JPH10198952A - 磁気記録カード用複合基材の製造法 - Google Patents

磁気記録カード用複合基材の製造法

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JPH10198952A
JPH10198952A JP35884996A JP35884996A JPH10198952A JP H10198952 A JPH10198952 A JP H10198952A JP 35884996 A JP35884996 A JP 35884996A JP 35884996 A JP35884996 A JP 35884996A JP H10198952 A JPH10198952 A JP H10198952A
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magnetic
polyester
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card
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JP35884996A
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Kozo Maeda
浩三 前田
Mikio Matsuoka
幹雄 松岡
Kiyoshi Miyagi
清 宮城
Tasuku Kamisaka
佐 上坂
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部に殆ど再現不能の状態に配列された感磁
性繊維の配設位置や配設パターンを外部から感知出来な
くし、偽造・改ざんを確実に防止できる高性能な磁気記
録カード用基材の製造法を提供する。 【解決手段】 構成繊維の一部又は全部が感磁性繊維か
らなる感磁性繊維シート体を中間層として有するととも
に、ポリエステル系樹脂を主成分とするポリエステル系
フィルムを表面層及び裏面層として有するシート積層体
を、高分子接着剤により接着して製造するに当たり、ポ
リエステル系フィルムからなる表面層と裏面層の間に感
磁性繊維シート体と高分子接着剤とを供給し積層した
後、少なくとも一対の加熱ローラー間でカレンダー処理
を行うことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録カード用
複合基材の製造法に関し、特にプリペイドカードやID
カード等真正品であることが絶対的に要求されるカード
の真贋判定を確実に行うことのできる磁気記録カード用
複合基材の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、その利用が急速に増大してきてい
るプリペイドカードやIDカード、特にパチンコカード
やテレホンカード等については、記録情報の読み取りや
再加工技術が高度化してくるにつれて偽造・改ざんによ
る被害が社会問題としてしばしば取り上げられている。
一方、こうした偽造防止対策についても多くの技術が開
発されており、例えば磁気記録カードについては磁気シ
ールド等によって記録データの読取りを防止する方法等
が開発されているが、反面、偽造・改ざん技術も一段と
精緻・高度化してきており、従来のセキュリティ対策で
は対応仕切れなくなっているのが実状である。
【0003】こうした状況の下で磁気記録カードの真贋
判別をより確実に行う為に、不織布状の感磁性繊維を真
贋判別層として利用した磁気記録カードが提案された
(特開平6−227187号公報)。この技術は、磁気
記録カードにおける本来の記録データに加えて、当該カ
ードが真正なものであるか否かを判別する為の真贋判別
部として不織布状の感磁性繊維層を内蔵せしめ、感磁性
繊維層のパターンで真贋判別を行うことにより、カード
の偽造を防止するものであり、感磁性繊維がランダム方
向に複雑に絡み合って殆ど再現不可能な磁気記録層を形
成するので、カードの偽造は極めて困難になると考えら
れる。
【0004】このように、感磁性繊維を用いた真贋判別
手段は有効な方法と考えられるが、本発明者等の知る限
りにおいては、磁気記録カードとして実用化されたもの
はない。
【0005】その最大の理由は、通常、プラスチックシ
ートによって構成されるカード基材の間に感磁性繊維か
らなる不織布を挟み込むと、不織布の配設位置がカード
表面に凸状となって表れると共に感磁性繊維のパターン
がカード表面に浮き出し、磁気ヘッドによる磁気記録読
み取りが困難になること、また積層接合時の圧力を高め
ることにより表面凹凸による感磁性繊維の配列パターン
の表出をなくしたとしても、不織布の配設位置がカード
表面に縞状に表れ、不織布の配設位置を外部から簡単に
感知出来る様になり、ひいては、その部分から記録され
ている真贋判別情報が比較的簡単に読み取られてしまう
恐れがある為ではないかと考えられる。
【0006】従って、不織布状感磁性繊維を用いること
の利点をより有効に生かすには、感磁性繊維の配設によ
って生じる凹凸を無くすと共に、感磁性繊維シート体の
配設位置や感磁性繊維のランダム配列パターンを外部か
ら感知できなくするための工夫が必要となる。
【0007】このような状況に鑑み、本発明者らは感磁
性繊維を複合したカード用複合基材について好ましい構
成、方法等の検討を行い幾つかの提案を行ってきた。こ
れらの方法により安定して効率のよい生産性を得る上で
問題となる点の一つは、構成の一部又は全部が感磁性繊
維からなる感磁性繊維シート体が有する多量の空隙部分
への接着剤成分の十分で均一な浸透である。即ち、2層
のポリエステル系フィルムの中間層として通常のドライ
ラミネート法等の方法で接合する場合には、接着剤の十
分な浸透による均一な層構成を得ることが難しく、良好
な層間強度、厚みの均一性、表面平滑等を得ることが困
難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点を解決し、真偽判別手段として感磁性繊維を利
用する場合に、特に感磁性繊維がランダム方向に複雑に
