JPH1081762A - 防シワ性に優れたポリオレフィン系フィルム - Google Patents

防シワ性に優れたポリオレフィン系フィルム

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JPH1081762A
JPH1081762A JP23506496A JP23506496A JPH1081762A JP H1081762 A JPH1081762 A JP H1081762A JP 23506496 A JP23506496 A JP 23506496A JP 23506496 A JP23506496 A JP 23506496A JP H1081762 A JPH1081762 A JP H1081762A
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JP
Japan
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polyolefin
group
cyclic olefin
wrinkle
resin
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Pending
Application number
JP23506496A
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English (en)
Inventor
Masaya Sasaki
正 哉 佐々木
Masabumi Ono
野 正 文 小
Yasushi Amada
田 康 尼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOUSERO KK
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
TOUSERO KK
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オフセット印刷物等の油分を少量含んだもの
を包装してもシワにならないポリオレフィンフィルムを
提供すること。 【解決手段】 [A]結晶性ポリオレフィン;70〜9
8重量%と、[B]軟化温度が60〜120℃である、
エチレンと下記[I]などからなる群から選ばれる少なく
とも1種の環状オレフィン系樹脂;2〜30重量%とか
らなる樹脂組成物製シートを縦方向に3倍以上、横方向
に3倍以上、二軸延伸してなる防シワ性ポリオレフィン
系フィルム。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、防シワ性ポリオレフィン
系フィルムに関し、さらに詳しくは結晶性ポリオレフィ
ンと環状オレフィン系樹脂とからなる防シワ性に優れた
ポリオレフィン系フィルムに関する。
【0002】
【発明の技術的背景】結晶性ポリプロピレンなどの結晶
性ポリオレフィンを二軸延伸させて得られるフィルム
は、引張強さ、剛性率、表面硬度、衝撃強度、耐寒性な
どの機械的特性に優れるとともに、光沢、透明性などの
光学的特性に優れ、さらに無毒性、無臭性などの食品衛
生性にも優れており、従来より食品および医薬品などの
分野で包装用フィルムとして広く使用されている。
【0003】しかしながら、従来のポリオレフィン系フ
ィルムは、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、
ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、鉱物油類、
高沸点石油溶剤などの油剤との親和性が良いため、油剤
を吸収して膨張しやすい。
【0004】これらの油剤は、一般的に、印刷インキ、
接着剤、表面被覆剤等の溶剤として用いられているが、
たとえばオフセット印刷された印刷物などを従来のポリ
オレフィン系フィルムで包装すると、印刷物中に含まれ
る油剤がポリオレフィン系フィルムに吸収され、結果と
して、フィルムが膨張してフィルム上に多数のシワが発
生し、美観を損ねるという欠点があった。特に、印刷紙
がオフセット印刷紙であると、シワの発生が顕著であっ
た。
【0005】このようなポリオレフィン系フィルムの油
剤によるシワの発生を防ぐ試みとして、特開昭57−2
0322号公報には、特定の熱収縮率を有するポリオレ
フィンフィルムが提案されている。しかし、このポリオ
レフィンフィルムでは、熱シールする際、熱シール部に
熱収縮によるシワが発生し、シール部の外観が悪くなる
という欠点がある。
【0006】このため、油剤によるシワの発生がなく、
かつ熱シールしてもシール部にシワの発生しないポリオ
レフィン系フィルムが製造できれば、その工業的価値は
大きい。本発明者らは、油剤を含有する印刷物などに包
装してもシワが発生しないポリオレフィン系フィルムの
製造方法について研究した結果、結晶性ポリオレフィン
に低軟化温度の環状オレフィン系樹脂を配合してなる樹
脂組成物からシートを製造し、このシートを縦方向に3
倍以上、横方向に3倍以上、二軸延伸すれば、防シワ性
に優れたポリオレフィン系フィルムを製造しうることを
見出して本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に鑑み
てなされたものであって、防シワ性に優れたポリオレフ
ィン系フィルムを提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】本発明に係る防シワ性ポリオレフィン系
フィルムは、 [A]結晶性ポリオレフィン;70〜98重量%と、 [B]軟化温度が60〜160℃である下記[B-1]、
[B-2]、[B-3]および[B-4]からなる群から選ばれ
る少なくとも1種の環状オレフィン系樹脂;2〜30重
量%とからなる樹脂組成物製シートを縦方向に3倍以
上、横方向に3倍以上、二軸延伸してなることを特徴と
している。: [B-1]エチレンと下記一般式[I]または[II]で表
される環状オレフィンとを共重合させて得られるエチレ
ン・環状オレフィンランダム共重合体、
【0009】
【化3】
【0010】(ただし上記式[I]において、nは0ま
たは1であり、mは0または正の整数であり、qは0ま
たは1であり、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、そ
れぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素
基よりなる群から選ばれる原子または基を表し、R15
18は、互いに結合して単環または多環を形成していて
もよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していて
もよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでア
ルキリデン基を形成していてもよい。)、
【0011】
【化4】
【0012】(ただし上記式[II]において、pおよび
qは0または正の整数であり、mおよびnは0、1また
は2であり、R1〜R19はそれぞれ独立に、水素原子、
ハロゲン原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる
原子または基を表し、R9またはR10が結合している炭
素原子と、R13が結合している炭素原子またはR11が結
合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜3のア
ルキレン基を介して結合1ていてもよく、またn=m=
