JPH1110815A - 磁気記録カード用複合基材およびそれを用いた磁気記録カード - Google Patents

磁気記録カード用複合基材およびそれを用いた磁気記録カード

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JPH1110815A
JPH1110815A JP16273197A JP16273197A JPH1110815A JP H1110815 A JPH1110815 A JP H1110815A JP 16273197 A JP16273197 A JP 16273197A JP 16273197 A JP16273197 A JP 16273197A JP H1110815 A JPH1110815 A JP H1110815A
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JP
Japan
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magnetic recording
recording card
polyester
composite substrate
polyester resin
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Application number
JP16273197A
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English (en)
Inventor
Kozo Maeda
浩三 前田
Kiyoshi Miyagi
清 宮城
Tasuku Kamisaka
佐 上坂
Mikio Matsuoka
幹雄 松岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 感磁性繊維の配設によって生じる凹凸による
読み取りエラーを無くすとともに、感磁性繊維の配設位
置やランダム配列パターンを外部から感知できなくする
ことにより、偽造・改ざんを確実に防止できる磁気記録
カード用複合基材およびそれを用いた磁気記録カードを
提供する。 【解決手段】 2つのポリエステル系樹脂フィルム間
に、感磁性繊維を含むシート体が高分子接着剤を介して
積層されてなる複合基材であって、当該ポリエステル系
樹脂フィルムの少なくとも1つが、光学濃度が0.3以
上であることを特徴とする磁気記録カード用複合基材で
ある。このようなポリエステル系樹脂フィルムは、好ま
しくは内部に微細空洞を含有するフィルムであり、かつ
見掛け比重が1.0〜1.3である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録カード用
複合基材およびそれを用いた磁気記録媒体に関し、例え
ば、テレホンカードや鉄道カード、パチンコカード等の
プリペイドカードやIDカード等を含めた各種カード等
のように、真正さが要求される磁気記録カードにおける
真偽判別を極めて確実に行えると共に偽造・改ざんが不
可能であるような、磁気記録カード用に好適な複合基材
およびそれを用いた磁気記録カードに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録方式を活用した各種プリ
ペイドカードやIDカード等のカードシステムは、例え
ば、テレホンカード、鉄道・バスやハイウェイ等の交通
カード、パチンコに代表される各種レジャーカード、ポ
イントカード、会員証や流通・金融カード等、数多くの
分野で社会生活に定着し利用されるに至っている。しか
し、その利用分野が広がるとともに、記録情報の読み取
りや再加工のための技術も高度化され、各種分野におい
て偽造・改ざん等の被害が増大し、もはや軽視し得ない
大きな社会問題となりつつある。
【0003】一方、こうした現状に鑑み、偽造・改ざん
の防止方法や対策についても多くの技術が開発・提案さ
れており、例えば、磁気記録カードについては、磁気シ
ールド等により記録データの読み取りを防止する方法等
も開発されているが、同時に偽造・改ざんの技術もなお
一層精緻・高度化され、従来のセキュリティ対策のみで
は対応しきれなくなって来ているのが実情である。
【0004】こうした状況のもと、磁気記録カードの真
偽判定をより確実に行うための新しい技術方法が提案さ
れている。例えば、特開平6−227187号公報の如
く不織布状の感磁性繊維を真偽判別層として利用した磁
気記録カード等が提案されている。この磁気記録カード
は、本来の記録データに加えて、当該カードが真正なも
のであるか否かを判別するための真偽判別部として不織
布状の感磁性繊維を内蔵せしめ、該感磁性繊維層を真偽
判別のための情報記憶部として活用し、カードの偽造を
予め防止するものであり、感磁性繊維がランダム方向に
複雑に絡み合って偶然性による固有の情報を持ち、殆ど
再現不能の情報記録部となり得る事から、カードの偽造
は極めて困難になるものと考えられる。
【0005】このように、感磁性繊維を用いた真偽判別
手段は非常に有効な手段と考えられるが、本出願人の知
る限りにおいては、現実の磁気記録カードに実用化され
たものは市販されるに至っていない。その最大の理由
は、通常プラスチックシートによって構成されるカード
基材の間に感磁性繊維不織布を挟み込むと、その繊維位
置がカード表面に凹凸となって表れるとともに、該感磁
性繊維のパターンがカード表面に浮き出し、磁気ヘッド
による記録読み取りが困難になること、また積層接合時
の圧接力によって感磁性繊維の配設位置がカード表面に
縞状に表れ、外部から簡単に感知できるようになり、ひ
いてはその部分の真偽判別情報が比較的簡単に読み取ら
れる恐れがあるためによると考えられる。
【0006】従って、感磁性繊維を用いることの利点を
より有効に生かすには、該感磁性繊維の配設によって生
じる凹凸レベルを、磁気ヘッドによる記録読み取りが確
実に行えるようにするとともに、感磁性繊維の配設位置
やランダム配列パターンを外部から感知できなくするた
めの工夫が必要となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な事情に着目して成されたものであって、その目的は、
真偽判断手段として感磁性繊維を利用する技術をさらに
改善し、感磁性繊維の配設によって生じる凹凸による読
み取りエラーを無くすとともに、感磁性繊維の配設位置
やランダム配列パターンを外部から感知できなくするこ
とにより、偽造・改ざんを確実に防止できる磁気記録カ
ード用複合基材およびそれを用いた磁気記録カードを提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者らは鋭意検討の結果、磁気記録カード用複合
基材として、特定の不透明度、見掛け比重等の特性を有
する2層のポリエステル系樹脂フィルム層間に特定の感