絡み合って偶然性による固有の情報を持ち、殆ど再現不
能に配設された感磁牲繊維の配設によって生じる凹凸を
無くすとともに、感磁性繊維の配設位置やランダム配列
パターンを外部から感知出来なくした、偽造・改ざんを
確実に防止できる高品質のカード用複合基材を安定、か
つ、効率的に製造する方法を提供しようとするものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の平滑性に優れた磁気記録カード用複合基材
の製造法は、構成繊維の一部又は全部が感磁性繊維から
なる感磁性繊維シート体を中間層として有するととも
に、ポリエステル系樹脂を主成分とするポリエステル系
フィルムを表面層及び裏面層として有するシート積層体
を、高分子接着剤により接着して製造するに当たり、ポ
リエステル系フィルムからなる表面層と裏面層の間に感
磁性繊維シート体と高分子接着剤とを供給し積層した
後、少なくとも一対の加熱ローラー間でカレンダー処理
を行うことを特徴とする。
【0010】上記の構成からなる本発明の磁気記録カー
ド用複合基材の製造法は、磁気ヘッドによる情報読み取
りを確実に行うと共に、個々のカード用複合基材に固有
の感磁性繊維の配列パターンから真贋情報を得て、偽造
・改ざんを防止することができる高品質のカード用複合
基材を安定かつ効率的に製造することができる。
【0011】この場合において、高分子接着剤に架橋剤
を添加することができる。
【0012】上記の構成からなる磁気記録カード用複合
基材の製造法は、偽造・改ざんを防止することができる
高品質のカード用複合基材を層間接着性が優れた状態で
得ることができる。
【0013】この場合において、加熱ローラーの少なく
とも一方を金属製ローラーにより形成すると共に、該ロ
ーラーの表面温度を60〜160℃に設定することがで
きる。
【0014】上記の構成からなる磁気記録カード用複合
基材の製造法は、偽造・改ざんを防止することができる
高品質のカード用複合基材を、より安定かつ効率的に製
造することができる。
【0015】この場合において、シート積層体の巾方向
に加熱ローラー間の圧力を50〜500kgf/cmの
線圧に設定してカレンダー処理することができる。
【0016】上記の構成からなる磁気記録カード用複合
基材の製造法は、偽造・改ざんを防止することができる
高品質のカード用複合基材を、より安定かつ効率的に製
造することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録カード用
複合基材の製造法の実施の形態を説明する。
【0018】本発明の磁気記録カード用複合基材の製造
法においてはポリエステル系フィルムを表面層及び裏面
層としてシート積層体を製造する。表面層及び裏面層を
形成するポリエステル系フィルムはその重合体組成、厚
み、配向性、透明性等が同一であっても異なってもよ
い。
【0019】かかるポリエステル系フィルムの構成重合
体としてのポリエステル系樹脂とは、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の如き芳香族ジカ
ルボン酸又はそのエステルとエチレングリコール、ジエ
チレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、6−
ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールの
如きグリコール類とを重縮合させて得られるポリエステ
ル系樹脂が典型的なものである。勿論、ポリエステル系
樹脂の成分として、共重合可能な芳香族、脂肪族、脂環
族のジカルボン酸類や、芳香族、脂肪族、脂環族のグリ
コール類を含んでいてもよいことは言うまでもない。
【0020】これらのポリエステル系樹脂は芳香族ジカ
ルボン酸とグリコールとを直接反応させ、重縮合させる
ほか、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコ
ールとをエステル交換反応させた後重縮合させるか、あ
るいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重
縮合させる等の方法によって製造させる。かかるポリエ
ステル系樹脂の代表例としてはポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレートあるいはポリエチレ
ン−2,6−ナフタレート等が挙げられる。このポリエ
ステルはホモポリマーであってもよく、第三成分を共重
合したものであってもよい。いずれにしても本発明にお
いては、エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレ
ート、エチレン−2,6−ナフタレート単位が70モル
%以上、好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは
90モル%以上であるポリエステル系樹脂が好ましい。
【0021】上記ポリエステル系フィルムを用いて本発
明の磁気記録カード用複合基材を製造する場合、該ポリ
エステル系フィルムは2軸延伸配向されていることがカ
一ドの強度、腰、等実用性の点から特に好ましい。
【0022】また、本発明において用いるポリエステル
系フィルムは少なくともその一部が不透明であることが
好ましい。特に、感磁性繊維シート体に積層するポリエ
ステル系フィルムの全面、または少なくともその一部、
具体的には情報記録部即ち磁化位置に対応するポリエス
テル系フィルムの部分、を不透明にしておけば、感磁性
繊維シート体の配設位置や感磁性繊維の配列パターンを
外部から感知することが出来なくなり、不規則に配列さ
れた感磁性繊維の配列パターンが、殆ど再現不可能な固
有のランダム配列であることも相まって、結局のとこ
ろ、まったく同じ真贋情報パターンを再生して同一のカ
ードを偽造することを事実上阻止することが出来るので
ある。
【0023】不透明なポリエステル系フィルムは、その
不透明度は光学濃度0.3以上であることが望ましく、
0.5以上であることが特に好ましい。光学濃度が0.
