JPH11106988A - 装飾品用部品、装飾品、電子機器および携帯時計 - Google Patents

装飾品用部品、装飾品、電子機器および携帯時計

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JPH11106988A
JPH11106988A JP27630497A JP27630497A JPH11106988A JP H11106988 A JPH11106988 A JP H11106988A JP 27630497 A JP27630497 A JP 27630497A JP 27630497 A JP27630497 A JP 27630497A JP H11106988 A JPH11106988 A JP H11106988A
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JP
Japan
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layer
decorative
coating layer
plating
thickness
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Application number
JP27630497A
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English (en)
Inventor
Wataru Tsukamoto
亙 塚本
Kiyohiro Imai
清博 今井
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐久性、耐変色性等に優れる装飾品用部品、お
よびこれを備える装飾品、電子機器および携帯時計を提
供する。 【解決手段】本発明の時計用外装部品1は、素地4上に
少なくとも1層からなる下地層3を介してPd−Zn系
合金よりなる被覆層2を設けた。この被覆層2はZnを
0.5〜5wt%含有することが好ましく、被覆層2の厚
さは0.3〜11μmであることが好ましい。また、被
覆層2は塩化パラジウムアミン系メッキ液を用いて設け
られたメッキ層であることが好ましい。さらに、被覆層
2上にRh層、Au層の少なくとも一方を設けたものが
好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は装飾品用部品、およ
びこれを備えた装飾品、電子機器、携帯時計に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】時計の部品は、外装部品と駆動系のムー
ブメントの2つに大別される。そのうち、外装部品は外
から受ける種々の要因に耐えるべく、耐食性、耐衝撃
性、耐応力割れ性、耐摩耗性等が要求される。また、時
計には装飾品としての位置づけもあることから、外装部
品には耐変色性、色彩の多様性等も要求される。
【0003】このような要求を満たすための一手段とし
て、時計用外装部品材料には種々の特性を活かした被覆
層による表面処理が行われている。例えば、表面に白銀
色の色調を施す場合、Pd−Ni合金、純Pd等の素材
からなるメッキ層が設けられていた。Pd−Ni合金か
らなるメッキ層は、耐応力性、耐変色性に優れるが、N
i溶出による金属アレルギーを引き起こすという問題が
あり、一方、純Pdによるメッキ層は金属アレルギーの
問題はないが、耐応力性、耐変色性に劣るという問題が
あった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐応
力割れ性、耐変色性、耐食性、耐摩耗性等に優れる装飾
品用部品、およびこれを備えた装飾品、電子機器および
携帯時計を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(15)の本発明により達成される。
【0006】(1) 素地上に少なくとも1層からなる
下地層を介してPd−Zn系合金よりなる被覆層を設け
たことを特徴とする装飾品用部品。