0のときR15とR12またはR15とR19とは互いに結合し
て単環または多環の芳香族環を形成していてもよ
い。)、[B-2]上記式[I]または[II]で表される
環状オレフィンの開環重合体または共重合体、[B-3]
上記[B-2]開環重合体または共重合体の水素化物、お
よび[B-4]上記[B-1]、[B-2]または[B-3]のグラ
フト変性物。
【0013】本発明に係る防シワ性ポリオレフィン系フ
ィルムは、少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂から
なるヒートシール層が形成されていることが好ましい。
本発明に係る防シワ性ポリオレフィン系フィルムは、環
状オレフィン系樹脂が含まれ、かつ特定の倍率で二軸延
伸されているので、熱収縮率がさほど大きくなくとも、
オフセット印刷物などの油剤を含む被包装物を包装して
も、シワになることがなく、外観に優れている。
【0014】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る防シワ性ポリ
オレフィン系フィルムについて具体的に説明する。
【0015】本発明に係る防シワ性ポリオレフィン系フ
ィルムは、[A]結晶性ポリオレフィンと、[B]環状
オレフィン系樹脂とからなる樹脂組成物製シートを二軸
延伸することによって得られる。
【0016】まず、このような樹脂組成物を形成する際
に用いられる各成分について説明する。[A]結晶性ポリオレフィン 本発明で用いられる結晶性ポリオレフィンは、X線回折
法によって測定される結晶化度が、通常30%を超えて
おり、好ましくは45%以上、さらに好ましくは55%
以上であることが望ましい。
【0017】この結晶性ポリオレフィンは、JIS K
6200に準拠し測定した23℃における引張モジュ
ラスが、通常2000Kg/cm2 を超えており、好ましく
は5000〜20000Kg/cm2 、さらに好ましくは1
0000〜20000Kg/cm 2 である。
【0018】また本発明で用いられる結晶性ポリオレフ
ィンは、下記のような物性を有することが好ましい。密
度が通常0.88〜0.92g/cm3 であり、メルトフ
ローレート(MFR)が通常0.01〜300g/10
分、好ましくは0.1〜100g/10分であり、極限粘
度[η](135℃のデカリン中で測定)が通常0.5
〜5dl/gであり、融点が通常120〜180℃であ
り、ガラス転移温度が通常−20〜20℃であり、軟化
温度が通常100〜170℃であることが好ましい。
【0019】このような結晶性ポリオレフィンとして
は、具体的に、結晶性ポリプロピレンが挙げられる。本
発明で用いられるポリプロピレンは、プロピレン単独重
合体であってもよく、プロピレンと他のα−オレフィン
との共重合体であってもよい。
【0020】プロピレン共重合体を形成する他のα−オ
レフィンとしては、プロピレンを除く炭素数2〜20の
α−オレフィンが挙げられ、具体的に、エチレン、1-ブ
テン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3
-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-
1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘ
キセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセ
ン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-
ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタ
デセン、1-エイコセンなどが挙げられる。
【0021】本発明で用いられるプロピレンと他のα−
オレフィンとの共重合体は、プロピレンから誘導される
構成単位を50モル%以上、好ましくは80モル%以上
の量で含有している。
【0022】なお本発明で用いられる結晶性ポリオレフ
ィンは、結晶性を損なわない範囲内で鎖状非共役ジエン
から誘導される構成単位および/または環状非共役ジエ
ンから誘導される構成単位を含有していてもよく、通常
5モル%以下、好ましくは3モル%以下の量で含有して
いてもよい。
【0023】上記のような結晶性ポリオレフィンは、従
来公知の種々の方法により製造されるが、たとえば、ジ
ルコウニム、ハフニウムなどのIVB族金属のメタロセン
化合物を含む固体状触媒成分と有機アルミニウム成分と
からなるメタロセン触媒を用いて、プロピレンまたはプ
ロピレンと他のα−オレフィンとを気相重合させること
により製造される。
【0024】環状オレフィン系樹脂[B] 本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂としては、
[B-1]エチレンと、下記式[I]または[II]で表さ
れる環状オレフィンとのランダム共重合体、[B-2]式
[I]または[II]で表される環状オレフィンの開環重
合体または共重合体、[B-3]上記[B-2]開環重合体ま
たは共重合体の水素化物、または[B-4]上記[B-1]、
[B-2]または[B-3]のグラフト変性物を挙げることが
できる。
【0025】このような環状オレフィン系樹脂と結晶性
ポリオレフィンと混練した場合に、得られる組成物は海
島構造をとり、環状オレフィン系樹脂は島部分となり、
結晶性ポリオレフィンは海部分となる。このようにして
海部分に環状オレフィンが存在することによって、結晶
性ポリオレフィンの防湿性が改良され、しかも機械的強
度にも優れた防シワ性ポリオレフィン系フィルムが得ら
れるのであろうと考えられる。
【0026】本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂
は、サーマル・メカニカル・アナライザーで測定した軟
化温度(TMA)が60〜160℃であり、好ましくは
70〜150℃、さらに好ましくは90〜140℃であ
る。
【0027】また環状オレフィン系樹脂は、135℃の
デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10
dl/gであり、好ましくは0.3〜2.0dl/g、さら
に好ましくは0.4〜1.2dl/gである。
【0028】さらにこの環状オレフィン系樹脂は、ガラ
ス転移点(Tg)が、通常50〜150℃、好ましくは
80〜130℃であり、X線回折法によって測定した結
晶化度が、通常0〜20%、好ましくは0〜2%であ
る。
【0029】ここでまず、上記のような環状オレフィン
樹脂を形成する際に用いられる一般式[I]または[I
I]で表される環状オレフィンについて説明する。
【0030】
【化5】
【0031】ただし上記式[I]において、nは0また
は1であり、mは0または正の整数であり、qは0また
は1である。なおqが1の場合には、Ra およびR
b は、それぞれ独立に、下記の原子または炭化水素基を
表し、qが0の場合には、それぞれの結合手が結合して
5員環を形成する。
【0032】上記式[I]において、R1 〜R18ならび
にRa、Rbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原
子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子または
基を表す。
【0033】ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。また炭化水
素基としては、それぞれ独立に、通常、炭素原子数1〜