磁性繊維を含むシート体を配して得られる複合基材を用
いることにより、感磁性繊維の配設によって生じるカー
ド表面の凹凸を無くし、磁気ヘッドによる読み取りを確
実にするとともに、感磁性繊維の配設位置やランダム配
設パターンを前記ポリエステル樹脂層の表面側から感知
できないようにすることが可能となり偽造・改ざんを確
実に防止できることを見出したものである。
【0009】即ち、本発明は、以下のとおりである。 (1) 2つのポリエステル系樹脂フィルム間に、感磁性繊
維を含むシート体が高分子接着剤を介して積層されてな
る複合基材であって、当該ポリエステル系樹脂フィルム
の少なくとも1つが、0.3以上の光学濃度を有するこ
とを特徴とする磁気記録カード用複合基材。 (2) ポリエステル系樹脂フィルムの少なくとも1つが、
内部に微細空洞を含有するポリエステル系樹脂フィルム
である上記(1) に記載の磁気記録カード用複合基材。 (3) ポリエステル系樹脂フィルムの少なくとも1つが、
1.0〜1.3の見掛け比重を有する上記(1) に記載の
磁気記録カード用複合基材。 (4)ポリエステル系樹脂フィルムの少なくとも1つが、
少なくとも1面に易接着層を有する上記 (1)に記載の磁
気記録カード用複合基材。 (5)易接着層が、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系
樹脂、アクリル系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含
有する上記 (4)に記載の磁気記録カード用複合基材。 (6)易接着層が、ポリエステル系樹脂フィルムの延伸が
完了する前に、当該フィルム上に形成されたものである
上記 (4)または (5)に記載の磁気記録カード用複合基
材。 (7)易接着層が、さらに帯電防止剤を含有する上記 (4)
〜 (6)のいずれかに記載の磁気記録カード用複合基材。 (8)感磁性繊維を含むシート体が、繊維径5〜60μm
の感磁性繊維を1〜40g/m2 含有し、かつ見掛け厚
みが10μm以上150μm未満である上記 (1)〜 (7)
のいずれかに記載の磁気記録カード用複合基材。 (9)高分子接着剤が、芳香族ポリエステルを一成分とし
て含有するポリエステル系樹脂またはポリエステルウレ
タン系樹脂を含有する上記 (1)〜 (8)のいずれかに記載
の磁気記録カード用複合基材。 (10)高分子接着剤が架橋剤と併用される上記 (1)〜 (9)
のいずれかに記載の磁気記録カード用複合基材。 (11)架橋剤が、ブロックされたまたはフリーのイソシア
ネート基を有する多官能イソシアネート化合物あるい
は、エポキシ基またはグリシジル基を有する多官能エポ
キシ化合物、官能性アルキロール基を有する多官能メラ
ミン系化合物から選ばれた1種以上である上記(10)に記
載の磁気記録カード用複合基材。 (12)上記 (1)〜(11)のいずれかに記載の磁気記録カード
用複合基材と、当該基材上に形成される磁気記録媒体層
とを含むことを特徴とする磁気記録カード。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明の磁気記録カード用複合基材は、2つのポリ
エステル系樹脂フィルム間に、感磁性繊維を含むシート
体を積層した複合基材である。
【0011】ポリエステル系樹脂フィルムのポリエステ
ル系樹脂とは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレ
ンジカルボン酸の如き芳香族ジカルボン酸またはそのエ
ステル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサメチレングリ
コール、ネオペンチルグリコールの如きグリコール類と
を重縮合させて得られる如きポリエステルを主体とする
ものである。勿論、ポリエステル系樹脂の成分として共
重合可能な芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸類
や、芳香族、脂肪族、脂環族のグリコール類を含んでい
てもよいことは言うまでもない。
【0012】これらのポリエステルは芳香族ジカルボン
酸とグリコールとを直接反応させ、重縮合させる方法の
ほか、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコ
ールとをエステル交換反応させた後重縮合させるか、あ
るいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重
縮合させる等の方法によって製造される。かかるポリエ
ステルの代表例としてはポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレートあるいはポリエチレン2,
6−ナフタレート等が挙げられる。このポリエステルは
ホモポリマーであってもよく、第三成分を共重合したも
のであってもよい。いずれにしても本発明においては、
エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、エ
チレン2,6−ナフタレート単位が70モル%以上、好
ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%
以上であるポリエステルが好ましい。
【0013】上記ポリエステル系樹脂フィルムは、磁気
記録カードとした場合の強度、腰等の実用性の点から、
少なくとも1軸延伸配向、特に2軸延伸配向されている
ことが好ましい。
【0014】2つのポリエステル系樹脂フィルムのう
ち、感磁性繊維の配設位置が外部から見えないことか
ら、少なくとも1つは不透明であることが必要である。
本発明においては、不透明度は、可視光による透過光に
より測定される光学濃度により表され、この光学濃度の
値が大きい程、不透明度が高い。本発明では、光学濃度
は0.3以上、好ましくは0.5以上である。光学濃度
が0.3未満である場合には、磁気記録カードとした場
合に、感磁性繊維の配設位置が光学的に感知しやすくな
るとともに、表に印刷を施した場合に印刷効果が不鮮明
となる。
【0015】このような不透明なポリエステル系樹脂フ
ィルムは、例えば、ポリエステル系樹脂に、無機粒子
および/または当該樹脂に非相溶な樹脂を添加する方
法、ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂を添加、混合
した後、延伸してフィルム内に微細な空洞を形成する方
法により作成される。
【0016】ポリエステル系樹脂に無機粒子を添加す
る場合、使用する無機粒子は特に限定されないが、平均
粒径0.1〜4μm、好ましくは0.3〜1.5μmの
無機粒子を挙げられ、具体的には、酸化チタン、硫酸バ
リウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、ア