【0007】(2) 前記被覆層はZnを0.5〜5wt
%含有する上記(1)に記載の装飾品用部品。
【0008】(3) 前記被覆層の厚さが0.3〜11
μmである上記(1)または(2)に記載の装飾品用部
品。
【0009】(4) 前記被覆層はメッキ層である上記
(1)ないし(3)のいずれかに記載の装飾品用部品。
【0010】(5) 前記メッキ層は塩化パラジウムア
ミン系メッキ液を用いて設けられたものである上記
(4)に記載の装飾品用部品。
【0011】(6) 前記被覆層上にRhまたはRh系
合金からなる層が設けられた上記((1)ないし(5)
のいずれかに記載の装飾品用部品。
【0012】(7) 前記RhまたはRh系合金からな
る層の厚さは0.05〜3μmである上記(6)に記載
の装飾品用部品。
【0013】(8) 前記被覆層上にAuまたはAu系
合金からなる層が設けられた上記((1)ないし(5)
のいずれかに記載の装飾品用部品。
【0014】(9) 前記RhまたはRh系合金からな
る層の上にAuまたはAu系合金からなる層が設けられ
た上記(6)または(7)に記載の装飾品用部品。
【0015】(10) 前記AuまたはAu系合金からな
る層の厚さは0.5〜10μmである上記(8)または
(9)に記載の装飾品用部品。
【0016】(11) 前記下地層の厚さが0.5〜30
μmである上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の
装飾品用部品。
【0017】(12) 前記装飾品用部品は時計用外装部
品である上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の装
飾品用部品。
【0018】(13) 上記(1)ないし(11)のいずれ
かに記載の装飾品用部品を備えることを特徴とする装飾
品。
【0019】(14) 上記(1)ないし(11)のいずれ
かに記載の装飾品用部品を備えることを特徴とする電子
機器。
【0020】(15) 上記(12)に記載の時計用外装部
品を備えることを特徴とする携帯時計。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の装飾品用部品の実
施例について図を参照しながら説明する。
【0022】図1は、本発明の装飾品用部品の一例を示
す時計用外装部品1の部分断面図である。
【0023】図1に示すように、本発明の時計用外装部
品1は、該部品を構成する素地4と、素地4の上に設け
られた少なくとも1層からなる下地層3と、さらにその
下地層3の上にPd−Zn系合金からなる被覆層2とを
有している。
【0024】素地4の構成材料は、時計用外装部品1を
成形する基礎となるものであって、外的影響に対する耐
久性、加工容易性等の観点から適宜選択される。
【0025】例えば、時計用外装部品1が腕時計のよう
な携帯時計の場合、耐食性、強度および切削・研磨等の
加工性の良さと、製造コストとの観点から選択され、例
えば、ステンレス鋼、黄銅、洋白等の銅系合金、チタ
ン、金、銀、白金等の貴金属等またはこれらの貴金属を
含む合金等の金属材料、Al23 系、SiO2 系、Z
rO2 系セラミックス等のセラミックス材料、またはA
BS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレ
ン)、FRP等(繊維強化プラスチック)の樹脂材料が
用いられる。これらの金属材料、セラミックス材料、樹
脂材料は、部品の全部を構成するものには限られず、他
の材料との組合せにより部品の一部分を構成するもので
あってもよい。
【0026】素地4の製造方法は特に限定されず、例え
ば、プレス加工、切削加工、鍛造加工、鋳造加工、粉末
冶金焼結、金属粉末射出成形(MIM)、ロストワック
ス法等が挙げられる。
【0027】また、素地4の表面は表面仕上加工が施さ
れていることが好ましく、必要に応じて、例えば鏡面研
磨加工、すじ目加工、ホーニング加工、マーキング加工
等による表面仕上げが挙げられ、これらを2種以上組合
せた表面仕上げが施されていてもよい。
