JPH10228637A - 磁気記録カード用基材 - Google Patents

磁気記録カード用基材

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JPH10228637A
JPH10228637A JP2650397A JP2650397A JPH10228637A JP H10228637 A JPH10228637 A JP H10228637A JP 2650397 A JP2650397 A JP 2650397A JP 2650397 A JP2650397 A JP 2650397A JP H10228637 A JPH10228637 A JP H10228637A
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JP
Japan
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magnetic
polyester
sheet
magnetic recording
polyester resin
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Application number
JP2650397A
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English (en)
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Kozo Maeda
浩三 前田
Tasuku Kamisaka
佐 上坂
Kiyoshi Miyagi
清 宮城
Mikio Matsuoka
幹雄 松岡
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気記録カードの真偽判別手段として、内部
に殆ど再現不能の状態に配列される感磁性繊維を利用す
る方法において、該感磁性繊維によるカード表面の凹凸
を無くし、平滑性、平面性を高度に保つことにより、磁
気ヘッドによる固有情報の読み取りが確実に行えるよう
にするとともに、感磁性繊維の配設位置や該繊維の配設
パターンを外部から感知不能とし、且つ安定した再生出
力を得られるようにした、偽造・改ざんが不可能で、高
性能な磁気記録カード用基材を安定且つ効率的に得るた
めの複合シートの製造法を提供せんとするものである。 【解決手段】 同種または異なった、2層のポリエステ
ル系樹脂を主成分とするフィルム層間に、構成の1部ま
たは全部が感磁性繊維よりなるシート体を、高分子接着
剤、および要すれば架橋剤とにより積層してなる複合シ
ートであって、該複合シートの表面平滑度指数S1 が、
特定の範囲を満足することを特徴とする磁気記録カード
用複合基材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録カード用
基材およびその製造法に関し、例えばテレホンカードや
鉄道カード、パチンコカードなどのプリペイドカードや
IDカード等を含めた各種カード等の様に、真正さが要
求される磁気記録カードにおける真偽判別を極めて確実
に行えると共に、偽造・改ざんが不可能な様に工夫され
た磁気記録カード用の基材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録方式を活用した各種プリ
ペイドカードやIDカードなどのカードシステムは、例
えばテレホンカード、鉄道・バスやハイウエイなどの交
通カード、パチンコに代表される各種レジャーカード、
ポイントカード、会員証や流通・金融カードなど、数多
くの分野で社会生活に定着し利用されるに至っている。
しかし、その利用分野が広がるとともに、記録情報の読
み取りや再加工のための技術も高度化され、各種分野に
おいて偽造・改ざん等の被害が増大し、もはや軽視しえ
ない大きな社会問題となりつつある。
【0003】一方、こうした現状に鑑み、偽造・改ざん
の防止方法や対策についても多くの技術が開発・提案さ
れており、例えば磁気記録カードについては、磁気シー
ルド等により記録データの読み取りを防止する方法など
も開発されているが、同時に偽造・改ざんの技術もなお
一層精緻・高度化され、従来のセキュリティ対策のみで
は対応しきれなくなって来ているのが実情である。こう
した状況のもと、磁気記録カードの真偽判定をより確実
に行うための新しい考え方も幾つか提案されはじめてい
る。例えば特開平6−227187号公報の如く不織布
状の感磁性繊維を真偽判別層として利用した磁気記録カ
ード等が提案されている。この公開技術は、磁気記録カ
ードにおける本来の記録データに加えて、当該カードが
真正なものであるあるか否かを判別するための真偽判別
部として不織布状の感磁性繊維を内蔵せしめ、該感磁性
繊維層を真偽判別のための記憶部として活用し、カード
の偽造を予め防止するものであり、感磁性繊維がランダ
ム方向に複雑に絡み合って偶然性による固有の情報を持
ち、殆ど再現不能の情報記録部となり得る事から、カー
ドの偽造は極めて困難になるものと考えられる。
【0004】この様に、感磁性繊維を用いた真偽判別手
段は非常に有効な手段と考えられるが、本出願人の知る
限りにおいては、現実の磁気記録カードに実用化された
ものは市販されるに至っていない。その最大の理由は、
通常プラスチックシートによって構成されるカード基材
の間に感磁性繊維不織布を挟み込むと、その繊維位置が
カード表面に凹凸となって表れるとともに、該感磁性繊
維のパターンがカード表面に浮き出し、磁気ヘッドによ
る記録読み取りが困難になること、また積層接合時の圧
接力によって該配設位置がカード表面に縞状に表れ、感