3未満である場合には磁気記録カードとした場合に感磁
性繊維の配設位置が光学的に感知しやすくなるととも
に、表に印刷を施した場合に印刷効果が不鮮明となる傾
向がある。
【0024】不透明なポリエステル系フィルムを製造す
る方法は特に限定されないが、通常は無機粒子又はポリ
エステル系樹脂と非相溶の樹脂の添加により製造するこ
とが出来る。上記の光学濃度を得る方法は特に限定され
ないが、フィルムの構成成分中、無機粒子の場合5〜3
5重量%、好ましくは8〜25重量%である。一方、ポ
リエステル系樹脂に非相溶の樹脂を添加する場合は、5
〜35体積%、好ましくは8〜28体積%である。
【0025】使用する無機粒子は特に限定されないが、
平均粒径0.1〜4μm、好ましくは0.3〜1.5μ
mの無機粒子を挙げることが出来る。具体的には、酸化
チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウ
ム、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレー等或
いはこれらの混合物であり、更に、他の一般的無機粒子
例えばリン酸カルシウム、雲母、へクトライト、ジルコ
ニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化カル
シウムその他と併用しても良い。
【0026】また、ポリエステル系樹脂と非相溶の樹脂
としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン
テレフタレートと混合するケースについて言えば、アク
リル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチル
ペンテン、変成ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリブ
チレンテレフタレート、フェノキシ樹脂、ポリフェニレ
ンオキサイド、ポリカーボネート等を挙げることが出
来、当然のことながら前記無機粒子と併用することも出
来る。また必要に応じて種々の増白剤等を添加してもよ
いことは言うまでもない。
【0027】さらに、本発明において用いる複合基材に
おけるポリエステル系フィルムは、少なくともその1層
が微細空洞含有熱可塑性ポリエステル系フィルムによっ
て構成されていることが好ましい。ポリエステル系フィ
ルムが微細空洞を有することにより、フィルムの柔軟性
が向上し、感磁性繊維シート体の配設によって生じやす
い凹凸が吸収され、シート積層体の表面に現れにくくな
ることにより特に効果的である。また、上記微細空洞含
有ポリエステル系フィルムの含有する微細空洞がマトリ
ックスとの界面において光散乱を起こすことにより不透
明度が一段と向上し、前記無機粒子の添加を減らすこと
が出来、特に有用である。更に、微細空洞を含有せしめ
ることにより、ポリエステル系フィルム自体を軽量化で
きるため、取扱いが容易になると共に、原料コストダウ
ンや輸送コストダウン等経済的効果も大きなものとな
る。
【0028】このような、微細空洞含有ポリエステル系
フィルムを得る方法としては、該熱可塑性ポリエステル
系樹脂マトリックスに対し前述の非相溶樹脂を添加混練
りし微粒子状に分散させたシートを少なくとも一軸方向
に延伸することにより、該非相溶樹脂微粒子の周囲に空
洞を発生させる方法等、既に開示されている公知の方法
を用いることが出来る。より具体的には、例えば、熱可
塑性樹脂マトリックスとしてのポリエステルに対し非相
溶樹脂としてポリオレフィン系樹脂や、ポリスチレン系
樹脂、ポリアリレート樹脂等を混合し延伸する方法があ
り、特にポリプロピレンや、ポリスチレンは、空洞が出
来やすい点や密度が低い点、安価である点で特に好まし
い。
【0029】このような熱可塑性ポリエステル樹脂混合
物は、例えば、各樹脂のチップを混合し押出し機内で溶
融混練りした後、押出しして固化することによって得る
方法や、予め混練り機によって両樹脂を混練りしたもの
を、更に押出し機より溶融押し出しして固化する方法
や、ポリエステルの重合工程においてポリエステルに非
相溶性の熱可塑性樹脂を添加し、撹拌分散して得たチッ
プを溶融押出しして固化する方法等によって得られる。
固化して得られたポリエステル未延伸シートは通常、無
配向若しくは弱い配向状態のものである。また、ポリエ
ステルに非相溶性の熱可塑性樹脂はポリエステル中に、
球状、楕円球状又は糸伏等様々な形状で分散した形態を
取って存在する。該樹脂混合物には、前述の無機粒子は
もちろん、本発明の目的を阻害しないかぎり、耐光剤、
蛍光剤、帯電防止剤等各種の添加剤を併用しても良いこ
とは言うまでもない。
【0030】こうして得た樹脂混合物は、更に速度差を
持ったロール間での延伸、クリップに把持して拡げるこ
とによる延伸、空気圧によって拡げることによる延伸
等、またその組み合わせた延伸等によって、少なくとも
1軸に配向処理する。このときポリエステル中に分散し
た非相溶の熱可塑性樹脂との界面で剥離が起こり、樹脂
混合物に空洞が多数発生すると共に自化している。
【0031】微細空洞含有ポリエステル系フィルムを得
るために、ポリエステルに混合するポリエステルに非相
溶性の熱可塑性樹脂の量は、目的とする空洞の量によっ
て異なるが樹脂混合物全体に対し3〜39重量%が好ま
しく、特に8〜35重量%が好ましい。3重量%未満で
は、空洞の生成量を多くすることに限界があり、目的の
柔軟性や軽量性を得られない。逆に39重量%を越える
とポリエステル系樹脂の持つ耐熱性や強度、特に腰の強
さが損なわれることになり好ましくない。本発明方法で
用いる空洞含有ポリエステル系フィルムの平均空洞含有
率は10〜50体積%であることが好ましい。
【0032】さらに、本発明で用いるポリエステル系フ
ィルムは少なくとも一方の表面が易接着処理がなされて
いることが好ましい。
【0033】易接着処理の方法としては、公知の方法を
適用することができるが、例えばコロナ放電処理、プラ
ズマ放電処理、紫外線(UV)照射処理、放射線(E