【0028】素地4上には種々の目的により、少なくと
も1層からなる下地層3が設けられている。下地層3を
設けることにより耐食性を確保することができる。例え
ば、素地4の表面にピンホールがあった場合、そこへ水
や気体が侵入し素地4が侵されて錆び、ひび割れ等が発
生するのを防ぐ役割を果たす。さらに、素地4にバリ、
肌荒れ等の欠陥があった場合、後述の被覆層2がバリ部
分で薄くなり、耐食性が不十分となるおそれがある。し
たがって、このような素地4の表面の欠陥をカバーする
ことを目的として設けられるものである。
【0029】さらに、被覆層2のPd−Zn系合金に対
し密着性のよい層を下地層3の最表面に設けることによ
り、下地層3と被覆層2との密着性を向上させることも
可能である。
【0030】下地層3は少なくとも1層から構成され、
本実施例の場合、素地4に接触している側から、Cu s
t.層5( st.=ストライクメッキ:0.1μm 以下の薄
いメッキ層を意味する)、Cu層6、Cu−Sn合金層
7、Au st.またはPd st.層8とから構成されてい
る。なお、ストライクメッキは異種層間の密着性向上の
ため設けられる層である。
【0031】下地層3の厚さは特に限定されないが、合
計で0.5〜30μm が好ましく、1.0〜10μm が
特に好ましい。下地層3が0.5μm 未満である場合、
耐食性が確保されにくく、また30μm を超えると下地
層3自身にクラックが発生するおそれがあり、したがっ
て耐食性を確保できないおそれがある。
【0032】下地層3を構成する各層の厚さは上記の合
計膜厚の範囲内であれば、いかなる厚さであってもよ
く、また成膜方法についても特に限定されず、例えば、
通常の湿式メッキ法や、蒸着法、スパッタリング、イオ
ンプレーティング等の乾式メッキ法等のいかなる方法に
よるものであってもよいが、同一成膜法で連続的に積層
することが好ましい。
【0033】なお、上記の下地層3の構成は一例であっ
て、下地層の層構成や形成方法等はいかなるものであっ
てもよい。
【0034】下地層3の上にはPd−Zn系合金からな
る被覆層2が設けられている。これにより、時計用外装
部品1に耐食性、耐摩耗性、耐応力割れ品質、耐変色品
質が向上する。さらに、素地4にNiを含有する材料が
使用され、あるいはNiを含有する下地層が設けられて
いる場合であっても、そのような材料や下地層からのN
iの溶出を阻止することができる。この意味で被覆層2
は、溶出金属バリア層としても機能する。
【0035】また、時計用外装部品1の表面をPd−Z
n系合金からなる被覆層2とした場合、従来の表面仕上
げメッキ層として設けられていたPd−Niメッキ層と
同様の白銀色を呈するため、高級感を付与することがで
きる。さらに金属アレルギーの原因となるNiを含まな
いので、従来のPd−Niメッキ層に代えることができ
る。
【0036】この被覆層2は塩化パラジウムアミン系メ
ッキ液を用いて設けられたものであることが好ましい。
これにより、メッキ品質の良好なメッキ層を容易に得る
ことができる。
【0037】被覆層2の厚さは0.3〜11μmが好ま
しく、1.0〜5.0μmがより好ましい。被覆層2の
厚さが0.3μm未満では耐食性等の向上を図ることが
困難となる場合があり、一方、11μmを超えると耐ク
ラック性が低下するおそれがあり、さらには製造コスト
が増大することとなる。
【0038】また、被覆層2はZnを0.5〜5wt%含
有することが好ましい。Znの含有量が少な過ぎると、
純Pdによる被覆層に比べ上記効果の向上が見られず、
一方含有量が多過ぎると耐食性の向上が不十分となる。
さらに耐変色性の向上が図れず、時間の経過とともに被
覆層2の色調が褐色から黒味を帯び、時計用外装部品1
の外観を損なうおそれがある。
【0039】この被覆層2には、PdおよびZn以外に
他の元素が含まれていてもよく、このような元素として
は、例えばAl、Au、Fe、Ti、Cr、Cu、P
t、Sn、V、In等が挙げられる。
【0040】このような被覆層2はメッキ層であること
が好ましい。これにより密着性、耐摩耗性等に優れた被
膜を得ることができる。また、時計用外装部品1の形