磁性繊維の配設位置を外部から簡単に感知出来るように
なり、ひいてはその部分の真偽判別情報が比較的簡単に
読み取られる恐れがあるためによると考えられる。従っ
て、感磁性繊維を用いることの利点をより有効に生かす
には、該感磁性繊維の配設によって生じる凹凸レベル
を、磁気ヘッドによる記録読み取りが確実におこなえる
ようにするとともに、該配設位置や感磁性繊維のランダ
ム配列パターンを外部から感知出来なくするための工夫
が必要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な事情に着目して成されたものであって、その目的は、
真偽判別手段として感磁性繊維を利用する技術をさらに
改善し、特に感磁性繊維がランダム方向に複雑に絡み合
って偶然性による固有の情報を持ち、殆ど再現不能に配
設された該感磁性繊維の配設によって生じる凹凸による
読み取りエラーを無くすとともに、該配設位置や感磁性
繊維のランダム配列パターンを外部から感知出来なくす
ることにより、偽造・改ざんを確実に防止できる技術を
確立しようとするものである
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者らは鋭意検討の結果、磁気記録カード用基材
として、2層のポリエステル系樹脂フィルム層間に感磁
性繊維を含むシート体を配し、かつ得られる複合シート
の表面平滑度指数S1 またはS2 を特定の範囲とするこ
とにより、カード表面の凹凸を無くし、磁気ヘッドによ
る読み取りを確実にするとともに、該感磁性繊維の配設
パターンを前記ポリエステル樹脂層の表面側から感知で
きない様にすることが可能となり偽造・改ざんを確実に
防止できることを見出したものである。
【0007】即ち本発明は、同種または異なった2層の
ポリエステル系樹脂を主たる成分とするフィルム層間
に、構成の一部または全部が、感磁性繊維よりなるシー
ト体を高分子接着剤、及び要すれば、架橋剤とにより積
層してなる複合シ−トであって、該複合シートの表面平
滑度指数S1 が下式を同時に満足することを特徴とする
磁気記録カード用複合基材、 S1 ≦300 (1) P ≦20 (2) N ≦20 (3) 但し S1 =P×N (4) P:表面Pモード曲線における平均山高さ(μm) N:表面Pモード曲線における山高さ5μm以上のピー
ク数(個/50mm) とすることにより達成される。
【0008】本発明におけるポリエステル系樹脂とは、
テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸
の如き芳香族ジカルボン酸またはそのエステルとエチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、1、4−ブタン
ジオール、1、6−ヘキサメチレングリコール、ネオペ
ンチルグリコールの如きグリコール類とを重縮合させて
得られる如きポリエステルを主体とするものである。勿
論、ポリエステル系樹脂の成分として共重合可能な芳香
族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸類や、芳香族、脂肪
族、脂環族のグリコール類を含んでいてもよいことは言
うまでもない。これらのポリエステルは芳香族ジカルボ
ン酸とグリコールとを直接反応させ、重縮合させるほ
か、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコー
ルとをエステル交換反応させた後重縮合させるか、ある
いは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮
合させる等の方法によって製造させる。かかるポリエス
テルの代表例としてはポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレートあるいはポリエチレン2、6
−ナフタレート等が挙げられる。このポリエステルはホ
モポリマーであってもよく、第三成分を共重合したもの
であってもよい。いずれにしても本発明においては、エ
チレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、エチ
レン2、6−ナフタレート単位が70モル%以上、好ま
しくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以
上であるポリエステルが好ましい。
【0009】上記ポリエステル系樹脂を用いたフィルム
により本発明の磁気記録カード用基材を得る場合、該ポ
リエステル樹脂層は2軸延伸配向されていることがカー
ドの強度、腰など実用性の点から特に好ましい。また、
本発明のポリエステル系樹脂を主たる成分とするフィル
ム層はその一部もしくは全部が不透明である必要があ
る。不透明なポリエステル系樹脂層は特に限定されない
が、通常は無機粒子あるいはプラスチックと非相溶の樹
脂の添加により得ることが出来る。不透明度は、光学濃
度0.3以上であることが望ましく、0.5以上である
ことが特に好ましい。光学濃度が0.3未満である場合
にはカードとした場合に感磁性繊維の配設位置が光学的
に感知しやすくなるとともに、表に印刷を施した場合に
印刷効果が不鮮明となり好ましくない。
【0010】このような光学濃度を得る方法は特に限定
されないが、通常は無機粒子或いはポリエステルと非相
溶の樹脂の添加により得ることが出来る。添加する量は
特に限定されないが無機粒子の場合5〜35重量%、好
ましくは8〜25重量%である。一方、非相溶性の樹脂
を添加する場合は、5〜35体積%、好ましくは8〜2
8体積%である。使用する無機粒子は特に限定されない
が、平均粒径0.1〜4μm、好ましくは0.3〜1.