ルミナ、タルク、カオリン、クレー等あるいはこれらの
混合物であり、更に、これらの粒子と他の一般的無機粒
子、例えばリン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、ジ
ルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化
カルシウムその他と併用しても良い。無機粒子の添加量
は、特に限定されないが、ポリエステル系樹脂フィルム
中、好ましくは5〜35重量%、より好ましくは8〜2
5重量%となるように添加される。
【0017】また、ポリエステル系樹脂に当該樹脂と非
相溶の樹脂を添加する場合、使用する樹脂としては、特
に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂がポリ
エチレンテレフタレートである場合、例えば、アクリル
樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペン
テン、変性オレフィン樹脂、ポリスチレン、ポリブチレ
ンテレフタレート系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニ
レンオキサイド、ポリカーボネート等を挙げることがで
きる。このような樹脂の添加量は、特に限定されない
が、ポリエステル系樹脂フィルム中、好ましくは5〜3
5体積%、より好ましくは8〜28体積%となるように
添加される。
【0018】また、ポリエステル系樹脂に無機粒子と非
相溶な樹脂の両方を添加してもよい。さらに、必要に応
じて種々の増白剤を添加してもよい。
【0019】ポリエステル系樹脂と非相溶な樹脂を添
加、混合した後、延伸してフィルム内に微細空洞を形成
する方法の場合、ポリエステルと非相溶な樹脂として
は、特に限定されないが、例えば、ポリエステルがポリ
エチレンテレフタレートである場合、上述した樹脂を挙
げることができる。また、上述したような無機粒子を併
用してもよい。
【0020】ポリエステル系樹脂フィルムが微細空洞を
有することにより、当該フィルムの柔軟性が向上し、感
磁性繊維の配設によって生じやすい凹凸が吸収され表面
に表れにくくなるので特に効果的である。また、微細空
洞がマトリックスとの界面において光散乱を起こすこと
により不透明度が一段と向上し、前記無機粒子の添加を
減らすことができ、特に有用である。さらに、微細空洞
を含有せしめることにより、当該フィルム自体を軽量化
できるため、取扱が容易になると共に、原料コストダウ
ンや輸送コストダウン等の経済的効果も大きなものとな
る。
【0021】このような樹脂の添加量は、特に限定され
ないが、ポリエステル系樹脂フィルム中、好ましくは3
〜39重量%、より好ましくは8〜35重量%となるよ
うに添加される。3重量%未満では、空洞の生成量を多
くすることに限界があり、目的の不透明性、柔軟性、軽
量性を得られない。逆に39重量%を超える場合、ポリ
エステル樹脂の持つ耐熱性や強度、特に腰の強さが著し
く損なわれ好ましくない。
【0022】このような微細空洞を有するポリエステル
系樹脂フィルムは、好ましくは1.0〜1.3という見
かけ比重を有する。見かけ比重が1.0未満の場合に
は、磁気記録カード用複合基材とした場合、腰が不十分
となり、折れ、皺等のトラブルを生じ易いばかりでな
く、フィルムの強度が低下し劈開等の問題を生じやす
い。逆に1.3を超える場合には、軽量化や不透明化の
効果が得られにくいばかりでなく空洞によるクッション
効果が少なく、感磁性繊維の配設によって生じ易い凹凸
の吸収効果が得られにくいため、感磁性繊維の配設位置
が感知され易い結果となり好ましくない。また、このよ
うな微細空洞を含有するポリエステル樹脂フィルムは1
0〜50体積%以下の平均空洞含有率となる。
【0023】このような、微細空洞を有するポリエステ
ル系樹脂フィルムを得る方法としては、ポリエステル系
樹脂マトリックスに、当該樹脂と非相溶な樹脂を添加混
練りして微粒子状に分散させ、これをシートに成形した
後、少なくとも一軸方向に延伸することにより、微粒子
状の非相溶樹脂の周囲に空洞を発生させる方法等、既に
開示されている公知の方法を用いることができる。より
具体的には、非相溶樹脂としてポリオレフィン系樹脂
や、ポリスチレン系樹脂等を混合し延伸する方法があ
り、特にポリプロピレンや、ポリスチレンは、空洞がで
きやすい点や密度が低い点、安価である点で特に好まし
い。
【0024】これらのフィルムは、例えば、各樹脂のチ
ップを混合し押出し機内で溶融混練りした後、押出しし
て固化すること、予め混練り機によって両樹脂を混練り
したものを、更に押出し機より溶融押出しして固化する
こと、あるいはポリエステルの重合工程においてポリエ
ステルに非相溶性の熱可塑性樹脂を添加し、攪拌分散し
て得たチップを溶融押出して固化することにより、ポリ
エステル樹脂未延伸フィルムを得る。このポリエステル
樹脂未延伸フィルムは、通常、無配向若しくは弱い配向
状態のものであり、また、非相溶性の熱可塑性樹脂はポ
リエステル中に、球状若しくは楕円球状、若しくは糸状
等の様々な形状で分散した形態を取って存在する。この
フィルムには、前述の無機粒子はもちろん、本発明の目
的を阻害しないかぎり、耐光剤、蛍光剤、帯電防止剤等
各種の添加剤を併用しても良いことは言うまでもない。
【0025】こうして得たフィルムは、更に速度差を持
ったロール間での延伸や、クリップに把持して拡げるこ
とによる延伸や、空気圧によって拡げることによる延伸
やその組み合わせ等によって、少なくとも1軸に配向処
理される。このとき非相溶の熱可塑性樹脂とポリエステ
ルとの界面で剥離が起こり、樹脂混合物に空洞が多数発
生する。
【0026】本発明においては、少なくとも1つのポリ
エステル系樹脂フィルムは、磁気記録媒体層、印刷イン
キ層または接着剤層との接着性の点で、その少なくとも
一方の表面が易接着処理が施されていることが好まし
い。易接着処理の方法としては、例えば、コロナ放電処
理、プラズマ放電処理、紫外線(UV)照射処理、放射
線(EB)照射処理等の活性エネルギー線照射による方
法、火炎処理、更にPVD,CVD等のベーパーデポジ
ット法や、易接着性の樹脂等を主成分とする組成物にて
易接着層を形成する方法等が挙げられる。
【0027】これらの中でも、後述する感磁性繊維を含
むシート体および高分子接着剤との接着性の観点や、磁
気記録カード用複合基材としての、磁気記録媒体層や印
刷インキ層その他のコーティング剤との接着性の観点か
ら、少なくとも1つのポリエステル系フィルムの少なく
とも1面に易接着層を設ける方法が、最も有効な方法の
一つである。具体的には、感磁性繊維を含むシート体お
よび高分子接着剤との接着性の点から、ポリエステル系
フィルムの感磁性繊維を含むシート体の積層面に、ま
た、磁気記録カード用複合基材としての、磁気記録媒体