B)照射処理等の活性エネルギー線照射による方法、火
炎処理、更にPVD、CVD等のペーパーデポジット法
や、易接着性の樹脂等を主剤とする組成物をポリエステ
ル系フィルム表面に塗布する方法等が挙げられる。
【0034】なかでも、ポリエステル系フィルムの表面
に易接着性樹脂の塗布層を設ける方法が、本発明の構成
における感磁性繊維シート体及び高分子接着剤との接着
性の観点や、カード用複合基材として磁気記録媒体層や
印刷インキ層その他のコーティング剤をさらに積層する
際の接着性の観点から、もっとも有効な方法の一つであ
る。この様な塗布層を構成する組成物としては、ポリエ
ステル系樹脂が好ましいが、この他にも、ポリウレタン
系樹脂、アクリル系樹脂及びこれらの混合物や共重合物
等の通常のポリエステル系フィルムの接着性を向上させ
る手段ととして開示されている化合物等が適用可能であ
る。
【0035】また、塗布層を設ける手段としては、グラ
ビアコート、リバースコート、キスコート等のロールコ
ート方式、バーコート方式、エアナイフ方式、ブレード
コート方式やコンマコート方式、カーテンコート方式、
スプレイ方式、ディップ方式等通常用いられている方法
を適用することができる。
【0036】塗布する段階としては、延伸配向処理を行
う前のポリエステル系フィルム表面にあらかじめ塗布す
る方法、1軸方向に配向したポリエステル系フィルム表
面に塗布し、それを更に直角方向に配向させる方法、2
軸配向処理の終了したポリエステル系フィルム表面に塗
布する方法等任意の方法が可能であるが、特に1軸配向
したフィルム表面に塗布した後直角方向の延伸配向、結
晶化を完了させる方法が接着効果、経済性、クリーン度
等の点でもっとも好ましい方法である。
【0037】本発明の磁気記録カード用複合基材に用い
る感磁性繊維は、感磁性繊維を形成する磁性材料、例え
ばFe−Si、Fe−Al、Fe−Si−Al、Fe−
Si−B、Fe−Ni、Fe−Co,Fe−Ni−C
o、Fe−Sn、Fe‐As、Fe‐P等を単独または
必要により2種以上を併用し、それ自身で繊維状に加工
し、あるいはこれら磁性材料の粉末を樹脂等に混入して
繊維状に加工して得ることができる。さらに具体的に
は、例えば特開平7−197311号公報に開示され
た、微細な磁性粒子を繊維形成性の有機高分子中に均一
に分散させ、紡糸する方法等、公知の方法によって得る
ことが出来る。
【0038】本発明では、この様な感磁性繊維シート体
を用いる。感磁性繊維シート体は、感磁性繊維単独ある
いは、他の合成又は天然の高分子繊維と複合した不織
布、織布、編布によって得られる。他の繊維との複合の
方法は、例えば混紡、混撚、混繊、交織、交編等の方法
が用いられる。中でも、感磁性繊維の配設のランダム
性、強度、取扱性等の観点から、感磁性繊維と他の熱融
着性高分子繊維を混抄し加熱して得た不織布伏のシート
が最も好ましい。
【0039】このような感磁性繊維の内、本発明の目的
にはその繊維径が5〜60μm、より好ましくは5〜4
0μmであることが好ましい。繊維径が5μm未満で
は、その単繊維強度が不十分となり安定したシート状態
を維持するのが困難となる。また、60μmを超える場
合には、複合基材表面の凹凸が目立ちやすくなるため、
好ましくない。
【0040】感磁性繊維シート体における感磁性繊維の
必要量は通常1〜30g/m2であり、より好ましくは
3〜20g/m2である。1g/m2未満の場合には感磁
性繊維による真偽情報の記録効果が十分ではなく、本発
明方法で得られた磁気記録カード用複合基材の効果を得
ることが困難な傾向にある。また、30g/m2を超え
る場合には複合基材表面からその存在の感知が容易にな
ると共に感磁性繊維のランダム性が損なわれ易くなるた
め好ましくない。また感磁性繊維シート体の見掛け厚み
は通常の磁気記録カード用途には10〜150μm、好
ましくは10〜100μm、特に好ましくは20〜10
0μmである。シート体厚みが10μm未満の場合に
は、感磁性繊維シート体としての強度が低くなり取扱い
を慎重にする必要があるとともに、感磁性繊維の密度も
不十分となりやすい。また、感磁性繊維シート体厚みが
150μmを越える場合には、複合基材の総厚みが厚く
なりすぎると共に複合基材表層からの感磁性繊維の配設
位置が感知し易くなったり、感磁性繊維の密度が必要以
上に高くなりすぎる等不都合な結果を生じやすいので好
ましくない。
【0041】本発明方法では、上記の感磁性繊維シート
体を、ポリエステル系フィルムからなる表面層と裏面層
との間に接合するために、高分子接着剤を用いて積層す
る。ここに言う高分子接着剤とは、かかる接着工程に供
与する時点において既に高分子状であるものでもよく供
与時点において単量体又はオリゴマー状態のものであっ
ても、接着、後処理工程中に3次元化あるいは鎖延長等
の反応により結果的に高分子状となるものであってもよ
い。このような高分子接着剤の種類としては、基本的に
は、ポリエステル系フィルムと感磁性繊維シート体とを
接合可能なものであれば任意に選択できるが、なかでも
芳香族ポリエステルを一成分として含有するポリエステ
ル系樹脂又はポリウレタン系樹脂からなる接着剤である
場合が、優れた層間接着力や強度を得やすく好ましく用
いられる。この様なポリエステル系接着剤の例として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボ
ン酸等の芳香族ジカルボン酸類、コハク酸、アジピン
酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸
類、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和脂
肪族ジカルボン酸類、テトラヒドロフタル酸、へキサヒ
ドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族
ジカルボン酸類など二塩基酸類及びトリメリット酸、ト
リメシン酸、ピロメリット酸等の三及び四塩基酸類など