5μmの無機粒子を挙げることが出来る。具体的には、
酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カル
シウム、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレー
など或いはこれらの混合物であり、更に、他の一般的無
機粒子例えばリン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、
ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ
化カルシウムその他と併用しても良い。また、ポリエス
テルと非相溶の樹脂としては、特に限定されないが、例
えば、ポリエチレンテレフタレートと混合するケースに
ついて言えば、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリメチルペンテン、変成オレフィン樹脂、ポ
リスチレン、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、フェ
ノキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネ
ートなどを挙げることが出来、当然のことながら上記無
機粒子と併用することが出来る。また必要に応じて種々
の増白剤を添加してもよいことは言うまでもない。
【0011】さらに、本発明の複合シートにおけるポリ
エステル系樹脂層は、少なくともその1層が微細空洞含
有熱可塑性ポリエステル樹脂によって構成されているこ
とが好ましい。ポリエステル系樹脂層が微細空洞を有す
ることにより、該樹脂層の柔軟性が向上し、感磁性繊維
の配設よって生じやすい凹凸が吸収され表面に現れにく
くなることにより特に効果的である。また、含有する微
細空洞がマトリックスとの界面において光散乱を起こす
ことにより不透明度が一段と向上し、前記無機粒子の添
加を減らすことが出来、特に有用である。更に、微細空
洞を含有せしめることにより、該樹脂層自体を軽量化で
きるため、取扱いが容易になると共に、原料コストダウ
ンや輸送コストダウンなど経済的効果も大きなものとな
る。
【0012】この様な、微細空洞含有熱可塑性ポリエス
テル樹脂層を得る方法としては、該熱可塑性ポリエステ
ル樹脂マトリックスに対し、前述の非相溶樹脂を添加混
練りし微粒子状に分散させたシートを少なくとも一軸方
向に延伸することにより、該非相溶樹脂微粒子の周囲に
空洞を発生させる方法など、既に開示されている公知の
方法を用いることが出来る。より具体的には、例えば、
熱可塑性樹脂マトリックスとしてのポリエステルに対し
非相溶樹脂としてポリオレフィン系樹脂や、ポリスチレ
ン系樹脂、ポリアリレート樹脂などを混合し延伸する方
法があり、特にポリプロピレンや、ポリスチレンは、空
洞が出来やすい点や密度が低い点、安価である点で特に
好ましい。このような熱可塑性ポリエステル樹脂混合物
は、例えば、各樹脂のチップを混合し押出し機内で溶融
混練りした後、押出しして固化することによって得られ
る方法や、予め混練り機によって両樹脂を混練りしたも
のを、更に押出し機より溶融押し出しして固化する方法
や、ポリエステルの重合工程においてポリエステルに非
相溶性の熱可塑性樹脂を添加し、攪拌分散して得たチッ
プを溶融押出しして固化する方法等によって得られる。
固化して得られたポリエステル樹脂層未延伸シ−トは通
常、無配向若しくは弱い配向状態のものである。また、
ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂はポリエステル
中に、球状若しくは楕円球状、若しくは糸状等様々な形
状で分散した形態を取って存在する。該樹脂混合物に
は、前述の無機粒子はもちろん、本発明の目的を阻害し
ないかぎり、耐光剤、蛍光剤、帯電防止剤など各種の添
加剤を併用しても良いことは言うまでもない。
【0013】こうして得た樹脂混合物は、更に速度差を
持ったロール間での延伸や、クリップに把持して拡げる
ことによる延伸や、空気圧によって拡げることによる延
伸やその組み合わせなどによって、少なくとも1軸に配
向処理する。このとき分散された該ポリエステルに非相
溶の熱可塑性樹脂とポリエステルとの界面で剥離が起こ
り、樹脂混合物に空洞が多数発生する。ポリエステルに
混合させる該ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂の
量は、目的とする空洞の量によって異なるが樹脂混合物
全体に対し、3〜39%が好ましく、特に8〜35重量
%が好ましい。3重量%未満では、空洞の生成量を多く
することに限界があり、目的の柔軟性や軽量性を得られ
ない。逆に40重量%以上ではポリエステル樹脂の持つ
耐熱性や強度、特に腰の強さが著しく損なわれ好ましく
ない。得られる空洞含有ポリエステル樹脂層の平均空洞
含有率は10体積%以上、50体積%以下であることが
好ましい。
【0014】さらに、本発明のポリエステル系樹脂を主
たる成分とするフィルム層は少なくとも一方の表面が易
接着処理がなされていることが好ましい。易接着処理の
方法としては、公知の方法を適用することができるが、
例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線(U
V)照射処理,放射線(EB)照射処理などの活性エネ
ルギー線照射による方法、火炎処理、更にPVD,CV
Dなどのベーパーデポジット法や、易接着性の樹脂など
を主剤とする組成物を該ポリエステル樹脂フィルム層表
面に塗布する方法等が挙げられる。なかでも、表面に塗
布層を設ける方法が、本発明の構成における感磁性繊維
よりなるシ−ト体および高分子接着剤層との接着性の観