20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化ア
ルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基また
は芳香族炭化水素基が挙げられる。より具体的には、ア
ルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、
イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、
デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基が挙げら
れ、ハロゲン化アルキルとしては、上記のようなアルキ
ル基を形成している水素原子の少なくとも一部がフッ素
原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換され
た基が挙げられる。
【0034】シクロアルキル基としては、シクロヘキシ
ル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、フェニル
基、ナフチル基などが挙げられる。さらに、上記式
[I]において、R15とR16とが、R17とR18とが、R
15とR 17とが、R16とR18とが、R15とR18とが、ある
いはR16とR17とがそれぞれ結合して(互いに共同し
て)、単環または多環を形成していてもよく、しかもこ
のようにして形成された単環または多環が二重結合を有
していてもよい。ここで形成される単環または多環とし
ては、具体的に以下のようなものが挙げられる。
【0035】
【化6】
【0036】なお上記例示において、1または2の番号
を付した炭素原子は、式[I]においてそれぞれR
15(R16)またはR17(R18)が結合している炭素原子
を表す。また、R15とR16とで、またはR17とR18とで
アルキリデン基を形成していてもよい。このようなアル
キリデン基は、通常は炭素原子数2〜20のアルキリデ
ン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例と
しては、エチリデン基、プロピリデン基およびイソプロ
ピリデン基が挙げられる。
【0037】
【化7】
【0038】ただし式[II]において、pおよびqは0
または正の整数であり、mおよびnは0、1または2で
ある。また、R1〜R19はそれぞれ独立に、水素原子、
ハロゲン原子、炭化水素基およびアルコキシ基からなる
群から選ばれる原子または基を表す。
【0039】ここでハロゲン原子は、上記式[I]にお
けるハロゲン原子と同じである。また炭化水素基として
は、それぞれ独立に、通常、炭素原子数1〜20のアル
キル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、
炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭
化水素基が挙げられる。より具体的には、アルキル基と
しては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ
ル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、
ドデシル基およびオクタデシル基が挙げられ、ハロゲン
化アルキルとしては、上記のようなアルキル基を形成し
ている水素原子の少なくとも一部がフッ素原子、塩素原
子、臭素原子またはヨウ素原子で置換された基が挙げら
れる。
【0040】シクロアルキル基としては、シクロヘキシ
ル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、アリール
基、アラルキル基などが挙げられ、具体的には、フェニ
ル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェニルエ
チル基などが挙げられる。
【0041】アルコキシ基としては、メトキシ基、エト
キシ基、プロポキシ基などが挙げられる。ここで、R9
およびR10が結合している炭素原子と、R13が結合して
いる炭素原子またはR11が結合している炭素原子とは直
接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結
合していてもよい。すなわち、上記二個の炭素原子がア
ルキレン基を介して結合している場合には、R9 および
13で表される基が、または、R10およびR11で表され
る基が互いに共同して、メチレン基(-CH2-) 、エチレン
基(-CH2CH2-)またはプロピレン基(-CH2CH2CH2-) の内の
いずれかのアルキレン基を形成している。
【0042】さらに、n=m=0のとき、R15とR12
たはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳
香族環を形成していてもよい。この場合の単環または多
環の芳香族環の例としては、n=m=0のときR15とR
12がさらに芳香族環を形成している以下に記載する基を
挙げることができる。
【0043】
【化8】
【0044】上記例示において、qは式[II]における
qと同じ意味である。上記のような式[I]または[I
I]で表される環状オレフィンとしては、具体的には、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2- エン誘導体、テトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17,10]-3- ドデセン誘導体、ヘキサシ
クロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]-4- ヘプタデセ
ン誘導体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.1
13,16.03,8.012,17]-5- ドコセン誘導体、ペンタシク
ロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]-4- ヘキサデセン誘導
体、ヘプタシクロ-5- エイコセン誘導体、ヘプタシクロ
-5- ヘンエイコセン誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5
-3- デセン誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3- ウン
デセン誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.
09,13]-4- ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタ
デカジエン誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.0
8,13]-3- ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ[8.7.0.
1.3.6.110,17.112,15.02,7.011,16]-4- エイコセン誘
導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.03,8.0
2,10.012,21.014,19]-5- ペンタコセン誘導体、ペンタ
シクロ[8.4.0.12,3.19,12.08,13]-3- ヘキサデセン誘
導体、ペンタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.