多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、ペン
タンジオール、へキサンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジメ
タノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加
物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、
水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、
水素化ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加
物、等の脂肪族及び脂環族ジオール類やポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコールその他の高分子ジオール類、さらにはト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセ
リン、ペンタエリスリトール等のトリ及びテトラオール
等の多価アルコール類又はこれ以外の比較的高分子量の
ジオールとしてε−カプロラクトン等のラクトン類を開
環重合して得られるラクトン系ポリエステルジオール類
などのジオールとの重縮合によって得られる単独あるい
は共重合ポリエステル系樹脂を挙げることができる。ま
た、ポリウレタン系接着剤の例としては、上記ポリエス
テル型ポリオール及びポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、
ポリヘキサメチレングリコールのようなポリアルキレン
グリコール類等のポリアルキルエーテル類やポリフェニ
レンオキサイド等のポリアリールエーテル類等のポリエ
ーテル型ポリオール成分とポリイソシアネート類と反応
させることによって得られるポリウレタン系樹脂を挙げ
ることができる。上記ポリイソシアネート類としては、
トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、フェニレンジイソシアネート、ビフェニルメタンジ
イソシアネート、へキサメチレンジイソシアネート、テ
トラメチレンジイソシアネート、ジメトキシビフェニレ
ンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジ
メチルビフェニレンジイソシアネート、ジフェニレンジ
イソシアネート、ジイソシアネートジフェニルエ一テ
ル、キシリレンジイソシアネート、ジイソシアネートメ
チルシクロヘキサン、ジイソシアネートジシクロヘキサ
ン、ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、イソホロ
ンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物等があ
る。このうち、得られたウレタン系プレポリマーをさら
にジオ一ル類やジアミン類等によって鎖延長したものが
より有効に用い得ることができる。鎖延長剤としてのジ
オール類は先述のジオール類のうち、ブタンジオール、
ヘキサンジオール等が、ジアミン類としてはエチレンジ
アミン、へキサメチレンジアミン等が有効であり代表的
に用いられる。
【0042】これらのうちポリウレタン系接着剤におい
てはポリオ一ル成分としてポリエステルポリオール成分
を含んでいるポリエステルウレタン系接着剤であること
が好ましい。ポリオール成分がポリエーテルポリオール
のみから形成されたポリエーテルポリウレタン系接着剤
である場合は本発明の複合基材の製造法において得られ
る複合基材の層間接着剤としての物性や耐熱性等がポリ
エステルポリウレタン系接着剤ほど十分ではなく、相対
的に好ましくない。
【0043】もちろん、ポリエステルポリオールを含む
ポリエステルウレタンの共重合成分として先に挙げたポ
リエーテルポリオールを含んでいることは一向に差し支
えない。
【0044】また、ポリエステル系樹脂接着剤は、その
重合成分中に芳香族核を含んでいることが特に好まし
い。その含有量としては酸成分又はジオール成分のうち
いずれかの30モル%以上が芳香族成分であることが望
ましい。ポリエステル系樹脂接着剤が全て脂肪族成分か
らなる場合には、本発明方法において用いる層間接着剤
としての物性や耐熱性等が不十分であり好ましくない。
【0045】本発明方法において用いる高分子接着剤成
分は、そのガラス転移点が−20〜80℃の範囲である
ことが好ましく、−10〜60℃の範囲であることが特
に好ましい。ガラス転移点が−20℃未満の場合には層
間接着剤としての物性や耐熱性が不十分となり、80℃
を超える場合には接着剤層がもろく充分な層間接着力が
得られにくく、好ましくない傾向を示す。
【0046】本発明の高分子接着剤には上記の接着剤に
加えて架橋剤を併用することが望ましい。架橋剤として
は、ブロックされた又はフリーのイソシアネート基を有
する多官能イソシアネート化合物、エポキシ又はグリシ
ジル基を有する多官能エポキシ化合物又は官能性アルキ
ロール基を有する多官能メラミン系化合物から選ばれた
1種以上を用いることが望ましい。なかでも、前述のポ
リエステル系又はポリウレタン系接着剤、特にポリエス
テルウレタン系接着剤との組み合わせとしては、多官能
イソシアネート化合物である場合が好ましく、特に、3
官能以上のイソシアネートが好ましい。この様な多官能
イソシアネート化合物としては、メチルベンゾールトリ
イソシアネート、ビフェニルトリイソシアネート、ジフ
ェニルメタントリイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネート、グリセリンやトリメチロールプロ
パン等の多価アルコールにジイソシアネート単量体を付
加せしめたアダクト体によるポリイソシアネート等を例
示することが出来る。これら架橋剤としての多官能化合
物の配合割合は、ポリエステル系樹脂又はポリウレタン