点や、カード用基材として磁気記録媒体層や印刷インキ
層その他のコーティング剤との接着性の観点から、もっ
とも有効な方法の一つである。この様な塗布層を構成す
る組成物としては、ポリエステル系樹脂が好ましいが、
この他にも、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂およ
びこれらの混合物や共重合物などの通常のポリエステル
フィルムの接着性を向上させる手段ととして開示されて
いる化合物などが適用可能である。
【0015】また、塗布層を設ける手段としては、グラ
ビアコート、リバースコート、キスコートなどのロール
コート方式、バーコート方式、エアナイフ方式、ブレー
ドコート方式やコンマコート方式、カーテンコート方
式、スプレイ方式、ディップ方式など通常用いられてい
る方法を適用することができる。塗布する段階として
は、延伸配向処理を行う前のポリエステル樹脂組成物層
表面にあらかじめ塗布する方法、1軸方向に配向した該
樹脂組成物フィルム表面に塗布し、それを更に直角方向
に配向させる方法、2軸配向処理の終了した該樹脂組成
物フィルム表面に塗布する方法などのいずれの方法も可
能であるが、特に1軸配向したフィルム表面に塗布した
後直角方向の延伸配向、結晶化を完了させる方法が接着
効果、経済性、クリーン度等の点でもっとも好ましい方
法である。
【0016】本発明の磁気録カード用基材は、2層のポ
リエステル系樹脂よりなるフィルム層間に、少なくとも
その1部が、感磁性繊維よりなるシート体を有している
ことが必要である。感磁性繊維は、例えば特開平7−1
97311に開示された、微粒の磁性粒子を繊維形成性
の有機高分子中に均一に分散させ、紡糸する方法等、公
知の方法によって得ることが出来る。本発明では、この
様な感磁性繊維よりなるシート体を用いる。シ−ト体
は、該感磁性繊維単独あるいは、他の合成または天然の
高分子繊維と複合した不織布、織布、編布によって得ら
れる。他の繊維との複合の方法は例えば混紡、混撚、混
繊、交織、交編などの方法が用い得る。中でも、感磁性
繊維の配設のランダム性、強度、取扱性等の観点から、
該感磁性繊維と他の熱融着性高分子繊維を混抄し加熱し
て得られた如き不織布状のシートが最も好ましく用い得
る。この様な感磁性繊維の内、本発明の目的にはその繊
維径が5μm以上、60μm以下、より好ましくは5μ
m以上、40μm以下であることが望ましい。繊維径が
5μm未満では、その単繊維強度が不十分となり安定し
たシート状態を維持するのが困難となる。また、60μ
mを超える場合には、複合基材層表面の凹凸が目立ちや
すくなるため、好ましくない。
【0017】該シ−ト体における感磁性繊維の必要量は
シ−ト1m2 当たり1〜30gでありより好ましくは3
〜20gである。1g未満の場合にはで感磁性繊維によ
る真偽情報の記録効果が不十分となり、本発明の目的の
効果を得ることが出来ない。また、30gを超える場合
には複合基材表面からの感知がし易くなると共に感磁性
繊維のランダム性が損なわれ易くなるため好ましくな
い。また該シ−ト体は、見掛け厚みが10μm以上、1
50μm未満、好ましくは10μm以上、100μm未
満、特に好ましくは20μ以上、100μm未満である
場合が望ましい。シート厚みが10μm未満の場合に
は、シ−ト体としての強度が十分でなく取扱が困難であ
るとともに、感磁性繊維の密度も不十分となりやすい。
また、シ−ト体厚みが150μm以上の場合には、複合
基材シートの総厚みが厚くなりすぎると共に該基材シー
ト表層からの感磁性繊維の配設位置が感知し易くなった
り、感磁性繊維の密度が必要以上に高くなりすぎるなど
不都合な結果を生じやすいので好ましくない。
【0018】本発明では、上記の感磁性繊維よりなるシ
−ト体を、2層のポリエステル系樹脂フィルム層間に接
合するために、高分子接着剤を用いて積層する。ここに
言う高分子接着剤とは、予め重合、重縮合反応等により
2次元あるいは2次元の長鎖高分子量化されたものは当
然のことながら、使用前の時点で低分子或いはオリゴマ
ー状であっても接着工程において反応温度、時間などに
より、2次元あるいは3次元の高分子化合物となる如き
接着剤であっても良い。これらの高分子接着剤として
は、基本的には、ポリエステル系樹脂フィルム層と感磁
性繊維を含むシ−ト体とを接合可能なものであれば任意
に選択し得るが、なかでも芳香族ポリエステルを一成分
として含有するポリエステル系またはポリエステルウレ
タン系樹脂からなる接着剤である場合が、優れた層間接
着力や強度を得られやすく好ましく用い得る。この様な
ポリエステル系またはポリエステルウレタン系接着剤の
例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン
ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類、コハク酸、
アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジ
カルボン酸類、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸な
どの不飽和脂肪族ジカルボン酸類、テトラヒドロフタル
酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン
酸などの脂環族ジカルボン酸類など二塩基酸類およびト
リメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの三
および四塩基酸類など多塩基酸と、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブタン
ジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピ
レングリコール、トリメチルペンタンジオール、シクロ
ヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオ
キサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサ
イド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサ
イド付加物、水素化ビスフェノールAのプロピレンオキ
サイド付加物、などの脂肪族および脂環族ジオール類や
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
ポリテトラメチレングリコールその他の高分子ジオール
類、さらにはトリメチロールエタン、トリメチロールプ
ロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどのトリ
およびテトラオールなどの多価アルコール類またはこれ
以外の比較的高分子のジオールとしてε−カプロラクト
ンなどのラクトン類を開環重合して得られるラクトン系
ポリエステルジオール類との重縮合によって得られる単
独あるいは共重合ポリエステル系樹脂が、またこれらの
ポリエステル型ポリオールおよび、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコール、ポリヘキサメチレングリコールのようなポ
リアルキレングリコール類などのポリアルキルエーテル
類やポリフェニレンオキサイドなどのポリアリールエー
テル類などのポリエーテル型ポリオール成分とポリイソ
シアネート類と反応させることによって得られるポリウ
レタン系樹脂が挙げられる。上記ポリイソシアネート類
としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ビフェニ
ルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、テトラメチレンジイソシアネート、ジメトキシ
ビフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシア
ネート、ジメチルビフェニレンジイソシアネート、ジフ
ェニレンジイソシアネート、ジイソシアネートジフェニ
ルエーテル、キシリレンジイソシアネート、ジイソシア
ネートメチルシクロヘキサン、ジイソシアネートジシク
ロヘキサン、ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、
イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート化
合物などがある。このうち、得られたウレタン系プレポ
リマーをさらにジオール類やジアミン類などによって鎖
延長したものがより有効に用い得る。鎖延長剤としての
ジオール類は先述のジオール類のうち、ブタンジオー
ル、ヘキサンジオール等が、ジアミン類としてはエチレ
ンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が有効であり代
表的に用い得る。
【0019】これらのうちポリウレタン系接着剤におい
てはポリオール成分としてポリエステルポリオール成分
を含んでいることが必要である。ポリオール成分がポリ
エーテルポリオールのみから形成されたポリウレタンで
ある場合は本発明の層間接着剤としての物性や耐熱性な
どが不十分であり好ましくない。もちろん、ポリエステ
ルポリオールを含むポリエステルウレタンの共重合成分
として先に挙げたポリエーテルポリオールを含んでいる
ことは一向に差し支えない。また、ポリエステル系樹脂
接着剤においては、芳香族成分を含んでいることが必須
である。その含有量としては酸成分またはアルコール成
分のうちいずれかの30モル%以上が芳香族成分である
ことが望ましい。ポリエステル系樹脂接着剤が全て脂肪
族成分からなる場合には、本発明の層間接着剤としての
物性や耐熱性などが不十分であり好ましくない。さら
に、これら高分子接着剤成分はそのガラス転移温度が−
20℃から80℃の範囲であることが望ましく、−10
℃から60℃であることが特に望ましい。ガラス転移温
度が−20℃未満の場合には層間接着剤としての物性や
耐熱性が不十分となり、80℃を超える場合には接着剤
層がもろく層間接着力が得られにくい。
【0020】本発明の高分子接着剤層には上記の接着剤
に加えて架橋剤を併用することが望ましい。併用すべき
架橋剤としては、ブロックされた、またはフリーのイソ
シアネート基を有する多官能イソシアネート化合物、あ
るいはエポキシまたはグリシジル基を有する多官能エポ
キシ化合物、官能性アルキロール基を有する多官能メラ
ミン系化合物から選ばれた1種以上を用いることが望ま
しい。中でも、前述のポリエステル系樹脂またはポリエ
ステルウレタン系樹脂接着剤との組み合わせとしては、
多官能イソシアネート化合物である場合が好ましく、特
に、3官能以上のイソシアネートが好ましく用い得る。
この様な多官能イソシアネート化合物としては、メチル
ベンゾールトリイソシアネート、ビフェニルトリイソシ
アネート、ジフェニルメタントリイソシアネート、トリ
フェニルメタントリイソシアネート、グリセリンやトリ
メチロールプロパンなどの多価アルコールにジイソシア
ネート単量体を付加せしめたアダクト体によるポリイソ
シアネートなどを例示することが出来る。これら多官能
化合物の配合量は、ポリエステル系樹脂またはポリエス
テルウレタン系樹脂の求核性基例えば、−OH,−N
H,−COOHとの当量関係を考慮し、添加量を決定す
ることが好ましく、通常は重量比で70/30〜99.