012,17]-5- ヘンエイコセン誘導体、ノナシクロ[10.1
0.1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]-
5-ヘキサコセン誘導体、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラ
ヒドロフルオレン誘導体、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a
-ヘキサヒドロアントラセン誘導体、シクロペンタジエ
ン-アセナフチレン付加物などが挙げられる。
【0045】上記のような式[I]または[II]で表さ
れる環状オレフィンのより具体的な例は、たとえば特開
平8−73618号公報などに示されている。上記のよ
うな式[I]または[II]で表される環状オレフィン
は、シクロペンタジエンと、対応する構造を有するオレ
フィン類とを、ディールス・アルダー反応させることに
よって製造することができる。
【0046】これらの環状オレフィンは、単独であるい
は2種以上組み合わせて用いることができる。本発明で
用いられる[B]環状オレフィン系樹脂は、上記のよう
な式[I]または[II]で表される環状オレフィンを用
いて、たとえば特開昭60−168708号公報、特開
昭61−120816号公報、特開昭61−11591
2号公報、特開昭61−115916号公報、特開昭6
1−271308号公報、特開昭61−272216号
公報、特開昭62−252406号公報、特開昭62−
252407号公報などにおいて本出願人が提案した方
法に従い、適宜条件を選択することにより製造すること
ができる。
【0047】[B-1]エチレン・環状オレフィンランダ
ム共重合体 本発明で[B]環状オレフィン系樹脂として用いられる
[B-1]エチレン・環状オレフィンランダム共重合体
は、通常、エチレンから誘導される構成単位を52〜9
0モル%、好ましくは55〜80モル%の量で、環状オ
レフィンから誘導される構成単位を10〜48モル%、
好ましくは20〜45モル%の量で含有している。な
お、エチレン組成および環状オレフィン組成は、13C−
NMRによって測定される。
【0048】この[B-1]エチレン・環状オレフィンラ
ンダム共重合体では、上記のようなエチレンから誘導さ
れる構成単位と環状オレフィンから誘導される構成単位
とが、ランダムに配列して結合し、実質的に線状構造を
有している。この共重合体が実質的に線状であって、実
質的にゲル状架橋構造を有していないことは、該共重合
体が有機溶媒に溶解し、不溶分を含まないことにより確
認することができる。たとえば後述するようにして極限
粘度[η]を測定する際に、該共重合体が135℃、デ
カリンに完全に溶解することにより確認することができ
る。
【0049】本発明で用いられる[B-1]エチレン・環
状オレフィンランダム共重合体において、上記式[I]
または[II]で表される環状オレフィンから誘導される
構成単位の少なくとも一部は、下記構造式[III]また
は[IV]で示される。
【0050】
【化9】
【0051】ただし上記式[III]において、n、m、
q、R1〜R18ならびにRa、Rbは式[I]と同じ意味
である。
【0052】
【化10】
【0053】ただし上記式[IV]において、n、m、
p、q、R1〜R19は式[II]と同じ意味である。また
本発明で用いられる[B-1]エチレン・環状オレフィン
ランダム共重合体は、本発明の目的を損なわない範囲で
必要に応じて他の共重合可能なモノマーから誘導される
構成単位を含有していてもよい。
【0054】このような他のモノマーとしては、上記の
ようなエチレンまたは環状オレフィン以外のオレフィン
を挙げることができ、具体的に、プロピレン、1-ブテ
ン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-
メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1
-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘ
キセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセ
ン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-
ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタ
デセン、1-エイコセンなどの炭素数3〜20のα−オレ
フィン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセ
ン、3,4-ジメチルシクロペンテン、3-メチルシクロヘキ
セン、2-(2- メチルブチル)-1-シクロヘキセン、シクロ
オクテン、3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-イ
ンデンなどのシクロオレフィン、2-ノルボルネン、5-メ
チル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネン、5-イ
ソプロピル-2-ノルボルネン、5-n-ブチル-2-ノルボルネ
ン、5-イソブチル-2-ノルボルネン、5,6-ジメチル-2-ノ
ルボルネン、5-クロロ-2-ノルボルネン、5-フルオロ-2-
ノルボルネンなどのノルボルネン類、1,4-ヘキサジエ
ン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサ
ジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5-
エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン
などの非共役ジエン類を挙げることができる。
【0055】これらの他のモノマーは、単独であるいは
2種以上組み合わせて用いることができる。 [B-1]エチレン・環状オレフィンランダム共重合体に
おいて、上記のような他のモノマーから誘導される構成