状、大きさを問わず被覆層2を設けることができ、層の
厚さの加減も容易である。
【0041】本発明で用い得るメッキ方法としては特に
限定されず、例えば、電解メッキや無電解メッキ等の湿
式メッキ法や、蒸着法、スパッタリング、イオンプレー
ティング等の乾式メッキ法等が挙げられる。
【0042】図2は、装飾品用部品の第2の実施例を示
す時計用外装部品の部分断面図である。同図に示す時計
用外装部品1は、上述のPd−Zn系合金からなる被覆
層2上に、RhまたはRh系合金からなる層9(以下、
単に「Rh層9」という)が設けられている。Rh層9
により、表面の色調をPd−Zn系合金よりも白い白銀
色にすることができ、審美感を増すことができる。ま
た、耐食性、耐摩耗性をさらに向上させることができ
る。
【0043】なお、Rh系合金とは、例えばRhを約5
0wt%以上含有するようなRhを主とする合金を意味す
る。RhとともにRh層9を構成し得る元素としては、
例えば、Mg、In等が挙げられる。
【0044】Rh層9の厚さは0.05〜3μmが好ま
しい。Rh層9が薄過ぎると耐摩耗性が不十分となるお
それがあり、一方、厚過ぎると上記効果の向上がみられ
ないばかりでなく製造コストが増大する。
【0045】図3は装飾品用部品の第3の実施例を示す
時計用外装部品の部分断面図、図4には装飾品用部品の
第4の実施例を示す時計用外装部品の一部断面図を示
す。これらの図に示すように、上記被覆層2またはRh
層9に、AuまたはAu系合金からななる層10(以
下、単に「Au層10」という)が設けられている。A
u層10を設けることにより、黄金色の色調を付与する
ことができ、豪華さをだすことができる。
【0046】また、図に示すように、Au層10は部分
的に設けることが好ましい。前記被覆層2またはRh層
9の白銀色とAu層10の黄金色との組合せにより、単
一色調よりも高級な質感や色調を得ることができ、審美
感を増すことができる。
【0047】なお、Au系合金とは例えばAuを約50
wt%以上含有するような、Auを主とする合金を意味す
る。AuとともにAu層10を構成し得る元素として
は、例えば、Cu、Ag、Zn、Pd、Fe、In、T
i、Co、Sn等が挙げられる。
【0048】上記元素をAuに添加することにより、A
uの持つ本来のイエローゴールドと呼ばれる色調から、
赤味を帯びたレッドゴールド、ピンクゴールド等の色調
の変化を出すこともできる。
【0049】Au層10の厚さは0.5〜10μmが好
ましい。Au層10が薄過ぎると耐摩耗性が不十分とな
るおそれがあり、一方、厚過ぎると上記効果の向上がみ
られないばかりでなく製造コストが大きくなる。
【0050】上記本発明の装飾品用部品を用いて、図5
に示すような腕時計1A(携帯時計)が組立てられる。
同図に示すように、本発明の腕時計1Aは、胴(ケー
ス)22と、裏蓋23と、ベゼル(縁)24と、ガラス
板25とを備えている。ケース22内には、図示しない
ムーブメント(例えば文字板、針付きのもの)が収納さ
れる。
【0051】胴22には巻真パイプ26が嵌入・固定さ
れ、この巻真パイプ26内にはりゅうず27の軸部27
1が回転可能に挿入されている。
【0052】胴22、裏蓋23、ベゼル24、巻真パイ
プ26は、それぞれ上述したような金属材料で構成され
ている。胴22とベゼル24とは、プラスチックパッキ
ン28により固定され、ベゼル24とガラス板25とは
プラスチックパッキン29により固定されている。
【0053】また、胴22に対し裏蓋23が嵌合(また
は螺合)されており、これらの接合部(シール部)50
には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)40が
圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部5
0が液密に封止され、防水機能が得られる。
【0054】りゅうず27の軸部271の途中の外周に
は溝272が形成され、この溝272内にはリング状の
ゴムパッキン(りゅうずパッキン)30が嵌合されてい