9/0.1が好ましく、80/20〜99.5/0.5
の範囲が特に好ましく用いられる。
【0021】本発明における2層のポリエステル系樹脂
フィルム、感磁性繊維を含むシート体、および前述の様
な高分子接着剤組成物よりなる複合シ−トの有効な態様
は、下式によって定義される該複合シートの表面平滑度
指数S1 および/またはS2が、以下の特定範囲が満足
される場合において示される。即ち、該複合シート表面
の表面形状をPモード(断面)曲線として抽出した場合
の平均山高さ(10点平均粗さ:測定長内でピーク数が
10点に満たない場合には得られるピークの山/谷間高
さの平均)P(μm)、および測定長50mm当たりの山
高さ(隣り合うピーク〜谷間の高さ)が10μm以上の
ピーク数N(個/50mm)とによって決定される表面平
滑度指数S1 が、(1式)、(2式)および(3式)を
同時に満足する場合において、磁気記録カード用基材と
しての好ましい結果を得ることが出来る。 S1 ≦300 (1) P ≦20 (2) N ≦20 (3) 但し S1 =P×N (4) P:表面Pモード曲線における平均山高さ(μm) N:表面Pモード曲線における山高さ10μm以上のピ
ーク数(個/50mm) S1 が300を超える場合には、基材表面に所定の磁気
記録層が塗布され、カード化された後のリーダーライタ
ーによる書き込み、読み取り時におけるエラーが生じ易
くなるため好ましくない。また、S1 が200以下であ
る場合において該エラーがより顕著に少なくなり特に好
ましい。また、S1 が300以下の範囲であっても、P
値が20を超える場合、またはN値が20を超える場合
においては、該エラーが生じる可能性が高くなり好まし
くなく、S1 、P、Nそれぞれの範囲が同時に満足され
る場合において特に好ましい結果となり本発明の目的を
達成することが出来る。
【0022】上記の如き磁気記録カード用基材として好
ましい複合シートを好適に得るための好ましい実施態様
の例としては、2層のポリエステル系樹脂フィルム層の
厚みT1 、T2 (但しT1 ≦T2 )と、感磁性繊維を含
むシ−ト体および、必要により架橋剤を含む高分子接着
剤組成物よりなる中間層の厚みT3 の相対的な関係を
0.1T1 <T3 <1.5T2 の範囲とすることが望ま
しく、さらに、供給される該高分子接着剤組成物の形態
は有機溶剤系、または水系の溶液または分散液状である
ことが望ましい。また、これらのシ−ト体を積層するた
めのラミネート法としては、不織布状などの多量の空隙
を有する感磁性繊維を含むシ−ト体の空隙を十分に埋
め、良好な層間接着力を確保しつつ、繊維状磁性体によ
る凹凸が複合基材シ−ト表層に現れないようにするため
に、複合基材シ−トの中間層において、供給すべき該高
分子接着剤組成物の溶液または分散液の厚みを、感磁性
繊維を含むシ−ト体の見掛け厚みの0.6倍から5.0
倍となるように供給した後、乾燥、加圧を行い貼り合わ
せた場合が最も好適な結果を得ることができる。この場
合、高分子接着剤組成物は有機溶剤の溶液である場合が
乾燥性、生産性等の観点からより好ましい。さらに、該
高分子接着剤組成物溶液を感磁性繊維を含むシ−ト体お
よびポリエステル系樹脂フィルムの層間に供給する方法
としては、外層となるべき2層のポリエステル系樹脂フ
ィルム層のうちの1層の前記易接着処理された面上に感
磁性繊維含有シート体を重ね合わせ、該シート体面上か
らダイコート方式により高分子接着剤組成物溶液の供給
を行った後、直ちに該重ね合わせシートを一対のロール
間に導き塗布供給量の計量を行う方法が、厚みが薄く実
用強度が十分とは言えない不織布状感磁性繊維含有シー
トへの安定な塗工、および繊維間空隙への十分な浸透、
平滑な面の形成、フィルム/シート界面の接着面積確保
など種々の観点からもっとも好ましい方法である。
【0023】所定量の高分子接着剤組成物溶液が供給さ
れた後は、直ちに溶媒の乾燥が行われ、中間層を有する
2層のポリエステル系樹脂フィルムが、2本のロール間
に導かれ加熱圧着され貼り合わされる。2本のロール間
で貼り合わせを行うに際し、各ロールの表面温度が30
℃〜150℃の範囲にあり、且つ複合シート表裏面の温
度差が50℃以内となる温度条件の方法を採用した場合
において特に好ましい結果を得ることが出来る。さらに
貼り合わせ時の圧力は、温度にもよるが線圧で10〜4
00kg/cmの範囲から選ばれる場合、表面の平滑性など
好ましい結果を得ることが出来る。また、得られた貼り
合わせ複合シートをさらに少なくとも一方のロールが表
面温度が60℃以上、160℃以下の金属ローラーであ
る一対の加熱ローラー間で線圧50〜500kg/cmの条
件下でカレンダー処理を行なう場合において、本発明の
表面平滑度指数S1 、S2 の好ましい範囲が得られ易
い。以上、本発明の磁気記録カード用基材の好ましい実
施態様に就いて述べたが、もとより本発明は、これらの
方法に限定されるものではない。
【0024】以上のように、本発明の複合シート基材
は、感磁性繊維の配設によって生じることのあるカード
表面の凹凸を無くし、磁気ヘッドによる読み取りを確実
にするとともに、該感磁性繊維の配設パターンをポリエ
ステル系樹脂層の表面側から感知できない様にすること
が可能となり偽造・改ざんを確実に防止できる、磁気記
録カード用として非常に優れた基材の提供が可能となっ
た。本発明の複合シートを基材に磁気記録可能な媒体層
を形成する事により好ましい磁気記録カードが得られ