系樹脂の求核性基例えば、−OH、−NH、−COOH
との当量関係を考慮し、添加量を決定することが好まし
く、通常は重量比で高分子接着剤/架橋剤が70/30
〜99.9/0.1が好ましく、80/20〜99.5
/0.5の範囲が特に好ましく用いられる。
【0047】本発明方法においては、上記の如き磁気記
録カード用複合基材としてのシート積層体を好適に得る
ための製造方法にその特徴を有する。
【0048】即ち、一般に2層のフィルム間に不織布等
をラミネートしようとする場合には、各々のフィルムの
接着面側にそれぞれ別工程で接着剤の塗布・乾燥を行っ
た後、層間に該不織布を導き3層を圧着貼り合わせする
方法が考えられる。
【0049】しかし、このような方法を適用しようとす
る場合、感磁性繊維を含む不織布層中に接着剤が浸透し
ないため、接着する個所がフィルム層との界面のみとな
り充分な接着力が得られない。そして、空隙を持った感
磁性繊維層が中間層として存在するため得られるシート
積層体の腰が充分でなく、感磁性繊維シート体の凹凸を
充分吸収することが出来ないため、得られるシート積層
体の表面凹凸が目立ちやすく、セキュリティ上好ましく
ない。さらに、表裏2層のフィルムそれぞれに塗布層を
設ける必要があるため2工程が必要となり、各々をいっ
たん巻き取る場合には巻き取りブロッキング等の問題を
生じやすく、同一工程の中で行おうとするには塗布設備
が2ヘッド、2乾燥を要し非常に大がかりで複雑な設備
となり経済性の観点からも好ましくない。
【0050】このような状況のもとで、本発明者らは、
先に高分子接着剤溶液を感磁性繊維シート体及び2層の
ポリエステル系フィルムの層間に供給する好ましい方法
についての提案をした。即ち、2層のポリエステル系フ
ィルム層のうちの1層の面上に感磁性繊維含有シート体
を重ね含わせ、該感磁性繊維を含有するシート体面上か
ら高分子接着剤組成物溶液の供給を行った後、該重ね合
わせシートを一対の計量部間隙に導き塗布量の計量を行
い、乾燥の後、他の1層のポリエステル系フィルム層と
接合し、加熱圧着を行う方法である。
【0051】このような方法によれば、厚みが薄く実用
強度が十分とは言えない不織布状感磁性繊維シート体ヘ
の安定な塗工、及び感磁性繊維シート体中の空隙への十
分な浸透、シート積層体の平滑な表面の形成、厚みの均
一性、フィルム/感磁性繊維シート体界面の接着面積確
保と層間強度確保、等の観点から目的のシート積層体を
好ましく得ることが出来る。
【0052】本発明方法は、このような方法をさらに改
良し、より高度な表面平滑性や均一性、接着力を得る方
法について鋭意検討の結果、到達したものであり、上述
の如く、表裏2層のポリエステル系フィルム間に感磁性
繊維シート体と高分子接着剤を中間層として配して得ら
れたシート積層体を、さらに少なくとも一対の加熱ロー
ラー間で特定条件下のカレンダー処理を行なうことで、
特に高度な平滑性が得られ、シート積層体の一体感がよ
り向上することにより、磁気記録カード用複合基材とし
て、もはや感磁性繊維の存在を認知することができない
レベルに達することを見いだしたものである。
【0053】本発明方法で複合基材を製造するにあたっ
て、貼り合わせ時に2層のポリエステル系フィルムの間
に位置する中間層を構成する感磁性繊維シート体と、必
要により架橋剤を含む高分子接着剤の厚みの相対的な関
係は、重要なポイントの一つである。
【0054】ここで、供給される高分子接着剤の形態は
有機溶剤系又は水系の溶液又は分散液状であることが望
ましく、本発明において用いる不織布状等の多量の空隙
を有する感磁性繊維シート体の空隙を十分に埋め、良好
な層間接着力を確保しつつ、感磁性繊維シート体からな
る磁性体による凹凸が複合基材表層に現れないようにす
るには、高分子接着剤を溶液又は分散液の状態で感磁性
繊維シート体の厚みに対し、特定の範囲で供給した場合
がもっとも好適である。
【0055】即ち、複合基材の中間層において、供給す
べき高分子接着剤の溶液又は分散液の厚みを、感磁性繊
維シート体の見掛け厚みの0.6〜5.0倍となるよう
に供給した後、乾燥、圧着を行い貼り合わせた場合がよ
り好ましい結果を得ることができる。この場合、高分子
接着剤は有機溶剤の溶液である場合が乾燥性、生産性等
の観点からより好ましい。該高分子接着剤溶液の濃度
は、高分子接着剤の種類、架橋剤の種類、感磁性繊維シ
ート体の厚み、目付等によって適宜選択することが出来
るが、通常は、10〜80重量%であり、20〜50重
量%の間である場合がもっとも好ましい。
【0056】本発明の製造法においては、以上のように
特定の貼り合わせにより得られたシート積層体を、さら
に一対の加熱ローラー間に導き加圧してカレンダー処理
を行なう。このような加熱ローラー間の処理は、以下に
示す条件が満足されれば1回の処理で充分であるが、2
対以上の加熱ローラーにより多段の処理を行なうことも
もちろん可能であり、効率、精度、均一性等、より好ま
しい結果が得られ易い。カレンダー処理を行う際の、対
になったローラーは、少なくともその一方の材質が金属
又は処理された金属表面を有するロールであることが好
ましく、金属と金属の組み合わせである場合が特に好ま
しい。ここで、処理された金属表面とはクロムメッキ処
理や、フッ素系樹脂、セラミック等によるコーティング
処理等を意味し、このような処理は加工工程における汚
れや粘着防止等の観点からも好ましい結果を得られ易
い。さらに該金属ロール表面の仕上げが鏡面である場合
により好ましい結果が得られ易い。金属以外で処理され
たロール表面としては、コットン、ぺーパー、ゴム、樹
脂等が挙げられる。
【0057】また、カレンダー処理用の対の加熱ローラ
ーは、その少なくとも一方の表面温度が60〜160℃
である組み合わせを少なくとも1対有していることが好
ましい。また2本の対ローラーはできるだけ温度差が小
さいことがシート積層体の平面性、カール等の観点から
望ましい。対ロールの表面温度がともに60℃を下回る
場合には、得られるシート積層体の表面平滑性改良効果
が充分に発揮されにくい。また、いずれかのローラーの