単位は、通常、20モル%以下、好ましくは10モル%
以下の量で含有されていてもよい。
【0056】本発明で用いられる[B-1]エチレン・環
状オレフィンランダム共重合体は、エチレンと式[I]
または[II]で表される環状オレフィンとを用いて、前
記公報に開示された製造方法により製造することができ
る。これらのうちでも、この共重合を炭化水素溶媒中で
行ない、触媒として該炭化水素溶媒に可溶性のバナジウ
ム化合物および有機アルミニウム化合物から形成される
触媒を用いて[B-1]エチレン・環状オレフィンランダ
ム共重合体を製造することが好ましい。
【0057】[B-2]環状オレフィンの開環重合体また
は共重合体 本発明で用いられる[B-2]環状オレフィンの開環重合
体または開環共重合体は、上記式[I]または[II]で
表される環状オレフィンから誘導される構成単位からな
り、該構成単位の少なくとも一部は、下記式[V]また
は[VI]で表される。
【0058】
【化11】
【0059】ただし上記式[V]において、n、m、
q、R1〜R18ならびにRa、Rbは式[I]と同じ意味
である。
【0060】
【化12】
【0061】ただし上記式[VI]において、n、m、
p、q、R1〜R19は式[II]と同じ意味である。この
ような開環重合体または開環共重合体は、前記公報に開
示された製造方法により製造することができる。具体的
には、上記式[I]で表される環状オレフィンを開環重
合触媒の存在下に、重合または共重合させることにより
製造することができる。このような開環重合触媒として
は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、
インジウムまたは白金などから選ばれる金属のハロゲン
化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤
とからなる触媒、あるいは、チタン、パラジウム、ジル
コニウムまたはモリブテンなどから選ばれる金属のハロ
ゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミ
ニウム化合物とからなる触媒を用いることができる。
【0062】[B-3]開環重合体または共重合体の水素
化物 本発明で用いられる[B-3]開環重合体または共重合体
の水素化物は、上記のようにして得られる[B-2]開環
重合体または共重合体を、従来公知の水素添加触媒の存
在下に水素化して得られる。
【0063】この[B-3]開環重合体または共重合体の
水素化物において、式[I]または[II]で表される環
状オレフィンから誘導される構成単位のうち、少なくと
も一部は下記式[VII]または[VIII]で表される。
【0064】
【化13】
【0065】ただし上記式[VII]において、n、m、
q、R1〜R18ならびにRa、Rbは式[I]と同じ意味
である。
【0066】
【化14】
【0067】ただし上記式[VI]において、n、m、
p、q、R1〜R19は式[II]と同じ意味である。[B-4]グラフト変性物 本発明で用いられる[B-4]環状オレフィン系樹脂のグ
ラフト変性物は、上記のような[B-1]エチレン・環状
オレフィンランダム共重合体、[B-2]環状オレフィン
の開環重合体または共重合体、または、[B-3]開環重
合体または共重合体の水素化物の一部を、変性剤でグラ
フト変性して得られる。
【0068】変性剤としては、無水マレイン酸などの不
飽和カルボン酸、これらの酸無水物または不飽和カルボ
ン酸のアルキルエステル等の誘導体などが挙げられる。
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂のグラフト変
性物において、変性剤から誘導される構成単位の含有率
は、通常10モル%以下である。
【0069】このような環状オレフィン系樹脂のグラフ
ト変性物は、所望の変性率になるように環状オレフィン
系樹脂に変性剤を配合してグラフト重合させ製造するこ
ともできるし、予め高変性率の変性物を調製し、次いで
この変性物と未変性の環状オレフィン系樹脂とを混合す
ることにより製造することもできる。
【0070】本発明で用いられる[B]環状オレフィン
系樹脂は、上記のような[B-1]、[B-2]、[B-3]お
よび[B-4]からなる群から選ばれ、これらを2種以上
組み合わせたものであってもよい。
【0071】本発明では、[B]環状オレフィン系樹脂
として、これらのうち[B-1]エチレン・環状オレフィ
ンランダム共重合体が好ましく用いられる。樹脂組成物 本発明で防シワ性ポリオレフィン系フィルムを形成する
際に用いられる樹脂組成物は、上述したように[A]結
晶性ポリオレフィン樹脂と[B]環状オレフィン系樹脂
とからなり、[A]結晶性ポリオレフィン樹脂は70〜
98重量%、好ましくは80〜90重量%の量で含有さ
れており、[B]環状オレフィン系樹脂は2〜30重量
%、好ましくは10〜20重量%の量で含有されてい
る。
【0072】なお本発明で用いられる樹脂組成物には、
本発明の目的を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、熱安
定剤、アンチブロッキング剤、滑剤、帯電防止剤などが
配合されていてもよい。さらに該樹脂組成物には、本発
明の目的を損なわない範囲で、通常は10重量%以下の
量でエラストマーが配合されていてもよい。このような
エラストマーとしては、具体的に、EPR、EPDM、
SBS、SEBS、SIS、SEPSなどが挙げられ
る。
【0073】このような樹脂組成物は、従来公知の溶融
混練方法を適用して調製することができる。具体的に
は、[A]結晶性ポリオレフィン樹脂および[B]環状
オレフィン系樹脂を、ドライブレンドしたものを押出機
で溶融混練してもよく、これら各成分を適当な良溶媒に
溶解し、またはそれぞれ別々に溶解した後混合し、溶媒
を除去して押出機で溶融混練してもよい。
【0074】防シワ性ポリオレフィン系フィルム 本発明に係る防シワ性ポリオレフィン系フィルムは、上
記のような樹脂組成物からなるシートを縦方向に3倍以
上、横方向に3倍以上、好ましくはそれぞれ5倍以上、