る。磁気記録カードの構成としては、複合シート基材の
片側表層に磁気記録媒体層を塗布法により形成し、他の
表層側に印刷層を設けた構成や、さらに、該磁気記録媒
体層側に感熱記録層や保護層などを設けた構成などが、
挙げられる。このような構成のカードは、ランダムに配
設された感磁性繊維の存在により、高精度で真偽判別が
可能であるとともに、カードの表からはその配設位置を
知ることが不可能であり偽造をすることが出来ないもの
である。
【0025】実施例 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発
明はもとより以下の実施例によって制限を受けるもので
はない。尚、本実施例における種々の特性は以下の如く
して評価した。
【0026】(1) 基材フィルムの不透明度 マクベス濃度計TR−972型を使用し、Gフィルター
下での透過濃度を測定した。
【0027】(2) 表面平滑度指数 表面粗さ計サーフコム304B(東京精密社製)を用
い、P(断面)曲線モードによりカードサイズの複合シ
ートの長辺方向の表面形状を測定し、測定長50mm間
の波形における山〜谷間高さ(PV値)の平均値を平均
山高さをP、また山〜谷間高さが10μ以上のピーク数
をNとして、表面平滑度指数S1 を次式によりもとめ
た。 S1 =P×N (1)
【0028】(3) 配設位置の判りやすさ 前記表面粗さ計のW(うねり)モードによる表面凹凸状
態測定および目視判定により判定を行い、以下のランク
により層別した。
【0029】(4) 出力変動 下記組成の磁性塗料を作製し、グラビアコート法により
複合シ−ト表面に塗布して厚さ10μmの磁気記録層を
形成した。得られた磁気記録媒体の再生出力を測定しそ
の変動により以下のように判定した。 出力変動が大きい × 出力変動ややあり △ 出力変動すくない ○ (磁性塗料の組成) Co被着γ−Fe2 3 75部 塩ビ/酢ビ系共重合樹脂 10部 ウレタン変成ポリエステル樹脂 15部 メチルエチルケトン 75部 トルエン 75部 イソシアネート系硬化剤 3部
【0030】(5) 平面性 複合シートを広幅、張力下で低速で走行させながら表面
に斜めより光をあて、反射光により、うね、すじ立ちな
どの平面性を以下のように判定した。 うね、筋立ちなどが目立つ × うね、筋立ちがやや判る △ うね、筋立ちがなく平面性良好 ○
【0031】実施例1 固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート樹脂8
0重量%と、メルトフローインデックス5.5g/10
分のポリスチレン15重量%およびルチル型酸化チタン
5重量%よりなる樹脂組成物を285℃で溶融し、表面
温度40℃のドラム上に押し出しし、次いで得られた未
延伸シートを90℃で3.5倍縦方向に延伸した。得ら
れた一軸延伸フィルムの両面に、水分散性ポリエステル
系樹脂を主成分とする易接着性水性コート剤をロールコ
ート法により塗布し、引き続き乾燥しつつ120℃で
3.5倍横方向に延伸した後、230℃で4%緩和させ
ながら熱処理し、厚さ100μmの内部に約25体積%
の微細空洞を含有する表面に易接着処理された白色ポリ
エステルフィルムロールを得た。
【0032】得られた不透明度1.2の易接着性白色ポ
リエステルフィルムに、Fe−Niを含むアクリルニト
リル系共重合体からなる平均繊維径20μm、平均繊維
長4mmの感磁性繊維を目付量として10g/m2 含む
厚さ40μmの不織布状シート体を重ね合わせ、ラミネ
ート装置に供給し、該不織布状シート体面上からダイコ
ート方式により、酸成分としてテレフタル酸を70モル
%含有する共重合ポリエステル系樹脂(ガラス転移温度
10℃)100重量部、トリメチロールプロパンとトル
イレンジイソシアネートの付加反応物よりなる3官能イ
ソシアネート化合物2重量部およびトルエン、メチルエ
チルケトンの混合溶媒234重量部よりなる、高分子接
着剤組成物溶液の供給を行った後、直ちに該重ね合わせ
シートを一対のロール間に導き、該高分子接着剤組成物
溶液の供給厚みが120μmとなるように塗布供給量の
計量を行い、直ちに60℃で溶媒の乾燥を行い、該塗布
供給面上に前述の厚さ100μmの易接着性白色ポリエ
ステルフィルムをもう1層重ね合わせた後、中間層を有
する2層のポリエステル系樹脂フィルムを、2本のロー
ル間に導き、加熱圧着し貼り合わせを行った。この場
合、該不織布状シート体と高分子接着剤組成物より成る
中間層の乾燥厚みは50μmであり、得られた複合シー
トの総厚みは250μmであった。
【0033】得られた複合シートを加熱加圧可能な対ロ
ールを有する、カレンダー処理装置に導き処理を行なっ
た。用いた対ロールはともに表面がクロムメッキ処理さ
れた金属/金属の組合せでありロール表面温度はともに
120℃、圧力は線圧250kg/cmで行なった。得られ
た複合シート表面のPは4.6、Nは10であり、表面
平滑度指数S1 は46であった。得られた複合シートは
室温40℃下に24時間静置しエージング処理を行い評
価に供した。評価結果を表1に示す。
【0034】実施例2 カレンダー処理時のロール表面温度を80℃、圧力を1
00kg/cmに変更した以外は、実施例1と全く同様にし
て厚さ250μmのPが12、Nが18、表面平滑度指
数S1 が216の複合シートを得た。得られた複合シー
トの評価結果を表1に示す。
【0035】比較例1 感磁性繊維を含む不織布上シート体を平均繊維径35μ
m、平均繊維長4mmの感磁性繊維を目付量として15