表面温度が160℃を超える場合には、カール、波打ち
等得られるシートの平面性の観点から不都合な結果をま
ねきやすく好ましくない。最も好ましいカレンダー処理
は予熱ロール、加熱ロール、冷却ロールの多段配置によ
る処理を行うことである。
【0058】さらに、上記カレンダー処理時の一対の加
熱ローラー間の圧力は、シート積層体及び各々の構成材
の厚み、さらには処理時の温度にもよるが、シート積層
体の巾方向に50〜500kgf/cmの線圧である場
合において好ましい結果を得ることが出来る。50kg
f/cm未満である場合には目的の表面平滑性改良効果
を充分得ることが困難であり、500kgf/cmを超
える場合にはシート積層体の変形が大きく厚み低下や、
逆に平面性の悪化等を招き易い。
【0059】以上のように、本発明の製造法において
は、特定の層構成及び貼り合わせ方法で得られるシート
積層体を特定条件下の少なくとも一対の加熱ローラー間
でカレンダー処理を行なうことにより、感磁性繊維の配
設によって生じることのあるカード用複合基材の表面の
凹凸を無くし、より平滑で均一な表面とし、磁気ヘッド
による読み取りを確実にするとともに、感磁性繊維の配
設パターンをポリエステル系フィルムの表面側からまっ
たく感知出来ず、その存在すら知ることが出来ないよう
にすることが可能となり、偽造・改ざんを確実に防止出
来る、磁気記録カード用として非常に優れた基材を安定
に、経済的に提供することを可能にすることが出来る。
【0060】本発明の方法で得られたシート積層体を磁
気記録カード用複合基材として、その外表面層上に磁気
記録可能な媒体層を形成することにより磁気記録カード
が得られる。磁気記録カードの構成としては、複合基材
の片側表面層に磁気記録媒体層を塗布法により形成し、
他の表層側(即ち裏面層)に印刷層を設けた構成や、さ
らに、上記磁気記録媒体層側にさらに感熱記録層や保護
層等を設けた構成等が挙げられる。このような構成のカ
ードは、ランダムに配設された感磁性繊維の存在によ
り、高精度で真贋判別が可能であるとともに、カードの
表面からはその配設位置を知ることが不可能であり偽造
をすることが出来ないものである。
【0061】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はもとより以下の実施例によって制限を受
けるものではない。
【0062】なお、本明細書中における種々の特性は以
下の方法により評価した。
【0063】(1)感磁性繊維シート体の配設位置の判
りやすさ 1)表面凹凸 表面粗さ計サーフコム304B((株)東京精密製)を
用い、うねりモードで表面の凹凸状態を測定し、得られ
た値を次のランクにより層別した。
【0064】2)目視判定
【0065】(2)出力変動 下記組成の磁性塗料を作製し、グラビアコート法により
シート積層体表面に塗布して厚さ10μmの磁気記録層
を形成した。得られた磁気記録媒体の再生出力を測定し
その変動により以下のように判定した。 出力変動が大きい × 出力変動ややあり △ 出力変動が小さい ○ (磁性塗料の組成) Co被着γ−Fe23 75部 塩ビ/酢ビ系共重合樹脂 10部 ウレタン変成ポリエステル樹脂 15部 メチルエチルケトン 75部 トルエン 75部 イソシアネート系硬化剤 3部
【0066】(3)平面性 シート積層体を広幅、張力下で低速で走行させながら表
面に斜めより光を当て、反射光により、うね、筋立ち等
の平面性を以下の様に判定した。 うね、筋立ち等が目立つ × うね、筋立ちがやや判る △ うね、筋立ちがなく平面性良好 ○
【0067】(4)カール シート積層体をカードサイズに断裁し、JISーXー6
311の反り試験に準じて評価し、以下のように判定し
た。 最大高さが1mmより大 × 最大高さが0.5〜1mm △ 最大高さが0.5mm未満 O
【0068】(5)層間接着性 シート積層体の接合面の接着力を、引っ張り試験機(東
洋ボールドウイン(株)製)によるT剥離、打ち抜き、
折り曲げ試験等の実用性により評価し、結果を以下のよ
うに判定した。 接着力が不足でカ一ドの実用に耐えない × 実用上接着力がやや不十分 △ 実用上充分な接着力がある ○
【0069】(実施例1)固有粘度0.62のポリエチ
レンテレフタレート80重量%、メルトフローインデッ
クス5.5g/10分のポリスチレン15重量%及びル
チル型酸化チタン5重量%からなる樹脂組成物を285
℃で溶融し、表面温度40℃のドラム上に押し出しし、
次いで得られた未延伸シートを90℃で3.5倍縦方向
に延伸した。得られた一軸延伸フィルムの両面に、水分
散性ポリエステル系樹脂を主成分とする易接着性水性コ
ート剤をロールコート法により塗布し、引き続き乾燥し
つつ120℃で3.5倍横方向に延伸した後、230℃
で4%緩和させながら熱処理し、厚さ75μmの内部に
約25体積%の微細空洞を含有する表面に易接着処理さ
れたポリエステル系フィルムロールを得た。該易接着性
ポリエステル系フィルムと、Fe−Niを含むアクリル
ニトリル系共重合体からなる平均繊維径30μm、平均
繊維長4mmの感磁性繊維を目付量として15g/m2
含む厚さ45μmの感磁性繊維シート体を重ね合わせ、
ラミネート装置に供給し、該感磁性繊維シート体表面上
からダイコート方式により、酸成分としてテレフタル酸
を70モル%含有する共重合ポリエステル系樹脂(ガラ
ス転移点10℃)100重量部、トリメチロールプロパ
ンとトルイレンジイソシアネートの付加反応物よりなる
3官能イソシアネート化合物2重量部及びトルエン、メ
チルエチルケトンの混合溶媒234重量部からなる高分
子接着剤組成物溶液の供給を行った後、直ちにこの重ね
合わせシートを一対のロール間に導き、上記高分子接着
剤組成物溶液の供給厚みが120μmとなるように塗布
供給量の計量を行い、60℃の乾燥ゾーンで溶媒の乾燥
を行い、次いで塗布供給面上に前述の厚さ75μmのポ
リエステル系フィルムをもう1層重ね合わせた後、中間
層を有する2層のポリエステル系フィルムを、2本のロ