る。ゴムパッキン30は巻真パイプ26の内周面に密着
し、該内周面と溝272の内面との間で圧縮される。こ
の構成により、りゅうず27と巻真パイプ26との間が
液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうず2
7を回転操作したとき、ゴムパッキン30は軸部271
と共に回転し、巻真パイプ26の内周面に密着しながら
周方向に摺動する。
【0055】本発明の腕時計1Aは、ベゼル24、胴2
2、りゅうず27、裏蓋23等の時計用外装部品のうち
少なくとも1つの前述した被覆層2が設けられた部品を
備えるものである。
【0056】本発明の装飾品用部品1を図示の各実施例
について説明したが、これらに限定されるものではな
い。装飾品用部品1を備える装飾品としては、携帯時計
の他に例えば、指輪、ネックレス、ブレスレット、イヤ
リング、ピアス、眼鏡フレーム、ライター、ネクタイピ
ン、カフスボタン、その他の各種アクセサリ等であって
もよい。
【0057】また、本発明の装飾品用部品1を備え、少
なくとも一部に装飾的効果を発揮し得るように用いられ
た電子機器類も本発明の対象となる。このような電子機
器としては、例えば、電子時計、携帯電話機、ポケット
ベル、電卓、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッ
サ、プリンタ、複写機、電子玩具、各種測定機器、液晶
表示素子(LCD)等が挙げられる。
【0058】
【実施例】次に、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0059】(実施例1) 1.装飾品用部品の作製 次のようにして、装飾品用部品(携帯時計の胴)1を作
製した。
【0060】部品の形成 まず、腕時計用の胴22を黄銅(Bs)を用いて鋳造に
より作製した。この部品の材料表面に鏡面仕上げ加工を
施した。
【0061】下地層3の形成 次に、材料表面(素地)に層5〜8の4層からなる下地
層3を形成した。下地層3を構成する各層厚さ、形成方
法は下記の通りである。なお、胴22の素地に最も近い
側から層5、層6・・・とする。
【0062】 被覆層2の形成 下地層3の上に、Pd−Znからなる被覆層2を電解メ
ッキにより設けた。
【0063】メッキ条件、被覆層2の性状は次のとおり
である。
【0064】メッキ液:「パラデックス2000」(日
本エレクトロプレイティングエンジニヤース(株)社
製) メッキ液中のPd含有量:13[g/l] メッキ液中のZn含有量:0.1[g/l] メッキ液温度:45〜50℃ メッキ液pH:10〜10.5 電流密度:0.4[A/dm2] メッキ時間:36[分] 被覆層2の厚さ:4μm 被覆層2のZn含有量:3wt% (実施例2〜実施例9)被覆層2を設けるためのメッキ
条件を表1に示す組合せとした以外は、実施例1と同様
にして装飾品用部品1を作製した。
【0065】なお、被覆層2中のPd含有量を多くする
場合には、メッキ液中のPdの含有量を増加させるため
「パラデックス2000用添加剤A」(日本エレクトロ
プレイティングエンジニヤース(株)社製)をメッキ液
に添加し、一方被覆層2中のZn含有量を多くする場合
には、メッキ液中のZnの含有量を増加させるため
「「パラデックス2000用添加剤B」(日本エレクト
ロプレイティングエンジニヤース(株)社製)をメッキ
液に添加し調整した。
【0066】
【表1】
【0067】(実施例10)被覆層2の上に、Rhから
なるメッキ層(Rh層9)を設けた以外は、実施例1と
同様に装飾品用部品1を作製した。
【0068】Rh層9を設けるためのメッキ条件、膜性
状は以下の通りである。
【0069】Rhメッキ液:硫酸系Rhメッキ液 メッキ液温度:40℃ メッキ液pH:1.5 電流密度:2[A/dm2] メッキ時間:4[分] Rh層9の厚さ:0.5μm (実施例11)被覆層2の上に、メッキによりAu層1
0を部分的に設けた以外は、実施例1と同様に装飾品用
部品1を作製した。
【0070】メッキ層10を設けるためのメッキ条件、
膜性状は以下の通りである。