層や印刷インキ層その他のコーティング剤との接着性の
点から、ポリエステル系フィルムの感磁性繊維を含むシ
ート体の積層面の反対面に、それぞれ設けられる。この
ような易接着層を構成する組成物としては、ポリエステ
ル系樹脂を中心とする組成物が好ましく用いられるが、
この他にも、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂およ
びこれらの混合物や共重合物等が適用可能である。
【0028】さらに、これらの樹脂組成物のなかでも、
分子中にスルホン基を含有する水分散性の水性ポリエス
テル系樹脂と水性ポリウレタン系樹脂を混合使用する
と、磁気記録媒体層用のバインダーがセルロース系、塩
化酢酸ビニル系、ウレタン系等の場合や、印刷インキが
UV硬化型インキである場合等、通常、ポリエステルフ
ィルム表面との十分な接着性が得られにくい場合等に特
に好ましい結果を得ることができる。この場合、該水性
ポリエステル系樹脂と水性ポリウレタン系樹脂の配合は
重量比で9/1〜1/9である場合が特に好ましく用い
得る。
【0029】また、易接着層は、得られた磁気記録カー
ド用複合基材を磁気記録カード化するための種々の工
程、例えば、磁気記録媒体層のコート、印刷、断裁、打
ち抜き等における静電気トラブルの発生を防止できる点
で、さらに帯電防止剤を含有することが好ましい。帯電
防止剤としては、塗布型の帯電防止剤として一般的に用
いられているものが任意に用い得る。例えば、低分子型
の帯電防止剤としては、スルホン酸塩基や硫酸塩基、リ
ン酸塩基等を有する長鎖アルキル化合物等のアニオン系
界面活性剤型や、4級化された窒素化合物を有するカチ
オン系界面活性剤型のイオン系帯電防止剤が知られてお
り、また高分子型の帯電防止剤としては、主鎖にイオン
化された窒素原子を有するポリマーや、スルホン酸塩変
性ポリスチレン等が知られている。中でも低湿度環境下
での帯電防止効果の点からは、カチオン系界面活性剤型
のイオン系帯電防止剤が特に好ましく用い得る。
【0030】帯電防止剤の添加量としては、易接着層の
本来の目的である接着性を阻害しない限り特に制限はな
いが、易接着層組成物中の樹脂成分に対し、1〜15重
量%程度が好ましい。
【0031】また、易接着層を設ける手段としては、グ
ラビアコート、リバースコート、キスコート等のロール
コート方式、バーコート方式、エアナイフ方式、ブレー
ドコート方式やコンマコート方式、カーテンコート方
式、スプレイ方式、ディップ方式等、通常、用いられる
方法を適用することができる。
【0032】塗布する段階としては、例えば、延伸配
向処理を行う前のポリエステル系樹脂フィルムの表面に
予め塗布した後、延伸する方法、1軸方向に配向した
ポリエステル系樹脂フィルムの表面に塗布し、その後当
該方向と直角方向に配向させる方法、2軸配向処理の
終了したポリエステル系樹脂フィルムの表面に塗布する
方法等があり、いずれの方法も可能であるが、特にの
方法が、接着効果、経済性、クリーン度等の点でもっと
も好ましい方法である。易接着層の厚みとしては0.0
3〜3μmの範囲であることが好ましい。
【0033】本発明の磁気記録カード用複合基材は、2
層のポリエステル系樹脂フィルム間に、感磁性繊維を含
むシート体が積層されている。感磁性繊維は、例えば、
特開平7−197311号公報に開示された、微粒の磁
性粒子を繊維形成性の有機高分子中に均一に分散させ、
紡糸する方法等の、公知の方法によって得ることができ
る。
【0034】本発明で使用される感磁性繊維を含むシー
ト体は、感磁性繊維単独あるいは、他の合成または天然
の高分子繊維と複合した不織布、織布、編布が挙げられ
る。他の繊維と複合した不織布、織布、編布は、例え
ば、混紡、混撚、混繊、交織、交編等の方法により得ら
れる。これらの中でも、感磁性繊維の配設のランダム
性、強度、取扱性等の観点から、感磁性繊維と他の熱融
着性高分子繊維を混抄し加熱して得られたような不織布
状のシート体が最も好ましく用い得る。
【0035】感磁性繊維の繊維径としては、本発明の目
的から、5〜60μm、特に好ましくは5μm以上、4
0μm以下であることが望ましい。繊維径が5μm未満
では、その単繊維強度が不十分となり安定したシート状
態を維持するのが困難となる。逆に60μmを超える場
合には、複合基材層表面の凹凸が目立ちやすくなるた
め、好ましくない。
【0036】シート体における感磁性繊維の量はシート
1m2 当たり、好ましくは1〜40g、より好ましくは
3〜30gである。1g未満の場合には、感磁性繊維に
よる真偽情報の記録効果が不十分となり、本発明の目的
の効果を得ることができず、逆に40gを超える場合、
複合基材表面からの感知がし易くなると共に感磁性繊維
のランダム性が損なわれ易くなるため好ましくない。
【0037】シート体は、見掛け厚みが、好ましくは1
0μm以上、150μm未満、より好ましくは10μm
以上、100μm未満、特に好ましくは20μm以上、
100μm未満である。見かけ厚みが10μm未満の場
合には、シート体としての強度が十分でなく取扱が困難
であるとともに、感磁性繊維の密度も不十分となりやす
い。また、見かけ厚みが150μm以上の場合には、複
合基材の総厚みが厚くなりすぎると共に複合基材表層か
らの感磁性繊維の配設位置が感知し易くなったり、感磁
性繊維の密度が必要以上に高くなりすぎる等の不都合な
結果を生じやすいので好ましくない。
【0038】本発明では、上記の感磁性繊維を含むシー
ト体を、2つのポリエステル系樹脂フィルム間に高分子
接着剤を介して積層する。ここにいう高分子接着剤と
は、予め重合、重縮合反応等により2次元あるいは2次
元の長鎖高分子量化された接着剤は言うまでもなく、使
用前の時点で低分子或いはオリゴマー状であっても接着
工程において反応温度、時間等により、2次元あるいは
3次元の高分子化合物となる如き接着剤も含まれる。こ
れらの高分子接着剤としては、基本的には、ポリエステ
ル系樹脂フィルムと感磁性繊維を含むシート体とを接着
可能なものであれば任意に選択し得るが、中でも芳香族
ポリエステルを一成分として含有するポリエステル系樹
脂またはポリエステルウレタン系樹脂からなる接着剤
が、優れた層間接着力や強度を得られやすく好ましく用
い得る。
【0039】このようなポリエステル系樹脂としては、
例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカ
ルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、コハク酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン
酸類、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和
脂肪族ジカルボン酸類、テトラヒドロフタル酸、ヘキサ
ヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環
族ジカルボン酸類等の二塩基酸類、トリメリット酸、ト
リメシン酸、ピロメリット酸等の三塩基酸類および四塩
基酸類等の多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペ
ンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリ
コール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジメ
タノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加
物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、
水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、
水素化ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物
等の脂肪族および脂環族ジオール類、ポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレ
ングリコールその他の高分子ジオール類、さらにはトリ
メチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリ
ン、ペンタエリスリトール等のトリおよびテトラオール
等の多価アルコール類またはこれ以外の比較的高分子の
ジオールとしてε−カプロラクトン等のラクトン類を開
環重合して得られるラクトン系ポリエステルジオール類
等のポリオール類との重縮合によって得られる単独ある
いは共重合ポリエステル系樹脂が挙げられる。
【0040】ポリエステル系樹脂においては、芳香族成
分を含んでいることが好ましく、その含有量としては酸
成分またはグリコール成分のうちいずれかの30モル%
以上が芳香族成分であることが望ましい。ポリエステル
系樹脂が全て脂肪族成分からなる場合には、接着剤とし
ての物性や耐熱性等が不十分であり好ましくない。
【0041】芳香族ポリエステルを一成分として含有す
るポリエステルウレタン系樹脂としては、上述のポリエ
ステル系樹脂のようなポリエステルポリオールや、ある
いはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレ
ングリコール等のポリアルキレングリコール類等のポリ
アルキルエーテル類やポリフェニレンオキサイド等のポ
リアリールエーテル類等のポリエーテルポリオールと、
ポリイソシアネート類と反応させることによって得られ
るポリエステルウレタン系樹脂が挙げられるが、ポリオ
ール成分として上述のポリエステルポリオール成分を含
んでいると、芳香族ポリエステルを含むこととなるので
好ましい。ポリオール成分がポリエーテルポリオールの
みであるポリウレタンである場合は、接着剤としての物
性や耐熱性等が不十分であり好ましくない。もちろん、
ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールの両
方をポリオール成分としたポリウレタンであってもよ
い。
【0042】上記ポリイソシアネート類としては、トリ
レンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、
フェニレンジイソシアネート、ビフェニルメタンジイソ
シアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラ
メチレンジイソシアネート、ジメトキシビフェニレンジ
イソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジメチ
ルビフェニレンジイソシアネート、ジフェニレンジイソ
シアネート、ジイソシアネートジフェニルエーテル、キ
シリレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシ
クロヘキサン、ジイソシアネートジシクロヘキサン、ジ
イソシアネートシクロヘキシルメタン、イソホロンジイ
ソシアネート等のジイソシアネート化合物等が挙げられ
る。
【0043】上記のポリエステルウレタン系樹脂の中で
も、ウレタン系プレポリマーを得、次いでこれをさらに
ジオール類やジアミン類等によって鎖延長したものがよ
り好ましく用い得る。鎖延長剤としてのジオール類は先
述のジオール類のうち、ブタンジオール、ヘキサンジオ
ール等が、ジアミン類としてはエチレンジアミン、ヘキ
サメチレンジアミン等が有効であり代表的に用い得る。
【0044】このような高分子接着剤は、そのガラス転
移温度が−20℃〜80℃、特に−10℃〜60℃であ
ることが好ましい。ガラス転移温度が−20℃未満の場
合には接着剤としての物性や耐熱性が不十分となり、8
0℃を超える場合には接着剤がもろく接着力が得られに
くい。
【0045】高分子接着剤は、有機溶剤系または水系の
溶液または分散液の状態で使用されることが望ましい。
【0046】上記の高分子接着剤は架橋剤を併用するこ
とが望ましい。併用すべき架橋剤としては、ブロックさ
れたまたはフリーのイソシアネート基を有する多官能イ
ソシアネート化合物、あるいはエポキシ基またはグリシ
ジル基を有する多官能エポキシ化合物、官能性アルキロ
ール基を有する多官能メラミン系化合物から選ばれた1
種以上を用いることが望ましい。
【0047】中でも、上述したポリエステル系樹脂、ポ
リエステルウレタン系樹脂のような高分子接着剤との組
み合わせとしては、多官能イソシアネート化合物、特に
3官能以上のイソシアネートが好ましく用い得る。この
ような多官能イソシアネート化合物としては、メチルベ
ンゾールトリイソシアネート、ビフェニルトリイソシア
ネート、ジフェニルメタントリイソシアネート、トリフ
ェニルメタントリイソシアネート、グリセリンやトリメ
チロールプロパン等の多価アルコールにジイソシアネー
ト単量体を付加せしめたアダクト体によるポリイソシア
ネート等が挙げられる。
【0048】これらの多官能イソシアネート化合物の配
合量は、ポリエステル系樹脂またはポリエステルウレタ
ン系樹脂の求核性基、例えば、−OH、−NH、−CO
OHとの当量関係を考慮して決定されるが、通常は重量
比で、高分子接着剤/多官能イソシアネート化合物/架
橋剤=70/30〜99.9/0.1、特に80/20
〜99.5/0.5が好ましい。
【0049】本発明の磁気記録カード用複合基材として
の好適な実施態様としては、2つのポリエステル系樹脂
フィルムの厚みT1 、T2 (但しT1 ≦T2 )と、感磁
性繊維を含むシート体および高分子接着剤よりなる中間
層の厚みT3 の相対的な関係を0.1T1 <T3 <1.