ール間で圧着し貼り合わせを行った。この場合、感磁性
繊維シート体と高分子接着剤組成物からなる中間層の乾
燥厚みは50μmであり、得られたシート積層体の総厚
みは200μmであった。
【0070】得られたシート積層体を加熱加圧可能な対
ロールを有する、カレンダー処理装置に導き処理を行な
った。用いた対ロールはともに表面がクロムメッキ処理
された金属/金属の組合せでありロール表面温度は共に
100℃、圧カは線圧200kgf/cmに設定して行
なった。得られた処理シート積層体の評価結果を表1に
示す。
【0071】(実施例2)カレンダー処理対ロールの一
方をコットンロールとし表面温度50℃、処理圧力を線
圧100kgf/cmとした以外は実施例1と同様にし
て厚さ200μmのシート積層体を得た。得られたシー
ト積層体の評価結果を表1に示す。
【0072】(実施例3)カレンダー処理圧力を線圧3
0kgf/cmとした以外は実施例2と同様にして厚さ
200μmのシート積層体を得た。得られたシート積層
体の評価結果を表1に示す。
【0073】(実施例4)カレンダー処理対ロールの金
属ロール側表面の温度を50℃、コットンロール側表面
の温度を30℃とした以外は実施例2と同様にして厚さ
200μmのシート積層体を得た。得られたシート積層
体の評価結果を表1に示す。
【0074】(実施例5)カレンダー処理対ロールの一
方をコットンロール、他の一方をゴムロールとし各々の
表面温度を100℃及び50℃とした以外は、実施例2
と同様にして厚さ200μmのシート積層体を得た。得
られたシート積層体の評価結果を表1に示す。
【0075】(実施例6)カレンダー処理対ロールの表
面温度を共に30℃とした以外は、実施例1と同様にし
て厚さ200μmのシート積層体を得た。得られたシー
ト積層体の評価結果を表1に示す。
【0076】(実施例7)カレンダー処理圧力を線圧5
20kgf/cmとする以外は、実施例1と同様にして
厚さ200μmのシート積層体を得た。得られたシート
積層体の評価結果を表1に示す。
【0077】(実施例8)カレンダー処理対ロールの一
方の表面温度を180℃、他の一方を100℃とした以
外は実施例1と同様にして厚さ200μmのシート積層
体を得た。得られたシート積層体の評価結果を表1に示
す。
【0078】(比較例1)カレンダー処理を行なわなか
った以外は実施例1と全く同様にして厚さ200μmの
シート積層体を得た。得られたシート積層体の評価結果
を表1に示す。
【0079】(比較例2)カレンダー処理対ロールの表
面温度を共に30℃とした以外は実施例5と同様にして
厚さ200μmのシート積層体を得た。得られたシート
積層体の評価結果を表1に示す。
【0080】以上、表1の結果から、本発明の方法で得
られた実施例の複合基材は、真贋判別情報として配設さ
れた感磁性繊維の位置が、凹凸によってもあるいは目視
や光学的方法によっても感知することが不可能であり、
カード用として磁気記録媒体層を形成した場合の再生出
力変動もなく、又、カード用複合基材としてカールも少
なく優れた平面性を有し、各層の層間接着性も十分な複
合基材を得ることが可能であることがわかる。これに対
し、カレンダー処理を行なわない比較例1は、磁気記録
カードとして、より優れた機能を得るためには不十分で
あることが判る。また、カレンダーロールの材質や、温
度、圧力等が好ましい範囲内である場合には特に好まし
い結果が得られ易いことが判る。
【0081】
【表1】
【0082】
【発明の効果】請求項1記載の発明の磁気記録カード用
複合基材の製造法は、磁気ヘッドによる情報読み取りが
確実に行えると共に、個々のカード用複合基材に固有の
感磁性繊維の配列パターンから真贋情報を得て、偽造・
改ざんを防止することができる高品質のカード用複合基
材を安定かつ効率的に製造することができる。
【0083】請求項2記載の磁気記録カード用複合基材
の製造法は、偽造・改ざんを防止することができる高品
質のカード用複合基材を層間接着性が優れた状態で得る
ことができる。
【0084】請求項3記載の磁気記録カード用複合基材
の製造法は、偽造・改ざんを防止することができる高品
質のカード用複合基材を、より安定かつ効率的に製造す
ることができる。
【0085】請求項4記載の磁気記録カード用複合基材
の製造法は、偽造・改ざんを防止することができる高品
質のカード用複合基材を、より安定かつ効率的に製造す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上坂 佐 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成繊維の一部又は全部が感磁性繊維か
    らなる感磁性繊維シート体を中間層として有するととも
    に、ポリエステル系樹脂を主成分とするポリエステル系
    フィルムを表面層及び裏面層として有するシート積層体
    を、高分子接着剤により接着して製造するに当たり、ポ
    リエステル系フィルムからなる表面層と裏面層の間に感
    磁性繊維シート体と高分子接着剤とを供給し積層した
    後、少なくとも一対の加熱ローラー間でカレンダー処理
    を行うことを特徴とする磁気記録カード用複合基材の製
    造法。
  2. 【請求項2】 高分子接着剤に架橋剤を添加することを
    特徴とする請求項1記載の磁気記録カード用複合基材の
    製造法。
  3. 【請求項3】 一対の加熱ローラーの少なくとも一方を
    金属ローラーにより形成すると共に、該ローラの表面温
    度を60〜160℃に設定することを特徴とする請求項
    1又は2記載の磁気記録カード用複合基材の製造法。
  4. 【請求項4】 シート積層体の巾方向に加熱ローラー間
    の圧力を50〜500kgf/cmの線圧に設定してカ
    レンダー処理することを特徴とする請求項1、2又は3
    記載の磁気記録カード用複合基材の製造法。
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