【0071】 Auメッキ液:Au−Fe−In合金メッキ液 メッキ液温度:40℃ メッキ液pH:3.5 電流密度:1[A/dm2] メッキ時間:40[分] Au層10の厚さ:3μm (実施例12)Rh層9の上にAu層10を部分的に設
けた以外は、実施例10および実施例11と同様に装飾
品用部品1を作製した。
【0072】Rh層9およびAu層10の膜性状は各々
以下の通りである。
【0073】Rh層9の厚さ:0.5μm Au層10の厚さ:3μm (比較例1)素地の下地層3の上に設ける被覆層を純P
dとした以外は、実施例1と同様に装飾品用部品を作製
した。なお、メッキ条件、膜性状は次の通りである。
【0074】メッキ液:亜硝酸パラジウムアミン溶液 メッキ液温度:45〜50℃ メッキ液pH:7〜7.5 電流密度:1.5[A/dm2] メッキ時間:13[分] 膜厚:4μm (比較例2)純Pdからなるメッキ層を設ける際のメッ
キ時間を1分とした以外は、比較例1と同様に装飾品用
部品を作製した。純Pd層の膜厚は0.3μmであっ
た。
【0075】(比較例3)純Pdからなるメッキ層を設
ける際のメッキ時間を36分とした以外は、比較例1と
同様に装飾品用部品を作製した。純Pd層の膜厚は11
μmであった。
【0076】(比較例4)下記の条件で素地の上に純P
dからなる被覆層を設けた以外は比較例1と同様にして
装飾品用部品を作製した。
【0077】メッキ液:塩化パラジウムアミン溶液 メッキ液温度:45〜50℃ メッキ液pH:13〜14 電流密度:0.5[A/dm2] メッキ時間:29[分] 膜厚:4μm (比較例5)純Pdからなるメッキ層を設ける際のメッ
キ時間を80[分]とした以外は、比較例4と同様に装
飾品用部品を作製した。純Pd層の膜厚は11μmであ
った。
【0078】2.被覆層品質試験 上記実施例1〜12および比較例1〜5で作製した各装
飾品用部品について、以下のごとく、被覆層品質試験を
行った。
【0079】(1) 耐応力割れ性 A アンモニア曝気試験 作製した各装飾品用部品をアンモニア水を入れたデシケ
ータ内に入れ、室温で4時間放置した後、装飾品用部品
の表面状態を目視で観察する。なお、アンモニア水は1
級試薬を用い(アンモニア濃度25wt%〜28wt%)、
これをアンモニア水:蒸留水=3:2の割合で希釈し試
験用アンモニア水とした。また、試験用アンモニア水
は、デシケータの容積1リットル当たり45ccを用い
た。
【0080】評価は次のように行った。
【0081】 ◎・・・表面にクラックがみられない ○・・・表面にクラックが1〜2カ所みられる ×・・・表面にクラックが3カ所以上みられる 結果を表2に示す。
【0082】B 熱ショック試験 各装飾品用部品を150℃で30分間加熱し、速やかに
常温の水中に入れ急冷した後、表面状態を顕微鏡を用い
て観察した。評価は次のように行った。
【0083】 ◎・・・表面にクラック、剥れ、膨れがみられない ○・・・表面にクラック、剥れ、膨れが1〜2カ所みら
れる ×・・・表面にクラック、剥れ、膨れが3カ所以上みら
れる 結果を表2に示す。
【0084】C 折り曲げ試験 各装飾品用部品において、外気に触れる部分の主要箇所
を万力等で挟み折り曲げ角90°で折曲げ、または形状
によっては「つぶし率」50%で押し潰した後、部品の
折り曲げ部分またはつぶし部分を顕微鏡で観察する。評
価は次のように行った。
【0085】 ◎・・・表面に剥れ、膨れがみられない ○・・・表面に剥れ、膨れが1〜2カ所みられる ×・・・表面に剥れ、膨れが3カ所以上みられる 結果を表2に示す。
【0086】(2) 耐変色性 D チオアセトアミド曝気試験 各装飾品用部品をチオアセトアミドを入れたデシケータ
内に入れ、室温で24時間放置した後この装飾品用部品
を取り出し、表面仕上げ処理直後の表面との色差を観察
した。
【0087】なお、チオアセトアミドは1級試薬を用
い、これを蒸留水に溶解して50g/l水溶液として用い
た。このチオアセトアミド水溶液をデシケータの容積1
リットル当たり50cc用いた。
【0088】評価は次のように行った。