二軸延伸することにより得られる。
【0075】樹脂組成物から延伸フィルムを製造するに
際しては、通常、まず該樹脂組成物からなる原反シート
を形成する。原反シートは、上記樹脂組成物をプレス
法、Tダイ法、円筒ダイ法またはインジェクション法な
ど公知の方法により成形することにより得られる。この
原反シートの厚さは、通常0.1〜5mm、好ましくは
0.2〜3mmである。
【0076】次いでこの原反シートを、二軸延伸するこ
とにより、本発明に係る防シワ性ポリオレフィン系フィ
ルムが得られる。延伸は、通常、二軸延伸装置によって
行なわれる。
【0077】本発明で二軸延伸する場合、10〜60
倍、好ましくは15〜50倍の倍率で延伸することが望
ましい。このような二軸延伸は、縦方向および横方向
に、同時にまたは別々に行うことができる。
【0078】このような延伸は、原反シートをロールま
たは恒温槽中などで、延伸温度まで加熱しながら行なわ
れ、延伸速度は、通常、30〜300m/分である。ま
た、通常、以上のような原反シートの製造から二軸延伸
フィルムの製造までを連続して行うのが好ましい。
【0079】このようにして得られる本発明に係る防シ
ワ性ポリオレフィン系フィルムは、厚さが通常、10μ
m〜100μm、好ましくは20μm〜60μmであ
る。また本発明に係る防シワ性ポリオレフィン系フィル
ムは、全光線透過率が50%を越えており、好ましくは
60%以上である。なお本発明では、防シワ性ポリオレ
フィン系フィルムの全光線透過率は、JIS K 710
5に準拠して4枚重ねたフィルムを測定した値である。
またこの防シワ性ポリオレフィン系フィルム(4枚重
ね)のヘイズは、約2〜約92%、好ましくは2〜35
%であり、環状オレフィン[B]の種類および延伸温度
によって変化する。
【0080】さらに本発明に係る防シワ性ポリオレフィ
ン系フイルムは、120℃、15分加熱後の熱収縮率が
10%以下であり、好ましくは6%以下である。このよ
うな防シワ性ポリオレフィン系フィルムには、必要に応
じてコロナ放電処理などを施していてもよい。
【0081】本発明に係る防シワ性ポリオレフィン系フ
ィルムは、好ましい態様として、防シワ性ポリオレフィ
ン系フィルムの少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂
よりなるヒートシール層が形成されている。
【0082】ヒートシール層を形成するポリオレフィン
系樹脂としては、通常、融点が80〜150℃、特に9
0〜140℃にあるものが好ましい。このようなポリオ
レフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテ
ン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセンなどのホモ
ポリマー(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
ブテンなど)、およびこれらの2元または3元共重合体
(例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−
ブテン共重合体、エチレン−ブテン−プロピレンのター
ポリマーなど)、またはこれらのホモポリマーや共重合
体の混合物が挙げられる。これらのうち、エチレン−プ
ロピレン共重合体やエチレン−ブテン−プロピレンのタ
ーポリマーが好ましい。
【0083】ヒートシール層形成の具体的方法として
は、次のような方法がある。 (1)防シワ性ポリオレフィン系フィルムに、ビニル系、
アクリル系などの接着剤を塗布し、接着剤を乾燥させ、
上記ポリオレフィン系樹脂のフィルム(ヒートシール
層)とを加圧加熱接着する方法(ドライラミネート法) (2)押出機のTダイの細いスリットから、溶融している
上記ポリオレフィン系樹脂を押出し、手前から送られて
きた防シワ性ポリオレフィン系フィルムに積層したの
ち、冷却固化する方法(押出ラミネート法) (3)防シワ性ポリオレフィン系フィルムを構成する組成
物とヒートシール層を形成する上記ポリオレフィン系樹
脂とを、多層Tダイキャスト機を用いて共押出する方法
(共押出法) これらのうち、共押出法が好ましい。なお、防シワ性ポ
リオレフィン系フィルムが逐次二軸延伸される場合に
は、縦延伸後、ヒートシール層を押し出しラミネートに
より形成し、横延伸してもよい。
【0084】特に、逐次二次延伸で、ヒートシール層が
形成され、かつ低ヘイズが求められる場合には、ホモポ
リプロピレン層/防シワ性ポリオレフィン系樹脂フィル
ム層/(ホモポリプロピレン層)の層構成になるように
共押出し、縦延伸後、後ラミ機でヒートシール層を付与
し、横延伸するのが好ましい。この場合、両面にヒート
シール層を付与してもよい。
【0085】ヒートシール層が形成された防シワ性ポリ
オレフィン系フィルムとしては、 防シワ性ポリオレフィン系フィルム層(コア層)/ポ
リオレフィン系樹脂層(ヒートシール層) ポリオレフィン系樹脂層(ヒートシール層)/防シワ
性ポリオレフィン系フィルム層(コア層)/ポリオレフ
ィン系樹脂層(ヒートシール層)のような層構成を有す
るものが好ましい。
【0086】このようなヒートシール層は、ヒートシー
ル層の厚さと防シワ性ポリオレフィン系フィルム全体の
厚さとの比で、1/120〜1/3、好ましくは1/6
0〜1/10の範囲で形成されていることが好ましい。
【0087】また、ヒートシール層以外に、防シワ性フ
ィルムの表面を改質するために、他の樹脂層が形成され
ていてもよい。たとえば、本発明の防シワ性ポリオレフ
ィン系フィルムに表面光沢が求められる場合は、このフ
ィルムの表面に、高光沢の樹脂層を設けることができ
る。またこのフィルムに艶消しが求められる場合には、
この防シワ性ポリオレフィン系フィルムの表面に艶消性
樹脂層を設けることができる。
【0088】さらに本発明に係る防シワ性ポリオレフィ
ン系フィルムをコート用原反、印刷用原反、ラミ用原反
として用いる場合には、フィルム中の残留溶剤を減らす
ため、この防シワ性ポリオレフィン系フィルムにポリプ
ロピレン層を設け、このポリプロピレン層にコート、印