5T2 の範囲とすることが望ましい。シート体のラミネ
ート法としては、不織布状等の多量の空隙を有する感磁
性繊維を含むシート体の空隙を十分に埋め、良好な層間
接着力を確保しつつ、感磁性繊維による凹凸が複合基材
シート表層に表れないようにするために、高分子接着剤
組成物の溶液または分散液の厚みが、感磁性繊維を含む
シート体の見掛け厚みの0.6〜5.0倍となるよう
に、感磁性繊維を含むシート体およびポリエステル系樹
脂フィルムの層間に供給した後、乾燥、加圧を行い張り
合わせることが、最も好ましい。この場合、高分子接着
剤組成物は有機溶剤の溶液である場合が乾燥性、生産性
等の観点からより好ましい。
【0050】高分子接着剤組成物の溶液または分散液を
感磁性繊維を含むシート体およびポリエステル系樹脂フ
ィルムの層間に供給する方法としては、外層となるべき
2つのポリエステル系樹脂フィルムのうちの1層の易接
着処理面上に感磁性繊維を含むシート体を重ね合わせ、
当該シート体面上からダイコート方式により高分子接着
剤組成物溶液または分散液の供給を行った後、直ちに一
対のロール間に導き塗布供給量の計量を行う方法が、厚
みが薄く実用強度が十分とは言えない不織布状の感磁性
繊維を含むシート体への安定な塗工、および繊維間空隙
への十分な浸透、平滑な面の形成、フィルム/シート体
界面の接着面積の確保等種々の観点からもっとも好まし
い方法である。
【0051】所定量の高分子接着剤組成物溶液が供給さ
れた後は、直ちに溶媒の乾燥が行われ、中間層を有する
2つのポリエステル系樹脂フィルムが、2本のロール間
に導かれ加熱圧着され張り合わされる。2本のロール間
で貼り合わせを行うに際し、各ロールの表面温度が30
℃〜150℃の範囲にあり、かつ複合基材表裏面の温度
差が50℃以内となる温度条件の方法を採用した場合に
おいて特に好ましい結果を得ることができる。さらに張
り合わせ時の圧力は、温度にもよるが線圧で10〜40
0kg/cmの範囲から選ばれる場合、表面の平滑性等
好ましい結果を得ることができる。また、得られた張り
合わせ複合基材をさらに少なくとも一方のロールが表面
温度が60℃以上、180℃以下の金属ローラーである
一対の加熱ローラー間で線圧50〜500kg/cmの
条件下でカレンダー処理を行う場合において、表面平滑
性の好ましい範囲が得られ易い。
【0052】以上、本発明の磁気記録カード用複合基材
の好ましい実施態様について述べたが、もとより発明
は、これらの方法に限定されるものではない。
【0053】以上のように、本発明の磁気記録カード用
複合基材は、感磁性繊維の配設によって生じることのあ
るカード表面の凹凸を無くし、磁気ヘッドによる読み取
りを確実にするとともに、当該感磁性繊維の配設パター
ンをポリエステル系樹脂フィルム層の表面側から感知で
きないようにすることが可能となり偽造・改ざんを確実
に防止できる、磁気記録カード用として非常に優れた基
材の提供が可能となった。
【0054】本発明の磁気記録カード用複合基材とし
て、これに磁気記録可能な媒体層を形成することにより
好ましい磁気記録カードが得られる。磁気記録カードの
構成としては、複合基材の片側表層に磁気記録媒体層を
塗布法により形成し、他の表層側に印刷層を設けた構成
や、さらに、該磁気記録媒体層側に感熱記録層や保護層
等を設けた構成等が挙げられる。このような構成のカー
ドは、ランダムに配設された感磁性繊維の存在により、
高精度で真偽判別が可能であるとともに、カードの表か
らはその配設位置を知ることが不可能であり偽造するこ
とができないものである。
【0055】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はもとより以下の実施例によって制限を受
けるものではない。尚、本実施例における種々の特性は
以下の如くして評価した。
【0056】1.ポリエステル系樹脂フィルムの不透明
度(光学濃度の測定) マクベス濃度計TR−972型を使用し、Gフィルター
下での透過光による光学濃度を測定した。
【0057】2.ポリエステル系樹脂フィルムの見かけ
比重 フィルムを10cm×10cmの正方形に正確に切り出
し、その厚みを50点測定して平均厚みt(単位μm)
を求める。次にサンプルの重量を0.1mgまで測定
し、w(単位g)とする。そして、下記式によって見か
け比重を計算する。 見かけ比重=(w/t)×10000
【0058】3.感磁性繊維の配設位置の判りやすさ 表面粗さ計サーフコム304B((株)東京精密製)を
用い、W(うねり)モードによる表面凹凸状態測定およ
び目視判定により判定を行い、以下のように評価した。 感磁性繊維位置が視認可 : × 感磁性繊維位置がやや判る : △ 感磁性繊維位置が視認不可 : ○
【0059】4.出力変動 下記組成の磁性塗料を作製し、グラビアコート法により
複合基材表面に塗布して厚さ10μmの磁気記録層を形
成した。得られた磁気記録媒体の再生出力を測定しその
変動により以下のように判定した。 出力変動が大きい : × 出力変動ややあり : △ 出力変動が少ない : ○ <磁性塗料の組成> Co被着γ−Fe2 3 75部 塩ビ/酢ビ系共重合樹脂 10部 ウレタン変成ポリエステル樹脂 15部 メチルエチルケトン 75部 トルエン 75部 イソシアネート系硬化剤 3部
【0060】5.印刷性 複合基材上の磁気記録層の形成面と反対面に、紫外線硬
化インキ((株)TOKA製ベストキュアー161藍及
び黄)を印刷、照射エネルギー500mJで紫外線照射
処理を行い印刷サンプルとした。得られたサンプルを目
視により以下のように判定した。 印刷部が不均一 :× 印刷部がやや不均一 :△ 印刷部が鮮明で判りやすい :○