【0089】 ◎・・・色差なし ×・・・わずかに変色(褐色)がみられた ××・・・変色(黒色)がみられた 結果を表2に示す。
【0090】E SOx 曝気試験 各装飾品用部品をNa2 SO3 の硫酸水溶液とともにデ
シケータ内に入れ、室温で2時間放置した後この装飾品
用部品を取り出し、表面仕上げ処理直後の表面との色差
を目視により観察した。
【0091】なお、Na2 SO3 の硫酸水溶液は、Na
2 SO3 を5gを10%H2 SO450mlに溶解した。
このNa2 SO3 の硫酸水溶液をデシケータの容積1リ
ットル当たり50cc用いた。
【0092】評価は次のように行った。
【0093】 ◎・・・色差なし ×・・・わずかに変色(褐色)がみられた ××・・変色(黒色)がみられた 結果を表2に示す。
【0094】F 室内放置試験 装飾品用部品を商品の価格等が印刷されたタグまたはシ
ール等とともにビニール製の袋に密封し室温で4か月放
置した。このようにして印刷インクや粘着剤等の被覆層
に対する影響による装飾品用部品表面の変色の度合いを
調べた。試験後の色調と表面仕上げ処理直後の色調とを
比較し、その色差を目視により次のように判定した。
【0095】 ◎・・・色差なし ×・・・わずかに変色(褐色)がみられた ××・・変色(黒色)がみられた 結果を表2に示す。
【0096】(3) 耐食性 G 食塩水浸漬試験 密閉容器内の食塩水に浸したガーゼまたは脱脂綿の上
に、一度食塩水に全浸させた各装飾品用部品を置き、さ
らに部品の高さの約半分が食塩水に浸るようにした。こ
の状態で40℃で24時間放置し、装飾品用部品表面の
腐食、変色の有無を目視により観察した。なお、この試
験に用いた食塩水の濃度は50g/lとした。
【0097】評価は次のようにして行った。
【0098】 ◎・・・表面に腐食、変色がない ○・・・表面に点状の腐食、変色が6か所以下 ×・・・表面に点状の腐食、変色が7か所以上、または
面状の腐食、変色がみられた。
【0099】結果を表2に示す。
【0100】(4) 耐摩耗性 H 耐摩耗性試験 各装飾品用部品の表面を複数回擦り、被覆層が摩耗し下
地層の露出の度合いを観察した。なお、摩擦条件は以下
の通りとした。
【0101】摩擦荷重:500gf 摩擦ストローク:40〜50mm 摩擦面:牛皮裏面 摩擦回数:4万回(2万回往復) 評価は次のようにして行った。
【0102】 ◎・・・下地層の露出なし ○・・・下地層の露出が1mm2 未満 ×・・・下地層の露出が1mm2 以上 結果を表2に示す。
【0103】(5) 色調変化 I 色調試験 実施例のPd−Zn被覆層と比較例の純Pd層との色調
を比較し、色差の度合いを目視で判定した。
【0104】 ◎・・・色差なし ○・・・色差少しあり △・・・色差あり
【0105】
【表2】
【0106】表2に示すように、本発明の装飾品用部品
は耐応力割れ性、耐変色性、耐食性、耐摩耗性、色調変
化のいずれについても良好な結果が得られた。また、R
h層やAu層が設けられた装飾品用部品についても同様
に良好な結果が得られた。
【0107】これに対し、比較例1〜3の亜硝酸パラジ
ウムアミン系による純Pd層は耐変色性、耐食性に劣
り、一方、比較例4、5の塩化パラジウム系による純P
d層は耐変色性は良好であるが耐応力性、耐食性に劣る
ものであった。
【0108】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の装飾品用部
品、およびこれを備えた装飾品、電子機器および携帯時
計によれば、耐応力割れ性、耐食性、耐変色性等に優れ
た表面処理が施されているため、品質を向上させること
ができる。特に携帯時計の場合、基本品質である耐食
性、耐摩擦性等の耐久品質および耐変色性が著しく向上
し、かつ金属アレルギーの原因となるNiを含まないた
め高品質の時計を得ることができる。
【0109】また、特にRh層やAu層を設けた場合、
上記の耐久品質を維持しつつ審美感が向上し、より高品
質のものとすることができる。またこれらの層を設ける
ことにより、デザイン的にもバリエーションが拡がり、