刷、ラミネートすることが好ましい。
【0089】さらにまた本発明に係る防シワ性ポリオレ
フィン系フィルムに加筆性が求められる場合には、この
防シワ性ポリオレフィン系フィルムに、炭酸カルシウ
ム、酸化チタンなどが配合された樹脂層を設けることが
できる。
【0090】防シワ性ポリレフィン系フィルムの表面を
改質するためには、上記のような樹脂が使用されるが、
何れの場合でもそれらの樹脂で両面とも覆われているも
の、片面だけのもの、それら相互の組合せのものがあ
る。その方法はヒートシール層の形成の場合と同様であ
る。
【0091】本発明に係る防シワ性ポリオレフィン系フ
ィルムは、防シワ性に優れているとともに、引張強さ、
剛性、表面硬度、衝撃強度、耐寒性などの機械的強度に
優れており、食品および医薬品などの用途の包装用フィ
ルムに好適である。
【0092】また、本発明に係る防シワ性ポリオレフィ
ン系フィルムは、熱シールする際、熱シール部に熱収縮
によりシワが発生することがなく、かつシールが不完全
になることもないので、ヒートシール包装材などの用途
に好適である。
【0093】
【発明の効果】上記のような樹脂組成物から形成される
本発明に係る防シワ性ポリオレフィン系フィルムは、防
シワ性に優れるとともに、引張強さ、剛性率、表面硬
度、衝撃強度、耐寒性などの機械的特性に優れ、しかも
耐水性、耐油性にも優れている。
【0094】さらに本発明に係る防シワ性ポリオレフィ
ン系フィルムは、寸法安定性が良いので、本発明に係る
フィルムに印刷したものを、長期間倉庫で保管しても収
縮することがなく、この印刷されたフィルムで包装して
も、ピッチずれを少なくすることができる。
【0095】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0096】[評価方法]本発明で用いられる[A]結
晶性ポリオレフィン系樹脂および[B]エチレンとテト
ラシクロドデセンとのランダム共重合体である環状オレ
フィン系樹脂の組成物から得られるオーバーラップ用フ
ィルムの物性値は以下のようにして測定した。
【0097】結晶化度;23℃でX線回折法により測定
した。 メルト・フローレート(MFR);ASTM-D-1238に準
じ、230℃で測定した。
【0098】軟化温度(TMA);昇温速度5℃/分、
荷重50g、直径1mmの平底針が100μm針入した
温度をTMAとした。 防シワ性;防シワ性は、以下のようにして評価する。
【0099】50mm×80mm角の濾紙(TOYO ROSHI製N
o.1)に、オフセット印刷で使用される油剤である4号
ソルベント(日本石油加工株式会社製)を、濾紙1m2
当たり1gの量で塗布して、防シワ性評価試験紙を作成
する。
【0100】市販の20本入りたばこ1パッケージ(縦
85mm×横55mm×高さ22mm)から、オーバーラップ
フィルムと包裹紙をはがし取り、アルミ積層紙のみでた
ばこ20本が包まれている直方体(縦85mm×横55mm
×高さ22mm)にする。この直方体の縦85mm×横55
mmの面に、上記防シワ性試験紙をのせ、評価用フィルム
(縦118mm×横170mm)で、市販のたばこに包装さ
れているオーバーラップフィルムと同じように包装す
る。
【0101】なお、上記防シワ性試験紙が載せてある反
対面にフィルムの接合部が来るようにして、セロハンテ
ープで止めかつ密封する。以上のようにして評価用フィ
ルムで包装した直方体を2個用意し、試験紙の載せた面
同志を重ね合わせて1組とし、アルミ箔で包んで、40
℃のオーブン中に2日間放置した後、シワの発生程度を
下記の基準で評価する。
【0102】 ◎;全くシワが発生しない。 ○;微細なシワの発生が認められる。 △;ややはっきりしたシワが発生する。
【0103】×;全面に不規則な多数のシワが発生す
る。 全光線透過率;JIS K 7105に準拠し、フィルムを4枚重
ねて測定した。 ヘイズ;ASTM D 1003に準拠し、フィルムを4枚重ねて
測定した。
【0104】熱収縮率;200mm角の正方形の防シワ性
ポリオレフィン系フィルムのほぼ中央部に、フィルムの
流れ方向を縦方向、それに直角の方向を横方向として、
それぞれ100mmの標線を設け、これを120℃のオー
ブン中で15分間加熱する。加熱後の標線長さを再測定
して、これをlmmとして、下式により算出する。
【0105】
【数1】
【0106】
【実施例1】230℃、2.16kg荷重におけるMF
Rが2.0g/10分であり、結晶化度が61.0%で
あるポリプロピレン[A]と、表1に示す軟化温度を有
するエチレン・TCDランダム共重合体(番号:[B-
1]−a)[B]とを90:10の重量比でドライブレ
ンドし、これを二軸押出機(設定温度250℃)で混練
してポリオレフィン樹脂組成物を調製した。
【0107】なお上記の「TCD」は、次式で示すテト
ラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンを意味する
(以下本発明において同様)。
【0108】
【化15】
【0109】上記樹脂組成物をコア層とし、ヒートシー
ル層としてMFRが6g/10分であり融点が140℃
ポリプロピレン系ターポリマー(F327;グランドポ
リマー製)を用いて、2種3層多層T−ダイキャスト成
形機にて、表2に示す条件下、5.5m/分の速度で、
ヒ−トシ−ル層/コア層/ヒートシール層からなる原反
シートを押出成形した。
【0110】この原反シートを表2に示すような条件下
で、27.5m/分の延伸速度により、縦方向が5倍と
なり、横方向が10倍となるまで二軸延伸して、両面に
ヒートシール層が形成された二軸延伸フィルムを得た。
【0111】このフィルムの防シワ性、全光線透過率、
ヘイズおよび熱収縮率を表3に示す。
【0112】
【実施例2】ポリプロピレン[A]とエチレン・TCD
ランダム共重合体[B]との重量比を95:5にした以
外は実施例1と同様にして、二軸延伸フィルムを得た。
【0113】このフィルムの防シワ性、全光線透過率、
ヘイズおよび熱収縮率を表3に示す。
【0114】
【実施例3】ポリプロピレン[A]とエチレン・TCD
ランダム共重合体[B]との重量比を80:20にした