【0061】6.層間接着性 複合基材の接合面の接着力を、引っ張り試験機(東洋ボ
ールドウイン(株)製)によるT剥離、および打ち抜き
等の実用性により評価し、結果を以下のように判定し
た。剥離箇所 感磁性繊維を含むシート体とポリエステルフィルムとの
界面で剥離 :× 感磁性繊維を含むシート体が一部凝集破壊(界面剥離が
混在) :△ ポリエステルフィルムが凝集破壊
:○接着力 弱い力で剥がれカードにできない :× 接着力が不足でカードの実用に耐えない :△ 実用上充分な接着力がある :○
【0062】7.帯電防止性 複合基材を23℃、65%RHの環境下に24時間シー
ズニングした後、超絶縁計(アドバンテスト社製R83
40)によりシート体表面の表面固有電気抵抗値(Ω・
cm)を測定した。
【0063】実施例1 固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート樹脂8
0重量%と、メルトフローインデックス5.5g/10
分のポリスチレン15重量%およびルチル型酸化チタン
5重量%よりなる樹脂組成物を285℃で溶融し、表面
温度40℃のドラム上に押し出しし、次いで得られた未
延伸シートを90℃で3.5倍縦方向に延伸した。これ
とは別に、水分散性ポリエステル系樹脂(東洋紡績
(株)製バイロナール)および水分散性ポリウレタン系
樹脂(大日本インキ化学工業(株)製ハイドラン)を固
形分重量比が5/5となるように配合した樹脂組成物中
に、該樹脂成分に対し5重量%のカチオン系帯電防止剤
を含む組成物を主成分とする易接着層塗布液を調製し、
これを、上述の一軸延伸フィルムの両面に、後述する延
伸後の固形分厚みが0.1μmとなるようにロールコー
ト法により塗布し、引き続き乾燥しつつ120℃で3.
5倍横方向に延伸した後、230℃で4%緩和させなが
ら熱処理し、厚さ75μm、内部に約25体積%の微細
空洞を含有する表面に易接着層が設けられた白色ポリエ
ステルフィルムを得た(見掛け比重1.1、光学濃度
0.92)。
【0064】Fe−Niを含むアクリルニトリル系共重
合体からなる平均繊維径20μm、平均繊維長4mmの
感磁性繊維を目付量として20g/m2 含む厚さ40μ
mの不織布状シート体を上述の白色ポリエステルフィル
ムに重ね合わせ、ラミネート装置に供給した。次いで、
酸成分としてテレフタル酸を70モル%含有する共重合
ポリエステル系樹脂(ガラス転移温度10℃)100重
量部、トリメチロールプロパンとトルイレンジイソシア
ネートの付加反応物よりなる3官能イソシアネート化合
物2重量部およびトルエン−メチルエチルケトンの混合
溶媒234重量部よりなる高分子接着剤組成物溶液を、
不織布状シート体面上からダイコート方式により供給を
行った後、直ちに一対のロール間に導き、該高分子接着
剤組成物溶液の供給厚みが120μmとなるように塗布
供給量の計量を行い、次いで直ちに60℃で溶媒の乾燥
を行った。
【0065】この高分子接着剤組成物溶液の供給面上
に、前述と同様の厚さ75μmの易接着層を有する白色
ポリエステルフィルムを易接着層を感磁性繊維側として
重ね合わせた後、2本のロール間に導き、加熱圧着し張
り合わせを行い、本発明の複合基材を得た。得られた複
合基材において、不織布状シート体と高分子接着剤組成
物より成る中間層の乾燥厚みは50μmであり、得られ
た複合基材の総厚みは200μmであった。
【0066】得られた複合基材を加熱加圧可能な対ロー
ルを有する、カレンダー処理装置に導き処理を行なっ
た。用いた対ロールはともに表面がクロムメッキ処理さ
れた金属/金属の組合せでありロール表面温度はともに
150℃、圧力は線圧250kg/cmで行なった。得
られた複合基材は室温40℃下に24時間静置しエージ
ング処理を行い評価に供した。評価を表1に示す。
【0067】実施例2 実施例1において、白色ポリエステルフィルムを、厚み
が100μmとなるように調整し、光学濃度1.20と
したこと以外は、実施例1と全く同様にして、厚さ25
0μmの複合基材を得た。得られた複合基材の評価を表
1に示す。
【0068】実施例3 実施例1において、易接着層塗布液にカチオン系帯電防
止剤を配合しなかったこと以外は、実施例1と全く同様
にして厚さ200μmの複合基材を得た。得られた複合
基材の評価を表1に示す。
【0069】実施例4 実施例1において、白色ポリエステルフィルムに易接着
層を設けなかったこと以外は、実施例1と全く同様にし
て厚さ200μmの複合基材を得た。得られた複合基材
の評価を表1に示す。
【0070】実施例5 実施例1において、ポリエステルフィルムの組成を、固
有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート樹脂75
重量%と、メルトフローインデックス5.5g/10分
のポリスチレン20重量%およびルチル型酸化チタン5
重量%とし、光学濃度1.15、見掛け比重0.9の厚
み75μmの白色ポリエステルフィルムとした以外は、
実施例1と全く同様にして厚さ200μmの複合基材を
得た。得られた複合基材の評価を表1に示す。
【0071】比較例1 実施例1において、ポリエステルフィルムの組成を、ル
チル型酸化チタンを配合せずに、固有粘度0.62のポ
リエチレンテレフタレート樹脂85重量%と、メルトフ
ローインデックス5.5g/10分のポリスチレン15
重量%とし、ポリエステルフィルムの光学濃度0.2
1、見掛け比重1.05、厚みを50μmに調整したこ
と以外は、実施例1と全く同様にして厚さ150μmの
複合基材を得た。得られた複合基材の評価を表1に示
す。
【0072】比較例2 実施例1において、ポリエステルフィルムの材料とし
て、二酸化珪素を0.05重量%含有する固有粘度0.
62のポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、光学濃
度0.04、見掛け比重1.4、厚みが75μmの透明
なポリエステルフィルムとなるように調整した以外は、
実施例1と全く同様にして厚さ200μmの複合基材を
得た。得られた複合基材の評価を表1に示す。
【0073】比較例3 実施例1において、ポリエステルフィルムの組成を、ポ
リスチレンを添加せず、固有粘度0.62のポリエチレ
ンテレフタレート樹脂95重量%とルチル型酸化チタン
5重量%とし、光学濃度0.29、見掛け比重1.4、
厚み75μmのポリエステルフィルムとした以外は、実
施例1と全く同様にして厚さ200μmの複合基材を得
た。得られた複合基材の評価を表1に示す。
【0074】比較例4 実施例1において、ポリエステルフィルムの組成を、ル
チル型酸化チタンを添加せずに、固有粘度0.62のポ
リエチレンテレフタレート樹脂85重量%と、メルトフ
ローインデックス5.5g/10分のポリスチレン15
重量%とし、ポリエステルフィルムの光学濃度0.2
1、見掛け比重1.05、厚みが50μmとなるように
調整すると共に、易接着層を設けなかったこと以外は、
実施例1と全く同様にして厚さ150μmの複合基材を
得た。得られた複合基材の評価を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】表1の結果から、実施例1〜5で得られた
磁気記録カード用複合基材は、真偽判別情報として配設
された感磁性繊維の位置が、凹凸によってもあるいは目
視や光学的方法によっても感知することが不可能であ
り、カード用として磁気記録媒体層を形成した場合の再
生出力変動もなく、また、カードとしての印刷効果にも
優れることが明らかである。これに対し、比較例1〜4
で得られた磁気記録カード用複合基材は、感磁性繊維の
感知がしやすく、出力変動も大きいため好ましくないも
のであった。
【0077】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、感磁性繊維の配設によって生じる表面の凹凸を
無くし、磁気ヘッドによる読み取りを確実にするととも
に、感磁性繊維の配設位置やランダム配設パターンを前
記ポリエステル樹脂層の表面側から感知できないように
することが可能となり、偽造・改ざんが不可能で高性能
の磁気記録カード用複合基材およびそれを用いた磁気記
録カードの提供を可能にしたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 67:00 (72)発明者 松岡 幹雄 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つのポリエステル系樹脂フィルム間
    に、感磁性繊維を含むシート体が高分子接着剤を介して
    積層されてなる複合基材であって、 当該ポリエステル系樹脂フィルムの少なくとも1つが、
    0.3以上の光学濃度を有することを特徴とする磁気記
    録カード用複合基材。
  2. 【請求項2】 ポリエステル系樹脂フィルムの少なくと
    も1つが、内部に微細空洞を含有するポリエステル系樹
    脂フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の磁
    気記録カード用複合基材。
  3. 【請求項3】 ポリエステル系樹脂フィルムの少なくと
    も1つが、1.0〜1.3の見掛け比重を有することを
    特徴とする請求項1に記載の磁気記録カード用複合基
    材。
  4. 【請求項4】 ポリエステル系樹脂フィルムの少なくと
    も1つが、少なくとも1面に易接着層を有することを特
    徴とする請求項1に記載の磁気記録カード用複合基材。
  5. 【請求項5】 易接着層が、ポリエステル系樹脂、ポリ
    ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂から選ばれた少なくと
    も1種を含有することを特徴とする請求項4に記載の磁
    気記録カード用複合基材。
  6. 【請求項6】 易接着層が、ポリエステル系樹脂フィル
    ムの延伸が完了する前に、当該フィルム上に形成された
    ものであることを特徴とする請求項4または5に記載の
    磁気記録カード用複合基材。
  7. 【請求項7】 易接着層が、さらに帯電防止剤を含有す
    ることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の磁
    気記録カード用複合基材。
  8. 【請求項8】 感磁性繊維を含むシート体が、繊維径5
    〜60μmの感磁性繊維を1〜40g/m2 含有し、か
    つ見掛け厚みが10μm以上150μm未満であること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の磁気記録
    カード用複合基材。
  9. 【請求項9】 高分子接着剤が、芳香族ポリエステルを
    一成分として含有するポリエステル系樹脂またはポリエ
    ステルウレタン系樹脂を含有することを特徴とする請求
    項1〜8のいずれかに記載の磁気記録カード用複合基
    材。
  10. 【請求項10】 高分子接着剤が架橋剤と併用されるこ
    とを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の磁気記
    録カード用複合基材。
  11. 【請求項11】 架橋剤が、ブロックされたまたはフリ
    ーのイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化
    合物あるいは、エポキシ基またはグリシジル基を有する
    多官能エポキシ化合物、官能性アルキロール基を有する
    多官能メラミン系化合物から選ばれた1種以上であるこ
    とを特徴とする請求項10に記載の磁気記録カード用複
    合基材。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれかに記載の磁
    気記録カード用複合基材と、当該基材上に形成される磁
    気記録媒体層とを含むことを特徴とする磁気記録カー
    ド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007032325A1 (ja) 2005-09-14 2007-03-22 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha ポリエステルおよびポリエステルの製造方法、ならびにポリエステル成形体

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WO2007032325A1 (ja) 2005-09-14 2007-03-22 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha ポリエステルおよびポリエステルの製造方法、ならびにポリエステル成形体

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