装飾品等としての商品価値を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装飾品用部品の第1の実施例を示す部
分断面図である。
【図2】本発明の装飾品用部品の第2の実施例を示す部
分断面図である。
【図3】本発明の装飾品用部品の第3の実施例を示す部
分断面図である。
【図4】本発明の装飾品用部品の第4の実施例を示す部
分断面図である。
【図5】本発明の装飾品用部品を備える携帯時計の実施
例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 装飾品用部品(時計用外装部品) 1A 腕時計(携帯時計) 2 被覆層 3 下地層 4 素地 5 Cu st.層 6 Cu層 7 Cu−Sn層 8 Au st.層 9 Rh層 10 Au層 22 胴 23 裏蓋 24 ベゼル 25 ガラス板 26 巻真パイプ 27 りゅうず 271 軸部 272 溝 28 プラスチックパッキン 29 プラスチックパッキン 30 ゴムパッキン 40 裏蓋パッキン 50 シール部

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 素地上に少なくとも1層からなる下地層
    を介してPd−Zn系合金よりなる被覆層を設けたこと
    を特徴とする装飾品用部品。
  2. 【請求項2】 前記被覆層はZnを0.5〜5wt%含有
    する請求項1に記載の装飾品用部品。
  3. 【請求項3】 前記被覆層の厚さが0.3〜11μmで
    ある請求項1または2に記載の装飾品用部品。
  4. 【請求項4】 前記被覆層はメッキ層である請求項1な
    いし3のいずれかに記載の装飾品用部品。
  5. 【請求項5】 前記メッキ層は塩化パラジウムアミン系
    メッキ液を用いて設けられたものである請求項4に記載
    の装飾品用部品。
  6. 【請求項6】 前記被覆層上にRhまたはRh系合金か
    らなる層が設けられた請求項1ないし5のいずれかに記
    載の装飾品用部品。
  7. 【請求項7】 前記RhまたはRh系合金からなる層の
    厚さは0.05〜3μmである請求項6に記載の装飾品
    用部品。
  8. 【請求項8】 前記被覆層上にAuまたはAu系合金か
    らなる層が設けられた請求項1ないし5のいずれかに記
    載の装飾品用部品。
  9. 【請求項9】 前記RhまたはRh系合金からなる層の
    上にAuまたはAu系合金からなる層が設けられた請求
    項6または7に記載の装飾品用部品。
  10. 【請求項10】 前記AuまたはAu系合金からなる層
    の厚さは0.5〜10μmである請求項8または9に記
    載の装飾品用部品。
  11. 【請求項11】 前記下地層の厚さが0.5〜30μm
    である請求項1ないし10のいずれかに記載の装飾品用
    部品。
  12. 【請求項12】 前記装飾品用部品は時計用外装部品で
    ある請求項1ないし11のいずれかに記載の装飾品用部
    品。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    の装飾品用部品を備えることを特徴とする装飾品。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    の装飾品用部品を備えることを特徴とする電子機器。
  15. 【請求項15】 請求項12に記載の時計用外装部品を
    備えることを特徴とする携帯時計。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002161393A (ja) * 2000-11-22 2002-06-04 Bikutoria:Kk 耐食性を有する貴金属めっき方法および貴金属めっき装身具。
KR20220095551A (ko) * 2020-12-30 2022-07-07 이규완 시계 베젤의 인덱스 도금방법 및 그 방법에 의한 시계 베젤

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