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1の前処理アラミド繊維束を用いる代わりに、表面処理を行わない繊維束を用いて撚糸を行い、その後は実施例1と同様に、エポキシ化合物とイソシアネート化合物を含有する処理液にて処理を行った。エポキシ化合物の存在位置は繊維束の外周であった。結果を表1に併せて示す。
[比較例2]
実施例1の前処理アラミド繊維束を用いる代わりに、表面処理を行わない繊維束を用いて撚糸を行い、その後も実施例1と異なり、エポキシ化合物のみ含有し、イソシアネート化合物を含有しない処理液にて処理を行った。エポキシ化合物の存在位置は繊維束の外周であった。結果を表1に併せて示す。
[比較例3]
実施例1の前処理アラミド繊維束を用いる代わりに、表面処理を行わない繊維束を用いて撚糸を行い、その後も実施例1と異なりイソシアネート化合物を含有する処理液での処理を行わない繊維束を得た。結果を表1に併せて示す。
Figure 2018111632

Claims (4)

  1. 芳香族ポリアミド繊維からなる繊維束であって、芳香族ポリアミド繊維がエポキシ前処理糸であり、繊維束が撚糸されているとともに、その表面がイソシアネート化合物を主成分とする樹脂で被覆されていることを特徴とするセメント補強用繊維材料。
  2. 樹脂がイソシアネート化合物に加えて、ポリオールまたはエポキシ化合物を構成成分とする樹脂である請求項1記載のセメント補強用繊維材料。
  3. あらかじめエポキシ化合物で処理された芳香族ポリアミド繊維に、撚りを施したのち、イソシアネート化合物を主成分とする樹脂で被覆処理することを特徴とするセメント補強用繊維材料の製造方法。
  4. 請求項1または2記載のセメント補強用繊維材料を含有するコンクリートまたはモルタル成形体。
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