g/m2 含む、厚さ60μmの不織布状シート体を用
い、高分子接着剤組成物溶液の供給厚みが150μmと
なるように塗布供給量の計量を行った以外は実施例2と
全く同様にして厚さ265μmのPが21、Nが15、
表面平滑度指数S1 が315の複合シートを得た。得ら
れた複合シートの評価結果を表1に示す。
【0036】比較例2 カレンダー処理時のロール表面温度を120℃、圧力を
200kg/cmに変更した以外は、実施例3と全く同様に
して厚さ265μmのPが17、Nが22、表面平滑度
指数S1 が374の複合シートを得た。得られた複合シ
ートの評価結果を表1に示す。
【0037】比較例3 複合シートのカレンダー処理を行なわない以外は、実施
例3と同様にして、厚さ265μmのPが30、Nが1
2、表面平滑度指数S1 が360の複合シートを得た。
得られた複合シートの評価結果を表1に示す。
【0038】比較例4 カレンダー処理時のロール表面温度を50℃、処理圧力
を100kg/cmとした以外は、実施例3と同様にして、
厚さ265μmのPが18、Nが25、表面平滑度指数
1 が450の複合シートを得た。得られた複合シート
の評価結果を表1に示す。
【0039】以上、表1の結果から、本発明の範囲内の
実施例は、真偽判別情報として配設された感磁性繊維の
位置が、凹凸によってもあるいは目視や光学的方法によ
っても感知することが不可能であり、カード用として磁
気記録媒体層を形成した場合の再生出力変動もなく、ま
た、カードとしての印刷効果にも優れ、複合体としての
層間接着性も十分であることが明らかである。
【0040】
【発明の効果】本発明は、以上のように真偽判別手段と
して感磁性繊維を利用する技術をさらに改善し、特に、
内部でほとんど再現不能の状態に配列される感磁性繊維
によるカード表面の凹凸を無くして磁気ヘッドによる固
有情報の読み取りが確実に行えるようにすると共に、感
磁性繊維の配設位置や該繊維の配設パターンを外部から
感知不能とし、且つ安定した再生出力を得られるように
した、偽造・改ざんが不可能で高性能の磁気記録カード
用基材およびその製造方法の提供を可能にしたものであ
る。
【0041】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09J 201/00 C09J 201/00 (72)発明者 松岡 幹雄 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】同種または異なった2層のポリエステル系
    樹脂を主たる成分とするフィルム層間に、構成の一部ま
    たは全部が、感磁性繊維よりなるシート体を高分子接着
    剤あるいは高分子接着剤と架橋剤の混合物により積層し
    てなる複合シ−トであって、該複合シートの表面平滑度
    指数S1 が下式を同時に満足することを特徴とする磁気
    記録カード用複合基材。 S1 ≦300 (1) P ≦20 (2) N ≦20 (3) 但し S1 =P×N (4) P:表面Pモード曲線における平均山高さ(μm) N:表面Pモード曲線における山高さ10μm以上のピ
    ーク数(個/50mm)
  2. 【請求項2】請求項1記載のポリエステル系樹脂を主た
    る成分とするフィルム層が、光学濃度で0.3以上の不
    透明度を有することを特徴とする磁気記録カード用複合
    基材。
  3. 【請求項3】請求項1記載のポリエステル系樹脂を主た
    る成分とするフィルム層の少なくとも1層が微細空洞含
    有ポリエステルフィルムよりなることを特徴とする磁気
    記録カード用複合基材。
  4. 【請求項4】請求項1記載のポリエステル系樹脂を主た
    る成分とするフィルム層の少なくとも1層が、少なくと
    も一方の表面に易接着処理がなされた微細空洞含有ポリ
    エステルフィルムよりなることを特徴とする磁気記録カ
    ード用複合基材。
  5. 【請求項5】請求項1記載の感磁性繊維を含むシ−ト体
    が、繊維径5〜60μmの感磁性繊維を1〜30g/m
    2 含有し且つ、見掛け厚みが10μm以上、150μm
    未満であることを特徴とする磁気記録カード用複合基
    材。
  6. 【請求項6】請求項1記載の高分子接着剤が、芳香族ポ
    リエステルを一成分として含有するポリエステル系また
    はポリエステルウレタン系樹脂からなることを特徴とす
    る磁気記録カード用複合基材。
  7. 【請求項7】請求項1記載の架橋剤が、ブロックされた
    または、フリーのイソシアネート基を有する多官能イソ
    シアネート化合物あるいは、エポキシまたはグリシジル
    基を有する多官能エポキシ化合物、官能性アルキロール
    基を有する多官能メラミン系化合物から選ばれた1種以
    上であることを特徴とする磁気記録カード用複合基材。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007321004A (ja) * 2006-05-30 2007-12-13 Taiyo Ink Mfg Ltd 熱硬化性接着剤および接着方法、並びに樹脂積層型icカード

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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