以外は実施例1と同様にして、二軸延伸フィルムを得
た。
【0115】このフィルムの防シワ性、全光線透過率、
ヘイズおよび熱収縮率を表3に示す。
【0116】
【実施例4】エチレン・TCDランダム共重合体[B]
を、表1の[B-1]−bに変更した以外は、実施例1と
同様にして原反シートを成形した。
【0117】この原反シートを、実施例1と同様に二軸
延伸して、二軸延伸フィルムを得た。このフィルムの防
シワ性、全光線透過率、ヘイズおよび熱収縮率を表3に
示す。
【0118】
【実施例5】エチレン・TCDランダム共重合体[B]
を、表1の[B-1]−cに変更した以外は、実施例1と
同様にして原反シート成形した。
【0119】この原反シートを、実施例1と同様に二軸
延伸して、二軸延伸フィルムを得た。このフィルムの防
シワ性、全光線透過率、ヘイズおよび熱収縮率を表3に
示す。
【0120】
【比較例1】実施例1においてエチレン・TCDランダ
ム共重合体[B]を配合しない以外は実施例1と同様に
して原反シートを成形した。
【0121】この原反シートを、実施例1と同様に二軸
延伸して、二軸延伸フィルムを得た。このフィルムの防
シワ性、全光線透過率、ヘイズおよび熱収縮率を表3に
示す。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】
フロントページの続き (72)発明者 尼 田 康 東京都千代田区霞が関三丁目2番5号 三 井石油化学工業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】[A]結晶性ポリオレフィン;70〜98
    重量%と、 [B]軟化温度が60〜160℃である下記[B-1]、
    [B-2]、[B-3]および[B-4]からなる群から選ばれ
    る少なくとも1種の環状オレフィン系樹脂;2〜30重
    量%と、からなる樹脂組成物製シートを縦方向に3倍以
    上、横方向に3倍以上、二軸延伸してなる防シワ性ポリ
    オレフィン系フィルム。 [B-1]エチレンと下記一般式[I]または[II]で表
    される環状オレフィンとを共重合させて得られるエチレ
    ン・環状オレフィンランダム共重合体、 【化1】 (ただし上記式[I]において、nは0または1であ
    り、mは0または正の整数であり、qは0または1であ
    り、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立
    に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる
    群から選ばれる原子または基を表し、R15〜R18は、互
    いに結合して単環または多環を形成していてもよく、か
    つ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、ま
    たR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン
    基を形成していてもよい。)、 【化2】 (ただし上記式[II]において、pおよびqは0または
    正の整数であり、mおよびnは0、1または2であり、
    1〜R19はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子
    および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子または基
    を表し、R9またはR10が結合している炭素原子と、R
    13が結合している炭素原子またはR11が結合している炭
    素原子とは直接あるいは炭素数1〜3のアルキレン基を
    介して結合していてもよく、またn=m=0のときR15
    とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または
    多環の芳香族環を形成していてもよい。)、[B-2]上
    記式[I]または[II]で表される環状オレフィンの開
    環重合体または共重合体、[B-3]上記[B-2]開環重合
    体または共重合体の水素化物、および[B-4]上記[B-
    1]、[B-2]または[B-3]のグラフト変性物。
  2. 【請求項2】[A]結晶性ポリオレフィンが、結晶化度
    が30%を超えるポリプロピレンであることを特徴とす
    る請求項1に記載の防シワ性ポリオレフィン系フィル
    ム。
  3. 【請求項3】少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂の
    ヒートシール層が形成されていることを特徴とする請求
    項1および2に記載の防シワ性ポリオレフィン系フィル
    ム。
  4. 【請求項4】ヒートシール層を形成するポリオレフィン
    系樹脂の融点が80〜150℃であることを特徴とする
    請求項3に記載の防シワ性ポリオレフィン系フィルム。
  5. 【請求項5】全光線透過率が50%を越えるものである
    ことを特徴とする請求項1〜4に記載の防シワ性ポリオ
    レフィン系フィルム。
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JP2002249625A (ja) * 2001-02-27 2002-09-06 Nippon Zeon Co Ltd シート熱成形用ポリプロピレン樹脂組成物およびポリプロピレン樹脂シート
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JP2016074431A (ja) * 2014-10-02 2016-05-12 Dic株式会社 包装用印刷物及びこれを用いた包装材
JP2017053490A (ja) * 2016-10-24 2017-03-16 株式会社キッツ バルブ用電動アクチュエータと緊急遮断弁・緊急開放弁

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